1回目の今回はショパンの初期から中期ということですが、プログラムを眺めるとショパンのファンではないsaraiでもよく知っているショパンの名曲ばかりで、ショパンの名曲コンサートという感じです。
前半はまず、遺作のノクターンと幻想即興曲が嬰ハ短調つながりで演奏されます。極めて美しいタッチでの演奏です。メジューエワの力強いタッチは封印して、美しさを追求した演奏です。だからといって、通俗的に走るわけではなく、真摯な演奏です。これでメジューエワのショパンの世界の開幕です。
続いて、Op.18の「華麗なる大円舞曲」。ワルツの中で最も有名な作品ですが、これは美しさは影をひそめ、だからといって、力強さを前面に押し出したわけでもない疑問符のつく演奏です。演奏のスタイルの意図がつかめません。今日の演奏の中で一番、分からなかった演奏です。次のロ短調 Op.69-2のワルツは憂愁を秘めた美しい演奏で安心します。これでこそ、ショパンのワルツの面目躍如ですね。
続いて、マズルカ3曲。ポーランドの民俗的な雰囲気はあまりありませんが、とても美しい演奏です。
前半の最後はアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ。これは大曲です。後半のポロネーズはまさに華麗極まるもので、素晴らしい演奏に魅了されました。
休憩後、後半はショパンの大傑作、バラード第1番です。ここでメジューエワは持てる力をすべて開放して、破格のショパンを聴かせてくれます。凄まじいエネルギーと情熱の演奏に深く感銘を覚えます。
続いて、エチュード10曲。メジューエワの技巧の確かさに裏打ちされた演奏です。「革命」や「木枯らし」は圧巻の演奏です。
気が付けば、名曲アワーも終了。メジューエワの真摯な演奏によるショパンの名曲の数々を堪能しました。
今日のプログラムは以下です。
イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル 「ショパンの肖像」第1回(全4回)
ノクターン 嬰ハ短調(遺作)
幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66(遺作)
ワルツ(2曲)(変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」/ロ短調 Op.69-2)
マズルカ(3曲)(ホ短調 Op.17-2/イ短調 Op.17-4/ハ長調 Op.24-2)
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
《休憩》
バラード第1番 ト短調 Op.23
エチュード(10曲)
(変イ長調 Op.25-1/嬰ハ短調 Op.25-7/ホ短調 Op.25-5/ハ短調 Op.10-12「革命」/
ヘ短調 Op.25-2/ヘ長調 Op.25-3/ヘ短調 Op.10-9/変ト長調 Op.10-5「黒鍵」/
イ短調 Op.25-11「木枯らし」/ハ短調 Op.25-12)
《アンコール》
ショパン:ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2
ショパン :エチュード Op.10-3 ホ長調「別れの曲」
最後に予習について、まとめておきます。
すべて、イリーナ・メジューエワの録音したCDを聴きました。聴いたアルバムは以下です。
ショパン・リサイタル 2010 2010年7月15日 クロスランドおやべ・セレナホール(富山県小矢部市) ライヴ録音
ショパン:19のワルツ集 2015年7月 & 9月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音
日本デビュー20周年記念リサイタル 2017~2018 2017年11月18日 東京文化会館・小ホール ライヴ録音
京都リサイタル2016 (ショパン・リサイタル) 2016年9月29日、京都コンサートホール〈アンサンブルホールムラタ〉 ライヴ録音
ショパン:エチュード集(24曲) 2009年7月&9月 新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音
いずれも素晴らしく美しい演奏です。セッション録音とライヴ録音の違いがほとんどないのに驚きます。なるべく最新の演奏を聴きましたが、メジューエワのすべてのCDを所有しているわけではないので、すべて最新の演奏を聴いたわけではありません。それでも一番古い2009年の録音でも完成度の高い演奏を聴かせてくれます。
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