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旅はオランダから~アムステルダムからデン・ハーグへ、いざ、フェルメール!

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/1回目

旅の3日目です。

アムステルダム2日目の朝。太陽は見えません。昨日は素晴らしい朝日だったのに残念です。昨日の残りのパンを食べながら、出かける準備をします。ところで、今朝は牛乳があります。というのも、以前にアムステルダムに来た時に配偶者が牛乳と思って買ったものが、飲むヨーグルトだったことをお友達のレイネさんに話したところ、いろいろ牛乳について伝授されたのです。牛乳は、濃い牛乳、普通の牛乳、酸味のある牛乳(以前に配偶者が買ったのはこれだろうとのこと、夏場は美味しいらしい)の3種類あり、文字表示もあるがケースや蓋の色が違うそうです。濃い青、水色、オレンジ色とのこと。というわけで、ちゃんと水色の蓋の牛乳をゲットできたのです。

今日はアムステルダムを引き払って、デルフトに移動します。ドアはもう鍵をかけなかったので、すんなり開きます。ようやく慣れてきたのにお別れとは残念です。鍵は、部屋の机の上に置いておくようにとの大家さんの指示なので、もちろん鍵もかけません。宿を出ると、トラムの走る大通りは寒々しく、閑散としています。


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改めて、宿の建物を全景を見てみます。煉瓦造りの4階建ての大きな建物です。宿の入口は建物1階中央の2つのドアのうちの左側です。建物全体が宿ではなくて、ほんの一部が宿に利用されているようです。


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我々の泊まったのは最上階の杭の突き出した部屋です。トラブルもありましたが、部屋に入れば快適な生活でした。ほぼ専用のサウナもあり、何といってもアムステルダムでは格安の料金でした。


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宿の真ん前の停留所Cornelis Schuytstraatからトラムでアムステルダム中央駅に移動です。乗り換えなしで駅まで行けるので便利です。バス・トラム用のSUICAもどきのカード、OVチップカールトをゲットしているので、乗り降りの時にチャリンとするだけでとっても便利です。現地の方は、皆利用してます。観光客は、乗るときに運転手から現金でチケットを購入してます。これが結構手間取っています。観光シーズンは大変でしょうね。
駅に着き、コンコースに入ります。


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コンコースからはエレベータでプラットホームに上がれます。


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鉄道チケットは、お友達に買っておいてもらった1日乗り放題の鉄道チケットがあるので、楽ちんです。プラットホームに上がると、大きなかまぼこ形の覆いが頭上に広がっています。


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5分ほどでIC(インターシティ)がやってきました。8時59分発の電車です。


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ファーストクラスを探して、乗り込みます。


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2階建て車両なので、眺めのよい2階に上がりましょう。


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ドアの先をのぞくと、がらがらです。今日は土曜日なので混み合うのではないかと心配していましたが、まったくの杞憂でした。


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ファーストクラスは、さすがにゆったりした素晴らしいシートです。好きな席を選び放題です。


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定時にICは走り出しました。


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駅を出ると、アムステルダム港が眺められます。


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駅の周りのたくさんの待避線の間を抜け、街を出て行きます。


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15分ほどでスキポール駅Schipholに到着。空港があるので地下駅になっています。


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スキポール駅を出て数分で、周りはどこまでも広がる畑になりました。


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空には、スキポール空港を発着する飛行機がひっきりなしに飛んでいます。


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ライデン中央駅Leiden Centraalを通過します。色彩の鮮やかなビルが印象的です。モンドリアン模様ですね。


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オランダは川の景色が美しいですね。


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ようやく、オランダ名物の風車を発見しました。


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2階の席に並んで座り、車窓を楽しみながらの1時間。デルフトDelftに行く前に、デン・ハーグDen Haagで途中下車します。フェルメールの作品を鑑賞するためです。

アムステルダムからデン・ハーグまでの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。


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デン・ハーグ中央駅Den Haag Centraalとは別のデン・ハーグHS駅Den Haag HSが便利だろう(デルフトへの代行バスがこの駅から出ている)とのお友達のアドバイスでデン・ハーグHS駅で下車します。美術館まではトラムでの移動になるので、ここで荷物を預けます。コインロッカーがあることも友人が調べてくれました。そのコインロッカーをなんなく発見。が、なんだかどれも様子が変です。どれも扉がうまく閉まりません。モタモタしていると、駅員さんがどうしたのかと寄ってきてくれました。


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彼もいろいろチャレンジした挙句、システムが壊れているようなのでちょっと待っててねと言って、機械を取りに行きました。間もなく戻ってきて調整をして、荷物をロッカーに入れるのを手伝ってくれました。感謝!


