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ティーレマンのブラームスは繊細で自然な流れから圧倒的な高揚へ導く渾身の演奏@サントリーホール 2022.12.8

ティーレマンの3年ぶりの来日とあらば、高額チケットも何のその。ブルックナーだけではなくて、ブラームスも聴きます。昨日のブラームスはチケットが完売のため、涙・・・。しかし、今日の素晴らしいブラームスで満足したsaraiです。

ティーレマンのブラームスはシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏で完成の域に達したようです。今日のシュターツカペレ・ベルリンとの演奏はまるでシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏を聴いている感じ。このシュターツカペレ・ベルリンは素晴らしいアンサンブルを誇り、シュターツカペレ・ドレスデンに優るとも劣らないレベルの凄い演奏を聴かせてくれます。よほど、バレンボイムが鍛え上げたのでしょうか。CDで聴いたシュターツカペレ・ドレスデンの演奏を彷彿とさせてくれます。実演を聴くのですから、さらに興が深いものです。

ティーレマンのブラームスはどうやら、基本パターンが決まっているようで、どの楽章も中間部で抑えた響きで繊細で自然な音楽を歌い上げて、後半は一気に勢いを増して、テンポも上げ、壮麗な響きで圧倒するという勝利の方程式で聴くものを納得させます。中間部は優秀な木管のソロと繊細な弦楽アンサンブルで静謐な音楽を聴かせてくれます。これこそ、ティーレマンが到達した音楽であることを実感しました。かつての剛腕のティーレマンからは考えられない音楽です。そして、その後に一転して、金管と素晴らしい響きの弦楽アンサンブルの威力を全開放して、ロマンの香り高い圧倒的な音楽を歌い上げます。このあたりはさすがに剛腕のティーレマンの真骨頂です。前半の第3番もこのパターンで第1楽章、第2楽章が素晴らしい出来でした。
そして、後半の第4番も第1楽章、第2楽章がこのパターンで素晴らしく決まります。圧巻だったのは第4楽章のパッサカリア。これもパッサカリア主題を変奏しながら、ティーレマンの基本パターンで素晴らしい音楽が奏でられます。まるで、この楽章がブラームスの4曲の交響曲の締めくくりのような風情の盛り上がりです。最後は凄い高揚に上り詰めて、感動のフィナーレ。これ以上の演奏はないでしょう。

聴衆の拍手に応えるティーレマンのどや顔もいいね・・・。

2022120801.jpg



ティーレマンはやっぱり、凄かった!! そして、シュターツカペレ・ベルリンはまるでシュターツカペレ・ドレスデンを聴いているか、あるいはそれ以上のレベルの音楽を聴いている感覚でした。

ひとつだけ、残念だったのは、最初からティーレマンが来ると分かっていれば、ちゃんといい席のチケットを購入できたのにということです。昨日のブラームスも聴き逃がしたしね。



今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団≪シュターツカペレ・ベルリン≫

  ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op. 90

  《休憩》

  ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op. 98



最後に予習について、まとめておきます。

ブラームスの交響曲第3番を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2012年10月 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録音

ティーレマン、渾身のブラームス。堂々たる演奏でありながら、自然で落ち着いた音楽の流れも見事。


ブラームスの交響曲第4番を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2013年4月 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録音

3番と同様ですが、さらに素晴らしい演奏。



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       ティーレマン,  

ティーレマンが豊かな響きのシュターツカペレ・ベルリンで圧巻のブルックナーの交響曲第7番を凄演@東京オペラシティコンサートホール 2022.12.6

バレンボイムが降板して、ティーレマンがシュターツカペレ・ベルリンを振るというので、少し悩んで、売れ残りのチケットを購入。しかし、これは聴かねば、一生の悔いを残すような凄いブルックナーでした。

