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今年のヨーロッパ遠征・・・予習も追い込み、ジョルダンのブラームスの交響曲チクルス ええっ!ハイティンクが引退?

今年のヨーロッパ遠征の準備中です。

今日もオペラ・コンサートの予習です。

ウィーン楽友協会で聴くフィリップ・ジョルダン&ウィーン交響楽団のブラームスの交響曲チクルスの予習です。
チクルス2回とも聴こうとも思いましたが、重なった日程のほかのコンサートを聴くことにしたので、チクルス2回目の交響曲第3番と第4番を聴くことにしました。
で、このチケットは手術直後の病床で配偶者に指示を出しながら、ネットで購入した価値あるチケットです。このチケットを取ろうとして、手術の麻酔もすぐに醒めました(笑い)。もちろん、配偶者は呆れていました。

と言うことで、きっちり、予習をしましょう。とは言え、ブラームスの交響曲はたいていのCDは既に聴いています。ですから、ここはsaraiの敬愛する巨匠ハイティンクの演奏を聴いて、予習とすることにします。ハイティンクは3つのオーケストラと交響曲全集を録音しています。1972年のコンセルトヘボウ管、1994年のボストン交響楽団、2003年のロンドン交響楽団です。どれも名演ですが、特にロンドン交響楽団との全集を好んでいます。今回もそれを聴きましょう。

 ブラームス:交響曲第3番 2004年6月16、17日 ライブ録音

 ブラームス:交響曲第4番 2004年6月16、17日 ライヴ録音

第3番の演奏には意表を突かれました。抑えに抑えた自然体の演奏で、そこからはそこはかとないロマンが香り立ってきます。サガンの《ブラームスはお好き》で有名な第3楽章の美しいロマンには参ります。ハイティンクならではの第3番でした。

一方、第4番は堂々と前面にロマンを表出した素晴らしい演奏。大変、感銘を受けました。

このハイティンクの美しいブラームスを聴いた後、このブログ記事を書いているとき、ハイティンクが指揮活動から引退するというニュースを知りました。迂闊なことに今日まで知りませんでした。その最後の指揮は9月6日のルツェルン音楽祭でのウィーン・フィルとペライアとのコンサート!! そうです。saraiがルツェルンを訪れる前の週のコンサートです。もちろん、このコンサートのことは知っていましたし、チケットもチェックしていました。うーん、予定を前倒しにして、駆け付けるべきでした。9月6日はイスタンブールからウィーンに移動する日です。直接、イスタンブールからルツェルンに行けば、この引退コンサートが聴けましたね。ハイティンクのファンとして、絶対に行くべきでした。悔やまれます。

これまで、ハイティンクの指揮は国内外で聴いてきました。思い出に残る感動の演奏ばかりです。いくつか、挙げておきましょう。

 ブルックナー/交響曲第9番:ハイティンク+ロンドン交響楽団@みなとみらいホール 2013.3.10
 ブルックナー/交響曲第8番:ハイティンク+コンセルトヘボウ管@コンセルトヘボウ 2013.4.5
 人生最高のマーラー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@サントリーホール 2015.9.28
 巨匠の白鳥の歌はブルックナー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2015.9.30
 またまた最高のブラームス、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@NHKホール 2015.10.1
 マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル 2回目@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.30

この中で最高のコンサートは2013年にアムステルダムのコンセルトヘボウで聴いたブルックナーの交響曲第8番。このとき、ハイティンクのブルックナーは凄過ぎるという思いに駆られました。もう、2度とこんなブルックナーの交響曲第8番は聴けないでしょう。saraiの人生の到達点とも言っていい特別なコンサートでした。もう死んでも悔いがないとさえ思いました。

思い出に残るのは、わざわざザルツブルク音楽祭まで足を運んで聴いたハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番です。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、遂にハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはないと感じました。このとき、saraiは指揮台のハイティンクに最も近い席で聴かせてもらい、巨匠に別れを告げました。結局、これがハイティンクを聴いた最後のコンサートになりました。2年前です。

ちょっと、本来の予習からは脱線してしまいました。予習はもう1回を残すのみです。



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

       ハイティンク,  

マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル 2回目@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.30

