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中村恵理、究極のヴィオレッタを熱唱 《椿姫》2回目@新国立劇場 2022.3.19

中村恵理のあまりの素晴らしさに今度は配偶者も伴って、2回目の《椿姫》を聴きに出かけました。無論、今度も素晴らしく、もう、何も言う言葉がありません。

冒頭、今回もヴィオレッタを歌っているのが中村恵理であることが認識できません。まるで、前回のデジャヴみたいな気分になりますが、今回は事前にキャスト表をしっかり確認しておきましたから、間違いなく、中村恵理がヴィオレッタを歌っていることは頭では分かっています。いやはや、中村恵理のヴィオレッタはいつもよりも強めの声で、それでいて、透明感はさらに増しているような感じです。saraiはこういうヴィオレッタを聴きたかったんです。saraiが理想とするソプラノです。かつて、こういう声はフリットリが聴かせてくれました(ヴィオレッタではなく、ドン・カルロのエリザベッタ)が、それは終盤で満を持したような感じで絞り出したものです。saraiはそのとき、天使の歌声を聴いたという感慨を持ちました。今日の中村恵理は冒頭からフィナーレまで終始、その天使の歌声を聴かせてくれました。それはイタリア最高のプリマドンナであったフリットリでもなし得なかったことです。中村恵理がヨーロッパで最高の評価を得ていないのが不思議です。

第1幕でも前回と同様に素晴らしいアリアを歌ってくれましたが、第2幕に入り、アルフレードの父、ジェルモンと渡り合うシーンになると、中村恵理の可憐で健気な様子のヴィオレッタの何と素晴らしいことか。【ジェルモン】役のゲジム・ミシュケタの堂々たる歌唱を引き立て役にして、まさに天使の歌声が弱音から強音にいたるまで響き渡ります。そのあまりのいじらしさにsaraiは近くにいれば、そっと抱きしめてあげてやりたい気分です。こんなにsaraiを魅了してやまないソプラノが何と日本人ソプラノとは・・・絶句するのみです。しかし、それは序章に過ぎませんでした。

第3幕、円形に切り抜かれた舞台の中央に置かれたピアノの上に横たわるヴィオレッタ、すなわち、中村恵理が感涙の歌唱を聴かせてくれます。死を覚悟したヴィオレッタが歌うシェーナの透明感あふれる歌声は誰も到達できなかった境地に達しています。そして、中村恵理の《過ぎし日よ、さようなら》の名唱は感動なしには聴けません。この日、最高の歌唱。saraiの人生でもこれほどの歌唱は何度聴いたでしょう。ソプラノならではのピュアーさの究極、そして、魂の歌声は天上の音楽を思わせます。こういう音楽を聴きたかったんです。その後もアルフレードとのデュエット、《パリを離れて》で天使の歌声が続きます。そして、終幕のフィナーレ。深い感動のうちに幕を閉じます。またしても、涙が滲みます。

もう一度、聴きにきて、よかった。満足と感動で心が震えます。

音楽がすべてですが、衣装の豪華さ、美しさも素晴らしかったです。第1幕でヴィオレッタが着ていたドレスが展示されていました。

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終幕後の番外編。

今日は配偶者と一緒に来たので、アフターオペラを楽しみます。新国立劇場3階にあるイタリアンのレストラン、《マエストロ》でディナーです。オペラの始まる前にロビーで予約済なので、予約席のテーブルに案内されます。まずはワインリストからスプマンテのグラスを注文し、席の前に置いてあるメニューを見て、一番リーズナブルなコースをお願いします。そもそもパスタが食べたかったので、パスタが中心のコースを選んだんです。で、注文を終えて、そのメニューは不要だと言うと、スタッフの方が怪訝な顔をして、メニューを指さします。あっ・・・何とメニューには、今日のオペラ《椿姫》のキャストのサインが並んでいます。右上にある中村恵理のサインが目に飛び込んできます。

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お洒落なプレゼントですね。残念ながら、生サインではなく、コピーではありますが、貴重なコレクションになります。

