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熱狂と壮大な自然を表現 クラウス・マケラ&オスロ・フィル@東京藝術劇場コンサートホール 2023.10.18

クラウス・マケラがお国もののシベリウスを手兵オスロ・フィルとともに演奏します。しかし、待てよ。オスロって、ノルウェーだよね。シベリウスはフィンランド。何故、フィンランドのオーケストラじゃなくて、ノルウェーのオーケストラなんだろう。マケラがヘルシンキ・フィルなどの首席指揮者にならないのが不思議です。最高のシベリウスになる筈でしょう。

これまで、マケラは都響とパリ管を指揮するのを聴き、その天才ぶりを存分に感じました。今回も彼は天才の片鱗を見せましたし、オスロ・フィルも健闘して、素晴らしいシベリウスを聴かせてくれましたが、正直なところ、都響やパリ管ほどの能力をオスロ・フィルは何分にも持ち合わせていないようで、静謐なところでの繊細なアンサンブルやトゥッティでの美しい音響は今一つ。それでも、前半の交響曲第2番の第4楽章では、マケラの煽るような物凄い指揮で勢いあふれる熱狂を高弦が聴かせてくれました。響きの美しさよりも音楽の持つ力で素晴らしい演奏でした。後半の交響曲第5番は幾分、アンサンブル力も向上して、春の息吹を感じさせる壮大な自然を美しく聴かせてくれました。マケラはどのオーケストラでもその持てる能力を最大限引き出す力を示してくれます。無論、能力の高いオーケストラならば、彼の天才が遺憾なく発揮できます。映像だけですが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したシベリウスの交響曲第4番は圧倒的な演奏でした。

いずれにせよ、クラウス・マケラの凄い指揮能力は疑いなく、それなりに満足できたコンサートでした。次は是非、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とともに来日してほしいものです。ウィーン・フィル、ベルリン・フィルよりも聴きたい・・・といいつつ、次は来月のウィーン・フィル、ベルリン・フィルのコンサートを期待しているsaraiです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       マケラ,  

怒涛のようなお誕生日へのプレリュード

昨日の深夜から怒涛のような時間が続きました。で、ブログのアップを怠ることになりました。

まずは日が変わり、お誕生日になりそうな時間にテレビの番組表を見ていた配偶者が「あっ、コンセルトヘボウ次期首席指揮者クラウス・マケラをやっているよ!」。えっ、すぐにNHK BSに切り替えると、マケラがコンセルトヘボウで指揮しています。少し聴いているとシベリウスの響きです。さらに聴いていると、何と交響曲第4番です。第1楽章終盤でした。そのまま、途中録画しながら聴き始めます。心に沁み入るような暗い第3楽章に感銘を受けました。次は合唱団と独唱者がはいり、何と何とモーツァルトのレクイエム。聴き惚れてしまいました。次はスペシャルインタビュー。オーケストラ、ホールによって、指揮をがらっと変えるという一言や過去の大指揮者の録音を聴くこと、そして、美術が好きでエル・グレコのエネルギーに満ちた作品に魅了されていること。saraiの感性にも近く、嬉しいですね。続いて。2020年の無観客のコンセルトヘボウのコンサートでベートーヴェンの交響曲第6番田園が始まります。もはや、saraiの誕生日に突入し、深夜1時過ぎ。後で録画で聴くことにしましょう。

これから、自宅のネット環境の再構築です。明け方までかかって、何とかデュアルスタック環境の構築ができます。IPV6のLANとPPPoEのLANの間の相互接続も成功。ここで力尽きて、外部からの静的マスカレードまではできませんでした。すっかり、朝です。

急いで寝て、いつもの10時半に起きると、家族みんなから、LINEでお誕生日おめでとうのメッセージの嵐。そして、朝の配達でお誕生日プレゼントまで届いています。

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というところで、さあ、急いで、今日のコンサートに出かけましょう。



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       マケラ,  

春の祭典 完全版 なのか! クラウス・マケラ&パリ管弦楽団@サントリーホール 2022.10.17

今日は本当は昨日聴いた95歳の超高齢の巨匠、ブロムシュテットのもう2度と聴けないであろうマーラーの交響曲第9番のコンサートの記事を書くつもりでしたが、それは明日書くことにして、今日聴いた弱冠26歳のクラウス・マケラ率いるパリ管弦楽団の恐るべきコンサートについて書きます。明日もサントリーホールで同じコンビのコンサートがありますが、財政的事情であえて、今日のコンサートを選びました。明日はアリス=紗良・オットの注目すべきラヴェルのピアノ協奏曲がありますが、今日のコンサートでマケラの指揮するストラヴィンスキーの春の祭典をどうしても聴きたかったので、今日にしました。その思いは完全に叶えられました。まさにこれこそ、春の祭典の完全版(そんなものはありませんけどね)だという凄い演奏が聴けました。