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無事に荷物を預けることができたけど、システムというより実際に壊れているロッカーも多かったようです。駅員さんからも、この駅ではなく中央駅に行って預けたらとのアドバイスもありました。旅行客の利用は少ない駅のようですね。
難関を突破したところで、早速、デン・ハーグ市美術館に向かいましょう。フェルメールの絵をもうすぐ見ることができます。


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旅はオランダから~デン・ハーグ市立美術館で見るフェルメールの最高傑作!

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/2回目

デン・ハーグHS駅で親切な駅員さんのお蔭で大荷物をコインロッカーに片付け、デン・ハーグ市立美術館に向かいます。まずは駅前に出ます。駅の建物はいかにもオランダらしい重厚な建物です。


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この駅前がトラムの停留所になっています。17番のトラムで美術館に向かいます。もちろん、OVチップカールトでチャリンとやるだけでトラムに乗り込めます。これがトラムの車内。新しく清潔です。


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街の中心部を通るので、車窓を楽しむことができます。


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中央駅を通り、街の中心を抜けていくと、立派な建物が見えてきました。恐らく、デン・ハーグで最も有名な建物でしょう。平和宮Vredespaleisです。この名前を聞いてもピンと来ない人が多いと思いますが、この平和宮の建物の1階に国際司法裁判所International Court of Justiceがあるんです。現在は国連の管轄下に置かれています。


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平和宮が見える辺りからは、綺麗な森の中を走ります。スヘーフェニンゲン森林公園Scheveningse Bosjesです。


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この森林公園の外れの市立美術館駅Gemeentemuseumでトラムを下ります。デン・ハーグHS駅から20分ほどかかりました。


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でも、近くに美術館らしき建物が見当たらず、焦ります。重厚な建物が見えますが、どうも美術館ではないようです。


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勘にまかせて歩いて行くと、妙なものが見えます。スプリンクラーで水を撒き散らしています。変なオブジェもあります。まさか、これが美術館?


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これが美術館の前庭だったようです。何とか、デン・ハーグ市立美術館Gemeentemuseum Den Haagに到着です。

デン・ハーグHS駅から17番のトラムと徒歩でのデン・ハーグ市立美術館への移動ルートを地図で確認しておきましょう。


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美術館の前には池があり、その中で醜悪な(失礼!)コンテンポラリーアートの作品が展示されています。


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本当にごみの集積物のようなアートで、口あんぐりです。デン・ハーグ市立美術館は古いものだと誤解していましたが、新しい美術館なんですね。


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こんなところにフェルメールがあるのか、確信が揺らぎます。ともあれ、中に入ってみましょう。お洒落なアプローチから入館します。


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ところが、美術館のオープンは11時からと係りの方に言われて、えっと驚きます。ガイドブックをよく見ると、その通り11時からになっています。あちゃー!!
仕方がないのでカフェを探すと、隣り合った建物にカフェがあるようです。池の向こうです。


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そのカフェで30分ほど休憩です。saraiはコーヒー、配偶者はホットチョコレートです。カフェの窓からは美術館が見えています。


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窓から見る美術館は青空に映えて綺麗です。


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オープン時間が近づき美術館の入口に行くと、入館を待つ人の行列ができていました。もっと早く並べばよかったと後悔のほぞを噛みますが後の祭り。オープン時間になり、おとなしく行列の後ろから順番を待ち、チケットを購入。これは2枚分のチケットですが、1枚は美術館の外観、もう1枚はレンブラントの《テュルプ博士の解剖学講義》が絵柄になっています。


