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さよならはベートーヴェンで:マリア・ジョアン・ピリス・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2018.4.12

人はどこから来て、どこに去っていくのか・・・マリア・ジョアン・ピリスの最後の来日公演の演奏を聴きながら、saraiの頭の中に去来した思いは音楽自体とは関係なさそうなことでした。しかし、そういう想念はピリスのひたむきとも思える音楽から生まれたものだったのです。最初に「悲愴」の第1楽章の冒頭のピアノが響きが聴こえてきたとき、そのかみしめるような遅いテンポで表現されていたのは劇的というよりも、実に内省的なものです。はっと気付きます。このピアニストは彼女の人生すべてを今日のベートーヴェンの音楽に込めて表現しようとしているのだと。実に心の込められた演奏が続きました。意外なことに素晴らしいピークは「テンペスト」の第3楽章にありました。ピリスの最盛期を思わせるようなテクニックで熱い魂のほとばしりが聴けました。そして、最後に弾いたピアノ・ソナタ第32番のアリエッタではまさに彼女の思いのたけが延々と語られます。しっかりとこの不世出のピアノの名人が行き着いた境地を受け留めさせてもらいました。それはピアニスト自身にも聴衆にも誠実であろうとする姿です。うまく弾こうとか、そういうことではなくて、自分のすべてを、あるいは自分の人生をピアノに託して、聴いている人と心を通い合わせるという自然な行為を最後に成就するということです。結果として、ピアニストであるということを超えて、心でコミュニケートする芸術家に昇華したのが今日のピリスでした。

彼女とはCDの演奏で知り合い、長らく、CDだけでの縁が続きました。それが20年以上も続き、実演に接したのはようやく5年前のことでした。ハイティンク指揮ロンドン交響楽団との共演でモーツァルトとベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴いたときです。大変、感銘を受けました。その翌年、待望のソロリサイタルで素晴らしいシューベルト(ピアノ・ソナタ第21番)を聴きました。そのときの記事はここです。結局、実演に接したのは今回も含めて5回だけです。しかし、十分に彼女の名人ぶりは聴かせてもらいました。

日本ではまだまだコンサートが残っていますが、saraiはこれでピリスにお別れします。最後にふさわしいコンサートでした。

最後に今日のプログラムを紹介しておきます。

 ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2 「テンペスト」

  《休憩》

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111

   《アンコール》
     ベートーヴェン:『6つのバガテル』 Op.126 より 第5曲 バガテル ト長調 Quasi allegretto



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       ピリス,  

純粋な響きのシューベルト:マリア・ジョアン・ピリス・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2014.3.7

今日はマリア・ジョアン・ピリスのピアノ・リサイタルでした。ピリスは昨年、ハイティンク指揮ロンドン交響楽団との共演でモーツァルトとベートーヴェンのピアノ協奏曲で初めて実演に接し、大変、感銘を受けました。そのときの記事はここここここです。そのとき、今度は是非、ソロのピアノのリサイタルを聴きたいと思い、意外に早く、その機会が訪れたわけです。日本でのピリスのソロリサイタルは何と16年ぶりというのですから、物凄く、タイミングがよかったと思います。

ピリスと言えば、昔からモーツァルト弾きという印象で、実際、DGからの2度目のモーツァルトのピアノ・ソナタのアルバムはずい分聴き込んだものです。彼女の濁りのないピュアーな響きのモーツァルトの素晴らしい演奏を気持ちよく聴いていました。昨年、思い立って、1度目のモーツァルトのピアノ・ソナタのアルバムを入手し、聴いてみましたが、実に爽やかで痛々しいくらい率直な演奏に驚愕しました。ガラスのように壊れやすい繊細な演奏です。若くなければ、決してこんな演奏はできないと思いました。調べてみると録音は日本のイイノホール(もう閉館したそうです)で1974年、ピリスが30歳の頃のようです。印象からは20歳以前の少女のような演奏でしたが、ピリスは純粋な少女の心を持ち続けているピアニストなのでしょう。

