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伊藤恵、“嘆きの歌”を弾く思いはただ一言、「感謝」@紀尾井ホール 2022.4.29

伊藤恵はいわゆる人気ピアニストではありませんが、大変な実力を持った人です。世界的にも既に重鎮の座についていると言っても過言でないでしょう。今日の演奏はそれを裏付けるような大変な演奏でした。

今日の演奏は終始、高い水準の素晴らしい演奏が続いたのですが、ここで述べておくべきは最後のベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110のことに尽きます。この曲は大傑作であることは今更言うべき必要もありませんが、今日の伊藤恵の演奏は感動的に気高いものでした。saraiの持論ですが、音楽とは、作曲家、演奏者、聴衆が高いレベルで共感を持てるものだと思っています。コンサートにおいてはその共感の中心にいるのが演奏者です。今日の伊藤恵はその共有の場を見事に高めていました。いきなり結論に入ってしまいますが、第3楽章の中の最高の音楽、アリオーソ“嘆きの歌”の聖なる音楽で、高邁な思想が語り尽くされました。特に2回目の繰り返しでの音楽の高潮は大変なもので、これは音楽を超えたものだと感銘を受けました。同時にこういう魂の共感を高める音楽を演奏者である伊藤恵はどういう気持ちで演奏しているのだろうと思ってしまいます。saraiの視線を伊藤恵に向けると、彼女も実に感銘を受けながら、ピアノに向かっています。そういう姿を見ると、saraiの共感も高まります。“嘆きの歌”を終えて、壮大なフーガに入っていきます。単なる音楽を超えて、精神が高められる思いに至ります。これ以上の音楽は望むべくもありません。

アンコールの時に突然、伊藤恵がマイクも持たずに聴衆に話しかけます。語らずにいられなかったんでしょう。そのお話はまったくもって、saraiが感じていたのと同じようなもので、このベートーヴェンの“嘆きの歌”を演奏していたときの思いは“感謝”だったそうです。ここ何年かの限界状況の中でこういうコンサートで音楽を共有できたことことへの“感謝”・・・うーん、深い言葉ですね。こういう姿勢の音楽家へはリスペクトの気持ちしかありません。

とりとめのない話になってしまいましたが、音楽の最高峰にも思えるベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタの素晴らしい演奏に出会って、幸せな時間を持てたということです。次は伊藤恵の演奏でベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタを聴きたいですね。それにシューベルトの遺作ソナタもね。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:伊藤恵

  シューマン:6つの間奏曲 Op.4
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101

   《休憩》

  シューベルト:12のドイツ舞曲 D790
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110


   《アンコール》
     シューベルト: 楽興の時 D780 から 第3番
     ベートーヴェン: エリーゼのために


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューマンの6つの間奏曲を予習したCDは以下です。

  伊藤恵 シューマニアーナ VIII 1998年1月7-9日、坂東市(旧岩井市)総合文化ホール「ベルフォーレ」 セッション録音

伊藤恵のシューマニアーナシリーズ全13枚はシューマンのピアノ作品を網羅した全集です。世界的にも貴重な全集で、その演奏水準は際立っています。


2曲目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番を予習したCDは以下です。

  イリーナ・メジューエワ 2002年9月27~28日 笠懸野文化ホール(群馬県) セッション録音

メジューエワの力強いタッチのベートーヴェン、素晴らしいです。


3曲目のシューベルトの12のドイツ舞曲を予習したCDは以下です。

  伊藤恵 「シューベルト ピアノ作品集 5」 2012年12年28-30日 神戸新聞松方ホール セッション録音

伊藤恵のシューマニアーナシリーズに続くシューベルトシリーズ全6枚。これはさすがにシューベルトの全ピアノ作品とはいきませんが、この曲のようにそれほど有名でないものも収録しており、水準の高い演奏を聴かせてくれます。


4曲目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番を予習したCDは以下です。

  イリーナ・メジューエワ 日本デビュー20周年記念リサイタル 2017~2018 2017年8月26日 東京文化会館・小ホール ライヴ録音

いやあ、メジューエワのベートーヴェン、素晴らしいですね。第3楽章の嘆きの歌とフーガには参りました。なお、この3年後、2020年に実演でもメジューエワのベートーヴェンの後期ソナタの素晴らしい演奏を聴きました。



