東フィル最後のプログラムは
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」(コンサート形式)
この歌劇はロッシーニ最後のオペラで4時間の大作。ワーグナー並みの長さですね。もともとフランスで書いたオペラでオリジナルはフランス語版。今回は原作に忠実にということで、フランス語で公演。で、題名もフランス語の題名「ギヨーム・テル」というのが、今回の上演の正式な題名になります。また、長大なオペラなので、今回は抜粋版でコンサート形式。
それでも、なかなか公演の機会が少なく、また、オリジナルのフランス語版ということで貴重な上演です。ロッシーニの権威であるゼッダが指揮するのも注目です。
特別な抜粋版で出演者も3名に絞っています。
指揮:アルベルト・ゼッダ
マティルド(ソプラノ):イアーノ・タマー
アルノール(テノール):石 倚浩
ギヨーム・テル(バス):牧野 正人
合唱:新国立劇場合唱団
なお、当初、マティルド役はマリーナ・レベカの予定でしたが、急病のため、交代になっています。
聴きどころは、有名な序曲、マティルドのアリア《暗い森》、アルノールのアリア《涙誘う無人の家》あたりでしょうか。
ソロを歌った3人の歌手はそれぞれの持ち味を活かした歌唱で好演というべきでしょう。
特にソプラノのタマーは容姿も美しい上に、なかなかの美声でテクニックも上々。少し、音程に甘さがありますが、十分、魅力的でした。
テノールの石は少し線が細いですが、張りのある高音で会場を沸かせていました。
ゼッダの指揮はつぼを押さえた指揮で安心して聴いていられる演奏で、ロッシーニらしい音楽の流れを作っていたといえるでしょう。
ただ、抜粋版ということで、オペラの構成上、曲と曲の間の有機的な流れがとぎれるのは仕方のないところかもしれません。もう少し、省略を減らして、音楽の強い流れが欲しかったところではありました。
ともあれ、DVDでも、1988年のミラノ・スカラ座(ムーティ指揮)のイタリア語版しか、めぼしいものが無いなかで、日本でこういうものが聴けたのは誰にとっても貴重な経験だったでしょう。saraiもこの公演に先立って、上記のDVDで予習したことも含め、よいロッシーニ体験になりました。
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