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アントワープ王立美術館展@水戸

現在、水戸の茨城県近代美術館でアントワープ王立美術館展を開催しています。
『アンソールからマグリットまで』という副題がついており、そのマグリットの名前に惹かれて、行ってみました。

アントワープ王立美術館といっても、今回の展示ではいわゆるフランドル絵画の展示はなく、近代の作品の展示になっています。

まずは、クノップフがあるというので、それは貴重だと思い、期待していると、何と『クノップフの父の肖像』というもので、とてもクノップフらしい作品ではなく、がっかり。
知らない作家の作品ばかりでそれなりに見て歩きました。

ようやく、マグリットがありました。まあ、3点も彼らしい作品があったので、それでよしとしましょう。そのうちの1点をご紹介しておきましょう。『リベンジ』という作品です。


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と、マグリットの作品の隣にひときわ目立つ作品が目にはいります。紛れもなく、ポール・デルヴォーの作品に間違いありません。
とても素晴らしい作品です。彼らしく、大きな眼で表情のない女の人たちが大きな蝶結びのリボンを身につけて、古代の建物を背景にしています。実に不思議な雰囲気を醸し出しています。この絵は初めて見ますが、なかなかの傑作です。
これもご紹介しましょう。


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この絵が見られただけでも、この美術展に足を運んだ甲斐がありました。


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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

 

長谷川等伯展@東京国立博物館

孤高の天才絵師、長谷川等伯の没後400年を記念した大回顧展が京都での公開に続き、上野の東京国立博物館で開催中です。
既に会期半ば、これからは大変な混雑も予想されるので、平日ですが、年休を取って、出かけることにしました。

既にチケットは入手済。といっても、特別協賛のIDC大塚家具で買い物中にこの長谷川等伯展に興味を示したところ、対応してくれた女性がご厚意で後日、2人分の招待券を郵送してくれたわけで、まったくのタダ。感謝あるのみです。


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さて、出かけるにあたり、作戦を練りました。以前、やはり同じ東京国立博物館で開催された雪舟の大回顧展もすごく混雑したことを思い出したからです。(そういえば、そのときも毎日新聞の無料招待券でした!)
で、朝1番で早めに入場し、混み合う前にゆっくりと鑑賞することにしました。

予定通り、上野駅に9時に着き、上野公園を東京国立博物館に急ぎます。開館は9時半です。東京国立博物館に着くと、既にもう並んでいる人たちがいますが、そう多くはありません。ざっと数えて30人ほど。やったね!
この後、続々と人が詰めかけてきました。


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9時半少し前になると、係のかたの誘導で入場し、長谷川等伯展が開かれている平成館に向かいます。
いざ、入館です。
エスカレータで2階にあがり、いよいよ、鑑賞開始。

とりあえず、ざっと展示物に目を配りつつ、足を早めて、どんどん先に進みます。第1会場を通過し、第2会場に入ります。第2会場は水墨画の世界。
そこでも足を緩めることなく、先に進みます。
で、展示物の最後に達しました。

1番見たかった「松林図屏風」です。
流石に同じ考えの人たちが既に鑑賞中ですが、まだ、まばら。
すぐにこの屏風絵に見入ってしまいました。
何と深い絵なんでしょう。日本画の到達した最高峰と思います。
まずはお土産に買ったミニチュアの「松林図屏風」をご覧ください。


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実物を見ると、右の屏風の激しい気迫、左の屏風の幽玄の世界、とても色のない水墨画と思えない内容のぎっしり詰まった等伯の渾身の屏風画です。
saraiは特に左の屏風の霧で霞んでしまった松の木のぼんやりした風景にすっかり魅せられました。
比べては申し訳けありませんが、ターナーの絵を連想してしまいました。
ターナーは風景を霞ませ、霧や光の大気を間接的に絵で表現しました。
モネもターナーに続いて、駅や教会などの対象物を描きつつ、光の変化を表現しようとしました。
等伯はそれよりもずっと前にこの松林図で霧に包まれた大気を屏風画に描き切っています。それも色のないモノクロームな世界。

京都・智積院の金碧画の国宝2点、楓図、松に秋草図屏風もこの回顧展に特別展示されています。この華麗な絵を描き、当時の全盛期にあった狩野派に対抗し、頂点に上り詰めた等伯。
しかし、等伯以上の才能と言われた長男の久蔵が若くして亡くなり、失意の等伯。
彼の最後に到達した厳しい孤高の境地がこの松林図です。
華麗な金碧画とはまったく異なる禁欲的ともいえる、色もなく、形も簡素で、限界ぎりぎりまで絞り込んだ表現です。逆にそこにこそ、深く広い精神世界が見えてきます。

不意に、昨年聴いたウィーン・フィルのコンサートのウェーベルンを思い出しました。このブログでもご紹介しましたね。
このウェーベルンの《9つの楽器のための協奏曲》も音楽的にぎりぎりまで表現を絞り込んだ深い内容の楽曲でした。
芸術のジャンルを超えて、芸術家が最後に到達する世界はそのようなものなのかも知れませんね。

深く静かな感動を胸に平成館を出ると、3月の暖かい日差しに包まれました。
この暖かい日差しの中、まだ、ぞくぞくと人が詰めかけていました。


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敷地内では既に河津桜が満開。


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とてもよい自分だけの休日を配偶者と分かち合えて、幸福な1日でした。



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若冲展@静岡県立美術館

saraiの配偶者の母が米寿を迎えました。心身壮健で長生きできるのはとてもめでたいことですね!!

で、これは一族集まってお祝いしなくてはということに。
さて、悩ましいのはどこに集まるかです。
関東、関西いろんなところに一族が散らばって生きています。

こういうときにはやはり地理的な日本の中心は静岡でしょう。
紆余曲折ありましたが、静岡県の日本平に集まることに決まりました。

車や新幹線を使って、参加者が集まってきますが、とりあえず集合場所は、静岡駅とのお達し。

横浜から車で向かうsarai達にとって、渋滞での遅れも考慮に入れると、早めに出て、集合場所近くで時間調整をしなければいけません。
どこがいいかなあといろいろ考えているときにふと思い出したのが、静岡県立美術館。ロダンの地獄門や考える人、カレー市民の群像などがあることで有名です。今までにも何度も行ったことがありますが、久しぶりにこれらを見るのもいいなと思いながらも、さらに特別展でもやっていないかと調べてみると、なんと『若冲展』をやっているではないですか。

伊藤若冲の色鮮やかで緻密な動植物綵絵は何点か観たことはあるのですが、いつかはまとめて観てみたいものだと思っていました。今回、かなりのまとまった作品が観られるという情報に、予定よりも更に早く出発してじっくり鑑賞することにしました。

静岡県立美術館は、緑豊かで閑静な丘にあり、美術館を含む広大な公園になっています。ゆっくり散歩するにも絶好の所ですが、美術館に直行です。


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若冲展の看板が出ています。ちゃんと間違いなく、美術展が開催されているようで一安心。


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まだ午前中だというのにもう駐車場は少し込み合っていますが、東京の美術展のように入口で並ぶというようなことはありません。


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それでも中に入ると、絵の前には人だかりができている状態です。
さすがに若冲は今や人気画家ですね。

若冲の絵が初期から順に最晩年まで展示されており、彼の画業を辿りながら、絵を鑑賞できます。
やはり、圧巻は彼の驚くほどの細密な表現ですが、その対象は結構、彼の頭の中で再構成されており、ある意味、漫画ちっくな感じもあります。
そのため、今、現代の私たちが見ても、少しも古さを感じないし、日本画というジャンルを超えているとも言えます。

また、彼の画家人生の時期によって色のない墨絵の時代もありますが、その細密さ故に色彩感すら感じさせる力作もすくなからずあることに驚きを禁じ得ません。
無論、極彩色で描かれた動植物の細密画(そう言っていいものかどうか分りませんが、西洋絵画に慣れ親しんだsaraiにはそう見えます)には、ただただ、圧倒され、その画力に呆れてしまいます。

この人こそ、日本絵画史上、異色の画家と呼ぶにふさわしいと感じました。
伝統の上に、自分独自の境地を切り開いた偉大な画家です。

大変、素晴らしい美術展を見ることができ、幸運でした。

若冲に満足しましたが、この美術館ではロダンの彫刻群は見逃せません。
彫刻は撮影OK(もちろん、ノーフラッシュ)なので、ロダンの名作をいくつかご覧ください。
まずは地獄門。


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お次はカレーの市民。


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最後は考える人です。


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若冲とロダンを鑑賞した後は、集合場所に向かいます。

本日の一族のお祝い会は、日本平ホテルです。あのテレビドラマの『華麗なる一族』の撮影に使われたホテルです。
見事な庭園ですね。一日だけ華麗なる一族になった気分で、皆で優雅に散歩しました。


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翌日はやはり、石垣いちご狩りでしばらくはいちごを見たくないほど食べまくりました。
お天気にも恵まれ、よいお祝い会になりました。

それに15年乗った愛車の最後のドライブにもなりました。少し、寂しいですね。


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カンディンスキーと青騎士展@三菱一号館美術館

数日前に、電車に乗っていてこの展覧会の広告を見つけ、目が点に!
これは行かなくては!ということになりました。
善は急げとばかりに、その2日後には展覧会に来ていました。
もちろん、東京都響の会員券の確保のついででもありましたが。

ところで、目下ブログで進行中の《スイス・オーストリアの旅》は、現在ザルツブルグのことを書いています。
次はミュンヘンに移動します。
そのミュンヘンで、是非行こうと真っ先に向かったのが青騎士の館として知られるレンバッハ美術館です。
10年程前のミュンヘン滞在では、アルテ・ピナコテークとノイエ・ピナコテークには行きましたが、日程上、レンバッハ美術館には行きそびれました。もっとも、その頃はまだ美術知識が未熟で青騎士の何たるかもあまり分かっていませんでしたが・・・。
で、今回は絶対にレンバッハ美術館に行くぞと勇んで出かけたわけです。
ところが、地図にある筈の美術館が探しても探しても見つかりません。それもその筈で、2012年までの長期閉館中だったんです。
ちょっとした特別展は仮設の会場でやっていましたが、油絵は展示していないとのことだったので諦めました。
が、日本での展覧会を準備中だったんですね。それならそれで「秋には日本で展覧会があるよ」って窓口のおばさんも教えてくれればよかったのにと思いますが、おばさんも知らなかったのか、saraiが日本人って分からなかったのかもしれませんね。
というわけで、今年の7月にミュンヘンで見ぞこねたレンバッハ美術館の所蔵品を、東京で見られるということにルンルン気分になったわけです。それに本場ミュンヘンのレンバッハ美術館は閉館中なので、きっとよい作品を東京に持ってきてくれただろうという期待もありました。

さて、この《カンディンスキーと青騎士展》が開催されるのは、最近できた三菱一号館美術館です。前回はマネ展をやっていましたが、まだ行ったことのない美術館です。TVでは、BS日テレの《ぶらぶら美術・博物館》のマネ展を見たので、何となく様子は分かっています。レンガ作りの昔の建物を忠実に再現した施設です。東京駅から歩いて7~8分でしょうか。

既に時間指定のオンラインチケットを購入していましたが、特に行列もなく閑散としています。ゴッホ展やデューラー展ならいざ知らず、カンディンスキーと青騎士では日本では人気がありませんね。
で、苦労せずに入場し、ゆっくりと鑑賞と相成ったわけです。

実に膨大なカンディンスキーの作品が展示されていました。
カンディンスキーと言えば、色彩が散りばめられた難解な絵という印象があります。
が、今回の展示では、時代別に展示されており、その歴史的な変化を追うことができます。
ロシアからドイツに来た頃はまだ具象的な分かりやすい綺麗な絵を描いていたようです。
この絵なんかはセンスがよくて、好きな絵です。


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その後、パートナーのミュンスター女史とともに、ミュンヘン郊外のムルナウという美しいアルプス山麓の街を発見したことを契機に、画風が一変します。ムルナウの街を描いた絵は輪郭を失い、形も極端にデフォルメするようになり、鮮やかな色彩の饗宴と化していきます。
芸術家が環境に触発されて如何に変容していくかの過程がつぶさに体感できて、あの難解なカンディンスキーも少しは理解できるようになりました。でも、やっぱり、実際の絵を見ると難解です。この絵は彼の代表作の《印象Ⅲ〈コンサート〉》です。


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この絵は、同時代の12音技法を開拓したシェーンベルクのコンサートで、いたく感動して描いた作品だそうです。真ん中の黒いのがグランド・ピアノで、その下は聴衆で、縦の太い2本の白い帯はホールの柱、そして全体を覆う黄色は演奏で喚起される気分または演奏そのものということです。妙に具象的に言われても分かりませんね。それに絵に説明は基本的に不要というのがsaraiの意見です。

カンディンスキーには、このほか音楽を記号のようなもので表現したシリーズもありますが、これはこの展示会には展示されていませんでした。

いずれにせよ、カンディンスキーの《印象Ⅲ〈コンサート〉》が、芸術運動の青騎士の中核的な作品だと思います。パートナーのミュンスター女史はちょっとこれとは距離を置いている印象があります。2人が別れることになったのも雰囲気としては分かるような気もします。しかし、そのミュンスターがカンディンスキーの主要な作品を保管し、それがレンバッハ美術館の所蔵品のベースとなったのです。彼女の大きな功績ですね。美術は表に出ない人の努力で後世に引き継がれ、我々が現在鑑賞し、感動できるんですね。

芸術運動の青騎士ですが、カンディンスキーとマルクらが中心に推進していきます。青騎士の年鑑の表紙はまさに青騎士っていう感じで素晴らしいですね。


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この表紙も馬の絵ですが、実は青騎士に惹かれているのはsaraiというよりも配偶者です。配偶者はマルクの馬の絵がいたくお気に入りなんです。それを見たくてレンバッハ美術館に行こうとしたんです。今回の東京の美術展も狙いはマルクの馬。
残念ながら、展示されていたマルクの作品は虎と牛の絵でした。
それでも虎の絵は大迫力でした。


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お蔭で7月の旅のレンバッハ美術館閉館のダメージは、幾分なりとも解消できました。
でもやはり、2012年以降にレンバッハ美術館が開館したら、是非、見に行きたいと思っています。


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特別コースメニューのランチ@ポーラ美術館

今年は日本中のアチコチで大雪の被害が出ていますが、ここ横浜は毎日よいお天気で、本当にありがたく思っています。
そんな日々の中でも、今朝は起きたその瞬間から、笑みがこぼれるほどの大快晴!
こんな日を待っていたのです。

