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トレドはエル・グレコの街:失敗続きながらも、何とかトレド行の高速電車に滑り込みセーフ

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/4回目

ホテルで荷物を受け取り、地下鉄でトレド行の高速電車に乗るための鉄道駅に向かいます。地下鉄1号線でグランヴィアGran Via駅から、アトーチャ・レンフェ駅Atocha Renfeまで移動。


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地下鉄のアトーチャ・レンフェ駅を出ると、そこは鉄道駅のマドリッド・アトーチャ駅です。 マドリッド・アトーチャ駅は隣接する二つの駅からなっているという複雑な駅ですが、難なく目的のプエルタ・デ・アトーチャ駅Puerta de Atochaの前に到着です。


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道を横断して駅の構内に向かいます。それにしても、駅前のタクシーの量は物凄いですね。


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まずは列車の確認です。電光掲示板を見ますが、saraiの乗る予定の列車がありません。おかしいなと思いながら予定表を確認したsaraiが一言叫びます・・・あっ、時間を間違えた! 配偶者はびっくり。配偶者の心臓は止まりそうだったようです。が、ここで早めの行動が幸いしました。1時間も勘違いしていたにもかかわらず、発車までにまだ30分の余裕があります。よかった、間に合いますね。でも、今度はトレド行の乗り場が見つかりません。焦る気持ちを落ち着かせながら、駅の構内を歩き回って探します。


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インフォメーションを見つけて、トレド行の電車のプラットホームの場所を訊きます。が、これが分かりづらい!


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その後も、あちこちで聞きまくりながら移動し、ようやくプラットホーム近くに到達しました。電光掲示板の上から3番目にトレド行の高速電車が表示されています。プラットホームの番号も13と表示されています。出発は20分後です。何とか間に合いほっとしながら、急いでプラットホームに向かいます。


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ところが、高速列車の仕組みはなかなか複雑。まずはセキュリティチェックを受ける必要があります。


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セキュリティチェックを終えても、まだプラットホームとはガラスで仕切られています。


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荷物を引っ張りながら、プラットホーム13番に向かいます。


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13番のプラットホーム前のレセプションで、受付のお姉さんにチケットを見せてチェックを受け、ようやくホームに入れます。


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これがオンラインで購入しておいたトレド行の高速電車AVANTのチケットです。トレドまで1人12.7ユーロ。ツーリスタクラス(2等席)です。たった30分ほど乗るだけですから、贅沢な席は不要です。


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ホームに入ると、カッコいい高速電車の車体が目に入ります。右の車両がトレド行のAVANT。左の車体はAVEで、こちらは後日乗る予定です。


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車両に沿って、指定席に向かいます。


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これが13番ホームの表示板です。もう、発車10分前です。


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とはいえ、電車の先頭車両を撮影しておきましょう。renfe(スペイン国鉄)のロゴが決まっていますね。


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急いで2号車に乗り込みます。


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あれれっ・・・もう発車10分前なのに座席はがらがらです。シートはカラフルで美しいデザインです。


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ようやく席に付くと、発車までに残り5分。今回は何かと失敗が多く、前途多難です。配偶者からは無言の視線で、《よろしくお願いしますよ》という圧力。気を引き締めましょう。初めてのスペインですから、これからも未知の体験が続きます。
これでトレドには予定通り3時半頃には着くでしょう。



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トレドはエル・グレコの街:トレドに到着し、まずは今日の宿パラドール・デ・トレドへ

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/5回目

プエルタ・デ・アトーチャ駅で時間ぎりぎりにトレド行の電車に乗り込みました。
高速電車AVANTは定刻に発車。マドリッドの街の中を抜けていきます。トレドまでは30分程です。


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線路沿いには派手な落書きがあります。スペインは不思議なくらいごみが落ちていない清潔な国ですが、落書きは別のようです。


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10分も走ると郊外に出ます。大規模な団地が立ち並びます。


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やがて、どこまでも続く大平原の中を走りますが、この辺りは豊かな田園風景です。


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突然、驚くほど美しいトレドの街が浮かび上がります。そして、駅に到着。きっちり、30分の鉄道の旅でした。


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地図で位置関係を確認しておきましょう。マドリッドから少し南に行くとトレドです。エル・エスコリアルやセゴヴィアとは反対方向になります。


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高速電車はこのトレドが終点です。


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高速電車の線路はプラットホームの途中までで終っています。


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プラットホームの先の左手に駅舎があります。トレドらしく、古風な建物です。


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駅舎の入り口の左手には、エル・グレコ展のロゴマークがあります。まさに今のトレドはエル・グレコ一色に染まっているようです。


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駅舎に入ると、内部は外観と同様に古風な雰囲気です。


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駅舎の窓がステンドグラスというのは、さすがに古都にふさわしいですね。


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駅舎から駅前に出ると、駅前広場にはなーんにもありません。がらーんとしています。市街地から駅が離れているからでしょうね。


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旧市街へは、20分以上歩くかバスに乗るかのいずれかですが、今日泊まる予定のパラドールはその旧市街からさらに離れた所にあります。荷物もあることだし、駅からパラドールまでタクシーを奮発しましょう。saraiはいつも公共交通機関を使う方針なのですが、仕方ありません。駅前にはタクシーはさほどはいませんでしたが、なんとかつかまえて乗車。パラドールにはたった10分程で着きました。

今日のホテルは、この旅で最高にsaraiが張り込んだパラドール・デ・トレドParador de Toledoです。美しいトレドの街を眺められる、トレドの市街地の外にある元修道院の建物を改装したホテルです。
パラドールの車寄せは古い建物に囲まれた落ち着いた空間です。なかなかいい雰囲気です。


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パラドールのロビーに入ると、木組みに漆喰壁の白さが清潔感を感じさせます。

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ロビーの壁には、エル・グレコの描いた聖人像がずらりと並んでいます。これらはトレドの大聖堂の聖具室に収められている作品の複製でしょう。


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パラドールは豪華さはありませんが、素晴らしい雰囲気です。レセプションでチェックインします。


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予約した部屋は最も料金の安い山側の部屋でしたが、レセプションの女性から部屋を無料でグレードアップしたわよとのお言葉。嬉しいことに、トレドの街が眺められる部屋になりました。グラシアス!
さっそく、部屋に行って、眺めを確かめましょう。


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トレドはエル・グレコの街:エル・グレコの最高傑作《オルガス伯爵の埋葬》に感動!

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/6回目

今日の宿パラドール・デ・トレドにチェックイン。部屋も無料グレードアップでトレドの街が眺められる部屋にしてもらえました。
わくわくしながら、部屋に入ります。まず、目に飛び込んできたのは広々としたベッド。ゆっくりと休めそうです。


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ベッドの向こうには、余裕のスペース。気持ちよさそうなソファが置いてあります。そして、明るい窓です。どんな景色が眺められるでしょう。


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窓からの眺めはじっと我慢して、まずは水回りをチェック。大きなバスタブがあるのを確認して、一安心。バスタブはジャグジー付きで、ツインの洗面台、ドアを挟んでのトイレにはビデもあります。豪華な設備です。


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さて、窓に向かいます。窓の右の部分はドアのようになっていて、開くことができます。残念ながら、バルコニーにはなっていませんが、景色を眺めるのには役に立ちそうです。


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ワオー! トレドの旧市街がバーンと見渡すことができます。


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窓から身を乗り出して、絶景を眺めます。部屋の窓からのトレドの街の眺めは素晴らしく、見とれてしまいます。


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窓の真下はホテルのオープンカフェになっています。ホテルに滞在していない人もオープンカフェから街の眺めを楽しむことができるようです。


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再び、トレドの街の景色に目を戻します。中央にはカテドラルが鎮座しています。大きな尖塔の建物がカテドラル(大聖堂)です。


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これがトレドの街の全景です。街を囲んで流れるタホ川は見えません。


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街の中央部を眺めると、カテドラルの尖塔がくっきりと見えます。


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街の右手に目を移すと、正面にアルカサルの大きな建物が見え、街のまわりに流れるタホ川も見えます。


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一通り古都トレドの風景を楽しみました。そろそろ、エル・グレコの絵を求めて街に出かけましょう。
部屋を出て、ロビーを見下ろす2階の回廊に出ました。ロビーに飾ってあるエル・グレコの作品群が見送ってくれているようです。


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これがロビーの全景。正面がレセプションです。


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トレドの街は不案内で時間も限られているので、レセプションでタクシーを呼んでもらい、まずはサント・トメ教会に行きます。ここにはエル・グレコ畢生の大作があります。タクシーはタホ川に沿って街の周りを走り、カバ通りAv de la Cavaに入り、タホ川を越えて街に入り、後はややこしい狭い通りを進んで目的地に到着。サント・トメ教会Iglesia de Santo Toméです。入り口の上にはエル・グレコの大作の部分図が飾ってあります。


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既にネットで、トレドのエル・グレコの美術作品を展示している5つの施設のセット入場チケットは購入済みです。これが自宅のプリンターで印刷した入場チケットです。


