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フォーレのレクイエム、中村恵理のソプラノと新国合唱団のソプラノは素晴らしきかな! 小泉和裕&東京都交響楽団@サントリーホール 2021.6.1

中村恵理が名曲のピエ・イエスを歌うというので、駆けつけましたが、その期待は裏切られませんでした。実にピュアーで清廉な歌唱を聴かせてくれました。指揮の小泉和裕との呼吸も合ったのでしょう。中村恵理はオペラのアリアを歌う時のドラマティックな歌唱ではなく、宗教曲に寄り添った素朴とも思える歌唱に切り換えていました。今後、そういう宗教曲での歌唱も楽しみです。
新国立劇場合唱団のソプラノ合唱もとても美しいものでした。第1曲のイントロイトゥス(入祭唱)の後半で甘美なソプラノ合唱が歌われるところでは、文字通り、心が洗われるような思いになりました。第3曲のサンクトゥス(聖なるかな)でも清澄なソプラノ合唱に聴き惚れます。そして、第4曲のピエ・イエス(慈悲深きイエスよ)で中村恵理の清らかな独唱にうっとりと心を委ねます。ここが全曲のちょうど、真ん中で、きっとフォーレも一番心を注いだ部分です。オルガン伴奏に加えて、抑えたオーケストラの演奏も好感を持てます。第5曲のアニュス・デイ(神の子羊)の中間部でもソプラノ合唱の美しさに心を打たれます。第6曲のリベラ・メ(私を解き放って下さい)はバリトンの加耒 徹の清々しい独唱が聴けました。音楽的にも合唱も含めて、訴求力の高いリベラ・メです。素晴らしい演奏に魅了されました。終曲のイン・パラディスム(楽園に)でもソプラノ合唱が素晴らしく、まさに楽園に心を持っていかれる感覚になりました。
中村恵理のソプラノ独唱が素晴らしかったのですが、全体を清らかにまとめあげた小泉和裕の指揮の手腕はさすがと言えます。新国立劇場合唱団の素晴らしい合唱とそれを支えた都響の低弦を中心としたアンサンブルも見事でした。

プログラム前半のオネゲルの交響曲第3番《典礼風》は激しく刻むリズムが炸裂し、小泉和裕の的確なコントロールの下、都響の最高のアンサンブルが聴けました。中心はやはり、都響の誇る弦楽アンサンブルです。いつもの素晴らしい高弦はもとより、低弦も素晴らしい響きを聴かせてくれました。この曲は第2次世界大戦の終結直後に書かれた戦争交響曲と言われますが、その力強い音楽は阿鼻叫喚にも聴こえます。聴きようによってはパシフィック231のような爽快さも感じます。あまり、歴史的背景にこだわらずに推進力のみなぎる音楽を楽しめばよいのかもしれません。ストラヴィンスキーの《春の祭典》にも通じるような人間の根源的な力(野性的な)を感じました。いずれにせよ、見事な指揮、見事なアンサンブルでした。

ところで、今日はこの都響のコンサートに先立って、鶴見サルビアホールでクァルテット・インテグラの演奏で素晴らしいベルクの弦楽四重奏曲も聴きましたが、それは明日、アップします。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:小泉和裕
  ソプラノ:中村恵理
  バリトン:加耒 徹
  合唱:新国立劇場合唱団 合唱指揮:富平恭平
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  オネゲル:交響曲第3番《典礼風》

   《休憩》

  フォーレ:レクイエム Op.48
   第1曲 イントロイトゥス(入祭唱)とキリエ
   第2曲 オッフェルトリウム(奉献唱)
   第3曲 サンクトゥス(聖なるかな)
   第4曲 ピエ・イエス(慈悲深きイエスよ)
   第5曲 アニュス・デイ(神の子羊)
   第6曲 リベラ・メ(私を解き放って下さい)
   第7曲 イン・パラディスム(楽園に)