今日聴くピリスはその40年後の70歳くらいです。姿はもう若くはありませんが清新な心は持ち続けているようです。さすがに40年前の演奏に比べると、ずっと安定感のある演奏ですが、純粋で素直な表現は年齢を感じさせません。何よりもYAMAHAのピアノから紡ぎだされる響きのピュアーな美しさには心が洗われるようです。

まず、今日のプログラムを紹介しておきます。

 シューベルト:即興曲集 D.899 Op.90
 ドビュッシー:ピアノのために

  《休憩》

 シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960

   《アンコール》
     シューマン:《森の情景》より、第7曲 予言の鳥

最初に演奏されたシューベルトの即興曲集 D.899の4曲は夢のように美しい演奏。予習した彼女のCDは10年前の録音ですが、同様の素晴らしい演奏です。この4曲はsaraiの大好きな曲なので、どのピアニストの演奏でも気持ちよく聴けますが、彼女の演奏は最高レベルと言えます。特に第1曲のロマンティックな味わい、そして、最高に好きな第3曲のしみじみとした表現には言葉を失います。第2曲はペライアがアンコールでよく演奏してくれますが、これも同じくらい素晴らしい演奏。第2曲と第4曲はCDの演奏に比べると少しテンポが速くなっていますが、決して曲想を壊すものではありません。実演で即興曲集 D.899の4曲のこれだけの演奏を聴いたのは初めての経験です。初めてレコードでケンプの演奏を聴いてから、数十年経ちますがようやく生演奏で素晴らしい演奏に接することができ、大変な充足感を持つことができ、幸せです。

次はドビュッシーの《ピアノのために》です。あまり聴かない曲です。色彩感はドビュッシーそのものかもしれませんが、全体の印象はドビュッシーらしくない感じの曲集です。何よりダイナミズムが激しい曲です。こういう曲を繊細なピリスがいったいどう弾くのかと思っていたら、実に奔放な演奏です。腰を浮かせて、体全体で思いっ切りピアノの鍵盤を叩く激しい演奏。繊細な彼女のラテンの情熱を見た思いです。こういう演奏もできるんですね。しかし、いかに強く鍵盤を叩いても、決して響きが濁って汚くなることはありません。情熱のなかにも純粋で繊細なピリスの本質は変わることはありません。まあ、こういうピリスの演奏もあるということですね。

休憩後、この日のメインのシューベルトのピアノ・ソナタ第21番 D.960です。シューベルトの最後のピアノ・ソナタ。もちろん、長大なソナタです。ピリスの演奏は最高でした。2年半前にも内田光子の最高の演奏を聴きましたが、それに比肩する演奏です。内田光子と同様に第2楽章の素晴らしさといったら、何と言えばいいでしょう。永遠への憧れ、青春の美しさ・・・とでも言えばいいでしょうか。ピリスは自然なスタイルでの表現ですが、純粋無垢な少女の清らかさのような雰囲気が漂います。これも彼女の言う《神への奉仕》なんでしょうか。けがれを知らないような無垢の美しいピアノの響きはまるで天上世界のもののようです。こういう響きは大ピアニストが80歳を過ぎた老境で獲得するものだと信じていましたが、70歳でこの響きを奏でているピリスは恐るべき存在に思えます。10年後のピリスはどんな響きを奏でるんでしょうか。それを聴き遂げるまではsaraiも死ねませんね。このシューベルトは素晴らしい演奏に圧倒されたというのではなく、ピリスの奏でた音楽に共感したという思いの演奏でした。自然で内省的なシューベルト・・・実に本質的なシューベルト演奏でした。

アンコール曲は当然、シューベルトだろうと思っていたら、あれっ? シューベルトっぽくない・・・これって、シューマン? とても美しい響きのシューマンでした。ピリスのシューマンもなかなかよさそうです。《子供の情景》あたりはよさそうですね。

