音楽は感動以外に喜びも与えてくれる。
そういうことを思い起こさせてくれるコンサートでした。
今夜は東京オペラシティでのイヴァン・フィッシャー指揮のブダペスト祝祭管弦楽団のコンサートに出かけてきました。
バルトークの作品集のCDでお馴染みだったの(なかなか水準の高い演奏がロープライスでゲットできます)と、例の英国グラモフォン誌での世界のベストオーケストラで堂々9位にランクされていたので、ちょっと、ミーハー気分で聴くことにしました。
本日のプログラムはオール・ブラームスで以下のとおりです。
ブラームス:ハンガリー舞曲 第7番 ( I.フィッシャー編曲)
ブラームス:ハンガリー舞曲 第10番
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 (ヴァイオリン: ヨーゼフ・レンドヴァイ)
<アンコール>
パガニーニ:パイジェッロ「水車屋の娘」の“わが心もはやうつろになりて”による変奏曲
-休憩-
ブラームス:交響曲第4番
<アンコール>
ロッシーニ:クラリネットの序奏を伴う変奏曲
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲より“第6曲“
予習したCDは以下のとおりで少しサボり気味です。いかんですね!
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ヒラリー・ハーン、マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団
何度聴いても現代的な演奏で素晴らしい。
でも、今のヒラリーならさらに充実した演奏をするだろう。
また、ライブで聴きたいものです。
ブラームス:交響曲第4番
予習なし。
予定では久しぶりにワルター+コロンビア響を聴くつもりでしたが聴く時間的余裕なし。
このコンサートは直前に割引の得チケが出ていたので、随分、観客席ががらがらかと思っていたら、ホールがほぼ満員状態。
で、まず、オーケストラの入場。ここもコンサートミストレス。最近のヨーロッパのオーケストラも女性の進出が急ですね。
で、いよいよ、イヴァン・フィッシャーの登場。にこやかで人のよさそうな柔和な表情のかたです。saraiは生で見るのは初めて。
ところで、なぜ、わざわざイヴァン・フィッシャーとファーストネーム付きで書いているかと言えば、やはり指揮者で有名なお兄さんのアダム・フィッシャーと区別するためです。
出てきたと思ったら、さっとすぐに最初の曲目、ハンガリー舞曲を始めます。
クラリネットが活躍するハンガリーっぽい軽妙な曲。
演奏もいい意味で、場末のワイン酒場での演奏みたいで、度肝を抜かれます。
これがハンガリーのオーケストラかって感じで、他のオーケストラとまるで違います。
次もハンガリー舞曲で同じようなノリです。
まあ、正直、あっけにとられました。
そりゃ、天下のウィーン・フィルだって、軽いウィンナーワルツをやるんだから、同じといえば、同じですが・・・
一体、この先、どうなるんだろうと興味津々で不安が少し。
で、次はヴァイオリン協奏曲。
ヴァイオリンはレンドヴァイ。
まったく知らない人です。
髪もじゃもじゃの音楽家っぽくない感じです。
しかし、まあ、人は見かけによらないものですね。
第1楽章こそ、少し、荒っぽい演奏でしたが、
第2楽章の素晴らしい木管(特にオーボエ)の演奏に続き、素晴らしくロマンチックなヴァイオリンを聴かせてくれました。
また、第3楽章も少し、荒っぽい演奏でしたが・・・
やはり、男性はロマンチストが多いのかしら?
まるで、オペラの「愛の妙薬」のネモリーノ(パヴァロッティが演じる)を彷彿とさせる感じで、見かけとうらはらなロマンチストという感じです。
でも、彼のアンコール曲は圧巻でした。曲芸的な技巧と美音で満場の観客をすっかりと魅了しました。何故か、この曲の中間部には「さくらさくら」が挿入されており、大喝采!
この後、休憩をはさんで、ブラームスの第4番です。
異色のブラームスではありますが、大変に素晴らしい快演です。
ドイツ系のオーケストラだと、木漏れ日のなか、静かに悔悟を込めて人生を振り返るという感じの渋い演奏になりますが、このオーケストラはまったく違います。
イタリアの明るい陽光の下、トスカーナ平原を丘の上から見下ろしながら、自分の人生を懐かしく思い出すという感じで美しくも明るい演奏です。
それでいて、しっかり、ブラームスになっています。
木管が素晴らしいので、それもアンサンブルに花を添えます。
この曲でフルートにこんなに注目して聴いたのは初めてです。
また、イヴァン・フィッシャーの指揮もリズミックで、テンポの動かし方も絶妙。
もちろん、強弱のダイナミズムも強烈で、美しさも激しさも兼ね備えた曲に仕立て上げており、これはこれで見事な演奏でした。
うるうるくる演奏ではありませんが、聴いていて、音楽の喜びで体中がいっぱいになりました。幸福感につつまれるのもコンサートの楽しみのひとつですね。
やんやの喝采のあと、アンコール。
ロッシーニの曲、知らない曲ですが、まさにロッシーニのオペラを彷彿とさせる節回しの曲で、オーケストラのメンバーが次々と独奏するのも楽しく、先程、協奏曲で登場したレンドヴァイまで再登場したのはご愛嬌。
それにしても、クラリネットのうまいこと。
本当にこのオーケストラは木管、そしてホルンが上手い。
管の上手いオーケストラは超1流オーケストラですね。
もちろん、弦は素晴らしく上手かった。一人一人の個人能力が高く、アンサンブルもその上に素晴らしい。
何をやらせても素晴らしく弾きこなす能力を持ったオーケストラです。
で、最後にバルトーク。
そうです、saraiはこれが聴きたかったんです。
どうして、saraiの希望が分かったんだろう。
もう、これは何もいうことのない演奏。
満足以外の何者でもありません。
今日1番のプレゼント、サプライズでした。
だって、オール・ブラームス・プログラムだから、当然、アンコールもブラームスでしょう。
そう、思っていました。
でも、バルトークが聴きたかったんです!!
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この記事へのコメント 1, かまたひろたかさん 2010/06/22 12:22
大見得きって、派手で、起伏の激しいブラームスでしたね。こういうのもたまにはいいと思います。いつもエキサイティングで個性的なサウンドを聴かせてくれるオケで、来日を楽しみにしています。
やはり最後のバルトークかな。2000年の時はオケコンをやってくれたんですが。メインでバルトークを聴きたいです。
2, saraiさん 2010/06/23 00:04
かまたひろたかさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
かまたさんのブログものぞかせてもらいました。
随分、このコンビを聴き込まれているのですね。
かまたさんの感想に全面的に同意です。
バルトーク聴きたいですね、メインで。
何でもいいですが、とりわけ、「弦と打とチェレスタのための音楽」が聴きたいものです。
テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