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ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九は始まったばかり@サントリーホール 2019.12.28

ジョナサン・ノットの快調なベートーヴェンの交響曲も今日は遂に第9番です。これは期待するしかありませんね。
しかし、さすがのノットも第3楽章までは乗り切れていませんでした。が、ようやく第4楽章の中盤で爆発します。テノールのサイモン・オニールの高潮した独唱の後、弦楽合奏の対位法的な展開の演奏が凄まじく気合いの入った音楽に昇華していきます。一気にsaraiのテンションも跳ね上がります。この第4楽章の後半は合唱の盛り上がりを軸に人間の生を謳歌する、祝典的な音楽が高らかに歌い上げられます。終盤の独唱陣の4重唱も高揚します。ソプラノのルイーズ・オルダーの若くて、少し粗削りながらも勢いのある歌唱にも魅せられます。そして、コーダはフルトヴェングラーの如く、激しく突進して、感動のフィナーレです。ノットとしては大いに課題を残した演奏ではありましたが、ちゃんと最後では辻褄を合わせた形です。きっと、明日の演奏ではさらに熟成した音楽を聴かせてくれるでしょう。残念ながら、saraiは明日の演奏を聴きません。来年も聴かせてくれるだろうジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九を楽しみにしましょう。ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九は始まったばかりです。

今日のコンサートをもって、今年のsaraiの音楽は〆にします。サントリーホールはこれで今年、22回目のコンサートでした。まさにsaraiのホームグラウンドです。また、来年も素晴らしい音楽を聴かせてもらいましょう。

おっと、今年のシメはまだ、大晦日のジルヴェスターコンサートが残っていました・・・。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:ルイーズ・オルダー
  メゾソプラノ:ステファニー・イラーニ
  テノール:サイモン・オニール
  バスバリトン:シェンヤン
  合唱:東響コーラス
  合唱指揮:冨平恭平
  管弦楽:東京交響楽団

  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125

  《アンコール》 蛍の光 東京交響楽団と東響コーラス


演奏後の会場の盛り上がりは凄く、もう習慣となってしまった、オーケストラ退席後のお馴染みの指揮者コールです。ジョナサン・ノットをコールするのは、これで今年、10回目です。ノットとコアなファンの気持ちが通じ合う大切な時間でもあります。また、来年も素晴らしい音楽を聴かせてもらいましょう。



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       ジョナサン・ノット,  

さらに精度を上げたR.シュトラウス、モーツァルトの極美の響き・・・ノット&東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第38回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2019.11.24

今日はコンサートを2回聴きます(ミューザ川崎、東京オペラシティ)。1回目は朝11時からのミューザ川崎でのモーツァルト・マチネ。ほぼ、昨日聴いた東響のオペラシティ定期と同じプログラムです。本来、オペラシティ定期とモーツァルト・マチネは関係ありませんが、ノット&東響とモーツァルトつながりで同じようなプログラムになったのでしょう。今日のプログラムでは、昨日の素晴らしかったリゲティを除いて、R.シュトラウスのオーボエ協奏曲とモーツァルトの交響曲第41番《ジュピター》が演奏されます。

まず、R.シュトラウスのオーボエ協奏曲です。おっ、第1楽章から、荒 絵理子のオーボエの響きは柔らかいです。昨日に比べて、リラックスして演奏できているようです。昨日はちょっと肩に力が入り過ぎていたのかもしれません。気のせいか、表情も柔和な感じです。第2楽章に入ると、彼女のオーボエの響きと表情はさらに冴え渡り、まるでゾーンに入ったような素晴らしさ。前日以上にシュトラウスのオペラのアリアを聴いている感じになります。陰影に富み、誠実で人生をしみじみと振り返るような音楽に感銘を受けます。そして、第3楽章への経過部にはいります。昨日はここから少し演奏に固さと乱れがありましたが、今日の彼女の演奏は万全です。第3楽章の前半を素晴らしい演奏で乗り切り、そのまま、終盤に向かっていきます。圧巻のフィナーレを吹き切ってくれました。やはり、ホームグラウンドのミューザ川崎で心が安定したんでしょうか。ノット指揮の東響とのアンサンブルも素晴らしいものでした。素晴らしいR.シュトラウスの晩年の作品を聴けて、saraiも万感の思いです。