とても清々しいリサイタルに満足して、家路につきました。





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       ピリス,  

究極!!のブルックナー:ハイティンク+ピリス+ロンドン交響楽団@みなとみらいホール 2013.3.10

これはもう伝説になるコンサートです。今まで、こんな凄いブルックナーを聴いたことないし、多分、saraiの人生でこんなブルックナーを聴くことはないでしょう。前回、3月7日のサントリーホールでのブルックナーの演奏は崇高だったと書きましたが、今日の演奏に比べると、言い過ぎかも知れませんが、凡演にも等しいと思えるほどです。
死ぬほど感動の大波に襲われました。第1楽章から第3楽章まで、ずっとです。緊張と感動の1時間に自分の体力が持つかどうか、心配になったほどですが、もちろん、聴いているときは夢中で何も考えられませんでした。昨日は不調だったロンドン交響楽団のアンサンブルも復活し、昨日の演奏は一体、何だったんでしょう。今日のアンサンブルはほぼパーフェクトでした。弦と管とティンパニのバランスも最高でした。
しかし、本当にブルックナーにこんなに酔いしれ、深い感動を覚えたことは未だかってなかったことで、ハイティンクの素晴らしい指揮とそれに応えたロンドン交響楽団の熱演には1音楽ファンとして、ただただ尊敬の念を抱くのみです。ブルックナーの魂が近くに寄ってきて、一体化した思いを持ちました。

今日のプログラムはサントリーホールとまったく同じで、以下の内容です。

 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19 ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス

  《休憩》

 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番についても少し触れてみましょう。基本的には前回と同様なのですが、第1楽章の始めのオーケストラのパートは前回を上回る見事なアンサンブルです。前回同様、流麗な演奏です。ピリスのピアノは最初、力がはいって、硬い感じですが、徐々に粒立ちのよい彼女らしい透き通った響きになってきます。第1楽章の中盤からはピアノもオーケストラも見事な演奏。パーフェクトです。
第2楽章でもピアノとオーケストラの見事な演奏は続きます。後半のテンポを落としたピアノのリリシズムには、ため息が出るだけです。オーケストラもそれに優しく寄り添います。最高の音楽です。
第3楽章はピアノが前回以上に勢いよく飛び出し、少しミスタッチ気味のところもありますが、気にはなりません。オーケストラは前回と違って、このテンポにきっちりと対応し、なかなか綺麗なアンサンブルを響かせます。ちゃんと修正してきたのは流石です。高揚しながら、爽快なフィナーレです。
前回と同様に、この曲では最高の演奏です。ピリスのピアノにはまってしまいそうです。ピリスは今日ももちろん、ヤマハのピアノを弾いていました。ヤマハの繊細で純な音色を見直しました。

ブルックナーですが、既に語り尽くしました。細部を語っても仕方ないでしょう。繊細な音の襞、力強い推進力、美しい抒情、コラール風の祈り、それらが次々に大波になって押し寄せてきますが、すべてが説得力のある実直な演奏でした。その自然な演奏に素直に体を任せて、感動の波を受け入れるのみでした。第3楽章の完結まで残り5分くらいのところの弦楽器のうねりが高まった後の最強奏にはしびれます。そして、ゆるやかにフィナーレに向かって、カタルシス・・・フルート、ホルンの長奏で静寂の世界。もう、これで人生が尽きても、思い残すところなしの心境です。

マーラーもいいけども、ブルックナーもいいですね。幸せな気持ちです。


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この記事へのコメント

1, masaさん 2013/03/12 13:06
同じ会場におられたようですね。
同感です。凄いブルックナーでした。もう何も言葉が出ないくらい感動して帰途につきました。
最後のホルンのロングトーンもパーフェクトで、こういうところは世界のトップオーケストラと日本のオケとの実力の差が感じられます。
ハイティンクが指揮棒をおろすまで、フライング拍手もなく静寂が保たれましたし、なんとも幸せな一日でした。
ピリスも、また素晴らしく、本当によい演奏会でした。高いお金を払った甲斐がありました。

2, saraiさん 2013/03/12 14:44
masaさん、こんにちは。

本当に伝説的な演奏でしたね。みなとみらいホール開館以来、最高のコンサートだったと思います。

聴衆も素晴らしかったですね。隣の席は吹雪の札幌から来られたかたでしたが、わざわざ、来られた甲斐があったでしょう。

masaさんとも同じ空間を共有できて、同じ感動を味わい、とても嬉しいです。

3, redさん 2013/03/12 21:34
ハイティンクが振る、ブルックナーの第9番が聞きたくて、当日、四国から出向いて行った者です。一階最前列で魔法にかかったように陶酔して、聴いていました。