最後に予習について、まとめておきます。

オネゲルの交響曲第3番《典礼風》を予習したCDは以下です。

  シャルル・デュトワ指揮バイエルン放送交響楽団 1982年、85年 ミュンヘン、ヘラクレス・ザール ライヴ録音

会心の演奏です。交響曲全集なので、ほかの曲も聴いてみたくなります。パシフィック231もよさそうですね。


フォーレのレクイエムを予習したCDは以下です。

  ロランス・エキルベイ指揮アクサンチェス合唱団、フランス国立管弦楽団のメンバー
    サンドリーヌ・ピオー(S)、ステファン・デグー(Br)、パリ聖歌隊(少年合唱) 2008年1月、聖クロティルド教会 セッション録音

第2稿のネクトゥー&ドゥラージュ版の演奏です。合唱もソプラノ独唱のサンドリーヌ・ピオーも素晴らしいです。昔は第3稿のフルオーケストラ版のクリュイタンス盤を聴いていたものですが、第2稿の小編成オーケストラ版は合唱がピュアーに聴けていいですね。



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       中村恵理,  

久々のマーラー、久々の中村恵理 大野和士&東京都交響楽団@東京文化会館 2021.2.22

久しぶりに中村恵理の歌声を聴いて、ただただ満足。一昨年の12月に聴いて以来です。コロナ禍で聴けませんでした。マーラーの歌唱としてはまあ、及第点でしょうが、彼女なら、もっと歌えた筈です。
マーラーを聴くのも久しぶりです。コロナ禍でマーラーのような大規模なオーケストラ作品は演奏機会がありませんでした。これも一昨年の12月に聴いて以来です。そのときも都響でした。アラン・ギルバートの指揮で素晴らしい交響曲第6番でした。
 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-3402.html
今回の都響の演奏とは比べ物にならないレベルの見事な演奏でした。指揮者が変われば、こうも変わるものでしょうか。オーケストラは美しい音響でしたが、内容に乏しい演奏に終始しました。第3楽章だけは美しい演奏でうっとりと聴けたのが救いです。それに第4楽章は中村恵理の美しい声が聴けたので、後半はよかったんです。

冒頭の武満 徹の《夢の時》はとても素晴らしい演奏でした。パースペクティヴとも言える音響の広がりがまるで夜空の星のきらめきを感じさせます。こんな閉鎖空間のコンサートホールではなく、自然の雄大な野原の中で聴きたい音楽です。ホールの屋根が開けばいいのになあと思いながら聴いていました。武満の幽玄な音響の音楽もよいですが、こういう方向性の音楽もいいですね。大野和士の音楽作りも見事でしたし、都響の美しいアンサンブルも素晴らしかったです。

ブラームスのアルト・ラプソディは藤村実穂子の美声をたっぷりと聴かせてもらいました。とりわけ、後半の男声合唱をバックに従えた歌唱が冴え渡りました。オペラの勇壮な場面を聴く思いでした。
そう言えば、藤村実穂子を聴くのも久しぶりです。一昨年の4月以来ですから、ほぼ2年ですね。そのときも大野和士指揮の都響との共演でシェーンベルクの《グレの歌》で素晴らしい森鳩の歌を聴かせてくれました。
 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-3107.html

久しぶり尽くしのコンサートでした。今日は本来ならば、マーラーの交響曲第2番《復活》が演奏される筈でしたが、さすがにコロナ禍が続く現在、あのような大規模の合唱を伴う作品の演奏は無理のようです。まだ、コロナ禍からの《復活》は無理ですね。座席配置も市松模様で50%の聴衆だけでのコンサートです。でも、こうして、徐々にコンサートも復活していくでしょう。いつの日か、本当にマーラーの交響曲第2番《復活》でコロナからの復活を祝いたいものです。ちょうど10年前、saraiが仕事をリタイアした直後に聴いたのがマーラーの交響曲第2番《復活》でした。インバル指揮の都響で素晴らしい演奏でした。
 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-150.html


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:大野和士
  ソプラノ:中村恵理**
  メゾソプラノ:藤村実穂子*
  男声合唱:新国立劇場合唱団* 合唱指揮:富平恭平
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  武満 徹:夢の時(1981)
  ブラームス:アルト・ラプソディ ゲーテ「冬のハルツの旅」による Op.53*

