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またまた最高のブラームス、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@NHKホール 2015.10.1

ハイティンクペライア&ロンドン交響楽団の夢のようなコンサートも今日でおしまい。ここまでマーラーブルックナーと最高の音楽が聴けて幸せでした。ペライアのピアノも究極のモーツァルトのピアノ協奏曲を奏でてくれました。

今日はブラームスの交響曲第1番です。ハイティンクのブラームスを生で聴くのは初めてです。またまた、最高のブラームスが聴けました。ハイティンクと言えば、ブルックナーとマーラーを偏愛していて、ブラームスはあまりCDも聴いていなかったんです。ハイティンクのブラームスがこんなに素晴らしいとは、実に迂闊なことでした。今日のコンサートに向けて、CDで予習を始めたときから、その素晴らしさに捉われていましたが、今日、生で聴いて、フィナーレで大変な感動に襲われました。

予習したブラームスの交響曲第1番のCDは以下です。ハイティンクの正規録音のCDはこれがすべてです。

  1. 1972.12 コンセルトヘボウ管
  2. 1994.4 ボストン交響楽団
  3. 2003.5.22,23 ロンドン交響楽団

これらはすべてブラームス交響曲全集の1枚です。最初のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との全集はハイティンクがまだ40代前半の頃で勢いのある演奏。次のボストン交響楽団との全集はその20年以上後の録音。ハイティンクは既にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督の職を解かれ、様々なオーケストラを振りつつ、巨匠という名声を得ていました。この全集は名盤との評価が高く、実際、saraiもボストン交響楽団の実力を再評価してしまうほどの素晴らしい演奏です。ハイティンクのブラームスの交響曲第1番の特徴は自然な流れで美しく歌い上げて、最後の最後、第4楽章のフィナーレに至って、ぐんとテンポアップし、白熱して終わるというものです。この基本コンセプトは次のロンドン交響楽団との演奏でも同じです。ただ、このロンドン交響楽団との演奏は素晴らしいサウンドと録音で大変、聴き映えがします。ですから、1枚選ぶなら、このロンドン交響楽団ですが、ボストン交響楽団も捨てがたい魅力があります。

今日の演奏も基本的にはCDと同じコンセプトの演奏でした。ハイティンクの丁寧なタクトにロンドン交響楽団のメンバーがぴったりと従っているのが印象的。オーケストラの音色の美しさがブラームスの音楽を輝かせます。そして、フィナーレの迫力はCDで聴いた以上のもので、大変な感動を覚えました。

前半は管楽セクションのよるヘンリー・パーセル(スタッキー編)の《メアリー女王のための葬送音楽》 に続き、ペライアのピアノでベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番です。今回の来日公演で絶好調のピアノを聴かせてくれているペライアは今日も最高の演奏。ハイティンクとの息もぴったりで素晴らしいベートーヴェンを聴かせてくれました。このコンビはCDでも名演を聴かせてくれていますが、特に第2楽章のピアノの表現が見事です。堂々としたオーケストラの弦のユニゾンの響きに対比して、ピアノは弱弱しく弾かれ、まるで大きな宇宙に対する人間の小ささを愛おしむかのような音楽表現です。ペライアのピュアーなピアノの響きがこういう表現を可能にしています。 そして、第2楽章の終盤の右手のトリルの見事なこと。第3楽章では一転して、強烈なインパクトの打鍵が凄まじく、それでも響きの美しさが損なわれないのがペライアの凄いところです。ハイティンクの指揮も素晴らしく、ベートーヴェンの颯爽として、雄々しいところを見事に表現していました。こんなパーフェクトなピアノ協奏曲第4番は聴いたことがありません。CDで聴くクラウディオ・アラウの演奏にも匹敵するレベルでした。

予習したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のCDは以下です。ペライアとハイティンクを軸に聴きました。

  1. 1964 アラウ、ハイティンク、コンセルトヘボウ管
  2. 1984.10 ペライア、ハイティンク、コンセルトヘボウ管
  3. 2012.9.6 ペライア、ハイティンク、ウィーン・フィル (ロンドン、ライブ)

