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会心のティーレマン!ミュンヘンフィル《オールR・シュトラウス》@ミュンヘン・ガスタイク 2011.4.16

今日のコンサートで今回の旅のオペラ・コンサートの締めくくりです。計10回の音楽体験はいずれも素晴らしく、またまたヨーロッパ文化の奥深さを感じさせられました。
今日は今回の旅のきっかけになったコンサートです。このコンサートを知り、今回の日程をそれにあわせて組んでいきました。今ヨーロッパでとても人気のあるクリチティアン・ティーレマンがメゾソプラノのクリスティーネ・シェーファーと一緒にオールR・シュトラウスのプログラムをやるというのでいてもたってもいられなくなったわけです。

今回のコンサートはミュンヘンフィルの本拠地ガスタイクです。1度聴いたことがありますが、このホールの巨大で現代的なデザインには本当に驚かされます。とても広い客席がすべて傾斜状になって、ステージから放射状に伸びています。そして、その傾斜状の客席の下は休憩時間にドリンクを楽しむ巨大なスペース。日本のプロ野球の球場も思い起こさせますが、モダンで上品な空間です。

さて、今夜のプログラムは以下です。

 R・シュトラウス:祝典前奏曲
 R・シュトラウス:管弦楽伴奏の歌曲(8曲) シェーファー
  1.あなたの歌が心に響くとき
  2.私の眼
  3.解き放たれた心
  4.東方から訪れた三博士
  5.憩え、わが魂
  6.森の幸せ
  7.愛の讃歌
  8.春の饗宴
 《休憩》
 R・シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》

特に前半の歌曲に一番期待しました。
さて、まずは祝典前奏曲です。あまり、聴かない曲ですが、いきなりパイプオルガンの独奏でエネルギーに満ちたダイナミックな演奏で度肝を抜かれます。オーケストラとオルガンが交互に演奏するスタイルで曲は進み、題名のとおり、祝典的な楽想が続きます。最後は全楽器が大音響でホールを満たし、派手にフィナーレを迎えます。まあ、どうのこうのという曲ではありませんが、コンサートの出だしとしてはいいし、滅多に聴けない曲を聴けたのが嬉しいですね。それにしてもこのホールは巨大なのによく音が響くホールです。最後の強奏はうるさいくらいでしたからね。

で、いよいよシェーファーが登場して、歌曲です。これは残念ながら少し期待外れ。saraiの席がかなり後ろの上方でステージ遠く、シェーファーの細かい歌いまわしが把握できませんでした。そもそもこのホールでは難しい選曲だったかもしれません。2曲目の《私の眼》とか3曲目の《解き放たれた心》とか7曲目の《愛の讃歌》などはシェーファーの中音域の声の響きが弱音で抒情的に歌われ、とてもよかったのですが、全体で言えば、高音域の声の響きの通りが悪く、オーケストラの音響に飲み込まれていました。
最前列で聴けば、印象は全然変わっていたでしょう。また、シェーファーはオペラのほうで聴かせてもらいましょう。

休憩後、《英雄の生涯》です。これは最初の有名な主題から、その後の演奏を暗示するかのように全く颯爽とした演奏です。これはもうティーレマンの面目躍如ですね。激しい部分も静かな部分も実に推進力に満ちた魅力的な演奏です。ミュンヘンフィルの弦楽合奏力もなかなかのものでティーレマンの要求に応えます。第1ヴァイオリンのソロも終始美しく響いていました。
個々の部分がどうだという演奏ではなく、全体の構成が実に流れるように耳に自然にはいってくるようなR・シュトラウスの模範的な演奏です。瑞々しく若々しい演奏はティーレマンの指揮に帰するところが大であると感じました。これからも動向に目を離せない指揮者の一人であることは間違いありません。

今回のヨーロッパシリーズを締めくくるにふさわしい《英雄の生涯》であったことが何とも嬉しい夜でした。



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       ティーレマン,  

長い間ありがとう!グルベローヴァ《ノルマ》@ミュンヘン・バイエルン国立歌劇場 2011.4.15

実に長い間、グルベローヴァの超絶歌唱を聴いてきました。今回は第1幕の不満とか、特に「清き女神」への欲求不満とか問題もありましたが、第2幕が最高の出来で、まあ、終わりよければすべてよしというところです。もう、これでグルベローヴァを聴くのは最後になるでしょう。もう十分に感動や喜びを与えてくれました。
思えば、もう20年以上前にバルセルナのリセウ劇場でR・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」のツェルビネッタを聴いたのが始めでした。彼女も40代にはいったばかりで溌剌としていました。その後、今回まで数えてみれば、11回聴きました。国内7回、海外4回です。ウィーンで聴いたツェルビネッタ、ドレスデンで聴いたルチアが最高でしたが、いつも期待を裏切らないのがグルベローヴァでした。

そのグルベローヴァも60代にはいり、流石のグルベローヴァも高音で絶叫するところでは衰えを感じました。ですが、芸の力、ノルマが最後にお父さんに残していく子供のことをお願いして切々と歌うところの情感のこもっているところ、涙なしには聴けません。これで長い間お付き合いをしたグルベローヴァも聴き納めです。よい終わり方で嬉しいです。まさに不世出のコロラトゥーラソプラノでしたね。

今年はバイエルン国立歌劇場の日本公演にグルベローヴァも参加予定なので日本の聴衆のかたも聴かれるかたも多いかと思います。saraiはNBS・ロイヤルオペラとの決別宣言をした以上、聴くわけにはいきません。また、グルベローヴァの引退もそう遠い日ではないでしょう。
これだけの人は最後にいい歌唱を聴いて、オシマイにしたいというsaraiの勝手なロマンがあります。そういう意味で今回のオペラは一生忘れられない
ものになるでしょう。

