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ブラームスの晩年の名作、至高の演奏 アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ コンサートホール 2020.3.19

シフのブラームスを聴くというsaraiの夢がまさか叶うとは思ってもいなかったんです。それがコロナ・ウィルス騒ぎの真っ最中の先週と今日で実現するとは何という僥倖でしょう。前回は晩年のブラームスのOp.116の素晴らしい演奏を聴きました。今日はOp.117の3つの間奏曲のうっとりとするような演奏をシフの美しいピアノの響きで聴き、そして、いよいよ、名作、Op.118の6つの小品です。第1曲から素晴らしい演奏です。圧倒的だったのは最後の第6曲。間奏曲というよりも幻想曲という風情のファンタジーに満ちた魅惑の演奏です。途中からはラプソディーの雰囲気に変わり、激しく燃え上がります。最後はまた幻想的な雰囲気で静謐に終わります。何て素晴らしい演奏なんでしょう。
しかし、最高に素晴らしかったのはブラームスの晩年の名作の最後を飾るOp.119の4つの小品です。最初の2曲はアイロニーに満ちた哀切極まりない演奏です。ブラームスがこの分野でいかに高みに達したかを示してくれる素晴らしい演奏に聴き惚れます。そして、最後の第4曲。ラプソディーが高らかに歌われます。魂の高揚・・・何というレベルの演奏でしょう。
saraiが夢に思い描いていた通りの素晴らしい演奏でした。CDにも録音していないので、まさにシフのブラームスの晩年の名作は初聴きだったんです。以前、Op.117の第1曲の間奏曲をアンコールで聴いて以来、シフがこういうレベルの演奏をするだろうと期待していましたが、その通りの演奏でした。ただただ、満足です。

ブラームス以外も素晴らしい演奏でした。シューマンの最後のピアノ曲はある意味、痛々しい音楽ではあります。幻想曲やクライスレリアーナ、交響的練習曲などの晴れやかなピアノ曲とはまったく雰囲気を異にします。シューマンが最後の力を振り絞って、歌い上げた白鳥の歌とでも表現しましょうか。それをシフは実に誠実に演奏しました。シューマンを愛するシフでなければ、こうは演奏できなかったでしょう。音楽とはかくも人間的なものなのですね。ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの晩年の作品とは様相が異なりますが、シフは大作曲家の晩年の作品に焦点を合わせたような演奏活動をしていますが、このシューマンは異色なものです。シフは我々にこのシューマンの最後の作品はいかに価値あるものかを問いかけるものです。saraiもこれから、じっくりとこの作品に向かい合っていきましょう。

モーツァルトのロンド イ短調 K.511は素晴らしく美しい作品です。シフが今日の演奏で教えてくれました。幻想曲 ニ短調 k.397、幻想曲 ハ短調 k.475と同様に座右に置いておきたい名曲ですね。これもシフが我々にこの名曲を忘れてはいませんかと問いかけてきたようなものです。

バッハの平均律は安定した見事な演奏。何も言うことはありません。うっとりと聴いただけです。プレリュードの美しさ、フーガがだんだんと音の密度を濃くして楽興に至る素晴らしさには参りました。シフにとって、バッハは音楽の原点なのでしょう。いつでもその最高の音楽を取り出すことができますね。

最後に弾いたベートーヴェンの告別ソナタもベートーヴェンの音楽の本質を描き出すものでした。これ以上のベートーヴェンを聴くことはできません。中期のピアノ・ソナタの高揚から後期のソナタの晦渋に至る、すべてがここに語り尽くされています。ああ、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を聴きたくなりました。それを思わせる力のある演奏でした。何と魅力的な演奏だったか!

