今日は興奮のコンサートでした。
何といっても、若手ヴァイオリニストのパク・ヘユンとの出会いです。
またまた、saraiのお気に入りが増えました。
ヴァイオリンでは、ヒラリー・ハーン、庄司紗矢香に今日、まったくの無名(少なくともsaraiにとっては)の韓国出身の18歳の女の子が仲間入り。
saraiの今後の生涯、ヴァイオリンには満ち足りた人生が約束されたようです。
それにしても、最初のフレーズを聴いただけで、胸が熱くなり、涙が滲みました。音楽の世界にも一目ぼれ(一耳ぼれ?)ってあるんですね、初恋みたいです。
ブラームスの最初の激しく重音をかき鳴らすフレーズの何と情熱的なことか! これがブラームスですね。
さて、ともあれ、今日のコンサートの話を始めましょう。
サー・ロジャー・ノリントン指揮のコンサートが聴けるのでそれなりに期待していたコンサートでした。
オーケストラはシュトゥットガルト放送交響楽団。まったく聴いたことありませんが、ドイツのそれも放送オーケストラはどれも素晴らしい音楽を聴かせてくれますから、安心?して、期待できます。
チケットは売り出し当日にゲットしたので、最上の席。残念ながら、数日前にネットで半額チケットが販売されましたが、それもなんのそのです。
演奏会場はいつもの横浜みなとみらいホールです。
今日のプログラムです。
ハイドン:交響曲第1番ニ長調
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ヴァイオリン独奏:パク・ヘユン
《アンコール》イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番から第1楽章
--休憩--
ドヴォルザーク:交響曲第7番二短調
《アンコール》ワ-グナー:「ローエングリン」第3幕への前奏曲
で、事前に予習したCDがこれ。
ハイドン:交響曲第1番ニ長調
A.フィッシャー+アウストロ・ハンガリアン・ハイドン管弦楽団
33枚組みの全集です。今や定番です。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ヒラリー・ハーン+マリナー+アカデミー室内管弦楽団
最近のCDではピカ1でしょう。今を感じさせる演奏です。
ドヴォルザーク:交響曲第7番二短調
ノイマン+チェコフィル
ご当地もののCDですが、普遍的な名演です。
コンサートですが、まずは、オーケストラメンバーが入場する前に異様なステージセッティングに仰天。ステージの全面には椅子も何も置いてありません。それどころか、指揮台はないし、指揮者用のような譜面台が何個も立っています。
オーケストラメンバーがはいってきましたが、超少ない!
ハイドンの初期も初期、1番ですから少ないとは思いましたが、これほどとはね。
しかもヴァイオリンやヴィオラの奏者は椅子に座らず立ったまま。あの指揮者用と思った譜面台は彼らの立奏用だったんです。
ヴァイオリンとヴィオラで7人。チェロ、コントラバス、管楽器で7人。計14人です。まさに室内オーケストラです。
ノリントンが登場し、彼は譜面台なし。暗譜ですね。
いやあ、こんなハイドン、初めてです。バロック風の演奏です。
まるでバロックオペラを聴いている感じでなかなかの雰囲気です。
第2楽章にはいり、ますますエンジンがかかり、美しい緩徐楽章を奏でます。
あまり、この手の演奏に触れていないので、とても新鮮に響きます。
第3楽章もあまり走らず、ゆったりとした演奏で典雅な響きです。
すっかり、魅了されました。
このオーケストラでバロックオペラを聴くといいだろうなあ。
あまり演奏されないハイドンの初期の交響曲でsaraiも生聴きでは初めてでしたが、満足!満足!
次はさすがにフルオーケストラのブラームスですから、ステージのセッティングに時間がかかります。
ブラームスはさすがにバロック風の演奏は無理だけど、どんな演奏なんだろうと待ち構えます。
オーケストラのメンバーが揃ったところで、若いどこにでもいるようなかわいい女の子がヴァイオリンを持って入ってきました。今日まで、名前も知らないヴァイオリニストでまったく期待してはいませんでした。
まずは長大なオーケストラの前奏が続きます。その音色、響きに驚嘆!
すべての楽器がノン・ヴィブラートで演奏しています。こんなブラームス初めてです。楽器自体は古楽器ではなく、普通のモダン楽器ですが、奏法が古楽器風。
まるでオーケストラ全体がオルガンになったように感じます。
また、ヴィブラートがないせいか、非常にピュアーな響きです。特に弦楽器のピュアーさが感じられます。
そして、冒頭に書いたとおり、パク・ソユンの衝撃的なヴァイオリンソロがはいってきます。もちろん、彼女はヴィブラート(控えめですが)をかけており、オーケストラとの対比で華麗にも響きます。
第1楽章の最後までsaraiは感動のあまり、涙うるうる・・・
反則ですが、第1楽章の終ったところであえて軽く拍手してしまいました。お恥ずかしい。
そして、第2楽章の何と美しいこと!!
第3楽章はまた激しく情熱的に歯切れのいい真のブラームスの響き。メリハリを利かせて、ピアノの部分ではうっとりする美音。
何と素晴らしいヴァイオリニストが登場したんでしょう。
saraiがこれまで聴いたブラームスのコンチェルトでも、最高の演奏でした。
大拍手の後、アンコールで弾いたイザイがまた素晴らしい。実に音楽的な情熱に満ちた演奏です。昨年聴いたヒラリー・ハーンのイザイも完璧なテクニックで高い音楽性の素晴らしい演奏でしたが、このような情熱的な演奏にも心を打たれます。
休憩の時間、高ぶった気持ちがなかなか静まりませんでした。
休憩後はドヴォルザークの第7番。一体、どんな演奏になるのか、予想もつきません。
で、とてもとても、バランスのとれたアンサンブルの素晴らしい演奏でした。
表現は難しいですが、8番でも9番でもなく、7番というのがとてもよかった。
演奏機会が比較的少ない手垢のついていない7番を、有機的に一体化したオーケストラがピュアーな響きを最弱音から最強音まで、美しきホールに響かせていました。
ボヘミヤの民俗的な演奏ではありませんが、美しい響きは何者にも代え難く、インターナショナルに感動を覚える演奏です。平明ともいえる演奏でした。
ドヴォルザークの第7番の素晴らしさを再認識したのも事実です。
アンコールのワーグナーはスーパーオーケストラの定番ですが、この手の曲も金管が吠え、贅沢なサウンドを響かせていました。さすがですね。
今年1番のコンサートでした。
これだから、音楽はやめられない。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