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フェスタサマーミューザKAWASAKI2021 開幕! ジョナサン・ノット&東京交響楽団の圧倒的に凄い演奏!!@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.7.22

今日のコンサートはフェスタサマーミューザKAWASAKI2021のオープニングコンサートです。去年と違って、今年は例年通り、ジョナサン・ノットが来日して東響を振ります。聴き逃がせません。
そして、期待通りの演奏を聴かせてくれました。

開幕のファンファーレ、ラヴェルの《夜のガスパール》の管弦楽版という珍しい演奏が続いて、前半の最後はノット、得意の現代音楽。ヴァレーズのアルカナです。これは大編成のオーケストラを見事にドライブした凄い演奏。この曲は耳慣れない音響を味わうものです。これまでの正統的なクラシック音楽では聴いたことのないオーケストラの音響が炸裂します。音楽の追求は様々な形があることを教えられます。日常ではありえないような音響をオーケストラを用いて、実体験させてくれて、己の官能を磨き上げてくれるような新しい音楽の形です。ノットはその複雑極まりない音楽をいともたやすく、紡ぎあげてくれます。まったくもって、ノットのお陰で様々な現代音楽を分かりやすく教えられます。ヴァレーズの芸術の何たるかを知った思いです。予習したブーレーズのCD以上に分かりやすい演奏で極上の演奏でした。

後半はラヴェルのピアノ協奏曲で始まります。フランス音楽を得意とする萩原麻未のピアノです。彼女のピアニズムは完璧に思えます。とりわけ、超高速の演奏は切れも響きも最高です。緩徐的な演奏は若干、深みが欲しいところですが、全体に素晴らしい演奏でした。また、注目すべき日本人ピアニストが増えました。困ってしまうほど、多士済々です。ともあれ、最高級のラヴェルのピアノ協奏曲が聴けて、大満足です。

最後はお馴染みのガーシュウィンの《パリのアメリカ人》。うーん、これは凄いね!! ジョナサン・ノットは東響のアンサンブルを完璧に仕上げてきました。先日のR.シュトラウスのドン・キホーテも見事な演奏でしたが、まだ、以前(コロナ禍の前)のジョナサン・ノット&東響のレベルに及ばないと思っていましたが、今日の演奏でそれは払拭できました。鉄壁のアンサンブルで実に楽しい音楽を聴かせてくれました。こんなちょっとした曲でもジョナサン・ノット&東響が演奏すると、こうなるのねって、納得の演奏です。

ジョナサン・ノットの次の来日時の演奏が待ち遠しいですね。次はモーツァルトのレクイエムを聴けるんですね。うーん、楽しみ!!


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:萩原麻未
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレグ・ニキティン

  三澤 慶:「音楽のまちのファンファーレ」~フェスタ サマーミューザ KAWASAKIに寄せて
  ラヴェル(マリウス・コンスタン編):夜のガスパール(管弦楽版)
  ヴァレーズ:アルカナ

   《休憩》

  ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
  ガーシュウィン:パリのアメリカ人


最後に予習について、まとめておきます。

2曲目のラヴェルの《夜のガスパール》は管弦楽版の音源がないために、以下のピアノ版で予習しました。

 マルタ・アルゲリッチ 1978&79年 コンセルトヘボウ、アムステルダム ライヴ録音

冴えに冴えた演奏です。これを聴くと、ピアノ以外での演奏は考えられなくなります。


3曲目のヴァレーズのアルカナを予習したCDは以下です。

 ピエール・ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団 1995~1996年 シカゴ、オーケストラ・ホール セッション録音

ブーレーズがヴァレーズの作品をまとめて演奏したアルバムです。現代音楽をブーレーズがシカゴ響を指揮すれば、それはもう最強ですね。


4曲目のラヴェルのピアノ協奏曲を予習したCDは以下です。

 マルタ・アルゲリッチ、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団  1967年5月、6月 イエス・キリスト教会、ベルリン セッション録音

若きアルゲリッチがその天才ぶりを発揮した素晴らしい演奏です。


5曲目のガーシュウィンの《パリのアメリカ人》を予習したCDは以下です。

 マイケル・ティルソン・トーマス指揮ニューヨーク・フィルハーモニック  1974年 セッション録音

マイケル・ティルソン・トーマスは後に手兵のサンフランシスコ響とも再録音していますが、これは最初の録音。得意中の得意の曲だけに素晴らしい演奏を聴かせてくれます。



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       ジョナサン・ノット,  

極上のR.シュトラウス、交響詩「ドン・キホーテ」 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.7.18