前半はワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死。これは2012年のシュターツカペレ・ドレスデンの来日公演でも聴き、そして、2018年にはバイロイト音楽祭に遠征して、全曲を聴きました。それはsaraiの最高の音楽体験の一つになりました。で、今日の演奏はシュターツカペレ・ベルリンがどんな演奏をするのかと固唾を飲んで、聴き始めましたが、さすがにティーレマン。このオーケストラを自在にドライブして、愛と陶酔の音楽で酔わせてくれました。見事な演奏であっという間に時間が経ち、イゾルデの愛の死で高潮して、音楽を静かに閉じます。シュターツカペレ・ベルリンのアンサンブルも素晴らしいです。特に低弦の深い響きは古きドイツの伝統を感じさせる重心の低い演奏を聴かせてくれます。

後半は満を持して、ブルックナーの交響曲第7番。ティーレマンが振ると、シュターツカペレ・ベルリンが世界最高のオーケストラの響きを聴かせてくれます。低弦の深い響きの上に高弦の透明な響き。木管も美しく、金管の迫力も最高です。これでブルックナーの全曲チクルスを聴けば、死んでもいいと思うほどです。
ブルックナーの交響曲第7番はブルックナー開始といわれる弦のさざ波のなか、低弦の美しい旋律がたっぷりと歌われます。弦のユニゾンが多く、シュターツカペレ・ベルリンの弦の響きに耳を奪われます。低弦は深い精神性を感じさせます。美しくきらめく高音弦は清らかでピュアーな精神を感じさせます。実に精神性に満ちた音楽が展開されます。これがブルックナーです。チェリビダッケではありませんが、ブルックナーは美しく、それもとびっきり美しく演奏されなければなりません。それがここに実現されており、saraiは充足感に浸っています。この美しい世界が延々と続きます。いつまでたっても第1楽章は続いていきます。これもブルックナーの世界です。ただ、退屈することはありません。真正のブルックナーの音楽の深い精神に包み込まれているんですからね。それでも頂点を極めて、第1楽章は終了しました。
次は一番の楽しみである第2楽章です。管楽器で主題が提示された後、弦楽器が極上の演奏を繰り広げます。美の極致がまさに永遠に続きます。やがて、後半にはいり、第1ヴァイオリンの上昇音型が始まります。例えようもなく、美しいです。この部分を美しく表現できるのはヨッフムとチェリビダッケしかいませんでした。そして、ティーレマンはそれを凌駕するかのような演奏です。上昇音型が頂点に達し、下降音型に変わります。そして、音楽はさらなる高みを目指し、高揚していきます。その頂点でシンバルの一撃! あれっ、これはハース版の筈ですが、ここだけはノヴァーク版を採用していますね。最後は静かに消えるように第2楽章が終わります。通常の交響曲ならば、もう、このあたりで終わってもいいくらい。第3楽章はまさにティーレマンが豪腕で剛速球を投げ込んできます。力んでいるわけではないのに、高揚した音楽でインスパイアーされます。一転、中間部はまた静かな瞑想的な音楽となります。豪腕ですが、しなやかな感性も併せ持ち、流麗な音楽を展開してくれます。また、最初の部分に戻って、豪壮に第3楽章を閉じます。第4楽章が始まります。中庸のテンポで荘重な音楽を進めていきます。他の指揮者の多くはここは切れのよい演奏で早いテンポで進めていくところですが、ティーレマンは個性が違います。十分に美しい流麗な響きを醸し出していきます。実に聴き応えがあります。何度も頂点を上り詰め、圧倒的なフィナーレ。完璧なブルックナーでした。何も言うことはありません。こんなリッチで美しい響きのブルックナーを聴いたことはありません。ウィーン・フィルをも凌駕する勢いです。

やんやの喝采で指揮者コールは2回でした。次はサントリーホールに場所を変えて、ブラームスの交響曲です。saraiは1日目のチケットは入手できず、2日目の第3番と第4番を聴きます。大いに期待できそうです。3年ぶりに聴くティーレマンはやはり破格の音楽を聴かせてくれます。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団≪シュターツカペレ・ベルリン≫

  ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死

  《休憩》

  ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB 107(ハース版、ただし、シンバル付き)



最後に予習について、まとめておきます。

ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮フィラデルフィア管弦楽団 1997年4月 ニュージャージー セッション録音