一応、今日のキャストを紹介しておきます。

 ベルリーニ:オペラ《ノルマ》
  フリードリッヒ・ハイダー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
  演出:ユルゲン・ローズ
  ノルマ:エディッタ・グルベローヴァ
  ポリオーネ:ゾラン・トドロヴィッチ
  アダルジーザ:ソニア・ガナッシ
  フラーヴィオ:フランチェスコ・ペトロッツィ
  オロヴェーゾ:スティーヴン・ヒュームス
  クロティルデ:オッカ・フォン・デル・ダムラウ

失礼ながら、グルベローヴァのノルマに尽きてしまうオペラなので、通常はコメントすべき他のキャストにも言及しないことにします。演出内容も同様です。ただ、グルベローヴァがらみで言えば、第1幕では不満だったアダルジーザとの2重唱が第2幕ではバランスもアンサンブルも格段に良くて、それだけでガナッシに拍手です。

妙な感想になりましたが、思い入れのある大歌手への切なる思いを込めた感謝の言葉のつもりです。
本当に長い間、感動をありがとう! エディッタ



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極め付き!ヤンソンス指揮バイエルン放送響《エウゲニ・オネーギン》@ミュンヘン・ヘルクレスザール 2011.4.14

これまであまり好みでなかったヤンソンスの音楽世界に圧倒されました。まさに偉大な指揮者としての歩みが見えました。

それにしても本拠地ミュンヘン・ヘルクレスザールに響き渡るバイエルン放送交響楽団の素晴らし過ぎる演奏にもあわせて圧倒されました。

チャイコフスキーのオペラ《エウゲニ・オネーギン》はコンサート形式での演奏でしたが、オペラ形式の上演に比べても、音楽内容の充実度は驚くべきレベルに達していました。ヤンソンス一人がなしえたことではないとして、ドラマチックで緊迫感にあふれた演奏は凡庸な指揮者では決して達成できないものだと思います。今夜のオペラは単なるオペラというよりもオペラと交響曲を融合し、高い次元の人間の愛と心理葛藤の芸術劇とでもいうべきものに昇華していました。ヤンソンス、オーケストラ、歌手、合唱団のみなさんに敬意を表したいと思います。こういう《エウゲニ・オネーギン》に接したのは初めてで音楽の流れのひとつひとつが強い意味をなして、頭のなかに認識を形づくることができました。チャイコフスキーの音楽の本当の凄さが分かったような気がします。
しかし、最初からだんだんと音楽が熱を帯びてきて、最後はほとんど熱にうかれて狂おしくなるような音楽、これはチャイコフスキーの交響曲第4番、第5番あたりをもっと強烈にした感じ、こういう世界を表現した音楽家には脱帽しかありません。

さて、今夜のキャストは以下。

 チャイコフスキー:オペラ《エウゲニ・オネーギン》
  ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団・合唱団
   タチアーナ:Veronika Dschiojewa
   レンスキー:マリウス・ブレンチウ
   オネーギン:ボー・スコウフス
   オルガ:マリナ・プルデンスカヤ
   グレーミン公爵:ミハイル・ペトレンコ
   ラリーナ:Stefania Toczyska

さて、歌手の出来について、あまり触れていませんでしたが、いずれも大満足の出来でした。もっとも、saraiの席は最前列の中央で歌手の息遣いも聴こえる席だったので、その分、割り引かないといけないかも知れませんね。
オネーギンのスコウフスはそれは柔らかい声で歌い始め、最後は狂乱のような歌に達するという素晴らしい出来で流石ですね。タチアーナ役のDschiojewaは何と読むのか分からないくらいまったく知らないソプラノですが、実に美声で透き通った響きを聴かせてくれました。最初の純情可憐な乙女のリリックな響きから最後の成熟した女のドラマチックな響きまで見事に歌い分けてくれました。素晴らしいソプラノでこれからが楽しみな人です。
それにレンスキー役のブレンチウはこれまた美声のテノールで一途な青年の情熱を歌いきってくれました。張りのある声で声量も十分。楽しみなテノールが最近は随分出てきましたね。そうそう、グレーミン公爵を歌ったペトレンコの素晴らしいバスには聞き惚れました。これまた流石の一言。

ヘルクレスザールは初めてでしたが、ウィーンのコンツェルトハウスと似たような響きに思えました。よい響きのホールです。ここを本拠地とするバイエルン放送交響楽団ですが、清冽な弦の響きはとても素晴らしく、なかでも低弦の素晴らしさには驚嘆です。ドイツの重厚な音色に切れの良さを併せ持つ世界超1級のオーケストラです。ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ、シカゴなどと並ぶ素晴らしさで感激の極みでした。

オペラ自体の個々の部分には触れられませんでしたが、手紙の場やフィナーレの素晴らしさはとてもsaraiの貧しい筆力では伝えられないほど、魅了されるものでした。あ、レンスキーとグレーミンのアリアも素晴らしかったし・・



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《チャルダッシュの女王》@ウィーン・フォルクスオーパー 2011.4.13

いやはや、久しぶりに見たフォルクスオーパーのオペレッタ《チャルダッシュの女王》はよりショーアップされ、華やかなものに仕上がっていました。
明らかに目立つのはバレエが増え、踊り手のレベルも確かなものになっていました。また、特筆すべきは舞台のセットです。アールヌーボー調のとても華やかなセットでミュシャの絵と見紛うばかりのオシャレな大きな絵が目立ちます。ブダペスト、ウィーンの世紀末の感じがよく出ています。昨日の《こうもり》といい、素晴らしく派手な仕上がりのオペレッタになっています。まあ、派手過ぎともいえ、賛否両論もあるかも知れませんがオペレッタはこれくらいやったほうが楽しめるでしょう。もちろん、演出もこのショーアップ路線上にあり、もうやれるだけのことはやるという徹底ぶりです。

