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天才、藤田真央のゾーンにはいったような最高のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会の掉尾を飾る@王子ホール 2023.2.8

藤田真央のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会の第5回。今日がチクルス最後の演奏会になります。前回は抽選漏れで聴けませんでした。結局、全5回のうち、3回だけ聴いたことになります。
で、今日は最高の演奏でした。最初のピアノ・ソナタ 第3番の冒頭の1音から素晴らしいタッチの演奏で、まったくもって素晴らしい演奏が最後まで続きました。アンコールの2曲はさらに素晴らしく、モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会の掉尾を飾る見事な演奏。さすがに、ソニークラシカルと専属レコーディングのワールドワイド契約を締結し、世界デビュー・アルバムでモーツァルトのピアノ・ソナタ全集を録音した藤田真央の特別な天才ぶりを感じることができました。

前半の第3番~第5番の演奏の素晴らしかったこと! 間違いなく、saraiがこれまで聴いた中でベストの演奏です。このまま、ライヴ録音のCDにしたいくらい。とりわけ、第5番の演奏にはしびれました。第3楽章のアレグロの奔放で闊達な演奏は心に瑞々しく響いてきました。それにしても、藤田真央のピアノの音は弱音から強音まで、歯切れよく、そして、本当によく響きます。まるでピアノに特別の仕掛けがあるみたいに思えます。ペダルは軽く踏む程度のようです。

後半は前半の初期作品から一転して、後期作品になります。藤田真央のピアノの素晴らしい響きは前半と同様ですが、作品の充実度が違います。
まず、ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K333。耳慣れた有名な作品です。第1楽章から魅了されます。普通に演奏しているだけですが、何か、オーラのような輝きを放っています。安定した演奏でありながら、瑞々しく感じるのは何故でしょう。ともかく、ピアノの響きが美しいこと、この上ありません。第2楽章のアンダンテ・カンタービレは抒情に満ちた演奏。シューベルトのように長大に感じますが、実際はそれほどの長さではない筈です。第3楽章のアレグレット・グラツィオーソは圧巻の演奏です。実に華麗な響きがこだまします。即興的にも感じる演奏は音楽性にも満ちて、深く感銘します。
最後はモーツァルトの最後のピアノ・ソナタの第18番 ニ長調 K576。第1楽章はバッハとの関連を思わせる対位法的な書法で、まるでトッカータみたいです。藤田真央のピアノは闊達にこのバッハ風の調べを水際立った演奏で弾き進めます。素晴らしいテクニックと音の響きに驚嘆します。藤田真央のピアノでバッハのパルティータが聴きたくなります。妙な想像をしているうちに圧巻の第1楽章が終わります。緩徐楽章の第2楽章はまだ、第1楽章の印象を引きづりながらも抒情の極みが聴けます。こういうところでも藤田真央の高い音楽性が感じられます。そして、いよいよ、最後の第3楽章。ロンド・フィナーレの音楽はモーツァルトのチクルスの最後を締め括る技巧と即興性に満ちた藤田真央の渾身の演奏。とは言え、余裕もあり、音楽の楽しさをあふれんばかりの感性で極め尽くすという風情の見事な演奏。モーツァルトの音楽も成熟の極みに達したことを我々に告げるかの如き演奏でした。

アンコールのフランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K265 (きらきら星変奏曲)は凄い演奏。クララ・ハスキルの格調高い演奏にもひけをとらない凄い演奏です。実演でここまでの凄い演奏は聴いたことがありません。技巧も音楽性も両立した名演です。そして、最後のアンコール曲。最初は何?と思いますが、極めて美しいアヴェ・ヴェルム・コルプスです。チクルスの掉尾を飾る素晴らしいプレゼント。格調高く、美しさの限りを尽くした演奏に聴き惚れました。

日本人にも、ここまでのモーツァルトを弾ける天才が出現したことをただただ嬉しく思うばかりです。
藤田真央は次はベートーヴェン、シューベルトのソナタですね。 行け! 藤田真央!