ティーレマンの初期の録音ですが、むせるような官能の音楽を聴かせてくれます。


ブルックナーの交響曲第7番を予習したブルーレイディスクは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2012年9月1日 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録画

ティーレマンのシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者就任記念コンサートの録画で素晴らしい演奏を聴かせてくれます。この直後、来日公演でも素晴らしい演奏を実感しました。



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       ティーレマン,  

ティーレマンが振るとウィーン・フィルが美しく鳴る:ブルックナーの交響曲第8番@サントリーホール 2019.11.11

チェリビダッケはブルックナーは美しくなければならないと言い、実際、彼とミュンヘン・フィルによるライヴ録音で交響曲第8番を聴くと卒倒するほどの究極の美しさに感動します(リスボンライヴ、東京ライヴ、ミュンヘンライヴ)。今日のティーレマンウィーン・フィルから引き出した響きはチェリビダッケとはまた質が違いますが、恐ろしいほどの美しさに満ちていました。巨匠ティーレマン、世界最高のオーケストラのウィーン・フィルの名に恥じない素晴らしい演奏に脱帽です。これまでウィーン・フィルのブルックナーは何度となく聴いてきましたが、これほどの美しい響きを聴いたのは初めてです。さすがにティーレマンです。そう言えば、このコンビでブルックナーを聴くのは初めてかな。サントリーホールがまるでウィーンの楽友協会大ホールにように音が鳴りまくっていました。その美しい響きをベースにブルックナーの精神性の高い音楽が奏でれるのですから、たまりません。いつもはこの第8番は第3楽章で頂点に達し、第4楽章で上り詰めるというのが常ですが、今日は第1楽章から、その音響美にうっとりして聴き入っていました。もちろん、第3楽章の超絶的な美しさも天国的でしたし、第4楽章の終盤、上昇音型が繰り返し現れるあたりからの盛り上がりは大変なものでした。圧倒的なフィナーレではティーレマンはいつものごとく、神のような存在と化していました。曲が終わっても神のごときティーレマンが指揮棒を下すまではホール内には完全な静寂が続きます。この静寂を作り出すサントリーホールの聴衆は世界最高の聴衆でもありますね。

アンコール曲は不要なブルックナーの交響曲第8番ですが、それでもアンコール曲を演奏できるのはウィーン・フィルならではでしょう。ウィンナーワルツという鉄板プログラムがありますからね。俄かにニューイヤーコンサートと化したサントリーホールでした。やんやの喝采で指揮者コールは2回でした。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

  ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 WAB 108(ハース版)

   《アンコール》
    ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』Op.235


最後に予習について、まとめておきます。

ブルックナーの交響曲第8番を予習したCDは以下です。

  ベルナルト・ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2007年8月22日 コンセルトヘボウ、アムステルダム ライヴ録音 非正規盤

saraiの生涯で聴いた最高のブルックナーの交響曲第8番は2013年の4月にアムステルダムで聴いたベルナルト・ハイティンク指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏でした。このCDはそのおよそ5年前の同じホール、同じコンビの演奏で同じノヴァーク版の演奏です。saraiが実演で聴いた究極の演奏には及びませんが素晴らしい演奏ではあります。



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       ティーレマン,        ウィーン・フィル,  

シューマンを堪能!ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2018.11.1

ティーレマンは最高級のレベルでシューマンの4曲の交響曲を揃えてきました。まったく、期待した通りのシューマン・ティクルスでした。とりわけ、初日の第2番が最高の出来で、続いて、今日の第4番、そして、第1番と第3番も見事な演奏でした。ティーレマンの棒の下、すっかり、手兵と化したシュターツカペレ・ドレスデンはぴったりと息の合った演奏を聴かせてくれました。特にティーレマンが金管セクションを素晴らしいバランスで響かせていたのが効果的に思えました。妙な言い方になりますが、ティーレマンのシューマンの表現はまるでオペラを演奏しているかの如く、鮮やかに情景を描いていくような感覚がありました。こういうシューマンの在り方は初めてです。