さあ、箱根のポーラ美術館に『アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち』を観に行きましょう。


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朝食を簡単に済ませて、出発です。急ぐ旅ではないので、一般道路を利用して行きます(要は有料道路を使わずにただで行くっていうことです)。
1国は渋滞もなく順調なドライブで、いよいよ小田原から箱根の坂を登ります。箱根湯本の駅を過ぎると箱根駅伝でお馴染みの急なくねくねの坂です。
暖かい陽射しの気持ちのよいドライブですが、さすがに箱根に来ると外気温の表示は4℃。道路の端のほうには雪もあります。やはり、箱根を侮ってはいけませんね。宮ノ下を過ぎ、富士屋ホテルの竜宮城のような建物を眺めながら、もう少し登って、ポーラ美術館の標識に従って左折すると、道路の端には結構雪が積もっています。主要道路をちょっとはずれるとこんなものですね。緊張しますが、目的地は直ぐそこです。

ポーラ美術館に到着。美術館の周りは雪がい~っぱい!入口のあたりも少し雪が残っています。


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アプローチの階段の横にも雪があります。


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いつ来ても、清清しい気持ちの良い建物ですね。アプローチの向こうにはエントランスが見えており、その下に美術館の建物が少し見えています。


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アプローチを進み、エントランスのすぐ近くまで来ました。《アンリ・ルソー》の文字が見えています。


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エントランスのガラスの扉の向こうは、とっても暖か。広々とした空間が広がります。
エントランスのロビーへはエスカレータで下っていきます。


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エスカレータで下っていくと、美術館の広大な空間が見渡せます。とってもモダンで明るい空間ですね。


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もうお昼も過ぎているので、まずは昼食をいただきましょう。
このポーラ美術館にはレストランとカフェがありますが、今日は奮発してレストラン「アレイ」にはいります。
今日は平日ですがちょうどお昼時なので窓に面したテーブルは結構うまっています。


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それでも奥の方の窓に面したテーブルに案内してもらいました。
全面ガラスの向こうには箱根の自然な森が広がります。


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さて、ちょっと贅沢をして、ルソーの展示会にちなんだ特別メニュー『ブルターニュからの贈り物』(2730円)をオーダー。
ほどなくオードブルが運ばれてきました。「海の幸のマリネ 生姜風味」です。


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左から、つぶ貝、海老、スズキです。結構フレンチ風の強い味のソースですが、まあルソーにちなんだということで結構でしょう。
次がメインの「ホロホロ鳥のコンフィ 彩り野菜のソースと共に」です。


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ホロホロ鳥の味ってよく分かりませんが、鶏と言われてもそう思ってしまうかもという味です。ホロホロ鳥はルソーの故郷マイエンヌの名産だそうです。
ぱりぱりに焼けており、ちょうどよい具合の熱さで美味しくいただきました。ソースはタマネギ(白いソース)、ほうれん草(緑のソース)、カボチャ(黄色いソース)をベースとした3種類ですが、タマネギが一番くせがなく美味しかったかな・・・
次はデザートの「オレンジのプティング ゆずのシャーベットを添えて」です。


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冷たいシャーベットがさっぱりして美味しいですね。
最後にコーヒー。


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ポーラ美術館特製の角砂糖でおしゃれにコーヒーが飲めました。


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美味しく贅沢なランチをいただいたところでいよいよ美術鑑賞ですが、それは次回で。


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アンリ・ルソー展@ポーラ美術館

さて、ポーラ美術館でのランチも終え、いよいよsaraiと配偶者の二人でずっと楽しみにしていた『アンリ・ルソー展』。
特に配偶者はアンリ・ルソーが大のお気に入りです。

配偶者「アンリ・ルソーって素朴派とか言われてて、人物だけが異常に大きく描かれ全体のバラスを欠いた絵とか、妙な南国のジャングルと動物の絵とか・・・ま、素人画家で下手くその代表のようにも言われてるよね。だけど、数年前にプラハの国立美術館の近現代部門で観た彼の絵は不思議なくらい初めて魅力を感じてしまって、そんな自分にビックリしてしまったわ。そんなわけで、是非まとめて彼の作品を観てみたいと思っていたのよ。」

sarai「オルセー美術館なんかにあるジャングルの妙な雰囲気のある絵はとても感じるところがあるよね。フランス人画家の心象風景って感じかな。日本でまとめて彼の作品を見られるのは楽しみだね。」

さあ、観てみましょう。
まずはレストランから出たところにある窓口でチケットを購入します。事前に美術館のサイトからインターネット割引券を印刷しておいたので100円引きの1700円です。それにしても高いですね! 
ところで、一度この美術館に入館するとスタンプカードを貰え、2度目からは200円引きです。そして、5回目は無料になります。sarai達も多分この美術館はこれで3度目ですが、残念ながら今までのスタンプカードは捨ててしまっています。悔しいですね。これからはちゃんと保存します。
ちなみにシニア割引も200円引きですが、65歳以上なのでsarai達はまだまだです。
で、3400円をクレジットカードで払いました。まあ、今日のランチよりは安いです。


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エスカレータを下りたところが展示会場です。

配偶者は「いやぁ、いいわね。確かになんだか変な絵だけど、写実的に描かなければいけないということはないわね。当時のサロンで評価されていた絵とは違うこのアンリ・ルソーの絵を、ピカソが大絶賛したらしいけど、ピカソの目指すところもこんな所にあったのかもしれないわね。そして、ピカソが主となってアンリ・ルソーを囲む会を開いたらしいけど、その会に集まった面々の名前には驚くわね。こんな人達が集まり、音楽を奏でながら絵画論に花を咲かせたかと思うと、羨ましいったらありゃしない!いい時代だったのね。」などとブツブツ言いながらご機嫌です。

展示はいくつかに分類して並べられていました。
2枚目に展示されていたのは、今回の展示会のポスターにもなっている「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」ですが、暖かい色調の絵からはしみじみとした思いが伝わってきてほのぼのとします。エッフェル塔の先端の3色旗は妙に大きいような気もしますが、そんなことは絵の価値と関係ありませんね。


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色々と絵を見て歩くと、飛行船を描いた印象的な絵に出会いました。「飛行船《レピュブリック号》とライト飛行機のある風景」です。


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関連展示を見ると、ルソーは飛行船の写真やライト飛行機の写真を参考にこの絵を構成したようです。自分の興味の大きいものを自分の心の中で再構成しているんですね。題材が何であれ、彼の心の風景が具現化されるわけで、題材が異なってもすべてルソー・ワールドになっており、一貫性のある絵画群になっています。そして、その肌触りは暖かく素朴です。このよい意味での絵の下手さ加減が、ピカソの心を捉えたのでしょう。ピカソのようにあまりに絵が上手過ぎる人にとっては、その上手さが作品表現上の足枷になる部分があると思います。ピカソはアフリカの民俗品に触発されて自分の上手過ぎる絵の転換を図りますが、ルソーはそのあたりが自然にできているところが素晴らしいと思います。ピカソがルソーの作品を評価したのも分かります。しかしながら、ピカソの芸術的鑑賞眼の素晴らしさには舌を巻きますね。この感性がピカソの最高の美質かもしれません。

で、この展示会での最も素晴らしかった作品は「エデンの園のエヴァ」です。隣にはゴーギャンの同一題材の絵画が展示されていましたが、この絵はアンリ・ルソーの絵の方が素晴らしい。絵の構成、植物の仕上げの精緻さ、多彩な緑色の描き分け、パーフェクトに感じる絵です。この絵に関する限り、幻想的な作風の練達したプロ画家と言えます。


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この絵をまったくイマジネーションのなかで作り上げたのは驚嘆すべきことです。パーツは植物園で写生したかもしれませんが、この風景は彼のイマジネーションによるものです。完成度の高い絵です。
このような素晴らしい絵画が日本の美術館に所蔵され、いつでも見に行けるのは嬉しいことですね。

事実、どこからこれらの作品を借り集めてきたのかと思ったら、ほとんどがポーラ美術館のものなんです。ポーラ美術館の基となった作品を蒐集した鈴木常司さんに感謝ですね。特にアンリ・ルソーに着目して収集したのは素晴らしいことです。
莫大な財産を築いた人は、こういうことに使ってもらいたいですね。

今回の展示会は総合的な展示になっていて、ルソーの音楽まで紹介していました。彼はヴァイオリンが得意で、音楽の面でも秀でていたようです。彼の作曲したワルツがヴァイオリン独奏で聴けるようになっていたので、ヘッドフォンで聴いてみました。譜面を見ながら聴きましたがなかなかの力作。音楽の面でのセンスも感じました。

また、彼を取り巻く仲間たちとの交遊についても紹介されています。ピカソ主催の「アンリ・ルソーを讃える夜会」は詩人アポリネールのこの日のための詩の朗読もあり、大変歴史的に意義深いものです。
また、ルソーが貧しい生活のなかで催していた夜会も音楽などの出し物で楽しいものだったようです。彼の人柄が偲ばれます。この夜会でアコーデオン担当だったのが、かのジョルジュ・ブラックだったということで大変驚きました。

ということで彼にゆかりの画家たちの作品も一緒に展示されていました。いちいち挙げていたらキリがないので省略しますが、それらの展示も楽しめました。

この展示会の会場の1階下の階では常設展もやっていましたが、saraiはこのあたりで疲れてしまいグロッキー。
それでも、もう一踏ん張り元気を出して一通り見て歩きました。
この美術館には印象派以降の名品がぞろっと揃っています。ルノワール、モネ、ゴッホ、・・・・
そのなかで今回一番気に入ったのはデュフィの絵です。配偶者とも意見一致。
「食道楽」という作品でレストランの光景を絵にしています。


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ワイドな横長のカンヴァスにバラ色で描いています。下のブルーとの自然な対比・融合がとても素晴らしいですね。
デュフィの絵のなかでもとても良い絵だと感じました。こういう絵を見ていると気分が高揚します。

絵を鑑賞した後は定番のミュージアムショップに向かいます。それは次回で。
大涌谷からの夕刻の富士山もお楽しみにね。


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アンリ・ルソー展おまけ@ポーラ美術館

さて、ポーラ美術館でのアンリ・ルソー展はなかなかのものでした。
次はお楽しみのミュージアムショップに向かいましょう。

まずは、気に入った絵のポストカードをゲットしましょう。
この美術館も他の日本の美術館の多くと同じように展示会場内での写真撮影禁止ですから、気に入った絵はポストカードを購入するしかありません。ヨーロッパの美術館は無料若しくは有料で撮影可能(もちろんフラッシュ禁止ですが)のところも結構あります。
写真撮影禁止の美術館ではたいてい3~5枚くらいポストカードを購入しています。
ここでも3枚ゲット。
あとは何か面白いものがないか物色します。
いろんなものがありましたが見るだけにして、最終的に定番の美術書コーナーへ。
一般の書店では扱っていないような書籍が結構揃っています。
saraiが面白そうな美術書を見ていると、配偶者が横で「こんな本があるわよ!」って言ってます。
ヨーロッパの旅案内の本ですが、内容が4月の旅に関連しています。
新潮社の「プロヴァンス 歴史と印象派の旅」です。


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内容を見ると綺麗なカラー写真付きで今度の旅の目的地のアヴィニョン、アルル、マルセイユ、エクス・アン・プロヴァンスなどを美術絡みで紹介しています。ずばり、こんな本が欲しかったんです。
で、お買い上げ決定です。
この本は「とんぼの本」というシリーズでほかにも何冊か並んでします。
4月の旅に関連する本としては「ドイツ・ロマンティック街道」がありました。


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これは直接美術には関係ありませんが、ロマンティック街道自体が芸術品みたいなものですね。もちろん、今回訪問予定のヴュルツブルグ、ローテンブルグは詳しく記述されています。
で、この本もお買い上げです。
意外なところで旅の資料が手にはいりました。

なお、ロワール古城巡りに向けては、既に藤本ひとみの「華麗なる古都と古城を訪ねて」を購入して読んでいるところです。
残念ながら、本書ではロワールの古城ではブロワ城だけがとり上げられていますが、フランス文化に造詣の深い彼女の面白い視点での文章は何者にも代えがたい魅力があります。


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ミュージアムショップも十分な成果がありました。そろそろこの美術館を出発しましょう。
ポーラ美術館のスタッフのお姉さん達のにこやかな笑顔でのお見送りで美術館を出て、また愛車に乗車。

実は、ルソーを楽しんだ後、日帰り入浴を楽しもうと思っていたのですが、予定以上に時間を費やしてしまい、もうそんな余裕はありません。箱根の山の中で暗くなってしまったら、道路も凍ってくるかもしれませんものね。そろそろ自宅に向けて帰りましょう。でも、ここまで来て富士山を見ないというのも、残念でたまりません。
近くの大涌谷で、ちょっと富士山を見ていきましょう。
というわけで、仙石原を抜けて大涌谷に向かいます。
冬の寒々とした仙石原でした。


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カーナビの誘導で抜け道のような狭いくねくね道を走り、美術館から15分ほどで大涌谷に到着です。
ちょっと山頂に雲がかかっていますが、大きくて立派な富士山に出会えました。やはり、完璧な富士山を見るならば、午前中ですよね。でも、満足です。


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雪のある山肌から噴煙が上がる大涌谷もなかなか魅力的です。


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車がまばらな駐車場の真ん中に停まっているのは、もちろんsaraiの愛車のプリウスです。

ところで、大涌谷といえば名物の「黒たまご」が気になりますね。でも、5個で500円なんですよ(超高!)。しかも、ばら売りなし!とデカデカと書かれています。ゆで卵を5個も食べられる人はいないでしょう。ちょっと1個を食べたいだけなんですよね。だいぶん悩みましたが、今日はもう家に帰るので、残りはお土産にしようということで購入。配偶者と1個ずつを食べました。美味しかったです。
と、「最終のロープウェーになります」というアナウンスが流れています。
さあ、sarai達も明るいうちに帰りましょう。

帰りは行きの1国とは別の道で湘南バイパスを快適に飛ばして帰宅。といっても無料の道路だけで帰りました。
充実した1日を過ごして、リタイア生活の有り難みを感じました。
次のドライブはどこにしましょうか・・・。



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また地震・・・それでもブログ、大塚国際美術館:システィーナ礼拝堂

いやはや、地震は本当に恐い。たった今、この横浜も震度5の地震で大揺れ。
初めに軽い揺れがあり、遠くで地震かと思っていたら、携帯の警報が激しく鳴り始め、携帯を手に取るのと同時にsaraiのマンションがぎしぎしと揺れ始めました。思わず、手近のものにつかまって揺れが収まるのを待っていました。

前回の東北・関東大震災のときは九州にいたので地震は体験しませんでしたが、昨日の夜に横浜に戻ってきた途端に今夜の地震です。
これくらいの地震でも肝を冷やしましたが、一体震度7ってどれほど恐いんでしょう。
本当に地震で被災された皆さんに再度お見舞いを申し上げたいと思います。
長女から早速、大丈夫かという電話がかかってきました。彼女の話では東北・関東大震災のときはもっと長く揺れたそうです。今更ながら凄い地震だったのだなと思いました。