今日のキャストは以下でベストとも思えるメンバーです。

カールマン:オペレッタ《チャルダッシュの女王》 
 指揮:ルドルフ・ビーブル
 演出:ロベルト・ヘルツル
 アンヒルテ(侯爵夫人):マリア・ハッペル
 アナスタシア(スタージ):アニータ・ゲッツ
 シルヴァ・ヴァレスク:インゲボルク・シェプフ
 レオポルト・マリア侯爵:ペーター・マティック
 エドウィン・ロナルド:セバスティアン・ラインターラー
 オイゲン・フォン・ローンスドルフ陸軍中尉:マーティン・ベルモーザー
 ボーニ:ジェフリー・トレガンザ
 フェリ・バチ:クルト・シュライブマイヤー
 シギ・グロス:ニコラウス・ハッグ

序曲が華やかに響き、第1幕の冒頭、スクリーンの向こうに主要人物が登場、なかなかいい始まりですね。最初に舞台の大階段からシルヴァ役のシェプフが華やかに登場、絵になり、声も伸びています。中低域の声の響きがもうひとつですが高い声はよく響いており、演技・踊もうまく、シルヴァ役としてはこれまで聴いたなかでは一番の出来です。ボーニ役のトレガンザは身のこなしも演技も及第点で歌もまあまあです。役どころを心得ている感じですね。フェリ・バチ役のシュライブマイヤーは渋い演技で狂言回しを十分こなしていましたし、ヨイ・ママンもよく踊っていました。エドウィン役は好調なラインターラー、声も演技も素晴らしいですが、彼ならもっと歌えたと思う部分もありました。第1幕はこれらの登場人物が存分に役どころをこなし、カールマンの哀愁のあるメロディーに乗って、ときにはテンポの自在な変化でのりのりの舞台を作って、大拍手のなか、終了。

休憩後、街2幕から第3幕まで休憩なしに一気に舞台は進みます。そうそう、舞台の転換の見事さには脱帽です。幕の下り方、つりさげた大道具の上下の動き、すべてが素早く、きびきびした舞台進行になっており、密度の濃い舞台作りになっています。2幕目も相変わらず、バレエシーンが目立ち、世紀末の華やかさを演出しています。ここで出色だったのは、今評判のスタージ役のゲッツです。歌良し、踊り良し、演技良しで、さらに器量良し。これまでのスタージの印象を変えてしまい、主役を食ってしまいかねない勢いです。無論、saraiも一遍でファンになってしまいました。彼女で見てみたいオペレッタがいろいろ想像できます。今日の全登場人物でも最高でした。彼女とエドウィンの絡み、彼女とボーニとの絡み、いずれもなかなかの見ものでした。ヨイ・ママンも一緒に踊らせたいくらい(笑い)。
第2幕も哀愁とテンポ変化ののりが続きます。ビーヴルさんの指揮ぶりは無理がなく壺をおさえたもので流石です。時折、このフォルクスオーパーの大きさでは鳴らし過ぎもありましたが、これもオペレッタの醍醐味として許容しましょう。最後は少し悲しい人生哀歌模様で終了です。

すぐに引き続き、第3幕が始まります。また、アールヌーボー調のセットに目が奪われます。素晴らしいセットです。この幕は話が二転三転するセリフの多い幕です。まあ、それ以上に幕の初めのほうでのヨイ・ママンの素晴らしさがすべてでもあります。オペレッタ好きはみな心が躍る場面ですね。この日のヨイ・ママンも歌のテンポのノリの良さ、そして、3人の息の合った踊りは楽しさの極致です。リフレインは一度だけ。これだけが不満です。聴衆の受けを見ての臨機応変も欲しいですね。何せ一番の山場ですから。それから、もうひとつ残念だったのはリフレインが減ったせいか、日本語の歌詞がなくなったことです。サプライズで嬉しかったんですけどね。
フィナーレは嬉しいハッピーエンドがダイナミックにしめくくられ、とてもほろりとしてしまいます。このあたりがオペラとの最大の相違点ですね。誰も死なないしね。

大満足のオペレッタで、今回のウィーン訪問も幕。やはり、ウィーンはオペラもオペレッタもマーラーもすべてが素晴らしく、決して、裏切られることがありません。体が動き、感性に曇りが生じない限り、今後もウィーン詣では続きそうです。



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《こうもり》@ウィーン・フォルクスオーパー 2011.4.12

今日のウィーンはフォルクスオーパーでオペレッタの定番中の定番、ヨハン・シュトラウスの《こうもり》を聴きます。色々と《こうもり》は聴きましたが、本場といっていいフォルクスオーパーではまだ聴いていませんでした。

今日のキャストは以下です。

       指揮:ルドルフ・ビーブル
       ロザリンデ:Elisabeth Flechl
       アデーレ:Bernarda Bobro
       イーダ:Klaudia Nagy
       オルロフスキー公:Zoryana Kushpler
       アイゼンシュタイン:Dietmar Kerschbaum
       ファルケ博士:Marco Di Sapia
       アルフレード:Jorg Schneider
       イヴァン:Stefan Tanzer
       フランク:Martin Winkler
       フロッシュ:Gerhard Ernst
       ブリント博士:Jeffrey Treganza

この公演の印象はまさに正統的という感じです。ある意味、安心してみていられます。特に変わったことは何もなし。ドイツ語の分からないsaraiでも状況はほぼ分かり、現地の方と一緒に笑えます。私見では、ウィーンではこういうものを是非残してほしいと思いました。昨年聴いたアン・デア・ウィーン劇場の《こうもり》は刺激的で音楽的にも水準が高く、忘れられないプロダクションですが、正統あっての新機軸です。ウィーンにはフォルクスオーパーやシュターツオーパーで正統中の正統を残した上で、さらに実験的・野心的なアプローチに挑戦してもらいたいものです。

