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コロナ禍の聖金曜日に心に沁みるマタイ受難曲のコラール:バッハ・コレギウム・ジャパン@サントリーホール 2021.4.2

今日は長い一日になりました。1時過ぎに新国立劇場に行って、オペラのゲネプロを聴き、そのまま、サントリーホールに移動して、6時ごろに到着。バッハ・コレギウム・ジャパンの恒例の聖金曜日のマタイ受難曲を聴いて、サントリーホールを出たのは10時ごろ。全部で9時間くらいを費やして、正味6時間ほど、音楽に浸りました。

新国立劇場のオペラのゲネプロはストラヴィンスキーの《夜鳴きうぐいす》とチャイコフスキーの《イオランタ》の2本立て。特に《イオランタ》が素晴らしくて、感動で涙が出ました。その感想は明日書くことにして、今日はバッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲について、感想を綴ってみます。やはり、聖金曜日の音楽はその日にその感動を書きたいですからね。昨年はコロナ禍のために聖金曜日に聴くことがかなわず、延期になって、真夏のマタイになってしまいました。聖金曜日にマタイを聴くのは2年ぶりです。来年も再来年もずっと聖金曜日にBCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のマタイを聴ければ、この上ない幸せです。

今日だけはsaraiは己のおかしてきた罪や恥ずべき行いを省みながら、バッハの神聖な作品に向き合います。宗教の枠を超えて、自分にそう思わせるような破格の音楽です。うなだれながら聴き入るsaraiを優しく慰撫してくれるのは、マタイ受難曲の中核をなすコラールの数々です。中でも5回登場する受難コラールは西洋音楽の最高峰であるマタイ受難曲の中で、音楽を超える力を持つ特別のものです。BCJは合唱と器楽のありったけの力でこの受難コラールを歌い上げてくれます。それも5回とも表現を変えながら、最高のものをもたらしてくれます。特に4回目に登場する第54曲(第63曲)のコラール「おお、血と涙にまみれし御頭」の極限に至るような美しさは格別でした。繰り返しでぐっと抑えた表現の優しさはまるでコロナ禍で苦しむ全人類を慰撫するかのようです。最後の5回目の登場はイエスが十字架で亡くなった直後に歌われます。
第62曲(第72曲)の コラール「いつの日かわれ去り逝くとき」です。このフリギア旋法で歌われるコラールは弔いの歌にしか聴こえません。死すべき運命にあるすべての人々に優しく救いをもたらすようにしみじみと歌われます。頭を垂れて、じっと聴き入りました。BCJの最高の音楽です。これを聴ければ、また、来年まで、心穏やかに生きていけるような気がします。

コロナ禍で日本人だけでの演奏になりましたが、BCJの実力はますます底上げされて、海外演奏家が参加できないギャップをはねのけてくれます。もともと器楽奏者たちは名人揃いですから、素晴らしい演奏です。今年は配置も普通の間隔に密集したせいか、昨年よりも無理のない演奏です。合唱隊も同様です。合唱もアリアもすべて素晴らしかったのですが、今年のベストの演奏は第49曲(第58曲)のソプラノのアリアです。菅きよみのフラウト・トラヴェルソのソロが主導して、アウス・リーベAus Liebe、ヴィル・マイン・ハイラント・シュテルベンWill Mein Heiland Sterben(愛故にわが救い主は死にたまわんとす)とソプラノの森麻季が歌い上げます。あえて、ソプラノの森麻季がステージの奥でひっそりと歌っていたのが印象的です。終盤に「アウス・リーベ」(愛故に)が幾度も繰り返されるところの清澄さには胸を撃たれました。菅きよみのフラウト・トラヴェルソの朴訥とした響きも見事です。

今年から、マタイの指揮は鈴木雅明から息子の鈴木優人にバトンタッチ。父親とはまた違う表現で最高の演奏を聴かせてくれました。あっ、やはり、エヴァンゲリストの櫻田 亮の美声と卓抜な表現力には触れておかないといけませんね。BCJの最新のCDでは彼がエヴァンゲリストを歌っていませんが、是非とも、櫻田 亮がエヴァンゲリストを歌うBCJ3回目のCDの録音を願わざるを得ません。