さて、次はモーツァルトの交響曲 第41番「ジュピター」です。昨日と同様、終始、万全の演奏でした。ノットが指揮台上で大きく動き回りながら、オーケストラを鼓舞します。東響は素晴らしく響き渡るトゥッティと冴え冴えとした弦楽アンサンブルで耳を楽しませてくれます。終楽章に入ると、音楽はますます熱気をはらんでいきます。リズムに乗って、東響のアンサンブルが前へ前へと走り抜けていきます。その颯爽とした音楽に聴く者の心が高潮するのみです。そして、圧巻のフィナーレ。いやはや、ノットのモーツァルトには参りました。

これで今日の1回目のコンサートは大いなる満足感のうちに終了。では、2回目のコンサート会場に移動します。2回目のコンサートはバッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ、ブランデルブルク協奏曲全曲です。このコンサートの記事はここです。

  指揮:ジョナサン・ノット
  オーボエ:荒 絵理子(東京交響楽団首席奏者)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調
  モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」

   休憩なし


最後に予習について、まとめておきます。(内容は昨日の記事と同じです。悪しからず。)

1曲目のR.シュトラウスのオーボエ協奏曲を予習したCDは以下です。

 ローター・コッホ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1969年9月、ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音

ローター・コッホの安定した演奏とその表現力が見事です。R.シュトラウスを得意とするカラヤンも晩年のシュトラウスの穏やかな諦念を美しく表現します。素晴らしい演奏です。この曲でここまでの演奏は初めて聴きました。名曲ですね。もっと、これからよい演奏が現れることを念願します。


2曲目のモーツァルトの交響曲 第41番「ジュピター」を予習したCDは以下です。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1963年10月11日&25日、クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音
 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団 1985年5月10日、ミュンヘン、ヘラクレスザール ライヴ録音
 ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル 1956年3月5日 ニューヨーク、30th Street Studio モノラル、セッション録音

セルの引き締まった素晴らしい響きの演奏はまさに決定盤。クーベリックは意外にゆったりした正攻法の演奏で味わい深いものがあえいます。しかし、モーツァルトと言えば、ワルター。saraiが子供の頃から聴いてきたのはコロンビア交響曲とのステレオ録音。これは耳に焼き付いていますから、予習の必要はありません。ニューヨーク・フィルとの演奏はもっときびきびしています。演奏時間も短い筈です。第2楽章だけはこのニューヨーク・フィルともテンポを落とし、音量も小さくして、極めて美しい演奏をしています。これは誰にも真似できないワルターの至芸です。



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       ジョナサン・ノット,  

リゲティ、R.シュトラウス、モーツァルトの極美の響き・・・ノット&東京交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2019.11.23

今日のノット&東響もウーンと唸らされる最高の演奏。そもそも、リゲティ、R.シュトラウス、モーツァルトと並べたプログラムが素晴らしいので、成功は最初から約束されていたようなものです。

どれも素晴らしかったのですが、特にリゲティはスペシャリストのノットならではの極上の演奏。《メロディーエン》はあたかも漆黒の闇を光の粒が飛び舞う様を思い浮かべるような未体験のオーケストラの響きに魅了されます。冒頭から、その光の粒はキラキラと飛び交い、いったん、上昇して、天頂に留まります。その後、地上に降り立って、魅惑の動きをした後、閃光がほとばしって、また、天頂に上り詰め、次第に消え去っていきます。リゲティ、畢生の名作をノットと東響は至高の演奏で魅惑してくれました。わずか13分ほどの曲ですが、美しい響きがぎゅっと凝縮されたような傑作の名演でした。

R.シュトラウスのオーボエ協奏曲は晩年の名作です。最後のオペラ《ダナエの愛》、《カプリッチョ》の残影のような誠実さと諦観に満ちた隠れた名曲です。今日の演奏は東響の誇るオーボエ奏者の荒 絵理子の見事な演奏、美しい響きがすべてです。とりわけ、第2楽章はまるで歌詞のないオペラのアリアを聴いているような気になりました。《ダナエの愛》の終盤のダナエのモノローグのようなアリア、《カプリッチョ》の終幕の伯爵令嬢のモノローグのアリアの世界です。きっと荒 絵理子も意識して演奏していたんでしょう。最高のR.シュトラウスを堪能しました。もちろん、ノット指揮の東響の伴奏も完璧でした。

