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進化が止まらない辻彩奈、圧巻のショスタコーヴィチ@トッパンホール 2022.7.14

5か月振りに辻彩奈のヴァイオリンを聴きました。彼女は聴くたびに進化を続けています。
前半の3曲、シュニトケ、シューベルト、ストラヴィンスキーも彼女の美点である伸びのあり、潤いに満ちた響きで素晴らしい演奏でした。
しかし、凄かったのは後半のショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタ。聴く前はこの曲は辻彩奈には似合わないと思っていました。が、その演奏は前半とはヴァイオリンの響きを変えて、冷たく暗い響きで、色彩感をなくして、モノクロームの世界を思わせます。そして、むきだしの魂をぶつけるような気魄の演奏です。一瞬、天才ヴィオリスト、田原綾子の弾いたショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタを思い出しました。若手の二人が共通して取り組んだのがショスタコーヴィチのソナタで、いずれも熱い共感の魂の演奏です。
辻彩奈の第1楽章の演奏がショスタコーヴィチの本質を突いた暗い演奏です。それでいて、彼女の美しい響きも兼ね備えた鉄壁の演奏です。サポートするピアノの阪田知樹も途轍のないテクニックと音楽性で辻彩奈と深い音楽の世界を探求していきます。第2楽章は怒涛のような演奏。辻彩奈のこんなに気魄のこもった演奏を初めて聴きます。うーん、これならバルトークも聴きたいですね。第2楽章は一気呵成の演奏でした。そして、第3楽章は第1楽章と同様の無明の世界です。暗い中に一筋の光が差すような雰囲気の途轍もない音楽です。途中、阪田知樹の物凄いピアノ独奏もあり、高い緊張感を保ったまま、音楽を閉じます。深い感銘を受けました。
辻彩奈は表現の幅を広げ、どんどん進化していきます。その行きつく先はどのような世界になるのでしょうか。saraiが彼女の熟成した音楽を聴くことはないでしょう。実に残念です。せめて、その熟成過程の一端は聴き続けましょう。ヴァイオリンは既に高みに到達した庄司紗矢香、そして、若手の辻彩奈と金川真弓。この3人の演奏は今後とも聴き逃がせません。


今日のプログラムは以下です。

 辻 彩奈&阪田知樹 デュオ・リサイタル

  ヴァイオリン:辻彩奈
  ピアノ:阪田知樹

  シュニトケ:喜びのロンド
  シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ニ長調 D384
  ストラヴィンスキー:イタリア組曲

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ Op.134

   《アンコール》
     ショスタコーヴィチ(ツィガノフ編曲):24の前奏曲 Op.34より 第10番 嬰ハ短調
     パラディス:シチリアーノ


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシュニトケの喜びのロンドは以下のCDを聴きました。

 ダニエル・ホープ、アレクセイ・ボトヴィノフ 2019年10月31日-11月1日、ボン、ベートーヴェン・ハウス セッション録音
 ギドン・クレーメル、クリストフ・エッシェンバッハ 1993年12月 セッション録音
 
シュニトケとゆかりの深いダニエル・ホープは実に明快な演奏。そして、やはり、シュニトケと言えば、クレーメルですね。


2曲目のシューベルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番は以下のCDを聴きました。

 アリーナ・イブラギモヴァ、セドリック・ティベルギアン 2012年7月27-29日、8月3-4日 ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール セッション録音
 
今や、目の離せない存在となったイブラギモヴァが10年前に録音したシューベルトです。実に新鮮な演奏を聴かせてくれます。


3曲目のストラヴィンスキーのイタリア組曲は以下のCDを聴きました。

 イツァーク・パールマン、ブルーノ・カニーノ 1974年 セッション録音

名手パールマンの美しい響きです。


4曲目のショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタは以下のCDを聴きました。

 イザベル・ファウスト、アレクサンドル・メルニコフ 2011年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン セッション録音