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美術館の英語版のパンフレットもゲット。うっ、この女性が見ている絵はもしかしたら、モンドリアン? どうして、表紙がモンドリアンなの? 後で知りましたが、ピート・モンドリアンはオランダ出身で、この美術館には世界一のコレクションがあるそうです。あとで、じっくりと拝ませてもらいましょう。


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さあ、フェルメールの作品を鑑賞しましょう。現在、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館は改修中のため、収蔵品はこのデン・ハーグ市立美術館で展示中なんです。日本で人気のフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》は、改修費用を捻出するために、日本・米国などを巡業中で見られませんが、同じくフェルメールの《デルフトの眺望》は門外不出の作品なので、デン・ハーグ市立美術館で見ることができます。
美術館は複雑な構造でかなり広いため、そう簡単にはフェルメールに到達できません。2階では、ギュスターヴ・カイユボット展を開催中です。彼の最も有名な作品の「床を削る人々 Raboteurs de parquet(1875年)」が展示されているのにはビックリ。これはオルセー美術館所蔵ですから、借りてきたわけですね。


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その後、迷いに迷って、ようやくマウリッツハイス美術館のコレクションに到達しました。残念ながら、このコレクションのみ写真撮影禁止。絵葉書を求めて、代用します。

TVや画集でいやと言うほど見てきた《デルフトの眺望》ですが、実際に生で見てみると、まったく印象が異なります。大きな画面にくっきりと明瞭にデルフトの街の風景が丹念に描きこまれています。実に自然に描かれた風景画ですが、誰もこのようには描けないだろうとも思います。フェルメールの強い自信がうかがい知れる感じです。本当に見惚れてしまう作品です。saraiの意見では、《牛乳を注ぐ女》と並ぶ最高傑作です。無理しても見に来て、良かった! 門外不出ですから、ここへ来ないと絶対に見ることができません。


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レンブラントの《テュルプ博士の解剖学講義》も彼の集団肖像画の代表作だけあって、素晴らしい出来栄えです。黒の使い方が見事。


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もっと、ご紹介したい作品もありましたが、マウリッツハイス美術館のコレクションはこの2点に留めます。次はデン・ハーグ市立美術館のコレクションをご紹介します。モンドリアンは必見です。


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旅はオランダから~デン・ハーグ市立美術館のコレクション・・・saraiの選んだ4枚

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/3回目

デン・ハーグ市立美術館で、フェルメールの傑作《デルフトの眺望》を含むマウリッツハイス美術館のコレクションを堪能しました。次はデン・ハーグ市立美術館のコレクションを鑑賞します。今回はsaraiの注目した4点の作品を紹介します。

まずは、スイス出身の象徴主義の画家フェルディナント・ホドラーの習作(Study for day)です。


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ホドラーと言えば、代表作の『夜』のような男女の群像が描かれた作品が一番彼らしく感じます。この習作の女性はそのパーツのようにも思えます。存在感のある女性です。
ところで、一昨日にも、フランクフルトのシュテーデル美術館でもホドラーの習作を見ました。これから、旅はスイスにも達するので、そこでもホドラーの作品を見ることになりそうです。日本ではあまり注目されていない画家ホドラーですが、ヨーロッパの美術館ではコレクションの重要な要素となっています。

次は青騎士の画家の一人、アレクセイ・フォン・ヤウレンスキーの《女の肖像》です。もっともヤウレンスキーらしい作品といえるでしょう。


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ヤウレンスキーはsaraiが青騎士の画家たちに興味を持つまでは名前も意識していなかった人ですが、このところ、彼の作品を見る機会が増えてきました。この旅でも、ベルンのクレーセンターで彼の作品展を見ることになります。クレーとヤウレンスキーは青騎士の盟友ですから、そういう企画展が催されることになったのでしょう。今後、ますます、その評価が高まっていく画家の一人です。

次は何と、エゴン・シーレです。当ブログをご覧のかたはsaraiがシーレの大ファンなのはご存じでしょう。こんなところでシーレの作品に出会うとは思ってもみなくて、びっくりしました。それもシーレの妻を描いた素晴らしい晩年の作品です。《エディット・シーレの肖像》です。ウィーン以外でシーレの晩年の作品を見たのは初めてではないでしょうか。