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:藤田真央

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K281
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 K282
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第5番 ト長調 K283

   《休憩》

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K333
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ニ長調 K576

   《アンコール》
     モーツァルト:フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K265 (きらきら星変奏曲)
     モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス

最後に予習について、まとめておきます。

モーツァルトのピアノ・ソナタ5曲を予習したCDは以下です。

  マリア・ジョアン・ピリス 1974年1~2月 東京、イイノ・ホール セッション録音
  イリーナ・メジューエワ 2011~2014年(第3番~第5番)、2015年11月~12月(第13番、第18番)、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音


若きピリスが純粋無垢なモーツァルトを聴かせてくれます。後にDGで再録音したものとは一味違っています。saraiが最も愛好してやまないモーツァルトのピアノ・ソナタ全集です。
そして、メジューエワの豊かな響きのモーツァルト。中でも第5番が素晴らしい演奏。全体にはモーツァルトにしては響かせ過ぎかもしれませんが、モーツァルト弾きではないメジューエワの渾身のモーツァルトのピアノ・ソナタ全集です。



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       藤田真央,  

藤田真央の天才迸る圧巻のシューマン 大野和士&東京都交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2022.4.21

参りました・・・本当の天才を実感させられました。その風貌からは想像もできない音楽をたやすく作り上げてしまう藤田真央の本当の凄さを目の当たりにして、戸惑ってしまいます。長い間音楽を聴いてきて、実演でこれほどの天才と遭遇するのは初めてです。藤田真央の演奏はこれまでも聴いてきて、特に今月はこれが3回目のコンサート。遂に凄いものを聴いてしまいました。超個性的なシューマンのピアノ協奏曲。協奏曲であっても、まるで独奏曲のようにも思えます。ちゃんとオーケストラとシンクロしつつも、彼のピアノの響きは分離して、彼独自の音楽世界を作り上げています。いつものように曲の出だしはピアノの響きがもうひとつピュアーさを欠きますが、第1楽章の中途でピアノの音が純化されます。それ以降の素晴らしい響きは藤田真央だけの作り出せるものです。圧巻だったのは第3楽章。素晴らしい響きに加えて、超絶技巧の演奏が冴え渡ります。完全にゾーンにはいっている演奏です。藤田真央の体に音楽の神が憑依して、天上の音楽を自由気ままに奏でているかの如くです。シューマンのピアノ協奏曲って、こんな音楽だったっけ・・・。この曲が傑作であることを改めて実感しました。先日、藤田真央が弾いたシューマンのピアノ・ソナタ第2番も凄かったけど、うーん、今日はそれ以上に凄い。天才の演奏にこれ以上は書けません。アンコールのモーツァルトのソナチネ。もう、笑っちゃいました。天才が弾くと、こうなるのね。きらきら星変奏曲はどう弾くんだろう・・・。
これがザルツブルク音楽祭の場であったとしても何の違和感もありません。藤田真央がザルツブルク音楽祭に招かれる日も近いでしょう。

超現実的な藤田真央の演奏の後、後半は大野和士&東京都交響楽団の現実的なR.シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》。日本人指揮者と日本のオーケストラがこの壮大な交響詩を見事に演奏してくれました。都響は上手い!! 低弦で奏される英雄のテーマはぞくぞくする素晴らしさでした。精密な演奏から、「英雄の戦い」での激しい演奏まで、高レベルの演奏です。矢部達哉のヴァイオリン・ソロもちょっと肩に力が入っていると思うところもありましたが、フィナーレでの美しい高音の響きは見事に決まっていました。
日本の音楽水準も凄い高みに上り詰めてきましたね。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:大野和士
  ピアノ:藤田真央
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  ヴァレンティン・シルヴェストロフ (アンドレアス・ジース編曲):ウクライナへの祈り(管弦楽版) [日本初演]
  シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
   《アンコール》モーツァルト:ピアノソナタ ハ長調 K.545 より 第1楽章 アレグロ

   《休憩》

  R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》 Op.40


最後に予習について、まとめておきます。

当初、予定になかったシルヴェストロフのウクライナへの祈りはもちろん、予習していません。多分、音源もないのでは・・・。


シューマンのピアノ協奏曲を予習したCDは以下です。

  スヴャトスラフ・リヒテル、ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団 1974年11月25-30日 モンテカルロ、ガルニエ宮 セッション録音

シューマンを得意にするリヒテル、流石の演奏です。正攻法でロマンティックな演奏です。


R.シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》を予習したCDは以下です。

  サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル(独奏ヴァイオリン:グイ・ブラウンシュタイン) 2005年9月23-25日 ライヴ録音

