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欧州鉄道周遊の旅(企画・準備編):パリ、ミュンヘンのオペラ・コンサートのチケット購入

さて、4月の旅の準備状況ですが、航空券、鉄道、ホテルはほぼ予約・購入済で残りの大きな課題はオペラ・コンサートの音楽のチケットのゲットです。

オペラ・コンサートはパリ、ウィーン、ミュンヘンで計9回予定しています。
そのうち、パリ、ミュンヘンはようやくチケットを確保できました。

まずはパリでオペラを観ます。
パリにはいくつかオペラハウスがありますが、やはり、パリ・オペラ座(ガルニエ)が一番魅力的です。オペラ公演よりもバレエ公演が多いのでなかなか、ここでオペラを観る機会がありませんが今回は日程がぴったりのオペラ公演があります。逆に今回はバレエも観ようかと思いましたがこちらは日程があいませんでした。
オペラ公演は以下です。

 4月1日 ヤナーチェク:オペラ《カーチャ・カバノヴァ》 トマーシュ・ネトピル指揮、アンゲラ・デノケ、ヴァンサン・ル・テキシエ、ジェーン・ヘンシェル

実は旅の日程が決まり、パリ・オペラ座のネットサイトを見にいったら、既にチケットは発売中。あせってチケットをゲットしました。まあまあ良い席がとれたのでほっと胸をなで下ろしたというところでした。ほどなく自宅にチケットが郵送されてきました。ソプラノのアンゲラ・デノケに期待しています。以前、《薔薇の騎士》の元帥夫人を見る予定でしたが、直前キャンセルでまだ生聴きしたことがありません。

次はミュンヘンですが、ここは3公演見ます。
まずはバイエルン放送交響楽団のコンサートです。当初、ヤンソンスの指揮で内田光子のベートーヴェンのピアノ協奏曲とR・シュトラウス《英雄の生涯》を聴くつもりでいましたが、よくよくバイエルン放送交響楽団のサイトを見ると何とコンサート会場がスイスのルツェルンです。これは無理ですね。で、何とかバイエルン放送交響楽団を聴きたいので他の日のスケジュールをチェックしたところ、コンサート形式ですがオペラの公演がありました。

 4月14日 チャイコフスキー:オペラ《エウゲニ・オネーギン》ヤンソンス指揮、Veronika Dschiojewa、マリウス・ブレンチウ、ボー・スコウフス、マリナ・プルデンスカヤ、ミハイル・ペトレンコ

バイエルン放送交響楽団の本拠地のヘルクレスザールでの公演ですが、このコンサートホールは初体験になります。困ったのがチケットの確保です。ちょうど4か月前の同日の朝10時(日本時間:18時)にネットで発売ですが、その日は19時からサントリーホールでコンサートです。仕方がないのでノートPC持参でサントリーホール付近でネット接続してチケットをゲットすることにしました。
で、当日、ネット接続がなかなかうまくいかず、18時を過ぎてしまいました。何とか少し遅れてネット接続して、バイエルン放送交響楽団のサイトにはいり、これもまあまあの席をゲットしました。一安心です。ですが、ここはチケットを郵送してくれないのでコンサート当日にバイエルン放送の窓口でチケット引き取りになります。一苦労しそうです。

次はミュンヘンのバイエルン放送交響楽団と肩を並べる名門オーケストラのミュンヘン・フィルのコンサートです。これは今回特に行きたかったコンサートです。ティーレマンの指揮でクリスティーネ・シェーファーの歌唱でオールR・シュトラウスプログラムです。このコンサートで今度の旅の日程を決めたようなものです。絶対にチケットをゲットする必要があります。
公演は以下の内容です。

 4月16日 R・シュトラウス:祝典前奏曲
      R・シュトラウス:管弦楽伴奏の歌曲(8曲) シェーファー
      R・シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》

コンサート会場はミュンヘン・フィルの本拠地ガスタイクです。ここはとてつもなく広いホールですから何とか良い席で聴きたいものです。
チケット発売はお正月明けの1月4日の日本時間17時からです。時間ちょうどにミュンヘン・フィルのサイトにはいり、席を探すともう良い席はあまりありません。なかでもよさそうな席を指定し、購入しようとしましたが、若干の操作ミスでやり直し。もう一度席を探すともうさっきの席はなく、もう少し後ろの席しかないのでそれを購入。まあ、チケットが無事とれたのでよしとしましょう。ここもチケットは郵送してくれませんがここでのチケット引き取りの経験はあるので問題ありません。