前半はドビュッシーとラヴェル。まず、ドビュッシーの交響詩《海》。これはsaraiの苦手の曲です。何となく、とりとめがないように思えてしまうんです。今日の演奏は色彩感あふれる演奏でとても聴き映えがします。特に大音響で鳴り響くところは少し心を揺さぶられます。この曲のとっかかりが掴めたような気がします。何と言っても音の響きが斬新であることに気づかされました。何と言うか、一種の現代音楽のように音の響きを楽しめばよいのではないかと思えました。海の風景をイメージしていたら、だめなんですね。それにしても、マケラの表現は実に新鮮さにあふれています。

次はラヴェルのボレロ。これもちょっと期待して聴きます。しかし、最初のほうのソロ楽器が同じ旋律を演奏する部分、これは誰が指揮しても同じですね。事実、最初のフルートの演奏ではマケラは手を下ろして、指揮していません。弦楽器のアンサンブルが登場して、ちょっと様子は変わります。何か、いつもとは違う印象です。そして、トゥッティで全楽器が演奏し始めると、物凄い迫力。これまで聴いたことのないような世界になります。しかも、マケラは指揮台上でもう素晴らしい踊りを舞っています。マケラの引き締まった体躯によるバレエもどきを鑑賞しつつ、とてつもないフィナーレを迎えます。今までは中途半端なミニマル音楽のはしりとしか思っていなかったボレロですが、全然、ミニマル音楽とは無縁であることが分かりました。それにシャルル・ミュンシュのように終盤のテンポを上げることなく、切れと響きの重層構造でここまで音楽を高潮させるとは恐るべき才能としか言えません。きっと2度と聴けないボレロです。凄過ぎる演奏でした。

休憩後、いよいよ、今日のメイン、ストラヴィンスキーの春の祭典です。冒頭はファゴットの非常に高音域の演奏で古い民謡調の有名な旋律が流れます。さすがにパリ管の管の響きは魅了されます。管のソロを中心に組み立てたパートの素晴らしい演奏が続き、いよいよ、弦のガッガッガッ・・・という蒸気機関車の推進音のような響きが始まります。えっ、意外に抑えた演奏で物凄い響きではありません。少し、肩すかし。しかし、これも計算の上みたい。第1部は時折、凄い音響で高潮しますが、最後の大地の踊りのフィナーレでがーっと盛り上がって、いったん、終了。第2部もおとなしめに展開していきます。すべては最後の生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)に向かって収斂していきます。ここが凄かった! 音響の凄まじさにも圧倒されますが、変拍子の連続で頭がおかしくなるようなリズムの狂乱。一体、どんな構造になっているのか、驚嘆せずにはいられない音楽です。今まで、この曲の何を聴いてきたのか・・・これが春の祭典の完全版なんですね。驚嘆とショックではらわたが煮えくり返るような衝撃を受けます。作曲したストラヴィンスキーが凄いのか、それを完璧に演奏するマケラが凄いのか。これ以上聴いていたら、こちらのほうが生贄になりそうなところで圧巻のフィナーレ。まさに題名通り、生贄の踊りで踊り狂った乙女は死に至るでしょう。音楽表現の究極を聴きました。

クラウス・マケラ凄し! クルレンツィスも凄いですが、これからの音楽界はクラウス・マケラの世界になるという確信を持ちました。生きているうちにこういうものを聴けて、よかった・・・。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:クラウス・マケラ
  管弦楽:パリ管弦楽団  コンサートマスター:千々岩英一

  ドビュッシー:交響詩《海》管弦楽のための3つの交響的素描 La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre
   第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」De l'aube à midi sur la mer
   第2楽章「波の戯れ」Jeux de vagues
   第3楽章「風と海との対話」Dialogue du vent et de la mer
  ラヴェル:ボレロ Boléro

   《休憩》

  ストラヴィンスキー:春の祭典 Le Sacre du printemps
   第1部 大地の礼賛
    序奏
    春のきざし(乙女達の踊り)
    誘拐
    春の輪舞
    敵の部族の遊戯
    長老の行進
    長老の大地への口づけ
    大地の踊り
   第2部 生贄の儀式
    序奏
    乙女の神秘的な踊り
    選ばれし生贄への賛美
    祖先の召還
    祖先の儀式
    生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)

