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フェスタサマーミューザKAWASAKI2022 開幕! ジョナサン・ノット&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2022.7.23

今日のコンサートはフェスタサマーミューザKAWASAKI2022のオープニングコンサートです。去年に引き続き、ジョナサン・ノットが来日して東響を振ります。悪夢のようなコロナ禍はまだ終わっていませんが、音楽コンサートは正常化しています。ジョナサン・ノット&東響はコアなファンには聴き逃がせません。

開幕のファンファーレに続いて、今年も滅多に聴けない曲の演奏のオンパレードです。

クルタークのシュテファンの墓はギターが弾くメロディをほかの楽器が弾き継ぐという構成。ノットが室内楽的に精密な指揮をします。ノットの現代音楽の演奏は確信に満ちた高水準のもので、実に聴く者も勉強になります。ノットのリゲティは定評がありますが、同じくハンガリーの作曲家のクルタークの演奏も見事です。精密で静謐な演奏に感銘を受けました。

次はシェーンフィールドの4つのパラブルです。ポール・シェーンフィールドは1947年生まれのアメリカ人作曲家で、クラシック、ポピュラー、フォークの音楽様式を組み合わせた作品で知られているようです。ただ、何故、ここでこのほぼ無名の作曲家の作品を取り上げたのか、不思議に思っていましたが、後で調べてみると、ノットとDresdner Sinfonikerは1998年にこの曲のヨーロッパ初演をしていました。ノットにはゆかりの作品だったのですね。今日の演奏ではノットの素晴らしい指揮のもと、東響が見事な演奏。そして、ピアノの中野翔太が思いっ切りのよい凄まじい演奏を聴かせてくれました。ジャズののりが印象的な作品です。

後半はドビュッシーの第1狂詩曲で始まります。パリのコンセルヴァトワールで腕を磨いた東響のクラリネット首席奏者の𠮷野亜希菜のさりげない演奏でドビュッシーの作品が見事に表現されました。もちろん、今年の5月に牧神の午後への前奏曲で繊細で素晴らしい演奏を聴かせてくれたノットはここでもドビュッシーの音楽を丁寧に磨き上げた演奏でうっとりとさせてくれます。ノットのフランス音楽の素晴らしさに感嘆します。

続いて、ストラヴィンスキーの3曲。2曲はストラヴィンスキーがアメリカに渡った後に作曲したもの。タンゴやジャズというストラヴィンスキーには珍しい作品をノットはマニアックに演奏します。こういうストラヴィンスキーもあるのだという啓蒙的とも言える演奏です。逆に3曲目はストラヴィンスキーがロシアにいるときの初期の作品で印象派的な作風です。ストラヴィンスキーの色々な顔を紹介してくれたようです。演奏はノットらしく、東響のアンサンブルを見事にドライブしたもので、その細部に渡る精密さには頭が下がります。

最後はラヴェルのラ・ヴァルス。最後は有名な作品でしめくくってくれます。フランス風のエスプリでのウィンナーワルツが気品高く演奏されます。ノットの指揮姿も美しいです。音楽が高潮して、圧巻のフィナーレ。

ジョナサン・ノットの知的なアプローチがふんだんに聴けたコンサートでした。このところ、ジョナサン・ノットの頻繁な来日が続いています。今度は10月、11月、12月と続けての来日です。どのコンサートも聴き逃がせませんが、とりわけ、11月のサロメが楽しみです。3年続きのR.シュトラウスの楽劇のコンサート形式上演の第1弾です。来年はエレクトラかなと想像しています。最後はナクソス島のアリアドネで締めかな。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ギター:鈴木大介
  ピアノ:中野翔太
  クラリネット:𠮷野亜希菜
  クラリネット:谷口英治
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレグ・ニキティン

  三澤 慶:「音楽のまちのファンファーレ」~フェスタ サマーミューザ KAWASAKIに寄せて
  クルターク:シュテファンの墓
  シェーンフィールド:4つのパラブル Four Parables for Piano & Orchestra
   第1曲RamblingTilltheButcherCutsUsDown《我々を殺すまで肉屋はぶらつく》
   第2曲Senility'sRide《老衰という乗り物》
   第3曲Elegy《哀歌》
   第4曲DogHeaven《犬の天国》