ミュンヘンの最後のチケットはバイエルン国立歌劇場のオペラです。ここは昨年チケット購入のトラブルがありましたので要警戒です。このオペラもどうしても見たいオペラです。もう海外だけで見ることにしたグルベローヴァの出るオペラですからね。
公演は以下の内容です。

 4月15日 ベルリーニ:オペラ《ノルマ》 ハイダー指揮、グルベローヴァ、ゾラン・トドロヴィッチ、ソニア・ガナッシ

ここのチケットはスタンバイ予約でただ待つのみです。昨年は結局それで《トスカ》が全然とれませんでしたが、今年はどうでしょう。
発売が3か月前の同日の前の日です。ハラハラしていましたが、数日後にクレジットカードの明細にチケット代金が記載されたのでチケットがとれた模様です。その2~3日後にチケットが郵送されてきました。どんな席がとれたか、期待してチェックすると驚いたことに指定通りParkettの席ですが、2つの席がばらばらに離れています。それも5列もです。やっぱり、グルベローヴァのチケットがそんなに簡単にとれるわけありませんね。とれただけよかったと思うしかありません。

というわけで何とかパリとミュンヘンのチケットは確保できました。
あとはウィーンのチケットです。ウィーン国立歌劇場のアンナ・ネトレプコの公演を狙っていましたがほぼ絶望です。他のチケットを確実にゲットしたいと思います。ここ1か月の勝負です。


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この記事へのコメント

1, Njegusさん 2011/02/01 17:51
saraiさま
私も4月16日Gasteigでミュンヘン・フィルを聴きます。今度は弟夫妻の案内係を兼ね、まず、4月9日バーデンで"150 Jahre Wiener Operette"、10日Konzerthausマチネーコンサート、11,12,13日Volksoperで"微笑みの国", "こうもり", "チャールダーシュの女王"の3連荘、14日楽友協会でウィーン響、15日Staatsoperで"Tosca, 16日にミュンヘンに移動して夜Gasteig、17日Gärtnerplatz劇場"天国と地獄”と、オペレッタ中心の旅行です。Gasteigは私も50€の席しか買えませんでした。Gasteigでお目にかかれるかもしれませんね。その節は宜しく。

2, saraiさん 2011/02/01 22:41
Njegusさん、こんばんは。お久しぶりです。

ガスタイクは奇遇ですね。昨年同様、同じような日程になりましたね。
フォルクスオーパーの"こうもり", "チャールダーシュの女王"もご一緒になる予定です。チケットはまだですが・・・

今回は必ずお目にかかれる運命のようです。
なお、ガスタイクは一応83ユーロの席は買えました。かなり後方ですが。

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バーデンのゆったりした朝

2010年7月17日土曜日@バーデン~ウィーン

旅も13日目です。

バーデンBadenは今日も晴れてます。
保養地の朝はのんびりしましょう・・・ということで、8時に起床し、9時前に宿泊していたホテル シュロス ヴァイカースドルフ レジデンツ & スパHotel Schloss Weikersdorf Residenz & Spaの別館の建物を出て朝食レストランに向かいます。

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朝食レストランのあるホテルの本館に向かいます。すぐに本館に出ますが大きな建物。もともとはお城です。

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この大きな建物に沿って歩いていきます。

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歩いて2分ほどで本館の入り口の前に着きます。

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さあ、本館に入りましょう。

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本館内にある朝食レストランに向かいます。本館(お城)の中庭は、ガラスの大きな天井で覆われていて明るくモダンです。

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中庭には美しくテーブルが並べられていますが、残念ながら、このテーブルは朝食用ではありません。

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この朝食レストランはお城をリノベーションしているので、壁にはへら鹿の角が飾られています。狩猟の館だったんですね。

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今朝は遅めに朝食レストランに行ったのに、皆さん考えることは同じらしくものすごく賑わっています。家族やお友達グループで来ている人が多く、1テーブルの人数が多いですね。空いた席もなく、まだ片付いていないテーブルに、とりあえず案内されます。
メニューは非常に一般的なもので、大したことはありません。

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絶品は、フレッシュなオレンジジュース。それと、ホットチョコレート!