来年のBCJのマタイ受難曲の演奏が今から楽しみです。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木優人
  エヴァンゲリスト:櫻田 亮
  イエス:加耒 徹
  ソプラノ:森 麻季、松井亜希
  アルト:久保法之、青木洋也
  テノール:櫻田 亮、谷口洋介
  バス:加耒徹、加藤宏隆
  フラウト・トラヴェルソ/リコーダー:菅きよみ
  オーボエ:三宮正満
  ヴァイオリン(コンサートマスター):若松夏美、高田あずみ
  チェロ:山本徹
  ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢宏
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. バッハ

マタイ受難曲 BWV 244

第1部

 《休憩》

第2部


最後に予習について、まとめておきます。

以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2019年4月 彩の国さいたま芸術劇場 セッション録音
  ベンヤミン・ブルンス(エヴァンゲリスト)
  クリスティアン・イムラー(バスI/イエス)
  キャロリン・サンプソン(ソプラノI)
  松井亜希(ソプラノII)
  ダミアン・ギヨン(アルトI)
  クリント・ファン・デア・リンデ(アルトII)
  櫻田 亮(テノールI)
  ザッカリー・ワイルダー(テノールII)
  加耒 徹(バスII/ユダ/ピラト/大祭司カヤパ/祭司長I)
  鈴木優人(オルガン)

旧盤も素晴らしい演奏でしたが、新盤は録音もよく、よりロマンティックな演奏になっています。予習の時間が取れず、慌てて、前日の18時から聴きだして、21時までかかり、それまで夕食を待ってくれた配偶者に感謝です。



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バッハ・コレギウム・ジャパン、創立30周年を締めくくる入魂のヨハネ受難曲@サントリーホール 2021.2.19

創立30周年を迎えたバッハ・コレギウム・ジャパン(以下、BCJと略称で書きます)ですが、コロナ禍でコンサートが危ぶまれましたが、無事にバッハの3大宗教曲を本日のヨハネ受難曲の演奏を持って、やり終えました。
聖金曜日から真夏に延期になった《マタイ受難曲》の最高の名演に続き、ロ短調ミサ曲もポリフォニーの極致を極める清冽で迫力のある音楽を聴かせてくれました。この2つはバッハと言うよりも、西欧音楽の頂点に立つ作品です。今日のヨハネ受難曲はその2曲に比べると、曲の構成、オーケストラと合唱隊の構成が小さくて、地味な印象ですが、BCJは創立以来、この曲を得意にしており、世界的にも最高水準の演奏を続けています。そういう意味でとても期待が持てます。それに白状するとsaraiは実演でこの曲を聴くのは初めてなんです。
で、結論を先に述べると、マタイ受難曲、ロ短調ミサ曲に並び立つ素晴らしい演奏でした。演奏自体だけで言うと、まさにBCJの名人たちがその持てる力を出し尽くしたとも言える入魂の演奏でした。

BCJの総力を挙げた演奏でしたが、その演奏の素晴らしさの原動力を3つ、挙げるとすると、第一にエヴァンゲリストを歌った櫻田 亮の美声とテクニックの巧みさ、さらには気魄の凄さに驚嘆しました。これはマタイ受難曲のとき以上と言えます。これだけ歌える人は世界中探してもいないでしょう。
2番目は合唱隊の素晴らしさです。特にコラールの美しさは例えようもありません。このコラールを聴くだけでもヨハネ受難曲を聴く甲斐がありました。バッハの音楽の最高峰はマタイとヨハネの2つの受難曲のコラールではないかと思ってしまいます。どんなささくれた気持ちも癒されてしまいます。BCJの合唱隊のコラールは西洋音楽の原点を衝くものです。
3番目は指揮者の鈴木雅明のバッハへの情熱です。それがBCJの全員に伝わっての名演につながっています。