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       伊藤恵,  

伊藤恵&小菅優の見事なモーツァルト with 秋山和慶&新日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2021.5.20

前半のプログラムは若きモーツァルトの傑作、2台のピアノのための協奏曲です。極め付きのピアノの達人、伊藤恵と小菅優が弾くのですから、素晴らしいに決まっています。とりわけ、微笑みを浮かべながら、余裕でピアノを弾く伊藤恵の名技には魅了されずにはいられません。2台のピアノは交互にほぼ同じようなパッセージを弾いていきますが、小菅優も伊藤恵のピアノの完全コピーのような素晴らしい演奏です。多分、目をつぶっていたら、どちらが弾いているか、分からないかもしれません。モーツァルトも、自身と姉ナンネルでこのような完璧なデュオを弾こうと思って、作曲したんでしょう。そういえば、この曲の決定的な演奏はクララ・ハスキルとゲザ・アンダの二人の演奏でしたが、ハスキルの格調高いピアノに呼応したアンダのピアノの響きが次第にハスキルのピアノと同質化したことを思い出します。現代の達人の二人は最初から同質化したピアノの響きを聴かせてくれました。実は細部の演奏についてはよく思い出せません。二人のピアノの演奏に完全に聴き入っていたので、その瞬間・瞬間の美しい音楽に入り込み、全体を鳥瞰する余裕がなかったんです。ある意味、一瞬で終わった感じの演奏でした。残ったのは至福感のみ・・・これこそが音楽の極致かな。オーケストラはピアノが鳴っていないときのみ聴いただけですが、弦の美しい響きがなんとも素晴らしかった印象です。
不満だったのは、二人の達人がいたのにアンコールでピアノのデュオを聴かせてくれなかったこと。期待したんですけどね。モーツァルトの2台のピアノのためのソナタなんて、なかなか聴けないでしょう・・・。お二人なら、そんなに練習しなくても簡単に弾けるでしょうに。

後半のプログラムはR.シュトラウスのアルプス交響曲。R.シュトラウスが作曲した最後の交響詩です。もっとも交響詩と題されている作品では、その17年前に書かれた英雄の生涯が最後のものではあります。この作品を書いた時点、1915年には、既にオペラ作品は、サロメ、エレクトラ、薔薇の騎士、ナクソス島のアリアドネという代表的ともいえるものが作曲されており、アルプス交響曲以降は、ほぼ、オペラの作曲に専念することになります。ということで、アルプス交響曲はR.シュトラウスの管弦楽作品でとても重要な作品です。規模も大きく、バンダを除いても、ホルン8、トランペット4など金管の構成も大きく、演奏時間も50分を要します。
今日の演奏はまさに新日フィルが死力を尽くしたと言っても過言でない壮絶なものでした。音楽の頂点を極める『山頂にて』と『ヴィジョン』は実に激しく壮大に演奏されました。秋山和慶の指揮もこの大規模な作品を冷静にまとめあげた手腕が評価できます。音楽的に素晴らしかったのは終結部の『日没』、『余韻』、『夜』で、しみじみと人生を俯瞰するような思いに駆られるような表現です。R.シュトラウスの晩年の名作群(4つの最後の歌、ダナエの愛、カプリッチョ)を予感させます。素晴らしい演奏でしたが、惜しむらくは、冒頭と終盤で静寂の美を感じさせてくれなかったことでしょうか。
 
なお、今日はお昼に神奈川県立音楽堂で北村朋幹ピアノ・リサイタルも聴きましたが、これは後日、記事を書きます。素晴らしいドビュッシーのプレリュードを聴きました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:秋山和慶
  ピアノ:伊藤恵、小菅優
  管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:崔文洙

  モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K. 365

   《休憩》

  R.シュトラウス:アルプス交響曲 op. 64, TrV 233


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲は以下のCDを聴きました。

 フリードリヒ・グルダ、チック・コリア、ニコラウス・アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1983年6月、アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音
 