アラウ、ハイティンクの演奏はsaraiの愛聴盤です。これさえあれば、ほかは何もいりません。ペライア、ハイティンク、コンセルトヘボウ管も見事な演奏。ペライア、ハイティンク、ウィーン・フィルはそのほぼ30年後の演奏ですが、同じような演奏です。ハイティンクはほかのピアニストとも多くの録音を残しています。ブレンデル、アシュケナージ、シフなどです。よほど、ピアニストに好かれているんでしょうね。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  パーセル(スタッキー編): メアリー女王のための葬送音楽
  ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58 (ピアノ: マレイ・ペライア)

   《休憩》

  ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 op.68

ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団で3回のコンサートを聴きましたが、すべてが最高でした。海外からの来日公演としては空前絶後の素晴らしいコンサートだったと思います。昨日はブルックナーの後、憔悴していたハイティンクも今日は顔色もよく、体調万全での指揮でした。安心しました。日本での残りの公演も元気で乗り切れそうですね。巨匠のさらなる活躍をお祈りしましょう。これがsaraiの聴く最後のハイティンクとならないことを祈念してやみません。


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       ハイティンク,        ,        ペライア,  

巨匠の白鳥の歌はブルックナー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2015.9.30

オーケストラ・シリーズが続いています。最高に素晴らしかったマーラーに続いて、今日はブルックナーの交響曲第7番。ペライアのピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲も聴けるという贅沢さ。このシリーズはこの後、NHKホールでのブラームスの交響曲第1番に続きます。

ハイティンクが今日、演奏したブルックナーはあまりに美し過ぎました。美しさに酔っているうちにフィナーレ。天使が舞い降りたように強烈な感動が最後の最後に不意に訪れてきました。素晴らしいブルックナーでした。しかし、タクトを下ろして、こちらを振り向いたマエストロを見るとはっとします。マエストロは燃え尽きて・・・いや、憔悴の極にあるようです。遠路はるばる極東の島国までやってきて、マーラー、ブルックナーという大曲を振るのは86歳のご高齢で大変でしょう。演奏中はそういうことを微塵も感じさせない力演でしたから、タクトを下ろすとどっとお疲れが出るのでは。
これがもう、巨匠のブルックナーの聴き納めかもしれませんね。今日のブルックナーは巨匠の白鳥の歌だったのかもしれません。十分に素晴らしいブルックナーを聴かせてもらいました。

ハイティンクのブルックナーと言えば、わざわざ、アムステルダムまで聴きに行った2013年4月のコンサートが忘れられません。ブルックナー、いや、これまでに聴いてきたすべてのコンサートで最高のコンサートでした。ブルックナーの作品で頂点に立つ交響曲第8番です。そのときの記事はここここです。それに先立つこと、1か月。ハイティンクは来日公演でも究極のブルックナーの交響曲第9番を聴かせてくれました。サントリーホールとみなとみらいホールで聴きましたが、みなとみらいホールでの演奏が凄くて、歴史的とも思えるコンサートでした。そのときの記事はここです。そして、これらの第8番、第9番に続いて、第7番が聴けるのですから、どんな演奏になるのか、期待と不安がないまぜでしたが・・・とても美しい演奏を聴かせてもらいました。満足です。

ハイティンクのブルックナーの交響曲第7番を生で初めて聴くのですから、予習には万全を期しました。予習したCDは以下です。ハイティンクで聴けるCDはできるだけ聴いた感があります。各2行目は演奏時間(全体、各楽章)です。

  1. (ハース版) 1966.11.1-3 コンセルトヘボウ管 (ブルックナー全集から)
             60:15 18:10 21:00 9:19 11:46
  2. (ハース版) 1978.10.9-10. コンセルトヘボウ管
             65:19 20:48 22:20 9:51 12:05
  3. (ハース版) 1997.10.18 ウィーン・フィル
             64:00 20:12 22:07 9:30 12:27
  4. (ハース版) 2000.8.25. ベルリン・フィル (ザルツブルグ)
             64:15 20:09 21:44 9:45 12:33
  5. (ハース版) 2004.8.26. シュターツカペレ・ドレスデン
             69:30 21:33 23:35 10:35 13:44
  6. (ノヴァーク版)2007.5.15 シカゴ交響楽団
             67:31 21:33 22:26 10:30 13:01
  7. (ノヴァーク版)2010.9.17 コンセルトヘボウ管
             64:50 20:27 21:24 10:03 12:53
  8. (ノヴァーク版)2012.6.17 ロンドン交響楽団
             66:00 20:51 21:50 10:02 13:17

