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精妙にして音楽的:ハーゲン・カルテット@東京オペラシティ コンサートホール 2016.9.14

ハーゲン・カルテットの4人はやはり進化していますね。昔はテクニックでバリバリ弾いていた印象がありましたが、かなり抑え気味の演奏で熟成した深みが感じられます。最初のバッハは精妙な表現で納得の演奏です。フーガの楽しさをとことん味わわせてくれます。ここまではコンサート全体の前奏曲のようなもので軽い感じ。次のショスタコーヴィチはうーんと唸ります。なるほど、ハーゲン・カルテットが演奏するとショスタコーヴィチはこうなるのねって思います。そもそもバッハのフーガの技法が終わった後、短い休止だけで続けて演奏します。その心はバッハとショスタコーヴィチは同じトーン、同じテーストだっていうことです。バッハからは200年も離れていますが、音楽の精神は変わらないっていうことを言いたいんでしょう。確かにまったく違和感なしに連続して聴くことができます。しかし、ショスタコーヴィチの音楽が進行するにつれて、その本質が露わになってきます。やはり、暗く沈んだ音楽です。ハーゲン・カルテットの抑え気味の演奏がそれをさらに強調します。第2楽章こそ、激しく燃え上がりますが、トータルには悲痛なトーンが貫かれます。そして、次第に心に浮かんでくるイメージはレクイエムです。これは弦楽四重奏による鎮魂の歌です。ハーゲン・カルテットの熟成した響きがショスタコーヴィチの音楽を見事に表現しました。重いテーマではありますが、ハーゲン・カルテットは意外にさらっとそれを聴かせてくれました。室内楽の妙味ですね。

休憩後、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番です。いつものように終楽章(第6楽章)は大フーガが演奏されます。これも無闇に弾き過ぎないで、抑えた演奏が続きます。そして、第5楽章のカヴァティーナをしっとりと歌い上げて、一挙に大フーガで演奏は燃え上がります。大変な迫力です。この大フーガへの布石として、それまでの抑えた演奏が活きてきます。大フーガはパーフェクトな素晴らしい演奏で何も言うべき言葉を持ちません。以前聴いたベートーヴェン・ツィクルスでの名演が思い出されます。ハーゲン・カルテットの大フーガは最高です。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

ハーゲン・カルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  J. S. バッハ:フーガの技法~ コントラプンクトゥス1~4
  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 Op.110

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 Op.130
  ベートーヴェン:大フーガ Op.133

今度は是非、バルトークの弦楽四重奏曲を聴かせてもらいたいものです。それも全6曲を聴きたいな!


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モーツァルト・ツィクルスの行き着く果てはブラームス・・・ただただ感動!!ヴィトマン&ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2015.10.4

怒涛の10日間連続の音楽三昧も遂に最終日になりました。

今日はハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスの最終日で弦楽四重奏曲第20番と室内楽の最高峰のひとつ、クラリネット五重奏曲が演奏されます。クラリネット五重奏曲つながりでモーツァルトに加えて、ブラームスのクラリネット五重奏曲も演奏されます。

このモーツァルトのクラリネット五重奏曲は実に衝撃的な演奏でした。この曲はクラリネットが主役ですが、同じくらい第1ヴァイオリンが重要です。今日のルーカス・ハーゲンのヴァイオリンは素晴らしいとしか言いようのない音楽を奏でました。抑制のきいた大人の表現でありながら、素晴らしい響きが第1楽章から続きます。ヴィトマンのクラリネットもとても美しい響きでしたが、第1楽章はちょっと鳴らせ過ぎの感じで浮いた印象もありました。それも第2楽章からは抑制のきいた響きになり、弦楽四重奏の響きとパーフェクトに重なり合うようになりました。大傑作の作品が素晴らしい演奏で奏でられるのですからたまりません。うっとりどころではなく、感極まりつつ聴くしかありません。しかし、第3楽章まではそれも序章にしか過ぎませんでした。第4楽章も素晴らしい演奏が続き、やがて終盤にはいります。5人の息がぴったりと合い、自在なルパート、パウゼ、極限までのピアノッシモ。ありえないような境地の音楽に高まっていきます。音楽はスローダウンし、長いパウゼ。凄い緊張感です。テンポアップしたコーダで圧倒的な幕切れ。モーツァルトのクラリネット五重奏曲はこんなに凄い音楽だったとは・・・めくるめくような感動に襲われます。saraiの体内に感動を超えた衝撃が走ります。曲が終わっても高揚感は持続したままです。もう頭は真っ白。何と言う音楽をヴィトマンとハーゲン・カルテットは創り上げたんでしょう。一昨日、当ブログでsaraiはモーツァルトの音楽では感動しないと書きましたが、これは撤回するしかありません。この晩年の名作は天才モーツァルトがおのれの天分に加えて、人間モーツァルトの万感を込めた作品です。その人生をかけた思いがこんなに心を打つんですね。