ファウスト、メルニコフの名コンビの素晴らしい演奏です。



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       辻彩奈,  

辻彩奈の瑞々しい響きで奏でるフォーレのロマンの世界@浜離宮朝日ホール 2022.2.23

久し振りに辻彩奈のヴァイオリンを聴きました。今日もフランスものを弾く辻彩奈の素晴らしさに魅了されました。とりわけ、フォーレの見事な演奏にうっとりして聴き入りました。
冒頭はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第40番。第1楽章はスケールの大きな序奏に続き、快調なテンポでの爽やかな音楽が響きます。第2楽章は抒情味のある演奏です。第3楽章は聴き応えのあるアレグレット。深みのあるモーツァルトの演奏でした。
この日、最高だったのはフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番。優美なフォーレのロマンを見事に歌い上げました。永遠に続いていくような息の長い旋律の歌いまわしの見事さに惹き込まれます。それに正確無比な音程のよさもフォーレの音楽の幽玄さを引き出してくれます。音楽的な感銘を受けているうちに長い第1楽章が終わります。素晴らしかったのは次の第2楽章。エスプリとロマンにあふれた美しい音楽に魅惑されます。ピアノの福間洸太朗の美しいタッチの響きも相俟って、最高の音楽が響き渡ります。終始、うっとりと聴き入りました。第3楽章、第4楽章も完璧に思える演奏。フォーレの名曲を満喫しました。ちょうど、今読んでいるのがマルセル・プルーストの《失われた時を求めて》ですが、実に雰囲気が合います。プルーストは音楽の造詣が深く、若い頃からフォーレの音楽を熱愛していたそうです。フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番は《失われた時を求めて》に登場する架空の「ヴァントゥイユのソナタ」のモデルとみなす研究家も多いようです。もっともサン・サーンスのソナタという説もあります。いずれにせよ、プルーストもフォーレもフランスの近代芸術の精華です。

後半は権代敦彦のポスト・フェストゥムで始まります。辻彩奈の委嘱作品だけあって、見事なソロ演奏でした。続くラヴェルのヴァイオリン・ソナタ第2番はsaraiの集中力不足で、演奏のよさが実感できませんでした。最後のサラサーテのツィゴイネルワイゼンは完璧とも思える演奏。ヴァイオリンの響きも美しさの限りを尽くしていました。アンコールはフォーレの《夢の後に》。これは何とも凄まじく美しい演奏でした。今日はフォーレの素晴らしい音楽を堪能できたコンサートで満足、満足!


今日のプログラムは以下です。

 辻 彩奈 ヴァイオリン・リサイタル

  ヴァイオリン:辻彩奈
  ピアノ:福間洸太朗

  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第40番 変ロ長調 K.454
  フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13

   《休憩》

  権代敦彦:ポスト・フェストゥム~ソロ・ヴァイオリンのための(辻彩奈 委嘱作品)
  ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調 M.77
  サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20
   《アンコール》
     フォーレ:「3つの歌 Op.7」第1曲 夢の後に

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第40番は以下のCDを聴きました。

 アンネ・ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 2006年2月、ミュンヘン セッション録音
 
ムターのモーツァルト、協奏曲と同様に聴き応えがあります。印象的にミスマッチに思えますが、これがすごくいいんです。


2曲目のフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番は以下のCDを聴きました。

 アンネ=ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 2002年1月 セッション録音
 
何故か、フランスものまでムターの演奏を聴いてしまいます。決して、ムターのファンではないのですが、その演奏に納得してしまいます。いつか、実演を聴いてみたいですね。


3曲目の権代敦彦のポスト・フェストゥムはCDが見つからないので、予習せず。


4曲目のラヴェルのヴァイオリン・ソナタ第2番は以下のCDを聴きました。

 アリーナ・イブラギモヴァ、セドリク・ティベルギアン 2010年11月26-28日 ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール セッション録音