今日の椿姫記念ディナーをご紹介しましょう。
まずはアンティパスト。
プロシュートとモッツァレラ、トマトのサラダ仕立て
エディブルフラワーを添えて。

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プリモは二人で別のパスタを選び、シェアしていただきます。
スパゲッティ 鰯と新玉葱のアーリオ・オリオ・ペペロンチーノ 。鰯の香りと味が素晴らしく、絶品です。

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ペンネ パンチェッタと筍のアラビアータ。筍がしゃきっとして、ペンネのアラビアータによく合います。

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最後はドルチェとコーヒー。
抹茶のティラミスとジェラートの盛合わせ。抹茶のジェラート、美味しいです。

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お腹も満足して、帰路に着きます。


今日のキャストは以下です。

  ジュゼッペ・ヴェルディ 椿姫

【指 揮】アンドリー・ユルケヴィチ
  【演出・衣裳】ヴァンサン・ブサール
  【美 術】ヴァンサン・ルメール
  【照 明】グイド・レヴィ
  【ムーブメント・ディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂


【ヴィオレッタ】中村恵理
  【アルフレード】マッテオ・デソーレ
  【ジェルモン】ゲジム・ミシュケタ
  【フローラ】加賀ひとみ
  【ガストン子爵】金山京介
  【ドゥフォール男爵】成田博之
  【ドビニー侯爵】与那城 敬
  【医師グランヴィル】久保田真澄
  【アンニーナ】森山京子
  【ジュゼッペ】中川誠宏
  【使者】千葉裕一
  【フローラの召使い】上野裕之
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京交響楽団

最後に予習についてですが、さすがに聴きませんでした。聴くとしたら、ザルツブルク音楽祭の衝撃だったネトレプコの公演でしょうが、これは何度も繰り返し視聴しました。



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       中村恵理,  

超感動!!中村恵理、薄幸の女の墓碑銘を絶唱 《椿姫》@新国立劇場 2022.3.16

新国立劇場でも素晴らしいオペラ公演を聴いてきましたが、今日のオペラが最高です。また、《椿姫》は《薔薇の騎士》、《フィガロの結婚》と並んで最もよく聴いてきたオペラですが、今日の公演は今まで聴いた公演でもウィーン国立歌劇場でネトレプコがヴィオレッタを歌った素晴らしい公演に並び立つような素晴らしいものでした。もちろん、《椿姫》はヴィオレッタ役の出来がすべてを決めると言っても過言でありませんが、中村恵理の凄かったこと! 潤いのある透明な響きの歌唱の見事さだけでなく、その音楽的な表現力が群を抜くものでした。第3幕は涙なしには聴けませんでした。いやはや、何とも感動的なオペラでした。もう、第1幕を聴いているときから、これはもう一度聴かないといけないと思いました。そう思わなければ、聴き終わるときに圧倒的な喪失感に襲われるという不安で聴き続けることができなかったからです。もう、どんな席のチケットでもいいから入手しましょう。ということで安心して、聴き続けることができました。