ラトルはこの曲にこだわりを持っていたようで、バーミンガム市響、ウィーン・フィルでも演奏し、満を持して、ベルリン・フィルと録音しました。見事な演奏です。



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       藤田真央,  

藤田真央のシューベルト、シューマンの最高の演奏に感動!@東京オペラシティ コンサートホール 2022.4.11

藤田真央は絶好調。ロマン派の作品の演奏ではモーツァルトを弾いているときとは打って変わって、燃焼度の高い演奏を聴かせてくれます。特にシューベルトとシューマンではこれぞ天才というパーフェクトで深みのある演奏を聴かせてくれます。saraiが大好きなシューマンとシューベルトでこういう演奏を聴かされると、嬉しくなってしまいます。

シューベルトの3つのピアノ曲 D946はシューベルトの最晩年の作品。3つの遺作ソナタとはまた違った凄みがある作品ですが、藤田真央は何かに憑かれたような直線的な演奏で聴く者を魅了してくれます。シューベルトの作品がそのままシューマンの世界につながっていることを初めて実感させられました。シューベルトもシューマンと同様に狂気の世界に足を踏み入れていることを藤田真央の演奏は教えてくれます。パッションと抒情が交錯するような演奏にただただ魅了されました。テクニックと音楽性が一体化したような高次元の音楽・・・藤田真央の上昇はどこまでの高みに達するのでしょうか。うーん、3つの遺作ソナタも聴いてみたくなります。

シューマンのピアノ・ソナタ 第2番は今年1月にこのオペラシティのリサイタルで聴いたばかりですが、こんなに凄い演奏だったのでしょうか。ソナタでありながら、ソナタでないような音楽。シューマンのピアノ曲では幻想曲やクライスレリアーナに比べて評価が低いように思えますが、藤田真央の演奏で聴くと、どうしてどうして、これはシューマンの傑作中の傑作に思えます。第1楽章の燃え上がるようなロマンは狂気をはらみ、圧倒的な高みに我々を誘います。第2楽章は歌曲をもとにしているそうですが、むしろ、コラールのような静謐さでただならぬ思いにさせます。無論、シューマンらしく、曲想が奔放に切り替わるのも魅力です。第2楽章まで聴いたところで、藤田真央の天才的な演奏に圧倒されます。第3楽章は一気呵成に突き進み、第4楽章は彼岸のようなところにある音楽が奏でられます。コーダは身震いするようなレベルの物凄い演奏。凄いものを聴いてしまったという感覚に震撼します。

今日の唯一の不満はブラームスの選曲。主題と変奏ではなく、晩年の作品116から作品119の間のどれかを弾いてもらいたかった。そう思っていると、アンコールの最後の曲がOp.118の中の1曲。なんとも美しい演奏でした。

藤田真央はモーツァルトもいいけど、ドイツ・オーストリアのロマン派もいいね。弱音を活かしたウィーン風とも思える演奏が素晴らしい。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:藤田真央

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17番 変ロ長調 K.570
  シューベルト:3つのピアノ曲 D946

   《休憩》

  ブラームス:主題と変奏 ニ短調 Op.18b
  クララ・シューマン:3つのロマンス Op.21
  ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.22


   《アンコール》
     モーツァルト:ロンド ニ長調 K.485
     ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット
     J.S.バッハ/ラフマニノフ編:パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006より ガヴォット
     ブラームス :6つの小品 Op.118 から 第5曲 ロマンス ヘ長調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトのピアノ・ソナタ 第17番を予習したCDは以下です。

  マリア・ジョアン・ピリス 1974年1-2月 東京、イイノ・ホール セッション録音

若きピリスが純粋無垢なモーツァルトを聴かせてくれます。後にDGで再録音したものとは一味違っています。saraiが最も愛好してやまないモーツァルトのピアノ・ソナタ全集です。


2曲目のシューベルトの3つのピアノ曲を予習したCDは以下です。

  グリゴリー・ソコロフ/ワルシャワ&ザルツブルク・ライヴ 2013年5月12日 ワルシャワ・フィルハーモニック・ホール ライヴ録音

ソコロフとしても、かなり意気込んだ演奏。


3曲目のブラームスの主題と変奏を予習したCDは以下です。

  ラドゥ・ルプー 1981年7月 ロンドン セッション録音

ルプーらしい美しい響きの演奏。


4曲目のクララ・シューマンの3つのロマンス Op.21を予習したCDは以下です。

  ヨゼフ・デ・ベーンハウアー 2001年8月 セッション録音

ベルギーの熟練ピアニストであるヨゼフ・デ・ベーンハウアーの『クララ・シューマン (1819-1896):ピアノ作品全集』(CD3枚)に含まれています。ロマンティックで美しい演奏です。


