後半はブラームスの主題と変奏。これは弦楽六重奏曲第1番で有名ですね。ピアノで聴くことは滅多にありませんが、ロマンティックで美しい演奏に聴き惚れます。続くクララ・シューマンの作品も美しい演奏ですが、これは軽く聴き流し、シューマンの名曲、ピアノ・ソナタ第2番に耳を傾けます。第1楽章は不思議な速度指示があることで有名ですが、藤田真央はあまり、そういうことに拘泥した演奏でなく、シューマンの祝典的とも思える音楽を高らかに奏でます。続く第2楽章が一番の聴きものでした。ここでも美しい響きの弱音で実にロマンあふれる抒情を歌い上げます。そのしみじみとした憧れこそ、シューマンの本質です。こういうシューマンを聴くと嬉しくなります。第3楽章は一転して、ほがらかな音楽の表情。間を置かずに第4楽章に突入。熱い演奏でしめくくります。素晴らしいシューマンでした。
アンコールは何故か、ラフマニノフ。どうせなら、前奏曲あたりを弾いて欲しかったところです。あっ、第2曲は前奏曲だった・・・。最後のアンコール、モシュコフスキはまさに名人芸。あまりの凄い演奏に驚愕しました。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
ピアノ:藤田真央
ショパン:2つのノクターン Op.48
ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
リスト:バラード 第2番 ロ短調 S.171 R.16
《休憩》
ブラームス:主題と変奏 ニ短調 Op.18b
クララ・シューマン:3つのロマンス Op.21
ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.22
《アンコール》
ラフマニノフ:幻想的小品集 Op.3 全曲
第1曲 エレジー 変ホ短調
第2曲 前奏曲≪鐘≫ 嬰ハ短調
第3曲 メロディ ホ長調
第4曲 道化師 嬰ヘ短調
第5曲 セレナード 変ロ短調
モシュコフスキ:名人芸の練習曲(15の練習曲) Op.72 から 第11番 変イ長調
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のショパンの2つのノクターン Op.48を予習したCDは以下です。
イリーナ・メジューエワ 2009年7月、9月、10月 新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音
繊細でありながらもしっかりした構築の演奏で聴き入っていまいます。
2曲目のショパンのバラード 第3番を予習したCDは以下です。
マウリツィオ・ポリーニ 1999年4月 ミュンヘン、ヘルクレスザール セッション録音
ポリーニですから、文句ない演奏。
3曲目のリストのバラード 第2番を予習したCDは以下です。
クラウディオ・アラウ 1969年3月 セッション録音
アラウの重厚感のある響きに魅了されます。
4曲目のブラームスの主題と変奏を予習したCDは以下です。
田部京子 2011年8月22日、23日、25日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音
田部京子のブラームス:後期ピアノ作品集の中に含まれています。後期作品と同様に詩的な表現に魅せられます。
5曲目のクララ・シューマンの3つのロマンス Op.21を予習したCDは以下です。
ヨゼフ・デ・ベーンハウアー 2001年8月 セッション録音
ベルギーの熟練ピアニストであるヨゼフ・デ・ベーンハウアーの『クララ・シューマン (1819-1896):ピアノ作品全集』(CD3枚)に含まれています。ロマンティックで美しい演奏です。
6曲目のシューマンのピアノ・ソナタ 第2番を予習したCDは以下です。
スヴィヤトスラフ・リヒテル 1962年 ウクライナ、キエフ ライヴ録音
リヒテルの絶頂期の演奏。東側での録音としては上々の音質でリヒテルらしい突っ込んだ演奏が聴けます。なお、このCDはウクライナ出身のリヒテルがウクライナのキエフで1958年から1982年にかけて収録したライヴ録音を17枚のCDにまとめたものです。
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