無論、この作品はsaraiも昔から聴き続けてきて、細部まで熟知している筈の作品です。出会ったのは10代が終わりかける頃。京都で学生生活を送っていました。今回も予習したランスロのクラリネットとバルヒェット四重奏団のLPレコードを擦り切れるほど聴いていました。聴くだけでは満足できず、古物商で古いクラリネットを求めて、いつも鴨川の土手でポケットスコアを見ながら、吹けもしないクラリネットでこの曲とブラームスのクラリネット五重奏曲を吹いていました。まわりの人は迷惑だったことでしょう。そんなに入れ込んでいた作品ですが、今日の演奏を聴くまではこの作品の真価を知らなかったと言っても過言でありません。天下の名演と言われる録音はほとんど聴いてきたつもりですが、これほどのしびれるような感動を覚えたことはありません。生演奏でも退屈したことがしばしばあります。今日の演奏は超名演だったんです。ハーゲン・カルテットが好きなのでこのコンサートにも足を運びましたが、正直言って、これほどの演奏を聴かせてくれるとは想像だにしませんでした。ヴィトマンのクラリネットも見事でしたが、それ以上にハーゲン・カルテット、とりわけ、第1ヴァイオリンのルーカス・ハーゲンの高い芸術性は凄かったとしか言えません。

20分間の休憩時間中も感動の高揚感は収まりません。コンサート前はモーツァルトよりも期待感の高かったブラームスのクラリネット五重奏曲が始まってしまいます。結局、平常心に戻ることなく、ブラームスを聴くことになってしまいます。このブラームスがまた素晴らしかったんです。相変わらず、ルーカス・ハーゲンのヴァイオリンは絶好調。ヴィトマンのクラリネットも最高です。他のメンバーも見事なハーモニーを奏でます。強弱のコントロールの大胆さ、精妙さには舌を巻きます。テンポ・ルパートもモーツァルト以上に見事です。室内楽の極致をいくような演奏です。大人数のオーケストラでは決してなしえないような精緻を極める演奏なんです。これだから、室内楽を聴くのはやめられません。そして、音楽性の高さ・・・ブラームスの晩年の孤高のロマンを味わい尽くすような見事な表現です。秋の日の木漏れ日の温もりを実感させてくれる素晴らしい演奏です。第1楽章のロマンの香り高い演奏、第2楽章の一音一音に万感を込めたような味わい深い音楽、第3楽章の美しいハーモニーとテンポ感。そして、圧巻だったのは第4楽章。こんなに深い音楽があるでしょうか。終盤に至り、第1楽章の主題が回帰して、スローダウン。深いため息のように音楽が終止・・・長い沈黙。演奏者がやがて手を下ろしますが、聴衆の誰一人、拍手もなく、静寂を守ります。会場に感動が共有された瞬間です。演奏者が立ち上がり、初めて拍手が巻き起こります。それも盛大な拍手。saraiは拍手もできず、ただ、佇んでいました。

予習したクラリネット五重奏曲のCDは以下です。

  ランスロ、バルヒェット四重奏団(モーツァルト)、ミュンヘン弦楽四重奏団(ブラームス)
  ウラッハ、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
  シフリン、エマーソン四重奏団(ブラームス)
  オッペンハイム、ブダペスト弦楽四重奏団(ブラームス)
  コヴァーチェ、バルトーク四重奏団(ブラームス)