連日の報道で地震の恐ろしい被害を知り、暗然たる思いでいた上に、今日はスーパーの長い行列や卵や牛乳の売り切れに出会い、すぐにパニックに陥る人間の愚かさを体験し、意気消沈していました。

で、今の地震で逆に自分に喝がはいりました。
被災者でもないので恐縮ですが、こういう災厄にもめげずに頑張りたいと思います。

で、書く気になれないでいたブログも再開したいと思います。
それも美術ネタですが、よければ読んでくださいね。

久しぶりに鳴門の大塚国際美術館です。
この美術館は通常の美術館と異なり、いわゆる本物は1点もありません。世界中の美術品を撮影し、陶板に焼き付け、場合によっては凹凸もつけて、オリジナル作品そっくりに複製したものを展示しています。


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この美術館は10年以上も前に訪れたことがあるのですが、あまりにも時間がなく(内容があり過ぎ!)、充分堪能できずに残念な思いが残っていたのです。

というわけで、今回はまだ開館前に到着し、9時半の開館と同時に入館です。
入口から長い長いエスカレータで上に上っていき、到着するのは地下3階という不思議な建物です。


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このB3Fには素晴らしい展示物が揃っています。

まずはまるごとバティカンのシスティーナ礼拝堂の実物大が再現されています。
本物よりも鑑賞しやすいくらいです。両側面の壁画はありませんが、ミケランジェロの天井画・天地創造と正面の壁画・最後の審判が見事です。


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まずは正面の「最後の審判」を鑑賞します。


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中央のキリストのあたりの迫力は素晴らしいですね。


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次は天井画の「天地創造」を見上げます。凄いスケールです。


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中央には有名な神とアダムの絵が目立ちます。壮大かつ精密です。


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そうそう、最後に「最後の審判」のミケランジェロ自身と言われる人間の脱け殻のような絵をしっかりと見ましょう。


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いやあ、日本にいながら、こんなシスティーナ礼拝堂が見られるなんて凄いですね。
しかも本物と違い、照明が明るいので作品がよく見えます。
写真も綺麗に撮れます。

このシスティーナ礼拝堂以外にもまだまだ、1000点もある膨大なコレクションが続きますが、次回以降にsaraiの好きな作品をご紹介します。


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コンサート続々中止・・・大塚国際美術館の続き:フェルメール

大震災も原発の状況がますます悪化しています。今後どうなってしまうか不安です。

本来、本日はパク・ヘユンのヴァイオリン・リサイタルの予定でしたが、もちろん中止(正確には延期)です。
月末からのヨーロッパへの旅の前には2週間で9回のコンサートを聴く予定でしたが、既に8回は中止が決まり、残り1回だけは未定です。
せめて1回くらいは聴ければと思っています。

中止になったコンサートは以下です。

 3月16日 パク・ヘユンのヴァイオリン・リサイタル 紀尾井ホール
 3月19日 チェコ・フィル(チョン・ミョンフン指揮、庄司紗矢香のヴァイオリン) ミューザ川崎
 3月20日 キルヒシュラーガー歌曲リサイタル 東京文化会館小ホール
 3月21日 伊藤恵ピアノ・リサイタル 鎌倉芸術館
 3月23日 東京都響定期演奏会(インバル指揮) 東京文化会館
 3月24日 ヒラリー・ハーンのヴァイオリン・リサイタル 東京オペラシティ
 3月27日 ヒラリー・ハーンのヴァイオリン・リサイタル 横浜みなとみらいホール
 3月29日 東京都響定期演奏会(インバル指揮、庄司紗矢香のヴァイオリン) サントリーホール

楽しみにしていたコンサートばっかりなので、残念でたまりませんが、仕方がありませんね。
また、購入したチケットの払戻もなかなか大変です。

さて、ともあれ、大塚国際美術館の続きを始めましょう。
システィーナ礼拝堂の次はフェルメールです。流石に全作品は揃っていませんが、名品が一挙に見られます。
まだ、オリジナル作品を見ていないものも1枚だけあります。

2点しかない風景画は両方とも見られます。
《小路:アムステルダム国立美術館》です。デルフトの町を描いたものです。


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《デルフトの眺望:マウリッツハイス美術館》です。これは有名ですね。何故か魅力のある風景画です。これはまだオリジナルを見ていません。


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《真珠の耳飾りの少女:マウリッツハイス美術館》です。これまた有名で人気がありますね。


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《手紙を読む青衣の女:アムステルダム国立美術館》です。


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《牛乳を注ぐ女:アムステルダム国立美術館》です。これはsaraiのもっとも好きな作品の一つです。何と精密で雰囲気のある絵でしょう!


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こうやってフェルメールの作品が一挙に見られるのはいいですね。ゆっくりと見られるのも最高です。
願わくば、全作品を是非とも揃えてもらいたいものです。

まだまだ大塚国際美術館の紹介は続きます。それは次回以降で。


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大震災の旅への影響・・・大塚国際美術館の続き:エル・グレコ

大震災は日を追うごとに悲しい結果が報道されます。それに原発や首都圏の混乱など後遺症が一向に収まりません。
大変でしょうが、被災者のみなさんの頑張りや関係者のご努力、お祈りするばかりです。

前回の記事で書いたようにほとんどのコンサートは中止になりました。
特に次の旅の前日のサントリーホールのコンサートも中止になり、成田出発の前泊の予定変更も余儀なくされました。
当初はお大尽で、コンサート終了後にホテル・オークラに前泊し、早朝のリムジンバスで成田空港に移動する予定でした。
コンサートの中止でこの予定は不必要になり、ホテル・オークラは早速キャンセル。
でも、現状の交通状況を考えると成田空港周辺での前泊は必須です。
で、空港そばの格安ホテルを確保。旅も近づくなか、バタバタです。
本来は旅のスケジュールも見直すべきかも知れませんが、既に旅の手配は完了し、ほとんどの費用も支払い済み。
特にオペラ・コンサートのチケットの再手配は困難です。
何とか、このまま、旅を実行したいと思っています。

さて、大塚国際美術館の続きです。

大塚国際美術館もB3Fにあるシスティーナ礼拝堂、フェルメール作品群と見てきましたが、お次はエル・グレコです。

エル・グレコというと昨年の11月に倉敷の大原美術館で見た素晴らしいエル・グレコの「受胎告知」が記憶に新しいですが、この大塚国際美術館のエル・グレコもオリジナルではないとはいえ、彼のまさに代表作中の代表作で感動します。
配偶者も感を同じくしたようで、真剣にスペインへ見に行かないといけないと語り合いました。それもトレドに行かないとオリジナルが見られません。マドリッドの美術館と合わせて、近々にスペイン美術の旅を検討したいと思います。

そのエル・グレコですが、まずはスペインのドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院にあった大祭壇衝立画です。この大祭壇衝立画はナポレオン戦争で破壊され、現存しない作品です。その作品を推定復元したもので、世界初の試みだそうです。個々の絵画はプラド美術館などで見られるようですが、このように全体が構成されているのはここでしか見られないものです。


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この大祭壇衝立画を構成する各絵画はスペインのプラド美術館にあるエル・グレコの5点の作品
「キリストの復活」(左上)


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「キリストの磔刑(たっけい)」(中央上)


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「受胎告知」(中央下)


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「聖霊降臨」(右上)


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「キリストの洗礼」(右下)


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さらにルーマニア国立美術館の1点
「羊飼いの礼拝」(左下)


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ということで一括して見られるのはここだけということになりますね。

上の写真はこの巨大な大祭壇衝立画を下から見上げたものですが、上の階にはこの大祭壇衝立画を見ることのできる窓があり、そこからの写真が次のものです。


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この大祭壇衝立画が展示してある部屋にはこの衝立画に向かって、左右の壁面にそれぞれ1枚ずつ大作が展示されています。
1枚目はトレドの《サント・トメ聖堂》にある「オルガス伯爵の埋葬」です。
これはまさにエル・グレコ渾身の素晴らしい作品です。テレビの美術番組では何度も見た作品ですが、実物大の大きな絵の前に立つと感動してしまいます。実はこの絵を見て、オリジナルをスペインまで見に行きたくなる衝動を覚えました。
絵の構成、精緻な表現、そして、傑作のみが持つ絵の輝き、すべてが最高です。


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もう1枚はエル・エスコリアル修道院にある「聖マウリティウスの殉教」です。
この絵も素晴らしい絵ですが、どうしても先程の「オルガス伯爵の埋葬」が素晴らし過ぎて、そちらに関心が向いてしまったという感じでした。この絵も「オルガス伯爵の埋葬」同様に大きな絵で圧倒されます。祭壇画なんですね。


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これらのエル・グレコの名作は大塚国際美術館に行かれるかたは必見です。

大塚国際美術館の紹介は次回以降まだまだ続きます。


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大震災の影響はまだまだ・・・大塚国際美術館の続き:環境展示

大震災の状況も少しずつ改善されてきているようですが、まだまだ予断を許さない状況ですね。
横浜のsaraiの団地も今日見て歩くと、建物の外壁のタイルが剥落しているところもあり、今回の大震災の凄まじさを改めて認識することになりました。

また、次の旅(ヨーロッパ)については、オーストリア航空やルフトハンザ航空が日本便を運行中止しているらしいという情報がありますが、たまたま、saraiは久しぶりにJALの便を予約しているので大丈夫そうです。何が幸いするか、分かりませんね。

さて、大塚国際美術館の続きです。

大塚国際美術館もB3Fにあるシスティーナ礼拝堂、フェルメール作品群、エル・グレコと見てきましたが、お次は環境展示です。

環境展示というのは最初にご紹介したシスティーナ礼拝堂のように建物そのものを立体的に再現し、環境空間を展示するものです。
この大塚国際美術館には、システィーナ礼拝堂以外にもこの環境展示されているものがあります。
今回はこの環境展示の代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

まずはポンペイ遺跡の秘儀荘(Villa dei Misteri)にある「秘儀の間」があります。これはポンペイ遺跡のなかでも最も有名なものです。この「秘儀の間」には、ディオニュソスの秘儀の壁画が描かれています。ディオニュソスの秘儀が何ぞやというのはsaraiの得意分野ではないので、説明はご勘弁ください。背景の赤い色は「ポンペイの赤」として知られているものです。


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なお、イタリアには何度も行ったsaraiですが、これまでも今後も多分、ポンペイに行く機会はなさそうです。そういう意味で、この美術館でこの「秘儀の間」の復元展示を見ることができたのはとても意義の高いものでした。

次は北イタリアのパドゥヴァのスクロヴェーニ礼拝堂です。天井の星空が大変美しく、壁面に描かれたジョットのフレスコ画もジョットらしい素朴さに心を打たれます。


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逆の方から見るとこんな感じです。


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実は前回、この美術館を訪れた際に一番感銘を受けたのは、このスクロヴェーニ礼拝堂でした。
その結果、わざわざオリジナルのスクロヴェーニ礼拝堂を見るために北イタリアのパドゥヴァまで旅に出かけました。
スクロヴェーニ礼拝堂を見るためには事前の予約が必要でそれも大変でしたし、現地でもいったん空調の効いた待合室で体温を下げた後で短時間だけスクロヴェーニ礼拝堂を見ることができただけでした。まあ、それだけでもオリジナルを見られたので満足ではありました。
ただ正直なところ、文化財保存のため、照明も暗く、期待したほどの鑑賞はできませんでした。
今回、再度、この環境展示を見て、むしろ、この大塚国際美術館のほうが明るく、美しいということを再確認しました。
芸術鑑賞という観点では、大塚国際美術館のほうが上です。ただ、そうは言ってもやはりオリジナルが見たくなるのが人情ですよね。

次はカッパドキアの「聖テオドール聖堂」です。このカッパドキアにも基本的には行くつもりはないので、この大塚国際美術館で見られるのは大変嬉しいことです。


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B3Fには、まだラヴェンナのモザイクとかアッシジの壁画とかもありますが、それらは現地で素晴らしい実物を見て、大変感銘を受けたので、ここではほとんど横目でパスしました。

次はB2Fに上がり、ルネッサンス~バロックの展示を見ます。それは次回以降で。


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大塚国際美術館の続き:ルネッサンス絵画

さて、大塚国際美術館の続きです。

大塚国際美術館もB3Fにあるシスティーナ礼拝堂、フェルメール作品群、エル・グレコなどを見てきましたが、お次はB2Fに上がります。

B2Fには、ルネッサンス~バロックの展示があります。
ルネッサンスといえば、イタリアのフィレンツェですね。
このフィレンツェを中心に活躍したルネッサンス期の画家達の絵をピックアップして見ていきます。

まず、saraiの思い入れのある画家といえば、何といってもボッティチェリです。
最初にフィレンツェを訪れたときの一番の目的はウフィツィ美術館でボッティチェリの絵を見ることでした。
結局、今までに3回ウフィツィ美術館を訪れましたが、いつも入館と同時にボッティチェリの部屋に直行して、長い間、あの美しい絵の数々を穴の開くほど眺めています。
この大塚国際美術館にも「春」や「ビーナスの誕生」という代表作も展示されていますが、今回は少し趣向を変えて、「受胎告知」をご紹介します。ボッティチェリはこの題材で何枚も描いていますが、この絵が一番好きです。もちろん、この絵もオリジナルはウフィツィ美術館にあります。


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なお、大塚国際美術館では、テーマ別展示になっており、色々な画家の受胎告知の絵画がまとめて鑑賞できるのが面白いですね。この後に出てくる聖母子などもそうなっています。こういう美術館ならではの鑑賞ができるようによく考えられている配置です。

次はフィリッポ・リッピの「聖母子」です。この絵はウフィツィ美術館でオリジナルを見て、大好きになった絵です。2回目にウフィツィ美術館に行ったときはこの絵が貸し出されていて見ることができず、大変残念な思いをした思い出があります。3回目はちゃんと展示されていてほっとしましたが、何と黒山の人だかり! いつのまにそんなに超人気になったんだと思いながら、人がいなくなるまで待ち、思う存分鑑賞させてもらいました。
この大塚国際美術館にある陶板画は素晴らしく出来がよくて、ウフィツィ美術館のオリジナルと遜色がないものです。びっくりです。


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次はミケランジェロの「聖家族」です。この絵もこの大塚国際美術館にある陶板画のあまりの素晴らしさに感動です。ウフィツィ美術館のオリジナル作品とほとんど同じに見えます。
それにしてもこの絵は絵画作品というより、平面上の彫刻作品みたいです。やはり、ミケランジェロは彫刻家ですね。


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次はラファエロの聖母子です。フィレンツェのピッティ美術館にオリジナル作品のある「小椅子の聖母」ですが、ラファエロの聖母子の絵のなかで一番好きな絵ですし、多分、最高傑作でしょう。聖母マリアのかわいいこと、この上なしです。
この大塚国際美術館にある陶板画の出来も素晴らしいです。