ああ、できることなら、この演奏、もう一度聴いてみたい。

でも、それは叶わぬこと。私の中のベスト盤である、81年録音のアムステルダムコンセルトヘボウとのPHILIPS盤を聴いて、このコンサートでの経験を長く懐かしみたいと思います。

4, saraiさん 2013/03/13 01:55
redさん、初めまして、saraiです。

わざわざ、四国から来られた甲斐がありましたね。それも最前列の席とは凄いですね。ちょっと、うるさかったかも・・・

そうですね。何度でも聴きたいですね。もっともsaraiはほぼ3週間後にアムステルダムでブルックナーの第8番を聴けます。それも2度。ワクワク!

ハイティンクの1981年盤は素晴らしいですね。私も文句なく、ベスト盤です。

また、コメント、お待ちします。

5, たかしゃやさん 2013/03/18 18:10
こんにちは。初めまして。
私も、当日会場にいました。
私にとって、数年ぶりのオーケストラのコンサートでした。
そして、思わず涙がこぼれたのも、十数年ぶりでした。
とても言葉に尽くせないほど、本当に本当に素晴らしい演奏でした。
あの日、その場に来られたこと、その邂逅に心底感謝しました。
あの場にいらした方々なら、この思いを共有できると思い、突然コメントさせていただきました。
ありがとうございました。

6, saraiさん 2013/03/18 22:13
たかしゃやさん、初めまして。
saraiです。

もちろん、思いは共有できます。本文に書いた通り、あの場にいた人達にとって、伝説的なコンサートだったと思います。ああいうコンサートは滅多に聴けるものではありません。たかしゃやさんとも、ご一緒できて、嬉しいです。コメント、本当にありがとうございました。

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       ハイティンク,        ピリス,  

ハイティンク+ピリス+ロンドン交響楽団、2回目@サントリーホール 2013.3.9

今日のコンサートですが、saraiの期待が大き過ぎたのか、とても《大絶賛》と言うわけにはいきません。
一昨日のコンサートでは、ただただ、崇高さを感じていたのが、一転ということで、saraiの鑑賞力のあやふやさが露呈してしまいますが、呆れずに読もうと思われるかたは1素人の感想だと、読み流してください。

今日のコンサートの一番の問題点は、世界で5本の指にはいると言われているロンドン交響楽団のアンサンブルが決まらないことです。特に弦楽器セクションのアンサンブルの精度に乱れが感じられることです。実はこの徴候は一昨日のコンサートでも少し感じていましたが、管楽器も含めた素晴らしい合奏力のなかで、あまり目立ちませんでした。しかし、今日はモーツァルトのピアノ協奏曲とベートーヴェンの交響曲がメインで、とても精緻な弦楽合奏が求められます。昨日も書いた通り、巨匠ハイティンクの最近のスタイルは、まさにその精緻な弦楽合奏をベースとするものです。ハイティンクの見事なタクトさばきでも、これはどうにもならなかったという感想です。

今日のプログラムは以下です。

 ブリテン:オペラ『ピーター・グライムズ』から「4つの海の間奏曲」
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453 ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス

  《休憩》

 ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92

  《アンコール》
    メンデルスゾーン:『真夏の夜の夢』から「スケルツォ」

最初のブリテンは実に美しく、底流に悲劇性をひそませた素晴らしい演奏でした。既にオペラ指揮を引退したハイティンクですが、さりげない演奏にオペラの情緒を絡ませた秀演でした。4つの間奏曲の組み立てがストーリーを感じさせる構成で見事でした。

次のモーツァルトのピアノ協奏曲、オーケストラの長い前奏が始まり、エッという感じです。高度なレベルでの古典的な合奏を期待していましたが、平凡な響きです。いつまでたっても、改善されません。ピリスのピアノがはいってきます。一昨日のベートーヴェンの協奏曲を上回るクリアーで粒立ちの美しいタッチで、平凡な響きのオーケストラとの差を強く感じます。ピリスのピアノは一層、冴えわたり、第2楽章の抒情を極めた表現には脱帽です。第3楽章にはいり、ピアノと管楽器群の合奏はもう驚くべきレベルに達します。ピアノに触発されたのか、オーケストラの響きもかなりよくなってはきました。これはピリスの素晴らしいピアノを聴けて、幸福でした。