さて、公演の内容ですが、まず大御所のビーブルさんの指揮で序曲が始まります。これもまさに正統的な演奏。テンポといい、そのテンポの変化といい、いい意味で特別なことは何もありません。まったく問題なしの演奏。刺激がないと言えばそうですが、それを望むのなら、ほかでいくらでも聴けるでしょう。これはあくまでもオペレッタです。
歌手ではアイゼンシュタイン役のケルシュバウムのお芝居の熱演が光りました。また、ロザリン役のフレッヒルさんの美しさと優雅な身のこなしが抜群。歌はまあまあですね。アデーレ役のボブロさんは可愛さは出ていましたが歌は少し粗さが目立ちます。勢いがあると言えば、そうも言えますが、この役は意外に歌が重要です。オルロフスキー役のクシュプラーさんは演技はともかく、よく声が出ていて好感がもてました。まあ、異常な性格を表現するところまではいってませんでしたが、演出の問題もあるでしょう。昨年のアン・デア・ウィーン劇場でのエキセントリックなオルロフスキーのイメージが頭から離れないので、なにか生ぬるく感じてしまうことも事実です。ファルケ役のディ・サピアさん、アルフレード役のシュナイダーさんも好演でした。フランク役のヴィンクラーさん、フロッシュ役のエルンストさんには笑わされました。巧みな演技力ですね。

この公演は全体を通して、音楽性よりも歌芝居という側面を強調したものでそれはそれでよかったと思います。ある意味、有名歌手を起用したシュターツオーパーの《こうもり》は歌手の歌はうまくてもオペレッタとしての面白みには欠ける部分もあります。それにしても、高音を誤魔化すのがうまいなあとも思う反面、もっと歌の響きがよければなあと感じたのも事実でした。

よくも悪くもこれがフォルクスオーパーの《こうもり》であり、素直に受け取って満足しましょう。オペレッタの楽しさは存分に味わえましたからね。


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ネトレプコ+ガランチャ《アンナ・ボレーナ》@ウィーン国立歌劇場 2011.4.11

アンナ・ネトレプコは決して期待を裏切ることがありません。まだまだ、興奮さめやらないうちに記事を書こうと深夜のウィーンのホテルでPCに向かっています。

さて、今夜のウィーン国立歌劇場の公演は今シーズンの最大の話題の公演といってもいいネトレプコとガランチャの共演する超豪華版の公演です。プルミエが4月2日にあり、その後、5日、8日と公演が続き、今日、11日が4回目です。あとは14日、17日の2回を残すのみ。いずれの公演も発売前に完売という不思議なチケット販売ですが、何とか11日の公演のチケットを2枚確保しました。いわゆるプラチナチケットです。当初の心配はこういう公演だとオペラ好きというよりもネトレプコやガランチャ目当てのミーハーがかなり集まって、せっかくのオペラの雰囲気を台無しにすることもあるんじゃないかということでした。実際、前回、この歌劇場でネトレプコの《椿姫》を聴いたときにはオペラとは異質の聴衆を見かけました。しかし、これは杞憂に終わり、今日は実にオペラを愛する聴衆が集まり、気持ちよくオペラを鑑賞することができました。つまり、オペラに集中できたということです。

今夜のキャストは以下の通りです。

 指揮:エヴェリーノ・ピド
 演出:エリック・ジェノヴェーゼ
 アンナ・ボレーナ:アンナ・ネトレプコ
 ジョヴァンナ・セイモア:エリーナ・ガランチャ
 スメトン:エリザベート・クルマン
 ペルシー卿:フランチェスコ・メーリ
 エンリーコ8世:イルデブランド・ダルカンジェロ
 ロシュフォール卿:ダン・パウル・ドゥミトレシュー
 ハーヴェイ:ペーター・イェロシッツ