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最後はレオナルド・ダ・ヴィンチです。
これは大塚国際美術館ならではの展示でここでしか見られない展示になっています。
その絵は「岩窟の聖母」です。「岩窟の聖母」は2枚のオリジナル作品が存在します。
1枚目はレオナルド・ダ・ヴィンチが最初に描いた「岩窟の聖母」でオリジナル作品はパリのルーヴル美術館にあります。
一説では、教会の注文で描いたこの絵はダ・ヴィンチがリアリズムに徹して、聖人の光輪を描かなかったため、教会が受け取りを拒否し、裁判になり、その後、弟子達が中心に光輪を描き加えた2枚目の作品を作成し、それを教会に納めたということになっています。
その2枚目の「岩窟の聖母」はロンドンのナショナル・ギャラリーにあります。
もちろん、構図はまったく同じです。
私見では、やはり1枚目の作品が圧倒的に素晴らしいと思いますが、みなさんはどうでしょう。
この2枚の絵が大塚国際美術館では並べて展示されているので、比較して鑑賞できます。


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さて、どちらがルーヴルかナショナル・ギャラリーか、お分かりでしょうか? ヒントは光輪です。

なお、saraiの今月末からの旅のテーマのひとつはダ・ヴィンチです。彼の終焉の地となったロワールのアンボワーズに出かける予定です。
もちろん、そこにあるお墓参りもしてくるつもりです。
そのアンボワーズ訪問に先駆けて、ルーヴル美術館のダ・ヴィンチ作品の鑑賞も考えています。
当然、この「岩窟の聖母」ももう一度しっかりと鑑賞してきます。
今回の大塚国際美術館はその予習ということになります。

次回も大塚国際美術館の展示作品のご紹介は続きます。少し、しつこいですが、このしつこさがsaraiの性格なので、ご容赦ください。


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大塚国際美術館の続き:ヴェネツィア派の絵画

さて、大塚国際美術館の続きです。

大塚国際美術館もシスティーナ礼拝堂などがあるB3FからB2Fに上がり、ルネッサンス絵画を鑑賞しました。
引き続き、このB2Fの鑑賞を続けます。ルネッサンス絵画の次はヴェネツィア派の絵画を見ます。

まずはジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母子と聖カタリナ、マグダラのマリア」です。
ジョヴァンニ・ベッリーニというと画家一族で知られるベッリーニ一族のなかではsaraiが最も好きな画家です。
ただ、ジョヴァンニ・ベッリーニは高名なマンテーニャが義理の兄弟にあたり、どうしても彼の陰に隠れてしまいます。ですが、ジョヴァンニ・ベッリーニも青や赤の深い色彩が印象に残る絵画に目を惹かれることも多いです。
今回ご紹介する絵もまさにそういう作品でこの大塚国際美術館で初めてsaraiの心の残ったものです。オリジナル作品はヴェネツィアのアカデミア美術館にあるので、昔目にした筈ですが、まったく覚えていませんでした。
しかしながら、なかなか印象深い素晴らしい作品ですね。


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その肝心のマンテーニャですが、ヴェネツィア派を語る場合には欠かせませんが、残念ながらパスです。

で、次はヴェネツィア派最高の巨匠ティツィアーノです。
本ブログでもとり上げた「聖母被昇天」です。
ティツィアーノ初期の傑作ですが、ティツィアーノの作品のなかでsaraiが最も好きな作品です。
わざわざ、この作品を見たくて、ヴェネティアを再訪したくらいです。
ヴェネティアの教会の祭壇画で最も大きな絵だそうですが、
この絵のオリジナル作品のあるのは、サンタ・マリア・ グロリオーザ・デイ・フラーリ教会ですが、念願の絵を見て、感動しましたが、残念ながら、教会では儀式の最中でおおっぴらには写真が撮れませんでした。
でも、この大塚国際美術館では思いっきり写真が撮れて満足です。


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それにしても、よくこんな作品まで陶板画にできているのは凄いなあと感心しきりでした。

続く作品もティツィアーノがらみですが、主役は彼の兄弟子格のジョルジョーネです。
ジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」です。このオリジナル作品はドレスデンのアルテ・マイスターで見ましたが、素晴らしい絵画でした。しばし、この作品の前で陶然とした思いで立ちすくんだことが思い出されます。
一般にジョルジョーネの代表作というと「嵐」と言われますが、あれは難しい絵でまだ理解できません。saraiのレベルではこの「眠れるヴィーナス」が一番好きな作品です。
また、この絵はこの構図の絵のもととなった作品としても知られています。
そもそも、この「眠れるヴィーナス」は未完の作品で背景などを描き加え完成させたのはティツィアーノですが、そのティツィアーノがまったく同じ構図で「ウルビーノのヴィーナス」を描いています。
この「ウルビーノのヴィーナス」はフィレンツェのウフィツィ美術館にあり、大変有名な作品です。ティツィアーノの代表作のひとつでもあります。
この2枚のヴィーナスを並べて展示した大塚国際美術館に賛辞を送りたいと思います。
みなさんはどちらのヴィーナスがお好みでしょうか?


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saraiは断然、ジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」に1票です。
あ、左側の絵がジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」です。
因みにマネの「オランピア」も同じ構図ですね。

ヴェネティア派というと、あと、ティントレット、ヴェネローゼあたりが外せませんが、それはパスしてヴェネティア派はおしまいにします。

その代わりと言っては何ですが、付録として、ヴェネティアとは少し離れますが、同じ北イタリアの古都マントヴァの有名な絵をこの大塚国際美術館で見つけたので、それをご紹介しましょう。
実はマントヴァにはマンテーニャの「結婚の間」の天井画を見たくてわざわざ足を延ばしました。そして、ドゥカーレ宮殿にある有名な天使が描かれた天井画は何とか苦労して見ることができました。
その後、同じくマントヴァにあるテ宮殿も訪れました。そこにはジュリオ・ロマーノのこれも有名な「巨人の間」があります。
ところが、テ宮殿にたどり着く前に迷いに迷って、着いたときにはもうぐったり状態。テ宮殿の建物と庭園を見るだけで精一杯でとても「巨人の間」を見に行く元気はありませんでした。
その見損ねていた「巨人の間」の絵がこの大塚国際美術館にありました。


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いやあ、なかなかダイナミックな作品ですね。多分、またマントヴァに行くことはないでしょうから、ここで見られたのは収穫でした。

大塚国際美術館の陶板画の作品がずい分続きましたが、あと少しだけ、続けますので、悪しからず。
以降は次回で。


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大塚国際美術館の最終回:美人モデルはお好き?

さて、大塚国際美術館の続きも今回を持って最終回とします。きりがないですからね。

大塚国際美術館もB3FからB2Fに上がり、ルネッサンス絵画、ヴェネツィア派の絵画と見てきました。
B2Fには、それこそ古今東西の名画がずらっと揃っていますが、最後はsarai好みの美人モデルシリーズで締めくくりましょう。

まずはフランス絵画からです。

最初の2枚はルイ15世の愛妾で美貌の誉れの高いポンパドゥール侯爵夫人の肖像画です。ポンパドゥール侯爵夫人は美貌だけでなく、頭脳明晰で当時のフランスの政治を牛耳った才女です。彼女は芸術の愛好家でもあり、パトロンとして、ロココ芸術の庇護者でもありました。
そんな彼女は数多くの肖像画に描かれていますが、この大塚国際美術館にも、そのなかの2点が並べて展示してあります。

1枚はロココ朝の巨匠であるフランソワ・ブーシェ作のものです。彼は何枚もポンパドゥール侯爵夫人の肖像画を描いています。一番有名な作品はミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある作品でしょう。saraiもそこでポンパドゥール侯爵夫人の肖像画を探し回った思い出があります。この大塚国際美術館にある作品はそれではなくて、ロンドンのウォーレス・コレクションにある作品です。この作品もブーシェらしい典雅な作品で小顔で優美なポンパドゥール侯爵夫人の存在感が抜群です。

もう1枚はおそらくポンパドゥール侯爵夫人の肖像画で最もよく知られている作品でパリのルーヴル美術館に展示されているものです。描いたのはロココ朝の画家でモーリス・カンタン・ド・ラ・トゥールですが、saraiもこの画家のことはこの作品以外では知りません。最近、とみに有名になったラ・トゥールはジョルジュ・ド・ラ・トゥールでろうそくの炎に照らされた絵が素晴らしいですが、この画家はもう少し古い時期の画家で別人です。

2枚の絵は左がブーシェ、右がラ・トゥールです。


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次はナポレオンの活躍した頃に当時の社交界でその美しさで名が知られていたレカミエ夫人の肖像画です。この絵もルーヴル美術館にあり、新古典派の巨匠ダヴィッドによって描かれました。この作品はsaraiにとって、「モナリザ」よりも大好きな絵でルーヴル美術館に行ったら必ず、ご挨拶に伺う名画です。というよりも、絵に描かれた美しいレカミエ夫人に魅了されていると言ったほうが正確かも知れません。


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ところで少し脱線しますが、横浜美術館にはこのレカミエ夫人の肖像画の寝台(カウチ?)だけがブロンズの彫刻になっているものが常設展示されています。作者はベルギーのシュールレアリストのルネ・マグリットです。横浜美術館に行かれたら、是非、ご鑑賞ください。美しいレカミエ夫人は頭のなかでイメージするしかありませんが・・・

次はイギリスのラファエル前派の作品からです。

2枚、ご紹介しますが、いずれも絵のモデルは画家ロセッティの妻のエリザベス・シダルです。ラファエル前派というと、もう一人、ジェーン・バーデンがモデルとして有名です。ジェーンは画家ウィリアム・モリスの妻となりますが、いやゆるファム・ファタル(運命の女)として有名です。エリザベスもジェーンも両方とも美人ですが、性格的には異なるようです。ロセッティとエリザベスとジェーンは3角関係にあり、それに悩んだエリザベスはロセッティと結婚した2年後に自殺同様の死を迎えます。

最初の1枚はエリザベスの死後にロセッティが妻の死を悼んで描いた「ベアタ・ベアトリクス」です。とても美しい絵ですが、何か壮絶さも感じさせられる作品です。ロンドンのテート・ブリテンに所蔵されています。


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次の1枚はジョン・エヴァレット・ミレイがまだロセッティの妻になる前のエリザベス・シダルをモデルにした「オフィーリア」です。もちろん、オフィーリアはシェークスピアの「ハムレット」のヒロインです。
この絵はミレイの代表作であるだけでなく、ラファエル前派を代表する絵でもあります。ロンドンのテート・ブリテンに所蔵されている作品ですが、ロンドンに行ったことのないsaraiは幸運にも日本での展覧会でこの絵を2度も鑑賞しましたが、それは雰囲気のある素晴らしい作品です。


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で、この美術館紹介もこの美人モデルシリーズでおしまいですが、大塚国際美術館には現代の作品が1Fに展示されており、そこにピカソの「ゲルニカ」があります。やはり、〆はこの絵にしたいと思います。人類の永遠の課題、戦争の悲惨さを描いた偉大な芸術作品です。
この「ゲルニカ」は横長の巨大な壁画で写真に収めるのに苦労しましたが、結局、右端が少しだけ欠けました。ご容赦くださいね。


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最後に付録で大塚国際美術館の名物の案内ロボットをご紹介しておきましょう。


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ずい分、大塚国際美術館の陶板画をご紹介しましたが、これでも膨大なコレクションのほんの一部です。興味のあるかたは是非、一度足を運ぶことをお勧めします。日本にこういう美術館があるのは本当に幸福なことだと思います。saraiもまた、いつの日か再訪してみましょう。



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写楽展(前編)@東京国立博物館 2011.5.18

昨日は上野の東京文化会館で都響の定期演奏会でしたが、どうせ上野に行くのなら、上野で開催中の美術展でもみようかと思い、東京国立博物館の写楽展に行くことにしました。ところが開催時間が17時までなので、急いで家を飛び出しました。上野駅には16時過ぎに着きましたが上野公園を抜けていくと、現在、大噴水のあたりが大工事中でぐっと遠回りになり、結構時間がかかります。まずは入口で写楽展のチケットを購入。二人で三千円とは高いですね。


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東京国立博物館の敷地内にはいっても平成館は奥のほうにあります。


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で、入館したら16時20分くらい。もう閉館まで40分ほど。お蔭でまあまあ空いてはいましたが、それでも人気らしく、どの絵の前にも人が張りついています。
はいるとまずはプロローグというコーナーで代表的な写楽作品がピックアップされています。見たことのあるものもそうでないものもありますが、写楽の作品は特徴的ですから、見応えあります。ここはいくつかピックアップされているだけですが、それでも写楽をこれだけまとめて見る機会も初めてです。ゆっくり鑑賞したいところですが、閉館時間も迫っているので、さっと見ながら、次のコーナーへ。
次は「写楽以前の役者絵」のコーナーです。このあたりはあまりピンとくる作品はありません。北斎すらも先程の写楽に比べると少なくとも役者絵ではインパクトに欠けます。もっともじっくりと見る時間がなかったので、ちらっと見た印象に過ぎません。
次は「写楽を生み出した蔦屋重三郎」のコーナーです。ここには喜多川歌麿の美人画がずらっと並んでいます。役者絵とは関係ありませんが、さすがに歌麿の美人画には魅了されます。写楽の大首絵とは違い、狭い版画の画面に女性の全身像が描かれていますが、簡略な表現の顔でさえ、そのモデルの魅力・個性が十分に描き込まれていて、その画力の素晴らしさに感嘆します。10枚程度ですが、それだけでも大変な迫力です。フランス印象派に影響を与えたのもうなづけます。デフォルメと細密表現のバランスの素晴らしさには脱帽です。写楽展とはいえ、蔦屋つながりで歌麿まで見せてもらい、嬉しい誤算です。
次は「写楽とライバルたち」のコーナーです。同じ役者ごとに写楽と他の作者の作品を並べ、比較できるようになっています。ライバルたちといっても、基本的には対抗馬は歌川豊国です。写楽は約10カ月間の制作期間を第1期から第4期までに分類されます。特に第1期は大首絵という画面いっぱいに役者の顔を描いた作品が多く、迫力満点です。豊国は一貫して全身像を細密に表現しており、これも見事な役者絵です。ただ、並べて比べると、版画の画面の狭さもあって、思いっきり個性的に描いた写楽の大首絵の迫力は素晴らしいものがあります。じっくり見ると豊国の全身像も構図や細かい表現など、とても素晴らしいのですが、写楽には何といっても勢いがあります。新しいスターという感じですね。写楽も第2期以降は全身像がほとんどになり、やや勢いに欠けるところもあり、そのあたりになると、豊国の画面構成力に比べて、なかなか微妙なところです。
続いて、版の違いの展示があり、写楽の同じ版画を別の版で2枚並べて違いを見るというコーナーもあり、なかなか興味深いです。もちろん、版によって、色ずれや色の違いもありますが、素人目には、出来の悪い版であったにせよ、写楽は写楽。その芸術的価値が落ちるとは思えませんでした。西洋画の世界でも保存状態によって、絵が鑑賞しづらいことはあっても決して芸術的価値が下がることはないのと同じことに思えます。
これで前半が終わり、以降、後半は「写楽の全貌」という、この展示会のメインというところになります。
写楽の第1期から第4期まで、全作品(4点を除いて)を一挙に公開です。これは凄い企画ですね。版画だからできた企画でしょうが、以前の雪舟展と同様に滅多に見られるものではありません。
さて、第1期から見ていきましょう。デビューを飾った大首絵の28枚です。いずれも傑作揃いです。ある意味、デビュー仕立ての絵師の怖いもの知らずの勢いがあります。絵を描く技術以前に奔放なマインドが素晴らしい。なかでも代表的な7枚を見ていきましょう。