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配偶者は相変わらず、毎朝ホットチョコレートをお願いしています。今回の旅では、すべてのホテルでチョコレートは頂けました。が、ここのチョコレートはガラスのグラスに入れて供され、泡立てミルクがトッピングされています。見た目は冷たい?という感じですが、しっかり暖かいんです。甘さといい、濃さといい、ああ美味しい!というもので、配偶者はお土産にしたかったくらいだそうです。

さて、食事も終わり、じっくりホテルを見渡してみると、saraiは大きな間違いをしていました。古城を改装したのはレストラン部分です。もちろん、私たちが朝食を頂いたのも古城を改装した部分です。
その古城に継ぎ足す形で、レセプションと何室かのお部屋があります。そのほかに別棟として私たちのお部屋とスパがあったのです。
古城内はクラシックな面とモダンな面が混在していて、なかなかの美しさです。

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こちらは古城内のバーです。なかなか立派です。

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それにしても、古城内は光が燦々と降り注ぎ、薔薇も飾られていて美しい!

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この古城の中庭を見下ろす2階のテラスで寛いでいる人たちがいます。いかにも優雅そうですね。

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これが本館内のお部屋の入り口。きっと料金が高いのでしょう。

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中庭に並べられているテーブルの前に出ます。ランチか、ディナーに使われるのかな。それともパーティー?

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食事の後、まだ時間はたっぷりあるので、もう一度ヨーロッパ一広大なバラ園、ドブルホフパーク / ローザリウムDoblhoffpark / Rosariumをじっくり散策します。薔薇が綺麗に咲いています。

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昨日と違って、朝の庭園散策は、まだ涼しくて気持ちがよいですね。

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緑豊かな公園内を、お年寄りの夫婦や家族がお散歩してまいます。ジョギングしている人もいます。

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公園内は美しく整備されています。

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昨日も歩いた池の端に出ます。涼しい風がそよいでいます。

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今朝も鴨さんたちが気持ちよさそうに水面を泳いでいます。

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小川のミュール川Mühlbachも流れており、その脇の散策路兼サイクリングロードを通って、ホテルに戻るべく歩いていきます。

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バラ園のある公園とはこれでお別れです。

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緑に包まれたミュール川沿いの道をぶらぶら歩いていきます。

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いつしか、道は住宅地の中に入っていきます。

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ホテルの前には住宅地が広がっており、どの家も広い庭に花々が咲いていて美しいです。このあたりは、ウィーンへの通勤圏内の高級住宅地だそうです。

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ちょうど、緑の生垣の手入れに余念のない女性がいらっしゃいます。お話をしたいところですが、お邪魔になってもなんですから声をかけずに通り過ぎます。

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やがて、ホテルの前に出ます。

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別棟にある部屋に戻ります。いよいよウィーンのお友達のHさんにお会いするときが近づきます。彼女は車でここまで来てくれる予定です。それまでホテルの部屋で待つことしばしです。



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ウィーンのお友達と初対面!

2010年7月17日土曜日@バーデン~ウィーン/2回目

バーデンBadenのホテルでゆったりとした朝を過ごしています。

で、今日はsaraiがウィーンWienのお友達のHさんと初めて会う日なんです。Hさんは、ネットで仲良しになったウィーン在住の音楽愛好家の日本人女性。ウィーンのコンサートの情報のブログサイトを開いている人気ブロガーで、彼女とはよくEメールをやりとりしている仲です。音楽好きの同好の士として、saraiがウィーンに行ったら会って音楽の話をしようと、半年以上前から約束していました。

いつもだとコンサートで忙しいHさんも、今、ウィーンのコンサートはオフシーズンで比較的暇な時期。しかも、今日は土曜日でHさんも仕事が休み。
待ち合わせの時間まで部屋でのんびりしていると(実はドキドキソワソワ)、電話が鳴り「もうホテルに着いてます」とのこと。いそいそとレセプションまで行くと、リアルHさんが待っています。どんな人かはヒミツ。個人情報ですからね。でも、素敵な女性です!(ウキウキ)。
で、すぐに旧知の仲のように意気投合。
今日はHさんが車でウィーン近郊を案内してくれることになっています。行き先はこちらの希望もあり、ハイドンの聖地アイゼンシュタットEisenstadt。ここバーデンからは1時間ほどです。

車の中ではいろんな話で盛り上がりますが、ほとんどHさんがしゃべっていたような気もします・・・(Hさん、ゴメンナサイ!)。
アイゼンシュタットではまずランチすることにしていて、レストランの予約もお願いしてあります。
が、アイゼンシュタットに着いてもまだまだ予約の時間には早いので、街を見下ろす高台にあるグロリエッテGlorietteという古い建物に向かうことにします。昔は狩猟城として使われていましたが、現在、アルムDie Almというカフェレストランになっていて、お茶をしながら、眺めと尽きぬ話を楽しみます。
ここも外は日差しがとても強かったのですが、Hさんがお店の方にお願いして、日除けのパラソルをテーブルの上に拡げてもらいます。こんなこともお願いしていいんですね、勉強になります。おかげで、涼しく眺めを楽しむことができます。

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ちょうど木々の間から見えるのが、アイゼンシュタットの宮殿のあたりだそうです。

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現地の方のご案内がないと、なかなかこういうところには来られません。Hさんに感謝!