ランスロのCDは思い出深い1枚。最初に聴いた演奏です。古いLPは処分したので、CDは最近入手し、この演奏を何十年かぶりに聴きましたが、やはり素晴らしいです。ウラッハ&ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団は決定盤と言われています。第1ヴァイオリンのカンパーの演奏が見事です。古いモノラル音源ですが、音質もいいです。残りのブラームスの3枚は今日予習しました。オッペンハイム&ブダペスト弦楽四重奏団の演奏は素晴らしいです。モーツァルトも録音してくれればよかったのにね。ということで、今日、ブラームスのクラリネット五重奏曲は4回も聴いてしまいました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ハーゲン・カルテット
  クラリネット:イェルク・ヴィトマン


  モーツァルト: 弦楽四重奏曲第20番 ニ長調 K.499《ホフマイスター》
  モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

   《休憩》

  ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115


アンコールはもちろん、なしです。こんな凄い演奏の後にアンコールする音楽って、想像だにできません。

今回のハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスは最後にブラームスで終わるという変則的なものです。すべて、聴き終わって、その意味が分かったような気がします。このツィクルスはモーツァルトの弦楽四重奏曲全23曲のうち、26歳以降に書かれたハイドン・セット、ホフマイスター、プロシャ王・セットの10曲が演奏され、モーツァルトの室内楽の最高傑作、晩年に作曲されたクラリネット五重奏曲で締めくくるというものです。後年、クラリネットの名手ミュールフェルトの演奏するモーツァルトのクラリネット五重奏曲を聴いて、ブラームスが作曲したのが同じ構成のクラリネット五重奏曲です。晩年のブラームスは創作力も衰えて、ピアノの小品のように構成の小さな曲を書いていました(バート・イシュルで書かれたOp.116~Op.119のピアノ小品集は傑作揃いです。saraiがはまっています。)。そんなブラームスが創作力を取り戻して作曲したのがクラリネット五重奏曲でした。いわば、晩年のモーツァルトの作品から霊感を得て、晩年のブラームスが傑作を創り出したということです。モーツァルトの室内楽の延長線上にブラームスの作品を置いた今回の企画は必然と言えば、必然でしょう。今日の演奏を聴いて、納得がいきました。モーツァルトの室内楽を起点として、西洋音楽の室内楽の系譜がつながっていることを大きく描き出したかったということでしょう。まあ、何と言っても、ブラームスのクラリネット五重奏曲は傑作だし、saraiも大好きな曲なので、そういう理屈抜きでもこのプログラムは大歓迎でしたけどね。

次はハーゲン・カルテットはどんな演奏でsaraiを驚かせてくれるでしょう。



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抑制と熟成、そして精妙さ・・・ハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルス③@トッパンホール 2015.10.3

怒涛の10日間連続の音楽三昧は後半3日間のハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスを聴いているところです。

今日はモーツァルト・ツィクルスの2回目(本当は3回目、初回を聴いていません)でプロシア王・セットの3曲です。

プロシア王・セットの3曲はハイドン・セットに比べると、地味な印象の曲ですが、ハーゲン・カルテットは抑制した表現で滋味深い演奏を聴かせてくれました。ハーゲン・カルテットも今や熟成のときを迎えつつあると感じます。それにしても、昨日聴いたハイドン・セット、とりわけ、《不協和音》はモーツァルトが天からの啓示を受けて作曲した傑作ですが、それをハーゲン・カルテットは完成度の高い天国的な演奏で味わわせてくれました。対して、今日は風合いの異なるプロシア王・セットをその延長線上の演奏でありながらも品格の高い演奏で晩年のモーツァルトの人間的な温かみを感じさせてくれました。天才モーツァルトも創作力に陰りがあることを思わせるプロシア王・セットですが、そこには人間モーツァルトの熟成も感じられます。そのあたりをハーゲン・カルテットは抑制された表現で見事に演奏してくれたと思います。演奏の精妙さは熟成の極に達しつつあります。

特に素晴らしかったのは後半で弾かれた《プロシア王第3番》です。第2楽章の主題が変奏曲風に様々に表現されていく、密度の高い演奏には耳をそばだてるだけです。そこにはモーツァルトの音楽を愉悦する特別のものがありました。モーツァルトの最後の弦楽四重奏曲をしっかりと受け止めることができました。

予習したCDは以下です。

  ハーゲン・カルテット(モーツァルト弦楽四重奏曲全集)
  バリリ四重奏団(弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 K.575《プロシア王第1番》及び弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589《プロシア王第2番》)

