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20年ぶりのベルリン:カフェでの朝食の後のお楽しみは憧れのベルリン絵画館でクラナッハ

2012年4月13日金曜日@ベルリン/5回目

カフェでの朝食を十分に楽しみました。
予想外の楽しい出来事も重なり遅くなってしまったので、このままホテルに戻ろうかとも思いますが、朝食を食べただけで1日の行動を終えるのも寂しいものです。
少しの時間ですが、ベルリン絵画館Gemäldegalerieに寄ってみましょう。急ぎましょう。来たときと逆の経路を辿ります。エーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeから地下鉄2号線(U2)の代行バスに乗り、その後はアレキサンダープラッツ駅Bahnhof Berlin Alexanderplatzまで一駅分地下鉄に乗ります。アレキサンダープラッツ駅からは200番の2階建てバスに乗ります。来たときは100番のバスでしたが、これはベルリン絵画館の前は通りません。途中で面白いものが見えます。これです。


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何か分かりますか? ベルリン名物の酔どれビール自転車です。集団で大型の自転車を漕ぎ、積み込んであるビール樽からビールを飲みながら、市内観光をするようです。これは酔いがまわって、見物どころではなさそうな気がします。あっという間に目の前を通り過ぎていきます。何とかもう1枚写真が撮れました。


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200番のバスは、ウンター・デン・リンデンUnter den Lindenの通りまでは100番のバスと同一経路を走ります。また、博物館島Museumsinselで旧博物館Altes Museumが見えます。


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ウンター・デン・リンデンの通りの先は、ティーア・ガルテンTiergartenの公園には入らずに大きく公園を回り込みながら市街地を走ります。ポツダム広場Potsdamer Platzの先のティーア・ガルテン沿いに走るところでバスを降ります。ここはフィルハーモニーPhilharmonieのバス停です。ベルリン絵画館は、今夜のコンサートの会場のフィルハーモニーのすぐ隣にあるんです。フィルハーモニーの建物を見ると、今夜のコンサートが楽しみになってきます。


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どの建物がベルリン絵画館か分からず、ちょっと迷います。複雑な構造のビルなんです。ようやく、ベルリン絵画館に入り、チケットを購入します。2人ほど並んでいるだけで、すぐに買えます。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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明日からの予定も検討した結果、ミュージアム・パス・ベルリンMuseumspass Berlinの3日間券Drei-Tage-Karteを購入します。ベルリンの主な美術館・博物館などに入場できるパスです。連続する3日間、つまり明後日までは美術館見放題っていうことです。1人19ユーロですから、かなりお得感があります。日本の場合、海外からの美術展では1回でこれ近くの料金をとられますものね。


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パスと一緒にミュージアム・パス・ベルリンの利用ガイドをもらいます。60もの美術館・博物館に入場できるとのことで、その一覧が掲載されています。今日から3日間はできるだけ美術館・博物館回りをしましょう。


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このベルリン絵画館の入場チケットも一緒に渡されます。もちろん、無料です。


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ベルリン絵画館のガイド・パンフレットもゲットしますが、日本語版はなく英語版です。


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このガイド・パンフレットによると、入口に入ってすぐに7室もクラナッハ、デューラー、ホルバインを中心とした16世紀までのドイツ絵画が展示されているようです。今回の旅のテーマのひとつでもあるクラナッハ作品を、思いっきり楽しめそうです。わくわくです。
それに前回のベルリン訪問ではベルリン絵画館には来ていません。その頃は、東西ドイツの美術品を統合したこのベルリン絵画館はまだ存在しませんでしたからね。
広いロビーを歩いて展示室の入口に向かいます。


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おっと、その前に手荷物はロッカーに預けないといけません。こういうことはドイツは実に厳格ですぐに注意されます。カメラだけはちゃんと取り出して、手荷物を預けます。ベルリン絵画館は写真撮影は可なので、パチパチ撮りまくりましょう。いよいよクラナッハの作品群と対面します。


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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の予想外に充実したクラナッハの作品群に遭遇して、絶句!