終演後、祝祭大劇場を出るまで無言でしたが、配偶者にぽつりと「終わったね」と言いました。万感の思いです。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、一昨日と今日、ハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはありません。一応、まわりにはバイロイトで指輪、パルジファル、トリスタンを聴きたいものだとは言っていますが、それは付録のようなもの。マーラーの交響曲第9番は告別の音楽です。己の死期を悟ったマーラーが愛する大地、それは人生と言い換えてもいいでしょうが、それらへの告別、さらに妻アルマへの断ち難い愛への告別を持てる力のすべてを注ぎ込んで完成させた未曽有の音楽と言えるでしょう。マーラーの主観的な音楽ですが、いずれ己の人生と告別すべき運命にあるすべての人々が思いを共有できる音楽でもあります。saraiの音楽と人生の集大成にこれほどふさわしい曲もありません。そして、最も愛するオーケストラ、ウィーン・フィルでそれを聴くのは必然です。また、マーラーとブルックナーなどで現在、もっとも敬愛している巨匠ハイティンクでこれが聴けたのは僥倖とも思えます。高齢のハイティンクとはこれが告別になるかもしれません。今日は指揮台のハイティンクに最も近い席で聴かせてもらいました。指揮を終えた巨匠はすっかり憔悴していましたが、うっすらと涙を見せていたように感じたのはsaraiの感傷でしょうか。立ち上がって拍手をしながら、これまでの名演に感謝をしながら、告別の念を送り続けました。

今日の演奏は一昨日よりも第1楽章からウィーン・フィルのアンサンブルも揃っており、巨匠も高齢とは思えない力強い身振りでの指揮で、オーケストラもその指揮にぴったりと応えていました。実に丁寧に細部を整えた安定した演奏で、高潮すべきパートの迫力は凄まじいものです。しかし、pの繊細で柔らかい表現、響きが一番、印象的でした。第1楽章の充実ぶり、第2楽章の郷愁、第3楽章の前進力の後、まさに最後の告別の音楽、第4楽章。愛する大地への告別、しかし、生への哀惜の念も耐え難く、波のうねりのように行きつ戻りつしながら、終局に向かっていきます。木管の美しい響きの演奏の後、最後の頂点を極め、独奏チェロが愛の動機を演奏すると、長いpのパートに入っていきます。ウィーン・フィルの合奏力が最高に発揮されます。巨匠の姿を見ることはsaraiにはもうできません。目を閉じて、静かに告別の音楽を聴き続けます。最後に目を開けて、巨匠がゆっくりと棒をおろしていく様を眺めます。これでお別れですね。長い間、ありがとうございました。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ベルナルト・ハイティンク
 管弦楽:ウィーン・フィル

 マーラー:交響曲第9番


この日に向けて、予習もたくさんしました。ハイティンクのCDで聴いていないのは海賊版も含めて、クリーヴランド管弦楽団との演奏くらいでしょう。以下が予習したハイティンクのCDです。

1969.6 コンセルトヘボウ管 (全集)
   素晴らしい名演です。バルビローリ&BPOとも並び立つような演奏です。演奏、録音ともに素晴らしい響きで高弦のピアノの素晴らしさに魅了されます。第4楽章には大変な感動を覚えました。まるでライヴ演奏を聴いているような錯覚すら覚えます。涙なしには聴き通せません。

  1987.12 コンセルトヘボウ管 (クリスマス・マチネー)CD
   こういう演奏が聴きたくて、ずっと音楽を聴いてきました。第4楽章の終盤、チェロの独奏が入った後の薄明の世界ではもう我を忘れて聴き入るのみです。それにしても、演奏が終わると同時に拍手をする人たちはこの曲の何を聴いているんでしょう。できうれば、拍手なしでそっと席を立ちたいくらいの気分なのに・・・。その場で生の演奏を聴いているような素晴らしい録音でもありました。

1987.12 コンセルトヘボウ管 (クリスマス・マチネー)映像
   第3楽章まではCDの音質のよさに比べて、映像版の音質の不鮮明さに白けます。しかし、第4楽章は圧巻です。冒頭から素晴らしい演奏(もちろん、CDと同じ音源です)です。それがハイティンクの棒のもと、次第にヒートアップして、有機的にオーケストラが一体化していきます(変な表現ですが、そう感じるんです)。高みに上りつめて、一瞬のパウゼ・・・その後の空前絶後の素晴らしい演奏は奇跡とも思えます。管楽器のソロのリレーのレベルの高さ、高弦の美しさに魅了されます。そして、あのチェロの独奏後はCD以上の感動的な演奏です。最後に音が途切れるとき、高く上げたハイティンクの手から、指揮棒が落ちます。同時に拍手。早過ぎると思った拍手の真相はこういうことだったんですね。いやはや、大変、感動しました。