アンコールはまた、ゴルトベルク変奏曲のアリア。これは酷ですよ。絶対に全曲を次の来日で聴かせてくださいね。待てないので、とりあえず、YOUTUBEにあるBBCのゴルトベルク変奏曲の演奏でも聴きますか。
ブラームスのアルバムの小品という短くて美しい作品は最近になって新発見の作品なんですね。シフがBBCで放送初演したそうです。これもYOUTUBEで聴けます。
シューマンのアラベスクは素晴らしい演奏。これぞ、最盛期のシューマンのピアノ曲です。
最後はとびっきり美しいシューベルトの即興曲。憧れに満ちた楽想がこれでもか、これでもかと続きます。次の来日ではシューベルトの後期作品のチクルスを絶対に聴かせてください。→関係者殿

最後にコンサート欠乏症の我々に素晴らしい音楽をプレゼントしてくれたシフとカジモトに多大の感謝を捧げます。


今日のプログラムは以下です。(今日のリサイタルはペーター・シュライヤーとピーター・ゼルキンに捧げるそうです。二人ともつい最近亡くなりました。合掌!)

 シューマン: 精霊の主題による変奏曲 WoO24
 ブラームス: 3つの間奏曲 Op.117
 モーツァルト: ロンド イ短調 K.511
 ブラームス: 6つのピアノ小品 Op.118

   《休憩》

 J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集第1巻から
      「プレリュードとフーガ」第24番 ロ短調 BWV869
 ブラームス: 4つのピアノ小品 Op.119
 ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81a「告別」


   《アンコール》

    J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲 BWV988から アリア
    モーツァルト: ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 K.545から 第1楽章
    ブラームス: アルバムの小品
    シューマン: アラベスク Op.18
    シューマン: 「子供のためのアルバム」Op.68から 楽しき農夫
    シューベルト: 即興曲 変ト長調 D899-3

最後に今回の予習についてですが、ブラームスを中心に聴きました。なお、ブラームス以外はシフの演奏を聴きました。

 田部京子 Op.117、Op.118、Op.119 2011年8月 上野学園 石橋メモリアルホール
 ジュリアス・カッチェン Op.76、Op.116、Op.117、Op.118、Op.119 1962年5月 ロンドン
 ペーター・レーゼル Op.76、Op.116、Op.117、Op.118、Op.119 1972-74年
 アンナ・ヴィニツカヤ Op.76、Op.116 2015年9月7-10日 Reitstadel, ノイマルクト、ドイツ
 ヴィルヘルム・ケンプ Op.76、Op.116、Op.117、Op.118、Op.119 1963年12月 ハノーファー、ドイツ
 エレーヌ・グリモー Op.116、Op.117、Op.118、Op.119 1995年11月 ノイマルクト、ドイツ

まずは規範となるのはジュリアス・カッチェン。この人のブラームスは別格です。ブラームスを弾くために生まれてきたとしか思えない天才ピアニストです。次いで、ペーター・レーゼルも負けていません。現代の巨匠と言えば、この人。そう言えば、最近、来日しませんね。巨匠と言えば、ヴィルヘルム・ケンプも忘れてはいけません。見事な軽みに至った演奏です。そして、美女3人のブラームスも最高です。田部京子、アンナ・ヴィニツカヤ、エレーヌ・グリモーは彼女たちの持ち味を十二分に発揮した名演です。今や、ブラームスのピアノ曲も演奏に恵まれる時代になったようです。



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       シフ,  

最高のブラームス、そして、奇跡のバッハ アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ コンサートホール 2020.3.12

母の逝去、コロナウィリス・・・2月の中旬から3月20日までのコンサートは12回の内、10回が中止になり、唯一残ったのが今日と来週のアンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルです。9年前の大震災のときは9分の1のコンサートでしたが、今回は今のところ、12分の2のコンサートです。12分の2であるシフのコンサートが一番聴きたかったコンサートだったというのは僥倖です。しかし、ほぼ、50年ぶりに聴く予定だったアルゲリッチが聴けないのは運命でしょうか。以前、チケットを買ったのにころっと忘れていて、行きそびれたトラウマがあるのがアルゲリッチ。しょせん、縁がないのでしょう。デビューしたてのアルゲリッチを胸の底にしまっていけというご託宣かもしれません。ともかく、シフのピアノ・リサイタルは1年以上も前から楽しみにしていたものでした。それというのも、シフのピアノでブラームスの晩年の名作を聴くのが以前からのsaraiの夢だったんです。まさか、それが実現するとは思ってもいなかったんです。何せ、シフはほとんどブラームスの作品をCD化していないんです。しかし、CDで聴けるブラームスの《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》ではシフが素晴らしい演奏を聴かせてくれています。これを聴いて、saraiの夢がふくらんでいたんです。