名実ともに力のあるネトレプコ、ガランチャ、ダルカンジェロが目立ちますがほかのメンバーもすべて実力のある歌手でまったく隙のない布陣です。

いよいよ序曲に続き、第1幕が始まります。合唱に続き、いきなり、ガランチャが歌い始めます。何と深くリッチな美しい声の響きでしょう。それにホール全体に響き渡る声量の大きさにも驚きます。まったく無理のない歌唱です。メゾソプラノの理想を具現化しているといっても過言でありません。生で聴くのは初めてですが、随分、ヴィデオでは聴いているので、どんな声かは知っていましたが、この深い響きと声量の豊かさには圧倒されます。まるで主役が登場して歌っている貫禄もあります。そうです、歌の力だけでなく、この人はやはり華のある人です。実に堂々たる存在感に満ちています。もちろん、顔も姿も美しいのはいうまでもありません。
で、続いて、ネトレプコの登場です。おっ、今日は最初から実に声が出ています。いつもの澄んだ美しい声です。すぐに魅了されます。もしかしたら、ガランチャを意識して、最初から飛ばしているのかもしれません。そして、いきなり、その2人の掛け合いです。もう、超弩級の歌声でホールの響きが凄いことになっています。それに2人の衣装もイギリスの古典的な衣装でとても豪華で舞台の華やかなこと、素晴らしいです。合唱団の女性(女官役)の衣装までとてもきらびやかで、こんなに豪華な舞台は滅多にあるものではありません。これもウィーン国立歌劇場ならではの実力のひとつでしょう。
スメトンを歌うクルマンはこの難しい役どころをネトレプコ、ガランチャというスーパー歌手にはさまれて、なかなか好演していました。
次はダルカンジェロが登場し、ガランチャとの絡み合いがありますが、もちろん、彼はとても力のあるバリトン。モーツァルトのオペラを歌わせたら、この人以上に歌える人はいないでしょう。で、今日のオペラはドニゼッティですが、何となく、モーツァルトを聴いている感じになってしまうのはご愛嬌です。とはいえ、堂々たる歌い振りで英国王の貫禄を遺憾なく表現しています。ガランチャとの掛け合いの素晴らしいこと、文句なしです。
続いて、ペルシー卿を歌うメーリも張りのある声のテノールで声の伸びが実によい。ネトレプコとの掛け合いも素晴らしく、もっとほかのオペラでも相手役がやれるかもしれません。
まあ、ウィーンの豪華絢爛な舞台に目も耳も奪われているうちに第1幕は完了。大満足です。
ご機嫌で休憩時間はシャンパンで乾杯。
第2幕はまあ凄いの一語。ネトレプコは第1幕はあれはまだ声ならしだったのかという感じです。合唱の後のネトレプコとガランチャの掛け合いは茫然としてしまうほど素晴らしい。ガランチャの豊かで切り込むような響きに対して、ネトレプコは澄んでいて、それに甘さも感じさせる優しい声の響き。この2つの声の響きがぶつかりあい、ホールが響きで満たされます。緊迫感もあります。続くネトレプコ、ダルカンジェロ、メーリの3人の掛け合いも素晴らしい。ダルカンジェロが王の権威を示し恫喝的な響きで圧倒するなか、メーリとネトレプコはリリックに純情な響きの歌を重ねていきます。実にオペラの醍醐味を感じます。続くガランチャとダルカンジェロの絡みもガランチャの深い響きの歌声に魅了されつくしです。
こう書いてきましたが、すべては最後の狂乱の場のネトレプコの絶唱に尽きます。ルチアのような狂乱の場に比べると派手さでは負けるかもしれませんが、底流にある人間の心情という点では遜色ありません。特にホーム・スイート・ホームのメロディーに乗って、ネトレプコが実に美しさの極致を極めた天使の声で祈るように歌うところでは、もう、こちらは心がずたずたで涙が止まりません。何という贅沢な喜びを与えてくれるのでしょう。
この後はネトレプコが一転して強烈な声の響きで狂乱の場、オペラを締めくくります。なんという感動でしょう。もう我を忘れて、ネトレプコの声の響きに身を委ねるのみ。感涙しているのかどうかも分からない状態です。本当にオペラは芸術のなかで自分という存在を根幹から揺さぶってくれます。その源は人間の声。声の力の計り知れない力に今日も翻弄されました。

saraiにとって生きていることを実感するのはオペラを聴いて感動している瞬間です。このために生き、今後もオペラを聴き続ける。それがsaraiの人生。かなり、感傷的になっています。



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この記事へのコメント

1, 佐々木 辰彦さん 2011/04/14 10:33
saraiさんの記事をまったく同感を持って読ませてもらいました。
このオペラは1年前から注目していて必ず観ようと思ってました。
一昨年ロンドンの「カプレーティと 」でネトレプコに振られ、昨年はウィーンの「カルメン」でガランチャに振られ、三度目の正直で二人の共演を観ることができました。4月2日のプレミエはまた異常な雰囲気で、紳士淑女が着飾った中で圧倒されました。
オペラそのものについてはあなたの文章に付け加えることはありません。当日のプログラムによると「ボレーナ」のウィーンでの上演は、まだケルントナートーア劇場当時の1833年以来の様です。
また、このオペラは二人のプリマを揃えなければならず、カラスとシミオナートの名演の壁を越えることができないと言われてきましたが、今回の公演はそれに並んだか、超えたのではないかと思います。その初日の公演を感動とともに感激で来た自分は果報者です。

2, saraiさん 2011/04/15 07:13
佐々木さん、初めまして、saraiです。
コメントありがとうございました。

何と何とプルミエに行かれたんですね。それは凄い。
カラスとシミオナートですか。それも凄いですが、ネトレプコとガランチャも人気だけでなく、実力も認めています。佐々木さんの並んだか、超えたというご意見、同意します。
また、佐々木さんのようにちゃんとご自分の耳で感動・感激できる聴衆あってのオペラだと思います。これからも彼女たちの素晴らしい声を楽しみましょう。
今後ともよろしくお願いしますね。

3, masahikoさん 2011/05/04 00:24
偶然このブログを見つけました。私も4/5~12まで2年ぶりのウィーンでオペラざんまい。本来は2009年5月以来の指輪目当てでいったのですが、こんな凄いアンナボレーナを8日と11日2回聴けました。8日は1幕のフィナーレが最高。今まで聴いたイタリアオペラのなかでもベストかという位、ただ休憩後はイマイチで、ちょっとがっかり。逆に11日は休憩後のネトレプコの調子がよく最後は凄かった。カラスとシミオナートをこえたかも。2回聴けてほんとにラッキー。やはり肉声ですから、その日のコンデションによって微妙にちがうのでしょう。
あとはワルキューレのジ―クリンデとフンディングがウィーンデビューのようで注目。2人とも知らない歌手ですがチェックです。
saraiさん。またよい情報あったら教えてください。

4, saraiさん 2011/05/04 01:12
masahikoさん、初めまして、saraiです。

アンナ・ボレーナをウィーンで聴いた希有な存在の日本人がこれで3人(saraiの配偶者も入れて4人)揃いましたね。いずれも熱狂的なオペラフリークのようです。
しかし、あのアンナ・ボレーナは素晴らしかったですね。少なくとも今年1番でした。それを2回も聴くとは、よくチケットを購入できるチャンスと財力がありましたね。羨ましい限りです。saraiも8日の公演もチェックしていましたがリーズナブルな価格のチケットが取れませんでした。
リングも歌手が揃っていたのでよかったことと思います。今回はワーグナーを聴く心境になかったのでパスしました。
また、当ブログにもお越しください。次はメトの6月の公演をレポートします。何といってもドン・カルロが期待です。