ようやく時間になり、予約のレストランへ。アイゼンシュタットのこじんまりした町の中を走っていきます。

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予約してもらったレストランは何とハイドンが楽長として仕えていたエステルハージ宮殿Schloss Esterházyの真向かいです。もとは厩だったとのこと。ヘンリッチHENRICという高級レストランです。

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まずは、もちろん当地の白ワインをいただきます。

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続いて、きのこのクリームスープ、牛肉と野菜のパスタ入りのコンソメスープです。旅の後半からは、無性にスープ類が欲しくなったんです。

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ノイジードラー湖Neusiedler Seeの魚のフライ、魚ソテーの温野菜とパスタ添えなどのメインです。

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デザートはアイスコーヒー(アイスクリームのせ)、クレームブリュレ(アイスクリーム付)といったところをいただきます。
大変美味しくお腹いっぱいです。
ちなみに、ウィーンのアイスコーヒーは、日本で言うところのアイスコーヒーとは違います。普通のコーヒー(日本ではホットコーヒーといわれるもの)にアイスクリームと生クリームが入ったものをアイスコーヒーというそうです。
この連日の暑い中、何か冷たい飲み物が欲しいなと思っても、ジュース類も生ぬるくて満足できる代物ではありませんでした。で、Hさんに、何か冷たいものはないかと相談すると・・・『アイスコーヒーの生クリームなし』を注文してくれました。スプーンで混ぜながら、アイスクリームをコーヒーに解かすのがミソです。確かに冷たくてとっても美味しいアイスコーヒーが完成します。配偶者は多いに感激・満足し、この後の滞在中ずっとこの『アイスコーヒーの生クリームなし』を注文します。
ところで、このレストランにもエアコンは入っていません。最初は室内のテーブルを予約してもらっていたのですが、外の方が涼しいだろうということで、外で食事をします。そうしたところ、この食事の途中に、それはそれは冷たく冷えたおしぼりのサービスがあります。首筋まで拭かせてもらっちゃいますが、本当に冷房以上にすっきり涼しく感じます。こういうサービスのできるところが、一流のレストランなのでしょうね。 



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テーマ : ヨーロッパ
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仲道郁代オール・ベートーヴェン・プログラム@サントリーホール 2011.2.6

いやその、別に美貌のピアニストの追っかけをしているわけではありませんが、たまたま前回のエレーヌ・グリモーのピアノ・リサイタルに続いて、またまた美人ピアニストの仲道郁代さんのコンサートに出かけました。

仲道郁代さんのオール・ベートーヴェン・プログラムのリサイタルなんですが、何故かフルオーケストラの伴奏付きでピアノ・ソナタ以外にピアノ協奏曲までやってしまうという驚きのプログラムです。


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彼女のリサイタルに行かれたかたはお分かりでしょうがクラシックの演奏会としては異例の彼女のおしゃべり付きでもあります。
難しいことはなしにして、音楽はまあ楽しければいいのではないでしょうか。そういう風に感じさせてくれるのが彼女の希有の才能でしょう。

さて、今日のプログラムは以下です。

 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調《悲愴》

  《休憩》

 小林研一郎&仲道郁代スペシャルトーク
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調《皇帝》

  《アンコール》
    エルガー:愛の挨拶(ピアノ・ソロ)

