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ヒラリー最高! ヒラリー・ハーン、ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル@宮崎芸術劇場・アイザックスターンホール 2018.12.16

長年のヒラリー・ハーンのファンとしては一時不調だったヒラリーが復活して、また、高みを目指し始めた姿を目の当たりにして嬉しくなりました。今回の日本ツアーでは初回と2回目のオペラシティでのバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの全曲を聴き、そして、ラストコンサートとなる今日の宮崎芸術劇場でのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を聴く場に駆け付けられて、とても満足です。今日の演奏はヒラリーの個性的なヴァイオリンの響きで聴ける最上のモーツァルトでした。もっとモーツァルトを得意にするヴァイオリニストはいますが、やはり、ヒラリーのファンとしては、彼女ならではのモーツァルト演奏が聴けるのは無上の喜びです。これまでの彼女のモーツァルト演奏では最高のものを聴かせてもらいました。優雅で格調高い演奏は無類のものでした。とりわけ、第3楽章のノリと熱い演奏は素晴らしかったです。とは言え、まだまだ、彼女のモーツァルト演奏は上を目指す余地も残されているでしょう。誰にも真似できないヒラリーのモーツァルト演奏の完成に向けて、一層の精進を期待したいと思います。
アンコールではつい10日ほど前に聴いたばかりのバッハの無伴奏ソナタを聴かせてもらいましたが、やはり、これは素晴らしいです。モーツァルトを弾いたときには天使に思えたヒラリーがバッハではミューズの如き、全能の存在に思えます。次回の来日時には、さらなる進化を遂げていることを疑いません。
これで前半のプログラムが終わり、今回のコンサートに足を運んだ目的を果たすことができました。

後半のシューベルトの交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」は失礼ながら、ある意味、おまけのようなものです。パーヴォ・ヤルヴィと相性の悪いsaraiとしては、ほとんど期待していない演奏です。
ところがです。これまでに結構、パーヴォ・ヤルヴィの指揮は聴いてきましたが、今回は最高の演奏でした。ロマン派の交響曲の幕開けとも言える、この傑作を見事に表現してくれました。ベートーヴェンが完成した古典派の交響曲を引き継ぎ、詩的な要素をふんだんに盛り込んで、新しい道を示した記念碑的な作品の歴史的な意義を十分に表現して、さらにはベートーヴェンの交響曲第7番との関連性や交響曲第9番からの発展を示してくれました。さらに交響曲史で連なっていく、シューマン、ブラームス、ブルックナーへの展望も内包したような演奏は見事なものでした。演奏内容では、とりわけ、第4楽章の喜びやロマンの躍動の魅力に満ちた演奏は最高でした。

ちなみに、このシューベルトの最後の交響曲はチロルの温泉地のバード・ガシュタインBad Gasteinに滞在中にスケッチされたというのが最近は有力視されています(つまり、幻のグムンデン=ガシュタイン交響曲の正体はこの交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」であろうということです)。プライベートなことですが、昨年、ザルツブルク音楽祭に行った際、その合間を縫って、このバード・ガシュタインに温泉を楽しむために訪れました。現在、当ブログでは、その際の訪問記をちょうど書いているところです。なんだか、不思議な暗合になったようで、嬉しくなります。

また、今年は特にシューマンに興味を持った年でsaraiにとって、《シューマンの年》のような感じです。つい先日まで、シューマン研究の学徒である前田 昭雄氏の書いた著書≪シューマニアーナ≫を読んでいました。その中でシューマンとこのシューベルトの交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」の関わり合いについて詳述されていました。シューマンがウィーンでフランツ・シューベルトの兄フェルディナンドを訪れ、手つかずになっていたフランツの書斎を見せてもらい、そこで埋もれていた交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」の楽譜を発見して、ただちに盟友のメンデルスゾーンのもとにそれを送って、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスで初演したのは有名な話です。シューマンがほどなく、その演奏を聴き、感激して、その夜、クララ・ヴィーク(まだ、クララとは結婚前)に手紙を書き、自分の理想とすることは、クララとの結婚と自分の交響曲を書き上げることだと告げます。そして、翌年の1840年にシューマンはクララとの結婚を果たし、さらに翌年の1841年には最初の交響曲第1番≪春≫を書き上げて、自分の理想を現実にします。ある意味、シューマンの人生が一番、輝いた時期でした。その中心にあったのは、このシューベルトの作品です。それなしにシューマンの交響曲は成立しなかったかもしれません。