以上が今日の演奏の総括ですが、どうしても書きたいところに絞って何点かを挙げます。

第30曲のアルトのアリア、成し遂げられた!Es ist vollbracht !
ヴィオラ・ダ・ガンバの美しい響きに乗って、CTの久保法之があり得ないような歌唱を聴かせてくれました。失礼ながら、持てる実力の150%くらいの美し過ぎる歌唱でした。これなら、海外のCTに引けをとりませんし、BCJのCDで聴ける米良の歌唱にも優るとも劣らないという絶唱でした。

この第30曲に続く10曲は素晴らし過ぎる演奏ばかりです。

第32曲のアリアとコラール、尊い救い主よ、お尋ねしてよろしいでしょうかMein teurer Heiland,lass dich fragen
今日、好調の加耒 徹の張りのある歌唱は素晴らしいです。そのバックで合唱隊が低い音量で歌うコラールの何とも美しいことに感銘を覚えます。この味わいは実演ならではでしょう。

第35曲のソプラノのアリア、わが心よ、涙となって融け流れよZerfließe, mein Herze, in Fluten der Zähren
これは今日の最高の演奏でした。BCJの達人たちが総結集した名演です。弱音器を付けたヴァイオリンの若松夏美、フラウト・トラヴェルソの菅きよみ、オーボエ・ダ・カッチャの三宮正満、オルガンの鈴木優人、チェロの山本徹の素晴らしいアンサンブルをバックにソプラノの松井亜希が畢生の歌唱を聴かせてくれました。正直言って、彼女がこんな素晴らしい歌唱を聴かせてくれるとは衝撃でした。ピュアーな声と素晴らしい節回し、それに完璧とも思える曲の理解。ここまで歌えるソプラノだったとは・・・絶句です。


第39曲の合唱、安らかに眠ってください、聖なる骸よRuht wohl, ihr heiligen Gebeine
マタイ受難曲の終曲と類似した音楽が素晴らしい合唱で聴けます。聴き惚れるだけです。

第40曲のコラール、ああ 主よ、あなたの愛する天使を遣わされAch Herr, las dein lieb Engelein
BCJの合唱隊が持てる喉の最後の力を振り絞ったような感銘あふれる終曲です。

コロナ禍で海外からの独唱者が来日できず、日本人メンバーだけでの演奏になりましたが、そういうことを払拭するような最高の演奏でした。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木雅明
  エヴァンゲリスト:櫻田 亮
  イエス/バス:加耒 徹
  ソプラノ:松井亜希
  アルト:久保法之
  テノール:谷口洋介
  オルガン/チェンバロ:鈴木優人
  フラウト・トラヴェルソ:菅きよみ
  オーボエ:三宮正満
  ヴァイオリン(コンサートマスター):若松夏美
  チェロ:山本徹
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. バッハ

《ヨハネ受難曲》 BWV 245

第1部

 《休憩》

第2部


最後に予習について、まとめておきます。

以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン
  ゲルト・テュルク(福音史家)、浦野智行(イエス)
  イングリット・シュミットヒューゼン、米良美一、桜田亮、ペーター・コーイ
   1998年4月、神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音

バッハ・コレギウム・ジャパンのデビュー録音もヨハネ受難曲でしたが、これはその3年後のBIS録音です。さらにこの2年後には映像版も収録されています。昨年、2020年、コロナ禍のヨーロッパで演奏旅行中に演奏会を断念したケルンでこの曲の3回目のCD録音も行っています。今回は名演の誉れ高い1998年のCDを聴きましたが、昨年の新録音は所蔵するもまだ聴いていません。ヨハネ受難曲はBCJの十八番です。楽しみはとっておきましょう。



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ベートーヴェン・イヤーの最高の音楽、ミサ曲ハ長調:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2020.11.28