かくのごとく、素晴らしい演奏ではありましたが、オーケストラの統率がとれ過ぎた感も否めません。ある意味、緊張感には乏しい感じもありました。そのためか、いつものようなティーレマン特有のぐいぐい押してくるような圧倒的な迫力が不足している部分もありました。それが感じられたのは一番期待していた第4番の演奏です。以前、ウィーン・フィルを振ったときには、強引過ぎるほどにオーケストラをドライヴして、それが圧倒的な迫力につながっていました。それはなかなか言うことをきかないウィーン・フィルと対峙して、己の考える表現に引っ張っていったティーレマンの腕力が高い緊張感につながっていたものでした。今日の演奏はティーレマンの棒に素直に反応するシュターツカペレ・ドレスデンだったので、かえってティーレマンの音楽表現が単調になってしまったような感じです。もちろん、これは音楽演奏の高いレベル上の話であって、リハーサルをよくこなした結果、美しい演奏になったとも言えます。指揮者の棒とオーケストラがバラバラというのも困ったものですから、どこらあたりでバランスをとるべきか、難しいものです。第1番と第3番はよく練れた素晴らしい演奏になっていたと思います。ひとえに第4番が問題だったんです。

今日の演奏では、第3番の演奏が優れていました。それほど出番の多くない金管を効果的に響かせて、スケールの大きな演奏を聴かせてくれました。特に両端の楽章の歌い上げるような演奏は前述したようにまるでオペラを聴いている感じになりました。シューマンはライン川を描く情景音楽を意識的に作り上げたわけではないでしょうが、意識下には毎日のように眺めたデュッセルドルフのラインの大河が厳然と存在したのではないでしょうか。ティーレマンもそういう情景を表出したわけではないでしょうが、実に丁寧に表現した音楽からはくっきりとライン川の堂々たる流れが浮き出ていました。こう書いていて思い出しましたが、ティーレマンはシューマンの音楽を実に丁寧に演奏していたのが印象的でした。まさに1音たりとも表現の枠から抜け落ちさせないという職人的な気配りが働いていました。聴く側のこちらもすべての音を聴き洩らさないではいられないような演奏です。食い入るように聴き入りました。そういう感じで細部の仕上がり具合は完璧で、オーケストラの各セクションの微妙なバランスが見事でした。この丁寧さは第4番でも同じことで、お蔭でこちらも没入して音楽を聴くことになりました。したがって、上記に書いた迫力不足の感は些細なものと言えば、些細なものです。ウィーン・フィルとの凄い演奏を聴いていなければ、今日に演奏ですっかり満足したかもしれません。

とりとめのない感想になってしまいました。2日間の演奏はNHKがすべて収録しましたから、そのうちにテレビ放映されるでしょう。再度、最高級の演奏を楽しませてもらいましょう。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン

  シューマン:交響曲第3番 変ホ長調「ライン」 Op.97

   《休憩》

  シューマン:交響曲第4番 ニ短調 Op.120


最後に予習について、まとめておきます。

シューマンの交響曲第3番を予習したCDは以下です。

  レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 全集盤 1984~85年録音
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 全集盤 1972年録音 ドレスデン ルカ教会

バーンスタインの演奏が素晴らしいです。それにこの有名な作品はいまさら予習でもありませんね。


シューマンの交響曲第4番を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1953年録音
  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ルツェルン祝祭管弦楽団 1953年8月26日 ルツェルン、クンストハウス ライヴ録音
  レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 全集盤 1984~85年録音
  クリスティアン・ティーレマン指揮フィルハーモニア管弦楽団 2001年録音

この曲だけはフルトヴェングラー以外では聴きたくありません。ルツェルン音楽祭のライヴ演奏もAuditeが素晴らしい音質のデータをダウンロード販売してくれて、その凄い演奏を味わうことができるようになりましたが、やはり、ベルリン・フィルとの演奏は音楽を超えた何かがあり、その凄まじさにはただただひれふすのみです。これを超える演奏は不可能ですね。



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       ティーレマン,        シュターツカペレ・ドレスデン,  