なかなか聴くべきCDがありません。エマーソン四重奏団も録音してほしいですね。バリリ四重奏団も最高の演奏というわけではありません。そういうなかでハーゲン・カルテットのCDは貴重です。ですが、今日の演奏を聴くと、そろそろ、プロシア王・セットだけでも再録音してほしいとも思いました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ハーゲン・カルテット


  モーツァルト プロシア王 セット

  弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 K.575《プロシア王第1番》
  弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589《プロシア王第2番》

   《休憩》

  弦楽四重奏曲第23番 ヘ長調 K.590《プロシア王第3番》

   《アンコール》

   弦楽四重奏曲第20番 ニ長調 K499《ホフマイスター》第2楽章 メヌエット アレグレット


明日もハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスは続きます。クラリネット五重奏曲つながりでブラームスも聴けます。楽しみは尽きません。



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天からの啓示?・・・ハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルス②@トッパンホール 2015.10.2

怒涛の10日間連続の音楽三昧が続いています。前半3日間の歌姫とピアノ、中間4日間の巨匠ハイティンク指揮のロンドン交響楽団と都響も終わり、遂に後半3日間のハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスに突入です。本当はこのモーツァルト・ツィクルスは4日間で既に昨日から始まっていましたが、巨匠ハイティンクの公演と重なったため、泣く泣く初日の公演はお知り合いに代わりに行ってもらいました。素晴らしい演奏で感動ものだったそうです。

で、saraiにとっては今日がモーツァルト・ツィクルスの初日です。今日はハイドン・セットの後半の3曲です。

で、期待の演奏に耳を傾けていましたが、それは不意にやってきました。大袈裟に言えば、天からの啓示というのでしょうか。頭の中の霧がパーッと晴れたようなものです。今日の最後の曲、《不協和音》の第2楽章が始まって間もないときです。モーツァルトがこのハイドン・セット、いや弦楽四重奏曲で一体、何を表現したかったのか。それは一言で言えば、西洋音楽の基本中の基本、ポリフォニーを弦楽器4つでシンプルに描き尽すということではないかということです。何を今更と思われるかもしれませんが、理屈ではなく、実感として体で“分かった”んです。まあ、素人のたわごととして聞いてください。それはハーゲン・カルテットの精妙とも思える真摯な演奏を通じて、saraiの頭の中にイメージとして浮かび上がりました。弦楽器4つの響きが重なり合っていく様はまさに天上から降り注ぐ美の極致の世界。モーツァルト自身もこのハイドン・セットを作曲しているときに天からの啓示を受けたのでしょう。ある意味、このときに西洋音楽はその究極の姿を達成したのかもしれません。音楽自身の充足性はもうこれ以上のものを必要としていませんからね。
これ以降、ベートーヴェンから始まる西洋音楽の系譜は音楽へ精神性、ドラマ、写実、ロマンなどを付加していくことに軸足を変えていくことになります。
saraiはモーツァルトの音楽で決して感動を味わうことはありません(オペラは別です)。それはモーツァルトの音楽が純粋無垢なもの、音楽のみの存在だからです。モーツァルトの音楽で感じるのは人間的な感動ではなく、天国的な幸福感です。それが何故なのか、今日初めて、“分かった”んです。繰り返しますが、理屈ではありません。ハーゲン・カルテットの精妙な音楽のアプローチが“分からせて”くれたんです。
実はsaraiには過去にも同じような体験があります。大学時代、難解な数学の代数の本を読んでいて、論理の展開は追えるものの、その実体、意味するものがなかなか理解できませんでした。悩んでいると、ある時、不意に頭の中にイメージが浮かび上がりました。ようやく、体感として、“分かった”んです。
数学と音楽・・・人間の脳の中では同じように感じ取るもののようです。少なくとも、saraiの頭はそのようです。

ハーゲン・カルテットの名演奏を聴いて素晴らしい体験をしました。

予習したCDは以下です。

  ハーゲン・カルテット(モーツァルト弦楽四重奏曲全集)
  エマーソン四重奏団(モーツァルト・ハイドン・セット全集)
  ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団(弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465 《不協和音》のみ)

意外にこれというCDが少ないのに驚きました。世評に高いアルバン・ベルク四重奏団は以前聴きましたが、どうも相性が悪くて・・・。しかし、ハーゲンとエマーソンの素晴らしい演奏が聴けるのでよしとしましょう。ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団やバリリ四重奏団が全曲録音していてくれればよかったのに残念です。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ハーゲン・カルテット