後半のモーツァルトの交響曲 第41番「ジュピター」は前半と一転して、古典の音塊(字の誤りではありませんよ)がバンバン鳴り響きます。小気味よい演奏が心地よく感じられます。特に両端楽章が素晴らしい演奏で、これぞ現代のモーツァルト演奏の規範という感じでした。中間の2つの楽章は美しい響きにかえって集中力がそがれて、夢見心地・・・。終楽章の素晴らしいフーガに心奪われながら、ノットのモーツァルトを満喫しました。聴きようによっては、モーツァルトのオペラに通じるところもあるような演奏スタイルでしたし、ノットの指揮の姿の華麗さも見ものでした。特に指揮棒を持っていない左手の動きが素晴らしく、見事にオーケストラを操っていました。

ちなみに明日もR.シュトラウス、モーツァルトの2曲を聴きます。明日はさらにダブルヘッダーでバッハ・コレギウム・ジャパンの名人たちのブランデルブルク協奏曲全曲も聴きます。毎日、音楽三昧でこんなに人生が楽しくてよいものか・・・。

  指揮:ジョナサン・ノット
  オーボエ:荒 絵理子(東京交響楽団首席奏者)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  リゲティ:管弦楽のためのメロディーエン
  R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調

   《休憩》

  モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のリゲティの管弦楽のためのメロディーエンを予習したCDは以下です。

 ジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団 2018年6月 ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール セッション録音
 
これは同曲の決定盤でしょう。リゲティの譜面を精緻に読み込んだノットの指揮が光ります。これを上回る演奏があるとすれば、ノット&東響の演奏のみ。


2曲目のR.シュトラウスのオーボエ協奏曲を予習したCDは以下です。

 ローター・コッホ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1969年9月、ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音

ローター・コッホの安定した演奏とその表現力が見事です。R.シュトラウスを得意とするカラヤンも晩年のシュトラウスの穏やかな諦念を美しく表現します。素晴らしい演奏です。この曲でここまでの演奏は初めて聴きました。名曲ですね。もっと、これからよい演奏が現れることを念願します。


3曲目のモーツァルトの交響曲 第41番「ジュピター」を予習したCDは以下です。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1963年10月11日&25日、クリーヴランド、セヴェランス・ホール
 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団 1985年5月10日、ヘラクレスザール ライヴ
 ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル 1956年3月5日 ニューヨーク、30th Street Studio モノラルのセッション録音

セルの引き締まった素晴らしい響きの演奏はまさに決定盤。クーベリックは意外にゆったりした正攻法の演奏で味わい深いものがあえいます。しかし、モーツァルトと言えば、ワルター。saraiが子供の頃から聴いてきたのはコロンビア交響曲とのステレオ録音。これは耳に焼き付いていますから、予習の必要はありません。ニューヨーク・フィルとの演奏はもっときびきびしています。演奏時間も短い筈です。第2楽章だけはこのニューヨーク・フィルともテンポを落とし、音量も小さくして、極めて美しい演奏をしています。これは誰にも真似できないワルターの至芸です。



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       ジョナサン・ノット,  

なんというマーラー、ノットでしかなしえないマーラー!・・・ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2019.11.16

マーラーの交響曲では最も難解な作品(saraiにとってですが)がこのこの交響曲第7番。自分によく言い聞かせるようにしてコンサートに望みました。①ほかの交響曲のように愛と死の人間ドラマがあるわけではないので、主観的にのめりこむような聴き方をしないで、少し距離を置いて、客観的な聴き方をすること、②ヴェルター湖、マイヤーニックの作曲小屋の自然がたっぷりと描き出されているので、あの風景をイメージしながら聴くこと、③いつにもまして、集中力を切らさずに聴き続けること・・・の3点です。ところが、こういうsaraiの思いを嘲笑うかのようなノットの素晴らしい指揮でした。CDで予習したバンベルク交響楽団の演奏からは飛躍的な進化を遂げていました。第1楽章の冒頭の付点のリズムの弦楽パートに続いて、明快な金管のメロディー。そうです。実に明快な演奏でした。どこにも難解さの影すらありません。自然描写とか、そんなことは気にせずに、ただ、美しい音楽に耳を傾けるのみ。新ヴィーン学派やリゲティなどのポストモダンの音楽を得意にするノットにとって、このマーラーの第7番はうってつけなのかもしれません。決してマーラー指揮者とは思えないノットですが(saraiが勝手にそう思っているだけで、もちろん、悪い意味ではありません)、マーラーの第7番に関してはまさにスペシャリストとしてうってつけかもしれません。長大な第1楽章は終始素晴らしい演奏。傷がないわけではありませんが、細部まで磨き上げられた表現にすっかり魅惑されました。それにジョナサン・ノットの指揮姿の美しいこと。マーラーの音楽がノットのダンスのような美しい指揮のバックグラウンドミュージックのように響きます。初めて、この第7番の素晴らしさを知りました。第2楽章以降も最高の演奏が続きます。よく題名に使われる《夜の歌》がいかに相応しくないかを思い知らされるような演奏です。最後の第5楽章に至ると、もう思いっ切りの演奏。分裂症気味の表現が炸裂します。あれっ、こんな凄い曲だったっけ・・・。興奮しながら、フィナーレの大爆発を迎えます。鐘やカウベルが満を持して、打ち鳴らされながら、途轍もない大音響。それがピタッと止まって終了。早過ぎる拍手はサントリーホールのマナーに反するものです。少しでもいいから静寂がほしかったところですが、素晴らしかった演奏に免じて、許しましょう。ジョナサン・ノットは在任中にマーラーの全交響曲を演奏すると言っているそうです。楽しみですが、saraiがこれまでに聴いたのは第10番のアダージョのみ。交響曲第2,3,8,9番は既に演奏されたそうです。残念! 聴き逃がしました。交響曲第2,3,8,9番はすべて大物揃いですね。再演をお願いしたいです!!! 来シーズンは第5番が聴けそうです。あとは第1番と第6番ですね。うーん、第3番と第9番は是非、聴きたい!(しつこい)