三代目坂田半五郎の藤川水右衛門です。


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三代目沢村宗十郎の大岸蔵人です。


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三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづです。


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四代目松本幸四郎の山谷の肴屋五郎兵衛です。


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初代市川男女蔵の奴一平です。


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三代目大谷鬼次の江戸兵衛です。


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市川蝦蔵の竹村定之進です。


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どうです。これぞ、写楽って感じですね。個性的ではありますが、芸術的完成度の高さにも驚きます。
役者の演じる役どころだけでなく、生の人間が見え隠れしています。これ以上、何を描けるのか?
それが第2期以降の課題です。
第2期は大首絵はほとんどなくなり、全身像が中心です。写楽らしさもありますが、固い表現のものも多くなっています。それでも柔らかい曲線で素晴らしい構図のものもあります。過渡期という感じですね。
第3期は全身像の素晴らしい表現のものとなっています。絵を描く技術も大幅にアップしています。ただ、上手過ぎて、第1期のような勢いがなりを潜めたことも事実です。作品群の質は高く評価すべきでしょう。
第4期は・・・・。方向感を失った感じでしょうか。本当はここから真の芸術を目指していくべきところだったのではと思わざるを得ません。この先、写楽がどう芸術家として進んでいったのか、見たかったのはsaraiだけではないでしょう。
10カ月というのは芸術家の活動期間としてはあまりに短過ぎましたね。

次の記事に続く・・・



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写楽展(後編)@東京国立博物館 2011.5.18

ともあれ、写楽の全貌を垣間見て、満足の美術展でした。
展示会の飾りつけもなかなか凝っていました。
2階の展示会場へのエレベーターの両側の壁面には役者絵の飾りつけ。


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平成館の出入り口にも写楽・・・写楽です。


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平成館の壁面も飾りつけ。


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17時閉館でみなさん、ぞろぞろと帰っていきます。


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と、平成館の建物の隙間から見えたのは何とスカイツリー。これは見逃せませんよ。


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さて、まだ17時。都響の定期演奏会は19時からですから、ずい分時間があります。
これはゆっくりと夕食を楽しみましょう。といってもここは上野公園。
いつもは文化会館内の精養軒で食事をしますが、精養軒そのものには行ったことがないので、そこで夕食にします。
パンダで賑わう上野動物園の前ももう閉園して静か。その前を通って、精養軒へ。


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左側にあるカフェレストランで伝統のハヤシライスとカレーライスをシェアしていただきます。


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窓から見える木々の緑とその向こうのビルの対比が面白いですね。上野らしい風景です。


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会計のときにカウンターに写楽展のシオリがあったので、手に取ると、何とこれが写楽展百円引き割引券付き。時既に遅しです。残念。


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精養軒での夕食が終わってちょうど18時。ゆっくりと上野公園を散策しながら文化会館に向かいました。
都響の素晴らしいブルックナーの交響曲第2番については昨日の記事のとおり。
充実した上野での芸術体験でした。



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エル・グレコ礼賛!その1@東京都美術館 2013.1.22

昨年から楽しみにしていたエル・グレコ大回顧展が東京・上野の東京都美術館で1月19日から4月7日まで開かれています。大阪で開催中のときから待ち遠しかったので、早速、出かけてみました。入場チケットは既に昨年、1枚905円(905=グレコ、語呂合わせの料金)でネットで購入済みです。エル・グレコの作品は大原美術館の《受胎告知》を見て、感銘を受け、さらに大塚国際美術館の陶板画を見て、いつかはトレドに行って、鑑賞しようと心に決めました。それほど、saraiにとって関心度の高い画家です。そういうわけで、エル・グレコ大回顧展のことを知って、この日を待ち望んだわけです。
心配したのは、美術館が混雑するのではないかということで、雪が降る気象予報のあった、この日が最善だろうと判断して、出かけましたが、案の定、混雑はありませんでした。もしかしたら、日本では、エル・グレコはそんなに人気が高くないのかもしれません。
入場するには、ネット購入時にプリンターで印刷したA4の紙を渡せば、OKです。代わりに入場チケットをもらえました。


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今回のエル・グレコ大回顧展の目玉は何といっても《無原罪のお宿り》ですが、まあ、あせらずに順番に見てまわりましょう。
全体の展示は以下のように区分されています。
 1.肖像画家エル・グレコ
 2.肖像画としての聖人像
 3.見えるものと見えないもの
 4.クレタからイタリア、そしてスペインへ
 5.トレドでの宗教画:説話と祈り
 6.近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として

まずは、肖像画の展示です。
見始めると、すぐに絵画のレベルに大きな差があることに気が付きます。配偶者に「玉石混淆だね。」って言うと、たしなめられました。「最低でも普通以上のレベルでしょう!」ということです。確かに傑作とは言えない作品もまあ、普通の作品のレベルではあります。ただ、イタリアのベネチア派の巨匠の作品と比較すると、見劣りしてしまうものも散見されます。大雑把に言えば、1600年以降の作品は傑作が多いようです。以下でご紹介する作品はsaraiが傑作またはよい作品と認めたものです。あくまでもsaraiの審美眼で選択したことにご留意くださいね。

これは《芸術家の肖像》です。1595年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。さすがに力のこもった自画像で、存在感のある作品です。


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これは《修道士オルテンシオ・フェリス・パラヴィシーノの肖像》です。1611年の作でボストン美術館所蔵です。深い精神性を感じさせられる顔の表情が素晴らしい作品です。ほとんど、モノクロームに近い色使いも素晴らしいです。


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これは《燃え木で蝋燭を灯す少年》です。1571-72年頃の作でコロメール・コレクション所蔵です。ちょっと見た目には、ラトゥールを連想させる作品ですが、それほどの完成度の作品ではありません。こんな絵も描いたんだなと驚いた作品です。


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これは《白貂の毛皮をまとう貴婦人》です。1577-90年頃の作でグラスゴー美術館(ポロック・ハウス)所蔵です。とても美しい作品ですが、どう見てもエル・グレコ作には思えません。一説によると、モデルはエル・グレコの内縁の妻だということですが、そういうプライベートな作品なので、こういう写実的で美しい作品を描いたのでしょうか。saraiの勝手な思い込みでは、この作品はエル・グレコ作ではないことに1票です。


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これは《ある若い騎士の肖像》です。1600年頃の作でプラド美術館所蔵です。これはまあまあの作品ですね。


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これは《ディエゴ・デ・コバルービアスの肖像》です。1586-1600年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。


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この作品の隣に、そっくりの絵が掛けられています。これはコエーリョの作品です。


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saraiはてっきり、エル・グレコの描いた肖像画をほかの画家が模写したものと思い、やはり、模写はうまくないと思いましたが、実際はその逆で、エル・グレコが他の画家が描いた肖像画を元に新たに肖像画を描いたというのが正確なところで、配偶者にそのことを教えられました。エル・グレコは単に模写したのではなく、彼なりの作風で描き直しています。肖像画家としてのエル・グレコの実力を示したものです。

これは《フリアン・ロメロと守護聖人》です。1600年頃の作でプラド美術館所蔵です。白い衣装がロメロで、その上の黒い騎士が守護聖人です。エル・グレコらしい大胆な構図が目を引きます。特に守護聖人の傾けた首の角度が秀逸に感じます。


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鑑賞は続きますが、それは次回で。








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エル・グレコ礼賛!その2@東京都美術館 2013.1.22

東京・上野の東京都美術館でのエル・グレコ大回顧展、1番目のセクション《1.肖像画家エル・グレコ》を見終わり、2番目のセクション《2.肖像画としての聖人像》に移ります。これは聖人の姿を同時代の人間の肖像画と同様に描いたものです。

これは《聖ヒエロニムス》です。1600年頃の作でマドリードの王立サン・フェルナンド美術アカデミー所蔵です。カラヴァッジョなどでも多い題材ですが、より人間的な表現に思えます。もちろん、ヒエロニムスらしい禁欲的で知的な雰囲気をたたえています。


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これは《枢機卿としての聖ヒエロニムス》です。1600年頃の作でロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵です。上の作品と同一題材ですが、同じ時期に描かれたとは思えないほど、上の作品の出来が素晴らしいことに驚きます。これは工房の作品で、エル・グレコ自身の筆があまり、はいっていないのかもしれません。


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これは《福音書記者聖ヨハネ》です。1607年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。これは身体の線の描き方を始め、内から出てくる強い力を感じさせられる、素晴らしい作品です。


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これは《聖パウロ》です。1607年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。これも上の作品と同様なレベルの素晴らしい作品です。


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3番目のセクション《3.見えるものと見えないもの》に移ります。これは生者と死者と置き換えてもいいかもしれません。例えば、生きている聖母マリアと死後に復活したキリストを同一の画面に描き出すということです。

これは《聖母の前に現れるキリスト》です。1585年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。綺麗には描かれていますが、後の時代の作品に比べて、内的なエネルギーに乏しいと感じます。ただ、あまりにマリアが美しいので、そこに惹かれました。


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これは《聖アンナのいる聖家族》です。1590-95年頃の作でトレドのメディナセリ公爵家財団タヴェラ施療院所蔵です。この時期の作品としては、大変、素晴らしい作品です。特に聖母マリアが極めて美しく描かれています。


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これは《悔悛するマグダラのマリア》です。1576年頃の作でブダペスト国立西洋美術館所蔵です。これもよく取り上げられる題材ですが、まだ、この時期のエル・グレコには、後の時代の迫力が不足していると感じます。ただ、こういう作品作成を通じて、芸術性を鍛え上げていったんでしょう。


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これは《フェリペ2世の栄光》です。1579-82年頃の作でエル・エスコリアル修道院所蔵です。この作品は後の傑作を予感させる構図となっていますが、如何せん、エネルギーの噴出がありませんね。絵の上部の神の栄光はとても素晴らしいとは思います。


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4番目のセクション《4.クレタからイタリア、そしてスペインへ》に移ります。エル・グレコは本名ドメニコス・テオトコプーロスのギリシャ人でクレタ島に生まれました。クレタで絵を描き始めた彼はイタリアのヴェネツィア、ローマに渡り、イタリア絵画の技法を身に着けます。そして、スペインで彼は自己の芸術を開花させ、大いなる高みに上りつめることになります。このセクションでは、その変遷を見ますが、どうしてもトレド時代後期の作品に目が行ってしまいます。

これは《羊飼いの礼拝》です。1605年頃の作でバレンシアのコルプス・クリスティ学院総大司教美術館所蔵です。光の効果が不思議に感じる作品です。聖母マリアに顔が明るい光に照らされているのが、とても自然で、まるで、実際に絵にスポットライトをあてている感じです。トレド時代もこの頃になると、エル・グレコの作品は高い芸術性を獲得したものが目立ちます。


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これは《受胎告知》です。1576年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。これはスペインに移る直前にイタリアで描かれたものですが、よい雰囲気の作品です。ただ、まだ芸術的には、これからの感です。


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これは《受胎告知》です。1600年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。上の作品と同一の題材ですが、何という変貌ぶりでしょう。同じ人が描いたものとは思えません。この作品はプラド美術館にある3倍のサイズのオリジナルの絵から、画家自身がレプリカを作ったものです。そのプラド美術館のオリジナルの絵は、マドリードのドニャ・マリア・デ・アラゴン学院付属聖堂主祭壇衝立の中核となっていた作品です。以前、大塚国際美術館でこの主祭壇衝立画を復元したものを見ましたが、それは素晴らしいものでした。オリジナルの主祭壇衝立画はナポレオン戦争で破壊されているので、今や、大塚国際美術館の復元したものでしか見られません。まだ、見ていないかたには、是非、鑑賞をお勧めしたいと思います。そして、sarai自身もプラド美術館にある3倍のサイズのオリジナルの絵を見たくなりました。


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鑑賞は続きますが、それはまた次回で。







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エル・グレコ礼賛!その3@東京都美術館 2013.1.22

東京・上野の東京都美術館でのエル・グレコ大回顧展、4番目のセクションまで見ました。5番目のセクション《5.トレドでの宗教画:説話と祈り》に移ります。エル・グレコが得意とした宗教上のシーンを描いたものです。

これは《瞑想する聖フランチェスコと修道士レオ》です。1590-95年頃の作でヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アンティグア財団所蔵です。実に厳しい作品ですね。あえて、色彩までも抑えた厳しさ、しかしながら、聖フランチェスコはことさら、柔らかいタッチで描かれて、その優しい人柄を感じさせます。とても素晴らしい作品です。


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これは《聖ドミニクス》です。1605年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。上の聖フランチェスコと基本的には同じような描き方ですが、芸術的には、凄い高みに達した作品になっています。身体の線がもっと、くねり、強いエネルギーを発しています。それ以上に、背景の暗い情念は凄まじいばかりです。


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これは《聖衣剥奪》です。1605年頃の作でオルガスのサン・トメ教区聖堂所蔵です。エル・グレコの最高傑作の一つである、トレド大聖堂の《聖衣剥奪》のレプリカの1枚です。オリジナルの大作は凄い迫力でしょう。ううっ・・・是非とも見たい!


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これは《羊飼いの礼拝》です。1610年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。プラド美術館にあるオリジナル作品の縮小バージョンのレプリカです。もともと、エル・グレコ自身の墓所を飾る祭壇画として描かれたもので、大変、芸術性の高いものです。これも・・・オリジナルを是非とも見たい!