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シーレの暖かい愛情が感じられます。これも晩年の特徴です。いやあ、いいものを見せてもらいました。

最後の1枚も、青騎士を代表するワシリー・カンディンスキーの《白いフォームを持つ絵画》です。抽象画の始祖ともされるカンディンスキーらしい傑作です。もちろん、絵は訳が分かりませんが、見続けていると、何やら、凄そうに見えるから不思議です。この人の絵はどちらが上なのか、簡単には分かりません。この絵はこれで間違いなさそうです。


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これでお分かりでしょうが、この美術館のコレクションはありきたりのものではありません。ゴッホやモネの傑作もありますが、先進的なコレクションといっても、差し支えないでしょう。
なかでも凄いのがモンドリアンのコレクションです。これはsaraiとしても力を入れて、ご紹介していきます。ご期待ください。


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旅はオランダから~デン・ハーグ市立美術館の珠玉のモンドリアン・コレクション・・・具象から抽象への跳躍

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/4回目

デン・ハーグ市立美術館には、ピエト・モンドリアンの世界1のコレクションがあります。モンドリアンはカンディンスキーと並んで、本格的な抽象絵画の世界を切り拓いた先駆者の一人です。その彼も最初から抽象絵画を描いていたわけではありません。彼が具象絵画から抽象絵画に至る過程をこの美術館の膨大なコレクションで見通すことができます。収蔵数は290点にも及ぶようですが、展示されているのは代表的な作品、30点ほどです。この展示だけでも、モンドリアン大回顧展の様相があります。特に必見の作品は、最後に描いていた未完成の遺作《ヴィクトリー・ブギウギ》です。また、具象から抽象に至る過程が見てとれる『リンゴの樹』の連作も見逃せません。

では、時代順に見ていきましょう。

《鶏のいる果樹園》です。1901年頃、29歳の作品です。この時期の特徴である木々を描いた風景画です。当時のオランダでは、フランスの「バルビゾン派」の影響を受けた「ハーグ派」という写実絵画が隆盛であり、初期のモンドリアンの絵は、ハーグ派の影響を受けていました。また、オランダで最も権威のある芸術賞「ローマ賞」に応募するも落選を重ね、社会への失望感をつのらせている時期でもありました。


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《太陽と柳》です。1902年~1907年頃、30~35歳の作品です。アムステルダム印象派の影響を受けるようになっています。なかなか、見事な作品ではありませんか。


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《霧のGeinrustファーム》です。1906年~1907年頃、34~35歳の作品です。これは素晴らしい作品ですね。ウィリンク・ファン・コレン賞を受賞し、認められるようになってきました。


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《ヘインの水辺の木》です。1906年~1907年頃、34~35歳の作品です。この頃は、同様の傾向の作品が続きます。対象が並んだ樹木ですが、象徴主義的にも感じられます。


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《ヘインの夕刻》です。1906年、34歳の作品です。ロマン主義と象徴主義の狭間にあるような作品に感じられます。


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《昇る月とヘイン河畔の5本の木》です。1907年~1908年頃、35~36歳の作品です。既に自然をありのままに描くのではなく、自由な色彩表現で描いています。非常にインパクトのある独自表現の絵画に足を踏み入れてきました。


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《夏の夜》です。1907年、35歳の作品です。これは実に幻想的な作品です。夜を好んだというモンドリアンのロマンあふれる1枚です。後の抽象化とはまた違った傾向で、この方向に進むこともありえたかも知れません。ゴッホの影響も感じられます。


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《赤い木》です。1908年、36歳の作品です。ゴッホが用いたフォルムを取り入れた作品。ゴッホとは、タッチが異なりますが、自然を題材に自己の内面を表出させ、激しく見る者に迫ってくる傑作です。


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《日の当たる風車》です。1908年、36歳の作品です。ゴッホを思わせるタッチの絵画ですが、3原色を用いた色使いが後のコンポジションを予感させる作品です。