5曲目のシューマンのピアノ・ソナタ 第2番を予習したCDは以下です。

  スヴィヤトスラフ・リヒテル/リヒテル・イン・イタリー 1962年 イタリア ライヴ録音
  マルタ・アルゲリッチ 1971年6月 ミュンヘン、科学アカデミー、プレナールザール セッション録音

リヒテルの西側デビュー当時の演奏。以前聴いたキエフでのライヴ録音と同様にリヒテルらしい突っ込んだ演奏。一方、アルゲリッチの演奏も切れ味鋭い圧巻の演奏。



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       藤田真央,  

天才、藤田真央の自由闊達にして、優美さの極致のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会@王子ホール 2022.4.1

藤田真央のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会の第3回。前回はもうひとつ不満の残る演奏でしたが、今日は最初からアンコールに至るまで、天才的な演奏で魅了してくれました。
とりわけ、前半の第2番と第6番の演奏の素晴らしかったこと! 前回のアンコールで弾いた第5番のゾーンに入ったような演奏がそのまま、続いた感じです。冒頭の第2番は驚くほど力強い演奏でしたが、第1楽章のピアノの響きは少し、くぐもった感じ。第2楽章の哀切極まりない演奏でタッチもよくなり、最高の演奏です。第3楽章は思いっ切り、高速演奏で超絶的とも思えるメカニズムの演奏で圧巻でした。
第6番はさらに素晴らしい演奏。第1楽章はダイナミックでメリハリの効いた演奏。第2楽章は美しい抒情が光ります。そして、第3楽章の長大な変奏曲は魅力に満ちた素晴らしい演奏。とりわけ、第10変奏の後、少し、パウゼを入れて、思いっ切り、テンポを落として、アダージョ・カンタービレの第11変奏を天上の美を思わせる美しさで弾いていくと、たまらない思いにかられます。こんな美しい演奏があっていいのか・・・。そして、テンポを戻して、圧巻の第12変奏で〆。今日はこの前半の2曲を聴いただけでも十分でした。

後半は最も有名な第11番。第1楽章はまたしても長大な変奏曲です。耳馴染んだ曲ですが、藤田真央は新鮮さあふれる演奏。第2楽章はダイナミックなメヌエットを素晴らしい響きで弾いていきます。そして、第3楽章のいわゆる、トルコ行進曲は美しさの極致のような演奏。見事です。
続いて、第12番。ここに至って、藤田真央のピアノの響きは最高の美しさで鳴り響きます。第3楽章の超絶的な演奏に圧倒されました。

今日は藤田真央の天才ぶりが縦横に発揮された演奏でした。これまでに聴いた演奏で最高のものでした。今月はあと2回、藤田真央のピアノを聴きます。楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:藤田真央

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第2番 ヘ長調 K280
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第6番 ニ長調 K284 「デュルニツ」

   《休憩》

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K331 「トルコ行進曲付き」
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第12番 ヘ長調 K332

   《アンコール》
     モーツァルト:ピアノ・ソナタ第15番 ヘ長調 K533より 第3楽章
     J.S.バッハ/ラフマニノフ編:パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006より ガヴォット

最後に予習について、まとめておきます。

モーツァルトのピアノ・ソナタ4曲を予習したCDは以下です。

  マリア・ジョアン・ピリス 1974年1-2月 東京、イイノ・ホール セッション録音

若きピリスが純粋無垢なモーツァルトを聴かせてくれます。後にDGで再録音したものとは一味違っています。saraiが最も愛好してやまないモーツァルトのピアノ・ソナタ全集です。