2012年4月13日金曜日@ベルリン/6回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieの展示室に入場します。入って右手のⅠ~Ⅲ、1~4の計7室がクラナッハ、デューラー、ホルバインを中心とした13世紀から16世紀までのドイツ絵画のコーナーです。もちろん、お目当てはクラナッハの作品群です。昨日、ヴァイマールの城美術館でも名品を鑑賞し、教会の祭壇画も鑑賞しました。そして、その総仕上げがこのベルリン絵画館の作品群です。早速、クラナッハの作品を見ていきましょう。

これは《森の風景の中のアポロンとディアナ》です。アポロンが弓を持ち、狩りの女神ディアナが獲物(といってもまだ生きていますが)の鹿の上に腰掛けています。しかし、絵柄としてはアダムとイブの絵にもそっくりです。神話に題材を借りて、クラナッハが得意の裸体画を描いたというところなんでしょう。そういう意味でアダムとイブの絵とそっくりなのもご愛嬌です。まあ、見事な絵ではあります。


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これは《ルクレツィア》です。クラナッハがたびたび描いた題材で、ほかでもいくつか見ています。この手の女性の裸体画はヴィーナスもルクレツィアもユーディットも同じ描き方ですね。ちなみにルクレツィアは紀元前6世紀のローマの女性で、貞淑な妻でありましたが、横恋慕されて、凌辱されてしまいます。彼女はそのことを夫に告白し、短剣で自害します。凌辱したのは王家の王子でしたが、復讐に立ち上がった男たちによって、王家はローマから追放され、これをきっかけにローマは王政から共和制に移行することになりました。


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これは《エジプト逃避途上の休息》です。ユダヤの王ヘロデがベツレヘムに生まれる新生児の全てを殺害するために放った兵士から逃れるため、エジプトへと旅立った聖母マリアと幼子イエス、マリアの夫の聖ヨセフを描いたものです。鮮やかな色彩によって、聖家族を高貴な存在として描き出している名作です。


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これは《聖アンナと聖母子》です。背景を天使が持ったビロードの布で覆っているのが面白いですね。衣のひだの描き方は見事なものです。


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これは《アダムとイブ》です。これもしばしば取り上げた題材ですが、ライオンと思しき動物が登場するのは見たことがありません。いずれにせよ、裸の女性を描かせたら、クラナッハの右に出る人はいません。少し、癖のある描き方ですが、クラナッハのファンにとっては、それがいいんです。


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これは《岩のある風景のなかの聖ヒエロニムス》です。典型的な聖ヒエロニムスが描かれていますね。背景の風景も丹念に描き込まれています。


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これは《ダビデとバテシバ》です。ほかでは見たことのない題材です。ピカソは余程この絵を気に入ったのか、ほぼ同じ構図のリトグラフを描いています。この絵の女性たちはちょっと見ると、有名な「ザクセンの3公女」の絵とそっくりなのが面白いですね。ダビデ王は上にいる男たちの左から2番目の竪琴を持っている人物です。バテシバはヒッタイト人ウリヤの妻でしたが、後にダビデの妻となり、ダビデの跡を継いでイスラエル王国の王となるソロモンを産んだ女性です。この場面は部下の妻であったバテシバにダビデが一目惚れして、言い寄るシーンです。絵画でもよく取り上げられる題材ですが、バテシバは裸で描かれるのが多く、女性の裸を得意にしていたクラナッハが着衣で描いたのは奇妙なことです。


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これは《シュテファン・ロイス(Stephan Reuss)夫人の肖像》です。シュテファン・ロイスはウィーンの法学の教授だったそうです。


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これは《荒野の聖ヒエロニムスとしてのアルブレヒト・フォン・ブランデンブルク》です。アルブレヒト・フォン・ブランデンブルクの肖像画ですが、聖ヒエロニムスに扮装した姿で描かれています。このアルブレヒトはこういう形で肖像画に描かれることを好んでおり、聖エラスムス、聖マルティヌスなどの聖人に扮装した姿の肖像画も残されています。アルブレヒト・フォン・ブランデンブルクはブランデンブルク選帝侯を継いだ兄ヨアヒム・ネストールの尽力により、ドイツ最高位の聖職者の枢機卿に上り詰めた人物で美術作品のコレクターとしてもザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公と並ぶ存在でした。一方、アルブレヒトはローマ法王から昇進などの便宜を図ってもらうための莫大な経費を捻出するためにアウグスブルグのフッガー家から莫大な借金を負い、その対応のために免罪符販売を推進した人物でもあります。昨日、ヴィッテンベルクの城教会で見たルターの『95ヵ条の論題』はこのアルブレヒトに向けられたメッセージでした。ルターの最大の敵とも言われる人物です。ある意味、宗教改革の引き金を引いた人物とも言えます。ルターの親友だったクラナッハがルターの最大の敵とも言える人物の肖像画を何枚も描いているのは皮肉なことだとも思われますが、どこの世の中も生き抜いていくのは大変だということなのでしょう。