前半のベルクの管弦楽のための3つの小品はノットの優雅な指揮が印象的。ベルクのあのねっとりした雰囲気は希薄で、ノットが音を整理するとこんなすっきりした音響になるのねって感じです。新ヴィーン学派の音楽を得意にするノットの手にかかると、ベルクも見通しのよい音楽に変身します。それでも後半のマーラーと比較すると、やはり、ベルクの音楽は前衛的に思えます。いいものを聴かせてもらいました。こうなると、《ルル》組曲も聴きたくなりますね。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  ベルク:管弦楽のための3つの小品 op.6

   《休憩》

  マーラー:交響曲 第7番 ホ短調 「夜の歌」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベルクの管弦楽のための3つの小品を予習したCDは以下です。

 クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィル 1992年4月、ウィーン セッション録音
 
ベルクらしく、ウィーンのねっとりとした雰囲気がむんむんという感じの好演。


2曲目のマーラーの交響曲 第7番を予習したCDは以下です。

 ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団 2011年7月11-15日、バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール セッション録音

ノットは当時、音楽監督をしていたバンベルク交響楽団とマーラーの交響曲全集を完成させています。第5番から始まった録音は最後にこの第7番が録音されました。この演奏では抑制された表現ながら、丁寧な仕上げが目立ちます。もう少し、自分の個性を出したらいいのにと現在のノットを知っている者としては思ってしまいますが、好演であることは間違いありません。



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       ジョナサン・ノット,  

ジョナサン・ノット&東京交響楽団、2度目の《グレの歌》はさらに素晴らしい出来!@サントリーホール 2019.10.6

昨日のジョナサン・ノットの《グレの歌》は凄かったわけですが、今日は2度目なので、ある程度、予測しながら、じっくりと聴くことができます。ジョナサン・ノットを始めとしたキャストも昨日の演奏を下敷きにして、さらなる上を目指した演奏で、saraiを魅了してくれるでしょう。そう期待しながら、今日の演奏に臨みました。
で、実際のところ、今日の演奏は究極の《グレの歌》でした。これ以上の演奏はあり得ないでしょう。大満足以上です。