ジャズも弾くグルダと真正のジャズ・ピアニストのチック・コリアが共演する演奏なので、さぞや、ぶっ飛んだ演奏かと思いきや、至って、真面目な(笑い)演奏にかえって、びっくり。きちんとしたモーツァルトが聴けます。


2曲目のR.シュトラウスのアルプス交響曲は以下のCDを聴きました。

 ベルナルド・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団 2008年6月8,10日 ロンドン、バービカン・センター ライヴ録音
 
静寂から音が沸き起こり、頂点で音響が爆発し、最後にまた、静寂に戻る。そういう素晴らしい音楽体験を実感させてくれる圧倒的な演奏です。以前、ハイティンク指揮シカゴ響の実演で聴いた英雄の生涯の物凄い演奏を思い出しました。



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       伊藤恵,  

シューマンもいいけど、シューベルトは最高! 白井圭&伊藤恵 シューベルト&シューマンの夕べ@ハクジュホール(Hakuju Hall) 2021.2.10

先日は伊藤恵の見事なピアノにサポートされた今井信子の熟達したヴィオラが明快な調べを奏でたデュオ・コンサートを聴きましたが、今日も伊藤恵が得意にするシューマンとシューベルトの音楽を今、勢いのある白井圭のヴァイオリンとのアンサンブルでたっぷり、聴かせてもらいました。とても充実した演奏にすっかり魅了されました。

最初のシューベルトは若い頃の作品で素朴な味わいがとても好感を持てる演奏。白井圭のヴァイオリンは素直な表現で作曲家の音楽に奉仕するような明快な演奏です。伊藤恵のピアノはドイツ的な安定した表現で、細かいニュアンスを散りばめて、シューベルトの魅力を余すところなく聴かせてくれます。第2楽章の中間部の憧れを感じさせる美しい旋律を二人はパーフェクトに演奏してくれました。

次はシューマンのヴァイオリン・ソナタ 第2番。ファウストとメルニコフのコンビで聴いたばかりです。おそらく、現在、シューマンを弾かせたら、このコンビが世界で最高でしょう。そういう素晴らしい演奏を聴いたばかりでしたが、今日の白井圭&伊藤恵のコンビもそれに並び立つほどの素晴らしい演奏を聴かせてくれました。何と言っても、伊藤恵のピアノが素晴らしく、とても柔らかいタッチで繊細な表現を聴かせてくれます。シューマンの独奏曲を弾くときはもっと重厚な演奏を聴かせてくれますが、ヴァイオリンとのアンサンブルを意識した抑えた表現です。この伊藤恵の最高のピアノの演奏に乗って、白井圭は明快で伸びのあるヴァイオリンの響きを聴かせてくれます。大好きな第3楽章では、伊藤恵の名人芸の分散和音に乗って、白井圭が美しいコラールの旋律を歌い上げます。何とも素晴らしい音楽に魅惑されるだけです。

後半はシューマンのヴァイオリン・ソナタ 第1番。先ほどの第2番のソナタと同様の素晴らしい演奏です。とりわけ、第1楽章の暗い情念に満ちた音楽をパーフェクトに表現。シューマンの音楽の素晴らしさにただただ魅了されます。トータルには、この第1番のほうがよい出来だったかもしれません。シューマンの2つのソナタを聴いただけで大満足です。

しかし、今日の最高の演奏は最後のシューベルトの幻想曲でした。こういう素晴らしい音楽を聴いたのは久々です。シューベルトの晩年の名作を憧れに満ちたロマンあふれる表現で見事に演奏してくれました。特に緩徐パートでの美しさが最高で、ニュアンスに富んだピアノと明快なヴァイオリンの響きの醸し出すロマンの世界はシューベルトの天才ぶりを堪能させてくれました。大変な感動に襲われながら、二人の名演に聴き入っていました。曲も最高、演奏も最高で言うことなしです。

お二人の出会いは白井圭が藝大の学生で伊藤恵が藝大の教授の頃にさかのぼるそうですが、今や、素晴らしいコンビになりましたね。また、こういう演奏の機会があることを願うのみです。


今日のプログラムは以下です。

  白井圭 伊藤恵 シューベルト&シューマンの夕べ

  ヴァイオリン:白井圭
  ピアノ:伊藤恵

  シューベルト:ソナチネ 第1番 ニ長調 Op.137-1 D384
  シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.121