   《休憩》

  マーラー:交響曲第4番 ト長調**


最後に予習について、まとめておきます。

武満 徹の《夢の時》を予習したCDは以下です。

  山田和樹指揮日本フィルハーモニー交響楽団 2017年5月14日 東京・Bunkamuraオーチャードホール ライヴ録音

美しい演奏です。ちょっと外面的な表現に思えます。


ブラームスのアルト・ラプソディを予習したCDは以下です。

  オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、クリスタ・ルートヴィヒ 1962年 セッション録音

安定した演奏です。ちょっと面白味に欠けるでしょうか。


マーラーの交響曲第4番を予習したCDは以下です。

  マイケル・ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団、ラウラ・クレイコム 2003年9月24日-28日、サンフランシスコ、デイヴィス・シンフォニー・ホール ライヴ録音

マイケル・ティルソン=トーマスらしい精密な演奏です。聴き応え十分。



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       中村恵理,  

今日も中村恵理の絶唱に感銘!@ヤマハホール 2019.12.20

今年は中村恵理のソプラノの歌声に毎回、魅了されました。今年、今日で5回目のコンサートです。今年聴いた4回のコンサートは以下です。

 中村恵理、最高のR.シュトラウスを歌う @Bunkamuraオーチャードホール 2019.5.6 N響オーチャード定期
 中村恵理、清冽な絶唱!『ラ・ボエーム』@宮崎芸術劇場 2019.5.19 第24回宮崎国際音楽祭 プッチーニの世界「青春の光と影」
 中村 恵理のリューに酔う、テオリンも絶唱:オペラ《トゥーランドット》@東京文化会館 2019.7.12
 中村恵理の絶唱に感動!@川口リリアホール 2019.11.30

因みに今年最高だったのは、『ラ・ボエーム』のミミです。saraiの最愛のソプラノ、ミレッラ・フレーニを上回る熱演に心が高揚しました。

さて、今日の中村恵理ですが、その透き通った可憐な歌声は心に響いてきました。やはり、人の声は最高の楽器です。彼女の声が最高に機能するのは、やはり、プッチーニの抒情的な旋律です。中村恵理の歌う“ドレッタの美しい夢”は初めて聴きましたが、その素晴らしさにただただ感動。今日のプッチーニはこの1曲だけでしたが、これを聴くだけでも今日のコンサートに足を運んだ甲斐がありました。可憐で純情でありながら、声量が大きく、迫力のある歌唱でした。歌曲では、R.シュトラウスの“献呈”が素晴らしい出来。今年、中村恵理の歌う、この曲を聴くのは3度目ですが、ますます、レベルの高い歌唱になってきました。

藤木大地との2重唱では、レハールの“唇は語らずとも”に心がざわつきました。CTとソプラノの2重唱でこの曲を聴くのは初めてですが、何ら違和感なく、そのロマンティックなこと、この上なし。もっとも、この曲とラ・ボエームの愛の2重唱は、いつ聴いても、心のスイッチがはいり、心がざわつくんです。いやはや、魅力たっぷりの2重唱でした。

他には、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、「ヘンゼルとグレーテル」の2重唱、アンコールの「きよしこの夜」の二人の声の響きの美しさに心を奪われました。

今年は中村恵理という不世出の日本人ソプラノの歌唱をたっぷりと聴けて、幸せな年になりました。来年も機会を捉えて、彼女の美しい声を聴きたいものです。


今日のプログラムは以下です。

  ソプラノ:中村恵理
  カウンターテナー:藤木大地
  ピアノ:木下志寿子

  H.パーセル*B.ブリテン:トランペットを吹き鳴らせ(中村恵理、藤木大地)
  R.クィルター:5つのシェイクスピア歌曲 より “恋に落ちた若者とその彼女” Op.23-3(中村恵理、藤木大地)
  J.S.バッハ:「クリスマス・オラトリオ」 BWV 248 より “シオンよ、備えよ”(藤木大地)
  G.F.ヘンデル:歌劇「エジプトのジュリオ・チェーザレ」 HWV 17 より “つれない女め、お前の頑なさが”(藤木大地)
         オラトリオ「メサイア」 HWV 56 より “その時、見えない人の目は開かれ”~“主は羊飼いのごとくその群れを養い”(中村恵理、藤木大地)
  W.A.モーツァルト:モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 K.618(中村恵理、藤木大地)
  F.メンデルスゾーン:6つのリート より “歌の翼に” Op.34-2(中村恵理)
            3つの二重唱曲 より “実りの畑” Op.77-2(中村恵理、藤木大地)
  R.シューマン:「愛の春」よりの12の詩 より “まさに太陽が輝くように” Op.37-12(中村恵理、藤木大地)
  E.フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」 より “夜になって眠りにつくと” (夕べの祈り)(中村恵理、藤木大地)

