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庄司紗矢香の空前絶後のショスタコーヴィチに驚愕! サロネン&フィルハーモニア管弦楽団@東京芸術劇場 2020.1.28

物凄い演奏! 終始、緊張感高い演奏に集中させられました。庄司紗矢香の表現する魂の声にただただ、共感するのみです。第1楽章は暗く重い表現かと思いきや、幽玄たる夜の歌です。庄司紗矢香は己の心の中に入り込んで、その魂の声を探るような雰囲気ですが、その心を我々聴衆にも開いてくれます。ショスタコーヴィチのこの音楽がこれほどの深さを持って奏でられたことがあるでしょうか。彼女とともに深い感動を味わいます。第2楽章は一変して、激しい突っ込みの音楽ですが、単なる心地よい音楽ではなく、そこにはある種の感動があります。強い気持ちで邁進していく音楽に途轍もない感動を覚えて、涙が滲みます。音楽的に頂点を形作ったのは第3楽章です。オーケストラの宗教的なコラール風のフレーズに続いて、庄司紗矢香のヴァイオリンが奏でるのは祈りの音楽です。どこか哀しみのある祈りは一体、何に対するものでしょう。祈りであり、哀歌でもあります。その音楽が高潮していくと、祈りをも超越したスケールの大きな魂の高揚に至ります。ショスタコーヴィチはこんなに凄い音楽を書いていたことに初めて気づかされます。そして、この楽章は長いカデンツァでしめくくられます。ショスタコーヴィチの魂の声、庄司紗矢香の魂の声、saraiの魂も共鳴します。バッハの無伴奏、バルトークの無伴奏にも匹敵する無明の音楽ですが、この音楽にはわずかな色が感じられます。庄司紗矢香の完璧なヴァイオリン独奏はカデンツァ終盤で頂点に上り詰めて、そのまま、第4楽章に突入します。再び、何かと戦うように突進が始まります。凄まじい気魄で庄司紗矢香のヴァイオリンは突き進みます。大変な感動の中、圧巻のフィナーレ。
これほどの感動、そして、緊張感の高い音楽を聴いたのは、生涯でも数度の経験です。もはや庄司紗矢香は世界の音楽界の頂点に君臨すると言っても過言ではないでしょう。彼女のヴァイオリンは長く聴き続けていますが、これほどの逸材に上り詰めるとは想像もできませんでした。天才が血の滲むような努力の末の結果でしょう。彼女のこういう姿を生きているうちに聴くことができて、満足感と幸福感に酔い痴れています。

それにしても、庄司紗矢香はいつもよりもふっくらした顔で、これまでの可愛らしさをかなぐり捨てた、物凄い形相でヴァイオリンを奏でました。ある意味、かってのチョン・キョンファを思い出します。見かけの美しさは悪魔にでも売って、すべてを音楽に捧げ尽くすといった究極の演奏家の姿です。彼女はこれから、どれほどの音楽的な高みを目指すのでしょう。空恐ろしいほどの予感に目が眩む思いです。

と、ここまでは帰りの電車の中で書きました。究極の演奏が心に留まっているうちにその高揚感を書き綴っておきたかったからです。少々、表現が上滑り気味ですが、ご容赦ください。

今年でフィルハーモニア管弦楽団の音楽監督を完了するサロネンについても少し触れておきましょう。凄過ぎる庄司紗矢香のヴァイオリンにふさわしい指揮をサロネンは披露してくれました。オーケストラを抑え気味に庄司紗矢香のヴァイオリンを引き立てながらも、ショスタコーヴィチのオーケストラパートも申し分のないドライブで見事な指揮でした。さすがです。