   《アンコール》
  ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』より  前奏曲『モスクワ川の夜明け(Рассвет на Москве-реке)』



最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドビュッシーの交響詩《海》は以下のCDを聴きました。

 ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団 1973年 セッション録音

なかなかよい演奏です。スタンダードにしてもよいでしょう。


2曲目のラヴェルのボレロは以下のCDを聴きました。

 シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団 1968年9月 パリ、サル・ワグラム セッション録音
 
終盤の盛り上がりは凄まじいものです。決定盤と言えるでしょう。


3曲目のストラヴィンスキーの春の祭典は以下のCDを聴きました。

 テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ 2013年10月7日~9日 ケルン、シュトルベルガー・シュトラーセ 7 セッション録音

天才指揮者、マケラの予習ですから、やはり、天才指揮者の演奏を聴かないといけないでしょう。クルレンツィスはやはり、とんでもない凄い演奏を聴かせてくれます。



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満ち溢れる才能とオーラ、天才新鋭指揮者クラウス・マケラ 狂奔する嵐のマーラーの6番 東京都交響楽団@サントリーホール 2022.7.1

頭の中が物凄く熱くなり、何も考えられなくなるような凄いマーラーでした。若干、26歳の天才新鋭指揮者クラウス・マケラ、恐るべし! saraiが長い人生の中で出会った指揮者の中でカルロス・クライバーと比肩するような才能です。終始、saraiは前のめりで体に力が入ってしまうようにさせられました。明らかにこの若者一人がオーケストラだけでなく、すべての聴衆を支配した1時間半のマーラーの交響曲第6番でした。

都響の演奏するマーラーの交響曲第6番は故ガリー・ベルティーニでも聴き、インバルでも聴きましたが、ここまで凄い演奏ではありませんでした。クラウス・マケラのオーケストラへの要求水準はあまりにも高く、都響がそのすべてを完璧に演奏したわけではありませんが、持てる力以上の演奏をしたことは間違いありません。そして、もちろん、聴衆にも高い緊張感と集中力を要求する演奏でもありました。このフレーズはこういう音楽だとその指揮で指し示し、ちゃんと聴衆が聴きとることを強いるものです。saraiも持てるアドレナリンをすべて出し尽くして、マーラーの交響曲第6番の細部深くを聴き入りました。このとても長大な作品をここまで細密に聴いたのは初めてです。いやはや、凄い指揮者が現れたものです。マーラーの交響曲第6番はこんなに濃密な音楽を内包していたんですね。第1楽章の出だしから、ざっざっざっと物凄い迫力でたたみかけてきます。マーラーの心の中の嵐が荒れ狂うかのようで、一時たりとも心休まるときがありません。高い緊張感のまま、第2楽章のアンダンテに入っていきます。マイアーニック(Maiernigg)の作曲小屋のまわりの美しい自然がマーラーの心象風景として織り込まれています。穏やかでありながら、不安感にも苛まれるような孤独感。心に沁み入るような素晴らしい演奏です。ある意味、今日の演奏の中核をなすような最高の音楽が流れて、そして、静かに消え入ります。うーん、あえて、アンダンテをこの第2楽章に置いたことが納得できます。そして、第3楽章で再び嵐が荒れ狂い、そのまま、間を置かずに第4楽章に入ります。狂乱と凄絶な美がないまぜになった究極のマーラーの世界がどこまでも続いていきます。聴いているsaraiはあまりの高揚感でわけが分からなくなります。もう、何も考えられずに強烈なインパクトの音楽の中に身を置くだけです。やがて、音楽が暗く沈み込みます。そして、激しい和音が叩きつけられて、突然の終わり。突然の死のようです。

実に濃密な時間をクラウス・マケラがこの場に集まった人たちに共有させてくれました。ふとsaraiは思いました。彼が途轍もない要求水準でベルリン・フィルを振ると、どんな音楽が出現するのだろうか・・・。
それにしても、10月のパリ管との来日公演は聴きたいものですが、その高額な料金設定には驚愕します。ボストン響、ロンドン響も高いけどね。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クラウス・マケラ
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:四方恭子

  マーラー:交響曲第6番 イ短調 《悲劇的》


最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第6番を予習したCDは以下です。

  ベルナルト・ハイティンク指揮シカゴ交響楽団 2007年 セッション録音

うーん、物凄い演奏に圧倒されました。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

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