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《素晴らしい風景》です。1907~1908年、35~36歳の作品です。この頃、海や砂丘などの絵画を盛んに描いています。自然の中の線(曲線)に興味を持っていたようです。女性の体の曲線を連想することもあったようです。空の色彩表現も鮮やかです。


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《海の風景》です。1909年、37歳の作品です。これも題材は上の作品と同様で、自然の中の線を意識したものですが、注目すべきはゴッホのようなタッチで描いた色彩の抽象化とも言えるものです。自然が分解されて、抽象の世界に向かっていきます。


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《ドンブルグでの砂丘》です。1910年、38歳の作品です。さらに自然の抽象化が進んでいきます。色使いも実にシンプルです。


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《進化(Evolution)》です。1911年、39歳の作品です。これはずい分、傾向が異なる作品です。女性のヌードは珍しいですね。肩に星形のものがありますが、同様にトケイソウを置いた作品も描いているので、その延長上の作品でしょうか。


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《赤い風車》です。1911年、39歳の作品です。具象的な絵ではありますが、極端に単純化したこの絵は抽象への道を指し示しています。


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《灰色の木》です。1912年、40歳の作品です。『リンゴの樹』の連作の1枚です。リンゴの生い茂った木をぎりぎりの具象表現で描いた作品。ほとんどモノクロームに近い色彩、デフォルメされた木や枝は装飾的なデザイン画にも見えます。


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《花盛りの林檎の木》です。1912年、40歳の作品です。これも『リンゴの樹』の連作の1枚です。《灰色の木》を一歩、抽象表現に近づけた作品。抽象絵画ではありますが、まだまだ分かりやすいレベルです。しかし、これはもうモンドリアン・ワールドの到来を告げています。


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《花盛りの林檎の木》です。1912年、40歳の作品です。これも『リンゴの樹』の連作の1枚です。もう、これは完全な抽象絵画でしょう。林檎の木だと知らずに見たら、何が描いてあるか、分かりません。ブラックやピカソのキュビズム作品の影響も感じられますが、ちゃんとモンドリアンの独自性もある素晴らしい作品です。ただ、この1枚だけ見せられたら、ブラックの作品だと誤認するかもしれませんね。


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この作品以降、モンドリアンは抽象絵画の世界にはいります。それも線と色彩のみの純粋な抽象絵画です。いわゆる、コンポジションという題名のシリーズの絵画群です。モンドリアンと言えば、そういう絵画が代名詞になっているものです。それらについて、これからご紹介します。


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旅はオランダから~デン・ハーグ市立美術館の珠玉のモンドリアン・コレクション・・・抽象の純化

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/5回目

いよいよ、抽象絵画の世界を極めたモンドリアンが次々と傑作を量産します。

《コンポジションNo.Ⅳ》です。1914年、42歳の作品です。もはや、このスタイルに到達したモンドリアンはどんな風景もこのように再構成することになります。これが彼にとってのリアリズムなのでしょう。抽象、極めたりの感があります。


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《面色3のコンポジションNo.3》です。1917年、45歳の作品です。この作品では黒い線が取り除かれ、色彩ブロックのみで構成されています。初めての試みです。ただ、黒い線がないと、モンドリアンっぽくありませんね。


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《格子のコンポジション3:菱形のコンポジション》です。1918年、46歳の作品です。これは一体、絵画と呼べるのでしょうか。文様をデザインしただけのようにも思えます。抽象絵画もここまでくると、鑑賞が困難になります。


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《格子のコンポジション8:暗色のチェッカー盤》です。1919年、47歳の作品です。題名通りならば、チェッカー盤ですが、これはパリの街の色だそうです。色彩配置は偶然に任せているそうです。現代絵画では今は当たり前になっている偶然性の絵画の先駆的な作品です。


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《赤、黄、黒、青、灰色のコンポジション》です。1921年、49歳の作品です。典型的なモンドリアンの絵画です。こういう絵を見ると、何となく、落ち着きます。見慣れてしまったんですね。