色んな意味で今日、この作品の素晴らしい演奏を聴いたことはsaraiにとっての必然であったのかもしれないと密かに夢想しています。


今日のプログラムは以下です。

 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
 ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
 管弦楽:ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 「トルコ風」K.219
  《アンコール》 バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005 から 第4楽章 アレグロ・アッサイ Allegro assai

  ≪休憩≫

 シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」D944

  ≪アンコール≫
   シベリウス:悲しきワルツ Op.44-1


最後に予習について、まとめておきます。

モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲を予習したCDは以下です。今更、予習は必要ありませんけどね。

  オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団 1964年録音

重々しい部分と軽やかな部分がくっきりと表現された落ち着いた演奏です。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番を予習したCDは以下です。

 ヒラリー・ハーン、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル 2012年12月4&5日 ドイツ、ブレーメン
 アンネ・ゾフィー・ムター(Vn,指揮) ロンドン・フィル 2005年7月 ロンドン、アビーロード第1スタジオ

ヒラリー・ハーンはいかにも彼女らしい一途な美音を通したモーツァルトです。ヒラリーの信念の先にあるベストのモーツァルトです。まだ、完成形には至っていないかもしれませんが、現在のヒラリーの精華のような演奏です。一方、アンネ・ゾフィー・ムターのモーツァルトは相変わらず、ユニークな演奏で耳をとことん楽しませてくれます。ある意味、異形のモーツァルト演奏ですが、魅力がたっぷり詰まっています。二人の演奏を聴いて、色んな形のモーツァルトがあるのだと改めて実感させられました。

シューベルトの交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」を予習したCDは以下です。

  レナード・バーンスタイン指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1987年10月録音

久しぶりに聴き直しましたが、安定していながら、熱情・ロマンに満ちた魅力的な演奏です。フルトヴェングラーのとんでもない名演はありますが、音質などを考慮した総合力では十分にわたりあえる録音です。



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ヒラリー・ハーンの思い出・・・初めて聴いたのはいつ?

12月3日・5日のバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲演奏コンサートでsaraiの10年来の夢が完結しました。10年来の夢というのは、ヒラリー・ハーンのコンサートを聴き始めて、10年以上が経過したということです。それでは、ヒラリーの実演を初めて聴いたのはいつのことだったんでしょう。どうも思い出せません。ブログを書き始めてからの記事を見ると、今回の2回のリサイタルを含めて、13回聴いています。初めて、ちゃんとした記事を書いたのは2010年5月30日、東京芸術劇場でペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団と共演したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のコンサートです。因みにその時のアンコール曲が昨日と同じアンコール曲、パルティータ第1番のサラバンダでした。(ヒラリー・ハーンのすべての記事はブログの左側のインデックスのヴァイオリンのカテゴリから、ヒラリー・ハーンをクリックしてください。) でも、それ以前から、確かにヒラリー・ハーンは聴いています。ブログの記事を探索すると以下の記事の断片を発見しました。

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まずは、ヒラリー・ハーンの来日「ヴァイオリン・リサイタル」。

 1月9日 横浜みなとみらいホール
     イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタから
     アイブス:ヴァイオリン・ソナタから
     バルトーク:ルーマニア民俗舞曲から
     ほか

 saraiは熱狂的なヒラリ-ファンです。でも、最近のヒラリ-は聴く度に演奏の精度を上げ、さらに期待を上回る演奏で感動させてくれます。特に研ぎ澄まされたヴァイオリンの音色はヒラリーにしか出せないもので、その音色で完璧な技巧のもとに彼女独自の解釈した音楽を繰り広げてくれるのですから、まったく脱帽です。
 イザイの曲は技巧的にも難しい曲ですが、なんなく弾きこなし、感銘を受けました。アイブスは今回初めて聴く曲で事前にCDで予習しましたが、これまた、素晴らしい演奏。バルトークはお馴染みの曲で、彼女がどんな風に弾くのか興味がありましたが、意外にバルトークそのものって感じという演奏。
 全体として、非常に充実したリサイタルでヴァイオリンの魅力に満ちており、割に耳慣れない曲が多かったのですが、聴覚が喜ばされる感覚で満足!満足!
 既に来年来日予定のサローネン+フィルハーモニア管とのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のコンサートのチケットを入手し、待ち遠しく思っています。
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上記は2009年1月9日、横浜みなとみらいホールでのリサイタルですね。