冒頭、どの女性がヴィオレッタかを視認することができません。ヴィオレッタが歌い始めても、中村恵理がヴィオレッタを歌っているという確信が持てません。彼女の声は数日前にも聴いたし、何と言ってもsaraiは彼女のファンなので、かなり聴き込んでいるにもかかわらず、どうにも、彼女の声だという確信が持てません。その姿も中村恵理だという確信も持てません。もう一度、キャスト表を確認したくなりますが、ごそごそ音をたてるわけにもいきません。何故、こういう事態に陥ったかというと、ヴィオレッタの歌唱がどうにもsaraiの知っている中村恵理の歌唱に思えないんです。いい意味で素晴らしい声です。不安定な状態で聴き続けます。乾杯の歌を聴いても、よく分かりません。第1幕終盤の長大なアリアを聴いても分かりません。しかし、何とも澄み切った響きの歌唱で素晴らしいことには間違いありません。終いにはこれが中村恵理であっても、急な代役であったとしても、素晴らしい歌唱であることには違いがないのであるから、誰が歌っているかということは些末なことに思えます。前述の、この公演をもう一度聴きたいというのはこの時点であり、もし、これが中村恵理であるならば、どうしてももう一度聴きたいし、そうでなかったら、是非、中村恵理のヴィオレッタを聴きたいという微妙な心情だったんです。それにしても、《ああ、そはかの人か~花から花へ》の歌唱は絶品です。こんなにピュアーな声の歌唱は聴いたことがありません。かのネトレプコさえも、このような澄み切った声ではありませんでした。ピュアーでありながら、コロラトゥーラ・ソプラノとしても完璧な歌唱です。ああ、そうですね。今までの中村恵理はプッチーニのリリックなソプラノの歌唱だったので、こういうコロラトゥーラ・ソプラノの歌唱は聴いたことがなくて、それでずいぶん、印象が違っているのかもしれません。
休憩なしに第2幕に入ります。冒頭の【アルフレード】役のマッテオ・デソーレのアリア。一途な好青年を思わせる素晴らしい歌唱です。アルフレードにぴったりのテノールです。カリスマ的でないのがかえって好印象です。アルフレードの父ジェルモンが登場して、ヴィオレッタと対峙すると、一気に緊張感が高まります。まるでトスカの第2幕のスカルピアとトスカの対峙するシーンのようです。いずれも男性社会の象徴のような恰幅のいい男が弱き性の女性を徹底的に痛めつけるという唾棄すべきシーンが繰り広げられます。男性の一員であるsaraiですら、正視できません。オペラというフィクションであることは分かっていても、どうにもこのシーンは苦手です。ジェルモンが押し出しのよいバリトンで歌えば歌うほど、反吐を吐きそうになってしまいます。まあ、こういう真に迫るような音楽を書いたヴェルディが素晴らしいのでしょうが・・・。嫌いな歌の象徴が《プロヴァンスの海と陸》。もっとも、皮肉なことに【ジェルモン】役のゲジム・ミシュケタの歌唱は立派過ぎるほどです。痛めつけられるヴィオレッタの可憐な歌唱はとっても素晴らしい。どうにもやりきれない第2幕第1場は深い感銘を残しつつ、終わります。
急いで、キャスト表をチェックして、ヴィオレッタが中村恵理であったことを確認して、納得と驚きを禁じ得ません。それではと、ボックスオフィスに赴いて、残る2回の公演の残席状況をチェックします。さすがに中央前方のブロックは売り切れです。前方の左右ブロックの席は若干空いているようです。うーん、即、購入というわけにはいきませんね。

30分の休憩後、第2幕第2場が始まります。中村恵理の澄み切った歌声がますます冴え渡ります。オペラはドラマティックに終焉に向かっていきます。
第3幕。とても美しい前奏曲が東響の素晴らしい弦楽セクションによって演奏されます。ヴィオレッタの哀しき運命を象徴しているんですね。第1幕の前奏曲と同様の抑えた表現で素晴らしい演奏。指揮のアンドリー・ユルケヴィチの手腕が光ります。コンサートマスターはグレブ・ニキティン。数日前にも定期演奏会で活躍していましたが、今日も見事な統率ぶりです。舞台は特異なものです。楕円に切り取られたような舞台の中央に古いピアノが置かれ、その上に死に瀕したヴィオレッタが横たわります。その背後はベールで覆われて、ヴィオレッタ以外の人物はベール越しにしか見えません。この第3幕はヴィオレッタ一人のためのものであり、彼女以外はすべて亡霊でしかありません。恋人のアルフレードさえも例外ではありません。音楽の内容を完璧に理解した演出に思えます。その演出に応えて、中村恵理は完璧なヴィオレッタを歌い切ります。人生で道を一度外した女(ヴィオレッタが高級娼婦であったこと)は決してこの世では救われないことを驚異的な音楽表現で歌います。その究極のリリックな歌唱に感動し、涙が滲みます。中村恵理、入魂のヴィオレッタに魅了されました。大変な日本人ソプラノが現れたものです。彼女が代役に決まったときに嬉しかったのですが、その期待以上の歌唱と演技でした。

帰宅後、配偶者を誘って、再度、この公演に足を運ぶことを決めて、そこそこの席のチケットを購入。もう一度、このオペラの公演のレポートを記事にします。ご期待ください。もっともこれ以上、書くことはないかな。