1曲目のシベリウスはまるで交響曲の第1楽章を聴いたような素晴らしい演奏。サロネンのシベリウスはいつも最高です。

プログラム後半のストラヴィンスキーのバレエ音楽『火の鳥』は組曲版ではなく、1910年原典版で全曲が演奏されました。さすがに長いし、バレエももちろん、ありませんが、サロネンの指揮は素晴らしく、フィルハーモニア管弦楽団の能力以上のものを引き出していました。特に後半にかけての迫力ある演奏は素晴らしいものがありました。言い古された表現ながら、色彩感あふれる演奏とはこのような演奏を表現するものでしょう。客席にいたバンダの演奏効果は見事でした。これでトゥッティのアンサンブルがピタッとはまっていれば完璧でしたが、まあ、そこまではね。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エサ=ペッカ・サロネン
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

  シベリウス:交響詩『大洋の女神』Op. 73
  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op. 77
   《アンコール》シベリウス:水滴

   《休憩》

  ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』全曲 1910年原典版

   《アンコール》
    ラヴェル:《マ・メール・ロワ》より、《妖精の園》


最後に予習について、まとめておきます。

シベリウスの交響詩『大洋の女神』を予習したCDは以下です。

  パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団 1972年 セッション録音

シベリウスはやはり、ベルグルンドが最高です。新鮮で瑞々しい演奏です。


ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を予習したCDは以下です。

  リサ・バティアシュヴィリ、エサ=ペッカ・サロネン指揮バイエルン放送交響楽団 2010年5月 ミュンヘン、ヘルクレスザール セッション録音
  ヒラリー・ハーン、マレク・ヤノフスキ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 2002年、オスロ セッション録音

バティアシュヴィリの美しい響きの演奏は完璧に思えました。しかし、22歳のヒラリー・ハーンの演奏を聴くと絶句します。そのクールな演奏はこの曲の真髄の迫るものに思えました。ヒラリーの青春の残像です。しかし、この2つの素晴らしい演奏に対して、今日の庄司紗矢香の演奏は遥かに凌駕するものでした。初演したオイストラフと比べてみたくなります。後で聴いてみましょう。


ストラヴィンスキーのバレエ音楽『火の鳥』を予習したCDは以下です。

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2010年10月2日,パリ,シテ・ド・ラ・ミュジーク、10月9日,ラン大聖堂 ライヴ録音

ピリオド楽器で演奏された驚きの録音ですが、今や、この演奏が決定盤と言っても差し支えないでしょう。素晴らしい演奏、響きです。



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       庄司紗矢香,  

庄司紗矢香の妙なる響きに感動・・・ペンデレツキ&東京都交響楽団@サントリーホール 2019.6.25

庄司紗矢香が表現するペンデレツキの音楽の世界。とても素晴らしいです。作曲者自身が指揮している目の前で堂々と心のありったけをぶつけるような演奏を繰り広げる姿は感動的です。日本人には難しかった自己表現が見事に実現しています。譜面を置いての演奏でしたが、この作品を完璧に自己の音楽として表現しきっていることは見て取れました。作品との程よい距離を持ったバランスのよい演奏でした。よい意味で無機的な雰囲気もあり、抒情的な一面も捉えて、あるときは熱い推進力もあるという、実に多彩な表現です。考え抜いた結果なのでしょう。美しいヴァイオリンの響きをベースにしていましたが、あまりメローになり過ぎないような配慮も働いていたように思えます。もっと美しく響かせることもできたでしょうが、あえて、厳しい表現も見せていました。初演者のアンネ=ゾフィー・ムターは明快で美しい演奏でしたが、庄司紗矢香は彼女なりに一線を置いた表現でこの作品の新たな解釈を聴かせてくれました。ペンデレツキのこの作品は近年に作曲されたヴァイオリン協奏曲の中では大変、魅力的なものですが、庄司紗矢香の演奏で一層、その魅力の幅を広げたような気がします。今後、このヴァイオリン協奏曲は演奏機会が増えていきそうな予感がします。

