第2楽章のアンダンテ・ソステヌートは抒情的な音楽が弦で奏でられた後、オーボエのソロが物哀しい旋律を歌い上げます。トリオでもオーボエのソロが活躍します。再現部では、ホルンに続いて、コンサートマスターの扇谷 泰朋の美しく、よく響くソロが主導して、この楽章を閉じます。カーチュン・ウォンの見事な表現力に感銘を受けます。
第3楽章は間奏曲風の短い楽章です。牧歌的な雰囲気を醸し出しながら、続く第4楽章を暗示しつつ、優雅な音楽を奏でます。
そして、間を置かず、すぐに第4楽章の重い序奏が始まります。やがて、序奏の第2部でホルンが朗々とした主題を歌い上げ、金管がコラール風に展開していきます。第1楽章の序奏をさらに拡大したような序奏をカーチュン・ウォンと日本フィルは堂々と演奏。
長い序奏が静かに終わると、ベートーヴェンの第9番の歓喜の歌を想起する第1主題が弦楽合奏で美しく奏で上げられます。日本フィルの弦楽アンサンブルの素晴らしさを感じずにはいられません。続いて、第2主題も弦楽合奏で演奏され、提示部の小結尾は高らかに高潮していきます。次いで、再び、第1主題がさきほどと同じ形で弦楽合奏で奏でられて、その後、展開されていきます。そして、音楽は高揚していきます。カーチュン・ウォンが凄まじい勢いで弦の各パートを鼓舞して、圧倒的に盛り上がります。そして、再現部を経て、コーダに入ります。そして、コラール風主題がファンファーレのように高らかに奏で上げられて、音楽の頂点を形成していきます。そして、主和音の四連打を経て、劇的に曲を閉じます。実に壮大なフィナーレでした・・・拍手が早過ぎる! 言いたくありませんが、このような素晴らしい演奏の後は感動をかみしめたいものです。ここはサントリーホールですよ!
ともあれ、素晴らしいカーチュン・ウォンのブラームスでした。
カーチュン・ウォンの存在感が次第に大きくなってきました。今後がますます楽しみです。
前半のショパンのピアノ協奏曲第1番、亀井聖矢は好演でしたが、むしろ、アンコール2曲目のリストのラ・カンパネラが素晴らしい演奏でした。
今日のプログラムは以下です。
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
ピアノ:亀井聖矢
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:扇谷 泰朋
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
《アンコール》ショパン:マズルカ Op. 59-2
リスト:ラ・カンパネラ
《休憩》
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のショパンのピアノ協奏曲第1番を予習した演奏は以下です。
マウリツィオ・ポリーニ、クリスティアン・ティーレマン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2016年1月16日 ベルリン・フィルハーモニー ライヴ収録 (ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール)
老境のポリーニ、流石のショパンに聴き惚れました。
2曲目のブラームスの交響曲第1番を予習した演奏は以下です。
サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2018年5月27日 ベルリン・フィルハーモニー ライヴ収録 (ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール)
ベルリン・フィルの達人たち、見事な演奏です。管のソロはホルンはシュテファン・ドール、フルートはエマニュエル・パユ、クラリネットはアンドレアス・オッテンザマー、オーボエはアルブレヒト・マイヤーという豪華な布陣。コンマスはダニエル・シュタブラーヴァ。
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