今回で14回目ですが、最初の1999年以来、欠かさずに通っています。第1回はみなとみらいホールの開館した年でした。最初は黒柳徹子と草野仁の世界不思議発見コンビの司会でした。2回目からは黒柳徹子一人の司会になり、多分、4回目からは現在の朝岡聡の司会になりました。当初は色んなジャンルの演奏家(横浜に縁のある人)が大勢参加していましたが、現在は絞った人数になっています。今回はすべてオーケストラ中心の選曲となり、方向性が定まってきました。コンサートの開始時間が9時からなので、その前に横浜近辺で大晦日のディナーを食べる習慣になっています。今年は元町・中華街にあるローズホテルのレストラン、ミリー・ラフォレでいただき、タクシーでみなとみらいホールに駆けつけました。
さて、今回のプログラムは以下です。
音楽監督:池辺晋一郎
指揮:飯森範親
ヴァイオリン/エグゼクティブ・ディレクター:徳永二男
司会:朝岡聡
ヴァイオリン:漆原啓子、漆原朝子、小林美樹
ピアノ:萩原麻未
ソプラノ:半田美和子
テノール:西村悟
管弦楽:横浜みなとみらいホールジルヴェスターオーケストラ
池辺晋一郎:ヨコハマ・ファンファーレ
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
ドビュッシー:交響詩「海」より I.海の夜明けから真昼まで
プーランク:オルガン協奏曲より抜粋 オルガン:浅井美紀
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
アリア特集 ソプラノ:半田美和子 テノール:西村悟
ヴェルディ:《仮面舞踏会》より“永遠に君を失えば”
ベッリーニ:《清教徒》より“あなたの優しい声が”
ジョルダーノ:《アンドレア・シェニエ》より“ある日、青空を眺めて”
プーランク:《テレジアスの乳房》より“いいえ、旦那様”
ヴェルディ:《リゴレット》より“あなたは心の太陽だ”
《休憩》
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調作品16より第1楽章 ピアノ:萩原麻未
ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番より第3楽章 ヴァイオリン:小林美樹
サラサーテ:ナヴァラ ヴァイオリン:漆原啓子、漆原朝子
ベートーヴェン:ロマンス第2番 ヴァイオリン:徳永二男
ブリテン:青少年のための管弦楽入門より抜粋
ストラヴィンスキー:春の祭典より抜粋
グノー/バッハ:アヴェ・マリア ソプラノ:半田美和子 ピアノ:飯森範親、萩原麻未 ヴァイオリン:藤原浜雄
J.シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲
まず、池辺晋一郎のヨコハマ・ファンファーレで厳かに開幕。この曲はこのみなとみらいホールのジルヴェスターコンサートのために作曲された曲で、金管楽器とオルガンで演奏されます。池辺晋一郎は現在、みなとみらいホールの館長でもあります。
次は、歌劇「ローエングリン」の第3幕への前奏曲です。この曲はテレビ番組のテーマ曲として流されており、耳にたこができるほど馴染んでいます。まあ、ワーグナーらしい名曲ですね。なかなか迫力のある演奏でした。ワーグナー生誕200年を記念しての演奏でした。
次は、交響詩「海」です。綺麗な演奏ですが、ディナーのワインの酔いもあり、ふらっときます。
次は、プーランクのオルガン協奏曲です。これもフランス音楽で、プーランクはフランス6人組の一人で、新古典の作曲家ということで、少し、退屈な曲を予想していたところ(saraiはまったく未聴の曲です)、オルガンの重厚な響きや軽妙な響きの味わい、対比する弦楽器の響きとの交錯で聴き応えのある曲でした。こういう珍しい曲は抜粋ではなく、全曲聴かせてもらいたかったところです。
次は、歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲です。通俗名曲と言ってもいい程の耳馴染みのある曲です。ただ、この短調の悲しく美しい調べを聴くと、歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の悲しい物語が想起されて、saraiの胸は一杯になってしまいます。オペラはいいなあ。
次は、そのオペラの名曲のアリア特集です。まずは生誕200年のヴェルディです。《仮面舞踏会》から、ボストン総督リッカルドのアリアです。テノールの西村悟の声は、明るく、軽めで、声量は十分ですが、どうもこの役には合わない感じです。