5, masahikoさん 2011/05/04 17:23
saraiさん。アンナボレーナのチケットは8日がパルケット最前列R6。11日はガレリーのハルブミッテ最後列で両方とも生まれてはじめて額面の3倍だしました。佐々木さんのようにネトレプコのキャンセルに会った人はたくさん知っているので、だした価値はあったと思っています。ネトレプコはウィーンの10-11シーズンではこれしかでないので、キャンセルなしと予想していました。あと8日はとなりに関西からきたご夫妻が、11日はとなりにウィーン在住の日本人の方がいたので、すくなくともあと3人このアンナボレーナを聴いています。

6, masahikoさん 2011/05/04 17:24
続き
私は熱烈なワグネリアンで、最近のウィーンでは2006の2月のトリスタン(3回聴きました。このときウィーンは凄い寒波でマイナス15℃位、あとバラを2回、テアターのイドメネオを2回聴き、毎日ワイン漬けでした)と2009年5月の指輪の新演出が印象に残っています。あとどうしてもウィーンのボリスゴドノフが聴きたくて2007年の5、6月にも行きました。このときはボリスよりもボータ、ストックマン、フリットーリのオテロが素晴らしく(2回聴きました)またコンビチュニー演出のフランス語版のドンカルロが面白かったです。このドンカルロの演出は超斬新で(ブーイングも凄い)見てなければお勧めします。1991年はじめてウィーンに行ってから今回で15回目ですが、仕事の関係でしばらくいけません。ぜひまたいろいろ情報ください。それでは。

7, saraiさん 2011/05/04 18:58
masahikoさん、再度の詳細なコメント、ありがとうございます。

こちらはウィーンで初めてオペラを観たのが1990年ですから、masahikoさんとほぼ同時期ですね。ただ、今回でウィーンは8回目ですから、回数はほぼ半分。最近は厳選してオペラを観ているので、シュターツオーパーでのオペラは通算15回です。最近では、2009年5月のネトレプコの椿姫、特に後半の素晴らしかったこと! 2007年5月のグルベローヴァのルチア、これも後半、それも狂乱の場の凄さ! 2006年5月のオランダ人はオケ、歌手、演出、セット、・・・すべてがパーフェクトでした。ちなみに指揮はオザワでしたが彼の指揮では最高のものでした。思い出としては1992年のフレーニのミミを聴けたのが感動でした。
また、おいでください。熱く語り合いましょう!

8, レイネさん 2011/12/10 19:10
最新の旅行記事から、saraiさんが4月にウィーンで『アンナ・ボレーナ』をご覧になってることを知り、
遅ればせながらコメントさせていただきます。(ホルバインの絵の下にこの記事へのリンクがあると便利)
現地ではなくTVのライブ中継で「アンナ・ボレーナ」を観賞したので、歌手の声や歌唱などは生ではないのでなんともコメントしがたいので、ブログ記事にはコスチュームのことを主に書きました。まるで、ホルバインの絵から抜け出たような登場人物の美しさにうっとりでした。(10月のメトのプロダクションでは、もっと凝ったコスチュームだったようですが)

ネトレプコとガランチャの黄金コンビによる『カプレッティとモンテッキ」を2009年にロンドンで観賞しました。翌日のサラ様ダイドーが第一目的でロンドンに行ったのですが、この二人の方に圧倒されました。

9, saraiさん 2011/12/11 02:15
レイネさん、こちらへもコメントありがとうございます。
ところで、ローマ歌劇場《エレクトラ》の記事にsteppkeさんからレイネさんにコメントがついています。左の『最新のコメント』欄からリンクできます。

確かに衣装はホルバインそのものでしたね。それにしてもあの2人は凄かった。レイネさんもロンドンに遠征してプラチナコンビを聴いたのですね。メトはガランチャの出産でプラチナコンビは実現しませんでしたね。4月のウィーンでガランチャのオクタヴィアンのチケットを購入しましたが、どうなることやら。今が旬の2人からは目が離せません。

10, 佐々木 辰彦さん 2012/01/06 22:13
 久しぶりにsaraiさんのブログを見て、年末に3回ほどコメントを入れたのですが届かなかったようです。(システムエラー?)
 このオペラ、昨年11月12日にTVで放映されたのをビデオに撮り、繰り返し繰り返し観てはあの夜の感動と至福なひとときを再現しています。5列目にいた自分は残念ながら写っていませんでした。
 saraiさんの最近の記事で4月の「ばら騎士」の件ありましたが、私も絶対観なくてはと思って計画していたところでした。他の演目やコンサートの関係で15日の公演にしようと考えていますが、もし差し支えなかったらsaraiさんがGETされたチケットの公演日を教えていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

11, saraiさん 2012/01/06 23:32
佐々木さん、お久しぶりです。

年末にコメントいただいたそうですが、こちらには届いていませんでした。当方のブログサイトに問題があったのかもしれませんね。申し訳けありませんでした。

TV放映の件、知りませんでした。クラシカ・ジャパンだったんですね。ウィーンではDVDが販売されていましたが購入しませんでした。
さて、4月の「ばら騎士」ですが、15日はベルリンに遠征中でベルリンから戻った18日のチケットを購入しました。なお、前日の17日は「ウェルテル」を見るつもりです。こちらはまだチケット未購入です。

12, 佐々木 辰彦さん 2012/01/07 15:25
 「ウェルテル」は14日に計画しています。これも欲を言えばガランチャのシャルロッテで観たいところですが…。「ばら」のシュテンメは以前ウィーンで「オランダ人」のゼンタで観て彼女の才能に感心しましたが、その後頭角を現し今やワーグナーソプラノの第1人者ではないでしょうか。またパーションも09年のザルツで「コジ」のフィオルディリージで好演してましたね。
 4月のウィーンでは「ばら」が主目的ですが「パルジファル」とキュッヒル四重奏団によるショスタコのSQも聴きたいのでsaraiさんの1サイクル前の観劇になります。またの機会にお会い出来ることを望んでいます。