   《休憩》

  G.プッチーニ:歌劇「つばめ」 より “ドレッタの美しい夢”(中村恵理)
  F.レハール:喜歌劇「ジュディッタ」 より “私の唇は熱いキスをする”(中村恵理)
        喜歌劇「メリー・ウィドウ」 より “唇は語らずとも”(中村恵理、藤木大地)
  R.シュトラウス:「最後の葉」よりの8つの歌 より “献呈” Op.10-1(中村恵理)
  G.フォーレ:「レクイエム」 より “ピエ・イエズ” Op.48-4(藤木大地)
  E.チャールズ:私の歌であなたの心をいっぱいに(中村恵理)
  H.マンシーニ:映画「ティファニーで朝食を」 より “ムーン・リバー”(藤木大地)
  G.カッチーニ*V.ヴァヴィロフ:アヴェ・マリア(藤木大地)
  A.ロイド=ウェバー:「レクイエム」 より “ピエ・イエズ”(中村恵理、藤木大地)

   《アンコール》

    グルーバー:きよしこの夜(中村恵理、藤木大地)


最後に予習について、まとめておきます。

パーセル、クィルター、メンデルスゾーン、シューマンの2重唱は以下のCDを聴きました。

 キャロリン・サンプソン(S)、イェスティン・デイヴィーズ(CT)、ジョセフ・ミドルトン(ピアノ) 2016年9月、イギリス、ウェウストルトン、ポットン・ホール

これは素晴らしいアルバム。イェスティン・デイヴィーズの素晴らしい歌唱に魅了されます。


バッハの“シオンよ、備えよ”は以下のCDを聴きました。

 米良美一、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 1998年1月

この頃の米良美一の美声にはうっとりします。


ヘンデルのオラトリオ「メサイア」は以下のCDを聴きました。

 アーリン・オージェ、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、マイケル・チャンス(CT)、トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート管弦楽団・合唱団 1988年1月、アビー・ロード・スタジオ

アーリン・オージェの美声は最高です。


プッチーニの“ドレッタの美しい夢”は以下のCDを聴きました。

  ミレッラ・フレーニ 録音データ不詳

プッチーニはフレーニを聴くしかないでしょう。中村恵理が録音してくれるまではね・・・。


レハールの“私の唇は熱いキスをする”は以下のCDを聴きました。

 アンナ・ネトレプコ、エマニュエル・ヴィヨーム指揮プラハ・フィルハーモニア 2008年3月 プラハ

これは凄いね。


R.シュトラウスの“献呈”は以下のCDを聴きました。

 エディタ・グルベローヴァ、フリードリヒ・ハイダー指揮 ニース・フィルハーモニー管弦楽団

グルベローヴァの絶唱。


フォーレとカッチーニは以下のCDを聴きました。

 スミ・ジョー、ジェイムズ・コンロン指揮ケルン・フィルハーモニー・ギュルツェニヒ管弦楽団 2000年6月 ケルン

スミ・ジョーの歌声は絶品。



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       中村恵理,  

中村恵理の絶唱に感動!@川口リリアホール 2019.11.30

中村恵理の歌声にはまっています。今日も最高でした。今年はN響オーチャード定期のR.シュトラウス歌曲、宮崎国際音楽祭《ラ・ボエーム》ミミ役、「オペラ夏の祭典2019~2020」の《トゥーランドット》リュー役という主な公演を追っかけ、今後、12月の銀座ヤマハホールが聴く予定です。どれも素晴らしい歌唱で満足させてくれます。
現在、saraiの一番のお気に入りのソプラノです。もっと評価されて然るべくと臍を噛んでいます。