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これは《ソロモンの審判》 です。ソロモンはダビデ王とバテシバの間に生まれ、ダビデの後を継ぎました。賢王として有名で、エルサレムに寺院を建てた人物です。この審判の場面は次のようなものです。二人の女が子供を産み、赤ん坊の一人が死んでしまい、その子の母親が、もう一人の赤ん坊を自分の子だと言い張ります。二人はソロモンの前に行き、どちらの子か決めてもらうことにしました。ソロモンは刀を用意させ、二人のために、この子を二つに切り裂こうとします。そのとき、一人の女が叫び、この子はあの女にやってもかまわないから、殺さないでくださいと言いました。このことで、本当の母親が判明しました。まさにこの絵はその迫真のシーンです。


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これは《ヴィーナスとキューピッド》です。これこそ、クラナッハがたびたび描いた題材で、これまでもずい分見ました。盲目の愛に惑わされずに、秩序ある結婚生活を送りなさいという教訓が込められているそうです。それにしても見事な絵です。


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これも《ヴィーナスとキューピッド》です。完成度の高い作品が2点もあるのは、この美術館の凄いところです。こちらの絵は先程の絵を上回る素晴らしい出来で、女性の美しさが最高に表されていますね。このベルリン絵画館でクラナッハの絵を1枚選ぶなら、この絵で決まりです。


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これは《若返りの泉(青春の泉)》です。画面左から老婆達が手押し車などに乗せられてやってきます。その老婆達が中央の泉にはいると、あれ不思議や・・・たちまち若返って、若い美女に変容し、画面右手の対岸で貴公子に迎えられます。そして、赤いテントのなかで着飾り、右奥の愛の庭で新たな恋人と踊り語らうという寸法です。中央の泉には、ヴィーナスとキューピッドの彫像があり、この泉が「ヴィーナスの泉」あるいは「愛の泉」であることを示しています。この絵の左右に《ヴィーナスとキューピッド》が配置されています。面白い発想ですね。


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この絵の写真を撮りながら、鑑賞にふけっていると、日本人の同じ年頃の男性に声をかけられ、ちょっとした芸術談義になります。クラナッハに詳しいかたは珍しいです。ずい分、話し込んでしまいます。ベルリンに1か月ほど滞在されるそうです。上には上があるものです。これからヴァイマールにも行かれるそうなので、ヴァイマールの城美術館のクラナッハのコレクションの素晴らしさをお話しさせてもらいました。この男性とお別れしてからもクラナッハ鑑賞は続きます。

これは《最後の審判》です。ボッスの絵と見間違いそうな絵ですが、れっきとしたクラナッハの作品です。内容は題名そのものですが、地獄の描き方が実にグロテスクです。クラナッハはボッスの絵の模写などもしているようで、この絵はボッスの影響が見て取れる作品です。


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これは《ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世》です。ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世と言えば、ヴァイマールの城美術館で見た絶世の美女「シビレー・フォン・クレーベ姫の肖像」の嫁いだ相手です。また、宗教戦争で敗れ、ヴィッテンベルクからヴァイマールに移る際に高齢のクラナッハが付き従った主君でもあります。


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最後にシビレー・フォン・クレーベ姫の美しい姿を思い出したところで、ベルリン絵画館のクラナッハ・コレクションの鑑賞を終了します。

ベルリン絵画館では、予想以上に充実したクラナッハの作品群に遭遇。大満足です。
まだまだ名画は続きます。ヤン・ファン・エイク、フェルメール、カラヴァッジョ、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、レンブラントと大画家の傑作群が待っています。


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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の珠玉のフランドル絵画