ハイティンクのブルックナー録音の中ではこの交響曲第7番が一番多く、このほかにもまだあります。ハイティンクのブルックナー録音では、このほか、交響曲第8番と第9番が多く、ハイティンクのブルックナー演奏の中核はこれらの3曲になります。オーケストラでは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が中心を占めているのは当然として、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、シカゴ交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、ロンドン交響楽団と揃っています。バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン・フィルが揃えば、完璧ですね。また、ブルックナー演奏の場合、どの版を使うかが問題ですが、ハイティンクはこの第7番に限らず、昔はハース版を使っていますが、2007年以降はノヴァーク版に変わっています。
演奏自体で言えば、ハイティンクは1970年代後半にブルックナー演奏スタイルを確立し、素晴らしい高みに達しました。その後、2000年代に入り、じっくりと構えた演奏になり、さらにノヴァーク版を採用することで、無駄をそぎ落として、演奏の質を高めてきています。この8枚の中でどれかを選ぶとしたら、6.の2007年のシカゴ交響楽団か、7.の2010年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団か、8.の2012年のロンドン交響楽団になるだろうと思います。いずれもノヴァーク版ですね。どれも素晴らしい演奏ですが、1枚選ぶなら、最新のロンドン交響楽団かな。

今日の演奏、第1楽章はさざなみのような弦の響きの中、低弦の深く美しい音楽が始まります。弦と管が代わる代わる美しい響きを聴かせてくれます。次第に音楽は熱を帯びていきます。不思議にどんなに高潮してもうるさい響きにはなりません。このオーケストラの音色はとてもバランスがよく、タイプとしてはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を感じさせます。ハイティンクがそのルーツのオーケストラの響きを求めているかのようです。
第2楽章は意外にスローに粘らずにすっきりとした演奏ですが、実に美しい音楽が奏でられます。終盤のクライマックスもあくまでも美しさを追求するような音楽作りです。めくるめくような煌めきの音楽が最後はワーグナーの死を悼む葬送の音楽として沈潜していきます。底流にワーグナーのパルジファルを思わせるような《心の痛み》の音楽をワーグナーも得意にするハイティンクが見事に表現しました。
第3楽章は力をふりしぼったような勇壮な音楽。巨匠の力演です。
第4楽章は美しさと《心の痛み》と豪壮さが混在する大変素晴らしい演奏です。そして、頂点はフィナーレにありました。巨匠が持てる力をすべて燃焼し尽した演奏でした。敬愛するハイティンクの音楽への真摯な奉仕にsaraiは頭を垂れるのみです。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491

   《休憩》

  ブルックナー: 交響曲第7番 ホ長調

前半のモーツァルトのピアノ協奏曲は一昨日にサントリーホールで聴いたばかりですが、今日は一段と精度を上げた演奏。もうこれ以上は弾けまいというような完璧なピアノ。オーケストラもモーツァルト演奏の規範となるような演奏。いっそのこと、交響曲を聴いてみたくなるようなオーケストラ演奏です。楽章を追うごとに素晴らしさは増すばかり。第2楽章の美しさといったら、言葉もありません。そして、最高に素晴らしかったのは第3楽章。2度と聴けないような奇跡のような演奏でした。ペライアの真の実力を見せつけられた思いです。究極の美しいピアノの響きが聴けて、満足この上もなしです。

今日も最高のモーツァルトにブルックナー。音楽の愉悦を感じ尽した一夜でした。


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       ハイティンク,        ペライア,  

人生最高のマーラー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@サントリーホール 2015.9.28

今日からいよいよオーケストラ・シリーズ。待ちに待ったハイティンク指揮ロンドン交響楽団で、今日はまず、期待のマーラーが聴けます。ペライアのピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲も聴けるという贅沢さ。このシリーズはこの後、ミューザ川崎でのブルックナーの交響曲第7番、NHKホールでのブラームスの交響曲第1番と続いていきます。

今日のマーラーは奇跡のような演奏・・・saraiの人生で最高のマーラーでした。このハイティンクのマーラーを聴いて、もう死んでも悔いがないとさえ思いました。そういえば、ハイティンクのブルックナーの交響曲第8番を聴いて同じ思いに駆られたことを思い出します。そのときの記事はここです。マーラーもブルックナーも最高の演奏を聴かせてくれたのはやはりハイティンクでした。凄い指揮者です。86歳にして、この音楽、というか、86歳だから、この音楽だと言うべきでしょうか。しかし、ハイティンクは老境に達して枯れてしまったのでは決してありません。通常の意味での80歳を超えた巨匠ではないと思います。ハイティンクは常に平常心で今も進化し続けているように感じます。彼は死ぬまで音楽に奉仕する一人の人間として精進していくのでしょう。