その前はいつだったのか・・・記憶の奥底を探し回ります。ふっと記憶が蘇ります。誰かとヒラリー・ハーンのことを会話しました。だんだん、記憶が明確になってきます。ヨーロッパへの旅に向かう飛行機で隣にたまたま座っていたsaraiよりも随分若い男性との会話です。その男性がとんでもないクラシック音楽好きでヨーロッパにオペラを聴きに行くということで話がお互いのオペラのことで盛り上がったんです。ただ、saraiは普通のメジャーなオペラハウス、彼は地方のマニアックなオペラハウスということで、彼はsaraiに優る音楽愛好家だったんです。彼はスーツを着ていて、荷物は小さなアタッシェケースのみ。アタッシェケースには下着の着替えとPCだけが入っていて、大きな荷物は預けていないそうです。ヨーロッパのローカル空港への飛行機に乗り継ぐときに荷物があると短い乗り換え時間では問題が起こるからとのことです。飛行機の中でもスーツを着ているのは、そのまま、オペラハウスに駆け付けるためだそうです。ヨーロッパでは各地のローカルなオペラハウスを連日、飛行機で駆け巡るのだそうです。印象的だったのは、ベルクのルルを聴くと言っていたことです。その頃はまだ、saraiはベルクのオペラを聴いたことがありませんでした。で、その時、話題に上ったのがヒラリー・ハーンのことでした。ヨーロッパからの帰国後すぐにヒラリーのリサイタルを聴く予定でしたが、彼も聴くと言っていました。また、その会場、オペラシティでお会いしましょうというのがお別れの言葉でした。結局、オペラシティでは彼の姿を見ることはありませんでした。以来、我が家では彼のことを《達人》と呼称して、敬っています。
その旅はどの旅だったのか。2005年のゴールデンウィーク、北イタリアとウィーンを訪れた旅でした。旅の概要は以下です。

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2005年のゴールデンウィークをフル活用して、北イタリア(ベネチア~ボローニャ~フィレンツェ)からウィーンを巡る旅です。
前半の北イタリアは美術、風物を楽しみながらの鉄道の旅、後半はフィレンツェとウィーンでオペラを楽しんできました。

今回の旅の目的は、前回のイタリア訪問でカバーできなかった北イタリアの美を堪能することです。特に
・パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂のジョットのフレスコ画
・ベネチアの教会のティツィアーノの絵画「聖母被昇天」
・ラヴェンナのビザンチン文化のモザイク画群
にこだわっていました。
それにもちろん、ヨーロッパに行って、オペラを見ないで帰ることはできません。ヨーロッパに旅する目的はもともとオペラを見ることにあります。フィレンツェの5月音楽祭と無理して帰りに寄り道するウィーンでオペラを見ます。ほかでも見たかったのですが、どうしてもスケジュールが合いませんでした。

・5月5日 フィレンツェ歌劇場 歌劇「トスカ」 メータ ライモンディ,ウルマーナ,ハドック
・5月6日 ウィーン国立歌劇場 楽劇「さまよえるオランダ人」 小澤 グルントヘーバー,シュナイダー・ホフシュテッター,フィンク,ボータ
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そして、帰国後、2005年5月10日、東京オペラシティ コンサートホールで初めて、ヒラリー・ハーンのリサイタルを聴きました。ヒラリーが26歳、今から13年前でした。因みにヒラリーの初来日は2000年11月のヤンソンス指揮ベルリン・フィルに帯同してのものでした。ヒラリーは若干21歳。そのときの11月26日のサントリーホールでの公演はNHKがHI-VISION放送しましたから、D-VHSでばっちり録画しています。見事なショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の演奏でした。アンコール曲は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番のプレストでした。(ヒラリー・ハーンのツイッターによると、今回の12月3日のリサイタル後のサイン会で、この初来日時にヒラリーの最初のバッハの無伴奏のCDにサインをもらったかたがそのサインされたCDを持ってこられたそうです。)