休憩後、不安を抱きながらも、CDでの素晴らしい演奏の再現を期待して、固唾を飲みながら、第1楽章の序奏が始まります。美しい序奏です。綺麗な響きが胸を打ちます。しかし、そこまででした。第1楽章はまあまあの演奏でしたが、期待した精緻なアンサンブルは聴けません。それでも、合格点の演奏ではあります。第2楽章もそこそこの出来。このあたりから、期待との乖離を感じ始めます。あともう少しのところですが、それが大きな不満に感じるアンサンブルの精度の不足です。第3楽章が一番、平凡な響きに終始しました。第4楽章はかなりキビキビしたテンポでアンサンブルも美しくなってきました。普通であれば、大満足の演奏ですが、このコンビでは、もっともっと高みに達する演奏が求められるところです。第4楽章が終わり、まだ、残響も残っているところで、ホール内では大声援があがりますが、残念ながら、saraiはがっかりした思いです。もっと凄い演奏を期待していました。
ロンドン交響楽団のメンバーのことは詳しくありませんが、今回の来日メンバーはベストメンバーではなかったのではないかという感じを抱いてしまいました。だって、CDではあんなに素晴らしいアンサンブルだったんです。7年ほど前の演奏ではありますけどね。
ブルックナーの演奏も難しいですが、ベートーヴェンを納得のいく演奏で聴かせるのも難しいことを痛感しました。
これで、ベートーヴェンは秋のティーレマン+ウィーン・フィルのチクルスに期待することになりました。

明日のみなとみらいホールでのブルックナーにもう一度、期待しましょう。でも、正直、不安です・・・


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1, 漂泊のオケマンさん 2013/03/10 09:17
はじめましてよろしくお願いします。
先日のロンドン交響楽団福井公演に納得できなくてネットを検索していましたら、こちらのブログを知りました。
サントリーホールでのLSOもあまり良い出来ではなかったようですね。
僕は田舎の福井公演が手抜きではないかと勘ぐっていましたが、ある意味安心?しました。
僕のブログにも書きましたが、とにかくベートーヴェンはアンサンブルが崩壊していました。またホールの響きに合わせての音楽作りも出来ていませんでした。今回のLSOのコンマスは特に酷かったのですがコンマスの暴走を許しているハイティンクも責任大だと思います。
ピリスのモーツアルトが無かったら救いの無いコンサートになっていました。
色々好き放題に書きましたが今後ともよろしくお願いします。

2, ハルくんさん 2013/03/10 23:53
saraiさん、こんばんは。

ハイティンクとロンドン響、ブル9がとても素晴らしかったようですね。
ただ、ロンドン響のアンサンブルが世界の5指と言う話は聞いたことが有りません。どなたが書かれていたのでしょうね?
正直言えば、イギリスのオケは余り優秀では無く、自分の中ではロンドン響とフィルハーモニアが世界で20指に入るかどうかぐらい、という認識なのです。こんなことを書いて、もしも気を悪くされたら御免なさい。
でも、今日のみなとみらいの演奏で名誉挽回してくれたら良いですね。

3, saraiさん 2013/03/11 01:31
漂泊のオケマンさん、初めまして、saraiです。

福井で聴かれたのですね。やはり、福井でも同じ傾向でしたか。ハイティンクを敬愛する者としては悲しいことです。確かにマエストロの責任は免れませんが、直接的な責任は美しいアンサンブルを保てなかったロンドン交響楽団にあると思います。メンバー落ちしていたのではないでしょうか。前回のゲルギエフのときとはコンサートマスターが変わっているような気がしましたが、どうでしょう。ところで、ブルックナーのアンサンブルはほぼ、パーフェクトだったので、今回はブルックナー・シフトだったのかな(笑い)

また、ご意見をお寄せください。

4, saraiさん 2013/03/11 01:40
ハルくんさん 、こんばんは。

率直なご指摘、ありがとうございます。ロンドン響が世界の5指というのはプロモーターの弁ですが、saraiの実演に接したオーケストラでは、5指は無理でも、7強にはいる感覚です。もっとも、この日のアンサンブルでは、在京のオーケストラにも劣る感じでしたけどね。