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このチケットをスタッフに提示すると、バーコードをチェックして入場OKです。入場すると右手にエル・グレコの傑作絵画があり、バーンと目に飛び込んできます。実物を見るのはもちろん初めてですが熟知した絵画・・・懐かしささえ感じます。《オルガス伯爵の埋葬》です。


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極論すると、この絵を見たくてスペインまでやってきたんです。近くで見たり、遠くに下がって見たり、絵の部分部分を細かく観察したりしながら、至福の時を過ごしました。
やはり、この作品はエル・グレコの最高傑作といえる素晴らしい作品でした。胸にジーンとくるものがあります。縦4.6m、横3.6mという巨大な作品。下部には、この絵が描かれる200年前に亡くなったオルガス伯爵が埋葬される地上のシーンが描かれ、上部には、赤子の姿で天上に上っていく伯爵の魂とキリストと美しい聖母マリアがねじれた空間表現で描かれています。静謐な美しさと激しい上昇エネルギーの混在した不思議な魅力に満ちています。やはり、この絵を見ずして、死ぬわけにはいきません。そう感じさせられるほどのエル・グレコ入魂の1枚でした。

これで今回の旅の第一の目標を達成しました。


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トレドはエル・グレコの街:トレドは迷宮のような路地が入り組んだ街

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/7回目

トレドで最初に訪問したのはサント・トメ教会。ここでエル・グレコの最高傑作《オルガス伯爵の埋葬》に対面し、感動しました。
さて、この傑作が飾ってあるところは教会の入口の部分ですが、saraiにとっては教会全体がエル・グレコの絵画に付属しているもののように思えてなりません。それほど存在感のある絵画です。とはいえ、教会も見ておきましょう。サント・トメ教会は小さいながらも立派な教会でした。満足して、教会を出ます。教会にはエル・グレコの名作を見るために次々と観光客が訪れています。


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教会前は小さな広場になっています。さて、次はどこに行きましょう。


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ここから一番近いサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂に向かいます。もちろん、エル・グレコの祭壇画のある教会です。
サント・トメ教会のあるコンデ広場Plaza Condeから教会横の小さな路地を抜けて歩きます。


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路地を抜けると、サント・トメ通りCalle Santo Tomeに出ます。ちょうど、案内板が立っています。この案内板に従って、向かいの路地に入りましょう。この路地はカンパーナ通りCalle Aljibillo,Calle Campanaです。まずはサン・ロマン聖堂の方に向かいます。


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狭い路地を歩きますが、なかなか雰囲気のよい路地です。古都トレドを感じます。


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トレドの街は狭い道がくねくねと入り組んでいて、とても地理が分かりにくいのですが、アルヒビリョ通りCalle Aljibilloにぶつかると、その通りで右折して進み、そのままアルフォンソXII通りCalle Alfonso XIIに入ります。


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やがて、サン・イルデフォンソ聖堂Iglesia de San Ildelfonsoの前に出ました。イエズス会の教会で歴史のあるスペイン・バロック様式のファサードが堂々としています。


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左隣にはカスティーリャ・ラ・マンチャ大学Universidad de Castilla-La Manchaのトレド・キャンパスの建物が建っています。


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このサン・イルデフォンソ聖堂とカスティーリャ・ラ・マンチャ大学に挟まれた路地サン・ロマン通りCalle San Románを進みます。


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とても美しい路地が続きます。

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美しい緑の庭園の先に堅固な石造りの建物が建ち並びます。


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鐘楼も綺麗です。


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この奥の方がサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の筈です。が、どうにも道が分かりにくいです。


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道なき道を進み、なんとか大雑把な地図を片手にサント・ドミンゴ聖堂Iglesia De Santo Domingo El Antiguoにたどり着くことができました。ところがこの聖堂の前には長い行列が出来ています。次に行く予定のサン・ホセ礼拝堂の予約時間が迫っているので、この聖堂は明日再訪することにして今日は断念。また、分かりにくい道を、それも起伏の多い道をサン・ホセ礼拝堂に向かって、歩き始めます。


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くねくねした路地を通り抜けていきます。


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途中から賑やかな通りに入ります。トレドで一番の繁華街コメルシオ通りCalle Comercioです。観光客をかき分けながら進んでいくと街の中心のソコドベール広場Plaza Zocodoverに出ました。バス停がたくさんあり、タクシーもいます。広場の中程から左手の通りに入り、数回角を曲がって、ようやく目的地、サン・ホセ礼拝堂Capilla De San Joséに到着です。


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予約時間1分前。チケットを提示すると、いくつかの注意事項を説明され、すぐに入場できました。見学時間は15分だけだそうです。礼拝堂の正面の祭壇画がエル・グレコの作品です。大きな絵は「聖ヨセフとその子」、凛々しく立つヨセフとあどけない少年イエス。エル・グレコらしいきっぱりした作品です。その上部に小さな聖母戴冠の絵があります。2枚合わせると聖家族になるのかな。いや、聖アンナがいませんね。ここは写真撮影禁止なので、写真で作品を紹介できません。悪しからず。

今回歩いたルートを地図で確認しておきましょう。迷路のような路地歩きでしたから、あくまでも大雑把なルートです。特にサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂付近は地図にはない道を歩きました。


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これでトレドのエル・グレコ作品を展示している施設を2つ見ました。次に向かいますが、それは次回で。



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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」に入場

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/8回目

トレドに到着後、エル・グレコ作品を見て周っています。サント・トメ教会、サン・ホセ礼拝堂の2つを見ることができました。
次はまだ予約時間まで早過ぎますが、サンタ・クルス美術館Museo De Santa Cruzに向かいます。ソコドベール広場まで戻ります。この広場はトレド観光の拠点です。広場の中央には、列車型のミニバス、ソコトレンZocotrenが停車しています。これに乗ると、街の周りをタホ川に沿って巡ることができるようです。1週45分だそうですが、まあ、そんな余分な時間はないので、これはパスします。


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広場の中程にある外に向かう下り階段の入口のアーチからの景色がなんとも美しいと配偶者が感嘆の声を上げます。


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配偶者の声に応えて、アーチ近くに寄って、写真を撮ります。成程、美しい眺めです。


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アーチ前からソコドベール広場を眺めながら、サンタ・クルス美術館への道を地図で確認します。


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すると、なんとこのアーチの先の下り階段が美術館へのアプローチだったんです。早速、アーチを抜けて、石段を下っていきます。すぐにサンタ・クルス美術館の前に出ました。美術館の前は大勢の人で混雑しています。


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サンタ・クルス美術館の建物は元々、トレドの大司教メンドーサの遺志を受け継いで、イサベル女王が建設した病人や孤児のための慈善施設でした。プラテレスコ様式のファサードは堂々たるものです。


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このサンタ・クルス美術館でエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人(The Greek in Toledo)」を開催中です。スペイン国内はもとより、世界中からエル・グレコの作品70点以上を集めた大展覧会です。といってもトレドにある作品が中心です。エル・グレコの作品の大半はエル・グレコが画家人生の後半を過ごしたトレドにありますからね。さすがに美術館の前は人だかりで大混雑。入館待ちの行列ができています。


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様子を見ていると、この行列は5時予約の人たちです。我々は6時予約です。6時予約は別のところに行列するようですがまだ誰も行列していません。しばらくすると団体客がどっと入館し、5時予約の行列もどっとはけ、入れ換わりに6時予約の行列が先頭に並ぶようになり、我々も急いで列に加わります。


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先ほどまでは6時予約の行列だったところは、いつの間にか、7時予約の列に変わっています。もっとも、それは1時間以上も先なので誰も並んでいませんけどね。


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行列に並んでいる人たちの持っている紙を見て、やっと気が付きましたが、予約時間の紙はチケットの紙とは別の紙でした。これが予約の紙です。


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ということはさっきのサン・ホセ礼拝堂では、予約の紙を見せずに入りましたから、予約なしで入ったことになります。なんてことでしょうね。今度はしっかりと予約の紙を持って、6時の入館を待ちます。


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早目に並んだ甲斐があって、このサンタ・クルス美術館では6時予約の先頭から2番目で入館できました。6時に予約していても、列に並んだ順に少しずつ入館できる仕組みで、6時ちょうどに来た人はかなり、入館が待たされます。

館内では膨大なエル・グレコ作品が展示されています。思う存分、エル・グレコ作品を見て、頭の中はエル・グレコだらけになりました。その一端は次回から、ご紹介しましょう。

地図でサン・ホセ礼拝堂から、サンタ・クルス美術館への道を確認しておきます。


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では、次回からのエル・グレコ作品群の紹介をお楽しみに。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その1

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/9回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞します。展示作品数が73作品と膨大な数です。以前、東京・上野の東京都美術館でエル・グレコ大回顧展を見ましたが、そのときの作品数は51作品でした。それを上回る規模ですし、何と言ってもエル・グレコが活躍したトレドの地で開かれる特別展です。

展示作品の73作品は世界中から集められたものです。前回、多くはトレドにある作品と書いてしまいましたが、よく調べてみると、トレドにある作品は12作品のみで、マドリッドから17作品も出展されています。それらも含めて、スペイン国内の作品が40作品。残りの33作品がアメリカなどの外国からの出展です。特にアメリカからの15作品が目立ちます。