後半に演奏されたベートーヴェンのミサ曲ハ長調は実は初聴きでしたが、その人間的な共感に満ちたミサ曲は隠れた傑作であることを実感しました。BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)の演奏も最高に素晴らしく、大きな感銘を覚えました。ベートーヴェンはこの1曲しか残さなかったとしても、音楽史に残る大作曲家として名前を刻んだと確信しました。今後、この作品は演奏機会が増えて、再評価されることは間違いないでしょう。

冒頭のキリエの「キリエ・・・」という歌い出しの響きの見事さに魅了されて、あとはすっかりと感銘を覚え続けて、聴き惚れました。まずはBCJの合唱の素晴らしさに触れないといけないでしょう。コロナを意識した配置なのでしょうが、舞台の最後方にずらっと並んだ合唱団はBCJとしては大規模な合唱隊の人数です。部隊前方に配置したオーケストラを飛び越えて、合唱の圧倒的な響きがホールに満ちてきます。左右に大きく展開した合唱のステレオ効果も素晴らしいものです。特にバスパートとソプラノパートという低域と高域の響きの素晴らしさが群を抜いています。
4人の独唱者の歌唱も素晴らしく、ソロでの歌唱も4人の重唱も見事です。ソプラノの中江 早希とアルトの布施奈緒子の女声の素晴らしさにとりわけ、魅了されました。そして、独唱者たちと合唱の融合も素晴らしく、BCJの魅力は声楽にあると実感しました。
無論、名人たちの集団であるオーケストラも素晴らしかったことは言うまでもありませんが、今日に限っては声楽パートのサポートの役割を見事に担ったと感じました。時折、木管の鄙びた響きに心が震えることはありましたし、対向配置のヴァイオリンの響きにもたびたび耳を喜ばせてもらいました。
第1曲のキリエの清らかな音楽、それ以降の人間的な感情のストレートな発露は中期のベートーヴェンの素晴らしさを感じました。ユニゾンを中心とするシンプルな音楽構成はベートーヴェンの別な一面を聴いた思いです。苦渋に満ちたとも言える後期のベートーヴェンはもちろん最高ですが、直截的な中期のベートーヴェンの音楽も心に響きます。そういうベートーヴェンの素晴らしさを見事に表現した鈴木 雅明の指揮もそのシンプルさで光彩を放っていました。バッハ、ヘンデルなどのバロックでの彼の素晴らしさはもちろんですが、古典派以降の音楽でもその才能を発揮してくれそうです。次はシューベルトあたりを聴いてみたくなりました。

そうそう、前半の交響曲第5番はオリジナル派の鄙びた響きでしたが、テンポもスタンダードで好もしい演奏でした。同時期に作曲されたミサ曲ハ長調とは相性のよい選曲ですね。交響曲第5番のアン・デア・ウィーン劇場での公開初演でもミサ曲ハ長調の抜粋が演奏されたそうで、その歴史も踏まえた選曲だったのでしょう。ただ、今日の主役はもちろん、ミサ曲ハ長調でした。アン・デア・ウィーン劇場で同時に初演された合唱幻想曲を選曲してくれたら、もっとよかったのですけどね。

いずれにせよ、コロナで滅茶滅茶になったベートーヴェンの生誕250周年でしたが、このミサ曲ハ長調を聴けたのは最高の収穫でした。
なお、最後に鈴木 雅明氏がマイクをとり、簡単にミサ曲ハ長調とハイドンとの関係をレクチャーし、アンコールでハイドンのミサ曲の一部を演奏してくれました。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木 雅明
  ソプラノ:中江 早希
  アルト:布施奈緒子
  テノール: 櫻田 亮
  バス:加耒 徹
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン (コンサートマスター:寺神戸 亮)


L. v. ベートーヴェン

 交響曲第5番 ハ短調 Op.67

 《休憩》

 ミサ曲 ハ長調 Op.86

 《アンコール》

 ハイドン:神の聖ヨハネのミサ・ブレヴィス(小オルガン・ミサ 変ロ長調) Hob.XXII:7 より 《アニュス・デイ》


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの交響曲第5番は以下のCDで予習をしました。

  ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク 1994年3月 バルセロナ、カタルーニャ音楽堂 ライヴ録音