   《休憩》

  ドビュッシー:第1狂詩曲
  ストラヴィンスキー:タンゴ
  ストラヴィンスキー:エボニー協奏曲
  ストラヴィンスキー:花火
  ラヴェル:ラ・ヴァルス


最後に予習について、まとめておきます。

2曲目のクルタークのシュテファンの墓を予習したCDは以下です。

 エリオット・シンプソン(ギター)、ラインハルト・デ・レーウ指揮アスコ/シェーンベルク・アンサンブル 2013年3月−2016年7月、アムステルダム、ハーレム セッション録音

ルーマニア生まれのハンガリーの作曲家、ジェルジ・クルタークの合唱とアンサンブルの為の作品を全て収録した3枚組のアルバムです。指揮のデ・レーウは、約20年の歳月をかけ、1つ1つクルターク夫妻の助言を得ながらクルタークの全作品を丁寧に勉強していったそうで、その成果がここに凝縮されています。貴重な録音です。


3曲目のシェーンフィールドの4つのパラブルを予習したCDは以下です。

 ジェフリー・カハーン(p)、ジョン・ネルソン指揮 ニュー・ワールド・シンフォニー 1992年9月 セッション録音

カハーンのピアノが素晴らしいです。国内盤は既に廃盤になっているのが残念です。このCDはこの曲の世界初録音のようです。


4曲目のドビュッシーの第1狂詩曲を予習したCDは以下です。

 ギイ・ダンカン(cl)、ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団 1973-1974年、パリ、サル・ワグラム セッション録音

マルティノンによるドビュッシー管弦楽曲全集(4CD)の中に含まれる演奏です。フランス的なエスプリに満ちた演奏です。


5曲目のストラヴィンスキーのタンゴを予習したCDは以下です。

 アンタル・ドラティ指揮ロンドン交響楽団 1964年7月 セッション録音

安定した演奏。


6曲目のストラヴィンスキーのエボニー協奏曲を予習したCDは以下です。

 ベニー・グッドマン(cl), ストラヴィンスキー指揮コロンビア・ジャズ・コンボ 1965年4月27日、ハリウッド セッション録音

希代のクラリネット奏者ベニー・グッドマンが作曲家自身の指揮するハリウッドの腕利きのジャズ・プレーヤーたちと演奏した夢のような録音。実に素晴らしい演奏です。


7曲目のストラヴィンスキーの花火を予習したCDは以下です。

 アンタル・ドラティ指揮ロンドン交響楽団 1964年6月 セッション録音

これも安定した美しい演奏。


8曲目のラヴェルのラ・ヴァルスを予習したCDは以下です。

 シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団 1955年12月5日、ボストン、シンフォニー・ホール セッション録音

1955年の録音ですが、れっきとしたステレオ録音。既に1952年に録音していたにも関わらず、再録音したのはモノラル録音をステレオ録音にすることでした。音質も素晴らしく、ミュンシュのラヴェルが聴ける喜びに浸ります。



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       ジョナサン・ノット,  

ユリア・クライターの濃厚なロマンに満ちた魅惑のベルク歌曲 マーラー5番も終盤の圧巻の盛り上がり ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.7.16

また、ジョナサン・ノットが東響の指揮台に戻ってきました。やはり、この場が似合いますね。

まずは、ラヴェルの海原の小舟です。うーん、素晴らしい音楽表現です。春の海が朝日に輝いています。時折、波が高くなります。ノットの指揮の下、東響のアンサンブルも見事です。聴き応え十分でした。