エル・グレコはギリシャ出身の画家で後半生はスペイン、それもほとんどトレドで画業を全うしました。略歴はプラド美術館訪問時にも書いたばかりなので、それを以下に再録します。

エル・グレコは1541年にクレタ島のカンディア(現イラクリオン)に生まれたギリシャ人です。本名はドメニコス・テオトコプーロスと言いましたが、スペインに渡ってからは、発音しづらい本名では呼ばれずに、ドメニコ・グリエゴ(ギリシャ人ドメニコ)とかエル・グリエゴ(ギリシャ人)と呼ばれていたようです。死後、エル・グレコと呼ばれるようになりました。《エル》Elはスペイン語の定冠詞、《グレコ》Grecoはギリシャ人を意味するイタリア語です。イタリア語が使われるのは、スペインに来る前にイタリアで絵の修業をしたからでしょうか。本人は自作にサインする場合は必ず、ギリシャ語で本名を書いていたそうです。

エル・グレコは画家を志して、1567年頃にヴェネツィアに行き、ティツィアーノの工房で修業。1570年にイタリアの芸術の中心地ローマに移動。20代後半からの約10年をイタリアで過ごしました。この後、1576年頃に画家としての成功を夢見て、フェリペ2世のもとでエル・エスコリアル造営が始まり、多くの美術家が集まっているスペインに向かいます。宮廷画家になる望みはフェリペ2世に気に入られなかったので実現しませんでしたが、スペインの宗教・学問の中心地であったトレドで画家として成功し、その生涯をトレドで過ごし、そこで1614年に没することになります。

順次、制作年順に作品を見ていきます。73作品中、32作品をご紹介します。

まず、エル・グレコがイタリア時代に描いた作品です。

これは《小型三連祭壇画》です。1567年頃の作でイタリア・モデナのエステ美術館所蔵です。エル・グレコ26歳頃の作品です。彼はこの頃、ヴェネツィアにいました。若き日のエル・グレコの作品で現存するものは少ないので、貴重な作品です。特別、エル・グレコらしさは見い出せませんが、ドラマティックな作風は未来を予感させるものではあります。

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これは《燃え木で蝋燭を灯す少年》です。1570~75年頃の作でイタリア・ナポリのカポディモンテ美術館所蔵です。エル・グレコ29~34歳頃の作品です。彼はこの頃はローマに移り住みました。ヴェネツィア時代に修得した絵画技法を駆使して描いた作品です。光を意識した作風は後の傑作群につながるものです。

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これは《盲人を癒すキリスト》です。1571~72年頃の作でイタリアのパルマ国立美術館所蔵です。エル・グレコ30~31歳頃の作品です。これもローマ滞在時に描かれた作品のようです。この頃、ストーリー性のある作品を描いていました。この絵では、盲人に手をかけて、視力を取り戻すキリストの奇跡が描かれています。視力を取り戻した盲人の一人は左に手を上げて、見えるようになった驚きを示しています。一方、右側にいる人々はキリストが安息日に治癒行為を行ったことを非難しています。エル・グレコはこの絵でキリストの霊的能力、そして、暗に教会の腐敗と堕落を描いたようです。しかし、こういう主題では、エル・グレコの芸術性は十分に発揮されていないように感じます。作品に力を感じません。

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これは《悔悛するマグダラのマリア》です。1576年頃の作でブダペスト国立西洋美術館所蔵です。エル・グレコ35歳頃の作品です。これもよく取り上げられる題材ですが、まだ、この時期のエル・グレコには、後の時代の迫力が不足していると感じます。ただ、こういう作品作成を通じて、芸術性を鍛え上げていったんでしょう。

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これは《受胎告知》です。1576年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。エル・グレコ35歳頃の作品です。これはスペインに移る直前にイタリアで描かれたものですが、よい雰囲気の作品です。ただ、まだ芸術的には、これからの感です。

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ここまで、イタリア時代の作品を見てきましたが、エル・グレコとしては、あくまでも後の芸術開花に向けた助走の段階だったと思います。この後、スペイン、トレドに移ってから、エル・グレコの才能がきらめいていくことになります。

これは《胸に手を置く騎士の肖像》です。1577~79年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ36~38歳頃の作品です。スペインに移って、初期の作品のひとつです。エル・グレコは肖像画家としても力を発揮していくようになります。胸に置いた右手の指の形はエル・グレコのトレードマークのようです。多くの作品でこの表現が見られます。また、人物の内面を表現することも見事です。騎士の優美で静謐な内面が表現されています。

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これは《白貂の毛皮をまとう貴婦人》です。1577~90年頃の作でグラスゴー美術館(ポロック・ハウス)所蔵です。エル・グレコ36~49歳頃の作品です。とても美しい作品ですが、どう見てもエル・グレコ作には思えません。一説によると、モデルはエル・グレコの内縁の妻だということですが、そういうプライベートな作品なので、こういう写実的で美しい作品を描いたのでしょうか。saraiの勝手な思い込みでは、この作品はエル・グレコ作ではないことに1票です。

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これは《聖ラウレンティウスの前に現れる聖母》です。1578~81年頃の作でモンフォルテ・デ・レモスのヌエストラ・セニューラ・デ・ラ・アンティグア財団所蔵です。エル・グレコ37~40歳頃の作品です。スペイン到着後の作品ですが、ローマ時代かと思うような表現で、今一つの作品です。聖ラウレンティウスはスペイン出身の殉教聖人で、ウァレリアヌス帝の命で火刑に処せられました。この作品では聖ラウレンティウスは雲上の聖母子に視線を送っています。彼の幻視体験を絵で表現したものになっています。

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これは《聖パウロ》です。1585年頃の作でマドリッドの個人所蔵です。エル・グレコ44歳頃の作品です。聖人を描くのもエル・グレコのライフワークでした。この人間的に描かれた聖人像もエル・グレコの卓越した筆さばきに驚かされます。

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これは《聖母の前に現れるキリスト》です。1585年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44歳頃の作品です。綺麗には描かれていますが、後の時代の作品に比べて、内的なエネルギーに乏しいと感じます。ただ、あまりにマリアが美しいので、そこには強く惹かれます。この頃から、スペイン美人の美しいマリアが描かれるようになります。エル・グレコの魅力が輝き始めます。

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これから、徐々にエル・グレコの傑作が生まれ出し始めます。特別展の鑑賞はまだまだ続きます。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その2

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/10回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞しています。
ここまで、イタリア時代の作品から、スペイン、トレドに移って10年ほどまでの作品を見てきました。これから、エル・グレコが才能を発揮し、次々と傑作を生み出していくことになります。年代順にそれらの傑作を見ていきましょう。

これは《キリスト磔刑と二人の寄進者》です。1585~90年頃の作でパリのルーヴル美術館所蔵です。エル・グレコ44~49歳頃の作品です。磔刑になったキリストのくねった体の曲線が目を引きます。この逆S字型で縦の引き伸ばされた体の表現はエル・グレコの真骨頂とも言えます。エネルギー感に満ちた美を感じます。

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これは《巡礼者としての聖ヤコブ》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品に続く2作品(聖アウグスティヌス、聖フランチェスコ)とともに祭壇衝立を構成していました。この作品では黄金色の壁龕(壁のくぼみ)の中で、、巡礼の杖を持ち、帆立貝を付けた帽子を肩にした聖ヤコブが巡礼者として、すっくと立ち、こちらに視線を送っています。静謐で楚々とした画面に気持ちが癒される思いです。力みのない作品ですが、見れば見るほど見事な出来です。

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これは《聖アウグスティヌス》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品も祭壇衝立を構成しています。宝石を散りばめた豪華な装身具を身に着けた聖アウグスティヌスが背景の青空と雲の前に立ちます。縦長のプロポーションがエル・グレコらしさです。

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これは《聖フランチェスコ》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品も祭壇衝立を構成しています。若き日の聖フランチェスコの清貧さが縦長の画面に描かれ、胸の前の手のポーズがエル・グレコのトレードマークです。

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これは《使徒ペテロと使徒パウロ》です。1587~92年頃の作でロシア・サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵です。エル・グレコ46~51歳頃の作品です。強い光を浴びて、浮かび上がった二人のキリストの使徒の強固な意志を秘めた姿が印象的です。この時期にはエル・グレコは油が乗りきって、いずれの聖人像も見事な出来栄え。

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これは《芸術家の肖像》です。1595年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ54歳頃の作品です。さすがに力のこもった自画像で、存在感のある作品です。画家の自信に満ちた視線の先には何が見えているのでしょう。

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これは《福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り》です。1595年頃の作でトレドのサンタ・レオカディア・イ・サン・ロマン教区聖堂所蔵です。エル・グレコ54歳頃の作品です。これは実に凝った構図になっています。主題は《無原罪のお宿り》でマリアの若々しく美しい姿が中心ですが、それを聖ヨハネが拝み見ています。聖ヨハネはギリシャのパトモス島で幻視を体験し、それを《ヨハネの黙示録》に記していますが、この絵はその聖ヨハネの幻視を表現したものです。この絵を見る我々は聖ヨハネと共にマリアを仰ぎ見るという感じで、画面の中に自然に入り込む仕掛けになっています。右下にさりげなく描かれた花々の美しさも特筆ものです。晩年の傑作に向かって、エル・グレコの筆力は恐ろしいくらい、高まっていきます。