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これは《十字架のキリスト》です。1610-14年頃の作で東京の国立西洋美術館所蔵です。日本には、エル・グレコの作品はこのほかには、大原美術館の《受胎告知》があるのみです。エル・グレコの作品は日本には極めて少なく、本美術展の価値の高さが分かります。ただ、日本にあるエル・グレコの作品は、この作品も含めて、非常に素晴らしい作品です。この作品はまた、ゆっくりと国立西洋美術館に見に行きましょう。十字架に掛けられたキリストの身体の逆S字形の線が素晴らしいです。完璧でしょう。


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これは《キリストの復活》です。1600年頃の作でセントルイスのワシントン大学ケンパー美術館所蔵です。トレド後期の傑作群の始まりを告げるような作品です。この後、もっともっと、画面に力がみなぎるようになり、ぞくぞくと傑作が誕生します。


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最後の6番目のセクション《6.近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として》に移ります。このセクションでは、彼の芸術の集大成を見ることになりそうです。

これは《洗礼者聖ヨハネ》です。1605年頃の作でセントルイスのバレンシア美術館所蔵です。これは野性味あふれた作品ですね。ストレートな表現は、この時代のエル・グレコだからこそ、できたと思います。虚飾をすべて、はぎ取ったように感じます。


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これは《聖マルティヌスと乞食》です。1599年頃の作で台南の奇美博物館所蔵です。構図は素晴らしいし、とても美しいですね。その意味では、エル・グレコは最終的な芸術完成の段階に達しています。しかし、ここにはまだ、彼の気魄がこめられていません。虚ろな美と言っては言い過ぎでしょうか。魂の画家、エル・グレコはまだこれからです。


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これは《聖母戴冠》です。1603-05年頃の作でイリェスカスのカリダード施療院所蔵です。これは横幅が2mを超す、超大作です。写真では分かりませんが、楕円形の画面をぐるぐる回る、凄まじい勢いの流れに、見ている自分が巻き込まれそうに感じます。これでこそ、エル・グレコです。saraiはじっと、この絵の前に立ち尽くしてしまいました。感動です!


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これは《無原罪のお宿り》です。1607-13年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。この絵が見たくて、この美術展に足を運びましたが、この絵は期待を超えて、想像を絶する、素晴らしい作品でした。遠くから、一目見て、感動しました。やはり、エル・グレコは天才芸術家です。これまで、数限りない絵画を見てきましたが、この作品を超えるものは何枚あったでしょう。というよりも、最高の芸術作品と並び立つ“美の究極”です。画面上部に描かれている聖母マリアの神々しさには、頭を垂れる思いです。人目がなければ、きっと、跪いて、拝んだことでしょう。この1枚だけでも、この美術展を見る価値があります。(この画像をクリックして、拡大して、是非、ご鑑賞くださいね!)


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ということで、最後の最後に“超感動”が待っていました。素晴らしい美術展に行くことができて、非常に興奮しながらの帰途に着きました。実際はこの後、サントリーホールでマーラーの音楽の感動が待っていました。絵画も音楽も人間が作り出した最高の美の世界です。その両方が味わえた贅沢な1日でした。

まだ見ていないかたには、このエル・グレコ大回顧展に行くことを強く、お勧めします。日本にある間に、超傑作《無原罪のお宿り》を見ないと後悔しますよ! saraiはこうなったら、本当にトレドで《オルガス伯爵の埋葬》を見るのを急がないといけないと強く、心に念じました。







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ターナーの絵は未完成なの?・・・ターナー展@東京都美術館 2013.10.8~12.18

昨日は、室内楽のコンサート:モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲をポール・メイエとアルティ弦楽四重奏団の演奏で聴きました。そのコンサートを聴く前に、東京都美術館で開催されているターナー展を見てきました。来週でターナー展が終わることに急に気が付いて、あわてて、駆け付けた次第です。ターナーの作品はそのほとんどがロンドンに残っていて、中でもテイト美術館に膨大なコレクションがあります。ターナーを見たければ、ロンドンに行くのが早道ですが、ある理由でsaraiはロンドン行を回避しています。当ブログの古くからの読者のかたはその事情はご存じでしょう(笑い)。まあ、そういうわけで、ターナーの作品に注目しているsaraiとしては、日本で見ることのできるターナーの作品展は見逃せないわけです。ましてや、総本山とも言えるテイト美術館からターナー作品が到来するとなると、ますます価値が高まります。

東京都美術館と言えば、エル・グレコ展を見て以来です。あの美術展も素晴らしかったです。ただ、このターナー展に関しては、事前に見たテレビの紹介番組で解説の女性研究者がターナーの作品について気になるコメントを言っていたので、若干、不安を抱きながらの訪問でした。そのコメントは、ターナー作品の到達点であると信じていた茫洋とした光と空気の表現は、実は単に未完成作品ゆえの描きこみ不足という意味の内容でした。テレビを通して聴いたsaraiの思い違いか、あるいはそれが真実なのか、不安と期待の両方を持って、ターナー展に臨みました。

これがターナー展のポスター。大回顧展と銘打っていますから、彼の生涯にわたっての作品が紹介されるんでしょう。


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チケットを窓口で購入しますが、もう割引チケットなどある筈もなく、配偶者と二人分、一人1600円と大変に高額です。さらにいつも気にいらないのは、何故か、日本の美術館はクレジットカードが使えないこと。ヨーロッパの美術館では、ほとんどクレジットカードが使えます。これは是非、今後、改善してもらいたいものです。これが購入したチケットですが、ポスターとほぼ同じデザインです。


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では、saraiの気に入った作品をご紹介しましょう。

初期の作品からです。
これは《月光、ミルバンクより眺めた習作》です。1797年、ターナー22歳頃の作品です。晩年の作品の萌芽が見られる秀作です。月の光の美しさはどうでしょう。あと足りないものと言えば、空気感だけです。海の風景というのもお得意の題材です。


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画像はありませんが、水彩で描かれた《ノラム城、日の出:色彩の習作》を見て、あっと驚きました。これって、ターナー晩年の名作《ノラム城、日の出》とほぼ同じイメージです。これが1845年、ターナー70歳頃の名作です。


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この名作に先立って、50年ほど前の1797-8年、ターナー22歳頃の青年時代に既にほぼ同じものが描かれていたとは、凄い発見でした。思えば、淡い色彩で描かれた光と空気の油彩画は、水彩画で描かれたイメージをもとにしていたんですね。あのターナーの光と空気の表現は水彩画が原点だと、今回の美術展で初めて知りました。

次は戦時下の作品からです。戦争というのは、ヨーロッパ中を揺るがせたナポレオン戦争です。
これは《スピッドヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された2隻のデンマーク船》です。1808年、ターナー33歳頃の作品です。それほど気に入ったわけではありませんが、軍船を多く描いた作品の一つで、手前のダイナミックな海の波の表現が迫力十分で印象的ではあります。


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次はイタリア訪問で描いた作品からです。ターナーは驚くほど、ヨーロッパ各地を旅して、それを絵に残しています。とりわけ、グランド・ツアーの訪問地として名高かったイタリアは繰り返し描かれています。
これは《レグルス》です。1828年、ターナー53歳頃の作品です。9年後の1837年にも補筆して、光をさらに強烈に描きました。レグルスというのは、敵に捕らわれた将軍の名前で、敵が残酷にも彼のまぶたを切り取って、陽光の下に引き出したため、将軍レグルスは一瞬のうちに失明したということです。レグルスが失明の瞬間に見たまばゆい光を描いたのが、この作品です。主役は光そのものですね。ターナーの凄い想像力に感嘆します。


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これは《チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア》です。1832年、ターナー57歳頃の作品です。『チャイルド・ハロルドの巡礼』は詩人バイロンが自身のグランド・ツアーをもとに書いた旅の物語でハロルド青年(少年?)の旅として書かれています。その後、最後の第4編では、バイロンとハロルドが一体化した形でイタリアについて、書いています。この作品はそれにインスピレーションを得た作品です。しかし、そんなことはどうでもよく、この絵を見た瞬間、あっと心の中で叫びました。ここに描かれている笠松って、あの夏目漱石が『坊ちゃん』で書いたいるターナー島の話を連想させます。漱石がロンドン留学中に見たターナー作品って、これじゃないかと思ったら、同じことを思う人もいるようで、絵の横の解説にそのことが触れてありました。これだったかも知れませんね。また、『坊ちゃん』を読み返してみようかな。


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これは《ヴェネツィア、嘆きの橋》です。1840年、ターナー65歳頃の作品です。これはさして、論ずるほどの作品には思えませんが、ターナーもヴェネツィア観光の目玉のようなものを描いているというだけのご紹介です。


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最後に晩年の名作群です。
これは《平和―水葬》です。1842年、ターナー67歳頃の作品です。画家デイヴィッド・ウィルキーは、中東旅行の帰途に船上で死去し、ジブラルタル沖で水葬されました。ターナーはこの画家への哀悼の気持ちを込めて、この作品を描きました。何と言っても、船の中央で炎の爆発のように見える輝かしい夕陽の素晴らしさが印象的です。


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これは《ウォータールー橋上流のテムズ川》です。1830-35年、ターナー55~60歳頃の作品です。テムズ川を描いていますが、主役は大気そのものです。風景を通して、大気、そして、光を描き込んだ傑作です。こういうターナーの作品なしに印象派のモネの存在はなかったでしょう。


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これは《湖に沈む夕陽》です。1840-45年、ターナー65~70歳頃の作品です。これは凄い! ずっと見惚れてしまいました。最後の最後に素晴らしい作品が展示されていました。具象画でありながら、物の形と言ったら、ポツンと点のように見える夕陽だけ。それなのに、心に訴えかけてくるものの大きさはどうでしょう。大変、感銘しました。この作品は専門家の間で、未完成作か完成作か、いまだに議論になっているそうですが、saraiにとってはそんなことはどうでもいいです。この絵が素晴らしいかどうか、そして、見る者に感銘を与えるかどうかが問題です。そして、その答えは自明でしょう。


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テレビの聴いた美術専門家のお話は理解できますが、それは美術を芸術として、感動の対象とする人にとっては、実に的外れなお話でしかありませんでした。やはり、ターナーの光と空気感の傑作群は、芸術を愛する人々に残された大切な宝物でした。

このターナー展は来週の水曜日(18日)までです。まだ、見ていない人は急いで駆け付けましょう。

おまけですが、このテイト美術館からは来年(1.25~4.6)、森アーツセンターギャラリーにラファエル前派の名作群が大挙して、やってきます。これまでも、たびたび、日本にやってきていますが、それだけ、日本でも人気が高いのでしょう。
これがそのパンフレットです。


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やはり、ロセッティは素晴らしいですね。ロセッティの作品が19点も来るそうです。それも名作揃い。
《ベアタ・ベアトリクス》です。妻リジーの死を描いた作品です。


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そして、《プロセルピナ》です。大傑作です。一度見たら、虜になってしまう魔力があります。モデルは愛人関係にあった親友ウィリアム・モリスの妻ジェインです。ファム・ファタールの代表のような女性ですね。


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もちろん、ラファエル前派と言えば、このミレイの《オフィーリア》も欠かせません。この作品もまたまた、来日です。


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配偶者はあきれて、また、同じ絵を見に行くのかって言いましたが、そんな言葉にはめげずにsaraiは行きますよ。ラファエル前派、特にロセッティは大好きですからね。


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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

 

シャヴァンヌ展@Bunkamuraザ・ミュージアム 2014.3.7

今週で終了するシャヴァンヌ展に慌てて出かけました。以前、オルセー美術館でシャヴァンヌの絵を見たときはあまりに能天気な女性ヌード画≪海辺の乙女たち≫に驚き呆れた記憶があります。しかし、何故か、意識の片隅にしっかりと根をおろし、気になる存在になっていました。Bunkamuraで開催されるシャヴァンヌ展のポスターを見たときに急に心に火がついて、見に行こうと思いました。シャヴァンヌについてはオルセー美術館で作品を見た以外にはほとんど知識がありません。シャヴァンヌ展では、きっと美しい作品がぞろっと展示されているんだろうと勝手な思いでいました。

で、シャヴァンヌ展に行った結果は期待外れという残念なことになりました。もっと充実した作品展示があると思っていましたが、何やら未完成作品やら下絵などが多く、期待していた思いっ切り甘美で美しい作品はあまりなかったんです。もっともsaraiの誤解もありました。シャヴァンヌは画家ではありますが、主な対象は壁画制作ということです。そのため、展示作品は壁画のための下絵や壁画の内容をテーマにした絵画が中心でした。壁画そのものが一番の見ものですが、壁画を展示するわけにはいきませんから仕方がありませんね。

主な展示作品をご紹介しましょう。

これは《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》です。1884年から1889年の作品でシカゴ美術館所蔵です。これは右半分の部分です。


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これは同じく《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》の左半分の部分です。


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これらの作品はリヨン美術館の階段室正面部分の壁画と同じ構図の作品です。展示会場にもそのリヨン美術館の大きな写真が展示されていました。特に左半分が幻想的で美しい絵です。水辺に横たわる後ろ向きの女性の美しさにはロマンを感じます。

これは《アレゴリー》です。1848年の作品でクライスラー美術館所蔵です。建築家・牧師・文学者など各分野の3人を描いたものです。シャヴァンヌの他の作品と違い、フレスコ画調ではなく、くっきりとした色彩で描かれています。


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これは《祖国のための競技》です。1885年から1887年の作品で個人所蔵です。アミアン美術館階段の壁面を飾った作品と同一構図の縮小版です。壁画ではどうか分かりませんが、今一つインパクトに欠ける絵です。


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これは《祖国のための競技》の右側にあたる切り取られた部分です。《祖国のための競技》もしくは《家族》と呼ばれています。


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これは《聖ジュヌヴィエーヴの幼少期》です。1875年の作品で島根県立美術館所蔵です。パリの聖ジュヌヴィエーヴ教会(現在のパンテオン)壁画装飾の一環として描かれたものです。よく観察すると中央の小さな少女が聖ジュヌヴィエーヴで彼女の頭に手をかけているのが聖ゲルマヌスです。パリの守護聖人になる聖ジュヌヴィエーヴを聖ゲルマヌスが見出し、聖人としての生涯を送ることを告げている瞬間を描いています。リヨン出身のシャヴァンヌがイタリアの初期ルネサンス様式でパリにゆかりの場面を描いた作品、シャヴァンヌならではの作品と言えるでしょう。


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これは《幻想》です。1866年の作品で大原美術館所蔵です。女流彫刻家クロード・ヴィニョンの邸宅のために描かれた4点の装飾画のひとつです。クロード・ヴィニョンの邸宅は取り壊されて4点の装飾画は取り外されることになりました。この《幻想》以外の3点は《瞑想》、《警戒》、《歴史》という作品です。いずれも素晴らしい作品です。  


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これは《羊飼いの歌》です。1891年の作品でメトロポリタン美術館所蔵です。理想郷アルカディアを描いたものです。人物それぞれがお互いに無関心というのは、古代の理想郷と現代は相通じるというのかと首を傾けてしまいます。


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展覧会を見終わって、えっ、これだけなのっていうのが正直な感想でしたが、考えてみれば、各地の壁画を一挙に見られたと思えば、まあ、よかったのかも知れませんね。今後、現地で見られるものはこれを参考に見ていきましょう。