次はソプラノのユリア・クライターが登場。彼女を日本で聴くのは初めてです。ヨーロッパでは、モーツァルトのオペラで2度聴きましたが、まさにモーツァルト歌いという美しい歌唱を聴かせてもらいました。フランダース・オペラでのフィガロの伯爵夫人とザルツブルグ音楽祭でのコジ・ファン・トゥッテのフィオルディリージでの凛とした歌唱でした。
で、今日の歌唱ですが、モーツァルト歌いだと確信していたユリア・クライターがベルクの歌曲をどう歌うのかというのが想像できませんでした。それがとっても素晴らしかったんです。濃密なロマンに満ちた憂いを含む歌唱にすっかり魅了されました。ベルクの若い頃の歌曲なので、無調めいた雰囲気よりも後期ロマン派、まるでR.シュトラウスの歌曲を聴いているような感じです。7曲とも何と言う魅惑に満ちた歌唱なんでしょう。ノットのサポートももちろん、万全です。久々に素晴らしい歌曲を聴きました。ユリア・クライターの歌うR.シュトラウスの4つの最後の歌を聴いてみたい!

後半は満を持して、ノットがマーラーの交響曲第5番を演奏します。東響のメンバーも入れ込んでいる雰囲気です。珍しくダブルコンマスです。第1楽章は意外にあっさりとした演奏ですが、精緻な演奏で惹き付けられます。第2楽章は嵐が吹き荒れるような凄まじい演奏。第3楽章はちょっと落ち着いて、一休み。第4楽章は有名なアダージェット。マーラーのアルマへの愛の告白ですね。とても美しい演奏にうっとり。演奏のギアーが上がってきます。そして、第5楽章は最高の演奏でした。ノットが東響のメンバーをインスパイして、物凄い演奏です。音楽が高潮して、圧巻のフィナーレ。尻上がりの素晴らしい演奏でした。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:ユリア・クライター
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃(ダブルコンマス 小林壱成)

  ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)-鏡より
  ベルク:七つの初期の歌

  《休憩》

  マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラヴェルの海原の小舟を予習したCDは以下です。

  アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1962年9月, 10月 セッション録音

一幅のパステル画を眺めるような美しい演奏です。


2曲目のベルクの七つの初期の歌を予習したCDは以下です。

  アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団  1993年4月、ウィーン楽友協会グローサーザール セッション録音

いやはや。フォン・オッターの歌が素晴らしい。ただただ、彼女の歌唱に魅了されました。


3曲目のマーラーの交響曲 第5番を予習したCDは以下です。

  ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団  2003年9月15-19日 バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール セッション録音

これがノットのマーラーなのねって感じです。ユダヤ人的な粘りはまったくなくて、あっさりめですが、精緻な演奏が後半に向かって盛り上がっていきます。



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       ジョナサン・ノット,  

凄いとしか形容できないウォルトンのベルシャザールの饗宴 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.5.21

15日連続コンサートの2日目はダブルヘッダー。新国のオペラに続いて、サントリーホールに移動して、ジョナサン・ノット&東京交響楽団の期待のコンサート。疲れますね。なお、今日一つ目のオペラの記事は以下のリンクをクリックして読んでください。ここでは2つ目のコンサートの記事を書きます。

https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4366.html

しかし、これが凄かった!! 大オーケストラ、大合唱団を駆使してのジョナサン・ノット渾身の指揮で日本では滅多に聴けないウォルトンのベルシャザールの饗宴です。今年の目玉公演のひとつですね。演奏時間は30分ほどですが、サントリーホールのステージ後方の客席3面に配置した東響コーラスの大合唱団がコロナのうっぷんを晴らすような壮大な合唱を聴かせてくれます。大編成の東響のオーケストラと2組のバンダ(トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)と大合唱団をジョナサン・ノットが八面六臂の活躍で見事にドライブ。その大音響は凄いとしか言えません。ただただ、圧倒されました。音楽的な迫力も凄く、ひれ伏して聴き入るのみでした。CDでの予習も何の役にも立ちません。こんな凄い音響が再現できるオーディオなんてありっこないですからね。バリトンのジェームズ・アトキンソンはその恵まれた体格にものいわせて、強烈な歌唱。日本人歌手には絶対真似できないでしょう。東響コーラスの指揮は冨平恭平。さっき、新国のオペラの合唱指揮で聴いたばかり。大活躍ですね。
音楽はユダヤ人を強制的にバビロニアへ連行したバビロン捕囚、旧約聖書のバビロニア王ベルシャザールの謳歌した享楽と繁栄、そして、神の裁きによるバビロニアの崩壊とユダヤ人の解放が実にダイナミックに表現されています。それをジョナサン・ノットがこれまで積み上げてきたものを一挙に駆使して、究極の音楽に盛り上げました。正直に言うと、saraiはその音圧に負けて、ほとんど、音楽を理解するレベルに達しませんでした。まあ、そんなこともあってもいいでしょう。ただただ、凄かったのですからね。終演後の会場の盛り上がりは凄いものでした。本来なら、ブラボーの嵐だったでしょう。