で、今日、実際に聴いたブラームスの《7つの幻想曲集 Op.116》は期待を上回る素晴らしい演奏。3曲のカプリッチョの暗い情念は深い響きのピアノで心に迫りましたし、4曲のインテルメッツォはインティメットな心の呟きが美しい響きのピアノで優しく語りかけてきました。これ以上、何も求めることはできないでしょう。今日から、saraiにとってのブラームスはピアノ独奏曲が最高のジャンルになりました。交響曲でも協奏曲でも室内楽でもなく、ピアノ独奏曲こそ、ブラームスが作り上げた最高の世界です。若きブラームスがデュッセルドルフのシューマン宅を訪れたときにピアノ・ソナタを聴いてもらって、ブラームスの音楽人生が実質的に始まり、晩年にバート・イシュルで書いたのが今日の《7つの幻想曲集 Op.116》。ブラームスは常にピアノ演奏家としてもピアノの独奏曲を書き続けていました。来週のリサイタルでは晩年の残りの独奏曲集のOp.117、Op.118、Op.119が聴けます。アンドラーシュ・シフにとって、バッハに始まるドイツ・オーストリア音楽こそ、もっとも音楽的な基盤とするところです。3年前にハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトの最後の2つのソナタを聴かせてもらいましたが、ドイツ・オーストリア音楽はシューマン、ブラームスを聴かないとその輪を閉じることができません。シューマンはザルツブルク音楽祭で幻想曲やピアノ・ソナタなどを聴きました。今回、ブラームスの晩年の作品を聴くことで一応の完結に達します。

しかし、バッハこそはシフのベースとなる音楽です。saraiがシフを初めて認めたのは彼の弾くバッハのフランス組曲を聴いたときのことでした。その頃はシフはバッハ弾きだと思っていました。これまでも素晴らしいバッハの演奏を聴かせてもらいました。ザルツブルク音楽祭で聴いた平均律クラヴィーア曲集第2巻はその頂点に立つ演奏でした。今日は初めて、シフの弾くイギリス組曲を聴きました。第6番だけですが、まさに神が降臨したような奇跡の名演でした。早めのテンポで弾き始めたプレリュードはフーガに入ると、超絶的な高速演奏。あり得ないレベルのバッハです。アルマンドも早めの演奏で聴き惚れるだけです。クーラントも高速演奏。サラバンドは噛みしめるような演奏で、中間の美しさは光り輝きます。有名なガヴォットは楽しく聴き惚れます。そして、圧巻のジーグは究極のフーガ。圧倒的な高みに達して終わります。凄い演奏でした。実はCDで彼の演奏を聴いていましたが、全然、こんな演奏ではありませんでした。シフはあり得ないほどに進化したことに気が付き、愕然としました。

ともかく、後半に弾いたブラームスとバッハは素晴らしかったんです。前半のメンデルスゾーン、ベートーヴェン、ブラームスもよかったのですが、後半に比べると、音の輝きも粒立ちもそこまでのものではありませんでした。シフにしては美しい音の響きが足りないとさえ思っていましたが、後半になり、まるで別人。後半に向けて、ためていたのでしょうか。

アンコールはいつものシフのように第3部のプログラムが始まったみたいです。イタリア協奏曲は今回でアンコール3度目。よほど、お好きなようです。ベートーヴェンの葬送は何とも厳かな演奏でベートーヴェンの真髄を聴くような感じでした。ブラームスは晩年の作品群の中で一番、有名とも思えるインテルメッツォ。素晴らしい演奏にただただ、聴き惚れるのみ。来週、もう一度聴けるのが嬉しいですね。最後にシューベルトの珍しい曲が聴けて満足。