ハイティンクのマーラーを生で初めて聴くのですから、予習には万全を期しました。予習したCDは以下です。ハイティンクで聴けるCDはほぼ聴き尽した感があります。

1. 1967.12. コンセルトヘボウ管、エリー・アメリンク(S) (マーラー全集から)
2. 1982.12.(Live) コンセルトヘボウ管、マリア・ユーイング(S) (クリスマス・マチネーのCD/DVD)
3. 1983.10. コンセルトヘボウ管、ロバータ・アレクサンダー(S)
4. 1991.12.(Live) ベルリン・フィル、シルヴィア・マクネマー(S) (DVD)
5. 1992.6. ベルリン・フィル、シルヴィア・マクネマー(S)
6. 2002.10.11.(Live) コンセルトヘボウ管、バルバラ・フリットリ(S)
7. 2005.11.4.(Live) バイエルン放送交響楽団、ユリアーネ・バンゼ(S)
8. 2006.11.(Live) コンセルトヘボウ管、クリスティーネ・シェーファー(S)
9. 2013.8.17.(Live) ボストン交響楽団、カミラ・ティリング(S) (タングルウッド)

この録音の量は異常な多さです。ハイティンクがいかにこのマーラーの交響曲第4番に愛情を注ぎこんできたかが分かります。これ以外には、録音の量で第2番《復活》と第9番が続きます。オーケストラでは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が中心を占めているのは当然として、ウィーン・フィルとシカゴ交響楽団の録音がないのが残念です。2.の1982年の演奏でハイティンクは演奏スタイルを確立した感じですが、それ以降もじわじわと演奏の細部を磨き上げていっているのが分かります。特に2000年代にはいってからの演奏レベルの高さには驚かされます。独唱ソプラノでは、シルヴィア・マクネマーが際立って、素晴らしいです。この9枚の中でどれかを選ぶとしたら、3.の1883年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団か、9.の2013年のボストン交響楽団がわずかに頭を出していると思います。しかし、どれも水準以上の演奏です。

いかにCDで予習してみても生で聴くマーラーは想像だにできないものでした。
マーラーの交響曲第4番の第1楽章は静かに普通に始まります。もちろん、ハイティンク得意の第4番ですから、細部まで神経の行き届いたパーフェクトな演奏です。でも、saraiも平常心で聴けるような演奏です。しかし、1音1音を大事にするような音楽が続き、次第に心に沁み渡っていきます。音楽も熱を帯びてきて、第1楽章も半ば近くなると、マーラーの美しい自然を謳うフレーズに心が崩壊していきます。ロンドン交響楽団のアンサンブルも素晴らしく、世界のベスト5のオーケストラを凌駕する響きを聴かせてくれます。ハイティンクが振るとオーケストラもベストパフォーマンスで音楽を奏でてくれます。言葉では言い尽くせない素晴らしい音楽が続きます。
第2楽章も見事な演奏ですが、ここではsaraiも再び平常心を取り戻し、落ち着いて音楽を聴けます。素晴らしい響きは続きます。
そして、第3楽章が始まります。第1音を聴いただけでsaraiの心は崩れ去り、もう、夢の中で音楽を聴いているようです。なんと美しい天上の響きでしょう。普通のテンポでの演奏に思えますが、あまりに音楽的な内容がぎっしりとつまっているためにスローモーションで音楽を聴いている錯覚に陥ります。低弦から始まった音楽が高弦に引き継がれ、管楽器も加わり、高揚していきます。細部を磨き上げられた音楽はどこまでもどこまでも心の高揚感を高め続けます。そして、終盤のクライマックス・・・そこで高まった緊張感は最後のカタルシスに向かっていきます。人生の終わりを思わせるように静かに音楽は閉じます。
すぐに第4楽章が始まります。これは人生のエピローグでもあるかのような音楽。若くて美しいソプラノ歌手アンナ・ルチア・リヒターのちょっと鼻にかかったようなピュアーな歌声を楽しみます。次第に彼女の見事な歌唱に引き込まれていきます。表情豊かに歌う彼女の美声が心に迫ってきます。終盤の歌唱で見事に心を捉えられてしまいました。感動しました。そして、オーケストラの後奏が静かに閉じていきます。ハープの響きが消え去り、ハイティンクの手がそっと降ろされます。何と言う感動でしょう。涙が滲んでいます。