前半のプログラムも素晴らしかったんです。最初のR.シュトラウスのドン・ファンは冒頭から、ジョナサン・ノットの自在な指揮に東響のメンバーがぴったりと反応して、実に有機的な演奏を繰り広げます。高度なレベルのオーケストラのアンサンブルに高揚していきます。この1曲だけでも、十分に今日のコンサートは満足でした。ところで今日もオーボエの荒木奏美の演奏にうっとりと聴き惚れます。オーボエはオーケストラの肝ですね。
続くショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番はペーター・ヤブロンスキーの豪快なピアノに聴き惚れました。そう言えば、彼のピアノは初聴きかもしれません。ノリのよいリズム感の演奏、強烈なタッチのピアノの響きは圧倒的です。東響の弦楽アンサンブルも最高の演奏です。ショスタコーヴィチの若き日の新古典主義的なノリのよい音楽、そして、軽いユーモアを100パーセント、表現した見事な演奏でした。
ところで、ヤブロンスキーのアンコール曲、ポーランドの女流作曲家グラジナ・バツェヴィチの作品です。1週間ほど前にヴァイオリンのバーエワがアンコール曲に弾いたポーランド奇想曲もグラジナ・バツェヴィチの作品でした。最近、流行っているのでしょうか。saraiは初めて、この作曲家の名前を知ったばかりです。

やはり、ジョナサン・ノットと東響のコンビは素晴らしい! 次は7月にマーラーの交響曲第5番です。楽しみです。11月のサロメ(演奏会形式)はもっと楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:ペーター・ヤブロンスキー
  トランペット:澤田真人(東京交響楽団首席奏者)
  バリトン:ジェームズ・アトキンソン
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  R.シュトラウス:ドン・ファン Op.20
  ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 Op.35
  《アンコール》グラジナ・バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番 第3楽章トッカータ

  《休憩》

  ウォルトン:ベルシャザールの饗宴


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR.シュトラウスのドン・ファンを予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1954年3月2日 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

このドン・ファンが大変な名作であることをまざまざと実感させてくれる凄い演奏です。音質も素晴らしいです。


2曲目のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を予習したCDは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノと指揮)、トビアス・ヴィルナー(トランペット)、クレメラータ・バルティカ 2014年 ドイツ、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学ホール ライヴ録音

ヴィニツカヤの豪快で繊細さも兼ね備えた素晴らしい演奏です。


3曲目のウォルトンのベルシャザールの饗宴を予習したCDは以下です。

  サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、ピーター・コールマン=ライト(Br)、ロンドン交響合唱団 2008年9月28&30日 ロンドン、バービカンホール ライヴ録音

