前半のフォーレは歌曲の編曲版はまるで古いヨーロッパの映画の1シーンを切り取ってきたかのような郷愁に満ちた演奏でほろっとします。ピアノ四重奏曲第2番は熱いパトスが迸るようなスケールの大きな演奏で予想以上の好演でした。それに実演ならではの迫力も併せ持っていました。フォーレ四重奏団を聴くのは3年ぶりですが、やはり、さすがの実力です。
後半のブラームスは美しいロマンにあふれた素晴らしい演奏。フォーレ四重奏団のブラームスはいつも素晴らしいです。特に第3楽章のアンダンテは3つの弦楽器の織りなす抒情とそれを支えるピアノの魅力はまさに桃源郷です。しかし、圧巻だったのはアンコールで演奏したシューマンのアンダンテ・カンタービレ。3年前にも聴きましたが、それ以上の魅力に満ちた演奏です。チェロの美しいメロディーに始まり、各楽器のメローな美しさには参りました。シューマンの魅力満載です。これだけのシューマンが演奏できるのはCDも含めてもフォーレ四重奏団が一番でしょう。アドルフ・ブッシュの録音が残っていれば、それと比較でいたのですが、残念ながらありません。ということは史上最高のシューマンです。いやはや、卒倒するほど絶品でした。アンコールは夢のような世界を体験したと思っていたら、アンコールの最後は何とフォーレの傑作〈夢のあとに〉。まさに夢見心地で聴いていました。
フォーレ四重奏団、恐るべし!
今日のプログラムは以下です。
ピアノ四重奏:フォーレ四重奏団
エリカ・ゲルトゼッツァー(ヴァイオリン)
サーシャ・フレンブリング(ヴィオラ)
コンスタンティン・ハイドリッヒ(チェロ)
ディルク・モメルツ(ピアノ)
フォーレ(D.ツェルナー編):《3つの歌》Op.23より 第1番〈ゆりかご〉/第2番〈われらの愛〉
フォーレ(D.ツェルナー編):《2つの歌》Op.46より 第2番〈月の光〉
フォーレ:ピアノ四重奏曲第2番 ト短調 Op.45
《休憩》
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 Op.60
《アンコール》
シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47より 第3楽章 Andante cantabile
フォーレ(ツェルナー編):《5つのヴェネツィアの歌》Op.58より 第1番〈マンドリン〉
フォーレ(ツェルナー編):《3つの歌》Op.7より 第1番〈夢のあとに〉
最後に予習について触れておきます。
1~3曲目のフォーレの歌曲のピアノ四重奏編曲版は以下のCDを聴きました。
フォーレ四重奏団 2020年5月 セッション録音
無論、美しいフォーレのメロディーが聴けます。
4曲目のフォーレのピアノ四重奏曲第2番は以下のCDを聴きました。
フォーレ四重奏団 2001年12月 セッション録音
四重奏団の名前を冠したフォーレの作品の演奏です。今となってはもうひとつの演奏かもしれません。
5曲目のブラームスのピアノ四重奏曲第3番は以下のCDを聴きました。
フォーレ四重奏団 2007年8月 ベルリン セッション録音
これも今となってはもうひとつの演奏かもしれません。再録音が望まれます。
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