2012年4月13日金曜日@ベルリン/7回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのクラナッハの作品群に続いて、14世紀から16世紀のフランドルあるいはネーデルランド絵画を見ていきましょう。

これはヤン・ファン・エイク作の《教会の聖母》です。とても小さな絵(32×14cm)なので、あやうく見逃すところです。実に貴重なヤン・ファン・エイクの作品です。ヤン・ファン・エイクの作品は大きな美術館でも見かけることがあまりありません。いずれはベルギーにヤン・ファン・エイク詣でをしたいと思っています。ゲントの祭壇画は聖バーフ大聖堂自体がしばらくは工事中ですが、祭壇画は公開されているようなので、そのうちに行きたいと思っています。
この絵は小さいとは言え、ヤン・ファン・エイクらしく、とても緻密に描かれており、小さな画面を通して、教会の広大な空間のなかに引き込まれそうです。教会の内部空間に対して、聖母マリアが巨大に描かれていますが、これは描き方が素朴なのではなく、瞑想のなかで見えた聖母の姿だということです。この小さな絵は持ち歩くためのものだそうで、出先でもこの絵の聖母に祈りを捧げていたようです。


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これはメムリンクの《聖母子》です。楚々とした聖母がなんともいえず、いいですね。いかにもメムリンクらしい作品です。メムリンクもベルギーを訪れて、ブリュージュでたっぷりと鑑賞したい画家です。


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これはメムリンクの《年老いた夫妻の肖像(夫)》です。これは本来、妻の肖像と一対になる作品です。妻の肖像は、現在、パリのルーブル美術館に所蔵されています。2枚の肖像画は背景の風景が完全につながりますので、間違いなく1対であることが分かります。当初は合わせ釘で一緒につなぎ合わせてあったそうです。絵画とは言え、夫婦がベルリンとパリに離ればなれというのも寂しいものです。2005年のメムリンクの肖像画展では、特別にこの一対の肖像画が一緒になって、ヨーロッパとニューヨークを巡回したそうです。束の間の再会だったようです。
メムリンクは聖母子などの宗教画も素晴らしいですが、こういう肖像画も深みのある表現で素晴らしいですね。


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これはメムリンクの《天使と玉座の聖母子》です。背景の玉座は素晴らしく緻密に描かれています。


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これもメムリンクの《聖母子》です。いかにもフランドル絵画らしく、人物も背景もとても緻密に描かれています。素晴らしい作品です。


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これはブリューゲルの《十字架を運ぶキリスト》です。画面中央に大きな十字架を背負うキリストが描かれています。画面全体には膨大な数の人々が描かれています。ブリューゲルらしいと言えば、それまでですが、それにしてもここまで描き込むのは凄いとしか言いようがありません。


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これもブリューゲルの《ネーデルラントの諺(ことわざ)》です。とても有名な絵ですね。ブリューゲルらしく、画面のなかに多くの人々が細かく描き込まれています。80人以上の登場人物がいるそうです。そして、絵の中に多くのことわざが描かれています。描かれたことわざは100以上もあるようです。例えば、画面の中央で夫に青いマントを着せている赤い服の妻は、青色が欺瞞を意味する色ということから、妻の裏切りと不貞を暗示しています。
細かく見ていると何時間あっても足りません。残念ながら、ざっと全体の絵模様を楽しむだけに留めます。


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これはボッス(ボス、ボッシュとか表記が色々ありますね)の《パトモス島の聖ヨハネ》です。この絵もあやうく見逃すところでした。まさか、ボッスの絵とは気付きませんでした。配偶者の指摘でボッスの絵だと気付いたんです。ボッスらしい、おどろおどろしいところがなく、爽やかな絵です。しかし、よく見ると画面右下に奇妙な生物がうづくまっています。やっぱり、これはボッスの世界です。ところで、題名のパトモス島はエーゲ海の小さな島で、この島で聖ヨハネがイエスから啓示を受けたということになっています。この島は世界遺産だそうです。


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これはヤン・ファン・エイクの《ジョヴァンニ・アルノルフィーニ(Giovanni Arnolfini)の肖像》です。ベルリン絵画館には、さすがにヤン・ファン・エイクが2作品もあります。描かれている人物のジョヴァンニ・アルノルフィーニはロンドンのナショナル・ギャラリーにある有名な『アルノルフィーニ夫妻像』でも妻とともに描かれています。アルノルフィーニはイタリアのルッカ出身の商人でブルージュで生活していたことがわかっており、ヤン・ファン・エイクが2枚も彼をモデルとして描いているのは2人が友人だったのではないかとされています。