昨日に続いて、同一のプログラムをサントリーホールからミューザ川崎シンフォニーホールに舞台を変えて、聴きます。そして、saraiの耳がおかしいのか、昨日とは打って変わった高いレベルの演奏に魅了されまくります。とりわけ、R.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」の素晴らしいこと。まずはジョナサン・ノットの指揮が素晴らしいのは昨日と同じように思えますが、その指揮にほぼ完璧に反応した東響のアンサンブルが見事です。もちろん、その中心は弦楽パートです。特に対向配置で両翼に配されたヴァイオリンの響きの美しいこと。そして、独奏チェロの伊藤文嗣の気魄あふれる演奏に魅了されます。独奏ヴィオラの青木篤子の負けていません。その明快な演奏にうっとりしました。登場場面は少ないもののオーボエの荒絵理子の美しい演奏にも聴き惚れました。
プログラムの解説で広瀬大介氏が指摘しているようにこの交響詩「ドン・キホーテ」は作曲時期が交響詩「英雄の生涯」と重なっていて、表裏一帯の関係にあります。交響詩「英雄の生涯」ではR.シュトラウスが自分自身を“英雄”になぞらえて、まさに自伝的な作品に仕立て上げていますが、この交響詩「ドン・キホーテ」ではアイロニーを込めて、自分自身を“ドン・キホーテ”になぞらえており、独奏チェロで自分自身の内面をさらけだしています。ある意味、この作品のほうがインティメットな内容になっていると思えますが、そのあたりの微妙な呼吸をジョナサン・ノットは完璧に表現していたと思います。より外面的な表現の多い交響詩「英雄の生涯」の陰に隠れたように交響詩「ドン・キホーテ」の演奏機会は決して多くはありませんが、その作品の素晴らしさをジョナサン・ノットのお陰で十分に味わうことができました。それにしても終曲の味わい深い表現には大変な感銘を受けました。既に晩年のR.シュトラウスと同等の諦念が感じられます。ジョナサン・ノットの指揮と伊藤文嗣の独奏チェロに深い共感を覚えました。
ただ1点だけ、課題を挙げるとすると、トゥッティでの響きがもう一つだったことです。管と弦の高次元での融合に向けて、ジョナサン・ノットと東響の不断の努力を期待しましょう。

後半のシベリウスの交響曲第5番もノットの指揮と東響のアンサンブルの美しさは昨日以上で北欧の自然を描き出しました。春の息吹を思わせる弦楽パートの細かい動きでありながら、静謐な表現の見事さ、そして、一気に緑が芽吹いたような晴れやかで祝祭的な表現の圧倒的な響きにただただ、耳を奪われました。とりわけ、第3楽章の終盤の高潮ぶりに心が高まりました。ジョナサン・ノットと東響のコンビでは、シベリウスの交響曲の中ではアンサンブル力が活かされる、この第5番が一番、相性がいいのかもしれないと感じました。

昨日のサントリーホールの演奏で若干、物足りなさを覚えた面が完全に払しょくされたコンサートに大満足です。次の木曜日のフェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2021のオープニングコンサートでは、万全な準備のもと、素晴らしい音楽が聴けることを楽しみにしています。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  チェロ:伊藤文嗣
  ヴィオラ:青木篤子
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 Op.35

  《休憩》

  シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 Op.82 〈1919年改訂版〉


最後に予習について、まとめておきます。(内容は前日ともちろん、同じです。)

1曲目のR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」を予習したCDは以下です。

  ピエール・フルニエ、ジュスト・カッポーネ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1965年 セッション録音
  ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ、ウルリヒ・コッホ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年1月3-8日 セッション録音

カラヤン、R.シュトラウスはさすがにいずれの盤も見事な演奏です。とりわけ、ロストロポーヴィチとの演奏は録音もよく際立った演奏に心躍ります。


2曲目のシベリウスの交響曲第5番を予習したCDは以下です。

  パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィル 1986年 セッション録音

パーヴォ・ベルグルンドの指揮はよいのですが、やはり、ヨーロッパ室内管(1996年録音/FINLANDIA盤)を指揮した演奏の澄み切った響きが忘れられません。



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       ジョナサン・ノット,  

R.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」、実に精妙な演奏・・・ ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2021.7.17