ですから、saraiは初来日後、5年目の2005年からヒラリー・ハーンの演奏を聴き続けていることになります。10年間は素晴らしい演奏が続き、3年前の2015年は不調でした。そのときは分かりませんでしたが、妊娠・出産という出来事があったんですね。今年は二人目のお子さんも出産し、見事に復活しました。また、saraiにとって、世界最高のヴァイオリニストに復活です。

因みにその2005年のリサイタルに行くきっかけは渋谷のタワーレコードでヒラリー・ハーンのコーナーができていて、絶賛されていたので、試しにメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を購入し、その演奏を聴き、いっぺんにファンになってしまったんです。

なお、2005年5月から2009年1月の間に聴いたコンサートはまったく不明です。当時の手帳で暇なときに調べてみましょう。

今回の日本ツアーはパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルと共演するモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番のコンサートが続きますが、saraiはラストコンサートになる12月16日の宮崎芸術劇場のコンサートを追っかけします。



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宇宙の深淵・・・ヒラリー・ハーン バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ@東京オペラシティ コンサートホール 2018.12.5

saraiの10年来の夢が完結しました。今日もかぶりつきの席でヒラリーの素晴らしい音のヴァイオリン演奏を聴かせてもらいました。今日は前回と違って、落ち着いて、じっくりとヒラリーの演奏に耳を傾けました。柔らかいビロードのような肌触りの美しい響きはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを弾くためには最適な響きです。時として高潮する演奏にはsaraiの胸が高鳴りました。この無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータはバッハがこの世に残した最高の器楽器のための音楽、そして、ヒラリーはその音楽を演奏するためにこの世に生まれてきたミューズに思えます。この場でその奇跡とも思える音楽を聴くことができたことは何と言う僥倖でしょう。

ヒラリーの演奏するバッハはその一音、一音の響きがまるで宇宙の深淵をのぞき込むような雰囲気を醸し出します。音楽芸術の究極を垣間見た思いです。ディテールは丁寧に表現され、さらにフレーズはわずかにテンポを揺らしながら、ふくよかな振幅を持って、鼓動していきます。考え抜かれたアーティキュレーションで色付けされた音楽はその構成感も柔らかに枠取りされています。自然な音楽表現にこちらはゆったりと身を預けているだけで、最高の音楽が心と体にしみわたってきます。ヴァイオリンを奏でるヒラリーは曲想に合わせて、体をゆすっています。原初的なダンスのような動きは目にもこころよく感じます。

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全6曲はすべて素晴らしい演奏でしたが、とりわけ、3曲のソナタの素晴らしさが印象的でした。saraiはむしろパルティータの舞曲の音楽が好みだったのですが、今回のヒラリーの演奏を聴いて、ソナタの胸に迫るような美しさを教えられました。なかでも今日、冒頭に演奏されたソナタ第2番 イ短調 BWV 1003の美しさは際立っていました。第1楽章のグラーヴェの静謐な美しさ、第2楽章のフーガの魂に迫るような熱さ、第3楽章のアンダンテの連続した持続音が粛々と響いてくる心地よさ、そして、第4楽章のアレグロのきびきびとした迫力。すべてがパーフェクトに表現され尽くして、深い音楽の海に心を浸している思いに駆られました。演奏が終わっても、拍手するのがためらわれるような極上の音楽でした。他の2曲のソナタも同様の素晴らしい演奏でした。もちろん、パルティータの演奏も見事でした。既に書いた通り、前回のシャコンヌには感動しました。今日のパルティータ第3番の第2楽章のルールも美しさが際立っていました。しかし、そういう素晴らしいパルティータ以上にソナタの演奏は水際立った美しさでした。

もう一生、味わうことのできないような究極の音楽体験でした。音楽を聴くということではゴールにたどりついた思いです。しかし、全曲を演奏し終わったときのヒラリーの表情は達成感ではなく、ひとつの通過点を過ぎたとでもいうような微妙な表情を浮かべていました。saraiにはゴールでしたが、ヒラリーは洋々たる未来への通過点でしょうか。saraiがヒラリーのゴールを見極めることはないでしょう。それはそれでよいのかも・・・。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン

  バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲コンサート 第2夜

  無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV 1003
   I. グラーヴェ Grave
   II. フーガ Fuga
   III. アンダンテ Andante
   IV. アレグロ Allegro

  無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006
   I. 前奏曲 Preludio
   II. ルール Loure
   III. ロンドー形式のガヴォット Gavotte en rondeau
   IV. メヌエットI-II Menuett I-II
   V. ブレ Bourree
   VI. ジグ Gigue

   《休憩》

  無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005
   I. アダージョ Adagio
   II. フーガ Fuga
   III. ラルゴ Largo
   IV. アレグロ・アッサイ Allegro assai

   《アンコール》

     無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002 から 第3楽章 サラバンダ Sarabanda


最後に今回の予習について、まとめておきます。と言っても、前回と同じです。

  ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ~無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番&第2番、パルティータ第1番 2017年6月 ニューヨーク州 バード大学、Richard B. Fisher Center
  ヒラリー・ハーン バッハ:シャコンヌ(パルティータ第3番&第2番、ソナタ第3番) 1996年6月、12月、1997年3月

ヒラリーが16歳から17歳にかけて録音したデビューアルバムはその若さ故の天衣無縫の演奏が実に魅力的ですが、驚くべきことにバッハの深淵を感じさせる演奏でもあります。昨年録音した無伴奏の完結編は素晴らしい響きの演奏で最近の円熟ぶりを実感しました。と言っても、彼女はまだ、40歳にもならない若さです。厳しいバッハ演奏を聴かせてくれたヘンリック・シェリングとはまた違った魅力があります。



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夢の一夜・・・ヒラリー・ハーン バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ@東京オペラシティ コンサートホール 2018.12.3

saraiの10年来の夢が実現しました。本当に夢が叶うとは思っていませんでしたから、この日を迎えたのは感無量です。ヒラリー・ハーンの弾くバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの全曲を聴くのが夢だったんです。そして、今日、かぶりつきの席でヒラリーの最高の演奏を聴かせてもらいました。今日の最後に弾いたシャコンヌの終盤ではまさに万感の思いになって、その素晴らしい響きに涙が滲みました。

ここ10年以上もヒラリーのヴァイオリンを聴いてきて、3年ほど前からの不調ぶりに暗澹たる思いでいました。多分、プライベートなことも影響したんだろうと想像します。彼女も芸術家である前に一人の人間ですから、苦しいこともあったんでしょう。そして、最新盤のバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータのCDを聴いて、ヒラリーが復活したことを確信しました。大きな期待を抱いて、今日のリサイタルに臨みましたが、やはり、ヒラリーは大きく飛躍していました。最初のソナタ第1番の冒頭を聴いただけで、その美しく、冴え渡る響き、さらには、ディテールの美しさに加えて、よく考え抜かれた構成に基づいた演奏であることを実感できました。

今日は全6曲のうちの3曲が演奏されましたが、そのどれもが素晴らしくて、何も言うべき言葉を持ちません。ただ、大好きなヒラリーが完全復活したことが嬉しくて、それがすべてです。ヴァイオリニストでは、庄司紗矢香とリサ・バティアシュヴィリがsaraiのお気に入りでしたが、めでたく、ヒラリーがトップの座に戻りました。明後日の2回目のリサイタルを聴いて、詳細な演奏の中身に触れることにします。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン

  バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲コンサート 第1夜

  無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV 1001
   I. アダージョ Adagio
   II. フーガ アレグロ Fuga Allegro
   III. シチリアーナ Siciliana
   IV. プレスト Presto

  無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002
   I. アレマンダ - ドゥーブル Allemanda - Double
   II. コッレンテ - ドゥーブル プレスト Corrente - Double Presto
   III. サラバンダ - ドゥーブル Sarabanda - Double
   IV. テンポ・ディ・ボレア - ドゥーブル Tempo di Borea - Double

   《休憩》

  無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004
   I. アレマンダ Allemanda
   II. コッレンテ Corrente
   III. サラバンダ Sarabanda
   IV. ジガ Giga
   V. シャコンヌ Ciaccona

   《アンコール》

     無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV 1003 から 第3楽章 アンダンテ Andante