前半の庄司紗矢香の演奏ですっかり、満足しましたが、後半のベートーヴェンの交響曲第7番は予想以上の会心の演奏。先日、ジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団の素晴らしい演奏を聴いたばかりですが、今日の演奏はそれに勝るとも劣らない演奏。ペンデレツキの指揮も見事でしたが、都響のモダンで切れの良い、完璧なアンサンブルが凄かったと思います。やはり、これが今日的なベートーヴェン演奏の規範なのでしょう。室内オーケストラを思わせる一糸の乱れもない完璧なアンサンブルでの古典的な演奏。ロマンやスケール感という要素は排除して、極力、譜面に忠実に演奏する・・・その中でベートーヴェンが描き出そうとしたオリジナルな音楽表現を目指すというものです。自身が作曲家であるペンデレツキだからこそ、こういうベートーヴェンの実像に回帰するような演奏が可能なんでしょう。時を置かずして、日本のオーケストラでこのベートーヴェンの傑作の素晴らしい演奏が続けて聴けて、大変、幸せです。

今日は前半は現代音楽、後半は古典派の音楽でしたが、ペンデレツキはどちらもその音楽が底面ではつながっていることを分からせてくれるような演奏を聴かせてくれました。久しぶりに都響のサントリー定期に足を運びましたが、素晴らしいコンサートに出会えました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:クシシュトフ・ペンデレツキ、マチェイ・トヴォレク(平和のための前奏曲のみ)
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:東京都交響楽団  コンサートマスター:矢部達哉

  ペンデレツキ:平和のための前奏曲(2009)[指揮/マチェイ・トヴォレク]
  ペンデレツキ:ヴァイオリン協奏曲第2番《メタモルフォーゼン》(1992-95)
《アンコール》 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005より第3楽章 ラルゴ

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のペンデレツキの平和のための前奏曲は予習すべきCDが入手できず、予習していません。


2曲目のペンデレツキのヴァイオリン協奏曲第2番《メタモルフォーゼン》を予習したCDは以下です。

 アンネ=ゾフィー・ムター、クシシトフ・ペンデレツキ指揮ロンドン交響楽団 1997年

これはムターのこれまで聴いたCDでも最高の演奏です。その深い音楽表現に感動しました。ヴァイオリンの響きのあまりの美しさにも魅了されました。究極の名演です。ムターがこの曲の初演者であるからとかは関係ないレベルの音楽の完成度です。ムターの音楽家としての知性の高さにも驚愕しました。


3曲目のベートーヴェンの交響曲第7番を予習したCDは以下です。

 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団 1971年

この曲はいまさら予習の必要もありません。あくまでも楽しみとして聴きました。フルトヴェングラーを除くと、このジュリーニ指揮シカゴ響の演奏がsaraiの一番のお気に入り。最高の演奏です。録音も素晴らしいです。この頃のジュリーニはマーラーの第9番やシューベルトの第9番など素晴らしい録音揃いです。