一瞬の静寂に包まれました。この静寂を作り出してくれた聴衆の皆さんに感謝です。素晴らしいマーラーでした。今後、こんな素晴らしいマーラーを聴くことがあるでしょうか。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  ソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491

   《休憩》

  マーラー: 交響曲第4番 ト長調

あまりにマーラーが素晴らし過ぎて、前半のモーツァルトのピアノ協奏曲に触れませんでした。ペライアのピアノは最高でした。期待通りの美しい響きでモーツァルトの音楽を味わわせてくれました。普通のコンサートであれば、これがメインでもおかしくないような素晴らしい演奏でした。モーツァルトのピアノはこういう粒立ちのよいタッチで聴くと最高ですね。終始、うっとりとペライアのピアノの響きに心を奪われていました。特に音階を切れ味鋭く、かつ、美しい響きで弾くところの素晴らしさと言ったら、これ以上の演奏はないほどでした。モーツァルトのピアノ協奏曲は前回聴いたピリスも素晴らしかったし、ペライアも最高。ピリスとペライアのモーツァルトは何ものにも代えがたい素晴らしさであることを再認識しました。

まだ、ハイティンクのブルックナーとブラームスが聴けると思うと大変幸せです。



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       ハイティンク,        ペライア,  

ペライア、快心のモーツァルト with アカデミー室内管@サントリーホール 2014.11.13

正直言って、ペライアに全幅の信頼を置いているsaraiも今日のコンサートは行こうか、どうか、悩みました。いったんは行かないと決意しました。以前聴いた、内田光子の弾き振りのモーツァルトの協奏曲が期待外れだったので、弾き振りに対する不信感があったからです。しかし、結局、最終的に聴きに行って、とてもよかった! 最高のモーツァルトでした。こういう演奏が聴きたかったんです。それにしても、ペライアのピアノの響きの美しかったこと、期待以上の素晴らしさでした。

モーツァルトのピアノ協奏曲第21番は名曲中の名曲、いまさら予習することはありませんが、ペライアの演奏だけ、聴いておきましょう。

 ペライア&ヨーロッパ室内管弦楽団(DVD)
 ペライア&イギリス室内管弦楽団(CD)

イギリス室内管弦楽団はペライアが若い頃(30歳頃)の演奏ですが、勢いがあり、切れのある素晴らしい演奏。ヨーロッパ室内管弦楽団とのDVDはその10年以上後の映像ですが、音質がよくなった分、聴き応えがします。それに映像は面白いですね。

モーツァルト以外の曲も予習。メンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第7番は聴いたことがありません、初めてCDで聴いてみました。少年が作曲したとは思えない完成度です。

 クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

バッハのピアノ協奏曲第7番はペライアのCDを聴きました。普通はチェンバロの演奏で聴きますが、ペライアのピアノのピュアーな演奏もなかなかです。

 ペライア&アカデミー室内管弦楽団

ハイドンの交響曲第94番《驚愕》はこれまで、意外にあまり聴いていないので、まとめて聴いてみました。フルトヴェングラーの古典的な演奏がぴったりきます。セルの演奏も素晴らしいものでした。セルの晩年の演奏はどれも素晴らしいことを最近、認識させられました。

 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル(1951年)
 オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン・フィル 
 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
 カザルス指揮マールボロ祝祭管弦楽団
 アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

さて、今日の演奏についての感想です。

まず、今日のプログラムは以下です。

  ピアノ&指揮:マレイ・ペライア
  管弦楽:アカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

  メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第7番ニ短調
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467

   《休憩》

  J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第7番ト短調 BWV 1058
  ハイドン:交響曲第94番ト長調 Hob.I-94《驚愕》