この時期に日本を訪れて、リサイタルを開いたというのはシフにも並々ならぬ思いがあったようです。アンコールではこれまで聴いたことのない彼の日本語の片言を聴きました。コロナ・ウィリスに負けずに希望を抱いてほしいというメッセージを日本人に伝えたかったのでしょう。ただただ、感謝の気持ちに浸るのみです。


今日のプログラムは以下です。

 メンデルスゾーン:幻想曲 嬰ヘ短調 Op.28《スコットランド・ソナタ》
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 Op.78《テレーゼ》
 ブラームス:8つのピアノ小品 Op.76

   《休憩》

 ブラームス:7つの幻想曲集 Op.116
 J.S.バッハ:イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811


   《アンコール》

    J.S.バッハ: イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
    ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 Op.26「葬送」から 第1楽章
    メンデルスゾーン:無言歌第1集 Op.19bから 「甘い思い出」
             無言歌集第6巻 Op.67から 「紡ぎ歌」
    ブラームス: インテルメッツォ イ長調 Op.118-2
    シューベルト: ハンガリー風のメロディ D817

最後に今回の予習についてですが、ブラームスを中心に聴きました。内容は次回のリサイタルで書きましょう。ブラームス以外はシフの演奏を中心に聴きました。



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       シフ,  

西欧文化を体現する圧巻の演奏:ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲・・・アンドラーシュ・シフ&カペラ・アンドレア・バルカ@東京オペラシティコンサートホール 2019.11.8

まるでシフ教授を囲むシュンポシオン(シンポジュウム)を聞いているかのごとき、西欧文化の精華を満喫するコンサートでした。西欧文化の中心には音楽は欠かせない存在であることを再確認しました。シフ教授の弾くピアノは美しいだけでなく、知性の薫りに満ちており、オーケストラの面々はその講義を聴きながら、各々も自主的な発表を行い、その様子を我々、聴衆が垣間見るという雰囲気です。ヘルマン・ヘッセの《ガラス玉演戯》そのものの姿ではありませんか。そして、そのシュンポシオンの核にはベートーヴェンが西欧文化に打ち立てた古典音楽(ロマン派への道程も示されていますが)が中心テーマになっています。

妙な前置きになってしまいましたが、単に素晴らしい演奏だったとか、完璧なベートーヴェンのピアノ協奏曲だったと言ってしまっては語弊があると思うほどの高いレベルの音楽だったんです。聴衆がただ音楽に耳を傾けるだけでなく、音楽からの深い文化的な示唆を受けて、その理解度を試される場であったとも思えます。シフ教授はピアノを弾きながらも、そのメッセージが聴衆に正しく伝わっているかを察知していたようにも思えます。聴衆は静寂の中で集中力を発揮して、十分に理解したサインをシフ教授に送り返していたと思います。演奏後の盛り上がった拍手だけが重要ではなかったと思います。

今日の前半に演奏された第1番は凄い演奏でした。昨日からの全5曲はすべて最高レベルの演奏でしたが、ひとつだけ選ぶとしたら、この第1番が究極の演奏。第1楽章の冒頭のオーケストラ演奏の響きから、何かが起こると予感させるものでした。その素晴らしさは書き尽くせませんが、第1楽章の長大なカデンツァはありえないレベルの恐るべき演奏でした。美しさもエネルギー感もそのすべてが音楽の頂点に立つような小宇宙を形成しています。まったくもって、今のシフの凄さと言ったら、歴史上最高のピアニストと言っても過言でありません。ところで第1楽章の展開部の終盤で再現部に移行する部分でオクターブのグリッサンドがあると解説に書いてあったので、注目していましたが、シフは何の造作もなく、見事に弾き切りました。その右手の動きは目にも止まらぬ早業としか言えません。ちなみにその部分の楽譜は以下です。1段目の最後にあるグリッサンドです。