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これはヤン・ファン・エイクの《ボードワン・ド・ラノワ(Baudouin de Lannoy)の肖像》 です。これもまさかヤン・ファン・エイクとは気付かずに通り過ぎようとしてしまいました。2作品どころか、3作品もヤン・ファン・エイクの作品がベルリン絵画館に所蔵されています。これが15世紀の作品とは信じられません。板の上に描いた油彩画です。既に完璧な油彩技法が確立されています。ボードワン・ド・ラノワはブルゴーニュの貴族で、1428年のポルトガル派遣使節団にヤンとともに参加していました。


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いやはや、ヤン・ファン・エイク、メムリンク、ボッス、ブリューゲルの傑作の数々があります。クラナッハも凄かったですが、これも凄い。ベルリン絵画館の実力は底知れぬものがあります。しかし、この先、まだ、フェルメールも待っています。


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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の素晴らしいフェルメール2作品をじっくり鑑賞、そして、イタリア絵画へ

2012年4月13日金曜日@ベルリン/8回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのクラナッハ、14世紀から16世紀のネーデルランド絵画を見てきましたが、続くルーベンスはあまり興味がないので、飛ばして、いよいよ17世紀のオランダ絵画を見ます。

これはレンブラント工房で作成された《黄金の兜の男》です。昔はレンブラントの代表作のひとつとして、とても有名な絵でした。ところが、1985年の美術館による調査でレンブラント自身の作品ではないと判断されました。レンブラントのアトリエ(工房)にいた助手や弟子たちによって作成されたものだということです。贋作ではありません。まあ、レンブラントの筆によるかどうかで芸術作品の価値が変わるわけではないと思いますが、どうでしょう。素晴らしい作品ではありませんか。


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これはフェルメールの《真珠の首飾りをつける女》です。とても有名な絵で何も解説はいらないでしょう。人だかりがなく、ゆっくりとフェルメールの名作と向かい合えるのは幸せです。


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これはフェルメールの《騎士とワインを飲む女》です。ベルリン絵画館はなんとフェルメールを2枚も所蔵しているんです。凄いですね。それに2枚とも傑作ですから、驚きます。またまた、ゆっくりと鑑賞します。


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この後、18世紀のイギリス、フランス、ドイツの絵画はそれほど興味を引く作品がないので、さっと通り過ぎます。
次はイタリア絵画の珠玉のコレクションです。

これはカラヴァッジョの《勝ち誇るアモル》です。昨年はカラヴァッジョ巡礼の旅でイタリアを文字通り、縦断し、マルタ島まで行って、カラヴァッジョの主要な作品をほとんど鑑賞しました。やはり、このベルリン絵画館にもカラヴァッジョが1枚あります。これも有名な絵の1枚ですが、あまり、saraiの趣味ではありません。


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これはティツィアーノの《ヴィーナスとオルガン奏者》です。神話のヴィーナスと現実世界の男性が一緒に描かれているのが面白いですね。女性の美しさは「ウルビーノのヴィーナス」に遠く及ばないと感じます。


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これはラファエロの《聖母子と小さな洗礼者聖ヨハネ(テラヌオーヴォの聖母子)》です。相変わらず、ラファエロの聖母は美しく、非の打ち所がありません。ありがたく拝見させてもらうだけです。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《二人の天使に支えられる死せるキリスト》です。ジョヴァンニ・ベッリーニはヴェネティア派の巨匠ですが、義兄にあたるマンテーニャが素晴らし過ぎるために、どうしても陰に隠れてしまいがちです。saraiは結構、ジョヴァンニ・ベッリーニを評価しているんです。この絵は残念ながら、マンテーニャの「死せるキリスト」の絵の影響を受けているようです。よくは描けていますが、ジョヴァンニ・ベッリーニらしさに欠けます。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《キリストの復活》です。これもあまり好きな作品ではありません。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《聖母子》 です。これはとてもいいですね。やはり、ジョヴァンニ・ベッリーニの絵は聖母子の絵が一番好きです。聖母の表情が素晴らしいです。