今日は日本の歌曲3曲で滑り出し、初挑戦だというブラームスの歌曲で一気に盛り上がります。ブラームスの濃厚なロマンが香り立つような素晴らしい歌唱に胸が熱くなります。今年は彼女はブラームスのドイツ・レクイエムにも挑戦したんですね。それは聴き逃がしました。シューベルトやシューマンでなく、ブラームスを歌った中村恵理のこだわりは何だったんでしょう。saraiはブラームスの歌曲も好きですけどね。

次いで、R.シュトラウスを3曲。N響オーチャード定期でも聴きましたが、やはり、素晴らしい歌唱です。とりわけ、「解き放たれて」が素晴らしくて、感銘を受けました。こんなにR.シュトラウスの歌曲を絶唱してくれるとはね・・・。Morgen!が聴けなかったのだけが残念です。

前半は歌曲だけでまとめたプログラムですが、休憩後の後半は何とアメリカの昔のポップソングで始まります。E.チャールズという作曲家はまったく知りませんでしたが、ブロードウェイで活躍した後、ハリウッドで一生を終えた人で、コール・ポーターとクラシックの歌曲の間を埋めるような作品で人気を博したそうです。特に2曲目の《あなたのため以外には、もう歌わない》がリサイタルの締めでよく歌われてきたそうです。ハリウッド映画《マダム・フローレンス》でも主役のメリル・ストリープがラストで歌ったそうです。マダム・フローレンスは有名な音痴歌手のフローレンス・フォスター・ジェンキンスをもとにしているので、もちろん、このメリル・ストリープの歌は音痴っぱずれでしょうが、中村恵理は素晴らし過ぎる歌唱(笑い)。ところで1曲目の《私の歌であなたの心をいっぱいに》のメロディーはヨハン・シュトラウスをパクったような感じで美しく、抒情的な歌です。

そのつながりか、次はJ.シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」の“チャルダッシュ”です。この難曲を中村恵理はやすやすと歌いこなし、やんやの喝采を浴びました。いやはや、凄い歌唱に脱帽です。

この日、最後の3曲はヴェルディとプッチーニの名アリア。大曲続きで大変でしょう。そんな危惧は彼女には無用でした。ヴェルディの歌劇「トロヴァトーレ」の“静かな夜”は凄過ぎる歌唱に呆然となります。さらにそれを上回ったのは歌劇「運命の力」の“神よ、平和を与えたまえ!”。感動的な絶唱でした。中村恵理のヴェルディは凄いです。

ヴェルディの絶唱に驚愕していると、最後のプッチーニはその歌い出しで感動に襲われて、涙が出ます。昨年も宮崎国際音楽祭で聴いた歌劇「蝶々夫人」の“ある晴れた日に”はもう何も言えない最高の歌唱でした。世界でこれ以上歌える人はいないと断言できます。終始、感動しっぱなしでした。あー、素晴らしかった!

アンコールは《私の名はミミ》だろうと思っていましたが、何とレハールの美しいメロディーが流れてきてびっくり。まあ、この曲もソプラノのアンコールの定番曲ではありますね。最後はR.シュトラウスの「献呈」でシメ。もちろん、素晴らしかったです。

満足というよりも感動したリサイタルでした。来月の藤木大地とのジョイントリサイタルに早くも期待しながら、家路につきました。


今日のプログラムは以下です。

  ソプラノ:中村恵理
  ピアノ:木下志寿子

  平井康三郎:しぐれに寄する抒情
  中田喜直:わらい
  小林秀雄:落葉松
  ブラームス:5つの歌曲 Op.105 より
        「メロディーのように」「まどろみはいよいよ浅く」「墓場にて」
  R.シュトラウス:「憩え、わが魂」“Ruhe, mein Seele!”Op.27-1
          「解き放たれて」“Befreit”Op.39-4
          「悪いお天気」“Schlechtes Wetter”Op.69-5

   《休憩》

  E.チャールズ:私の歌であなたの心をいっぱいに
         あなたのため以外には、もう歌わない
  J.シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」 より “チャルダッシュ”
           こうもりアンソロジー(ピアノソロ)
  ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」 より “静かな夜”
        歌劇「運命の力」 より “神よ、平和を与えたまえ!”
  プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」 より “ある晴れた日に”