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これは《聖母子と聖女マルティナと聖女アグネス》です。1597~99年頃の作でアメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵です。エル・グレコ56~58歳頃の作品です。この作品は元々はトレドのサン・ホセ礼拝堂に飾ってあったものです。先ほど訪問した礼拝堂です。今回の特別展でトレドに里帰りした作品ですね。作品の主題はとびっきり美しい聖母子です。天使たちに囲まれたマリアの美しさはどうでしょう。画面下で聖母子を仰ぎ見るのは、二人の殉教聖女です。二人とも純潔を貫き通した聖女で、その二人が純潔なマリアを見上げています。右下で子羊を抱いているのが聖女アグネスと言われており、視線を下に落とした清楚な美しさに魅了されます。左下でライオンの頭に手を置き、棕櫚の葉を持つのが聖女マルティナと言われており、天上を見上げる横顔の美しさは例えようもありません。マリアと二人の聖女の美しさは宗教画の範疇を超えたものです。

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これは《キリストの復活》です。1600年頃の作でセントルイスのワシントン大学ケンパー美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。トレド後期の傑作群の始まりを告げるような作品です。この後、もっともっと、画面に力がみなぎるようになり、ぞくぞくと傑作が誕生します。

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これは《キリストの磔刑》です。1600年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。これは祈りに満ちた敬虔な作品。これ以上の荘重な悲しみは表現できないでしょう。もう、エル・グレコの筆からは傑作以外が生み出されることはありません。

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エル・グレコの傑作の森に彷徨いこみました。もう、頭の中をエル・グレコの世界が支配して、何を見ているのか、分からなくなっています。次回もエル・グレコの傑作の森を彷徨います。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その3

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/11回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞しています。
エル・グレコもスペイン、トレドに移って25年ほど経ち、自己の様式を確立し、傑作の数々を生み出し始めました。エル・グレコは既に60歳近くになり、円熟した芸術の高みに駆け上がっていきます。1600年から、亡くなる1614年までの傑作を年代順に見ていきましょう。今から400年前に制作された偉大な作品群です。

これは《枢機卿フェルディナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像》です。1600年頃の作でアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。肖像画家としてのエル・グレコも円熟の境地にはいっていきます。右手と左手の描き分けだけでも枢機卿の内面の緊張とリラックスの具合が見事に表現されています。もちろん、顔の表情も微妙な味付けがなされており、眼鏡の奥からの視線から、心の奥底の透徹した心情が窺われます。

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これは《トレド風景》です。1600年頃の作でアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。エル・グレコの唯一の風景画です。フェルメールの《デルフトの風景》を思い起こさせます。自分の心のふるさとを気持ちを込めて、描いたものです。それにしても、トレドのカテドラルを中心に置いて、暗い色調で描いた風景画は実にモダンな作品ですね。まるで後年に登場するゴッホの《オーヴェールの教会》を連想してしまいます。写実性を排除して、心象風景を描いていますが、このおどろおどろしい風景はエル・グレコのいかなる心情だったんでしょう。決して、穏やかで平明な心ではありませんね。

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これは《受胎告知》です。1600年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。これより以前から描いている題材ですが、この作品では何という変貌ぶりでしょう。同じ人が描いたものとは思えません。エル・グレコが完全に究極のスタイルを確立した記念すべき作品です。この作品はプラド美術館にある3倍のサイズのオリジナルの絵から、画家自身がレプリカを作ったものです。1昨日、プラド美術館でそのオリジナル作品を見て、大きな感銘を受けました。プラド美術館の至宝というべき作品でした。そのプラド美術館のオリジナルの絵は、マドリードのドニャ・マリア・デ・アラゴン学院付属聖堂主祭壇衝立の中核となっていた作品です。以前、大塚国際美術館でこの主祭壇衝立画を復元したものを見ましたが、それは素晴らしいものでした。オリジナルの主祭壇衝立画はナポレオン戦争で破壊されているので、今や、大塚国際美術館の復元したものでしか見られません。まだ、見ていないかたには、是非、鑑賞をお勧めしたいと思います。

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これは《画家の息子ホルヘ・マヌエル・テオトコプーロスの肖像》です。1600~05年頃の作でスペインのセビーリャ美術館所蔵です。エル・グレコ59~64歳頃の作品です。エル・グレコが息子を描いた肖像画。この肖像画から分かるように息子のホルヘも画家・建築家です。ホルヘはトレドで父エル・グレコと共同制作も行いました。明日訪問予定のタベラ施療院の主祭壇衝立も祭壇画《キリストの洗礼》はエル・グレコが描き、ホルヘが完成させたものです。その作品がエル・グレコの絶筆です。また、祭壇衝立自体はホルヘが制作しました。

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これは《聖母戴冠》です。1603~1605年頃の作でギリシャ・アテネのアレクサンダー・S・オナシス公益財団所蔵です。エル・グレコ62~64歳頃の作品です。この作品はイリェスカスのカリダード施療院にある《聖母戴冠》の画家自身によるレプリカでおよそ3分の1のサイズで描かれています。このカリダード施療院にあるエル・グレコの作品群は彼自身が「スペイン中で最も優れた、最高の完成度の出来」と自負していました。カリダード施療院のオリジナル作品は以前、東京都美術館で開催されたエル・グレコ大回顧展で見ましたが、その絵の持つ迫力に大変、感動しました。この作品は絵の中に凄まじいエネルギーが充満しています。それがエル・グレコの晩年の最終到達点です。

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これは《羊飼いの礼拝》です。1605年頃の作でバレンシアのコルプス・クリスティ学院総大司教美術館所蔵です。エル・グレコ64歳頃の作品です。光の効果が不思議に感じる作品です。聖母マリアに顔が明るい光に照らされているのが、とても自然で、まるで、実際に絵にスポットライトをあてている感じです。トレド時代もこの頃になると、エル・グレコの作品は高い芸術性を獲得したものが目立ちます。しかし、この主題の絵画は最晩年に向けて、さらなる芸術の高みに上昇していくことになります。そのプラド美術館所蔵の大傑作は最後に見ます。

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これは《聖ペテロ》です。1607年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。エル・グレコ66歳頃の作品です。この作品はキリストと12使徒から成る13枚の連作の中の1枚です。この連作はエル・グレコ美術館のほか、トレドのカテドラル聖具室など計6点が存在しています。当時、人気のあった連作であり、エル・グレコ工房で最晩年の1607年から1614年に集中的に制作されました。ですから、エル・グレコ自身だけで描いたのではなく、工房で制作したようです。しかし、最晩年のエル・グレコの描く聖人像の素晴らしさを十分に感じさせるものです。

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これは《トレド景観と地図》です。1610~14年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。エル・グレコ69~73歳頃の作品です。この作品は写真がない時代に都市案内図として、優れたものです。地図を広げているのは息子ホルヘだと言われています。

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これは《羊飼いの礼拝》です。1610年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ69歳頃の作品です。プラド美術館にある大傑作の縮小バージョンです。プラド美術館にある大傑作もこの特別展にちゃんと出展されています。

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これがそのオリジナル版の《羊飼いの礼拝》です。もちろん、同じ構図ですが、サイズは全然違います。画像ではよく分からないかも知れませんが、全然、迫力は違います。オリジナル版は1612~13年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ71~72歳頃の作品です。何故かオリジナル版のほうが制作年は後になっています。事情はよく分かりません。このオリジナル作品は素晴らしい絵です。光を浴びて、くっきりと浮き立っているマリアの美しさはなんともいえず、素晴らしいです。赤い衣ともよく調和しています。羊飼いたちならずとも、つい、拝んでしまいたくなるようなマリアの神々しさです。これは宗教画ですが、そういう範疇を超えて、美と敬虔さに感動してしまう傑作です。エル・グレコの亡くなる前の数年に描かれた作品はどの作品も人類の最高に遺産とも言えるものばかりです。この作品はエル・グレコが自らの墓所と希望したサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂に飾るために制作した祭壇画だそうです。エル・グレコの希望通り、墓所の前に飾ってあげたいものです。この絵の前で立ちすくんでしまいました。

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これは《聖母のエリザベツ訪問》です。1607~13年頃の作でアメリカ・ワシントンのダンバートン・オークス美術館所蔵です。エル・グレコ66~72歳頃の作品です。この後の作品《無原罪のお宿り》が飾られていたオバーリョ礼拝堂のヴォールト(天井のドーム)の中央に配されていました。つまり、真下から見上げるべき作品です。オバーリョ礼拝堂の創立者であるイサベル・デ・オバーリョの名前(イサベルはエリザベツのスペイン語名)にちなんで、この作品が描かれました。受胎した聖母マリアが従姉のエリサベツを訪問した場面を描いたものです。あえて簡素な表現になっているのは、この絵があまり目に付きにくい天井に配されてるからだそうです。