《清教徒》の狂乱の場はソプラノの半田美和子が歌います。このコロラトゥーラの難曲をよく歌っていましたが、どうしても、グルヴェローヴァやネトレプコの名唱と頭の中で比べてしまい、物足りなさを感じてしまったのも事実。贅沢過ぎることはよく分かっているんですけどね。
《アンドレア・シェニエ》のテノールのアリアは西村悟の明るい声質にマッチしており、とても気持ちよく聴けました。
《テレジアスの乳房》は初聴きですが、ソプラノの半田美和子がコミカルに楽しく歌ってくれました。まあまあってところでしょうか。
最後は《リゴレット》の2重唱を西村悟、半田美和子で歌いましたが、少しスケール感には欠けますが、ヴェルディの美しい旋律を堪能できました。
ここまでが前半です。
休憩後、グリーグのピアノ協奏曲です。前から気になっていた萩原麻未のピアノが初めて聴けるので、楽しみにしていました。パリのコンセルヴァトワールで学んだ人でフランスものを得意としている希有な日本人ピアニストだと認識していました。今日の曲はそういう意味では、少し期待とはずれていますが、まあ、実力のほどを聴きましょう。有名な出だしのピアノを聴いて、びっくり。こんなに力強いタッチとは予想していませんでした。終始、力強く、ピアノが響き、なかなかの演奏です。そして、第1楽章の終盤のカデンツァ・・・これは素晴らしい演奏でじっくりと聴きいってしまいました。なかなかのピアニストです。これだけの演奏ですべてを判断するのは難しいですが、今後、注目していきたい逸材のようです。
次は、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番です。小林美樹のヴァイオリンです。どうもこの手のロマン派の曲はsaraiには曲の技巧的な面ばかりが聴こえ、精神性はほとんど感じられません。偏見かもしれませんが、表面的な派手な響きばかりが耳につき、演奏がどうのこうのと言う以前の問題です。ということで評価はパスです。
次は、サラサーテのナヴァラです。初めて聴きます。2本のヴァイオリンとオーケストラの協奏曲です。サラサーテなので、ヴァイオリンの技巧が強調されている曲かと思いましたが、意外にシンプルな曲です。綺麗な響きを聴いて、おしまい。珍しい曲が聴けて、よかったなというところです。
次は、ベートーヴェンのロマンス第2番です。徳永二男のヴァイオリンは美しく響き、演奏は素直で丁寧な好感のもてる演奏で、ベートーヴェンの名曲を堪能できました。たまには、こういう名曲もいいものです。
今年最後の演奏曲はブリテンの《青少年のための管弦楽入門》です。ただし、曲の半分ほどをカットした抜粋版です。もちろん、解説抜きの演奏です。この曲は新年のカウントダウンにもなっていて、曲の終わりでぴったり新年を迎えるという趣向です。ヘンリー・パーセルの古典的な美しい主題の変奏とブリテンの主題が最後に交錯して、見事に1秒の狂いもなく、カウントダウン成功です。素晴らしい!
そして、みなさん、新年、明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします。
新年の最初の音楽はお馴染みの《春の祭典》です。抜粋版ですが、新鮮な演奏で気持ちよく、新年をお祝いできました。また、今年の音楽ライフの始まりです。
新年2曲目はグノーのアヴェ・マリアです。最初はピアノとヴァイオリンで演奏されましたが、美しいヴァイオリンの響きにうっとりします。後半はオーケストラの伴奏でソプラノの半田美和子が歌います。演奏の質はともかく、心が洗われる思いで、新年を迎えることができました。
コンサートの〆は例年通りのラデツキー行進曲です。時差の関係から、世界で今年最初に演奏されるラデツキー行進曲ではないでしょうか。楽しく、気分が高揚したところで幕です。
さあ、今年はどんな音楽の感動が待っているでしょう。
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この記事へのコメント
saraiさん、明けましておめでとうございます。
昨年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
横浜のジルベスターコンサートで素敵な年越しをされたようですね。
今年も楽しい旅行記とコンサート記事を楽しみにしています。
新しい年がsaraiさんにとりまして素晴らしい一年になるようにお祈り申し上げます。
2, saraiさん 2013/01/03 01:07
ハルくんさん、明けましておめでとうございます。
こちらこそ、大変お世話になりました。
ハルくんさんのブログはCDを聴く規範になっています。とても感性が合って、新しいCDへの出会いがあります。特にマーラー、ブルックナーはとても参考になります。
今年もお世話になりそうです。