2019110801.jpg



右手だけでオクターブを弾かずに、両手で弾けばよさそうですが、左手はバス音を弾かないといけないので、やはり、右手だけでオクターブを弾く必要があります。ベートーヴェンの時代の楽器はフォルテピアノで現代のピアノと違って、鍵盤のタッチが軽かったので、現代のピアノで弾くほどの困難さはありませんでした。それでもベートーヴェンの弟子だったカール・チェルニーはその著書でオクターブが難しければ、単音で上部の音列だけを弾きなさいと記しているくらいですから、当時でも難しい奏法だったようです。いやはや、凄い演奏技術を見せてもらいました。

後半の皇帝ももちろん、最高でした。昨日聴いた3曲が霞んでしまうほどの演奏でした。シフのピアノのタッチの美しさはますますさえ渡りました。自然で肩に力が入っていないけれども不思議にピアノがよく鳴ります。無論、激しくピアノの鍵盤を叩くこともありますがそれもうるさくありません。すべてが収まるべきところに収まるという風情です。かくあらねばならないという演奏に終始しました。これ以上のベートーヴェンは望むべきもないでしょう。

結局、当初はそう期待していたコンサートでもなかったんですが、現代最高のベートーヴェン弾きのアンドラーシュ・シフの手にかかると、これほどまでに素晴らしいベートーヴェンのピアノ協奏曲チクルスになってしまうんですね。アンコールも含めると、第4番と第5番は第2・3楽章は2度も聴かせてもらったし、もう、ベートーヴェンのピアノ協奏曲はsaraiの人生では聴く必要はなさそうです。次はシフのベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏会を聴きたい!!
 
アンコールでは、ピアノ協奏曲第4番のほか、ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 op.78《テレーゼ》のまるまる1曲を聴かせてもらいました。内心はアパッショナータ全曲を期待していましたが、さすがにそれはなしでした。同時期に作曲された告別ソナタは来年春の来日コンサートで聴かせてもらえます。

今日のプログラムは以下です。

  指揮/ピアノ:アンドラーシュ・シフ
  管弦楽:カペラ・アンドレア・バルカ

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op.15

   《休憩》

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73《皇帝》

   《アンコール》
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58 より 第2・3楽章
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 op.78《テレーゼ》より 第1・2楽章(つまり、全曲)


なお、予習したCDは以下です。

 アンドラーシュ・シフ、ベルナルト・ハイティンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1996年 ドレスデン、ルカ教会

最後に皇帝を聴きました。美しさと壮大さを兼ね備えた演奏に魅了されました。ハイティンクの指揮も見事です。このシュターツカペレ・ドレスデンとのコンビでベートーヴェンの交響曲も録音してくれればよかったのですが、それは見果てぬ夢です。



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       シフ,  

室内楽のような精密さと美しい響きのベートーヴェンのピアノ協奏曲・・・アンドラーシュ・シフ&カペラ・アンドレア・バルカ@東京オペラシティコンサートホール 2019.11.7

バティアシヴィリのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に感激したばかりですが、今日のシフのベートーヴェンのピアノ協奏曲は完璧という言葉では形容できない会心の演奏でした。しかもたまたま今日の演奏が素晴らしかったのではなくて、いつでもこういうレベルの演奏になるだろうという安定度の見事な演奏。シフはいつの間にか、ピアノのレジェンドとでも言える存在になってしまいました。それでいて、saraiよりも若いのだから参ります。同じ時代を生きて、彼のピアノを生で聴けるのは何という幸運なのでしょう。しかし、実は今回のコンサートは聴くかどうか、ちょっと迷ったんです。シフのベートーヴェンのピアノ協奏曲の真価を計りかねたからです。考えてみれば、シフのピアノは独奏でしか聴いていませんでした。あまりに彼のピアノ独奏によるバッハ、バルトーク、ベートーヴェン、シューベルトが素晴らしいので、独奏以外の演奏は考えられなかったからです。しかも来年春にはまた来日公演で待ちに待ったブラームスの後期作品を聴かせてくれるので、むしろ、そっちが楽しみだったんです。
しかし、実際に聴いてみれば、今日の演奏は空前絶後の演奏で一生に何回も聴けるようなものではありませんでした。ここはこう弾いてほしいと思う通りにすべて弾いてくれる完璧な演奏。むしろ、ここはこう弾くのかと納得させられるような完璧な演奏と言ったほうがいいかもしれません。今日はピアノ協奏曲3曲、計9楽章ですが、すべてが最高の演奏でした。まだ、モーツァルトのピアノ協奏曲の影響が色濃いと思っていた第2番すら、ベートーヴェンを代表する超傑作であることを思い知らされます。シフ夫人の塩川悠子さんの情報では一番弾く機会が少ないという第3番はそんなことは微塵に感じさせない素晴らしい演奏。そして、第4番の素晴らしさはどうでしょう。唖然として聴き入りました。
この演奏を聴いていて、不意にsaraiが若い頃に聴いたヴィルヘルム・ケンプの実演の皇帝の名演を思い出しました。晩年のケンプの枯れ切った演奏でベートーヴェンの音楽の本質を突いた演奏でsaraiの心に秘めた宝物になっていました。今日の演奏はその表現力と同等でさらに恐ろしいほどのテクニックが加わったものです。録音で聴いていたクラウディオ・アラウの美しい響きと溜めのきいた演奏表現をさらに上回る美しい響きと自然な表現に魅了されました。シフの弾くベーゼンドルファーの美しい響きはいつも通りですが、何度聴いても素晴らしいものです。とりわけ、レガートが美しいのですが、今日の演奏では第2番での歯切れのよいタッチも見事でした。
もう賛辞は尽くし切れません。まだ、明日の残りの演奏があるので、そのときにまた、付け加えましょう。

そうそう、管弦楽のカペラ・アンドレア・バルカですが、シフの個人的なオーケストラと思っていたら、何と素晴らしい響きなんでしょう。このコンビで録音してもらいたいですね。まあ、NHKが録画していたので、放映を楽しみにしていましょう。明日も是非、録画してもらいたいものです。

ところで、いつものように、今日もアンコールが盛り沢山。何と明日演奏する皇帝の第2楽章を弾き始めたのには驚きましたが、第3楽章へのアタッカで切るのかと思っていると、そのまま、第3楽章まで弾き切ります。もう、びっくりです。《葬送》も同様に第3楽章が終わったところで止めないで、第4楽章まで弾くとはね・・・。明日もアンコールが盛り沢山なのでしょうね。アパッショナータでも弾くのでしょうか。それとも路線を変えて、バッハとか・・・。
 

今日のプログラムは以下です。

  指揮/ピアノ:アンドラーシュ・シフ
  管弦楽:カペラ・アンドレア・バルカ

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37

   《休憩》

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58

   《アンコール》
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73《皇帝》より 第2・3楽章
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 op.26《葬送》より 第3・4楽章


なお、予習したCDは以下です。

 アンドラーシュ・シフ、ベルナルト・ハイティンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1996年 ドレスデン、ルカ教会

素晴らしい演奏です。シフのベーゼンドルファー(と思われる)の美しい響きと音楽表現力は輝きに満ちています。ハイティンクの安定した堂々たる指揮とシュターツカペレ・ドレスデンの美しい響きも最高です。これまでに聴いた録音ではクラウディオ・アラウ&ハイティンク指揮コンセルトヘボウが最高でしたが、それに匹敵するか、上回る出来です。



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       シフ,  

ザルツブルク音楽祭:偉大なバッハ、偉大なシフ、平均律クラヴィーア曲集第2巻@ザルツブルク・モーツァルテウム大ホール 2018.8.16

アンドラーシュ・シフが弾いたバッハの長大な平均律クラヴィーア曲集第2巻は実に偉大な演奏でした。これ以上、言葉で表現できるものではありません。さすがのシフもロ短調のフーガを弾き終えたところで、長い溜息をつくほど、体力と知力を捧げ尽くした演奏でした。それは聴く側のsaraiとて同様です。2時間以上も緊張感を持続するのは大変でした。一音も聴き逃さないと意気込んでいましたが、無論、そんなことは無理な相談ですが、7割、8割はちゃんと聴けたと自負しています。24番目のプレリュードとフーガを聴き終えて、バッハの偉大さ、アンドラーシュ・シフの偉大さが強く感じられました。