   《休憩》

  シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
  シューベルト:幻想曲 ハ長調 Op.159 D934

   《アンコール》
   シューマン(ヴァイオリン版:アウアー編):森の情景 Op.82より、第7曲 予言の鳥


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目、4曲目のシューベルトは以下のCDを聴きました。

  アリーナ・イブラギモヴァ、セドリック・ティベルギアン 2012年7月27-29日、8月3-4日 ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール セッション録音
 
イブラギモヴァは意外に抑えた演奏でシューベルトの音楽を主役に据えた演奏です。幻想曲は圧巻の出来栄えです。


2曲目、3曲目のシューマンの2つのソナタは以下のCDを聴きました。

 キャロリン・ヴィドマン、デネーシュ・ヴァーリョン 2007年8月25-27日 オーディトリオ・RTSI・ルガーノ,スイス セッション録音
 
キャロリン・ヴィドマンは作曲家でクラリネット奏者のイエルク・ヴィドマンを兄に持つ注目の若手ヴァイオリニスト。この演奏は悪くはないのですが、魅了されるほどでもないという演奏。



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       伊藤恵,  

伊藤恵はシューマンが似合う! 伊藤 恵&今井信子 デュオ・コンサート@ヤマハホール 2021.1.17

伊藤恵の見事なピアノにサポートされて、今井信子の熟達したヴィオラが明快な調べを奏でた、とても心温まるデュオ・コンサートでした。

最初のシューベルトのアルペジオーネ・ソナタはまず、伊藤恵の素晴らしいピアノの響きに魅了されます。このまま、彼女のシューベルトのピアノ独奏を聴いていたいと思わせるほどの最高の響き。そして、今井信子のヴィオラの演奏が始まります。豊かな響きで明快に旋律線を描き出します。実にロマンティックな音楽が展開されていきます。ヴィオラ版を聴くのは初めてですが、何の違和感もなく、特に自然な高域の響きがよいですね。

次はブラームスのヴィオラ・ソナタ 第2番。この曲は原曲がクラリネット・ソナタですが、ヴィオラ版を聴くのは初めてです。第1楽章の第1主題のロマンにあふれた演奏の素晴らしいこと。何度も繰り返しあらわれますが、すっかり魅了されました。第2楽章もロマンにあふれる熱情が素晴らしいです。ブラームスの作曲した最後の室内楽作品を堪能させてもらいました。

後半はシューベルトとシューマンの歌曲の代表作をヴィオラで演奏します。冬の旅は有名な曲を2曲、演奏します。心の中で歌をくちずさみながら、楽しく鑑賞します。ここでも伊藤恵のシューベルトは見事です。今井信子は実に明快に旋律線を歌い上げます。

続いて、シューマンの詩人の恋。第1曲の《うるわしき5月に》の伊藤恵のピアノの素晴らしいこと。美しい演奏に心を奪われます。第12曲の《まばゆい夏の朝に》も素晴らしい演奏です。今井信子のヴィオラもシューマンの夢心を見事に表現します。そして、終曲の最後のピアノのソロが圧巻でした。伊藤恵はやはり、シューマンが似合います。

アンコールの2曲も素晴らしい演奏でした。シューマンの《夕べの歌》は初めて聴きましたが、シューマンのロマンがいっぱい詰まった素晴らしい演奏でした。最後のシューベルトの《春の夢》はsarai、そして、昨年亡くなった母も大好きだった曲です。何とも素晴らしい演奏に胸が熱くなりました。

ようやく、念願の今井信子さんのヴィオラが聴けました。期待通りの演奏に満足しました。それにしても、伊藤恵さんのピアノのサポートの素晴らしかったこと、感銘を受けました。素晴らしいデュオですね。


今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:伊藤 恵
  ヴィオラ:今井信子

  シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821
  ブラームス:ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 Op.120-2

   《休憩》

  シューベルト:冬の旅 Op.89, D911 より 第1曲 おやすみ、第5曲 菩提樹
  シューマン:詩人の恋 Op.48

   《アンコール》
   シューマン:夕べの歌~ピアノ連弾曲集「小さな子供と大きな子供のための12のピアノ曲集」Op.85 第12曲
   シューベルト:冬の旅 Op.89, D911 より 第11番 春の夢