1993.3 ECユース管
   コンセルトヘボウ管を上回るようような素晴らしい演奏。とりわけ、第4楽章の後半の超絶的な美しさには感動するのみです。ところで、第2楽章の恐ろしいほど、ゆったりとした開始は何だったんでしょう。
 
  2004.4.25 ウィーン・フィル  
   第1楽章は、おいおい、どうしたんだって感じで速過ぎて、粗っぽくて、これがウィーン・フィルかって思いますが、後半には持ち直し、第2楽章、第3楽章の切れの良い演奏に満足します。そして、終わってみれば、第4楽章の分厚い弦の響きにうっとりして、感動の演奏でした。13年前の演奏ですが、この第2楽章以降の演奏を今度のザルツブルクで聴かせてくれれば、saraiは感動の涙にくれるでしょう。何と言っても、この曲はライヴで聴くのが一番ですからね。

  2009.7.20 ロンドン交響楽団 (Proms Live)
   何という演奏でしょう。まさにハイティンクの集大成とも思える最高の演奏。ロンドン交響楽団はハイティンクの指揮と完全に一体化します。全楽章、文句のつけようのない演奏です。人生の最期に聴くのにふさわしい演奏です。これ以上の演奏があるとは思えません。録音も臨場感のある素晴らしい音です。
      
2011.5.15 コンセルトヘボウ管 CD-R
   コンセルトヘボウ管のBDのマーラー全集にも収録されている演奏です。映像版は見ていません。CD版のみを聴きました。とても素晴らしい演奏です。生きとし生きるものを優しく慰撫するかのように美しく演奏されます。第1楽章は官能をそっと撫でてくれるような究極美の世界。第3楽章は色彩感あふれるコンセルトヘボウ管弦楽団の見事な演奏。そして、第4楽章の後半は永遠の世界を思わせる究極の音楽。これがハイティンクとコンセルトヘボウの最後のマーラーの第9番になるのでしょうか。

2011.12 バイエルン放送交響楽団
   第1楽章はしみじみとした素晴らしい演奏。しかし、第2楽章以降はバイエルン放送交響楽団の響きがいかにも硬くて、のりきれません。結局、終楽章のフィナーレの薄明の世界の美しさだけは何とか感じられるという感じ。折角のハイティンクの指揮なのに残念です。体調不良のヤンソンスの代役だったので、準備が間に合わなかったのでしょうか。2016年の来日演奏でもヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団は今一つの演奏だったので、オーケストラに問題があるのかもしれません。 

ハイティンク以外に聴いたCDは以下です。ウィーン・フィルは全部聴こうと思いましたが叶いませんでした。

  ワルター指揮ウィーン・フィル
  バーンスタイン指揮ウィーン・フィル DVD
  バーンスタイン指揮コンセルトヘボウ管弦楽団
  バーンスタイン指揮ベルリン・フィル

バーンスタインもニューヨーク・フィルとイスラエル・フィルも聴こうと思いましたが叶いませんでした。ワルターは初演者でもあり、別格の演奏です。バーンスタインはやはり、コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏が一番でしょうか。

本は以下を読みました。
  吉田秀和:マーラー
  金子建志:マーラーの交響曲 (こだわり派のための名曲徹底分析)

いずれも大変、参考になりました。
大型スコアも買いましたが、スコアを見ながらだと、楽譜を追っかけるのが大変で耳がお留守になるのでやめました。



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       ハイティンク,  

マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.28

何も言えません。長年の夢だったハイティンクのマーラーの交響曲第9番、そして、ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴くことが一挙に実現してしまいました。
ただただ、この場で指揮をしてくれたハイティンクに感謝を捧げるのみです。ありがとうございました。実に丁寧で、ご高齢とは思えないような力感あふれる指揮でした。全楽章、見事な演奏でしたが、とりわけ、第4楽章は美の極致でした。p(弱音)の繊細な美しさには参りました。最後まで力の入った指揮で、拍手にこたえてステージに登場したときに躓いて、よろめくほど、すべての力を出し尽くした熱い指揮でした。
一方、ウィーン・フィルは少々、アンサンブルに乱れがありましたが、第4楽章では見事なアンサンブル、響きを聴かせてくれました。まるで、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ぼようでした。これはハイティンクの棒に素晴らしく反応したという賛辞です。コンサートマスターはホーネック、その隣にダイナローヴァが座るという万全の体制でした。きっと、明後日はもっと精度の高い演奏を聴かせてくれるでしょう。詳細なレポートはそのときに書きます。
それにしても、ザルツブルクで最前列かぶりつきで、この夢のようなコンサートが聴けたのは望外の幸せです。終始、緊張しまくって聴いていました。御大ハイティンクの枯れることのない力強い指揮はどこまで続くのでしょう。こうなると、これまで聴いたマーラー以外も何とか聴きたくなります。特に第3番が聴きたいものです。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ベルナルト・ハイティンク
 管弦楽:ウィーン・フィル