1曲目のメンデルスゾーンは指揮者なしで、アカデミー室内管弦楽団の弦楽器奏者だけでの演奏。彼らのお得意のスタイルですね。少年メンデルスゾーンが交響曲の習作として作曲したものですが、よほど、バッハの音楽を参考にしたのでしょう。古典的な雰囲気が感じられます。そこに既にメンデルスゾーンらしい清々しさが芽吹いています。アカデミー室内管弦楽団の響きは第1楽章はもうひとつでしたが、第2楽章からは響きが澄み切ってきて、颯爽とした演奏でとても満足できました。

2曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第21番。これが聴きたくて、このコンサートに足を運びました。ペライアの弾き振りなので、一抹の不安があります。冒頭のオーケストラはほどよく響き、いよいよ、ペライアのピアノ。あれっ、なんだか、ペライアらしい美しい響きが聴こえてきません。不安的中か・・・しばらくすると、ペライアのエンジンがかかってきたか、えもいわれない素晴らしい響きと切れのよいタッチ。モーツァルトのピアノ協奏曲はこうでなくてはいけないというような理想的な響きにうっとりと聴き惚れます。そのペライアの美しい響きに呼応するようにアカデミー室内管弦楽団も透き通るような美しい響き。映画音楽でも有名な第2楽章にはいると、ますます、天国的な美しさ。曲もよし、演奏もよし。ただただ、聴き入るだけです。第3楽章はペライアの神業的なシャープな演奏が展開されます。ペライアの若い頃のシャープな切れ味の演奏と同様の素晴らしい演奏。もう、これ以上のモーツァルトは今後聴けないでしょう。最高の演奏でした。今日のコンサートでは、モーツァルトのピアノ協奏曲はこの1曲きりでしたが、もう、それで十分に満足しました。

休憩後のバッハのピアノ協奏曲も美しく、深みのある演奏でした。ピアノの豊かな響きは現代のコンサートホールにはぴったりかもしれません。小ホールなら、チェンバロでの演奏もいいでしょうが、サントリーホールのような大ホールならば、スタインウェイのピアノの響きはホールを包み込むようです。バッハの名曲は楽器が何であれ、素晴らしいです。モーツァルトのピアノ協奏曲と同様に大満足でした。

最後のハイドンの交響曲第94番《驚愕》はおまけのようなもの。ペライアの指揮は堅実なもの。ハイドンはこれでいいでしょう。美味しいデザートを味わわせてもらいました。これがアンコールのようなものですから、アンコールはなし。欲を言えば、ペライアのピアノ独奏のアンコールを途中にはさんでほしかったですけどね。

明日はアヴデーエワのピアノ・リサイタルを聴きますから、ピアノ独奏は十分に楽しめるでしょう。







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       ペライア,  

最高のシューベルト、マレイ・ペライア・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2013.10.24

わざわざ、ペライアのピアノが聴きたくて、ベルリンまで行ってから、もう、1年半経ちます。久々の美しいピアノの音色に耳を傾けましょう。ベルリンでのコンサートの記事はここ

表題に書いたシューベルトは実はアンコールの最初に弾かれた即興曲です。2年前のサントリーホールでのリサイタルでもアンコール曲として弾かれた曲です。余程、お気に入りの曲なんでしょう。本割にはシューベルトがなかったので、残念に思っていたら、アンコールでいきなり、耳馴染みのメロディーが弾かれたので、まずは嬉しや。そして、その素晴らしい演奏に気持ちが舞い上がってしまうようになります。体がとろけるような素晴らしい音楽でした。
で、本割ですが、ともかく、ペライアは絶好調でいつになく、がんがんとパワーフルにピアノを豊かに響かせます。これはちょっと、思いと違って、困惑してしまいました。saraiが好きなのは、ペライアのピュアーな美しいタッチなんです。今日は最前列で聴いているせいもあって、迫力は満点です。それは素晴らしいのですが、求めていたものが違うような・・・。
ベートーヴェンの熱情はまさに熱情的な演奏。後半のシューマンの《ウィーンの謝肉祭の道化》が一番、ぴったりくる演奏で、これはとても感銘を受けました。

今日のプログラムは以下です。

ヨハン・セバスティアン・バッハ:フランス組曲第4番ホ長調 BWV815
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57《熱情》

《休憩》

シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26
ショパン:即興曲第2番嬰ヘ長調 Op.36
ショパン:スケルツォ第2番変ロ長調 Op.31