イブラギモヴァのヴァイオリンもこのところ、注目しています。期待に違わぬ素晴らしい演奏です。


5曲目のサラサーテのツィゴイネルワイゼンは以下のCDを聴きました。

 ミッシャ・エルマン、ジョゼフ・シーガー 1959年10月 ニューヨーク、マンハッタン・タワー セッション録音

ツィゴイネルワイゼンは子供の頃、よく聴いていました。そのときのレコードがこれ。エルマン・トーンと呼ばれる美しい響きのヴァイオリンです。今聴いても素晴らしい音色の名録音です。



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       辻彩奈,  

空前絶後の辻彩奈のシベリウスに衝撃!@サントリーホール 2021.5.28

どう言えばよいか、本当に分かりません。ただ、今日の辻彩奈のヴァイオリンはsaraiの心に響いたんです。よい演奏とか、テクニックが凄いとか、そういうことではなくて、本当に心がその音楽に同調したとしか言えません。今日の辻彩奈は最高に素晴らしかった・・・saraiが期待していた音楽のレベルに達したと思います。これまで、才能はあるとは思っていましたが、気魄がもうひとつ足りませんでしたが、今日の辻彩奈の音楽にかける気魄は凄かったと思います。今日の辻彩奈の演奏が凄かったので、saraiはちょっと混乱しています。
第1楽章の途中から、辻彩奈のヴァイオリンが燃え上がり、saraiの心も高潮していきます。それ以降はすっかり音楽の中に浸り込みます。長大な第1楽章の何と甘美なことか・・・まるで夢の中にいるようです。とともに辻彩奈のヴァイオリンを聴きながら、こちらもぐっと力が入ります。こういう経験は稀なことです。辻彩奈とともに一緒に音楽を作り上げてる気持ちでのめり込みます。第2楽章にはいって、さらに辻彩奈の気魄は高まっていき、saraiの気持ちもさらに前のめりになります。音楽は他人事のように醒めた気持ちで聴くものではなく、主観的に体験するものだということを実感します。したがって、評論家的にその音楽を言葉で表すことが困難になります。ただただ、音楽とともにある自分を実感するだけです。第3楽章にはいると、実に爽快な音楽を辻彩奈は奏で上げます。ここで、ようやく、少し、音楽を前のめりででゃなくて、楽しめるようになります。心が舞い上がるような飛翔感を味わいながら、次第に感動に至ります。圧倒的な高揚感で全曲を聴き終わります。現在、こんなにsaraiをインスパイアしてくれるヴァイオリニストはそうはいません。思いつくのは庄司紗矢香だけです。今日の辻彩奈の演奏も決して傷がないわけではありませんでしたが、確実に高いレベルに達しつつあることを思わせてくれるものでした。

後半のシベリウスの交響曲第6番は鈴木優人の鮮やかな手腕が印象的でした。バロックだけでなく、近代音楽までも視野に入れられる大器になりつつありますね。鈴木優人がコントロールした日フィルも比類のないアンサンブルを聴かせてくれました。とりわけ、弦楽セクションの美しい響きに驚きました。いやはや、在京オーケストラの実力は凄いものです。ベルグルンドが振ったシベリウスは聴き逃がしましたが、さぞや素晴らしかったのでしょうね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木優人
  ヴァイオリン:辻 彩奈
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:木部雅之

  ステンハンマル:序曲《エクセルシオール!》
  シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
   《アンコール》シベリウス:水滴 Vnソロ辻 彩奈 & Vcソロ菊地 知也

   《休憩》

  シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 Op.104


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のステンハンマルの序曲《エクセルシオール!》は以下のCDを聴きました。

 ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団 1992年12月 セッション録音

お国ものの演奏ですね。素晴らしい演奏です。


2曲目のシベリウスのヴァイオリン協奏曲は以下のCDを聴きました。

 庄司紗矢香、ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 2017年10月 サンクト・ペテルブルク ライヴ録音
 
庄司紗矢香の熱い演奏です。聴き応え十分!