シフは長調、すなわち、奇数番目のプレリュードを弾く前に、口元に軽い微笑みを浮かべます。そして、なんとも柔らかくて、力みのない音楽を奏でます。一方、単調、すなわち、偶数番目のプレリュードを弾く前には緊張感の漂う表情で、哀調のある旋律、あるいは、力強い音楽を奏でます。この繰り返しで、すべての調の長調と短調の作品を淡々と奏でていきます。以前よりもタッチは力強く、響きはレガートの美しさよりもクリアーなタッチの美しさに変わってきたように感じます。シフは日々、前進しているようです。

saraiはまだ、この長大な作品全体を把握するところには至っていません。今は短調の曲、とりわけ、プレリュードの美しさに耽溺しています。今日も第4番、第8番、第12番、第14番、第18番、第22番のプレリュード、そして、フーガに魅了されました。長調には美しさよりも愉悦感を感じる曲が多いです。そして、この長大な曲集の頂点は前述した第22番のロ短調のフーガにあります。まだ理解は足りませんが、今日の演奏でその偉大さの片鱗は感じることができました。第23番以降はカタルシスのような感じで聴けます。最後の第24番は短いプレリュードとフーガですが、全曲をしめくくるのに十分な音楽的内容を込めて、シフは圧巻の演奏を聴かせてくれました。

個々の曲にも触れたいところですが、最初に書いたように、偉大な音楽、偉大な演奏とするのが今日のシフの演奏を語るのに最上の言葉であると思います。全48曲を聴き終えたときの感覚が大事だと感じています。

素晴らしいシフのバッハを堪能させてもらいました。

今日のプログラムは以下です。

 ピアノ:アンドラーシュ・シフ

 バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻
   12番目のプレリュードとフーガの後で休憩を挟みました。さすがのシフも一気に全曲を弾き通しませんでした。驚きです。


予習したCDは以下です。全然、予習が不足していて、恥ずかしい限りです。アンジェラ・ヒューイットさえ聴けませんでした。

 アンドラーシュ・シフ、2011年、セッション録音、スイス、ルガーノ
 スヴャトスラフ・リヒテル、1973年、ライヴ録音、インスブルック
 フリードリヒ・グルダ、1972年、セッション録音

シフも旧盤は聴けず、新盤のみですが、素晴らしい演奏です。素晴らしいと言えば、グルダは第1巻に引き続き、第2巻も見事な演奏です。グルダがバッハの全作品を録音に残さなかったのはとても残念です。リヒテルもセッション録音のほうは聴けず、ライヴ録音のみを聴きました。録音がクリアーさを欠いているのが残念ですが、これまた見事な演奏です。チェンバロの演奏はまったく聴けませんでした。平均律クラヴィーア曲集は今後、腰を据えて、名演奏の数々を聴いていきましょう。sarai、一生の課題です。

ところで、アンドラーシュ・シフは昨年もザルツブルク音楽祭で3回のリサイタルを聴きましたが、その折、ウィーンから来た老婦人と会話を交わしました。彼女はシフ夫人の塩川悠子さんとも親しそうにしていた、シフの第1のファンのようです。今年もやはり、元気な姿で最前列に陣取っていました。同じ最前列ですが、今年はsaraiとは少し席が離れていて、残念でした。早速、ご挨拶して、日本のお土産をお渡しするととても喜んでくれました。もちろん、シフ夫人の塩川悠子さんもいらしていました。毎年、同じようなメンバーが集うのですね。もう、saraiは来年は行けないでしょう。一抹の寂しさがあります。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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