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ジャンル : 学問・文化・芸術

 

ラファエル前派展@森アーツセンターギャラリー 2014.3.17

この美術展も4月6日で終了するというので、慌てて出かけました。夜はサントリーホールでインバル&東京都交響楽団のマーラー交響曲第9番があるので、その前に見ておきます。美術展の会場は六本木ヒルズですから、最寄りの地下鉄は六本木。サントリーホールは六本木一丁目ですから、美術展の後、歩いて移動できます。

ラファエル前派展は何度も日本で開催されているので、配偶者にまた行くのって呆れられましたが、ラファエル前派が好きなんだから仕方がありません。特にロセッティの絵は大好きです。六本木ヒルズの3階のチケット売り場でチケットをゲット。一人1500円は高いですね。


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この3階からは専用の高速エレベーターに乗って、一気に52階の会場まで上がります。今日はこの52階の別の会場でアンディ・ウォーホル展も開催されています。滅茶滅茶混んでいるわけではありませんが平日の月曜日の夕方にしては人が集まっています。それなりにラファエル前派のファンも増えてきたようです。

ラファエル前派とは、1848年、英国ロイヤル・アカデミー(王立美術院)の付属美術学校で学んでいた19歳のジョン・エヴァレット・ミレイ、21歳のウィリアム・ホルマン・ハント、20歳のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの3人がアカデミズムに反旗を翻して、ラファエルよりも前の初期ルネサンス芸術に回帰しようとラファエル前派兄弟団:Pre-Raphaelite Brotherhoodを結成し、革新的な美術運動を始めたことにその起点があります。
今回の美術展では、ロンドンのテート美術館から72点もの作品、それもとびきりの傑作揃いが来日するので、ラファエル前派の全貌を余すところなく、鑑賞できるでしょう。

ラファエル前派と言ったら、やはり、ロセッティとミレイの二人が気になります。彼らの作品を中心に見ていきましょう。

主な展示作品をご紹介しましょう。

まず、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティです。彼はラファエル前派の創設メンバーの一人ですが、独自の作風に変貌していきます。その創作力の源となったのは2人のファム・ファタル(運命の女)です。最初のファム・ファタルはエリザベス・シダル、通称リジーです。病弱ではかなげな彼女にロセッティは魅入られ、彼女をモデルに次々と作品を描いていきます。ところでロセッティは女性しか描かない画家として知られています。彼の創造力の原点は女性への愛にありました。彼はリジーをダンテの神曲で天上に誘う存在ベアトリーチェと重ね合わせていました。結局、ロセッティの女性遍歴に悩んだリジーはアヘンチンキの多量服用で事故とも自殺とも分からぬ死を遂げます。ロセッティとリジーが結婚して2年後のことでした。リジーの死後、ロセッティは彼女の思い出に捧げる1枚の絵を描きます。それが《ベアータ・ベアトリクス》です。「至福のベアトリーチェ」という意味です。この不朽の傑作によって、リジーは永遠の命を持つことになります。何と言う素晴らしい絵でしょう。


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リジーの死後、ロセッティは2番目のファム・ファタルと恋に落ちます。それは当時、ウィリアム・モリスの妻だったジェーン・モリス(結婚前はジェーン・バーデン)です。不倫と言えば、不倫ですが、この関係はそう単純でもなかったようです。モリスはロセッティへの崇拝の念から、この三角関係を受け入れ、別荘での2人の愛の暮らしを認めました。ジェーンはモリスの妻としての暮らしと別荘でのロセッティとの愛の暮らしという2重生活を送るようになります。そして、ジェーンをモデルにした不朽の傑作が生まれます。それが《プロセルピナ》です。プロセルピナはギリシャ・ローマ神話に登場する女神の娘で冥界の王プルートによって略奪されます。ローマのボルゲーゼ美術館にあるベルニーニの代表作「プロセルピナの略奪」はとても大理石彫刻とは思えない柔らかい肉感に満ちていたことを思い出します。ともあれ、冥界に略奪されたプロセルピナは柘榴の実を食べてしまったために1年の半分は冥界で過ごさなければならなくなってしまいました。ジェーンの2重生活とプロセルピナのそれが重なっています。それにしても、ロセッティの描いたジェーンの途轍もない美しさは素晴らしいですね。美を飛び越して、凄みとも思えます。実にデモーニッシュな絵画です。


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今回の美術展では、《ベアータ・ベアトリクス》と《プロセルピナ》が2枚並んで、最後に展示してありました。長い間、2枚を見比べて、ため息をついていました。いずれも不朽の傑作です。どちらも美の極致と言えます。素晴らし過ぎて、眩暈がしてしまいます。今回の美術展は極論すれば、この2枚を見れば、それがすべてと思われます。天才画家が自分の身を削るようにして描き上げた芸術作品は圧倒的な魅力に満ちていました。

気を取り直して、ロセッティのほかの作品も見ておきましょう。今回、17作品も持ってこられたようです。
これは《受胎告知(見よ、われは主のはしためなり)》です。受胎を告げられるマリアのはかなげな様子がたまりません。モデルは妹のクリスティーナ。彼女は後に詩人になったそうです。画面全体が白が基調になっているのもよい雰囲気ですね。


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これは《ダンテの愛》です。ウィリアム・モリスが自ら内装を手がけたレッド・ハウス(モリスとジェーンの屋敷)の長椅子の扉に描かれたパネル画で未完に終わりました。ダンテの神曲のベアトリーチェを主題に愛こそすべてと寓意的に描いた作品です。難解な作品ですが、何か心に残る作品です。


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これは《最愛の人(花嫁)》です。ヴェールを持ち上げ、最愛の人を見つめる眼差しはまぶしいですね。聖書に題材をとった作品です。花嫁はもとより、付添人もみな美しいです。


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次はジョン・エヴァレット・ミレイです。何と言っても《オフィーリア》が有名です。モデルはロセッティの妻になるリジーです。ミレイが23歳のときの作品。青年ミレイの不朽の名作です。ロンドンに留学していた夏目漱石が小説《草枕》のなかでこの作品に言及しているのは興味深いところです。最初はこの絵はあまり気に入らなかったようですが、だんだんとその魅力に気が付いていったというくだりがあります。


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これは《安息の谷間》です。二人の修道女を描いた作品ですが、実に緻密に描かれています。写実的にも思えますが、見ようによってはシュールな絵画にも思えるような雰囲気を湛えた魅力ある作品です。


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これは《両親の家のキリスト》です。キリストの父ヨセフの大工の仕事部屋で掌に傷を負ったキリストと労わるマリアが描かれている珍しい構図の作品です。この作品は文豪ディケンズに「醜悪で不快の極致」と酷評されます。そんな窮状を救ったのが批評家ジョン・ラスキンでした。ラスキンの擁護にも助けられ、この作品の2年後に発表したのが《オフィーリア》でした。しかし、ミレイにとってラスキンとの出会いはもっと運命的なものをもたらします。ラスキンの10歳年下の美しい妻エフィと恋に落ちたのです。離婚訴訟を経て、ミレイとエフィは幸せな結婚を果たします。しかし、結婚後、生活を支えるために売れる作品作りに励んだミレイはそれまでの緻密な表現を捨てます。芸術に命を捧げたロセッティと幸せな後半生を送ったミレイ、果たして、どちらが人生を全うしたと言えるのでしょう。ミレイの代表作は結婚前の作品がほとんどです。


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これは《マリアナ》です。極めて緻密に描かれた傑作です。この腰を伸ばしている婦人の官能美はどうでしょう。着衣ゆえの官能美ってあるんですね。


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次はロセッティ、ミレイ以外の作品も何点か見ていきましょう。

これはウィリアム・ホルマン・ハントの《クローディオとイザベラ》です。ハントはラファエル前派を立ち上げた創設メンバーの一人。この作品はシェークスピアの戯曲に基づくものです。領主代理から修道女になった妹が自分に純潔を捧げれば、死刑判決を受けた兄の命を助けると言われます。画面では妹が兄に運命を受け入れるように諭しています。人物の内面表現が見事です。


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これはアーサー・ヒューズの《4月の恋》です。ヒューズはミレイに強く魅かれていた画家で、この作品もミレイを思わせる緻密な表現が見事です。女性の背後には影のように恋人が描かれていますが、美しい女性を中心に据えた表現は素晴らしいですね。女性の初々しい恋心が画面いっぱいに広がっています。


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これはヘンリー・ウォリスの《チャタトーン》です。一目見てぎょっとする作品です。詩人チャタトーンの自殺の場面です。蝋のように青白い顔に視線が釘付けになります。実にリアルな表現に驚愕です。


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これはエドワード・バーン=ジョーンズの《「愛」に導かれる巡礼》です。バーン=ジョーンズはロセッティに憧れていた画家でロセッティの手ほどきを受けます。親友のウィリアム・モリスも加わって、第2次ラファエル前派とも言うべきグループになります。やがて、バーン=ジョーンズはロセッティの影響から次第に離れ、独自の神秘的な作風に変わっていきます。4度にわたるイタリア旅行でボッティチェリやミケランジェロの影響を受けるようになります。彼の幻想的な作風は世紀末の象徴主義に大きな影響を与えることになります。
この作品はイギリスの詩人チョーサーのフランス寓意詩「薔薇物語」の翻訳に基づくものです。愛の神に目を弓で射られ、薔薇に恋をする詩人(巡礼)が愛の神に導かれて、茨から出て、薔薇のほうに向かう様を描いています。薔薇は痛みと喜びの両方をもたらす存在です。


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今回の美術展は実に充実したものでした。ご紹介していない作品にも素晴らしいラファエル前派の作品が多数ありました。一見の価値があります。





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デュフィ展@Bunkamuraザ・ミュージアム 2014.7.21

今年3月に見たシャヴァンヌ展でデュフィ展の早割チケットを購入しておきました。当日券が1500円/一人のところ、2人分が2200円というお得なチケットでした。その後、長期のヨーロッパ遠征中にデュフィ展が始まり、帰国後も何かと忙しく、あっと気が付いてみれば、デュフィ展の会期ももう1週間を切っていました。慌てて、サントリーホールでのインバル+都響のマーラー交響曲第10番の感動を引きづりながらも、渋谷に向かいました。
夕方の4時過ぎでしたが、休日のせいか、デュフィ展はたくさんの人で賑わっていました。

デュフィと言えば、色んな美術館でよく見ることはありましたが、いずれも1点か2点ほど。あまり、まとまって見た覚えはありません。以前、パリの市立美術館やポンピドゥー・センターではまとまって見たのかも知れませんが、ずい分、昔のことで、《電気の精》を見た記憶くらいしかありません。
デュフィの作品の印象は色彩が豊かで、お洒落な構図という感じ。強いインパクトはないものの美的感覚をくすぐられるという雰囲気です。今回はまとまって見ることで、彼の美の本質に迫ることができるでしょうか。

今回のデュフィ展は作品がほぼ作成年代順に並べられていました。若い頃の作品はどう見てもデュフィには思えない作品ばかり。色調も暗く、写実的です。次第に印象派的な傾向になりますが、デュフィらしさはその片鱗もありません。
初めに変化が現れるのは、マティスの影響を受けたときです。以来、彼の作品には、どこかしら、マティスの雰囲気がずっとあらわれ続けます。また、青騎士を思わせる作品も現れますが、これは長続きはしないようです。

これが典型的な作品です。《ニースの窓辺》です。1928年の作品で島根県立美術館所蔵です。決定的にデュフィらしさが感じられるのは全体の色調が青に統一されていることです。青はデュフィが得意にしていた色だそうです。また、構図が縦長の3枚の絵を並べたようになっているのも、その後のデュフィの作品に現れる特徴の一つです。


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その後、セザンヌの影響を受けます。立体を面で構成するような描き方です。面は色彩のべた塗りのような描き方です。デュフィはこれをセザンヌとは違う方向に拡張していきます。画面をいくつかの色彩で分割していくような構成です。この方向でデュフィの絵画は完成します。

これは《馬に乗ったケスラー一家》です。1932年の作品でロンドン・テート美術館所蔵です。これって、一種の集団肖像画ですが、レンブラントなどとは何と方向性が違うことか。これもデュフィ得意の青が色調のベースになっています。輪郭線は明確に描かれていますが、色彩はその輪郭線をはみ出すような勢いです。この後に描かれる絵画はこの傾向が一層顕著になっていきます。


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この頃、デュフィは既に55歳です。これでデュフィの画風が確立します。良くも悪しくも、これがデュフィです。その後、大きな画風の変化はありません。絵のモティーフが変わっていくだけだと思えます。その後のモティーフの一つが音楽です。モーツァルト、ドビュッシーなどを作品化しています。

これは《クロード・ドビュッシーへのオマージュ》です。1952年の作品でアンドレ・マルロー近代美術館所蔵です。正直、これがドビュッシーのイメージと言われても、とても違和感があります。デュフィらしさは十分に見られる作品ですから、それはそれで結構ですけどね。そもそも音楽を絵画であらわす試みは誰も十分に成功しているような気はしません。


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これは《ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ》です。1952年の作品でパリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)所蔵です。これも素晴らしいデュフィ作品ですが、これがバッハとはね・・・。ヴァイオリンが描いてあるところを見ると、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ(ソナタ)を連想しますが、それならば、静謐さを描いてほしいところです。赤い色調は違和感があります。題名が《ヴァイオリンのある静物》だけなら、いいのにね。


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どうも彼の思考と作品はちぐはぐになってしまうことも多いように感じました。デュフィらしい画風で素直に描き込んだ作品はなかなか素晴らしいので、残念にも感じてしまうところ、大でした。

ネガティブな評価を書きましたが、saraiはデュフィの作品はそれでも好きなんですよ。美しい色彩感には舌を巻いてしまいます。今回のデュフィ展でも美しさを堪能した作品は多かったんです。デュフィ展全体を通すと、少し、がっかりという感じに思えてしまったのが実感でしたが、sarai好みの作品10点ほどを並べた展示会ならば、大感激だったかもしれませんでした。



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フェルメールとレンブラント展@森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ) 2016.3.24

まだ見たことのないフェルメールの作品がやってきたということで久々に美術館に出かけることにしました。六本木ヒルズの52階にある森アーツセンターギャラリーで開催中の《フェルメールとレンブラント展》です。タイトルには少し違和感があります。何故って、フェルメールとレンブラントの作品はそれぞれ、たった1点きりですからね。とは言え、saraiの目的はあくまでもフェルメールの1点狙いですから、それはそれで構いません。事前にこれまでsaraiが見たフェルメールの作品はどれくらいあるのかチェックしてみました。国内でのフェルメール展とヨーロッパの美術館で見たフェルメールです。フェルメールと言えば、アメリカの美術館に多く所蔵されているので、今後ともアメリカに行くつもりのないsaraiは見られない作品があります。ウィキペディアでチェックすると一応、フェルメールの作品数は37点ということになっています。このうち、saraiがはっきり見たことが分かっているのは23点でした。今回見る作品はニューヨークのメトロポリタン美術館からの出展なので、見逃せません。これで24点目になります。
これが《フェルメールとレンブラント展》のパンフレットです。もちろん、目玉のフェルメールがバーンと印刷されています。