  モーツァルト ハイドン セット II

  弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458 《狩》
  弦楽四重奏曲第18番 イ長調 K.464

   《休憩》

  弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465 《不協和音》

   《アンコール》

  弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589《プロシア王第2番》第1楽章 アレグロ

50年以上も音楽を聴いてきて、今更、モーツァルトの音楽が“分かった”なんて言っているのですから、saraiの音楽の道も厳しいようです。
もしかしたら、80歳を過ぎれば、仙人のように音楽を極めることができるのでしょうか。
まあ、所詮、素人ですから、力を抜いて、音楽を楽しむというのもありかな・・・。

明日もハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルスは続きます。



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荒れ狂う嵐!ベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルス⑥:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2013.10.1

凄まじい嵐、狂奔する精神、一体、これが音楽と言えるのかどうかも分かりません。ただただ、その嵐のもとに身を置いて、強烈な音の風と同調するのみです。ハーゲン・カルテットのベートーヴェン・チクルスのラストは想像だにしなかった恐ろしいほどの演奏で幕になりました。
後半のプログラム、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番は静かに精妙な和音で始まりました。何か、凄いことが起きそうだと感じ始めたのは第4楽章。いつもはすっと聴いてしまう第4楽章が妙に心に響いてきます。そして、第5楽章のカヴァティーナ。その優しく、悲しい旋律に心を打たれ、うっすらと涙が滲みます。この素晴らしいカヴァティーナの後には、いつものフィナーレではなく、大フーガ。そう、それしかないでしょう。このカヴァティーナの後をあっさりとしたフィナーレで閉じてはいけません。ベートーヴェンが最初に意図した通りの大フーガこそ、ふさわしい音楽です。しかし、意外におとなしい演奏で始まりました。これは静かなカヴァティーナにあまりの飛躍で大フーガを演奏すると、連続性が損なわれるという意図かもしれません。しかし、それも一時のこと。当時としては革命的であったであろう不協和音の激しい嵐が襲ってきます。不協和音が収まっても、嵐が静まることはありません。凄絶な精神の叫びが響き渡ります。もう、これは音楽という枠で捉えられない人間の原初的な精神の昇華です。厳密なソナタ形式を確立したベートーヴェン自身が、芸術の根本に立ち返って、音楽の規則や形式から自由を獲得して、自らの内面をさらけだしたものです。それをハーゲン・カルテットが芸術の使徒として、我々、聴衆に提示してくれたんだと思います。この精神の嵐に対して、saraiはもう無防備に立ち尽くし、涙がとめどなく流れ落ちるに任せるだけ。それ以上、何ができるでしょう。ベートーヴェンの魂がハーゲン・カルテットの魂を通して、saraiの魂に流れ込んできます。魂の一体化、芸術の神髄ですね。
今回のチクルスでは、正直言って、出来、不出来はありました。でも、今日のような演奏をできる団体はsaraiの知る限り、誰もいません。きっぱりと断言できます。恐ろしいほどの実力を持った弦楽四重奏団であることをはっきりと思い知らされました。ベートーヴェン後期の3曲の弦楽四重奏曲、第13番、第14番、第15番は不滅の音楽ですが、それらをハーゲン・カルテットが超絶的なレベルで演奏してくれました。これらを聴いたのはsaraiの人生の財産とも言えます。彼らのCDを販売していましたが、ある意味、恐くて聴けそうにもないというのが正直なところ。いつの日か、気持ちも落ち着いたら、聴いてみましょう。

これ以上、もう書けませんが、今日のプログラムだけは紹介しておきます。

弦楽四重奏曲第9番ハ長調Op.59-3《ラズモフスキー第3番》

《休憩》

弦楽四重奏曲第13番変ロ長調Op.130 + 大フーガ 変ロ長調Op.133

そうそう、このコンサートは今年のベストをハイティンク+コンセルトヘボウ管のブルックナー交響曲第8番と競うことになりそうです。今年は本当に音楽の当たり年でとても嬉しい!!

なお、これまでのチクルスについては、前期シリーズの1日目はここ、2日目はここ、3日目はここ、そして、後期シリーズの1日目はここ、2日目はここをご覧ください。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

09/16 13:52 たかぼん

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai
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