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       庄司紗矢香,  

庄司紗矢香、気魄のシベリウス・・サンクトペテルブルク・フィル@サントリーホール 2018.11.12

庄司紗矢香、満を持してのシベリウス。音楽と言うか、気合というか、人間の心のありったけをぶつけるような魂の叫びです。庄司紗矢香の成長は音楽家というよりも人間としての成長のようです。シベリウスの音楽を用いて、彼女自身の魂の高揚感を我々、聴衆に投げかけてきます。こちらもそのボールをしっかりと受け止めていきましょう。シベリウスを聴いているのか、あるいはバッハの無伴奏を聴いているのか、自分でも一瞬、分からなくなるような、厳しくも時にロマンあふれる演奏です。庄司紗矢香がこれまでの音楽人生で培ってきたものをすべて表現しているような気がします。凄い日本人音楽家になったものです。第1楽章の半ばに至ると、彼女の気魄に圧倒されて、感動の涙が滲んできます。こういうレベルのシベリウスを実演で聴かされるとは思っていませんでした。ところで、彼女のヴァイオリンの響きはきちんと聴こえてきますが、オーケストラの音は弱い響きでしか聴こえてきません。これでは協奏曲ではなくて、まるでオーケストラ伴奏付きのヴァイオリン幻想曲みたいです。本来、指揮するはずのテミルカーノフくらいの巨匠でないと、今日の庄司紗矢香を受けて立つことはできませんね。代演のニコライ・アレクセーエフは遠慮しながらの抑えた指揮のようです。それだけが残念ですが、逆に言えば、オーケストラの音に邪魔されないで、庄司紗矢香のヴァイオリンをたっぷりと味わうことができます。やがて、凄いレベルの演奏が続いた第1楽章が終わりました。実演では昔、ヒラリー・ハーンのパーフェクトな素晴らしい演奏を聴いたことがありますが、いまや、庄司紗矢香はそのレベルを大きく超えました。彼女は素晴らしい音楽家になりましたね。私見ですが、今、少なくともこのシベリウスの演奏で彼女に肩を並べることができるのは、リサ・バティアシュヴィリくらいなものでしょう。庄司紗矢香の禁欲的で気魄のこもった演奏に対して、バティアシュヴィリは熱いロマンの香り立つセクシーな演奏で魅了してくれます。タイプが異なりますが、いずれも世界の頂点にたつ演奏です。こうなると二人の演奏でチャイコフスキーの聴き比べをしてみたいですね。今日の演奏に話を戻します。第2楽章は一転して、静謐な演奏に変わります。しかし、後半はまた、気魄に満ちた演奏に高揚します。第3楽章はメリハリをつけて、ダイナミックな演奏です。コーダでの気魄は何ものをも圧倒する渾身の演奏です。身震いをおぼえるほどの素晴らしさに感動するのみです。超絶的で凄い演奏でした。今の彼女は何を弾かせても、向かうところ敵なしといった風情です。彼女の演奏をずっと聴き続けてきましたが、この10数年の音楽的・人間的成長は想像を超えるものでした。
ヴァイオリンの庄司紗矢香、ピアノの田部京子を聴いていれば、saraiのヨーロッパ遠征は不要とも思えます。あっ、それにノット指揮東響、ロータスカルテットという強力な団体もいます。できれば、彼らがコラボしてくれればなあ・・・。

後半はラフマニノフの交響曲第2番。これは予想外に素晴らしい演奏でした。今年はユーリ・テミルカーノフ指揮読売日本交響楽団、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団と凄いラフマニノフの交響曲第2番を聴きましたが、今日の演奏はロシアのオーケストラならではの演奏です。テミルカーノフはこの曲をラフマニノフの《ロシアの憂愁》と呼んでいるそうですが、saraiの言葉では《どうしようもないやるせなさ》になります。これは日本のオケではなかなか表現できません。今日のサンクトペテルブルク・フィルは第1楽章と第3楽章でこの《どうしようもないやるせなさ》を感じさせてくれました。代演のニコライ・アレクセーエフもテミルカーノフの路線を引き継いで、見事な指揮を聴かせてくれました。総合力では、ノット指揮東響のオーケストラ演奏の極致とも思える演奏が最高でしたが、ラフマニノフの真正の音楽と言う点では、今日のロシア人たちの演奏が見事でした。分厚い低弦の響きが印象的でした。これぞ、サンクトペテルブルク・フィルです。これに匹敵できるのはロイヤル・コンセルトヘボウ管くらいです。いずれも大男(+大女)たちの集団ですからね。

素晴らしいコンサートでした。そうそう、庄司紗矢香のアンコールですが、チェブラーシカより誕生日の歌ということで、あとひと月で80歳を迎えるテミルカーノフへのプレゼントだったのかな。この場に彼がいなくて、残念です。また、庄司紗矢香とテミルカーノフという最高の名コンビの演奏を聴きたいものです。テミルカーノフのご健康が回復することを願っています。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:ニコライ・アレクセーエフ(ユーリ・テミルカーノフの代演)
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

  シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
   《アンコール》 チェブラーシカより誕生日の歌

   《休憩》

  ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27
   《アンコール》 チャイコフスキー:『くるみ割り人形』より「トレパック」


最後に予習について、まとめておきます。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲を予習したCDは以下です。