3曲目のシベリウスの交響曲第6番は以下のCDを聴きました。

 パーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 1995年9月 コロシアム、ワトフォード、ロンドン セッション録音
 
saraiが最も愛好するシベリウスの全集盤の1枚です。その美しさは最高です。



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       辻彩奈,  

コロナ禍を吹っ飛ばすような辻彩奈の美麗なサン・サーンス、都響の豊麗な《オルガン付》@東京芸術劇場コンサートホール 2021.5.18

冒頭の面白過ぎるサティのバレエ音楽《パラード》は指揮者の井上道義の怪人ぶりが遺憾なく発揮されました。特にフラックソノール(水をはじく音)でびしょ濡れになった打楽器奏者に拍手。ブテイヨフォンというワインボトルをぶらさげて、並べた珍しい楽器にも驚きました。

次は期待のサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、辻彩奈は冒頭から素晴らしいヴァイオリンの響きを聴かせてくれます。都響のサポートも見事です。素晴らしいアンサンブルがピタっと決まります。その都響の美しい響きに乗って、辻彩奈のヴァイオリンが冴え渡ります。うーん、素晴らし過ぎる! 第2楽章は有名な美しいメロディーが繰り返し弾かれて、うっとり。しかし、本当に凄かったのは第3楽章。辻彩奈は抒情的な演奏からダイナミックな演奏まで、すべてを完璧に余裕で弾きこなしていきます。彼女は突如、音楽界に現れた逸材中の逸材であることを実感させられます。最後は辻彩奈の独奏ヴァイオリンが凄まじい輝きを放ちながら、全曲を締めくくります。本当にスカッとするような会心の演奏にコロナ禍の鬱々たる気持ちも晴れ渡る思いです。

一方、都響も負けていません。後半のプログラム、サン=サーンスの交響曲第3番《オルガン付》で最高のアンサンブルを聴かせてくれます。主役は弦楽アンサンブル。響き渡るパイプオルガンとともにスケールの大きな音楽を聴かせてくれます。教会音楽とは違いますが、聖堂に響く音楽の雰囲気が醸成されていきます。第2楽章の後半ではコンサートホールに響きわたる美しい音響に心を持っていかれます。都響が実力を発揮すると凄い音楽が現出します。圧倒的な楽の音がホールの隅々までを満たして、素晴らしい音楽が終わります。これも間違いなく、コロナ禍を吹っ飛ばしました。音楽って、何と素晴らしいのでしょう。これがある限り、人類は何ものにも負けることはありません。

今週はこれが2回目のコンサート。今週はまだ4回もコンサートを聴きます。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:井上道義
  ヴァイオリン:辻 彩奈
  オルガン:石丸由佳
  管弦楽:東京都交響楽団  コンサートマスター:矢部達哉

  サティ:バレエ音楽《パラード》
  サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 Op.61
   《アンコール》権代敦彦:Post Festum-ソロ・ヴァイオリンのための Op.172 より「Ⅱ」

   《休憩》

  サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78《オルガン付》


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のサティのバレエ音楽《パラード》は以下のCDを聴きました。

 ミシェル・プラッソン指揮トゥールーズ・キャピトール管弦楽団 1988年6月 セッション録音

お洒落な演奏です。


2曲目のサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は以下のCDを聴きました。

 チョン・キョンファ、ローレンス・フォスター指揮ロンドン交響楽団 1975年5月 ロンドン セッション録音
 
これを録音した頃のチョン・キョンファのヴァイオリンは凄い。音楽性も高く、その情熱は伝わってきます。


3曲目のサン=サーンスの交響曲第3番《オルガン付》は以下のCDを聴きました。

 シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団、ベルイ・ザムコヒアン 1959年 セッション録音
 
音質も演奏も最高に素晴らしい決定盤。



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       辻彩奈,  

辻彩奈の瑞々しいブラームス、ロマンティックなプロコフィエフ@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.5.3