 マーラー:交響曲第9番


この日に向けて、予習もたくさんしましたし、本も読みました。大型スコアも買いました。それについても明後日のコンサートを聴いてから書きますね。
長年の夢が実現して、何か頭はぼーっとしています。

明日はボルトン指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団、ソプラノのサンドリーヌ・ピオーでモーツァルト・マチネをお昼に聴き、夜はシフのチクルスの2回目です。ザルツブルク音楽祭もいきなり、佳境に入ってきました。



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       ハイティンク,  

またまた最高のブラームス、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@NHKホール 2015.10.1

ハイティンクペライア&ロンドン交響楽団の夢のようなコンサートも今日でおしまい。ここまでマーラーブルックナーと最高の音楽が聴けて幸せでした。ペライアのピアノも究極のモーツァルトのピアノ協奏曲を奏でてくれました。

今日はブラームスの交響曲第1番です。ハイティンクのブラームスを生で聴くのは初めてです。またまた、最高のブラームスが聴けました。ハイティンクと言えば、ブルックナーとマーラーを偏愛していて、ブラームスはあまりCDも聴いていなかったんです。ハイティンクのブラームスがこんなに素晴らしいとは、実に迂闊なことでした。今日のコンサートに向けて、CDで予習を始めたときから、その素晴らしさに捉われていましたが、今日、生で聴いて、フィナーレで大変な感動に襲われました。

予習したブラームスの交響曲第1番のCDは以下です。ハイティンクの正規録音のCDはこれがすべてです。

  1. 1972.12 コンセルトヘボウ管
  2. 1994.4 ボストン交響楽団
  3. 2003.5.22,23 ロンドン交響楽団

これらはすべてブラームス交響曲全集の1枚です。最初のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との全集はハイティンクがまだ40代前半の頃で勢いのある演奏。次のボストン交響楽団との全集はその20年以上後の録音。ハイティンクは既にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督の職を解かれ、様々なオーケストラを振りつつ、巨匠という名声を得ていました。この全集は名盤との評価が高く、実際、saraiもボストン交響楽団の実力を再評価してしまうほどの素晴らしい演奏です。ハイティンクのブラームスの交響曲第1番の特徴は自然な流れで美しく歌い上げて、最後の最後、第4楽章のフィナーレに至って、ぐんとテンポアップし、白熱して終わるというものです。この基本コンセプトは次のロンドン交響楽団との演奏でも同じです。ただ、このロンドン交響楽団との演奏は素晴らしいサウンドと録音で大変、聴き映えがします。ですから、1枚選ぶなら、このロンドン交響楽団ですが、ボストン交響楽団も捨てがたい魅力があります。

今日の演奏も基本的にはCDと同じコンセプトの演奏でした。ハイティンクの丁寧なタクトにロンドン交響楽団のメンバーがぴったりと従っているのが印象的。オーケストラの音色の美しさがブラームスの音楽を輝かせます。そして、フィナーレの迫力はCDで聴いた以上のもので、大変な感動を覚えました。

前半は管楽セクションのよるヘンリー・パーセル(スタッキー編)の《メアリー女王のための葬送音楽》 に続き、ペライアのピアノでベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番です。今回の来日公演で絶好調のピアノを聴かせてくれているペライアは今日も最高の演奏。ハイティンクとの息もぴったりで素晴らしいベートーヴェンを聴かせてくれました。このコンビはCDでも名演を聴かせてくれていますが、特に第2楽章のピアノの表現が見事です。堂々としたオーケストラの弦のユニゾンの響きに対比して、ピアノは弱弱しく弾かれ、まるで大きな宇宙に対する人間の小ささを愛おしむかのような音楽表現です。ペライアのピュアーなピアノの響きがこういう表現を可能にしています。 そして、第2楽章の終盤の右手のトリルの見事なこと。第3楽章では一転して、強烈なインパクトの打鍵が凄まじく、それでも響きの美しさが損なわれないのがペライアの凄いところです。ハイティンクの指揮も素晴らしく、ベートーヴェンの颯爽として、雄々しいところを見事に表現していました。こんなパーフェクトなピアノ協奏曲第4番は聴いたことがありません。CDで聴くクラウディオ・アラウの演奏にも匹敵するレベルでした。