  リサ・バティアシュヴィリ、ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン 2016年7月 ベルリン

これまでのマイ・ベストはヒラリー・ハーンの演奏でしたが、このバティアシュヴィリの演奏を聴いて、これからはこれがマイ・ベストに変わりました。素晴らしく熱のこもった演奏ですし、彼女の演奏の特徴である色っぽさがあり、とても魅惑されます。とりわけ、これほどの高揚感のある第1楽章は聴いたことがありません。


ラフマニノフの交響曲第2番は今年になって、2回も実演を聴き、もう予習は十分でしょう。以前、予習した際の記事を以下に転載します。

-----------------------------------------------ユーリ・テミルカーノフ指揮読売日本交響楽団を聴いた際の予習

 アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団 1973年
 ウラディミール・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1981年
 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団 1995年

こういうことを言うと、本当のラフマニノフ好きの方には叱られそうですが、この曲とかピアノ協奏曲第2番とかはそれなりに甘い調べを聴かせてくれる演奏が好みです。そういう面ではアシュケナージは失格。意外にスヴェトラーノフが甘い音楽を聴かせてくれます。とりわけ、第3楽章はしびれます。録音も最高です。甘さも熱さも兼ね備えて聴きやすいのはプレヴィンです。彼の聴かせ上手ぶりは無類のものです。特にこういう曲は素晴らしいですね。古い録音ですが、SACDで音の輝きが際立つようになりました。

-----------------------------------------------ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団を聴いた際の予習

  マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2010年1月 アムステルダム・コンセルトヘボウ ライヴ録音

ヤンソンスの3度目の最新録音です。1986年にフィルハーモニア管と、1993年にサンクトペテルブルグ・フィルと録音しています。この録音はハイレゾで素晴らしい音質で、よい演奏ではありますが、贅沢を言わせてもらうと、ちょっと退屈な感もあります。

-----------------------------------------------引用終わり

実は今回もゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団の演奏を聴く準備はしていましたが、バタバタしているうちに聴き損ねました。いつか聴いてみましょう。



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       庄司紗矢香,  

有無を言わせぬ庄司紗矢香の空前絶後の凄演!ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2017.12.6

いやあ、凄い庄司紗矢香の演奏でした。第2楽章と第4楽章は爽快とも豪快とも言える演奏で素晴らしかったのですが、このあたりは今どきの腕達者なヴァイオリニストならば、それなりに説得力のある演奏をするのは当たり前かもしれません。本当に素晴らしかったのは第1楽章と第3楽章の深くて精神性の高い表現でした。第1楽章の冒頭の暗闇から浮かび上ってくるような響きですぐさま、魅了されます。そのまま、哲学的とも瞑想的とも言える見事な演奏が続き、その精神性の高さに強く心を揺さぶられます。いきなりの感動で涙が滲みます。第3楽章の主題の抒情的な表現にも強く心を打たれて、感動の涙が浮かびます。庄司紗矢香の魂の叫びが聞こえてくるような凄絶な演奏です。サポートするゲルギエフはショスタコーヴィチの演奏を得意にする巨匠ですから、いつものごとく、素晴らしい演奏です。ただ、いつものような暗黒のような暗さは影を潜めています。庄司沙矢香の陰りはあるけれど、光も差しているような表現に合わせているようです。ゲルギエフの引き出しの多い、こういうサポートも見事です。そして、ゲルギエフの精妙な指揮とそれにこたえるマリインスキー歌劇場管弦楽団の高いレベルのアンサンブルをベースに庄司沙矢香のヴァイオリンが冴え渡ります。その極限まで抑えたピアニッシモはまさに消え入るような響きでオーケストラの響きと溶け合います。saraiは幸い、正面の2列目で聴いていたので、その繊細なヴァイオリンの響きが聴き取れましたが、後ろのほうの席まで響きが伝わったのかは不明です。ある意味、室内楽的な表現の演奏だったので、こういう大ホールで全聴衆を対象にするには難しいのではないかと思えた表現でした。また、超感動的な演奏でしたが、まだ、のびしろも残しているようにも感じました。特に第3楽章の終盤に置かれたカデンツァの前半のピアノの部分の表現がつめきれていないと思えたところです。ここはもっと感動的に弾いてもらいたかったと感じました。カデンツァの後半の盛り上がりは素晴らしかったので、前半の表現が今ひとつだったのは残念なところでした。しかし、逆に言えば、まだ、庄司紗矢香はさらなる飛躍への道も残しているとも言えます。とは言え、今日の彼女の演奏はsaraiの音楽受容力を凌駕するような高みに達していて、その深い精神性を完全に理解したとは言い難いものでした。ですから、むしろ、彼女の表現を完全に理解するために精進すべきはsaraiのほうだとも痛感させられました。saraiをインスパイアするような庄司紗矢香の高い精神性の演奏に深く感動しました。今年、聴いた音楽で最高であることはもちろん、ここ数年来聴いたコンサートで最高の演奏でした。