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これは《無原罪のお宿り》です。1607~13年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ66~72歳頃の最晩年の作品です。この絵も以前、東京都美術館で開催されたエル・グレコ大回顧展で見ましたが、そもそも、そのエル・グレコ大回顧展はこの絵が見たくて、足を運んだんです。そのとき初めて対面した、この絵は期待を超えて、想像を絶する、素晴らしい作品で、大変感動しました。そして、また、1年半ぶりにこの絵に再会することができました。この“美の究極”とも言える作品はこの会場に並んでいる傑作群の中でも、別格の存在です。聖母マリアのあまりの美しさに魂が震える思いにかられます。結局はこの1枚と再会するために、このサンタ・クルス美術館に足を運んだんだということを強く感じました。この作品と価値を競える美術作品はsaraiにとって、古今東西、数枚を数えるのみです。天才芸術家エル・グレコへ、畏敬の念を覚え、ただただ、絵の前に立ちすくみました。

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エル・グレコを十分に満喫しました。というよりも、圧倒されまくって、頭の中にエル・グレコが渦巻いてしまっています。もう、今日はこれで十分です。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館を出て、パラドールへのバスに乗車

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/12回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」の鑑賞を終えました。
昨年の上野でのエル・グレコ展で見て圧倒された《無原罪の御宿り》にも再び巡り会えました。この作品は最高の芸術美で輝き、大きな感動を与えてくれました。
これで今日のエル・グレコの絵画鑑賞は終了です。
サンタ・クルス美術館はイサベル女王が建設した古い建物です。絵画鑑賞の後、中庭に出てみました。美しい緑の空間です。

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2階の回廊からも中庭を見下ろしてみました。花も咲いています。

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サンタ・クルス美術館から外に出ると、銅像がお出迎え。この銅像はドン・キホーテの作者セルバンテスのようですね。

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時間も頃合いなので、トレドの街で夕食をして帰りたいところですが、今日はいささかくたびれました。配偶者が、大胆にもパラドールでのディナーを提案。いかにも高額なディナーになりそうですが、saraiも快諾。では、帰ることにしましょう。1時間に1本ですが、パラドール方面行のバスがあります。すぐ近くから出るので、ちょっとバス停を見てみましょう。バス停はサンタ・クルス美術館近くのアルカサル前にあります。と、なんと後3分でバスが来るようです。これがネットで事前に入手しておいたバスの時刻表です。71系統のバスです。

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本当にすぐにバスはやって来ました。素晴らしいタイミングです。チケットはドライバーから購入します。1人1.4ユーロです。公共交通機関はやはり安いですね。

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バスはすぐにアルカサル前を発車します。

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バスは旧市街の高台を走ります。

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旧市街の眺めを楽しめます。

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バスはトレドの旧市街を出て、ビサグラ新門Puerta Nueva de Bisagraの前に出ます。

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ビサグラ新門はトレドの街の表玄関です。ビサグラ新門の前は美しい緑のロータリーになっていて、花々が咲き乱れています。

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もう、ここは旧市街を取り囲む城壁の外側です。

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バスはロータリーをぐるっと回って、再びビサグラ新門の前に出ます。

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ビサグラ新門を離れて、城壁沿いに走り出します。

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後ろを振り返ると、まだビサグラ新門辺りが見えています。

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メルチャン通りPaseo Merchánを少し走ると、またロータリーにぶつかります。アルフォンソ6世門Puerta de Alfonso VI(旧ビサグラ門)の前のロータリーです。バスはこのロータリーを抜けて、カバ通りAv de la Cavaに入っていきます。

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そして、バスはタホ川Río Tajoを渡ります。左手には、サン・マルティン橋Puente de San Martinが見えています。これで完全にトレドの街の外に出ます。

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タホ川を渡り街の方を見ると、丘の上の大きな教会が見えます。サン・フアン・デ・ロス・レイエス教会Monasterio de San Juan de los Reyesでしょう。

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バスはタホ川沿いに走り出し、正面にサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会の大きな建物がはっきりと見えます。その手前には城壁が続いています。

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順調に走っていきますが、実はどのバス停で降りればよいのか分かっていないので、不安ではあります。ちゃんとホテル(パラドール・デ・トレド)に行き着けるでしょうか。それは次回で。


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トレドはエル・グレコの街:パラドールの最寄のバス停で降りたのはよいのですが・・・

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/13回目

トレドの旧市街の中心にあるアルカサル前で乗ったバスは、パラドールの方を目指して走ります。タホ川を渡りトレドの街を出たバスは、タホ川沿いを走ります。
サン・マルティン橋前のバス停でバスが停車します。ここからは、サン・マルティン橋とその先にサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会が見えます。美しい眺めです。

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バス停を発車したバスの車窓からはまだ、サン・マルティン橋とその先のサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会が見えています。

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バスは川沿いの道から外れ、山道に入り、どんどん丘を登っていきます。やがて、眼下にトレドの街が見えてきました。カテドラルの尖塔とアルカサルの大きな建物も見えます。

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大きな建物が見えたので、そろそろパラドールかしらと運転手さんに聞くと、ここで降りるんだよとのこと。危ない・・・降り損ねるところでした。停留所の表示もありません。しかも、その大きな建物はパラドールではなさそうです。どちらに行くのか迷っていると、一緒に降りた人が道案内を申し出てくれました。助かりました。道からはトレドの街が見えます。

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分かれ道からパラドール方面に向かう道を歩き始めると、さらにトレドの街がよく見えます。眺めを楽しみながらの散策です。

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道の端に寄って、眺めを楽しみます。

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展望台のようなところからは、夕日を浴びて輝きを増すトレドの美しい街がとてもロマンティックです。

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道案内してくれている人からあまり離れないようにしながらも、眺めを楽しみます。何とか、ちらっとタホ川の流れも視界に収めることができました。

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でも、かなり草深くて、なかなか見通しがきかずに少し残念。

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未練たっぷりに草の隙間からの眺めを探します。何とか、カテドラルの尖塔がちょっぴりと見えます。

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そろそろパラドールが近づいてきました。素敵な並木道を歩きます。

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もうすぐ、パラドールの駐車場です。

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無事にホテル(パラドール)に到着です。案内してくれる人がいなかったら、バス停で降りた後、道に迷ったことは確実です。彼に感謝します。

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駐車場を抜けて、ホテルのレセプションに向かいます。

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ホテルは石造りの美しい建物です。

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レセプションで夕食の予約をお願いすると、8時半でどうかしらとの返事。まだ7時なのにそんな遅くしか予約が入らないのかと思いながらも了承。それまで、部屋で休みましょう。配偶者はぐっすり眠り、saraiは雑用。ディナーが楽しみです。


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トレドはエル・グレコの街:パラドール・デ・トレドの美味しいディナー

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/14回目

トレド唯一の夜はパラドールでのディナーです。
予約した時間にレストランに行くと、お店の鉄の扉が閉まっています。恐る恐る扉を開いて中に入ると、何とレストランに客は1人もいません。これで、ようやく分かりました。まだ、夕食の時間が始まっていないのです。レストランの夕食のスタートは8時半からなんですね。だから、先ほどレセプションで8時半の予約でどうかしらと言われたんですね。スペイン時間は日本とは2時間程ずれているようで、これがスペイン時間なのでしょう。
お蔭でテーブルは選び放題。もちろん、窓際の眺めのよい特上の席に座りました。正面にアルカサルの大きな建物が見えています。

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窓に顔を寄せて、トレドの街の風景を眺めます。タホ川の流れやカテドラルなど、素晴らしい景色が望めます。

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ディナーはコース料理。まずはパンが出ます。

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料理を待っている間にディナー客が集まってきました。やはり、少しは賑やかな方がいいですね。

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おつまみのオリーブが出されました。

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続いて、お店からのサービスとして、ほんの一口サイズのガスパッチョが運ばれてきました。スペインの有名料理ですが、実はsaraiも配偶者もこのスープを飲むのは初体験です。

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ガスパッチョのあまりの美味しさにびっくり。この冷製スープはやみつきになってしまいそうです。
飲み物はやはり、カヴァにしましょう。スパークリングワインは美味しいですね。

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最初の皿はサラダです。ほどよくグリルされたグリーンアスパラガスは格別の味。

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次はスープ。

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メインはビーフステーキ。

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配偶者のメインは魚料理。こっちの方が美味しそうですね。

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料理をいただいているうちにようやく日が落ちて(もう10時近い!)、トレドの街は夕闇に包まれていきます。何てロマンティックな景色でしょう!