オリジナル演奏で聴いてみました。音の響きは豊かであまりオリジナル演奏を感じませんが、テンポがきびきびと早い演奏。やはり、saraiは古い人間ですから、違和感を覚えました。


2曲目のベートーヴェンのミサ曲 ハ長調は以下のCDで予習をしました。

  マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団、サンフランシスコ交響合唱団
   ジョエル・ハーヴェイ(ソプラノ)
   ケリー・オコナー(メゾ・ソプラノ)
   ウィリアム・バーデン(テノール)
   シェンヤン(バス・バリトン)
        2014年1月15日-18日 デイヴィス・シンフォニー・ホール、サンフランシスコ ライヴ録音

モダン演奏ですが、マイケル・ティルソン・トーマスの素晴らしい指揮で最高のベートーヴェンを堪能させてくれます。ソプラノのジョエル・ハーヴェイの美声に魅了されます。



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素晴らしいヘンデル《リナルド》の上演 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2020.11.3

今年は結局、これが唯一、鑑賞するオペラになってしまいました。オペラの鑑賞を始めて、こんな年はこれまでありません。恐るべし! コロナ・・・。
そもそも、オペラは基本、ヨーロッパに遠征して鑑賞してきたので、今年のようにヨーロッパ遠征を中止せざるを得なかったので、当然の結果です。本来はウィーン国立歌劇場のチケットを買ってありました。ベートーヴェンイヤーなので、《フィデリオ》ほかを鑑賞する予定でした。ぶつぶつ・・・。

しかし、今日のオペラは期待した以上の出色の出来でした。バロックオペラはやはり、オーケストラがよくなくてはいけませんが、さすが、BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)の名人プレーヤー集団は見事な演奏でした。コンミスの若松夏美率いる弦楽パート、チェロの山本徹などの通奏低音、オーボエの三宮正満を中心とした管楽パート、いずれも素晴らしい演奏で、ヘンデルの管弦楽曲を堪能させてくれました。このレベルの演奏はヨーロッパでもなかなか聴けません。歌手と器楽ソロが絶妙に絡むところは最高でした。とりわけ、オーボエの三宮正満の素晴らしい演奏といったら、超絶的とも思えます。そうそう、フラジオレットというリコーダーの小型のような楽器は初めて聴きましたが、素晴らしい音色、響きでした。

これに海外から招聘した歌手が加われば、万全の筈でしたが、今日はもちろん、全員、日本人歌手です。しかし、代役の日本人歌手も十分な歌唱で満足の出来でした。ソプラノのレイチェル・ニコルズだけは何としても聴きたかったのですが、代役の中江早希が素晴らしい声量の歌唱で満足させてくれました。やはり、森麻季はいいですね。だんだん、聴くたびに成長しているのが分かります。文句なしの出来栄えでした。リナルド役の代役となった藤木大地もCTとして美声を聴かせてくれました。saraiの好みの声の響きなので、何も問題ありません。アルガンテ役の大西宇宙も素晴らしいバリトンの声を聴かせてくれました。そうそう、セイレーン役の松井亜希と澤江衣里はBCJのお馴染みのメンバーですが、この役にはもったいないほどの歌唱を聴かせてくれました。

こういうレベルのバロックオペラが日本で聴けるのなら、お隣の新国立劇場で定期的にやってもらいたいものです。ヨーロッパのオペラハウスでもバロックオペラはバロックアンサンブルがピットに入っています。まあ、このオペラシティでセミ・ステージ形式でやってもらっても問題はありませんが、頻繁にバロックオペラを聴きたいというだけのことです。年間、3つか4つくらいやってくれればと念願します。


今日のプログラムは以下です。

 ヘンデル 歌劇 ≪リナルド≫ HWV7a 1711年版 <全3幕> セミ・ステージ形式・イタリア語上演・日本語字幕付

  指揮・チェンバロ:鈴木優人
  演出:砂川真緒
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン  コンサートマスター:若松夏美