このところ、辻彩奈のヴァイオリンを聴き続けていますが、今日は大失策。開演時間を30分間違えて、1曲目のベートーヴェンは聴き損ねました。ショック・・・
ようやく、ベートーヴェンが終わったところで、スタッフの方に先導されて、席に着きました。初体験です。

それで始まったブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」は辻彩奈の伸びのある、しなやかなヴァイオリンの響きでうっとりするような演奏。ともかく、ヴァイオリンの響きが素晴らしいです。これが彼女のこの曲の初披露とは驚きました。ピアノの江口玲の演奏もとてもよくて、気持ちのよいブラームスです。1曲目を聴き逃がしたショックからもこの演奏で立ち直れました。まあ、今日、1番、楽しみにしていた曲だったので、満足です。それにしても、このブラームスの作品は、シューベルト~シューマンというロマン派の王道の流れの1曲であることを強く感じさせられました。ブラームスはこの曲をヴェルター湖畔のペルチャッハで作曲しましたが、同時期にこの地では交響曲第2番、ヴァイオリン協奏曲というロマン派を代表する名曲も書かれました。ブラームスがロマンの極みに到達した時期の1曲です。辻彩奈はこのロマンの香り高い名曲を瑞々しく、清新に描き出しました。こうなると、次はシューマンやシューベルトも聴かせてもらいたいものです。

休憩後、今度はモダニズムの代表のようなプロコフィエフです。この曲はsaraiは最初はフルート・ソナタで聴きましたが、今はすっかり、ヴァイオリン・ソナタで違和感なく聴けるようになりました。しかし、辻彩奈のヴァイオリンは今まで聴いてきた演奏と異なり、まるでロマン派の名曲を聴くかごとくの演奏です。最初は少し、驚きましたが、しばらく聴いていると、実にその爽やかなロマンが心地よくなります。辻彩奈の伸びやかでありながら、抑え気味に弾くヴァイオリンの響きが新しいプロコフィエフ像を描き出します。無機的でクールな雰囲気のプロコフィエフも好きですが、こういう温かみのあるロマンに満ちたプロコフィエフもいいですね。それに辻彩奈のヴァイオリンはロマン派に向いているような気がします。ロマン派を起点にモダニズムや古典派にその演奏の幅を広げていくのがいいのかもしれません。

今日の3曲はすべて、辻彩奈の初レパートリーだったそうです。今後、協奏曲だけでなく、こういう室内楽にもどんどんチャレンジしていってもらいたいものです。次は都響と共演するサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴く予定です。彼女に向いた曲なので、好演が期待できそうです。その次には日本フィルと共演するシベリウスもあります。聴く機会が多くて、楽しみです。


今日のプログラムは以下です。

 辻 彩奈 ヴァイオリン・リサイタル

  ヴァイオリン:辻彩奈
  ピアノ:江口玲

  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 Op.96
  ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」 ト長調 Op.78

   《休憩》

  プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ長調 Op.94bis
 
   《アンコール》
     マリア・テレジア・フォン・パラディス:シチリアーノ

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第10番は以下のCDを聴きました。

 ギドン・クレーメル、マルタ・アルゲリッチ 1993年12月、モントルー セッション録音
 
このコンビは素晴らしいヴァイオリン・ソナタ全集を聴かせてくれますが、これは彼らとしてはフツーの出来です。


2曲目のブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」は以下のCDを聴きました。

 アンネ=ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 2009年11月-12月 ポリング ライヴ録音
 
ムターの余裕の演奏。大胆にして、細心とはこのことでしょうか。


3曲目のプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番は以下のCDを聴きました。

 ギドン・クレーメル、マルタ・アルゲリッチ 1991年3月、4月 リュッセル Maison De La Radio Bri/Rib Studio 4 セッション録音

このコンビの会心の演奏。これ以上の演奏は望むべくもありません。



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       辻彩奈,
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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん
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