そうそう、庄司紗矢香のアンコール曲は今日は普通のアンコール曲のバッハの無伴奏パルティータ。いつももっと凝った選曲ですが、今日はオーソドックスです。彼女の無伴奏は何度も聴いていますが(実演やCD)、結構、個性的な表現であまりsaraiの好みではありません。今日もいつものパターンの演奏です。でも、今日はこの個性的な表現にも慣れてきたのか、それほどの違和感はなく、すんなりと聴けます。こういう個性的な表現もありかなと少し納得しました。みんなスタンダードな演奏ばっかりだったら、つまらないかもしれません。庄司紗矢香のバッハも考え抜いた上での表現なのでしょう。現代は色んなバッハ演奏が許容される時代なので、彼女のバッハももっと聴き込んでみましょう。

後半のベルリオーズの幻想交響曲は前半の庄司紗矢香のショスタコーヴィチで精神的体力を使い果たしたので、しっかりと聴き取る自信はありませんでしたが、それは杞憂でした。まあ、何て素晴らしい演奏だったことでしょう。ゲルギエフの精妙な棒(実に小さなタクト!)のもと、マリインスキー歌劇場管弦楽団の妙なる響きがとっても魅惑的でした。交響曲と言うよりも歌のないオペラを聴いているようなものです。音色が鮮やかで、魅惑的なストーリー性に満ちています。何よりもゲルギエフがオーケストラを完全にコントロールしていて、彼の表現したい内容が完璧にオーケストラの音として実現できています。ゲルギエフがウィーン・フィルを振ったCDを予習しましたが、それは今日の演奏に比べると何と未成熟な演奏だったでしょう。オーケストラとしてはウィーン・フィルのほうが数段上でしょうが、ゲルギエフがその思いを表現するためにはこのマリインスキー歌劇場管弦楽団のほうが数段高いところにあります。第1楽章の美しい表現、第2楽章の舞踏会のシーンの魅惑的な表現、第3楽章の自在な表現、第4楽章の断頭台への行進の切れのある表現、そして、圧巻だったのは第5楽章。いつもはエピローグとして聴きますが、今日は堂々たるフィナーレとして聴けます。それほど、際立った演奏でした。

前半の冒頭のリムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」もベルリオーズの幻想交響曲同様にゲルギエフの精妙な指揮が冴え渡っていました。安定して、美しい響きの弦をベースに木管の自在な表現を引き出していたのはゲルギエフの力でしょう。これはまさにオペラから抜粋した組曲ですから、オペラを聴いているような感覚だったのは当然のことです。この曲を聴いていて、何か心にひっかかるところがあります。そのうちに思い当りました。木管の自在な表現はまるでストラヴィンスキーの《火の鳥》のようです。オペラというよりも、この組曲はそのままバレエ音楽になりそうです。リムスキー=コルサコフの美しい響きはそのまま、ストラヴィンスキーに引き継がれたのでしょうか。そんなことを思いながら、素晴らしい演奏を聴いていました。

そして、なんと、アンコール曲はそのストラヴィンスキーの《火の鳥》でした。もちろん、最高に素晴らしい演奏でした。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ワレリー・ゲルギエフ
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

  リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」
  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77
   《アンコール》 J. S. バッハ:無伴奏パルティータ 第2番より「サラバンド」 BWV1004