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これもジョヴァンニ・ベッリーニの《聖母子》 です。これは上の作品のほうが素晴らしいですが、聖母の衣の襞はよく描けています。


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イタリア絵画はまだまだ続きます。この後、マンテーニャ、フィリッポ・リッピ、そして、大好きなボッティチェリを見ていきます。



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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の質と量の揃ったボッティチェリのコレクション

2012年4月13日金曜日@ベルリン/9回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのドイツ絵画、フランドル絵画、オランダ絵画に続き、最後のイタリア絵画を鑑賞しています。

これはマンテーニャの《キリストの神殿奉献》です。マンテーニャはパドヴァ派の代表的画家で、ヴェネツィア派のベッリーニ家とも姻戚関係にあり、ヴェネツィア派とも強い関わりを持っていました。彼はマントヴァ公の宮廷画家としても過ごしており、マントヴァのドゥカーレ宮殿の結婚の間に有名な天井画を残しています。以前、わざわざ、見に行きました。天使が可愛い天井画です。
この絵は彼らしい淡いタッチで厳かな雰囲気をかもしだしています。絵の周りの額縁部分も本当の額縁ではなく、だまし絵のようになっています。包帯に巻かれたキリストを抱く聖母マリアの手が額縁をはみ出して、絵の中の世界と現実の世界がつながっているかのごとくです。


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これはマンテーニャの《枢機卿ルドヴィコ・トレヴィザンLudovico Trevisanの肖像》です。ルドヴィコ・トレヴィザンはヴェネティア出身で枢機卿に上り詰めた人物であり、母方の姓でLudovico Scarampi-Mezzarotaとも呼ばれます。ルドヴィコが古代ローマ風の衣装に身を包んだ姿で描かれていますが、迫真の表現の肖像画です。


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これはフィリッポ・リッピの《幼子を礼拝する聖母》です。フィリッポ・リッピと言えば、何といっても、フィレンツェのウフィツィ美術館にある聖母子が大好きな絵です。この絵も清楚な姿の聖母が素晴らしいですね。


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この後、驚くほどのボッティチェリの傑作群が続きます。フィレンツェのウフィツィ美術館を別にすると、こんなに質と量の揃ったボッティチェリのコレクションがある美術館はないでしょう。嬉しい驚きです。

これはボッティチェリの《聖母子》です。これは文句なしに美しいですね。ボッティチェリの描く女性はどうしてこんなに美しいんでしょう!


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これはボッティチェリの《歌う天使と聖母子》です。ウフィツィ美術館のボッティチェリ作品と並ぶ傑作です。この絵を見るためでもベルリン絵画館を訪れる価値があります。まったく、うっとりします。


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これはボッティチェリの《聖母子と二人の聖ヨハネ》です。ボッティチェリとしては、あまり見ない構図です。全盛期の輝かしさが感じられないのは後期の作品なのでしょうか。しかし、細部まで、よく描き込まれた素晴らしい絵ではあります。


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これはボッティチェリの《聖セバスティアヌス》です。題材はよく取り上げられるもので、特にグイド・レーニの作品が有名です。ボッティチェリが描いていたとは意外です。ちょっと見てもボッティチェリ作品とは分かりません。


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これはボッティチェリの《ヴィーナス》です。言わずと知れた「ヴィーナスの誕生」(フィレンツェのウフィツィ美術館)の中のヴィーナスと瓜ふたつですね。こんなヴィーナス単独の絵があるとは、知りませんでした。実に美しい!


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クラナッハ、ヤン・ファン・エイク、フェルメール、カラヴァッジョ、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、レンブラントと充実したコレクションを堪能もしました。ちょっとと思っても、やはり素晴らしいものが多過ぎて、鑑賞時間が長くなってしまいますね。
急いで、ホテルに戻って、夜のベルリン・フィルとペライアのコンサートに備えましょう。


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20年ぶりのベルリン:フィルハーモニー初見参・・・感動のぺライアのピアノとベルリン・フィル