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       藤田真央,  

藤田真央のショパンのノクターンは絶品@東京オペラシティ コンサートホール 2022.1.19

藤田真央は冒頭のショパンのノクターンから聴衆を惹き付けます。弱音の響きの美しさ、音楽表現の見事さに一気に集中度が高まります。ピアノという楽器が、その名称がピアノ(弱く)であることを再認識させられます。うっとりとする音楽が続きます。曲の後半で強く鳴り響きますが、その高揚感は冒頭のピアノの弱音の対比によって生まれます。2曲目のノクターンもとても美しい演奏。たった2曲のノクターンでしたが、最高の演奏でした。続くバラードはノクターンほどの感銘はありません。やはり、ノクターンの完成度は素晴らしかったんです。リストのバラードは低音のおどろおどろさと高音の美しさの対比が見事な演奏でした。ここまでが前半です。

後半はブラームスの主題と変奏。これは弦楽六重奏曲第1番で有名ですね。ピアノで聴くことは滅多にありませんが、ロマンティックで美しい演奏に聴き惚れます。続くクララ・シューマンの作品も美しい演奏ですが、これは軽く聴き流し、シューマンの名曲、ピアノ・ソナタ第2番に耳を傾けます。第1楽章は不思議な速度指示があることで有名ですが、藤田真央はあまり、そういうことに拘泥した演奏でなく、シューマンの祝典的とも思える音楽を高らかに奏でます。続く第2楽章が一番の聴きものでした。ここでも美しい響きの弱音で実にロマンあふれる抒情を歌い上げます。そのしみじみとした憧れこそ、シューマンの本質です。こういうシューマンを聴くと嬉しくなります。第3楽章は一転して、ほがらかな音楽の表情。間を置かずに第4楽章に突入。熱い演奏でしめくくります。素晴らしいシューマンでした。

アンコールは何故か、ラフマニノフ。どうせなら、前奏曲あたりを弾いて欲しかったところです。あっ、第2曲は前奏曲だった・・・。最後のアンコール、モシュコフスキはまさに名人芸。あまりの凄い演奏に驚愕しました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:藤田真央

  ショパン:2つのノクターン Op.48
  ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
  リスト:バラード 第2番 ロ短調 S.171 R.16

   《休憩》

  ブラームス:主題と変奏 ニ短調 Op.18b
  クララ・シューマン:3つのロマンス Op.21
  ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.22


   《アンコール》
     ラフマニノフ:幻想的小品集 Op.3 全曲
      第1曲 エレジー 変ホ短調
      第2曲 前奏曲≪鐘≫ 嬰ハ短調
      第3曲 メロディ ホ長調
      第4曲 道化師 嬰ヘ短調
      第5曲 セレナード 変ロ短調
     モシュコフスキ:名人芸の練習曲(15の練習曲) Op.72 から 第11番 変イ長調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のショパンの2つのノクターン Op.48を予習したCDは以下です。

  イリーナ・メジューエワ 2009年7月、9月、10月 新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

繊細でありながらもしっかりした構築の演奏で聴き入っていまいます。


2曲目のショパンのバラード 第3番を予習したCDは以下です。

  マウリツィオ・ポリーニ 1999年4月 ミュンヘン、ヘルクレスザール セッション録音

ポリーニですから、文句ない演奏。


3曲目のリストのバラード 第2番を予習したCDは以下です。

  クラウディオ・アラウ 1969年3月 セッション録音

アラウの重厚感のある響きに魅了されます。


4曲目のブラームスの主題と変奏を予習したCDは以下です。

  田部京子 2011年8月22日、23日、25日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音

田部京子のブラームス:後期ピアノ作品集の中に含まれています。後期作品と同様に詩的な表現に魅せられます。


5曲目のクララ・シューマンの3つのロマンス Op.21を予習したCDは以下です。

  ヨゼフ・デ・ベーンハウアー 2001年8月 セッション録音

ベルギーの熟練ピアニストであるヨゼフ・デ・ベーンハウアーの『クララ・シューマン (1819-1896):ピアノ作品全集』(CD3枚)に含まれています。ロマンティックで美しい演奏です。


6曲目のシューマンのピアノ・ソナタ 第2番を予習したCDは以下です。

  スヴィヤトスラフ・リヒテル 1962年 ウクライナ、キエフ ライヴ録音

リヒテルの絶頂期の演奏。東側での録音としては上々の音質でリヒテルらしい突っ込んだ演奏が聴けます。なお、このCDはウクライナ出身のリヒテルがウクライナのキエフで1958年から1982年にかけて収録したライヴ録音を17枚のCDにまとめたものです。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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