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チケットは一人1600円。配偶者と二人ですから高額です。しかも見たい作品は1点のみ。

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入館して、軽くささっと展示作品を見ながら、心はフェルメールに一目散です。中ほどにフェルメール展示室があります。おおっ、意外に空いていますね。日本でのフェルメール人気も以前ほどではないのでしょうか。
ともあれ、ぐぐっと作品に近づいて、食い入るように鑑賞します。

《水差しを持つ女》です。1664年 - 1665年頃に描かれたフェルメール32~33歳頃の作品です。

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パッと見た印象はフェルメールにしては少し精密さに欠けるという感じ。しかし、じっと見ていると、その第1印象は違って見えてきます。特に女性の頭巾を透かして光が顔を照らしている美しさは何とも言えない素晴らしさ。画面全体の気品あふれる感じはフェルメールの全作品のなかでも1、2を争います。《天秤を持つ女》と似たような上品さですね。
女性の視線はどこを見ているのか、定かではありません。saraiの勝手な思いでは光の差してくる窓の向こう・・・永遠の深淵を覗いているのではないかと感じます。無論、彼女の視線を通して、フェルメールが永遠の一瞬を画面に捉えようとしています。永遠の空間にはあふれんばかりの光が輝いているのでしょう。そういうとりとめのない考えがこの絵画を見ていると頭の中に浮かんでは消え、また、新たな想念が浮かびます。
フェルメールの作品では、《デルフトの眺望》と《牛乳を注ぐ女》の2点が一番好きですが、次いで好きな作品として、この《水差しを持つ女》と《天秤を持つ女》が並ぶことになりました。

美しい作品を見て、とても満足できる時間が持てました。



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超混雑!!でも必見!!若冲展@東京都美術館 2016.4.27

うかつにも、生誕300年記念の物凄い若冲展が開催されることを直前まで気が付かなかったsaraiです。配偶者が友人から聞き付けてきたので、半信半疑でチェックしたところ、空前絶後の規模の展示会です。これは何としても大型連休に入る前に駆けつけないといけないと思い、夕方の混雑が少しでも緩和される時間帯を狙って、東京上野の東京都美術館の出かけました。着いたのは午後3時半頃ですが、入場は30分待ちでした。ほぼ予想通りです。いやはや、大変な人出です。しかし、本当に大変だったのは入館後の大混雑です。作品の前に大勢の人が群がっていて、全然動きません。後ろの方から作品の6~7割の部分だけを見るのがやっとですが、それでも何とか全作品を見ることができました。素晴らしい作品群です。特に初めて見た動植綵絵30幅の見事さには圧倒されました。
特に印象的だった3つの作品をご紹介しましょう。

《群鶏図》です。凄まじい構図です。そして、あふれかえるような色彩です。さらに、若冲の特徴である徹底した精密な写生が素晴らしいです。

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《芦雁図》です。これは驚くような構図ですね。芸術性では動植綵絵中、随一かもしれません。それにとても美しい!


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《牡丹小禽図》です。鮮やかな花の色彩の乱舞に魅了されます。

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雪と鶏を描いた作品もまとめて見られます。夢のようです。

細見美術館所蔵の《雪中雄鶏図》です。以前、京都の細見美術館を訪れた際、よそに貸し出し中で見られずに悔しい思いをした作品ですが、遂にここで見ることができました。構図も素晴らしいですが、何といっても若冲の描く鶏は美しいですね。

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京都・両足院所蔵の《雪梅雄鶏図》です。これは両足院の特別公開で見た作品です。これも雪と梅と鶏、いずれも素晴らしいです。配偶者は鶏の鶏冠の赤と梅の花の赤の色彩が見事にマッチしていると感心していました。

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岡田美術館所蔵の《雪中雄鶏図》です。saraiはこれらの3枚中、最高の一作と感じました。鶏冠の赤の色彩が見事に際立っています。それに鶏のうねるような形状の美しさに感嘆します。

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最後に、米国から再びプライス・コレクションがやってきたことにびっくり。2013年9月に東日本大震災復興支援で開催され、これが最後の来日だというプライス・コレクションの若冲展に、saraiはわざわざ車を飛ばして福島県立美術館まで出かけたんです。その折にたっぷりと《鳥獣花木図屏風》を拝見しました。ここで再会するとはね。さっと見ましたが、やはり素晴らしいですね。以前紹介済なので、ここではこれ以上触れません。そのときの記事はここです。

超混雑でゆっくりと見られなかったのはとても残念でしたが、若冲の素晴らしい作品群に接してsaraiは大満足です。図録を購入して、今でも今日見た作品を振り返って、楽しんでいます。
ちなみにシニア料金でとてもお得に見られたのも嬉しいことでした。5月10日に一部の作品の入れ替え展示があるので、体力と暇があれば、混雑にめげずにもう一度出かけたい気持ちです。




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ビュールレ・コレクションの美少女と根津美術館のかきつばた(1)

先週と今週、東京交響楽団と読売日本交響楽団のサントリーホール定期のシーズンが開始しました。芸術は音楽だけではなく、美術もあります。世界の美しいものを聴き尽す&見尽くすというのがsaraiの信条です。サントリーホールに行く前に美術鑑賞を楽しみました。

一度目はサントリーホールでのピリスのサヨナラ公演の前に六本木の国立新美術館で開かれているビュールレ・コレクション展に出かけました。ビュールレ・コレクションと言えば、8年前に初めて、チューリッヒに行ったとき、その計画段階で以下のようなブログ記事を書きました。

====2010/06/16====
チューリッヒ美術館は気になるところですが、これは時間あればという感じですね。本当は個人の美術コレクションであるビュールレ・コレクションが1番行きたいところですが、残念ながら、少なくとも、今年の8月まではCLOSEDというインフォメーションがそのサイトに出ています。有名なルノアールのイレーヌ嬢の絵が見たかったなあ。ルノアールの少女を描いた作品のなかでも最高の1枚ですね。実はこのイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の絵画は現在、日本で公開中です。ただ、大阪でのみ展示だとのことで、saraiも見には行きたいなあとは思っているんですが、スケジュール的に難しそうですね。お近くのかたは是非、見に行かれて、感想をお寄せください。
=============

実はこれ以降もチューリッヒに行く機会にビュールレ・コレクションのスタッフにメールでコンタクトしてチャレンジもしましたが、そのときは月に1回の予約公開はスケジュールが合わずに断念したりしました。本当にイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の絵に恋い焦がれていたんです。

遂に永年の夢を実現するときがやってきました。六本木に地下鉄で到着して、逸る心を抑えて、まずは紅茶とケーキで体力をつけます。六本木でお茶と言えば、やはり、saraiの世代ではアマンドでしょう。いつも交差点の角のピンク色のお店を見るだけでしたが、ようやく初体験です。平日の昼下がりで2階席は結構空いています。窓際の席に陣取り、六本木の交差点の賑わいを見下ろします。ケーキセットを注文。saraiはモンブラン。配偶者は名物のリングシュークラシック。美味しくいただきました。意外に簡素な店内の様子に拍子抜けしました。

元気が出たところで国立新美術館に向かいます。初めて美術館通りを歩きましたが、色んなお店が軒を並べていますね。肝心の国立新美術館はビュールレ・コレクション展は会期が長いせいか、それほど混んではいません。高額料金のせいで、客足ももうひとつなのかもしれません。至上の印象派展と銘打っているのに、1枚目がフランス・ハルスの肖像画というのも違和感がありませすが、肖像画コーナーの7枚の絵画もレベル高しです。4番目のセクションから、ようやく印象派の作品が始まります。マネ、モネ、ピサロ、シスレーと並びます。シスレーの作品がセーヌ川付近ではなく、ロンドンの風景というのにはびっくり。5番目のセクションに至り、遂にお目当てのルノワールのイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢があります。この作品を実物で見ると、顔が素晴らしくよく描けていることが分かります。それ以外は平凡ですが、少女の顔の美しさは群を抜いています。じっと永年の夢だった美少女の顔を見入ります。多分、薄塗で何重にも重ね描きしたんでしょうね。とても透明感のある肌が丁寧に描かれています。やはり、ルノワールの少女の肖像では最高の作品です。この作品の画像はここです。

残りは余裕で見て回ります。セザンヌの6枚の作品がどれも素晴らしいです。今更ながら、セザンヌの天才ぶりに感心しました。ゴッホの一連の作品も見ごたえあるし、ブラックのキュービズムの作品もよく、ピカソの天才ぶりも見事です。全部見終えて、再び、美少女のもとに戻ります。やっぱり素晴らしいです。ルノワールの作品ではムーラン・ド・ラ・ギャレットと優劣つけがたい傑作です。美しさではイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢、心の浮き立つ幸福感ではムーラン・ド・ラ・ギャレットですね。

国立新美術館からは歩いてサントリーホールに行きます。六本木通りを歩くと、意外に近いですね。

昨日のサントリーホールでの読売日本交響楽団のサントリーホール定期のシーズン開始プログラムに先立って、訪れた根津美術館の光琳と乾山という特別展についても書くつもりでしたが、夜が更けたので、明日のコンサート記事の後で書きます。悪しからず。



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ビュールレ・コレクションの美少女と根津美術館のかきつばた(2)

先週と今週、サントリーホールに行く前に美術鑑賞を楽しみました。前回は六本木の国立新美術館で開かれているビュールレ・コレクション展でルノワールの描いた究極の美少女、イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢について、書きました。今回は表参道近くの根津美術館で開かれている光琳と乾山という特別展について書きましょう。

緒方光琳の代表作と言えば、紅白梅図と燕子花図の2枚でしょう。いずれも国宝に指定されています。熱海のMOA美術館にある紅白梅図はずい分前に見ましたが、燕子花図はこれまで気になっていましたがまだ見ていません。時期を選ばないと公開されていませんから、機会を逸していたんです。先日、配偶者が見て!、見て!と言いながら、出先から持ち帰ったパンフレットを見せてくれました。根津美術館で光琳と乾山という特別展があり、燕子花図と庭園のカキツバタを楽しめるそうです。5月13日までの開催なので、できれば、4月下旬以降のカキツバタの咲く時期に行きたいものです。サントリーホールに行く予定をチェックしてみると、何と翌日の読売日本交響楽団のサントリーホール定期が最後のチャンスです。まだ、カキツバタは咲いていないかもしれませんが、光琳の燕子花図でカキツバタを見ればいいでしょう。機会を逸するとまた今年も見損ねます。よし、行こう。

と言うことで、半蔵門線の表参道駅に降り立ちます。ところが時間を読み間違えて、入館時間ぎりぎりです。急いで根津美術館に向かいます。数分前に到着。間に合いました。とは言え、閉館時間の5時までに30分しかありません。1300円のチケットを2枚購入し、すぐに入館。入るとすぐに大きな燕子花図が展示されています。六曲一双の屏風です。

これが左屏風。

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これが右屏風。

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想像していたものとかなり異なります。まず、第1印象は繊細さがなく、素朴な感じです。で、よくよく眺めます。ちょうど絵の正面にソファが置いてあり、ゆっくりと眺められます。すると力強くて、リズム感に満ちた表現であることが実感できるようになります。デザイン的な作品であることは以前から分かっていましたが、何かデジャヴのような感覚があります。何でしょう。そうだ・・・これって、フォーヴィズムだということにはたと思い当たります。アンリ・マティスの「ダンス」を200年も先取りしたような作品が日本で生まれていたんですね。躍動するリズムが絵画で表現されています。これはまさに音楽です。それに原初的な野生の力強さが圧倒的です。意匠的な構成はある意味、抽象画の先駆けをも感じさせます。長谷川等伯の松林図にみられるような日本的な幽玄の美の対極・・・西洋的な明快さと野生美が横溢しています。うーん、凄いね。日本美術の底力を思い知りました。光琳、等伯、若冲、北斎と並べると、ゴッホ、フェルメール、ボッティチェリ、カラヴァッジョというsaraiの愛するヨーロッパ絵画にも匹敵する強力布陣です。世の東西を問わず、美しいものは美しいことを再確認しました。

配偶者は緒方光琳の作と伝えられる秋草図屏風がいたく気に入った様子でした。花好きの配偶者が好みそうな作品です。saraiも文句はありません。正統派の屏風です。ですが、どこか、光琳作でないような気もします。まあ、誰が描いたとしても美しいものは美しいですけどね。

あとはざっと光琳とその弟の乾山の作陶した作品を見ました。まあ、贅沢な陶器ですね。あきれて眺めました。閉館間近のアナウンスが流れたので、急いで、庭園に出ます。麻布、六本木界隈にこんなに広くて、贅沢なお庭があるのは知りませんでした。広大なお庭を下っていくと、弘仁亭という茶室の前の池に数輪のカキツバタが咲いています。たしかに先ほど見た光琳の燕子花図のとおりの花です。

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妙なことに感心しながら、後から来た配偶者と一緒にカキツバタを眺めます。今週末にはかなり咲きそうですね。

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池を巡って、反対側からもカキツバタを眺めます。光琳が描いたとおりの花です。もっとも光琳が描いたのは京都だったようです。光琳は江戸に5年ほど滞在しますが、それ以前に描いた初期の作品だったようです。

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そうこうするうちに閉館時間になったことを告げるアナウンスが流れます。できれば、もっとゆっくり、お庭を拝見したかったところです。
美術館を出ようとすると、入り口にこんなものがありました。ご親切ですね。

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さて、サントリーホールに向かいます。表参道の駅から銀座線の地下鉄に乗ってもいいのですが、まだ、今日の開演までには時間がたっぷりあるので、歩きましょう。美術館通りを歩くと、骨董通りにぶつかります。そこで左に折れて、まっすぐ進むと首都高速が見えてきます。六本木通りです。六本木通りで左に折れて、六本木通りをまっすぐに進むと、六本木の交差点のアマンドが見えてきます。1週間ほど前に入ったカフェですね。そのまま直進すると六本木1丁目。歩道橋に上がると、そのまま、アークヒルズに入れます。最近、アークヒルズの3階に新しくレストランフロアがリニューアルオープンしました。先週は日本橋 天ぷらめし 金子半之助で天ぷらごはんをいただきました。今日は別のお店にしましょう。日本橋海鮮丼 つじ半のぜいたく丼にします。いや、なかなか美味しいです。これでサントリーホールでもご飯に困ることはなくなりました。次は金沢かつぞうでとんかつかな。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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