今回も無事、ジョナサン・ノットが来日できて、その指揮する演奏を聴けて、それだけで大変嬉しいです。関係者各位のご尽力に感謝するものです。

ジョナサン・ノットとR.シュトラウス、実に相性がいいですね。ノットの丁寧な指揮でR.シュトラウスの精妙な音楽が鮮やかに表現されます。ただ、少しだけ、ノットの指揮と東響の演奏にぎこちない感じが残るのはコロナ禍で両者の演奏が滞ってきたからでしょうか。以前の完璧な演奏が100%だとすると、今は70%から80%の感じでしょうか。今後、両者の緊密さが元通りになれば、100%以上の演奏も期待できます。何とか、コロナ禍に打ち克ってもらいたいものです。
ともあれ、チェロの伊藤文嗣もヴィオラの青木篤子もオーケストラと融けあって、それでいて美しい響きを醸し出して、上々の出来でした。R.シュトラウスの交響詩の後期作品の素晴らしさを感じ取れた演奏に満足しました。詳細については明日の川崎公演を聴いてから書きましょう。きっと今日以上の演奏になるでしょうからね。

後半のシベリウスの交響曲第5番もノットの丁寧な指揮と東響のアンサンブルの美しさで北欧の自然を描き出したシベリウスの音楽美を堪能しました。3楽章とも終盤の盛り上がりが見事でした。

今回のジョナサン・ノットの来日公演は明日の同じプログラムとフェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2021のオープニングコンサートを聴きます。楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  チェロ:伊藤文嗣
  ヴィオラ:青木篤子
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 Op.35

  《休憩》

  シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 Op.82 〈1919年改訂版〉


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」を予習したCDは以下です。

  ピエール・フルニエ、ジュスト・カッポーネ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1965年 セッション録音
  ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ、ウルリヒ・コッホ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年1月3-8日 セッション録音

カラヤン、R.シュトラウスはさすがにいずれの盤も見事な演奏です。とりわけ、ロストロポーヴィチとの演奏は録音もよく際立った演奏に心躍ります。


2曲目のシベリウスの交響曲第5番を予習したCDは以下です。

  パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィル 1986年 セッション録音

パーヴォ・ベルグルンドの指揮はよいのですが、やはり、ヨーロッパ室内管(1996年録音/FINLANDIA盤)を指揮した演奏の澄み切った響きが忘れられません。



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       ジョナサン・ノット,  

ジョナサン・ノット&東響の感動のマーラー1番@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.5.27

先週に引き続き、リアルのジョナサン・ノットの指揮を聴きました。もう、それだけで十分。大変、満足しました。やはり、ジョナサン・ノットの振る東響は最高です。今日もジョナサン・ノットのコアなファンが集結し、終演後の盛り上がりは感動的でした。

まず、最初はベルクの室内協奏曲。演奏が素晴らしかったのは分かりますが、saraiの聴き込み不足で曲の内容は掴み損ねました。もっと、しっかりと予習を積むべきでした。反省・・・ 児玉麻里のピアノはかっこよかったです。

後半はマーラーの交響曲 第1番「巨人」。出だしはあまりアンサンブルも整っていなくて、先週の交響曲第4番ほどの素晴らしさは感じられません。saraiの集中力も欠如し、第2楽章まではもうひとつの印象です。第3楽章の葬送の行進は弱音を見事に使い、一気に演奏の質が上がります。そして、すべては第4楽章に収斂します。強烈に燃え上がる開始から、ぐっと心が惹き付けられます。そして、嵐のような音楽から、一転して、静謐で美しい音楽が弦パートを中心として奏でられると、心が揺さぶられる思いです。saraiの集中力も一気に上がります。再び、金管が主導して、嵐のような激しい音楽に変わると、強い感動に襲われます。音楽も頂点を極めます。さらに勝利を奏でる金管の怒涛の高揚が続き、東響のアンサンブル力も高みに達します。いったん、音楽は静まり、第1楽章の序奏部が回帰しますが、東響のアンサンブルは見違えるように素晴らしくなっています。あるいはそう感じるような展開になったのかもしれません。再び、嵐のような音楽が高まった後、ヴィオラが素晴らしいフレーズを奏でます。ここからがこの日の聴きどころでした。再現部で盛り上がった後、圧巻のコーダに突入します。ベルアップした木管の演奏を皮切りに最後はホルン奏者たちが起立して、物凄く高潮した音楽がホールに響きわたります。ジョナサン・ノットも渾身の力でオーケストラを鼓舞し、そして、我々、聴衆も鼓舞されます。これで感動しなければ、マーラーの音楽を聴く意味はないでしょう。圧倒的なコーダでした。満場、興奮のるつぼと化します。ブラボー禁止の中、皆が手を高く上げて拍手する様は感動的です。ジョナサン・ノットを中心に東響のメンバーもすべての聴衆も心を一つに結ばれました。感動のマーラーでした。