ティーレマンのシューマンは凄かった!・・・シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2018.10.31

やっぱり、ティーレマンの指揮は凄い。8月にバイロイト音楽祭で聴いたばかりですが、何はともあれ、ティーレマンは必ず、満足させてくれます。ロマンティック過多とか、大袈裟過ぎるとか、非難されることも多い指揮者ではありますが、これほどの音楽を聴かせてくれる指揮者が今も昔もどれだけいたでしょう。とりわけ、実演での圧倒的な迫力にはひれふすのみです。今日のシューマンもすっかり魅了されました。以前、ウィーン楽友協会でティーレマン指揮ウィーン・フィルでシューマン尽くし(第1番、第4番ほか)を聴いたときの凄い響きはこのサントリーホールの音響レベルでは残念ながら味わうことはできませんが、その代わり、シュターツカペレ・ドレスデンとの完成度の高い演奏がシューマンの交響曲の素晴らしさを実感させてくれました。交響曲第1番 「春」を聴き終えて、シューマンのオーケストラ曲の最高の楽しさを味わえました。その楽しさはウィーン・フィルとの演奏のとき以上です。一言で言えば、《満足》以外の何ものでもありません。しかし、交響曲第2番の演奏はさらにそれを上回るものです。第1楽章のいきいきとした演奏に心躍り、第2楽章の充実した響きを味わい、第3楽章にはいると、シューマンの暗く沈んだ抒情に心打たれます。そして、シュターツカペレ・ドレスデンの美しい響きに心が熱くなります。第4楽章はシューマンらしい祝祭的な高揚が存分に発揮されながら、どんどん、熱く燃え上がるような演奏が展開されていきます。コーダの美しさと同居した迫力には圧倒されて、ただただ、感動します。究極のシューマンを聴かせてもらいました。シューマニアーナの一人として、こんなに素晴らしい演奏を聴かせてくれたティーレマンシュターツカペレ・ドレスデンの感謝するのみです。シューマンは歌曲、ピアノ曲も最高ですが、交響曲もベートーヴェン、シューベルトからの流れを引き継ぎ、来たるべきブラームスに至るドイツ・オーストリア音楽の本流の重要な位置を占めていることが実感できるコンサートでした。明日は大好きな第4番が聴けます。大変な名演の予感がします。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン

  シューマン:交響曲第1番 変ロ長調「春」 Op.38

   《休憩》

  シューマン:交響曲第2番 ハ長調 Op.61


最後に予習について、まとめておきます。

シューマンの交響曲第1番を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1951年10月29日 ミュンヘン、ドイツ博物館コングレスザール ライヴ録音
  レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 全集盤 1984~85年録音
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 全集盤 1972年録音 ドレスデン ルカ教会
  クリスティアン・ティーレマン指揮フィルハーモニア管弦楽団 2001年録音

フルトヴェングラーは第4番の凄い演奏とは比べられませんが、これも素晴らしい演奏です。バーンスタインのCDは久しぶりに聴いてみましたが、大変な名演です。以前聴いたときにはまだ、シューマンの交響曲の素晴らしさ自体が分かっていませんでした。ウィーン・フィルの演奏も流石です。シュターツカペレ・ドレスデンの演奏も聴いておかねばと思って聴きました。この後、シノーポリとの録音もありますが、評判の高いサヴァリッシュの指揮を聴きました。角のとれたまろやかな演奏で、こういうシューマンもいいですね。ティーレマンの録音も聴いてみました。実演で聴いたウィーン・フィルとの演奏に比べると、もう一つ、突っ込みが足りない感じです。再録音が望まれます。


シューマンの交響曲第2番を予習したCDは以下です。

  レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル 全集盤 1984~85年録音
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 全集盤 1972年録音 ドレスデン ルカ教会
  クリスティアン・ティーレマン指揮フィルハーモニア管弦楽団 1996年録音

いずれの演奏も感想は上に書いた第1番と同様です。バーンスタインの演奏を聴いていれば、満足できます。サヴァリッシュも十分、鑑賞にたえるいい演奏です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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