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コース料理も最後のデザートになりました。

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こちらは配偶者が選んだデザート。

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最後のコーヒーには、お洒落なコーヒーアートが描かれています。

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食事が終わった頃に、ようやく窓の外は真っ暗。

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1人36ユーロ(飲み物込み)の大枚をはたいた夕食は美味しかったです。配偶者からは「ご馳走さま!」の言葉がもらえました。
部屋に戻り、トレドの街の夜景を眺めます。カテドラルは識別できません。

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久しぶりのお風呂に入り、そのままベッドに倒れこむようにして朝までぐっすり寝ちゃいました。

今日訪問予定だったカテドラルなど残りの3つのエル・グレコの作品を展示している施設は、明日訪れることにします。明日はエル・グレコを堪能した後、トレドを離れ、アンダルシア地方のグラナダに大移動です。


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トレドはエル・グレコの街:翌朝のトレドはスペイン晴れ!

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/1回目

旅の5日目、トレド滞在2日目です。今日は昼過ぎに、マドリッド経由でアンダルシア地方のグラナダに移動します。それまでの時間は、トレドで見残したエル・グレコを鑑賞しましょう。昨日見られなかったエル・グレコの作品を展示している残りの3つの施設、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂、カテドラル、タヴェラ施療院を周ります。

昨夜早めに寝たので、今朝は珍しくsaraiは早起きです。窓の外を見ると、空が明けかかっています。
saraiの調べた天気予報では今日のトレドは雨だったのですが、よく晴れています。こういう誤算は嬉しいですね。

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地平線の辺りは、朝焼けで空が茜色に輝いています。

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朝日が差してきました。真っ青な快晴です。やったね。

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今朝は、しっかりホテルの朝食を頂きます。朝食ルームは、昨夜ディナーをいただいたレストランです。よくよく見れば日本人も大分お泊まりのようです。

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朝食のビュッフェには、目移りするほどの料理の種類があり、なんとも豪華です。甘いものもたくさんありますが、そんなに食べられませんね。残念ですが、精選して頂きましょう。

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朝食ルームからは、快晴の空の下のトレドの街がよく見えています。

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今朝は早起きしたので、大分予定より早い行動になっています。折角なので、トレドの街まで路線バスで行ってみましょう。
ホテルをチェックアウトして、荷物を預かってもらいます。身軽になったところで、ホテルの前の並木道に出ました。糸杉が綺麗ですね。

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並木道を歩きながら、緑の間からトレドの街の眺めを楽しみます。

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カテドラルも見えます。

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並木道を振り返ります。パラドールの駐車場にはバスが停まっています。団体客用のバスです。

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ちょっと道をそれて、展望のよいところに上ってみます。街がよく望めます。

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さらに高台に上ります。もっとよく街が見えました。

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道から、これぐらい上ったところです。バス停はすぐ先ですから、慌てることなく眺めを楽しみます。

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saraiは展望のよいところで夢中になって写真を撮っています。saraiが満足するまで、配偶者は待ってくれています。どーもです。

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これがそのsaraiが撮った写真。トレドの街の主要な街並みと街の周りを流れるタホ川の眺めを、写真に収めることができました。

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ちょっと横移動して、もう1枚。

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これで満足して、バス停に向かいます。昨日バスを降りたところまで行きますが、反対方向行き(トレドの街行き)のバス停の場所が分かりません。バス停の標識がまったくありませんからね。その問題はおいといて・・・眺めは素晴らしいです。

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saraiがネットで把握した情報では、この路線のバスはちょっと先で折り返す筈です。配偶者に、昨日降りたバス停で乗ってしまおうと提案。どうせ、すぐ先で折り返しますから、それで構わないでしょう。折り返してくるバスのバス停を探す手間も省けます。やがて街からバスがやってきたので、乗り込みました。

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これが大正解。確かに折り返しなのですが、戻るルートが違いました。そのまま折り返してくるバスを待っていたら、バスに乗り損ねるところでした。良かった!
バスは一路、トレドの街に向かいます。


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トレドはエル・グレコの街:タホ川にかかるサン・マルティン橋の美しい眺め

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/2回目

乗り込みに成功したトレドの街に向かうバスは、しばらくは丘の上の道を走ります。

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車窓からはトレド旧市街を見下ろせます。

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いやあ、素晴らしい景色ですね。

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窓の外に見える絶景に釘付けです。

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やがて、バスはどんどん丘を下り始めますが、ずっと街の風景は見え続けます。

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タホ川の流れがだんだん近づいてきます。

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バスはタホ川縁の道まで下りてきて、川沿いに走り出します。すぐにサン・マルティン橋付近のバス停に到着。と、バスの中から精力的に車窓の写真を撮っていた女性2人組が降ります。そうですね、ここは写真を撮るべき所でしょう。saraiは街の中心地までバスに乗っていくつもりでしたが、慌てて彼女達に続いてバスを降ります。目の前には、タホ川の美しい流れがあります。

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空は綺麗な青空、気持ちよい朝です。

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昨日もバスの車窓から見たサン・マルティン橋Puente de San Martinですが、間近に見ると、とっても重量感のある石橋です。

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サン・マルティン橋の入り口は石造りの堅牢なアーチになっています。堂々たる風格です。

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サン・マルティン橋のたもとから見るタホ川と青空の組み合わせは最高です。

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サン・マルティン橋の前には石造りの綺麗な家々が立ち並びます。石造りの橋に似合っています。

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サン・マルティン橋を旧市街の方に渡った先には、サン・フアン・デ・ロス・レイエス教会Monasterio de San Juan de los Reyesが丘の上に聳えています。

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タホ川を見下ろすと、川面が朝日にきらきらと輝いて銀面のようです。

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再び、サン・マルティン橋とサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会を眺めます。美しい眺めです。わざわざバスから飛び降りた甲斐があり、なかなか良い写真が撮れました。

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そろそろ橋を渡りましょう。橋塔の方に戻ります。

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思わぬ寄り道でしたが、タホ川の風景を満喫しました。ここからは徒歩で街の中を進みます。


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トレドはエル・グレコの街:サン・マルティン橋から旧市街の古色蒼然とした路地を抜けて、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂へ

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/3回目

サン・マルティン橋からのタホ川の眺めを楽しみました。そろそろ、対岸に見えているトレドの旧市街の方に渡りましょう。

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サン・マルティン橋の入り口の橋塔をくぐろうとすると、一足早く橋の真ん中辺りまで行っていた配偶者が、大きく両手を天に突き出しバンザイをしています。いくつになっても茶目っ気があります。

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saraiも配偶者の後に続いて、橋の上に足を踏み入れます。美しい石橋です。

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橋の上から、タホ川の流れを眺めます。こちらは北方向です。川面が鏡のように磨き上げられています。

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振り返って、今抜けてきた橋塔を眺めます。美しくて、堂々とした石造りの建造物です。

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こちらはこれから向かう方向にある橋塔です。この橋塔から旧市街を取り囲む城壁が連なっています。

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橋の北端までやってきました。ここからまたタホ川の流れを眺めます。タホ川の向こうには荒涼たる大地が広がっています。

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タホ川の岸辺にも城壁が突き出しています。

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北端の橋塔のアーチを抜けて、サン・マルティン橋を振り返ります。見事な橋の風景が眺められます。

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もう少し橋から離れたところでもう1枚。サン・マルティン橋のほぼ全景です。

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サン・マルティン橋から少し進むと、バハーダ・サン・マルティン通りBajada San Martínにぶつかります。

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この通りの坂道を上って、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の方に向かいます。ぶらぶら歩きですが、かなりの坂道です。

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坂道を上り切ると、左手に立派な城門があります。カンブロン門Puerta del Cambrónです。

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カンブロン通りを突っ切って、そのまままっすぐにちょっと狭い路地、レアル通りCalle Realを進みます。中世を偲ばせるような雰囲気の路地です。

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高い建物に挟まれた路地からは切り取られたような青空が見えています。

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レアル通りの左側は城壁の名残りのような堅牢な壁で仕切られています。その壁が途切れたところからは、街の外側の平原が顔を出しています。

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さらにレアル通りを進みます。

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レアル通りをまっすぐに進んでいるだけですが、道の分かりづらい街中をウロウロという感じを抱いてしまいます。と、この旧市街の丘に上がってくるエスカレーターの標識を発見。こんなものがあったのですね。

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この角を右に曲がった先にサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂が見えます。

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こちらはエスカレーターのある道。正面のぶつかったところの左側にエスカレーターがあります。そこからまっすぐに進んでくると、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂だったんです。

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サン・マルティン橋からサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂へのルートを地図で確認しておきましょう。結果的にまったく道に迷わずにストレートに正しい道を歩いたようです。

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昨日は混み合っていたために入場を断念したサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂ですが、今日は朝一番で見られそうです。


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トレドはエル・グレコの街:サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂でエル・グレコの作品鑑賞

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/4回目

トレドの旧市街のややこしい道を歩いて、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂Convento De Santo Domingo El Antiguoに到着。目の前に石造りの鐘楼が聳えています。

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サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の前の広場は緑豊かです。

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この広場は、その名もサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ広場Plaza de Santo Domingo 'El Antiguo。石造りの建物の前に広がる静かな空間です。

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ちょっと奥まったところが聖堂の入口です。開館時間までまだ間があるので、誰も来ていません。入口も固く閉じられています。

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しばらくしても状態は変わらず、静まりかえっています。いくら早起きしたからとは言え、来るのが早過ぎたようです。