今日のキャストは以下です。

  ジュゼッペ・ヴェルディ 椿姫

【指 揮】アンドリー・ユルケヴィチ
  【演出・衣裳】ヴァンサン・ブサール
  【美 術】ヴァンサン・ルメール
  【照 明】グイド・レヴィ
  【ムーブメント・ディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂


【ヴィオレッタ】中村恵理
  【アルフレード】マッテオ・デソーレ
  【ジェルモン】ゲジム・ミシュケタ
  【フローラ】加賀ひとみ
  【ガストン子爵】金山京介
  【ドゥフォール男爵】成田博之
  【ドビニー侯爵】与那城 敬
  【医師グランヴィル】久保田真澄
  【アンニーナ】森山京子
  【ジュゼッペ】中川誠宏
  【使者】千葉裕一
  【フローラの召使い】上野裕之
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京交響楽団

最後に予習についてですが、さすがに聴きませんでした。聴くとしたら、ザルツブルク音楽祭の衝撃だったネトレプコの公演でしょうが、これは何度も繰り返し視聴しました。



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       中村恵理,  

中村恵理、ラヴェルへの挑戦はいかに 沼尻竜典&東京交響楽団@サントリーホール 2022.3.12

中村恵理、いつもの美声を聴かせてくれましたが、フランス歌曲はまだ、これからのようです。歌曲はどれもそうですが、その言語の持つニュアンスは発音も含めて、表現が難しいですね。特にフランス語は美しい発音が必須です。予習で聴いたヴェロニク・ジャンスの美しいフランス語が頭に残っていたので、残念ながら、中村恵理の歌唱には違和感を持ちました。まるでプッチーニのオペラを聴いている感じです。声の響きは素晴らしかっただけに残念というしかありません。来週は新国立劇場でオペラ《椿姫》のヴィオレッタを彼女の歌唱で聴くので、それに期待しましょう。

ラヴェルの「ダフニスとクロエ」は東響の美しいアンサンブルに聴き惚れました。沼尻竜典の熱い指揮もなかなかでした。とりわけ、終盤の盛り上がりには耳をそばだてました。ダッタン人の踊りみたいなところの迫力は圧巻でした。新国立劇場合唱団の合唱も相変わらず、見事でした。ラヴェルの代表作である「ダフニスとクロエ」、一昨年のロト指揮都響の凄い演奏には及ばないにしても、とても健闘した演奏に感銘を受けました。
冒頭のラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」も美しい演奏でしたね。ラヴェル尽くしのプログラム、意欲的でよかったです。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:沼尻竜典
  ソプラノ:中村恵理
  合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
  ラヴェル:歌曲「シェエラザード」

  《休憩》

  ラヴェル:「ダフニスとクロエ」(全曲)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」を予習したCDは以下です。

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2016年10月31日/フィルハーモニー・ド・パリ&11月2日/ロンドン、サウスバンク・センター&11月4日/シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン ライヴ録音

このロトの録音は組曲版ではなく、バレエ音楽全曲です。今回、saraiが勝手に組曲版の構成に抜き出して、聴きました。流石にロトのラヴェルは素晴らしいです。第5曲の盛り上がりたるや、凄まじいものです。


2曲目のラヴェルの歌曲「シェエラザード」を予習したCDは以下です。

  ヴェロニク・ジャンス、ジョン・アクセルロッド指揮フランス国立ペイ・ドゥ・ラ・ロワール管弦楽団 2009年9月25日、2010年10月26-28日 ナント、ラ・シテ・サル2000  ライヴ録音

ヴェロニク・ジャンスのフランス語の発音の美しいこと、うっとりします。まるで語るような歌い方も見事です。ラヴェルの歌曲がこんなに美しいとは知りませんでした。それにしてもジャンスは素晴らしい。彼女のフランス歌曲にはまってしまいそうな予感がします。


3曲目のラヴェルの「ダフニスとクロエ」(全曲)を予習したCDは以下です。

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル、アンサンブル・エデス 2016年 フィルハーモニー・ド・パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン、コンピエーニュ帝国劇場、セナール劇場、アミアン・カルチャーセンター(以上、フランス)、ライスハレ(ハンブルク)、スネイプ・モルティングス・コンサートホール(オールドバラ) ライヴ録音