   《アンコール》

    レハール:喜歌劇「ジュディッタ」 より “私の唇は熱いキスをする”
    R.シュトラウス:「献呈」“Zueignung” Op.10-1


最後に予習について、まとめておきます。

日本の歌曲は以下のYOUTUBEを聴きました。

 平井康三郎:しぐれに寄する抒情https://www.youtube.com/watch?v=H5qBmUNrGN8
 中田喜直:わらいhttps://www.youtube.com/watch?v=gGmE1SVCtRU
 小林秀雄:落葉松https://www.youtube.com/watch?v=T9sXjaO7h38


ブラームス:5つの歌曲 Op.105は以下のCDを聴きました。

 アン・マレイ、スティーヴン・コワセヴィチ 1994年1月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオ

意外にアン・マレイが素晴らしいブラームスを歌ってくれます。びっくりしました。


R.シュトラウスの歌曲は以下のCDを聴きました。

 エリーザベト・シュヴァルツコップ、ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団 1968年9月10-14,18日 ロンドン、キングズウェイ・ホール (「憩え、わが魂」)
 アドリアンヌ・ピエチョンカ、フリードリッヒ・ハイダー指揮ニース・フィルハーモニー管弦楽団 1999年 (「解き放たれて」)
 キリ・テ・カナワ、ゲオルグ・ショルティ指揮BBCフィルハーモニック 90年6月17日,イギリス・マンチェスター・フリー・トレード・ホール (「悪いお天気」)

R.シュトラウスを得意とする3人3様の歌声。悪かろうはずがありません。


E.チャールズの歌曲は以下のYOUTUBEを聴きました。

  私の歌であなたの心をいっぱいにhttps://www.youtube.com/watch?v=7277XqL3Tc4
  あなたのため以外には、もう歌わないhttps://www.youtube.com/watch?v=ySalZA_GO3s


J.シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」は以下のCDを聴きました。

 エディタ・グルベローヴァ、ニコラウス・アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1987年

全曲盤から、グルベローヴァが歌う“チャルダッシュ”を抜き出して聴きました。グルベローヴァの若々しい歌声が聴けます。


ヴェルディのアリアは以下のCDを聴きました。

 ソーニャ・ヨンチェヴァ、マッシモ・ザネッティ指揮ミュンヘン放送管弦楽団 2017年4月、ミュンヘン、バイエルン放送第1スタジオ

今をときめくヨンチェヴァの圧巻の声の響き。


プッチーニのアリアは以下のCDを聴きました。

 ミレッラ・フレーニ、レオーネ・マジエラ指揮イタリア・ラジオ・テレビ放送管弦楽団 1968月

プッチーニと言えば、フレーニ。彼女のデビューしたての頃の若々しい歌声を聴きました。後年の熟成した歌唱には及びませんが、声のピュアーさは最高です。



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       中村恵理,  

中村 恵理のリューに酔う、テオリンも絶唱:オペラ《トゥーランドット》@東京文化会館 2019.7.12

中村 恵理のリューが聴きたくて、国内で久しぶりに舞台演出のオペラを聴くことにしました。これが大当たり。今日は一連のオペラ《トゥーランドット》公演の初演日ですが、その完成度の高さに感銘を受けました。国内のプロダクションでも、これだけのキャスト、スタッフを用意すると、海外でのオペラ公演にも匹敵するレベルのオペラが上演できるんですね。今後もこういう取り組みを続けてほしいものです。高額のチケットにも関わらず、座席はほぼ埋まっていました。みなさん、何に魅かれての来場だったんでしょう。saraiは最初に書いた通り、中村恵理のリューと、そして、タイトルロールのテオリンです。

書きどころ満載の感じでしたが、要点だけに絞ります。まずは中村恵理のリュー、最後に死ぬシーンでのアリア《氷のような姫君》でのピュアーな歌唱、最高でした。このシーンがプッチーニの絶筆だったわけですが、saraiの心の中でも、今日のオペラはここで終わったも同然。あたかもイゾルデの愛の死を連想させるがごとくです。プッチーニ的にはそうじゃなくて、ミミの死だと思い返します。いずれにせよ、このオペラはプッチーニの死でここで未完となったわけですが、saraiの妄想では、プッチーニはここでちゃんとけじめをつけて、彼のオペラ作曲はここで完結したような思いにもかられます。スカラ座での初演でもトスカニーニがこのリューの死のシーンで演奏を止めて、ここで先生はお亡くなりになりましたとスピーチしたそうですが、なんだか、それがこのオペラの正しい終わり方にも思えます。プッチーニには、トゥーランドットではなく、やはり、リリックなリューが似合います。そして、現代の最高のリューの歌い手が中村恵理です。