初演したロンドン交響楽団の演奏。指揮はイギリス音楽のスペシャリストのサー・コリン・デイヴィス。悪かろう筈がありません。合唱がとりわけ、素晴らしいです。



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       ジョナサン・ノット,  

ジョナサン・ノットが振ると、東響は音楽の高みに飛翔@東京オペラシティコンサートホール 2022.5.14

やはり、ノットが振ると、東響は数段のレベルアップ。ほぼ半年ぶりに聴くコンビですが、その素晴らしさに酔ってしまいます。最高に素晴らしかったのは冒頭に演奏したドビュッシーの牧神の午後への前奏曲。以前聴いたロト&レ・シエクルも素晴らしかったですが、今日のノット&東響の演奏に軍配が上がります。実に繊細で詩的な表現に耽溺してしまいます。時として退屈になる曲ですが、今日は終始、その魅力に溺れてしまいました。木管も素晴らしく、特にオーボエの荒木奏美の見事な演奏にほれぼれ。弦楽アンサンブルはいつも以上に素晴らしい響きです。ノットの指揮はそんなに鼓舞する感じではありませんが、よほど入念にリハーサルをやったんでしょう。実に細部まで磨き上げられた演奏でした。ノットのフランス音楽がこんなに素晴らしいとは予想していなかったので、嬉しい驚きでした。
次のデュサパンのオルガンとオーケストラの為の二重奏曲「WAVES」はこれが日本初演。デュサパン自体、これまで聴いたのは弦楽四重奏曲を1曲だけ。何やら凄い演奏でしたが、感想を書くレベルにありません。東響の音響は素晴らしかったですし、ノットの指揮の的確さも分かったという程度です。

後半はブラームスの交響曲 第3番。オーソドックスできっちりした演奏が続きます。音の響きは次第に純化されていき、有名な第3楽章は美しい響きの演奏にうっとりします。第4楽章のティンパニの一撃の後、劇的に演奏が高潮していきます。ノットの指揮でオーケストラが有機的に一体化して、ゾーンに入ったような熱い演奏になります。これぞ、ブラームスという音楽が展開されていきます。忘我の境地で聴き入っているうちに曲は静かに閉じます。最後は素晴らしいブラームスになって、大いに感銘を覚えました。

今日は大きな拍手の中、突然、アンコール曲が始まります。驚きながら聴くと、どうやら、マーラーです。それも花の章。とびっきり美しい演奏です。ここでもオーボエの荒木奏美の見事な演奏にうっとり。最後は弦の消え入るような響きで素晴らしい終わり。それにしても、何故、マーラーのアンコールがあったんでしょう。謎です。


今日のプログラムは以下のとおりです。


  指揮:ジョナサン・ノット
  オルガン:大木麻理
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
  デュサパン:オルガンとオーケストラの為の二重奏曲「WAVES」(日本初演)

  《休憩》

  ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90
  
  《アンコール》
   マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」から、「花の章」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドビュッシーの牧神の午後への前奏曲を予習したCDは以下です。

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2018年1月、フィルハーモニー・ド・パリ セッション録音

このコンビの演奏は来日公演でも聴いていますが、これはその半年前の録音だそうです。これ以上の演奏はないかもしれません。


2曲目のデュサパンのオルガンとオーケストラの為の二重奏曲「WAVES」は予習できず。初演して2年の作品ですからね。


3曲目のブラームスの交響曲 第3番を予習したCDは以下です。

  クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィル 1983年4月7日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール ライヴ録音

たまには聴いたことのない演奏を聴いてみようと思い、カール・シューリヒト指揮南西ドイツ放送交響楽団にするか、迷った挙句にこれを選択。ベストの演奏とは言いませんが、なかなかいい演奏でした。



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       ジョナサン・ノット,  

ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九は自由を希求する翼の飛翔@サントリーホール 2021.12.29

ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九を聴くのは今年で3年目になります。遂にノットもこの第九を完璧に己のものとし、奇跡のような最高の演奏を聴かせてくれました。正直、これまでの2年はどこかにノットならば、もっとやれるだろうと言う気持ちが残っていましたが、今年は完全に満足しました。第1楽章から、ノットの素晴らしい指揮姿から目が離せません。そのアーティキュレーションの見事さに、感銘を受け続けます。とりわけ、アゴーギクの微妙さが驚異的です。その結果、オーケストラへの要求水準が高過ぎますが、東響のメンバーが必死にくらいついて、次第に熱い演奏に高まっていきます。ノットと東響のこういう関係がとても好ましく感じられます。ノットと東響はこうして切磋琢磨して成長してきました。コロナ禍で一時、そういう成長過程に乱れを感じることもありましたが、今日の演奏は再び、コロナ前の演奏、いや、それ以上のものになっています。

