今回はモーツァルトとブラームスの弦楽五重奏曲を中心としたプログラムです。
最初はモーツァルトの弦楽四重奏曲 第21番。安定したアンサンブルでモーツァルトの名曲を好演。うっとりと魅了されました。
次はモーツァルトの傑作中の傑作、弦楽五重奏曲 第4番。この名作は実演で聴けそうで聴けないもので、saraiの記憶のある限り、ライナー・キュッヒルとウィーン・フィルのメンバー、ミッシャ・マイスキーという豪華メンバーの演奏を聴いただけです。今日のカルテット・アマービレの演奏は第1楽章が早めのテンポで哀愁に満ちた音楽を奏でて、なかなかの演奏。第2楽章も雰囲気に満ちた美しい演奏。そして、第3楽章は抒情に満ちた抑制的な演奏で味わい深いもの。第4楽章は冒頭の悲哀に満ちた演奏に惹き付けられ、その後、一転して、明るい表情の美しい演奏で進行して、あっさりとフィナーレ。魅力にあふれた演奏でした。
後半はいつものように女性3人はドレスを着替えて登場。前半のモーツァルトとはまったく別のアンサンブルで、ブラームスの重層的な深い響きを聴かせてくれます。ともかく、ブラームスの弦楽五重奏曲 第1番の第1楽章の濃厚なロマンの響きに圧倒されました。各楽器で旋律がリレーされるように表現され、それぞれの味わいの深さにうっとりと魅了されます。中でもヴィオラの中 恵菜の演奏は白眉。中低域のアンサンブルが支えた構築性のある音楽はブラームスならではの素晴らしさを感じます。長大な第2楽章は緩徐楽章ですが、その抒情の深さに加えて、テンポの早い中間部での変化で、複雑な色合いを出しています。最後の第3楽章は田舎のお祭りのような賑わいを感じさせる意外性に満ちた音楽。ブラームスの諸相をたっぷりと堪能させてもらいました。
アンコールのモーツァルトは本編の演奏以上にとても美しい演奏で、単独で聴くとモーツァルトの天才性を感じさせてくれるものでした。
カルテット・アマービレの充実ぶりは今日もたっぷりと味わうことができました。彼らの今後にさらなる期待を寄せましょう。
今日のプログラムは以下です。
カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 Ⅳ 〉
弦楽四重奏:カルテット・アマービレ
篠原悠那vn 北田千尋vn 中 恵菜va 笹沼 樹vc
ヴィオラ:村上淳一郎
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調 K.575
モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516
《休憩》
J.コズマ(武満徹編):枯葉
ブラームス:弦楽五重奏曲 第1番 ヘ長調 op.88
《アンコール》
モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516 から 第3楽章 変ホ長調 Adagio ma non troppo
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲 第21番は以下のCDを聴きました。
アマデウス四重奏団 1969年 ベルリン セッション録音
定番中の定番。素晴らしいです。
2曲目のモーツァルトの弦楽五重奏曲 第4番は以下のCDを聴きました。
アマデウス四重奏団、セシル・アロノヴィッツ 1969年9月、ベルリン、ミヒャエルスハイム セッション録音
これまた素晴らしいモーツァルト。アマデウス四重奏団の見事な演奏に耳を傾けるまでです。
3曲目のJ.コズマ(武満徹編)の枯葉は音源の見当がつかず、予習していません。
4曲目のブラームスの弦楽五重奏曲 第1番は以下のCDを聴きました。
アマデウス四重奏団、セシル・アロノヴィッツ 1968年4月、ベルリン セッション録音
これもアマデウス四重奏団の演奏で聴きました。素晴らしい演奏です。
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