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《赤、黒、黄、青、灰色のコンポジション》です。1921年、49歳の作品です。上の作品よりももっと、モンドリアンの典型パターンの絵画です。なかなか、いいですね。


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《大きな赤の色面と黄、黒、灰色、青のコンポジション》です。1921年、49歳の作品です。これも典型的なモンドリアン作品ですが、黒い線が縁まで伸びていないとか、同じように見えるコンポジションも少しずつ、形を変えています。


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《4本の黄色の線のある菱形のコンポジション》です。1933年、61歳の作品です。モンドリアン特有の菱形の作品です。抽象化も純化していき、どんどん、シンプルになります。線も少なく、色も減ります。ミニマル・ペインティングっていう感じです。


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《線と色のコンポジション:Ⅲ》です。1937年、65歳の作品です。モンドリアンのスタイルを踏襲しながら、色を最低限まで切り詰めて、純粋な抽象を感じさせる作品になっています。この作品を見ると、これで十分なフォルムと色彩を感じてしまうから、不思議です。モンドリアンが途轍もない境地に達したことが分かります。


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《ヴィクトリー・ブギウギ(未完成)》です。1942年~1944年、70~72歳の作品です。未完成のまま、遺作となりました。有名な《ロードウェイ・ブギウギ》を菱形にしたような作品ですが、未完成とは言え、彼の作品の集大成とも言える素晴らしい作品です。抽象絵画の最高の美を満喫できる作品です。この美術館のモンドリアン・コレクションの白眉と言っていい作品です。


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思いがけず、市立美術館の素晴らしいモンドリアン・コレクションを堪能することができました。
デン・ハーグ市立美術館には、デルフト焼の作品など、色々と鑑賞できるものが豊富にあり、とても見尽くすことはできません。モンドリアン・コレクションを見たところで、鑑賞を切り上げることにしました。

次はデン・ハーグを辞して、デルフトに向かいます。


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旅はオランダから~思わぬアクシデントでデン・ハーグの旧市街を散策

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/6回目

デン・ハーグでは、市立美術館のフェルメールを見ることが主目的でした。目的を果たしたので、すぐにデルフトに移動します。
デン・ハーグHS駅に戻りましょう。元来た17番のトラムで逆方向に戻ります。しばしトラムの停留所で待ちますが、周りの家々の綺麗なこと!


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トラムに乗りましたが、デン・ハーグ中央駅近くでトラムが止まってしまいました。周りの車もすべて止まっています。どうやらデモ行進にぶつかってしまったようです。


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トラムに乗ったまましばらく待っていましたが、運転手も降りてしまったので、我々もトラムを降りて、街をブラブラ見物しながら先に進むことにしました。デン・ハーグの街はそのまま素通りするつもりでしたが、ひょんなことで街を散策することになりました。このあたりは旧市街のど真ん中です。デン・ハーグの街で最も知られた建物のビネンホフBinnenhofもすぐ近くです。ビネンホフは13世紀から17世紀にかけて建てられた建物で、国会議事堂、総理府などがあります。
少し歩くと池の端に出ます。ホフフェイファの池Hofvijverです。池の先の正面に、閉館工事中のマウリッツハイス美術館Verhuur Mauritshuisが見えます。その右手の建物がビネンホフです。美しい風景です。


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池を回り込んでマウリッツハイス美術館の正面に出ますが、工事中で屋根以外はほとんど見えません。左側にはビネンホフの建物が顔を出しています。


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ビネンホフの横手には、移動遊園地もできている賑やかな広場があります。プレイン広場Pleinです。


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この広場に面した賑やかな通りLangepotenを歩きます。古い街の中の通りですが、新しいお店が並んでいます。


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トラムの通りに戻って、デン・ハーグHS駅の方に歩いていきます。スパイSpuiの大通りを進むと、美しい新教会Nieuwe Kerkの建物があります。


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その新教会の向かいはスパイ広場Spuiplein。こちらはモダンな建物に囲まれた空間です。


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ここまで歩いてくるうちに、トラムも動き始めたようです。途中からまたトラムに乗ってデン・ハーグHS駅に戻ってきました。1番のトラムに乗ったので、行き先はデルフトです。このまま乗っていけばデルフトまで行けますが、駅のロッカーに預けてある荷物をピックアップしなければいけないのでデン・ハーグHS駅で降ります。