で、オーケストラ演奏は以下です。

 指揮:小林研一郎
 管弦楽:東京フィル

まずは仲道郁代さんの登場を固唾を飲んで待っているとシルキーな輝きの水色の細身の素敵なドレスでにこやかにステージに出てきました。いつもながら華やかな雰囲気の方ですね。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番ですが、まあ綺麗な演奏ではありますが今一つの感です。彼女の解釈ではモーツァルトからの影響が大きくモーツァルトのピアノ協奏曲第21番との関連を意識されたようですが、そのせいかピアノのタッチもモーツァルトを聴いているような感じです。この曲はそういう演奏も多いことは確かですがsaraiの趣味としてはやはりベートーヴェンらしく重厚な演奏が好みです。初期の協奏曲とは言え、ベートーヴェンの力のこもった傑作の一つだと思っています。もっと堂々とした響きを期待していました。
また、オーケストラと協奏する場合、ピアノの音量が不足がちにも感じました。もっとも前回聴いたエレーヌ・グリモーのピアノの音量があまりにもたっぷりしていたので、それと比較して感じてしまったのかもしれません。
まあ聴いていて気持ちのよい演奏ではありましたので心地よくはあったんですがそれだけのことで・・・・

次は《悲愴》ですが、ピアノ協奏曲第1番を弾き終えた後のカーテンコールで彼女は何とマイクを持って登場。早速お楽しみのおしゃべりが始まりました。とはいえポップ系のコンサートと違い、彼女のおしゃべりはあくまでも音楽の話だけです。これから弾く《悲愴》についてのピアニストならではの解説です。内容もさることながら、彼女の話は何となく心地よく響きます。好きな言い方ではありませんが、癒し系の感じですね。ほのぼのって感じです。そう言えば、今日の聴衆はおじさん・おじいさんがやたらに多いねって配偶者が耳打ちします。まあ、saraiもその一人ですから、「そうだね」っていうしかありませんが、彼女はおじさんキラーですね。

ともあれ、《悲愴》です。これはよい演奏でした。耳にタコができるほど聴いた名曲中の名曲ですが、それを無理なく名曲として演奏してくれて、これも難しいことはなしにして楽しめました。協奏曲では感じた音量の問題もソロですから無理なく聴けます。第1楽章は厳粛な序奏と軽快なアレグロの対比がちょうどよい感じで颯爽とした演奏です。第2楽章はベートーヴェン的な抒情がたっぷりと表現されてうっとりとします。第3楽章はもう疾駆するのみで快適に感じます。名曲を名曲として演奏してくれるってまあ悪いことじゃありませんね。

休憩の後、彼女が再登場。何と今度は金色のドレスに着替えての登場です。後で配偶者に指摘されましたがドレスに合わせて髪形までふわっと広がったものに変えていました。休憩時間ではなくて装いを変えるための時間だったんですね。お洒落な姿形は音楽には直接は関係ありませんが、彼女のリサイタルの場合はこれも楽しみの一つでいいでしょう。

で、コバケンさんと彼女のおしゃべり開始。コバケンさんもあの情熱的な指揮ぶりとは違って、とても優しそうな方です。クラシックの演奏会としては異例ですがこういう演奏会もありでしょう。音楽についての楽しいお話がピアノでの色んなメロディーの実例付きで続き、音楽ミーハーのsaraiはにやにやして聴いていました。コバケンさんの「ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番は嫌いだ」って発言には驚きましたが、まあ分からないでもないですね。仲道郁代さんがモーツァルトのピアノ協奏曲第20番のベートーヴェン作のカデンツァをコバケンさんに求められて弾き始めて、すぐに「忘れてしまった!」って放棄したのもとても面白かった。コバケンさんのピアノが意外にお上手なのにもびっくり。

そうこうするうちに東京フィルのメンバーがステージに出てきて、《皇帝》が始まりました。これも《悲愴》同様に名曲中の名曲。これも難しいことはなしで良い演奏でした。がんがん弾く演奏ではありませんがそれはそれでいいでしょう。名曲アワーを素直に楽しませてもらいました。それに生演奏の響きは何者にも代えがたいしね。

アンコールはどうするんだろう、ベートーヴェンだったら、まさか《エリーゼの為に》?って思っていたら、ご本人がマイクなしでご説明です。いつもリサイタルの〆は《愛の挨拶》なので、今日もベートーヴェンではなく、それを弾きますということでした。

たまにはこういう演奏会も楽しくてよかったなと思いながらサントリーホールを後にしました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ハイドンゆかりのエステルハージ宮殿

2010年7月17日土曜日@バーデン~ウィーン/3回目

アイゼンシュタットEisenstadtでの長いランチにすっかり満足。

Hさん、よいレストランにご案内ありがとうございました!