ロトの伝説的名演です。これを聴かずして、ラヴェルは語れません。



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       中村恵理,  

中村恵理、ますます冴え渡る感動の歌唱 《蝶々夫人》@新国立劇場 2021.12.10

中村恵理の《蝶々夫人》の2回目を鑑賞しました。前回は中村恵理の蝶々夫人は初歌唱だったせいもあり、1幕目は少々、歌唱が固かった印象もありましたが、今日は完全にこなれて、冒頭から完璧な歌唱でした。
声の響きも美しく、瑞々しい表現が細部まで磨き上げられています。前のめりでその素晴らしい歌唱に惹き込まれます。1幕目では蝶々さんは若干15歳ですが、そのあどけなさと愛への一途さを見事に表現した中村恵理の歌唱に舌を巻きます。まあ、それ以上に彼女の美声に聴き惚れているんですけどね。最後は歌の内容はどうでもよくなって、その美声だけを聴いています。第1幕の終盤のピンカートンと蝶々さんの愛の2重唱に心が高まります。ピンカートン役の村上公太は前回よりは調子が落ちているように感じますが、それでも十分に声が出ています。中村恵理の蝶々さんは声量も十分で声質も透明で突き抜けるような雰囲気。完璧です。

《蝶々夫人》は日本が舞台ということで、かえって抵抗を覚える人も多いようです。実はかつてのsaraiもその一人でした。ヨーロッパの舞台で変な着物の着方を見ると、それだけで気持ちが落ちてしまいます。さらに日本人の女の子がアメリカ人の男性に翻弄されて捨てられるというストーリーは耐え難いものがあります。さらに日本の少女、蝶々さんを外国人のグラマーな歌手が演じることにも無理があります。そういうネガティブな感覚のすべてをひっくりかえしてくれたのが、我らがソプラノ、中村恵理の蝶々さんです。宮崎音楽祭の演奏会形式での歌唱で従来からの概念を見事に一掃してくれました。もちろん、今回の新国立劇場でも、何の抵抗感もなく、聴けます。蝶々さんの純粋無垢で一途な愛、そして、死の物語がプッチーニの甘美なメロディーで歌い上げられます。中村恵理の表現した蝶々さんは悲劇のヒロインではなく、純粋な愛を貫き通して、名誉ある愛の死を遂げる、愛の勝利者であると思えます。そのドラマの頂点がフィナーレの自死であり、短くも最高のアリア《かわいい坊や》です。ここにおいて、蝶々さんの純粋な愛はその死をもって完成します。それを見事に演じ歌い上げた中村恵理の素晴らしさに感涙するのみでした。

期待通りの中村恵理の《蝶々夫人》の公演に感動した2時間半になりました。中村恵理の周りを固めるキャストも皆、好演。ピンカートン役の村上公太、シャープレス役のアンドレア・ボルギーニ、スズキ役の但馬由香、ゴロー役の糸賀修平、みな見事に歌い切りました。素晴らしいオペラ公演でした。新国立劇場、素晴らしきかな!!


今日のキャストは以下です。

【指 揮】下野竜也
  【演 出】栗山民也
  【美 術】島 次郎
  【衣 裳】前田文子
  【照 明】勝柴次朗
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂


【蝶々夫人】中村恵理
  【ピンカートン】村上公太
  【シャープレス】アンドレア・ボルギーニ
  【スズキ】但馬由香
  【ゴロー】糸賀修平
  【ボンゾ】島村武男
  【神官】上野裕之
  【ヤマドリ】吉川健一
  【ケート】佐藤路子

  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

最後に予習について、まとめておきます。これは前回と同じです。

  ジョン・バルビローリ指揮ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団 演出: ヴォルフガング・ヴァーグナー 1966年 ローマ歌劇場
    レナータ・スコット、カルロ・ベルゴンツィ、ローランド・パネライ、アンナ・ディ・スタジオ

うーん、凄いCDですね。涙と感動なしには聴けませんでした。バルビローリの指揮するローマ歌劇場管弦楽団がプッチーニの抒情的な旋律を余すところなく表現。そして、レナータ・スコットって、こんなに素晴らしいソプラノだったのですね。ミレッラ・フレーニとはまた違いますが、リリックなソプラノの双璧と言っても過言でありません。いつもはフレーニの蝶々さんを聴いていますが、世界は広い。