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快晴の古都は次第に気温が上昇してきました。この広場には気持ちの良い木陰があるので、強い日光を避けてのんびり開館時間を待ちましょう。

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やがて男の人がやって来て、入口の前に立ちます。続いて女性もやって来ました。2人は職員のようです。配偶者がさりげなく、様子を探りに近づいていきます。

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彼ら2人はインターホンで連絡して、中に入っていきました。我々もそろそろ入口の前に並びましょう。一番乗りです。団体もやって来ました。急に周囲が騒がしくなってきました。

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先ほどの男性が、警備用の制服に着替えて出てきました。おはようと声をかけると、後5分待ってねと言いながら入口近くでタバコを吸い始めました。後ろ姿のがっちりした制服の男性が彼です。

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何度か目が合うと「今日はこれから10時間、明日も明後日もずっと勤務だよ」とぼやいてきます。警備の仕事もなかなか大変のようですね。

ついに開場。ようやく、エル・グレコに御対面です。
これがサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の主祭壇の祭壇衝立です。残念ながら《聖母被昇天》、《聖三位一体》など4点は散逸し、代わりにレプリカが飾られています。両脇の聖ヨハネの絵画は本物です。

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現在、エル・グレコの意図どおりにオリジナルの姿で残っている祭壇衝立はひとつもないそうです。残念ですね。この聖堂はレプリカが多いとは言え、オリジナルに近い形で見られるだけでもよしとしないといけないでしょう。

このほか、《聖イルデフォンソを伴うキリストの復活》を鑑賞。
3枚あったエル・グレコの絵を十分堪能したので帰ろうとすると、例の警備の男性が近づいてきます。そして、もうひとつの礼拝堂は見ていないだろうと言いながら、案内してくれました。感謝です。
いよいよ帰ろうとすると、エル・グレコの墓は見たかと訊いてきます。えっ、そんなものがここにあるの・・・またまた案内してくれました。お墓を見落としては、後で悔やんでも悔やみきれませんね。彼と仲良くなっていて良かった! エル・グレコの魂に心からの挨拶を捧げました。

彼に感謝の言葉をかけて、今度は本当に聖堂の外に出ました。

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次はカテドラル(大聖堂)に向かいます。


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トレドはエル・グレコの街:カテドラル(大聖堂)はスペイン・カトリックの総本山

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/5回目

サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂から、カテドラルに向かいます。このサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂は昨日も来たので、この辺りの道は分かっています。昨日も通ったサン・イルデフォンソ聖堂を通って、そこから坂道を下りていきます。例によって、くねくねした狭い入り組んだ路地が続きます。路地の途中には、トンネルのようになったところもあります。

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路地はますます狭くなり、すれ違いも難しいくらい。

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やがて、青空にすっくと立つカテドラルの尖塔が視界にはいります。複雑な路地を迷いもせずに、最短距離でカテドラルに到着できました。

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少し位置をずらして、カテドラルの尖塔を見上げます。うん、とても美しいですね。この尖塔(鐘楼)は90mの高さを誇ります。

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カテドラル横の市庁舎広場Plaza Ayuntamientoに出ました。広場にはエル・グレコの絵画の大きなパネルが並んでいます。エル・グレコの記念の年にふさわしいですね。広場の向かいに塔を持つ建物が見えていますが、これは市庁舎Ayuntamiento de Toledoです。右側の建物は大司教館です。

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市庁舎広場からカテドラルの建物に沿ってカルデナル・シスネロス通りCalle Cardenal Cisnerosを進むと、カテドラルの入口に出ました。この入口は通用門ですが、ここが参観者の入場口になっています。

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サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂から、このカテドラル入口までのルートを地図で確認しておきます。

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入口前で見上げると、カテドラルSanta Iglesia Catedral Primada de Toledoの壮麗な建物が圧倒的な存在感で迫ってきます。このトレドのカテドラルはブルゴス大聖堂、レオン大聖堂とともに、スペイン・ゴシック様式の3大カテドラルと呼ばれています。スペインのカトリックの総本山でもあります。

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カテドラルの右手の方です。こちらにも尖塔が見えます。

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カテドラルだけは、事前にネットで購入したセットチケットには何故か含まれていません。ですから、ここでチケットを購入する必要があります。カテドラルの向かいのお土産物屋さんの中にカテドラルのチケット販売窓口があります。チケットを求める長い行列ができています。並びましょう。

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saraiが列に並んでいる間に、配偶者は再びカテドラルを撮影。

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すぐに配偶者がsaraiの代わりに列に並んでくれたので、今度はsaraiがカテドラルの美しい建物を撮影します。
まずは入口前から撮影開始。

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入口から右手の方に移動しながら撮影します。

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右手の方には、素晴らしい彫刻が施された門があります。《ライオンの門》と呼ばれています。

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これは《ライオンの門》を右側の方から見たところです。

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繊細な彫刻を子細に眺めます。見事ですね。

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《ライオンの門》の右手からカテドラルの全景を眺めますが、とても写真に収まりきれない巨大な建物です。ローマ・カトリック教会で世界で4番目の大きさというのもうなづけます。

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青空に突き出ている大きなドームは1631年にホリヘ・マヌエルが制作したものです。これはカテドラル正面の右側の塔を裏から見たものです。

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これはカテドラル正面の左側の塔の先端を見たものです。

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十分にカテドラルを眺めたので、そろそろ配偶者が並んでくれているチケット購入の列に戻ります。


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トレドはエル・グレコの街:カテドラルの聖具室でエル・グレコを堪能

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/6回目

配偶者がチケット購入の列に並んでくれているうちに、トレドのカテドラルSanta Iglesia Catedral Primada de Toledoを外部から子細に眺めることができました。各時代の色々な様式が混ざってはいますが、全体的にはゴシック様式の荘厳な建物です。
配偶者が待つチケット売り場の列に戻ります。ほどなくチケットを購入できました。拝観料は1人8ユーロです。

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英語版の案内パンフレットもゲット。

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カテドラルの入り口でチケットをチェックしている人に示すと、すんなり通してくれました。入場者の列もありません。
中に入ると、スペインのカテドラルの建築を代表する建物の圧倒的な空間の素晴らしさに魅了されます。

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トレドのカテドラルの立派さに感動します。それもその筈、マドリッドに首都が移る前はトレドがスペインの首都。トレドのカテドラルはスペイン・カトリックの総本山として、絶対的な権威を誇っていました。
内陣の祭壇裏の通廊を進んでいきます。

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内陣裏には美しい空間が広がります。

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上部にある美しい装飾は華麗な色彩に満ちていて、見事な彫刻が配置されています。あっけにとられるような美的な空間です。

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内陣裏に回り込むと、内陣の祭壇裏の巨大な大理石の祭壇彫刻に驚愕します。これはトランスパレンテEl Transparenteと呼ばれる彫刻群です。

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なかでもトランスパレンテ下部にある聖母子像は一際、印象的です。外部から差す光で明るく浮かび上がっています。

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しばし、このトランスパレンテに目を奪われます。これはスペインとジェノヴァの大理石で創られたスペイン・バロックの傑作。1732年のナルシソ・トメによる労作です。

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トランスパレンテの脇を見ると、微細な彫刻が続いています。そこまでやるかという感じです。もちろん富の力も大きいですが、芸術家の執念によるパワーが真実の美を生み出すことが実感できます。

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内陣裏をぐるっと回って逆サイドの通廊に出ると、そこは聖具室の入口です。カテドラル内部の鑑賞はひとまず後に回しましょう。
このカテドラルの華は何といっても聖具室Sacristiaです。聖具室に足を踏み入れます。聖具室の天井はフレスコ画に覆い尽くされて、美しい空間です。

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このカテドラルの聖具室いっぱいに飾られたエル・グレコの19作品は、見ごたえ十分。ひとつの部屋にこんなに多くのエル・グレコの作品が展示されているところはどこにもないでしょう。中でも最高傑作のひとつ《聖衣剥奪》の素晴らしさには息をのみます。1577~79年、エル・グレコ36歳から38歳頃の作品です。この聖具室を飾るために、キリストが磔刑の前に着衣をはがされるというテーマの絵画がエル・グレコに依頼されました。聖具室には法衣などが収められているので、ぴったりのテーマだったんです。画面の中心を覆う聖衣の赤い色は迫力に満ちています。この赤い聖衣こそ、この絵の主役とも言えます。天を見上げるキリストの穏やかな表情に、この絵を見る人々は救われる思いを抱くことでしょう。これから、人類の罪をすべて背負って、キリストは従容として磔刑を受け入れて死に赴くわけですからね。また、画面の下部左にいる青いローブの聖母マリアが悲しそうに十字架を見つめている視線には心が痛みます。この作品はエル・グレコがトレドに渡って、初めて作り上げた傑作です。この後、40年弱に渡って、エル・グレコはトレドで傑作を書き続け始めますが、この作品がその記念すべき第一歩になりました。

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聖具室の先には、ティツィアーノの傑作、さらに予想だにしなかったカラヴァッジョの作品までありました。
聖具室でエル・グレコの作品を堪能し、カテドラル内部の鑑賞に戻ります。


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トレドはエル・グレコの街:カテドラルの内陣と合唱隊席の豪華さにため息

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/7回目

カテドラルの聖具室でエル・グレコを大いに堪能し、またカテドラルの大空間に戻ります。聖具室を出ると、目の前が内陣です。
内陣Capilla Mayorは美しい金色の柵で仕切られていて、柵の上部には十字架のキリスト像が輝いています。

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金色の柵の奥には、巨大な祭壇衝立が聳えています。繊細で豪華な彫刻・レリーフが集積しています。これは凄い!