今日のみなとみらいの演奏で見事、7強に復活したというのがsaraiの感覚です。ハイティンクとか、ゲルギエフが振ったときに限定しますが。

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       ハイティンク,        ピリス,  

凄過ぎ!!ブルックナー第9番:ハイティンク+ロンドン交響楽団@サントリーホール 2013.3.7

今日のブルックナーの交響曲第9番の演奏は凄過ぎて、素晴らしいとか、美しいとか、素人の口出しが憚られます。終始、緊張して、畏まって、崇高な音楽に耳を傾けていました。演奏中は大きな感動のうねりは感じていませんでしたが、演奏後、目に一杯、涙がたまっていました。今や、クラシック音楽界の頂点にハイティンクは立ったようです。カリスマ性の感じられない指揮者がそこまで上り詰めたのは謎ですが、彼は本当に音楽が好きで内面的な人間の充実度も相まって、ここまできたのでしょう。人間国宝ならぬ、人間世界遺産です。彼が指揮台に立つだけで、どんなメジャーオーケストラも驚くべきレベルの演奏に至ります。今日のコンサートもそうでした。普通にタクトを振っているだけです。しかし、そこから生まれる音楽の自然で豊穣なこと、あり得ない音楽です。
ブルックナーの前に演奏されたピリスとの共演のベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番はとても素晴らしい演奏で、古典派の協奏曲の理想とも言えるものでした。ピアノの名人のピリスと指揮の名人のハイティンクが対峙するのではなく、優しくコミュニケートするような心を洗われるような演奏でした。この演奏だけでも素晴らしかったのですが、その後のブルックナーが凄過ぎちゃったんです。

今日のプログラムは以下です。

 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19 ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス

  《休憩》

 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番については、少し、書いてみましょう。そもそも、この曲は第1番よりも先に作曲されたベートーヴェンの極めて若いころの作品で、ハイドンやモーツァルトの影響が強く感じられます。それでも、ベートーヴェンの個性もしっかり出ているので、このあたりをどう考えて演奏するかは演奏者の識見にかかっていると言えるでしょう。ハイティンクの大変若いころにベートーヴェン演奏の大御所のクラウディオ・アラウと共演した録音が残っています。これはかなり肉厚のしっかりした演奏でした。好みの問題もありますが、素晴らしい演奏です。その後、モーツァルトの演奏に実績にあるマライ・ペライアと共演した録音もあります。これはモーツァルトかと錯覚するほど、すっかりと力の抜けた演奏で、これは傑作です。
ということで、今日の演奏ですが、第1楽章、まず、オーケストラのパートが続きます。この見事な演奏に舌を巻きました。モーツァルトの傑作オペラの序曲を聴いている感じです。流麗な演奏という表現が一番、ぴったりきます。そこにピリスの粒立ちのよいピュアーな響きのピアノがはいってきます。ピリスは昔からCDでは聴いていましたが、ライブは初めてです。何と透き通った響きがホールの隅々まで広がるんでしょう。これまた見事です。ベートーヴェンと言っても、モーツァルトに近いベートーヴェンにぴったりの音色です。そして、指がよく回ること、昔と少しも変わりません。見かけだけは、ずい分、お歳をめされましたが、まだ、純な少女の心を持ち続けているとお見受けしました。
第2楽章でのピアノとオーケストラの演奏は、もうパーフェクトでしょう。どちらが主導権を持つわけでなく、それでいて、見事に息があって、しみじみとした抒情の世界を展開してくれました。
第3楽章はピアノが勢いよく飛び出し、オーケストラはなかなか、綺麗なアンサンブルにならなかったのだけが少し残念でしたが、爽快な演奏でしめくくりました。
今まで聴いたモーツァルトのピアノ協奏曲で最高の演奏です・・・しかし、実際はベートーヴェンか?、まあ、これも認定でモーツァルトの幻のピアノ協奏曲第28番ということにしておきましょう。
ところで、ピリスはヤマハもピアノを弾いていました。意外にモーツァルトには、ヤマハの繊細で純な音色が合っているようです。
ピリスは最近、ハイティンクとよく共演しているようです。とてもよい組み合わせです。ピリスはヴァイオリンの共演相手のデュメイと言い、うまく、自分に合った共演相手を見つけますね。協奏曲にせよ、室内楽にせよ、ピアノ独奏にせよ、ピリスはなかなか、素晴らしいです。これからは、もっと、積極的に聴くことにしましょう。最近、CDで旧盤のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集を聴きましたが、少女のような純粋なピアニズムにすっかり、魅了されました。今、モーツァルト・ピアノ・ソナタでは、これが一番のお気に入りです。入手性がよくないのが問題ですが、米国のAmazonからブリリアント盤を入手しました。段々、話が逸れていくので、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番については、これでお終いにします。とても満足しました。