13, saraiさん 2012/01/07 20:08
「ウェルテル」も1回前の公演を見られるのですね。カサロヴァのシャルロッテですから、文句は言えませんよ。もっとも、カサロヴァがキャンセルして、ガランチャが代役に出たりして・・・なんてこと、ある訳ないですね。「薔薇の騎士」はガランチャ以外も配役がいいですね。楽しみです。「パルジファル」はベルリン遠征前の8日のチケットを購入済みです。これもティーレマン、デノケ、シュトルックマンと豪華ですね。完売必至のチケットでしょう。ティーレマンは楽友協会でのウィーン・フィル定期のシューマンを聴く予定です。いつか、お会いしましょう。

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マーラーの響きを実感:ウィーン・トーンキュストラー管弦楽団@ウィーン楽友協会 2011.4.10

ウィーン楽友協会でのウィーン・トーンキュストラー管弦楽団の演奏会です。曲目はマーラーの交響曲第6番《悲劇的》です。
平土間の9列目のど真ん中での鑑賞になりました。楽友協会と言えば、作曲家マーラーがウィーンフィルを指揮していたところで、マーラーのメッカです。彼はこの素晴らしい響きを持つホールを念頭に置いて作曲していたのではないかと思います。
で、このホールでのマーラーの響きを実感し、マーラーの音楽の本質の一端を新しく感じ取れたような気がします。ともかく、弦も管も打も豊潤な響きがホールに満ち渡ります。ほかのホールでは決して感じなかった響きで、もちろん、自分の知る限り日本にはこんなホールはありません。マーラーの音楽の響きはこんなに豊かな響きを前提に作曲されたので、あのような木管楽器のフレーズが意味を持ったのを初めて理解しました。
演奏自体も若い指揮者ゴンザレスの熱い指揮で非常に密度の高い演奏です。ウィーンのオーケストラの実力の高さも思い知らされました。
第1楽章の力強く、熱い表現。第2楽章の優しくデリケートな表現から、一転して、苦悩と葛藤に揺れる思い、そしてまた静かで優しさに満ちた表現。第3楽章は諧謔的で激しい表現。そして、第4楽章はまさに嵐のような音楽を濃密に熱く表現し、そのまま、救いのないフィナーレ。
体をゆすらされるほどの強い響きから、静寂でデリケートでいて明瞭に耳に伝わってくる響きまで、マーラーの音楽の響きに酔いしれたコンサートでした。この響きは実演を聴かなければ絶対に体感できないもので、感動的な体験でした。


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これが実質的にウィーン楽友協会での本格的に聴く初めてのコンサートでした。今度はここでウィーンフィルを聴いてみたいと思いました。それもプレートルかハイティンクの指揮でといったら贅沢すぎますね。



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ネーメ・ヤルヴィ+ウィーン交響楽団@ウィーンコンツェルトハウス 2011.4.9

さて、今日のコンサートの報告です。
先ほど偵察したコンツェルトハウスです。初めて中にはいります。今日はウィーン交響楽団の演奏会で指揮はネーメ・ヤルヴィ。CDでだけは特にショスタコーヴィチの交響曲を聴いてきた大指揮者です。あのころは彼の新しいショスタコーヴィチのCDを心待ちにして、聴いていました。当時はショスタコーヴィチ演奏の大本命でした。

ところで彼の息子のパーヴォとクリスティアンも若手のばりばりの指揮者です。息子たちの生演奏は聴いていますが、肝心の父親の生演奏は初めて。期待してしまいます。

今日のプログラムは前半が北欧音楽。

 ・グリーグ:抒情組曲
 ・スヴェンセン:弦楽合奏のための2つのスウェーデン民謡
 ・シベリウス:交響詩「クオレマ」より
         第2曲《鶴のいる風景》
         第1曲《悲しきワルツ》
 《アンコール》
 ・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

後半は休憩をはさんで

 ケルビーニ:レクィエム ハ短調

ウィーン風の美しい弦の音色とネーメ・ヤルヴィの骨太かつ繊細な指揮がぴたっと合い、素晴らしい演奏でした。特にアンコールのシベリウスの素晴らしさには感動してしまいました。初聴きの曲だったにもかかわらずです。弦の響きと指揮が見事にマッチしての奇跡の演奏ともいえます。

さて、最初の北欧音楽はもともと抒情的な曲ばかりで、情緒に流された演奏だとBGM風にしかなりません。ネーメの指揮は芯の通った抒情性なので映画音楽のようにやわな音楽にはなりません。ウィーン交響楽団の美しい弦の響きをいかしつつ、底に秘めた音楽の本質をしっかりとつかみだしてきます。
特に顕著だったのが、《悲しきワルツ》です。息子のパーヴォは何故か、どんなオーケストラを指揮しても決まってアンコール曲は《悲しきワルツ》。演奏は美しいのですが、今日のネーメの演奏を聴いていると、パーヴォは若さの勢いで美しいだけの音楽にしていたことに気が付きました。ネーメは抑えた表現で内面的なやるせなさからくる抒情を見事に表現していました。これが年輪でしょうか。そして、その演奏に魅了されていると、突如、アンコール曲のアンダンテ・フェスティーヴォで一気に美しさの極みをウィーン響の弦から引きだしてしまいました。感涙ものの演奏でした。

後半のケルビーニ。初めはなぜこんなにマイナーな曲を選んだのか不思議でしたが、実に美しいレクィエムで聴き入ってしまいました。心に沁みとおってくるような演奏でとくに静かな部分は最高でした。特に変わった曲ではありませんが妙に胸をうつのはなぜだったんでしょうね。いずれにせよ、ウィーンでこそ聴けた曲で有り難いことでした。