   《休憩》

  ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

   《アンコール》
    ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」から子守唄~終曲


ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の予習は以下のCDだけを聴きました。

 バティアシュヴィリ、サローネン指揮バイエルン放送交響楽団

バティアシュヴィリのヴァイオリンがとても素晴らしかったのですが、今日の庄司紗矢香はそんなレベルの演奏ではありませんでした。庄司紗矢香がゲルギエフと再録音すれば、素晴らしいCDになるでしょう。でも、現役のヴァイオリニストはCDよりもやはり実演を聴くのが一番ですね。所詮、CDは過去の記録に過ぎません。



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       庄司紗矢香,  

庄司紗矢香、文句なし!・・・ウルバンスキ&NDRエルプフィル@オーチャードホール 2017.3.7

今日は久々に(と言っても4カ月ぶりですが(笑い))庄司紗矢香を聴き、心底、満足しました。彼女のお得意のプロコフィエフですから、素晴らしくても当たり前です。冒頭のゆったりとした演奏では、とても美しくて繊細な響きが耳に心地よく入ってきます。途中、テンポを速めたところでのリズミカルで迫力のある演奏には心躍らされます。このプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番の一番よいところは終始、ヴァイオリンのソロが響き続けることです。庄司紗矢香のヴァイオリンの響きをすっかり、堪能しました。指揮者のウルバンスキも心得たもので、オーケストラを伴奏として、控えめに鳴らし、庄司紗矢香のヴァイオリンを引き立てていました。それにうまく合わせていましたし、指揮は申し分ありませんでした。

ところで、今日のプログラムは伝統あるドイツのオーケストラにしては、前半はロシアもの、後半はドヴォルザーク、すなわち、チェコものとは、ある意味、驚きです。ブラームスとかベートーヴェンとかドイツものを何故やらないんでしょう。ヴァントの指揮でブルックナー、ベートーヴェン、ブラームス、シューベルトなどの名演をCDに残してくれていますし、古くはシュミット・イッセルシュテットのブラームスやフルトヴェングラーのブラームスの伝説の名演は忘れられません。そうそう、テンシュテットとのマーラーというのもありましたね。実は2005年の来日演奏では、アラン・ギルバートの指揮で庄司紗矢香とのブラームスのヴァイオリン協奏曲も取り上げています(NHKで放映されたので、saraiの秘蔵映像になっています)。まあ、ドイツもの以外もやるよってことでしょうか。でも、saraiの気のせいか、このオーケストラの持ち味だった渋いドイツ風の響きも聴けなかったような感じもあります。

ということで、後半のドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」ですが、なかなか美しい演奏で気持ちよくは聴けましたが、今一つ、お腹に響いてくるような迫力とか、渋みがありません。これが先ほどから書いているドイツ風の重心の低い響きが不足しているということにつながります。北ドイツ放送交響楽団という看板がなければ、素晴らしい演奏と褒め称えたいところですが、やはり、伝統の力に期待してしまいますからね。今度はドイツものでsaraiの懸念を払拭してもらいましょう。

とは言っても、今日のお目当ては庄司紗矢香のヴァイオリンを聴くことですから、十分に満足しました。コンサート自体、2月は1回も聴かなかったので、実演に触れて、音楽の楽しさを再認識しました。また、ぼちぼち、コンサートに通いましょう。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)


  グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』 序曲
  プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 Op.19
       《アンコール》バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調 BWV1003より、第3楽章《アンダンテ》かな?

   《休憩》

  ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」

   《アンコール》

  ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1集 Op.46より、第8番ト短調

庄司紗矢香がアンコールで弾いたバッハの無伴奏ソナタですが、やはり心のこもった素晴らしい演奏でした。このところ、彼女はバッハに取りつかれているようです。また、昨年のような無伴奏のリサイタルを期待しています。


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Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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充実した心豊かなご様子に励まされます.
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09/27 09:23 天野哲也

昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

07/20 05:08 えりちゃ

はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

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04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 
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