  アルミレーナ:森麻季(ソプラノ) / アルミーダ:中江早希(ソプラノ) / 魔法使い:波多野睦美(アルト)
  リナルド: 藤木大地(カウンターテナー) / ゴッフレード:久保法之(カウンターテナー) / エウスタツィオ:青木洋也(カウンターテナー)
  アルガンテ:大西宇宙(バリトン)
  使者:谷口洋介(テノール) / セイレーン(人魚たち):松井亜希(ソプラノ) / セイレーン(人魚たち):澤江衣里(ソプラノ)


最後に予習について、まとめておきます。

以下の放送録画を視聴しました。

 ヘンデル 歌劇《リナルド》 グラインドボーン音楽祭 2011

  リナルド:ソニア・プリーナ
  アルミレーナ:アネット・フリッチュ
  アルミーダ:ブレンダ・ラエ
  アルガンテ:ルカ・ピサローニ

  演出:ロバート・カーセン
  指揮:オッターヴィオ・ダントーネ
  エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団

  2011年8月、イギリス、グラインドボーン歌劇場、グラインドボーン音楽祭(ライヴ)
 
何と言ってもロバート・カーセンの演出が面白くて、なかなかの出来です。学校の教室を舞台にオペラが演じられます。歌手も個性的な歌唱を聴かせてくれます。



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究極のポリフォニー音楽、ロ短調ミサ曲は平和を希求する!:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2020.9.20

今年はバッハ・コレギウム・ジャパンの創立30周年の年で、バッハの3大宗教曲が演奏されます。8月の素晴らしかったマタイ受難曲に続いて、今日はロ短調ミサ曲。この二つは特別な音楽で、西欧音楽の頂点に立つ作品です。コロナ禍の会場は人数が半数以下に制限されましたが、バッハをこよなく愛する聴衆が詰めかけました。そして、それにふさわしい最高の演奏を聴くことができました。

ステージ上は演奏者間の距離を開けるため、ステージをフルに使った配置。最後列はオーケストラが弧状に1列に並び、その前に合唱隊が2列に並びます。合唱隊の前列はソプラノとアルト。後列はテノールとバスです。前回のマタイ受難曲と同様の配置ですが、音の響きの広がりが素晴らしく、納得の響きです。演奏者間の距離が広がり、合わせるのが難しい筈ですが、名人たちの集団はこの配置の演奏を完璧にマスターしたようです。コロナ禍の賜物ですが、今後もこの配置がよいのではと思ってしまいます。

今日の演奏は、何と言っても、合唱のフーガの演奏の素晴らしい響きが聴きもので、合唱、古楽オーケストラ、通奏低音のポリフォニーの極致を極める清冽で迫力のある音響に魅せられました。海外演奏家の来日が遠のいている現在、日本人だけの演奏で世界最高レベルのバッハが聴けるのは何と嬉しいことでしょう。

今日の演奏をかいつまんで概観してみましょう。

第1部. ミサ(キリエ (Kyrie)とグロリア (Gloria))

第1曲はKyrie eleison . 五部合唱です。まず、冒頭のキリエと歌われる合唱の素晴らしい響きに魅了されます。その後、器楽合奏を挟み、素晴らしい合唱のフーガが展開され、そのフーガの織りなす綾とそれを支える通奏低音の響き、古楽器のオーケストラの響きが混然一体にになり、ポリフォニーの究極を味わわせてくれます。こんな音楽はほかにありません。

第2曲はChriste eleison. 二重唱(ソプラノ1、2)です。ヴァイオリンの明澄な響きに乗って、ソプラノの美しい響きが聴けます。澤江衣里の美しい声はまずまずです。

第3曲はKyrie eleison. 四部合唱です。これは終始素晴らしい演奏。第1部では最高の演奏でした。合唱のフーガの素晴らしさに圧倒されました。感動でうるうる状態になります。

