ヘレンキームゼー城Schloss Herrenchiemseeのお庭を満喫したところでいよいよお城の内部を見てみましょう。
お城の内部はガイドツアーで見ることができます。我々は自動的に英語のツアーになっています。ガイドさんから配偶者に、何も訊かれなかったのにさっと日本語のパンフレット(写真なしの文字だけ)が渡されます。む、なぜ日本人と分かる?

もちろん、写真入りの英語のパンフレットもいただきます。

他の人達には、何語がよいかを尋ねながら、ロシア語、フランス語、スペイン語などのパンフレットを配っています。イギリス人もアメリカ人もいない英語ツアーって、何か変ですね。
このお城はヴェルサイユ宮殿を模して建てられたので、鏡の間とか、寝室とか、執務室、ダイニングルームなど、いずれも黄金を多用した贅を尽くした立派なものです。ルードヴィッヒ2世Ludwig IIのための《小さなヴェルサイユ宮殿》と言われています。
1階の集合場所からツアーが始まり、まずは2階に上がります。
これが2階の見取り図です。ツアーは1番の南側の大階段から、16番の北側の階段まで、番号順に進められます。

まずは1番の南側の大階段Prunktreppenhausです。
非常に豪華な階段の間です。《ヴェルサイユの大使の階段》と呼ばれています。ヴェルサイユ宮殿と違うのは、トップライトになっていて天井は総ガラス張りです。

2番の護衛の間Hartschiersaalです。
バイエルン王の護衛の矛・槍が立てられています。飾られている4枚の絵にはルイ14世の出兵の様子が描かれています。

3番の第1控え室Erstes Vorzimmerです。
べっ甲で作られた大きな家具が置いてあります。楽器を収納するために使われていました。

4番の第2控え室Zweites Vorzimmerです。
卵型の形をした窓があり、《丸窓の間》と呼ばれています。この部屋にはお城で一番大きな鏡があります。ブロンズ製の騎馬像は太陽王ルイ14世の姿です。

5番の豪華な寝室Paradeschlafzimmerです。
お城の中央にある、この部屋は先輩のヴェルサイユ宮殿の寝室の豪華さを凌ぐそうです。ヴェルサイユでは1日の最初と最後の謁見は寝室が使用されていました。残念ながら、ルードヴィッヒは一度もこの寝室を使用することはありませんでした。

6番の会議室Beratungssaalです。
ルイ14世の大きな肖像画が印象的です。

7番の鏡の間Große Spiegelgalerieです。
このギャラリー廊下は98mの長さです。33のシャンデリアと44のロウソク台があり、夏には4000本のろうそくをシャンデリアに灯して、コンサートも開かれるそうです。

10番の寝室Schlafzimmerです。
ルードヴィッヒの好みの青が基調になっています。

12番の王の執務室Arbeitszimmerです。
執務室にはそのベルサイユ宮殿に敬意を表してルイ14世の肖像画がかけられています。そういえば、リンダーホーフ城にもルイ14世の肖像画がありますね。執務室の机は1884年にパリで製作されたもので、ヴェルサイユのルイ15世のオリジナルをコピーしたものです。

13番の食堂Speisezimmerです。
部屋の中央には《グリム童話》と呼ばれる有名なテーブルがあります。テーブルの上にはマイセンの壺、天井には豪華なシャンデリアがあります。

最後に、まだ未完の部分に案内されます。そこはレンガの壁がむき出しになった大階段。16番の北の大階段Nördliches Treppenhausです。そうです。このお城はルードヴィッヒの謎の死とともに建設途上で未完に終わったんです。この階段以外にも50ほどの部屋が未完で残されました。そのあたりの説明をしたガイドさん(若い女の子)は少しうるうる状態です。彼女もルードヴィッヒのファンなんでしょうか。
これでルードヴィッヒ2世Ludwig IIの夢の後の3つの城を約10年がかりで見ることができた配偶者は感慨しきりです。若い女の子のガイドさんと同じ思いなのかな。なんだか、ロマンチックですね。
お城の外に出て、もう一度、お城を眺めます。なんだか不思議な思いです。ルードヴィッヒ2世は単にお城が作りたかっただけなのか。そのために身の破滅を招いても後悔はなかったのか。すべては謎、闇の中です。

お城の建物を突き抜けて、いったん、向こう側に出ます。こちらが表ですね。こちらも林に挟まれた通りが湖まで続いています。

つまり、お城はこのヘレンキームゼー島の中央にあり、表と裏のまっすぐな直線の通りが島の湖岸にまで達しています。お城のための島なんですね。ルードヴィッヒ2世がヴェルサイユ宮殿を模したお城を造る場所に、なぜこの湖を選んだのかが分かったような気がします。ルードヴィッヒ2世はこのお城を建てるために大枚をはたいて島全体を買収したそうです。
で、お城の表側はこんな風に立派な作りになっています。

建物の上は彫像で飾られています。

もう少し離れて、お城の正面を眺めます。

緑の並木道が湖岸に向かって続いています。

これが本来のお城の正面に向かう大通りです。ルードヴィッヒは湖岸から、この大通りをお城に向かうつもりだったんでしょうか。

さすがに湖岸まで、この大通りを歩く気力はありません。お城の側面を周り込んで、庭園のほうに戻ります。

見学もこれで十分です。さあ帰りましょう。元来た林の中の道を船着き場Chiemsee Schifffahrtに戻ります。船着場の桟橋にはまたどっと観光客が押し寄せてきます。丁度、プリーン・アム・キームゼーPrien am Chiemseeに向かう、乗船予定の船も桟橋に着いたところです。

船に乗り込むと、反対方向に向かう船も桟橋に着いています。

また、プリーン・アム・キームゼーの船着き場まで湖上クルージング。白い鳥が湖上を滑空しています。

だいぶ暑くなってきました。雨などみじんも降る気配はありません。乗客のみなさんも暑さに参っている様子ですね。

saraiはまた配偶者の指令通り、デッキの日陰で暑さを凌いでいます。

プリーン・アム・キームゼーの船着場ではまたお楽しみがあります。
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