さて、荷物のピックアップの用事以外に、ここでもう一つのお楽しみがあります。オランダ国鉄1日乗り放題チケットに付いてきたお茶券があるのです。このデン・ハーグHS駅裏にあるメガストア内にそのお茶券を利用できるカフェがあるそうです(これもお友達のレイネさん情報)。ヨーロッパはお店の看板がないのでなかなかお店を探すのが大変なのですが、何とかメガストアを発見。倉庫のような建物です。


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どうも裏側のパーキング側に行ってしまったようで、ここからの移動にも通りかかった女性のお世話になってしまいました。ところで、オランダ人って本当に当たりが優しく、親切で素晴らしいです。とっても心地よいお国柄ですよ。住むのには最高かも・・・寒いけど。親切な女性の案内でショッピングセンター内に入ることができました。とても大きな空間です。


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下のフロアに下りて見上げると、その広大さが分かります。


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このフロアの一角に目指すカフェのLa Placeがありました。


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店内に入ると、セルフサービスの新鮮で美味しそうな食べ物が並んでいます。


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お店のスタッフにお茶券を見せ、何が頂けるかを教えてもらい、ケーキと紅茶を選択。


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タダで頂いたリンゴケーキとイチゴケーキはとっても美味しかったです。イチゴが大きくて甘かった!


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デン・ハーグでのお楽しみに満足し、メガストアを出て駅に向かいます。ここにも、モンドリアン風の綺麗なビルがあります。オランダ中、この手のビルが多そうです。


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思わぬデン・ハーグでの街歩きのルートを地図で確認しておきましょう。途中、少し、トラムにも乗りました。


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デン・ハーグHS駅で預けた荷物は無事コインロッカーから取り出せました。


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駅前には、膨大な数の自転車が置かれています。リアカーに積まれている自転車はレンタル用でしょうか。オランダは自転車大国です。


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ところで、今日と明日の2日間の土日はデン・ハーグとデルフト間は鉄道工事のため電車は運休。そのため、代行バスでデルフトに向かいます。代行バス乗り場の方に向かうと、私たちを見つけたバスの係りの人が手招きをしてくれて、発車直前のデルフト行のバスに乗り込むことができました。運転手の被るツバ広の帽子にびっくりです。


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乗り込むと同時に、代行バスはデルフトに向けて出発です。


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まだ2時40分です。デルフトを十分に散策できるでしょう。

次回を読む:《3日目-2:デルフトでフェルメールの足跡を尋ねて》

前回を読む:《2日目:アムステルダムでゴッホとブルックナー》


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この記事へのコメント

1, レイネさん 2013/05/25 18:13
アクシデントにもめげずに、町歩きというお楽しみに替えてしまうところがさすがです。デン・ハーグからデルフトまでじっくりと色々な町並みをご覧になったり。旅慣れてらっしゃるせいもあるでしょうが、お二人のあせらずイライラせずという性格で、凶も福と成したということでしょう。フルにエンジョイなさってますね。
詳しい旅のレポート、これからもますます楽しみです。
(ドラッグ・ストアで買っておいたNS一日乗り放題券が今週末で有効期限が切れるので、デン・ハーグの市立美術館に行こうかな、と思ってNSの保線状況を見ると、案の定途中は代替バスの運行。デン・ボッスの新しい美術館2つがオープンするのでそちらにしようかしら)

2, saraiさん 2013/05/26 01:33
レイネさん、いつも暖かく、優しいコメント、心に沁みます。

結構、そのときはパニックしているんです。でも、ファイトも湧きます。トラブルこそが旅の真の楽しみなんちゃって・・・

デン・ハーグの市立美術館、時間があれば、きっちり、隅から隅まで見れば、面白いでしょうね。モンドリアンだけでなく、デ・ステイルもきっちり見ておきたかったところです。
NS一日乗り放題券は今度はドラッグ・ストア発売でしたか・・・神出鬼没!!

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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