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューベルトのアルペジオーネ・ソナタは以下のCDを聴きました。

 ミシャ・マイスキー、マルタ・アルゲリッチ 1984年 セッション録音
 
とてもロマンティックで繊細な演奏です。いつもはロスポロポージッチ&ブリテンの演奏を聴くことが多いのですが、甲乙つけがたい演奏です。


2曲目のブラームスのヴィオラ・ソナタ 第2番は以下のCDを聴きました。

 ヨゼフ・スーク、ヤン・パネンカ 1990年 セッション録音
 
スークのヴィオラが素晴らしいです。パネンカのピアノがもうひとつなのは残念ですが・・・。


3曲目のシューベルトの冬の旅は以下のCDを聴きました。

 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ジェラルド・ムーア 1962年11月10,14日、ベルリン セッション録音

saraiにとって、これは永遠の名盤。この録音でシューベルトの歌曲のとりこになりました。


4曲目のシューマンの詩人の恋は以下のCDを聴きました。

 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、クリストフ・エッシェンバッハ 1974~76年 セッション録音

フィッシャー=ディースカウはもちろん、完璧な歌唱ですが、エッシェンバッハのピアノも素晴らしい。



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       伊藤恵,  

伊藤恵の魅惑に満ちたモーツァルト20番、飯森範親の渾身のベートーヴェン5番に感動! with 東京交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2020.9.5

まずは期待していた伊藤恵のピアノは素晴らしい音色で魅了してくれました。彼女はキャリアで最高のレベルに達しています。コロナ禍のお陰で、田部京子を始めにこういう素晴らしい日本人ピアニストが聴けるのは嬉しいところです。飯森範親指揮の東京交響楽団も素晴らしいサポートです。モーツァルトの名曲、ピアノ協奏曲第20番の実演では、最高の演奏でした。
第1楽章、抑え気味に入ったオーケストラ演奏がとても魅力的でその美しいアンサンブルに聴き入ります。そして、何とも美しいタッチで伊藤恵がピアノを奏で始めます。彼女のピアノって、こんなに美しい響きだったっけと感銘と驚きを覚えます。終始、その美しいピアノの響きに感じ入るうちにカデンツァに入ります。ベートーヴェンが書いたカデンツァですね。ともすると、男性的で堂々としたカデンツァはモーツァルトの音楽とは様式感の違いを感じさせてしまいますが、伊藤恵は巧みにそういう違和感を感じさせないような見事な演奏で、かつ、ヴィルトゥオーゾ的な華麗さも表現します。
第2楽章、ピアノのソロで美しい旋律線を描き出し、オーケストラも加わって、魅惑の音楽が奏でられます。中間部の激しいピアノのパートも楽々と弾きこなし、再び、冒頭の旋律に回帰し、抒情味あふれる表現と美しいピアノの響きで楽章をしめくくります。
第3楽章、勢いよく、切れのあるピアノで華やかに音楽が進行します。そして、圧巻だったのは後半です。高潮したピアノはカデンツァを経て、美しく上り詰めます。見事な伊藤恵のピアノでした。東響のアンサンブルも最高でした。

実は、今日は午前中にゲネプロを聴かせてもらい、既に伊藤恵の素晴らしいピアノは実感していましたが、本番はさらに音楽的にノリが違いました。素晴らしいモーツァルトでしたし、伊藤恵自身もモーツァルトの音楽を楽しんでいる様子がうかがえて、saraiの心も和みました。