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中村恵理、愛と絶望の絶唱 《蝶々夫人》@新国立劇場 2021.12.5

最初に白状しますが、中村恵理のファンであるsaraiは彼女の蝶々さんが聴きたくて、この公演に駆けつけました。今日が初日ですが、saraiの思いを知る友人からチケットを譲り受けました。そもそも、この公演のことを知り、それも一因となり、今年から、新国立劇場の定期会員になったんです。ということはsarai自身のチケットもあるので、もう一度、中村恵理の蝶々夫人を見れるんです。

で、その中村恵理の蝶々夫人ですが、実は既に実演で聴いたことがあります。宮崎国際音楽祭で2018年にコンサート形式で聴きました。苦手だったこのオペラの真髄を初めて理解させてくれる見事な歌唱でした。これが中村恵理の初めて歌った蝶々夫人でした。そして、今日の公演が中村恵理が舞台で演じる初めての蝶々夫人です。音楽的には宮崎国際音楽祭での歌唱に軍配が上がります。やはり、演技も含めての歌唱は負担が大きかったのでしょう。歌唱自体は前回同様に素晴らしかったのですが、声量がわずかに足りない感じです。階段を多用した動作などで音楽以外の部分で苦労したんでしょう。これは慣れの問題ですから、次に聴くときにはもっと素晴らしい歌唱が期待できます。

とは言え、全体には期待通りの歌唱を聴かせてくれました。純真な乙女である蝶々さんのひたむきな愛は真情が伝わるものでしたし、最後のアリア《かわいい坊や》はその短さにもかかわらず、強い衝撃を覚えました。愛故の絶望感を完璧に歌い上げて、もう、これは感動するしかありません。涙なしには聴けませんでした。

ピンカートン役は代役となった村上公太ですが、これが予想外の好演。素晴らしい喉を聴かせてくれました。スズキ役の但馬由香も好演でしたが、第2幕の花の2重唱はもっと歌えるでしょう。これは次に期待します。ゴロー役の糸賀修平は演技も歌唱も合格点です。よい役どころを聴かせてくれました。

そうそう特筆しないといけないのは下野竜也指揮の東フィルのとても美しい演奏です。まさか東フィルがここまでの演奏のレベルに達するとは失礼ながら思っていませんでした。プッチーニの甘い旋律を見事に奏で、そして、ダイナミックさも兼ね備えた素晴らしい演奏でした。今日の中村恵理の歌唱と共に満足しました。

聴くたびにこの新国立劇場は日本の歌劇場でこれほどのオペラが聴けるのかという驚きの連続です。舞台や演出も見事なものでした。次は金曜日に聴きます。もっとよい公演が聴けることを期待しています。まあ、中村恵理が聴けるだけで満足なんですけどね。


今日のキャストは以下です。

【指 揮】下野竜也
  【演 出】栗山民也
  【美 術】島 次郎
  【衣 裳】前田文子
  【照 明】勝柴次朗
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂


【蝶々夫人】中村恵理
  【ピンカートン】村上公太
  【シャープレス】アンドレア・ボルギーニ
  【スズキ】但馬由香
  【ゴロー】糸賀修平
  【ボンゾ】島村武男
  【神官】上野裕之
  【ヤマドリ】吉川健一
  【ケート】佐藤路子

  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

最後に予習について、まとめておきます。

  ジョン・バルビローリ指揮ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団 演出: ヴォルフガング・ヴァーグナー 1966年 ローマ歌劇場
    レナータ・スコット、カルロ・ベルゴンツィ、ローランド・パネライ、アンナ・ディ・スタジオ

うーん、凄いCDですね。涙と感動なしには聴けませんでした。バルビローリの指揮するローマ歌劇場管弦楽団がプッチーニの抒情的な旋律を余すところなく表現。そして、レナータ・スコットって、こんなに素晴らしいソプラノだったのですね。ミレッラ・フレーニとはまた違いますが、リリックなソプラノの双璧と言っても過言でありません。いつもはフレーニの蝶々さんを聴いていますが、世界は広い。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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