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聖書の物語の各シーンを表現したパネルを組み上げて、巨大な祭壇衝立を作り上げています。個々のパネルが精巧に創られており、部分を見ても素晴らしいです。しかし、衝立全体の複雑で豪華な様は見事としか表現できません。

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内陣の反対側には、同じく金色の柵に仕切られた合唱隊席Coroがあります。背後には、薔薇窓も見えています。

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これがヨーロッパのカテドラルで最も美しいと言われる合唱隊席です。合唱隊席には、グラナダ戦争(Guerra de. Granada)の場面が細かく彫り込まれていますが、近くで見ることはできませんでした。

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合唱隊席を外側から眺めると、こんな感じ。パイプオルガンも見えます。

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側廊からカテドラル中心部を眺めます。左手が内陣、右手が合唱隊席で、正面がライオンの門Puerta de los Leonesです。美しい空間です。

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側廊の同じ位置から、右手の合唱隊席を眺めます。ステンドグラスからの美しい光が降り注いでいます。

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今度は視線を左に向けて、内陣を眺めます。金色の柵の上部の十字架のキリスト像がステンドグラスからの光で輝いている様子が大変、印象的です。

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これがズームアップしたキリスト像。

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側廊を歩きながら、カテドラルの巨大な空間を鑑賞します。この空間を支える束ね柱の大きさは凄いですね。ずらっと並ぶステンドグラスも美しいです。

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上を見上げると、アラビア風の文様の金色の天井が見事です。

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カテドラルの西の端からカテドラル全体を見渡します。合唱隊席の先に内陣の祭壇衝立の上端のキリスト像が見えます。カテドラル内のどこからでもキリスト像を拝めるようになっているんですね。

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南側の側廊を進んで、出口の方に向かいます。

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カテドラルのほの暗い空間から右手に見える出口の光に進みます。

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カテドラルは内陣はもちろん、合唱隊席、そして、巨大な空間、贅を尽くした装飾の類など、スペイン・カトリックの総本山にふさわしい素晴らしさに満ちていました。しかし、それらにも増して、聖具室の至宝、エル・グレコの名画に大満足。これでカテドラルの鑑賞は完了です。

トレドでのエル・グレコの名画鑑賞も残すはタヴェラ施療院だけになりました。


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トレドはエル・グレコの街:最後のタヴェラ施療院でのエル・グレコ鑑賞も無事完了

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/8回目

カテドラルの鑑賞は完了し、最後にタヴェラ施療院に向かいます。ただ、次のタヴェラ施療院はちょっと遠く歩くのは大変です。カテドラルを出て、市庁舎広場でタクシーを探していると、なんとも嬉しいことにすぐに空のタクシーがやって来ました。ついていますね。早速、タクシーに乗り込み、行先を告げると、ちゃんと通じて、タクシーは発車して、広場をあとにします。

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カテドラルの前の狭い路地を走っていきます。お土産物屋の軒先をかすっていきます。

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タクシーはますます狭い路地を抜けていきます。トレドのタクシーは凄いですね。

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やがて、タクシーは旧市街の狭い路地を抜けて、城壁の外の道に出て、タホ川に沿って走り出します。グル・モスカルド通りCalle Gl Moscardóです。

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タホ川の対岸の丘の上には大きな建物が見えます。陸軍歩兵学校Academia de Infanteriaでしょうか? もし、そうだとすれば、あのフランコ将軍の出身校です。

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次にファネロ通りRonda Juaneloに入ると、今度は前方にアルカンタラ橋Puente de Alcántaraとタホ川の対岸の丘の上にサン・セルバンド城Castillo de San Servandoが見えてきました。

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グル・モスカルド通りからカルメン通りPaseo Carmenのあたりに入っていきます。タクシーはこのまま、タホ川沿いの道を走ります。

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アルカンタラ橋が近づいてきました。

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タクシーはファネロ通りRonda Juaneloを走り、アルカンタラ橋の前を通り過ぎていきます。カスティージャ・ラ・マンチャ通りAv Castilla la Manchaを走り、ロータリーにぶつかると、そこはトレドのバスターミナルです。

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ここから、くねくねした坂道を上っていくと、タヴェラ施療院に到着。楽チンでタヴェラ施療院に移動できました。
カテドラルからタヴェラ施療院までのタクシーのルートを地図上で確認しておきましょう。

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タヴェラ施療院はなかなか立派な建物です。

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ここでも、オンラインで購入済の5つの施設のセット入場チケットを見せて、入場。建物に入ると、そこは美しい中庭になっています。

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青空と中庭の対比が綺麗です。

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ここにあるエル・グレコの作品は6点。佳作の作品です。
これは《聖アンナのいる聖家族》です。1590-95年頃の作でトレドのメディナセリ公爵家財団タヴェラ施療院所蔵です。この時期の作品としては、大変、素晴らしい作品です。特に聖母マリアが極めて美しく描かれています。以前、東京・上野の東京都美術館でのエル・グレコ大回顧展でも見た作品です。

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5点は見ましたが、最後の1点がどうしても見当たらず、係の女性に訊くと、すぐそばのものを指さします。何と絵画ではなかったんです。キリストの本当に小さな彫像でした。

これで、トレドで予定していたエル・グレコの作品の鑑賞はすべて完了。充足感で幸せな気持ちになりました。思いっ切り、エル・グレコの世界に浸ることができました。


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トレドはエル・グレコの街:パラドールでもう一度トレドの眺めを楽しみ、トレドにお別れ

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/9回目

タヴェラ施療院でのエル・グレコ鑑賞を終えて、トレドで予定していたエル・グレコの作品鑑賞はすべて完了。トレドでやり残したことはありません。
トレドを出発するまでにはまだ少し時間があるので、トレドの街をぶらぶらしましょう。
タヴェラ施療院の前には大きな公園が広がっています。この公園を歩いて、トレドの旧市街の方に向かいます。

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公園の並木道の向こうに旧市街の石造りの建物が見えてきました。

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トレドの街の入り口の城門の前に着きました。重厚な石造りの建造物、ピサグラ新門Puerta Nueva de Bisagraです。昨日もバスの車窓から見ましたが、今日はゆっくりと見物しましょう。

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タヴェラ施療院からピサグラ新門までの散歩道を地図で確認しておきます。

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旧市街は高い城壁で隔てられています。

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快晴で暑くなってきたせいか、とても喉が渇いてきました。公園内の売店でドリンクを求めて、ほっと一息。
ピサグラ新門を眺めながら喉を潤していると、何だか疲労感を覚えます。今日も結構、歩き回りましたからね。

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この後は、ホテルのテラスでお茶でもしながらトレドの街を眺めて過ごしましょう。このピサグラ新門は交通の要所なのか客待ちのタクシーが並んでいます。
タクシーに乗り込んで行先のパラドールを告げると、昨日のバスと同じルートを走り出しました。旧市街の城壁に沿ってのドライブです。これはアルフォンソ6世門Puerta de Alfonso VI(旧ビサグラ門)の前のロータリーです。

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ホテル(パラドール)に戻ってきました。バスの出発時間までゆったり過ごしましょう。
パラドールのカフェテラスに座り、トレドの街の風景を楽しみます。何度見ても、美しいですね。

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そういえば、saraiが泊まっていた部屋はカフェテラスを見下ろす部屋でした。外から部屋を確認してみます。角の端の2階がその部屋ですね。

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この2階の窓がsaraiが泊まった部屋の窓です。

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眺めのよいテーブルで冷たいジュースをいただきます。

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あれれっ・・・可愛い小鳥がテーブルにちょこんと止まります。

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それにしても暑い日差しです。カフェのお姉さんが日除けのパラソルをセットしてくれました。ありがたいですね。

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そろそろ出発の時間です。この美しい景色を脳裏に刻み付けておきましょう。

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ホテルのレセプションで預けた荷物を受け取り、クシーを呼んでもらってトレドのバスターミナルに向かいます。途中でまたまたアルカンタラ橋の前に差し掛かります。

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さすがに車窓からはアルカンタラ橋の綺麗な写真は撮れず、残念。

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マドリッドへは電車でもバスでも、たいして時間はかかりません。帰りはバスにしてみました。バスターミナルでマドリッド行のバスを探します。

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午後1時発の直通バスをネットで予約済なんです。料金は1人6.38ユーロです。

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ぐったり疲れていて、車窓からぼんやりと景色を眺めていているうちに(写真は1枚もなし)、マドリッドに戻ってきました。
これから、バスでアンダルシア地方のグラナダに向かいます。


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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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