予習したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のCDは以下です。ペライアとハイティンクを軸に聴きました。

  1. 1964 アラウ、ハイティンク、コンセルトヘボウ管
  2. 1984.10 ペライア、ハイティンク、コンセルトヘボウ管
  3. 2012.9.6 ペライア、ハイティンク、ウィーン・フィル (ロンドン、ライブ)

アラウ、ハイティンクの演奏はsaraiの愛聴盤です。これさえあれば、ほかは何もいりません。ペライア、ハイティンク、コンセルトヘボウ管も見事な演奏。ペライア、ハイティンク、ウィーン・フィルはそのほぼ30年後の演奏ですが、同じような演奏です。ハイティンクはほかのピアニストとも多くの録音を残しています。ブレンデル、アシュケナージ、シフなどです。よほど、ピアニストに好かれているんでしょうね。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  パーセル(スタッキー編): メアリー女王のための葬送音楽
  ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58 (ピアノ: マレイ・ペライア)

   《休憩》

  ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 op.68

ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団で3回のコンサートを聴きましたが、すべてが最高でした。海外からの来日公演としては空前絶後の素晴らしいコンサートだったと思います。昨日はブルックナーの後、憔悴していたハイティンクも今日は顔色もよく、体調万全での指揮でした。安心しました。日本での残りの公演も元気で乗り切れそうですね。巨匠のさらなる活躍をお祈りしましょう。これがsaraiの聴く最後のハイティンクとならないことを祈念してやみません。


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       ハイティンク,        ,        ペライア,  

巨匠の白鳥の歌はブルックナー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2015.9.30

オーケストラ・シリーズが続いています。最高に素晴らしかったマーラーに続いて、今日はブルックナーの交響曲第7番。ペライアのピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲も聴けるという贅沢さ。このシリーズはこの後、NHKホールでのブラームスの交響曲第1番に続きます。

ハイティンクが今日、演奏したブルックナーはあまりに美し過ぎました。美しさに酔っているうちにフィナーレ。天使が舞い降りたように強烈な感動が最後の最後に不意に訪れてきました。素晴らしいブルックナーでした。しかし、タクトを下ろして、こちらを振り向いたマエストロを見るとはっとします。マエストロは燃え尽きて・・・いや、憔悴の極にあるようです。遠路はるばる極東の島国までやってきて、マーラー、ブルックナーという大曲を振るのは86歳のご高齢で大変でしょう。演奏中はそういうことを微塵も感じさせない力演でしたから、タクトを下ろすとどっとお疲れが出るのでは。
これがもう、巨匠のブルックナーの聴き納めかもしれませんね。今日のブルックナーは巨匠の白鳥の歌だったのかもしれません。十分に素晴らしいブルックナーを聴かせてもらいました。

ハイティンクのブルックナーと言えば、わざわざ、アムステルダムまで聴きに行った2013年4月のコンサートが忘れられません。ブルックナー、いや、これまでに聴いてきたすべてのコンサートで最高のコンサートでした。ブルックナーの作品で頂点に立つ交響曲第8番です。そのときの記事はここここです。それに先立つこと、1か月。ハイティンクは来日公演でも究極のブルックナーの交響曲第9番を聴かせてくれました。サントリーホールとみなとみらいホールで聴きましたが、みなとみらいホールでの演奏が凄くて、歴史的とも思えるコンサートでした。そのときの記事はここです。そして、これらの第8番、第9番に続いて、第7番が聴けるのですから、どんな演奏になるのか、期待と不安がないまぜでしたが・・・とても美しい演奏を聴かせてもらいました。満足です。

ハイティンクのブルックナーの交響曲第7番を生で初めて聴くのですから、予習には万全を期しました。予習したCDは以下です。ハイティンクで聴けるCDはできるだけ聴いた感があります。各2行目は演奏時間(全体、各楽章)です。