パーヴォも頭で考えすぎることをやめて早く父親の域に達すればいいのにとsaraiの年相応の感想をいだいた素晴らしいコンサートでした。



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究極のヤナーチェク!デノケの《カーチャ・カバノヴァ》@パリオペラ座(ガルニエ宮) 2011.4.1

今回の旅は計10回のオペラ・コンサートを聴きましたが、その皮切りがパリオペラ座(ガルニエ宮)でのチェコの作曲家ヤナーチェクのオペラ《カーチャ・カバノヴァ》でした。オペラとしてメジャーな作品ではなく、saraiも生で聴くのは初めて。

この日のキャストは以下です。(歌手名の日本語表記は間違っているところもあると思います。ご容赦くださいね。)

 ヤナーチェク:オペラ《カーチャ・カバノヴァ》
  管弦楽:パリ国立オペラ座管弦楽団
  指揮:トマーシュ・ネトピル
  演出:クリストフ・マルタラー
  カーチャ・カバノヴァ:アンゲラ・デノケ
  ヂコイ:ヴァンサン・ル・テキシエ
  カバニハ:ジェーン・ヘンシェル
  チホン:ドナルド・カーシュ
  ボリス:ヨルマ・シルヴァスティ
  クドゥルヤーシュ:アレス・ブリシャイン
  ヴァルヴァラ:アンドレア・ヒル
  クリギン:ミカル・パルティカ

この日の公演の目玉は主役のカーチャを歌うアンゲラ・デノケ。彼女に惹かれて、このチケットを買いました。ところが開演直前にステージに人があらわれ、フランス語でマダム・デノケがどうのこうのと言っています。実はsaraiは以前もデノケの直前キャンセルがあって(そのときは《薔薇の騎士》のマルシャリン)、まだ一度も生の舞台を見ていなかったので、またかとがっかりです。ところが、その人の説明の最後で拍手が沸きました。きっと、喉か体調が悪いが、彼女は歌いますということだったんでしょう。

まずはオーケストラの序奏から始まります。何と素晴らしくヤナーチェックの旋律が響くんでしょう。弦も管もこれ以上の演奏はないって感じです。これはオペラですがこのオーケストラの響きを聴いているだけでもヤナーチェックのオーケストラ曲を満喫している感じに思えます。
で、すぐに幕が開くと、予想はしていましたが、やはり驚きました。舞台セットも衣装もそして演出もすべて1998年のザルツブルグ音楽祭のものとまったく同じです。妙なダンス風の動きまでまったく同じです。もう10年以上前の演出ですが、今見てもとてもモダンで新鮮な演出です。
で、肝心のオペラですが、オーケストラの色彩感があふれて、それでいてデリカシーに満ちた演奏と、主役(カーチャ)を歌うデノケのリリシズムあふれる抒情と繊細な女性の心のひだをめんめんとした表現で歌い上げる歌唱力にsaraiはいたく感動しました。
オーケストラの音楽の響きが素晴らしく、歌手はメロディーというより、チェコ語の語法で心理描写が中心なので、目をつぶって聴いていても心に沁みてくるような音楽でした。ヤナーチェックの音楽で今までで一番の感動でした。
歌手はデノケの名唱につきます。何と透明な声で、傷つきやすい純真な乙女(実年齢とは関係なしに)の心を表現していることでしょう。ありふれた日常のなかで一途な心が蝕まれていき、遂には日常の破綻に至る過程が実に細やかに歌われます。現代を生きる我々自身もピュアーな心を持ち続ければ、いつでもこの状況にはまりかねない。それを回避するために心に鎧で閉ざす毎日を過ごさざるを得ない。カーチャに自分を重ね合わせてしまいます。そう聴衆に考えることを迫るデノケの名唱でした。ある意味、悲しすぎます。しかし、何故か重くはありません。それがこのオペラの素晴らしいところでもあるでしょう。
デノケ以外の歌手では義妹のヴァルヴァラ役のヒルの素晴らしい声の響きがよかったです。特にデノケと2人で歌うところでは、二人の声の質が透明で似ているので、素晴らしい響きになっていました。これから期待できるメゾソプラノです。
そうそう、指揮のネトピルにも触れないといけないでしょう。このヤナーチェックの表現の難しいと思われる音楽を実に丁寧に的確に、そして美しく指揮し、見事にパリオペラ座管弦楽団の最高の響きを引き出していました。ヤナーチェックの管弦楽曲も聴いてみたいと思わせる素晴らしい指揮者です。

さて、名演の誉れ高い1998年のザルツブルグ音楽祭の公演と比べてですが、saraiとしてはオーケストラの出来とデノケの歌手としての熟成が素晴らしかった今夜の公演のほうを評価します。それにヴァルヴァラ役のヒルの素晴らしさも加味されますが、残念ながら、1998年のザルツブルグ音楽祭にも出演していたジェーン・ヘンシェルの声が少し衰えていたのは唯一のマイナス材料です。
この日の公演は期待以上のもので、多分、今回の旅で聴くオペラでベストなものになるだろうと思うほどの素晴らしさでした。パリ・オペラ座恐るべしです。
ただし、さすがにこの後に聴いたネトレプコとガランチャの最強コンビの《アンナ・ボレーナ》は感動し、泣かされたんですが・・・・

いずれにせよ、ヨーロッパのオペラハウスで聴くオペラは最高の音楽芸術と思ってしまいます。



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01/18 13:50 hisa

のりしんさん

saraiです。コメントお寄せいただき、ありがとうございました。
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12/01 12:07 sarai

私も中村さんの追っかけやっております。昨日の演奏も圧倒的でしたね。中村さんの歌を聴いていると、なぜか涙腺が緩んで来ます。

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