最後に今回の予習について、まとめておきます。と言っても、もちろん、すべて、ヒラリー・ハーンを聴きました。

  ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ~無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番&第2番、パルティータ第1番 2017年6月 ニューヨーク州 バード大学、Richard B. Fisher Center
  ヒラリー・ハーン バッハ:シャコンヌ(パルティータ第3番&第2番、ソナタ第3番) 1996年6月、12月、1997年3月

ヒラリーが16歳から17歳にかけて録音したデビューアルバムは不朽の価値があります。今回、久しぶりにシャコンヌを聴き、大変、感動しました。昨年録音した無伴奏の完結編はずっと待ち望んだアルバムでしたが、その素晴らしさには感銘を受けました。もちろん、ハイリック・シェリングの厳しい演奏も好きですが、ヒラリーの演奏には華があります。ヴァイオリンの超名曲ですから、名演はそのほかにも目白押しですが、やはり、saraiはヒラリーの演奏に惹かれます。



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昔も今もさすがのバッハ!ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル@横浜みなとみらいホール 2016.6.12

saraiの最も愛する音楽家ヒラリー・ハーンですが、今回ばかりは不安いっぱいで、購入したチケットもこのリサイタルのみ。いつもは聴ける公演はすべて足を運んでいましたが、今回はこれ一本に絞りました。それと言うのも前回の来日公演でのブラームスのヴァイオリン協奏曲がとても期待外れだったからです。そのときの記事はここここ。あまり、思い出したくないコンサートです。

不安感もあり、大きな期待を抱かずに聴き始めます。まずはモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ 第27番です。これはモーツァルトとしてもシンプルな音楽です。ヒラリーのヴァイオリンは派手過ぎず、抑え過ぎずという中庸な表現で今まで聴いた彼女のモーツァルトの中ではよい出来でした。ただ、彼女のヴァイオリンの響きがもう一つに感じます。あの絶頂期の素晴らしい響きとは一線を画しているように感じます。心配ですね。

次はバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番です。これは素晴らしいです。第2楽章の長大なフーガは聴き応え十分です。ヴァイオリンの響きがどうのこうのということはもうどうでもいいです。シャコンヌと同じくらい素晴らしい音楽です。終始冷静で心のこもった音楽は終盤熱く高揚します。圧巻の素晴らしさです。この楽章の終了後、一部の聴衆から拍手があがりますが、まあ許しましょう。ここで一息ついて、第3楽章に進みます。緩やかなラルゴが静謐に演奏されます。ヒラリーの人生にも色んなことがあったのでしょう。哀しみを感じるような深みのある音楽です。心にしみじみと響いてきます。そして、本当に素晴らしかったのは第4楽章のアレグロ・アッサイです。これは究極のバッハ。パーフェクトなバッハです。シンプルなパッセージさえも何かしらの意味を持っているように聴こえてきます。完璧なテクニックでヴァイオリンの響きも冴え渡ります。終盤の熱い盛り上がりには感銘を受けました。彼女が20歳にもならない頃に録音したこの曲のCDはsaraiの愛聴盤ですが、あのころはひたすら何も考えずにバッハの音楽に奉仕していた演奏でした。それが素晴らしい演奏になっていたのはバッハの音楽の素晴らしさと彼女の若さの勢いが見事に調和したからだったんでしょう。今日の演奏はあの頃の勢いはないかもしれませんが、深い人生の哀感が音楽を高めています。

ヒラリーは現在、音楽家としての岐路に立っているような感じがします。ここを乗り越えて、素晴らしい音楽家に大成することを祈らずにはいられません。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
  ピアノ:コリー・スマイス

  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第27番 ト長調 K.379
  J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005

   《休憩》

  アントン・ガルシア・アブリル:6つのパルティータより
                 第2曲『無限の広がり』、第3曲『愛』
  アーロン・コープランド:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
  ティナ・デヴィッドソン: 地上の青い曲線(27のアンコールピースより)

   《アンコール》

  佐藤聰明:微風Bifu
  マーク・アントニー・ターネジ:ヒラリーのホーダウンHilary's Hoedown
  マックス・リヒター:慰撫Mercy

後半とアンコールはいずれも現代あるいはそれに近い時代の作品でした。素晴らしいヴァイオリンではありましたが、これが彼女の目指す方向なのでしょうか。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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09/27 09:23 天野哲也

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