終演後の拍手は長く続き、それ自体が感動的なイベントになりました。ジョナサン・ノットが持ち出してきた“I'm home”の帯にみなが納得。しばらくの別れになりますが、次の機会を待ちましょう。この場所こそがジョナサン・ノットの居場所です。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:児玉麻里
  ヴァイオリン:グレブ・ニキティン(東京交響楽団コンサートマスター)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  ベルク:室内協奏曲-ピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための

  《休憩》

  マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベルクの室内協奏曲は以下のCDを聴きました。

  内田光子、クリスティアン・テツラフ、ピエール・ブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポラン 2008年3月19-21日、パリ、IRCAM セッション録音

ほかと比較していませんが、この豪華メンバーで悪かろう筈がありません。


2曲目のマーラーの交響曲 第1番「巨人」は以下のCDを聴きました。

 ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団 1961年 セッション録音
 
久しぶりに聴いてみましたが、さすがに古い感じが否めません。最近のロトとかの演奏を聴いたほうがよかったかもしれません。



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       ジョナサン・ノット,  

ジョナサン・ノット讃、感動のマーラー4番 東京交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2021.5.22

前回、リアルのジョナサン・ノットの指揮を聴いたのは、昨年末のベートーヴェンの交響曲第9番でした。その前はそのちょうど1年前のベートーヴェンの交響曲第9番でした。今回も来日直前にトラブルがあって、ほぼ、来日は無理だと思っていました。しかもsaraiのミスで予約したチケットの購入を期日までに行わず、チケットなし状態。公演が本決まりになった後、慌てて、チケットを購入し直して、大事には至りませんでした。今日の演奏を聴き逃がしたら、一生、悔み続けることになったでしょう。やはり、ジョナサン・ノットの振る東響は最高でした。

東京オペラシティコンサートホールにはジョナサン・ノットのコアなファンが集結していました。残念ながら、緊急事態宣言下で席数は半数に制限されていたので、聴き逃がした方も多かったでしょう。今日のチケットは完売でした。

ステージにマスク姿のノットが登場すると、異例なほどの盛大な拍手が沸き起こります。ノットはにこやかな表情でしょうが、マスクで顔が見えません。

まず、最初はジョン・アダムスのザ・チェアマン・ダンスです。やはり、ジョナサン・ノットが指揮すると、明らかに東響のアンサンブルの精度が上がります。1週間前のコンサートとは見違えるほどです。ゲーム・ミュージックのようなミニマリズム的な音楽が小気味よく響きます。しかし、細部まで極めつくすような恐ろしいほどの丁寧さで音楽が仕上がっています。一見、単調なダンス音楽ですが、実にニュアンス豊かに磨き上げられています。ポストモダンの音楽もジョナサン・ノットの手にかかると、とても見通しのよい音楽になります。ただし、トゥッティで音が濁りがちのところもあります。これは以前にはなかったことです。ジョナサン・ノットにとっても東響にとっても、この1年半ほどのコロナ禍の空白期間のダメージを感じざるを得ません。中間の緩徐パートでの若干の弛緩を感じました。しかし、快調にリズムを刻むパート、小音量での繊細な表現などは見事としか言えない充実した演奏でした。現代音楽を指揮させたら、ノットの右に出るものはいないでしょう。

次はドビュッシーの舞踊詩《遊戯》です。ジョナサン・ノットでフランスものを聴いた記憶がありません。考えてみると、現在、ノットはスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督ですから、フランスものは多く手掛けているんでしょう。実際、見事なドビュッシーを聴かせてくれました。晩年のドビュッシーの音楽の真価を知らしめてくれるような素晴らしい演奏になりました。この曲は3年前にロト&レ・シエクルの演奏をこの同じホールで聴きましたが、あの素晴らしかった演奏をも凌ぐようなレベルの演奏です。指揮は同等、オーケストラは東響が上回るというのがsaraiの見立てです。今後、ドビュッシーやラヴェルの音楽をノット&東響で聴く楽しみができました。ボレロ、ラ・ヴァルス、展覧会の絵、交響詩《海》などもよさそうですね。まあ、コロナ禍が収まらないことにはどうしようもありませんけどね。