《アンコール》

シューベルト:即興曲変ホ長調 Op.90-2(D899-2)
ショパン:練習曲Op.10-4
ショパン:練習曲Op.25-1 「エオリアン・ハープ」
ショパン:夜想曲Op.15-1


まず、バッハのフランス組曲第4番。予習しようと思って、ペライアの全曲CDボックスから探しますが、ありません。イギリス組曲は録音していましたが、フランス組曲は未録音だったんですね。後で調べると、最近、全曲録音したそうで、まだ、CD化されていません。おっつけ、リリースされるんでしょう。予習はシフの昔のCDの素晴らしい演奏で聴きました。今日の演奏は一つ一つの音がしっかりしたタッチで弾かれて、芯の通った音楽になっています。これがペライアのフランス組曲なんですね。当初の発表では、パルティータが弾かれることになっていましたが、同じような傾向の音楽なので、きっと、このような演奏になったんだろうなと思いました。もっと静謐な音楽を予想していましたが、分厚い響きの美しい演奏でした。趣味的に言えば、ペライアには、もっと力の抜けた演奏を期待していました。でも、満足ではあります。

次は、ベートーヴェンの熱情。これはかなり昔のペライアの録音で聴きました。合わせて、アラウの新盤でも聴きました。これがよくありませんでした。アラウの新盤はまったく熱情という題名からは程遠い演奏。しかし、第3楽章の美しさと言ったら、もう、天国的としか言えない味わいに満ちています。高齢に達したアラウの孤高の音楽です。ペライアの今日の演奏は凄い迫力の、まさに熱情らしい熱情です。第3楽章はもうミスタッチを恐れない勇気ある演奏。物凄い気魄の渾身の演奏です。普通なら、大興奮で感動するところでしょうが、saraiはアラウの毒に冒されています。ちょっと、引いてしまいました。予習はせめて、アラウの旧盤にしておけばよかったと後悔した始末です。それにしても、これがペライアとは信じられない、とても熱い演奏でした。

休憩後、シューマンの《ウィーンの謝肉祭の道化》です。これはとても素晴らしい演奏でした。第1曲のロンド主題の力強い美しさに魅了されます。それに1番目のエピソードが一転して静かな美しさで素晴らしいです。第2曲のロマンスも綺麗な演奏にうっとり。第3曲のスケルツィーノは元気さの中に悲哀も感じられます。第4曲のインテルメッツォは豊かな響きの音楽。最後の第5曲はエネルギーに満ちた力強い演奏で華やかに全曲を閉じます。何故か、ペライアのシューマンはとても素晴らしいです。ベルリンで聴いたピアノ協奏曲も前回のリサイタルで聴いた《子供の情景》もすべて最高の演奏。《ウィーンの謝肉祭の道化》はそんなに聴きこんでいない曲でしたが、素晴らしい名曲であることが認識できました。

次はショパンの即興曲第2番とスケルツォ第2番。続けて、演奏されました。即興曲第2番はショパンとしては地味な曲。最後に華やかなところもありますが、淡々とした演奏。スケルツォ第2番はショパンの中でもベストテンにはいる超有名曲。saraiも若いころ、人並みにこの曲に夢中になっていたことを思い出しました。激情もあり、繊細な美しさもあり、聴きどころ満載です。ここはペライアの見事な腕前に惚れ惚れしながら、じっと聴き入ります。素晴らしい響きにうっとりしました。

アンコールは何と4曲。ペライアはお疲れの様子でしたが、聴衆が沸き立ったので、それに応えてくれたようです。シューベルトの即興曲は前述した通り、最高の演奏。2番目に演奏されたショパンの練習曲Op.10-4は前回もアンコール曲でした。見事な演奏。3番目もショパンの練習曲。有名な「エオリアン・ハープ」です。これは素晴らしい演奏。演奏後、わっと歓声があがりました。最後を締めたのはショパンの夜想曲。静かな内省的な演奏。演奏後、会場も静まり返りました。これでおしまい。またまた、満足。

今日はペライアのエネルギーに満ち溢れた演奏に圧倒されました。彼はまだ66歳とピアニストとしては若いので、まだ枯れていくのは10年以上先でしょね。どう変容していくのか、同世代の人間として、見守っていきたいと思います。来年はアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズを引き連れて、来日し、弾き振りするそうですが、これはパスです。どうも弾き振りは苦手です。モーツァルトかベートーヴェンのピアノ協奏曲でしょうか。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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