第1部では、冒頭のオーケストラの澄み切った響きで《グレの歌》の世界に一瞬のうちに吸い寄せられます。コンサートホールが森の自然に瞬間移動したかのように感じます。何という美しい響きなのでしょう。まだ、東響の素晴らしい弦楽セクションが未稼働状態なのに木管セクションだけで見事な響きを聴かせてくれます。そして、満を持した弦楽セクションが演奏を開始。オーケストラサウンドの究極を思わせる素晴らしい音楽が綴られていきます。そして、今日もトーヴェ役のドロテア・レシュマンは好調。その美声は昨日以上の素晴らしさ。しかし、その美声以上に魂の込められた音楽表現が素晴らしくて、強い感動を受けます。トルステン・ケールも「不思議なトーヴェ」のリリックな歌唱で魅了してくれます。愛を語りあう二人の歌唱が終了し、山鳩を歌うオッカ・フォン・デア・ダムラウが登場。その堂々たる体躯を活かして、微動だにしない姿勢で深い響きの超絶的に美しい歌唱を展開。いやはや、素晴らしい! 久々にこんな凄いメゾ・ソプラノを聴きました。昨日以上の凄い山鳩の歌です。音楽表現も素晴らしいのですが、それ以前にこの美しい声の響きを聴いているだけで魅了されます。柔らかくて、深々とした響きです。こういう声質のメゾ・ソプラノは昔、聴いた覚えがあります。記憶の底を探ると、思い出しました。オリガ・ボロディナです。彼女もその美声を聴いているだけで心地よいメゾ・ソプラノでした。不意にオッカ・フォン・デア・ダムラウの歌うエボリ公女を聴きたくなります。いかん、いかん、今はこの山鳩の歌に集中しましょう。圧巻の歌唱でした。最後は感動というよりも背中に悪寒が走るほどの興奮が沸き起こりました。
3人の独唱者と東響の最高の演奏で第1部は昨日以上の素晴らしさ。すべてをまとめ上げたジョナサン・ノットが神のように思えます。ここで休憩。休憩中も高揚感は収まりません。それはほかの聴衆のかたたちも同じで第2部、第3部への期待感が高まる一方です。
  
第2部も東響の素晴らしい響きで幕を開けます。そして、すぐに第3部に入ります。トルステン・ケールの歌唱も次第に熱を帯びて、ヘルデンテノールの本領を発揮します。次いで、農夫役のアルベルト・ドーメンはその実力通りの歌唱。これだけを歌わせるのはもったいないくらい。ワーグナーの楽劇でのヴォータンやアルベリッヒの名唱を思い出します。もっとも以前、ウィーンで《グレの歌》を聴いたときもこのドーメンが素晴らしい農夫を歌いました。現在、彼以上にこの農夫役を歌える人は思いつきません。まったく贅沢なキャストではあります。そして、いよいよ、毎回、素晴らしい合唱を聴かせてくれる東響コーラスが立ち上がります。今日もその大人数での迫力ある合唱を聴かせてくれます。今日は特に高音域での男声合唱が見事な響きでした。道化師クラウス役のノルベルト・エルンストはその張りのある個性的な歌唱が見事です。これまでは、R.シュトラウスのオペラでしか聴いたことがありませんが、このシェーンベルクの《グレの歌》でも、はまり役ですね。第3部の終盤の夏風の荒々しい狩(Des Sommerwindes wilde Jagd)では、さらに語り役のサー・トーマス・アレンが登場。練達の声を聴かせてくれます。何という豪華なキャストでしょう。ウィーンでも、ここまでのキャストは揃わないでしょう。ジョナサン・ノット&東響も昨日以上の精度の演奏を聴かせてくれて、東響コーラスの大合唱と一緒にフィナーレの感動的な盛り上がり。

こんな《グレの歌》はもう生涯聴くことができないほどの素晴らしさでした。今年、4回目の《グレの歌》でしたが、ジョナサン・ノットは流石の音楽作り。指揮もキャスティングも最高でした。昨日と今日、録音していたようですが、CD化されたら、史上最高の《グレの歌》になること間違いなしです。こんな最高の《グレの歌》を2日間、かぶりつきで聴けた幸せはなにものにも代えがたいものです。9月のヨーロッパ遠征でのクルレンツィスのダ・ポンテ三部作にも匹敵する素晴らしさでした。

ますます、ジョナサン・ノットにのめり込みそうです。来シーズンの目玉は楽劇《トリスタンとイゾルデ》ですが、むしろ、一緒に演奏されるシェーンベルクの交響詩《ペレアスとメリザンド》に期待が高まります。きっと、精度の高い超美しい演奏を聴かせてくれそうな予感がします。


今日のプログラムは以下です(昨日と同じ)。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ヴァルデマール:トルステン・ケール
  トーヴェ:ドロテア・レシュマン
  山鳩:オッカ・フォン・デア・ダムラウ
  農夫:アルベルト・ドーメン
  道化師クラウス:ノルベルト・エルンスト
  語り:サー・トーマス・アレン
  合唱:東響コーラス
  合唱指揮:冨平恭平
  管弦楽:東京交響楽団

  シェーンベルク「グレの歌」 (第1部の後で休憩)


演奏後の会場の盛り上がりは凄まじく、オーケストラ退席後もお馴染みの指揮者コール。ジョナサン・ノットを始め、歌手陣の一人一人ともsaraiは熱い握手を交わすことができました。かぶりつきの席の特権ですよ。



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Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico
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