第4曲はGloria in excelsis. 五部合唱です。トランペットが響き渡り、晴れやかな合唱に心が浮き立ちます。終盤の高潮は圧倒的です。

第5曲はEt in terra pax. 五部合唱です。平和を希求する静謐とも思える音楽に深い感銘を覚えます。

第6曲はLaudamus te. 若松夏美の素晴らしいヴァイオリンオブリガートに聴き惚れます。そのヴァイオリンに先導されて、アリア(ソプラノ)が歌われます。澤江衣里の美しい声にうっとりとします。

第7曲はGratias agimus tibi. 四部合唱です。相変わらず、素晴らしい響きです。その響きの明澄さに心洗われる思いです。

第8曲はDomine Deus. 二重唱(ソプラノ、テノール)です。フラウト・トラヴェルソの明澄で素朴な響きが最高です。菅きよみ、前田りり子のコンビの演奏は見事です。

第9曲はQui tollis peccata mundi. 四部合唱です。しみじみとした感動の合唱です。

第10曲はQui sedes ad dexteram Patris. 三宮正満の名人芸のオーボエ・ダモーレに聴き惚れます。オーボエ・ダモーレに伴奏されて、アリア(アルト)が歌われます。布施奈緒子の歌唱はまずまずです。

第11曲はQuoniam tu solus sanctus. 日高剛の素晴らしいコルノ・ダ・カッチャのオブリガートが素晴らしいです。コルノ・ダ・カッチャはホルンの古楽器で、演奏が超難しそうです。アリア(バス)は加耒 徹の歌唱ですが、これもまあまあですね。

第12曲はCum Sancto Spiritu. 五部合唱です。第1部の最後を飾る壮麗な音楽です。終盤の圧倒的なアーメンに感動します。

ここで休憩です。後半は第2部以降です。後半は前半以上の素晴らしい音楽でした。細部の感想は省略します。力尽きました。


第2部. ニケーア信経 (Symbolum Nicenum)

第3部.サンクトゥス(Sanctus)

第4部.ホザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイとドナ・ノビス・パーチェム(Hosanna, Benedictus, Agnus Dei)

後半の合唱は前半と同様の感想ですが、ますます、素晴らしい響きでした。ベネディクトゥスのテノールの西村 悟のアリアは素晴らしいですが、それ以上にフラウト・トラヴェルソの菅きよみの独奏は素晴らしいの一語。アニュス・デイの布施奈緒子のアリア歌唱も美しいものでした。圧巻だったのは最後の第27曲の合唱。Dona nobis pacem.(我らに平和を与えたまえ)。清澄さの限りを尽くした最高の歌唱はバッハの名作を締めくくるのにふさわしいものでした。最後はトランペットも加わって、全器楽と合唱が高らかに平和を願いながら、壮麗に音楽を閉じました。


BCJのロ短調ミサ曲がこんなに素晴らしいのだったら、マタイ受難曲と同様に毎年、演奏してもらいたいものです。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木 優人
  ソプラノⅠ:澤江衣里
  ソプラノⅡ:松井亜希
  アルト:布施奈緒子
  テノール:西村 悟
  バス:加耒 徹
  フラウト・トラヴェルソ:菅きよみ、前田りり子
  オーボエ:三宮正満、荒井豪、森綾香
  コルノ・ダ・カッチャ:日高剛
  ヴァイオリン(コンサートマスター):若松夏美
  チェロ:山本徹
  ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢宏
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. バッハ

《ミサ曲 ロ短調》 BWV 232

第1部

 《休憩》

第2部~第4部


最後に予習について、まとめておきます。

3枚組のLPレコードを聴きました。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団 1961年
  マリア・シュターダー、ヘルタ・テッパー
  エルンスト・ヘフリガー、キート・エンゲン、
  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

かなり古い演奏ですが、今でもその価値は永遠のものです。独唱者の顔ぶれが凄いです。このLPレコードとリヒター盤のマタイ受難曲のLPレコードを聴くためにレコードプレーヤーと真空管アンプを持っているようなものです。



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sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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