こういう風に前半のプログラムを書いていますが、後半のマーラーが凄過ぎて、印象が薄れてしまっているんです。マーラーの交響曲第4番は感動の素晴らしさでした。
前半のプログラムは楽譜を置いての指揮でしたが、マーラーは暗譜での指揮です。ノットのマーラーは弱音を効果的に使い、細部まで磨き上げた表現です。ここまで繊細に指揮するのはまさにマーラー指揮者の証しともいえるでしょう。ガリー・ベルティーニの細部にこだわった指揮を久しぶりに思い出します。インバルもハイティンクも相当に細部を磨き上げていましたが、ノットはベルティーニ並みのこだわりようです。一音、一音にこだわって、スコアに忠実に演奏していきます。じわじわとsaraiの心に沁み渡ってきます。第1楽章終盤では感極まってしまいます。第2楽章のレントラーではさらに細部が丁寧に表現されていきます。コンサートマスターのニキティンが2つのヴァイオリンを交換しながら、独奏部を弾いています。2つのヴァイオリンのどこが違うんでしょう。もしかしたら、ガット弦でも使っているんでしょうか。(⇒読者の方からの指摘がありました。交換用のヴァイオリンは長2度上げて調弦しているそうです。)このレントラーがこんなに繊細に演奏されたのは初めてです。そして、一番の聴きものである第3楽章。静謐さを全面に活かした感動の音楽です。ただただ、その最高の音楽に聴き入るのみです。激しく燃え上がることはあっても静謐さがこの第3楽章を支配します。己の魂を揺り動かされる思いでじっと聴き入りました。第4楽章には触れません。ハイティンクのときのアンナ・ルチア・リヒターのようなソプラノでないと、この第4楽章は乗り切れません。今日のマーラーは第3楽章で完結したようなものです。完璧とも思える演奏でした。saraiの人生で最高のマーラーだったハイティンク&ロンドン響の演奏に肉薄するレベルでした。これでジョナサン・ノットのマーラーは第10番のアダージョ、第7番に続いて、この第4番を聴き、来週のミューザ川崎では第1番を聴きます。
ジョナサン・ノットは在任中にマーラーの全交響曲を演奏すると言っているそうです。楽しみですが、交響曲第2,3,8,9番は既に演奏されたそうです。saraiは聴き逃がしています。残念! 交響曲第2,3,8,9番はすべて大物揃いですね。再演をお願いしたいです!!! 今後は第5番と第6番ですね。うーん、第3番と第9番は是非、聴きたい! これは提案ですが、ジョナサン・ノットが退任するときには、退任記念に是非、マーラー・チクルスをやってほしいものです。そして、それをライヴCDのマーラー全集にしたら、どうでしょう。ジョナサン・ノット、東響、マーラーを愛するsaraiの密やかな願いです。これは今後もしつこくブログに書き続けます。うるさいかもしれませんが、みなさんも賛同してほしいものです。えっ、もう、交響曲第2,3,8,9番は既に聴いたからいいって言う人がいますか? そんなことは言わないでね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:森麻季
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  J.アダムス:ザ・チェアマン・ダンス(歌劇「中国のニクソン」による)
  ドビュッシー:舞踊詩《遊戯》

  《休憩》

  マーラー:交響曲 第4番 ト長調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のJ.アダムスのザ・チェアマン・ダンスは以下のCDを聴きました。

  クリスチャン・ヤルヴィ指揮ノルランド・オペラ交響楽団 2001年5月 ノルランド・オペラ、ウメオ、スウェーデン セッション録音

クリスチャン・ヤルヴィが思いっ切りのよい演奏をしています。


2曲目のドビュッシーの舞踊詩《遊戯》は以下のCDを聴きました。

 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2018年1月 フィルハーモニー・ド・パリ セッション録音
 
ロト&レ・シエクルの話題になったCDです。saraiも来日公演で聴きました。今や、決定盤でしょう。


3曲目のマーラーの交響曲 第4番は以下のCDを聴きました。

 ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団、ユリアーネ・バンゼ  1998年4月 クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム セッション録音

ブーレーズらしい精緻な演奏が成功しています。ただ、この曲をあまり聴き込んでいない人は消化不良に陥るかもしれません。あくまでも冷静な演奏で、悪く言えば無機的とも思えます。ブーレーズのマーラーに興味が湧きました。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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