2012年4月13日金曜日@ベルリン/10回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのまったくもって素晴らしいとしか言いようのないコレクションを堪能して絵画館から出ると、文化フォーラムKulturforumのテラスに出ます。絵画館は、文化フォーラムという複雑な構造の複合文化施設の中にあります。
テラスから見えるのは素晴らしい青空。フィルハーモニーPhilharmonieの建物が輝いています。


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文化フォーラムのテラスを下りて、フィルハーモニーの前にある200番のバスの停留所に向かいます。


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急いでホテルに戻りましょう。バスに乗って10分ほどで目的の停留所ブライトシャイドプラッツBreitscheidplatzです。バスを降りると、オイローパセンターEuropa Center近くの広場は、週末の金曜日ということで、お決まりのメリーゴーラウンドや出店や屋台やちょっとしたコンサートなどで盛り上がっています。


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これはソーセージやステーキを焼いている屋台です。


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ヌードルの屋台が気になります。屋台を覗き込んで、夜食用にテイクアウトするものを選びます。


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野菜をたっぷり乗せた焼きソバのような物をゲットします。
広場では、テーブルに座って軽食と飲み物を楽しんでいる人たちがたくさんいます。


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実に様々な屋台があるので、B級グルメが楽しめます。やっぱり、癖になってしまったカリーヴルストも買って帰りましょう。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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夜食用にと思って買ったカリーヴルストですが、あまりに美味しそうな匂いにたまりかねて、ホテルに戻るなりぱくっと食べてしまいます。実に美味しいです。カリーヴルストはベルリン最大の収穫です。明日からも積極的に食べましょう。


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結構歩き回って疲れたので、夜のコンサートに備えて一寝入りします・・・ZZZZ。

熟睡中にドアのノックで起こされます。何でしょうね。ホテルのスタッフが明日の天気予報を持ってきてくれたんです。晴れ!にチェックが入っています。ありがとう・・・でも起こさないで欲しかった・・・ZZZZ。

元気回復して、乗り慣れた200番のバスでフィルハーモニーに向かいます。憧れのフィルハーモニーのホールのロビーに入ります。既に多くの人達が来ています。


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チケットをチェックしてもらって、入場です。いやあ、中はなかなか壮観ですね。素晴らしい内部空間です。


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物珍しそうにうろうろしてしまいます。その挙げ句にテラスに出て、裏庭のようなところにまで出てみます。出入りにはチケットのチェックがあります。珍しいところに出たので、そこからのフィルハーモニーの建物を撮影します。あまり見かけない角度からのフィルハーモニーです。フィルハーモニーの向こうには、ソニーセンターSony Centerのビルが見えています。


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さて、開演時間が迫ったので、自分の席につきます。今夜はベルリン・フィルと世界最高のピアニストのペライアの共演です。実に感動しました。夢のような時間でした。すぐ目の前でペライアがピアノを弾くというとんでもない席で配偶者は緊張しまくりだったようですが、粗相なく聴き終わりほっとしたとのことです。あ~、疲れたっていうのが彼女の感想。このコンサートについては既にここに記事をアップ済みです。

また、200番のバスでホテルに戻ります。
ホテルの部屋で無料のコーヒーを淹れて夜食をいただき、1日の終わりです。


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今日はベルリンを堪能した1日でした。明日から、さらに3日間ベルリンを余裕で過ごします。

今日はずい分歩き回った筈ですが、歩数は15,106歩でした。そこそこですね。


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この記事へのコメント

1, Masaさん 2012/10/30 15:46
こんにちわ。
ペライアとベルリン・フィル、なんて素晴らしい組み合わせなんでしょう! 羨ましい限りです。
しかし、昨日インバルのマーラーを聴かれてから、そのままベルリンへ飛んだのですか? すごい行動力ですね。
自分も将来的に、そのように精力的に世界各国を飛び回って演奏会に出かけられるよう、体力を温存しておこうと思いました。

2, saraiさん 2012/11/01 00:44
Masaさん、saraiです。

紛らわしくて、すみません。旅の詳細記事はリアルタイムで書いているわけではないんです。ですから、ペライアをベルリンで聴いたのは今年の4月です。海外の旅でのオペラ・コンサートについてだけはリアルタイムで書いています。
今はおとなしく、横浜の自宅にいます。今週末のインバル+都響のマーラー4番も聴きますので、感想を読んでくださいね。

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
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その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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