そうそう、アンコールはモーツァルトのソナチネ。シンプルな曲ですが、名人が弾くととても素晴らしいです。力が抜けて、ずばぬけて美しい音楽が心に沁みました。

後半はベートーヴェンの交響曲 第5番「運命」。名曲中の名曲ですが、それだけに演奏は難しいですね。なにせ、聴衆にとって、数々の名演奏が耳にこびりついていますからね。午前中のゲネプロでは、ほとんど練習なし。指揮の飯森範親によると、昨日、たっぷりとリハーサルをやったので、一部の確認だけしか練習しないので、あとは本番のお楽しみということでした。むむっ、かなりの自信と見ました。
で、本番ですが、余程、飯森範親はスコアを読み込んだとみえて、オリジナリティあふれる会心の演奏です。それに東響の分厚いポリフォニーの響きが凄いです。トゥッティでは音塊がステージから飛んでくる感じです。saraiもずい分、この曲は聴いてきましたが、こういう演奏は初体験です。記憶の底を探すと、ラトル指揮ウィーン・フィルの快速演奏のモダンさとも近いような感じですが、今日の演奏はもっと古典様式に寄り添っているように思えます。また、ハイティンク指揮ロンドン交響楽団のモダンできっちりとアンサンブルの揃った名演とも近い感じもありますが、今日の演奏はもっとスケール感があるように思えます。要はオリジナル演奏とは別路線のモダン演奏でありながら、ベートーヴェンの作り上げた古典様式の本質に切り込むという意欲的な表現スタイルであると感じます。
第1楽章はすべてを要約したような演奏で、東響のアンサンブルをここまでドライブしたのは見事としか言えません。基本はポリフォニーの疾走ですが、歌わせるところは歌わせるという自在な演奏です。第3楽章の美しい対位法的展開を経て、圧巻の第4楽章に至ります。指揮者の熱い思いは、こういうコロナ禍故なのでしょうか。音楽のチカラは何にも負けないというメッセージが伝わってきて、共感と感動に至ります。凄まじいコーダに脱帽です。最後に東京の素晴らしい弦楽セクション、それに木管ソロの美しい響きに感謝します。うーん、素晴らしい「運命」でした。ただひとつ、残念だったのは指揮者コールができなかったことです。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:飯森範親(マクシム・エメリャニチェフの代演)
  ピアノ:伊藤恵(マクシム・エメリャニチェフの代演)
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  ハイドン:交響曲 第103番 変ホ長調 Hob.I-103「太鼓連打」
  モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
   《アンコール》モーツァルト:ピアノソナタ 第15番 ハ長調 K. 545 より 第1楽章 アレグロ ハ長調

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のハイドンの交響曲 第103番「太鼓連打」は以下のCDを聴きました。

 コリン・デイヴィス指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1976年11月 アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

コリン・デイヴィスの安定した指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の豊麗な演奏、こういうハイドンもいいものです。


2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲 第20番は以下のCDを聴きました。

 クリフォード・カーゾン、ベンジャミン・ブリテン指揮イギリス室内管弦楽団 1970年 セッション録音
 クララ・ハスキル、イーゴリ・マルケヴィチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団 1960年11月14日-18日、パリ、Salle de la Chime セッション録音
 
いつもハスキルの各種のCDばかり聴いているので、名盤の誉れ高いカーゾンの演奏を聴いてみました。ブリテンの個性的な指揮も素晴らしいのですが、カーゾンのピアノの響きがもうひとつピュアーさを欠くのが不満です。結局、また、ハスキルのCDを聴いてしまいます。心にぴたっとはまるようなパーフェクトな演奏です。でも、ハスキルの一番のお気に入りの演奏は別にあります。1959年のルツェルン音楽祭でオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団と共演したライヴ演奏のハイレゾ音源シリーズです。


3曲目のベートーヴェンの交響曲 第5番「運命」は以下のLPレコードを聴きました。

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1954年5月23日、ベルリン、Titania Palast ライヴ録音
 
やはり、フルトヴェングラーのベートーヴェンは特別です。中でも、第3番、第5番、第9番は際立って輝きます。この演奏はフルトヴェングラーの第5番の最後の録音、最晩年の演奏です。saraiはフルトヴェングラーの最晩年、1954年の演奏をとりわけ、好んでいます。今回聴いたのはコロナ禍の最中に購入したフルトヴェングラーの1947年から1954年にかけてのベルリンでのベルリン・フィルとのライヴ公演を網羅した14枚組の重量盤LPレコード(180g)のボックスセットの中の1枚です。これまでの勢いや激しさは影を潜め、自然なスタイルで人生の集大成をはかるような雰囲気の演奏です。うーん、いいなあ。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

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ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん
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