第1楽章の冒頭から素晴らしい演奏が続き、saraiはもう感動の中にいます。冒頭のカオスの中から実在が出現するようなフレーズが途中、何度も繰り返し現れますが、そのたびに音楽の質が向上して、感銘の度合いが高まります。息もできない緊張感の中、圧巻の演奏で第1楽章は終わります。いつもは聴き流すようにほっと息をつく第2楽章ですが、実に素晴らしい響きの音楽が鳴り響きます。とりわけ、トリオの部分の音楽的な精度の高さに魅了されます。弦の素晴らしさはもちろんですが、管の素晴らしいこと。音楽に聴き惚れているうちに第2楽章もすーっと終わります。ここで声楽陣の入場。その間、一休みです。独唱4人もここで一緒に入場します。オーケストラのメンバーも何人か加わります。打楽器奏者でしょうか。
第3楽章が始まります。音楽的にとても美しい演奏です。ノットの解釈は万全です。これ以上の演奏は現時点では望むべくもありませんが、ここまでの音楽を聴かされると、フルトヴェングラーとつい比較をしてしまいます。フルトヴェングラーはこの上に哲学的な瞑想とも思える至高の演奏を聴かせてくれます。ノットがいつの日か、音楽を超えたレベルの演奏を聴かせてくれることを期待したくなります。
第3楽章が終わると、間を置かずに恐怖のファンファーレで熱い音楽の幕開けです。器楽による“歌”が奏でられて、歓喜の歌も終焉すると、声楽が加わります。独唱陣のスケール感、パワーがこぶりですが、新国立劇場合唱団の合唱は圧倒的です。とりわけ、2重フーガでの力強い男声合唱と清らかな女性合唱の交錯には目頭が熱くなります。「歓喜」を歌う"Freude, schöner Götterfunken" と「抱擁」を歌う "Seid umschlungen, Millionen!"の二重フーガの素晴らしさには身震いします。このあたりからは音楽は高潮し続けて、saraiの頭は真っ白になります。そして、再び、独唱陣が立ち上がり、最後の4重唱がフーガ風の最高の歌唱を聴かせてくれます。今度は独唱陣は渾身の力をふりしぼり、満足できる歌唱を聴かせてくれます。最後のフェルマータの美しい響きが素晴らしくて、感銘を覚えます。その残影の後、物凄い合唱が燃え上がり、音楽は最高峰に上り詰めます。そして、圧倒的な東響の力が火の玉のように燃え上がって、爆発的なコーダに突入。圧巻のフィナーレでした。もう、何も言うことはできません。ベートーヴェンの特別な音楽をノットと東響、そして、新国立劇場合唱団が極上の演奏で聴かせてくれました。それはベートーヴェンの自由を希求する魂が現代によみがえって、音楽の翼によって飛翔する様のようにも思えました。

これを持って、今年のsaraiのコンサートは終わりになりますが、まさにそれにふさわしい最高のコンサートでした。これで今年はジョナサン・ノット&東京交響楽団のコンサートは10回も聴けました。いずれも素晴らしい演奏でした。そして、このコンサートが今年、saraiが聴いた121回目のコンサートです。


おっと、今年のシメはまだ、大晦日のジルヴェスターコンサートが残っていました・・・。もう一度、東響が聴けます。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:盛田麻央
  メゾソプラノ:金子美香
  テノール:小原啓楼
  バリトン:甲斐栄次郎
  合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:河原哲也)
  管弦楽:東京交響楽団(コンサートマスター:グレブ・ニキティン(水谷晃も加わり、ダブルコンマス))

  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125

  《アンコール》 蛍の光 AULD LANG SYNE(スコットランド民謡)


最後に予習について、まとめておきます。

ベートーヴェンの交響曲 第9番を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、ルツェルン音楽祭合唱団
   エリーザベト・シュヴァルツコプフ、エルザ・カヴェルティ、エルンスト・ヘフリガー、オットー・エーデルマン
    1954年8月22日 ルツェルン音楽祭 ライヴ録音

auditeから出たハイレゾ録音で聴きました。フルトヴェングラーが指揮した最後の第9です。フルトヴェングラーの第9はどの録音も最高の演奏ですが、この録音は音質も申し分がなく、saraiの最も愛する演奏です。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん
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