急にこれ以上、書きたくなくなりましたが、それもわがまま。テオリンの歌うトゥーランドットは素晴らしかったです。もしかしたら、テオリンを生で聴くのは初めてだったでしょうか。ちょっと調べてみると、5年前、バルセロナのリセウ劇場でのワルキューレで彼女のブリュンヒルデを聴いていました。道理で今日の第2幕の最後のシーンで彼女が「見も知らぬ異邦人に私を与えないでください」と歌ったとき、デジャヴのようにワルキューレでブリュンヒルデが「私を通りすがりの男に与えるのは止めてください。火の壁を通り抜けることのできる英雄だけに私を得られるようにしてください」と父ヴォータンに哀願するシーンを連想してしまったわけです。ちなみに彼女のブリュンヒルデは素晴らしかったことを思い出しました。そのとき、saraiが書いたブログ記事を読み返すと、現在最強のブリュンヒルデと絶賛していました。同じ言い方で言えば、今日のテオリンは現在最強のトゥーランドットだと思いました。歴史を通じても、最高のトゥーランドット歌いと賞賛されているビルギット・ニルソンにも肉薄する出来栄えに思えました。

カラフを歌ったテオドール・イリンカイも見事な歌唱で合格点。《誰も寝てはならぬ》は素晴らしい歌唱で聴き入りました。それに今日は合唱の合同チームが凄い歌唱を聴かせてくれました。これ以上の合唱はないでしょう。舞台に階段を多用し、その上に並んで大合唱団が歌ったのも成功の一因です。

最後に演出についてですが、舞台装置の素晴らしさも含めて、現代的な演出の中に音楽面の配慮もみられる、納得できるものでした。問題はフィナーレの演出。まだ、これからご覧になる方もいるでしょうから、詳細は述べませんが、びっくりするような終わり方でした。賛否両論あるでしょうが・・・。


プログラムとキャストは以下です。

  指揮:大野 和士
  演出:アレックス・オリエ
  管弦楽:バルセロナ交響楽団
  合唱:新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部、びわ湖ホール声楽アンサンブル
  児童合唱:TOKYO FM少年合唱団

 トゥーランドット姫              イレーネ・テオリン
 中国の皇帝アルトゥーム         持木 弘
 ティムール                  リッカルド・ザネッラート
 名前の知れない王子(実はカラフ)   テオドール・イリンカイ
 リュー、若い娘               中村 恵理
 ピン、皇帝に仕える大蔵大臣      桝 貴志
 パン、内大臣                与儀 巧
 ポン、総料理長               村上 敏明
 役人                     豊嶋 祐壹


最後に予習について、まとめておきます。

予習したCDは以下です。

 フランチェスコ・モリナーリ・プラデッリ指揮ローマ歌劇場  1965年録音
   ビルギット・ニルソン、フランコ・コレッリ、レナータ・スコット

何と言う名盤でしょう。まず、トゥーランドット役と言えば、昔から、この人。ビルギット・ニルソン。マリア・カラスという対抗馬はいますが、美しい声、そして、強くて伸びる声量は不世出でしょう。しかし、やはり、カラフ役のフランコ・コレッリが素晴らしい! この人の歌唱には賛否両論あるようですが、saraiは若い頃から彼のカッコ良さに同性ながら、参っています。史上最高のイタリアン・テノールだと信じています。やはり、素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。ニルソンとコレッリの2重唱の凄さには絶句します。さらにリューはレナータ・スコット。この人もリリックなソプラノ役では図抜けた存在です。ですから、これは最高のキャストですね。カラスの録音がステレオならば、これに匹敵したかもしれません。映像版はレヴァイン指揮のMETでエヴァ・マルトン、プラシド・ドミンゴ、レオーナ・ミッチェルの3人が揃った素晴らしい公演をいつも聴いています。マルトンが最高です。ミッチェルのリューも素晴らしい。今回は聴きませんでした。



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Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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