ブルックナーですが、細部を語るのはやめて、崇高な演奏だったとだけ言っておきましょう。あとは、CDに絡めての話です。昨日、書いた通り、1965年、すなわち、ほぼ50年前の録音を聴いて、いたく感銘を受け、ハイティンクのそのコンセルトヘボウとのCDをブルックナーの交響曲第9番最高のCDに認定しました。若さ故という箇所もありますが、決して、それもキズにならず、とても熱情あふれる演奏です。今日の演奏も基本的には、この50年前の演奏がベースになっています。ただ、年輪を重ねて、テンポはゆったりとなり、熱情はそのままながら、雄大さを増しています。第2楽章の熱さ・激しさは昔と変わらない印象もあります。今日の演奏は昨日聴いたシカゴ響との2009年(もしかしたら2010年)とほぼ同じです、多分、今日の演奏をCD化すれば、ちょい聴きでは、シカゴ響との区別は難しいかもしれません。それに対して、バイエルン放送響の2010年盤はバイエルン放送響のドイツ的な響きを活かした演奏で一味違います。どちらがいいというものではなく、どちらもいいと思います。早く、最新の正規盤CDを出してもらいたいものです。ロンドン交響楽団、シカゴ交響楽団、ウィーン・フィル、バイエルン放送響、シュターツカペレ・ドレスデン、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ、どことでもハイティンクの至芸が聴けるでしょう(これらのオーケストラは現在、世界の7強ですね)。ただし、やはり、今日聴いた崇高さは実演でしか、なかなか実感できないかもしれません。
ところで、約30年前の1981年録音のコンセルトヘボウとのCDをゲットしました。タワーレコード限定で7~9番を格安の3000円で販売しています。これらは廃盤になっていたものですから、欲しいかたは早くゲットしたほうがいいですよ。ハイティンクの変遷を知るためにも、みなとみらいホールで再度、ブルックナーの交響曲第9番を聴く前に聴いておきます。
saraiはハイティンクのCDのうち、マーラーのCDの全コレクションをほぼ終え(2~3枚入手困難)、次はブルックナーのCDの全コレクションを目論んでいます。ハイティンクは日本での評価が低く、ネットでの情報も決して多くないので、当ブログで特集を組もうかと思案しているところです。もちろん、ベートーヴェン、ブラームス、シューマン、メンデルスゾーン、ショスタコ-ヴィチも含めてです。
4月にコンセルトヘボウでブルックナーの交響曲第8番を聴いた後、計画を練ります。

ハイティンクは以前、TVのインタビューに応えて、「ブルックナーの交響曲第9番や第8番、マーラーの交響曲第9番、ベートーヴェンの交響曲第9番はとても大切で特別な曲だから、そう滅多に演奏するものではありません。」と語っていました。そのブルックナーの交響曲第9番が今日聴けて、来月は第8番です。最近はメジャーオーケストラ(特に7強)とよく、その特別な曲を演奏する機会が増えているようです。ハイティンクも音楽人生の総決算にかかっているのかもしれません。何とか、今のうちに、あと、マーラーの交響曲第9番を7強のどこかで聴いておきたいものです。

まだ、今週の土曜・日曜のコンサートが残っています。ハイティンクが元気な姿で指揮台に立ってくれるだけで、本望です。また、拙いレポートを書きます。


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