  1. (ハース版) 1966.11.1-3 コンセルトヘボウ管 (ブルックナー全集から)
             60:15 18:10 21:00 9:19 11:46
  2. (ハース版) 1978.10.9-10. コンセルトヘボウ管
             65:19 20:48 22:20 9:51 12:05
  3. (ハース版) 1997.10.18 ウィーン・フィル
             64:00 20:12 22:07 9:30 12:27
  4. (ハース版) 2000.8.25. ベルリン・フィル (ザルツブルグ)
             64:15 20:09 21:44 9:45 12:33
  5. (ハース版) 2004.8.26. シュターツカペレ・ドレスデン
             69:30 21:33 23:35 10:35 13:44
  6. (ノヴァーク版)2007.5.15 シカゴ交響楽団
             67:31 21:33 22:26 10:30 13:01
  7. (ノヴァーク版)2010.9.17 コンセルトヘボウ管
             64:50 20:27 21:24 10:03 12:53
  8. (ノヴァーク版)2012.6.17 ロンドン交響楽団
             66:00 20:51 21:50 10:02 13:17

ハイティンクのブルックナー録音の中ではこの交響曲第7番が一番多く、このほかにもまだあります。ハイティンクのブルックナー録音では、このほか、交響曲第8番と第9番が多く、ハイティンクのブルックナー演奏の中核はこれらの3曲になります。オーケストラでは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が中心を占めているのは当然として、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、シカゴ交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、ロンドン交響楽団と揃っています。バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン・フィルが揃えば、完璧ですね。また、ブルックナー演奏の場合、どの版を使うかが問題ですが、ハイティンクはこの第7番に限らず、昔はハース版を使っていますが、2007年以降はノヴァーク版に変わっています。
演奏自体で言えば、ハイティンクは1970年代後半にブルックナー演奏スタイルを確立し、素晴らしい高みに達しました。その後、2000年代に入り、じっくりと構えた演奏になり、さらにノヴァーク版を採用することで、無駄をそぎ落として、演奏の質を高めてきています。この8枚の中でどれかを選ぶとしたら、6.の2007年のシカゴ交響楽団か、7.の2010年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団か、8.の2012年のロンドン交響楽団になるだろうと思います。いずれもノヴァーク版ですね。どれも素晴らしい演奏ですが、1枚選ぶなら、最新のロンドン交響楽団かな。

今日の演奏、第1楽章はさざなみのような弦の響きの中、低弦の深く美しい音楽が始まります。弦と管が代わる代わる美しい響きを聴かせてくれます。次第に音楽は熱を帯びていきます。不思議にどんなに高潮してもうるさい響きにはなりません。このオーケストラの音色はとてもバランスがよく、タイプとしてはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を感じさせます。ハイティンクがそのルーツのオーケストラの響きを求めているかのようです。
第2楽章は意外にスローに粘らずにすっきりとした演奏ですが、実に美しい音楽が奏でられます。終盤のクライマックスもあくまでも美しさを追求するような音楽作りです。めくるめくような煌めきの音楽が最後はワーグナーの死を悼む葬送の音楽として沈潜していきます。底流にワーグナーのパルジファルを思わせるような《心の痛み》の音楽をワーグナーも得意にするハイティンクが見事に表現しました。
第3楽章は力をふりしぼったような勇壮な音楽。巨匠の力演です。
第4楽章は美しさと《心の痛み》と豪壮さが混在する大変素晴らしい演奏です。そして、頂点はフィナーレにありました。巨匠が持てる力をすべて燃焼し尽した演奏でした。敬愛するハイティンクの音楽への真摯な奉仕にsaraiは頭を垂れるのみです。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491

   《休憩》

  ブルックナー: 交響曲第7番 ホ長調

前半のモーツァルトのピアノ協奏曲は一昨日にサントリーホールで聴いたばかりですが、今日は一段と精度を上げた演奏。もうこれ以上は弾けまいというような完璧なピアノ。オーケストラもモーツァルト演奏の規範となるような演奏。いっそのこと、交響曲を聴いてみたくなるようなオーケストラ演奏です。楽章を追うごとに素晴らしさは増すばかり。第2楽章の美しさといったら、言葉もありません。そして、最高に素晴らしかったのは第3楽章。2度と聴けないような奇跡のような演奏でした。ペライアの真の実力を見せつけられた思いです。究極の美しいピアノの響きが聴けて、満足この上もなしです。

今日も最高のモーツァルトにブルックナー。音楽の愉悦を感じ尽した一夜でした。


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08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

07/20 05:08 えりちゃ

はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai
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