この後、向かいのエステルハージ宮殿Schloss Esterházyを見学します。

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宮殿の前の通りは街に続いており大変興味がありますが、残念ながら長い食事もとったこともあり、街の散策は今日はパスすることにします。

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黄色い宮殿の建物に入ると、そこは建物に囲まれた広い中庭になっています。奥の建物は白い建物です。そこが見学の入口になっています。

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ちなみに側面の建物も奥の建物と同じ白。

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振り返ると今入ってきた正面の建物の裏側が見えます。もちろん黄色です。

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バルコニーの真ん中にはエステルハージ家Eszterházy családの紋章が飾ってあります。

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早速、宮殿の中に入りましょう。これが見学チケット。一人7.5ユーロです。

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宮殿の内部はとても広く、エステルハージ家の財力が偲ばれます。
部屋の天井にはシャンデリア。

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見事な銀細工。

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アントニオ・カノーヴァ作のマリア・レオポルディーネ像です。マリア・レオポルディーネは、リヒテンシュタイン家に嫁いだ女性。

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豪華絢爛な鏡。

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由緒のある陶磁器。もうオリジナルはここにしかないそうです。

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もちろん、磨き上げられた銀食器はこの手の宮殿には定番ですね。ウィーンの工房で作られたものです。

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時計と燭台の3点セットも定番ですがとても手の込んだものです。

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部屋の天井画も見事です。

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で、ここでの一番の目玉は、ハイドンザールHaydnsaalというハイドン時代からのホールです。今でも現役のホールで大変音響がよいそうです。

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このホールでハイドンの交響曲「告別」のCDをほんの少しだけ鑑賞し、ハイドンに思いを馳せます。最近購入したアダム・フィッシャー指揮のハイドンのCD(交響曲全集)もこのホールで録音されたそうで、saraiとしては大満足。来た甲斐がありました。

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満足したところで宮殿を出ます。美しい中庭です。

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中庭を抜けて、外に出ると、宮殿の前には先程ランチをいただいたレストランが見えています。左手の建物です。

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この後、ウィーンに戻りますが、その前にHさんにもう一つ寄っていただきます。



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ハイドンの棺に黙とう・・・そして、アン・デア・ウィーン劇場で「こうもり」

2010年7月17日土曜日@バーデン~ウィーン/4回目

アイゼンシュタットEisenstadtでハイドンゆかりのエステルハージ宮殿Schloss Esterházyを見たし、満足です。

で、この後、今夜はアン・デア・ウィーン劇場でオペレッタがあるので、早めにウィーンWienに戻りたいところですが、このアイゼンシュタットにはハイドンゆかりのものがもうひとつあります。ハイドンの棺です。Hさんによるとベルク教会Bergkircheにその棺があるそうで、寄ってもらいます。

ベルク教会に隣接してカルヴァリエンベルクKalvarienberという人工の丘があり、多くの礼拝堂や祠が配され、ゴルゴタの丘へ登るキリスト受難の道を再現しています。ここは時間がないので外から見るだけです。

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なんだか面白そうですね。

さて、目的のベルク教会に向かいます。

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教会の入り口の左手にハイドンの棺が収められているハイドン廟の小部屋(ここは有料)があります。教会に入る前にここにあるハイドンの棺に対面しましょう。

これが入場チケット。

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ハイドン廟の小部屋に入ると、すぐに美しいハイドンの棺があります。

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ウィーンのお墓から、このエステルハージ家のベルク教会に遺体が移されたのはハイドンの死後、11年経った1820年のことでした。そのときは頭蓋骨が行方不明になっていて、最終的にこの棺に頭蓋骨が納められたのは1954年です。このとき、ハイドンは145年ぶりにようやく五体満足になりました。

そういう長い歴史を聞きながら、黙とう・・・・

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後日談ですが、この年の秋、アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥスムジクスの来日公演で、ハイドンの最高傑作であるオラトリオ《天地創造》の素晴らしい演奏を聴いて感動したのもこの因縁でしょうか。何せ、ハイドンを聴いて本当に感動したのはこのときが初めてですからね。

ハイドン廟を出て、今度はベルク教会にはいります。とても内部が美しい教会です。

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もちろん、古いオルガンもあります。ハイドンも演奏したのでしょう。

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ウィーンのホテルに戻り、Hさんとロビーでお茶しながら、明日も車で案内してもらえることになります。ちなみに、Hさんのお仕事は旅行業なので、プロに案内してもらうわけで恐縮ですが、まあ、お友達ってことで甘えてしまいましょう。それにまだ話は尽きていないしね。

アン・デア・ウィーン劇場に出かける前にいったん、ホテルの部屋で休憩します。また、ウィーンの同じホテル(ベストウエスタン プレミア ホテル カイザーホフ ウィーンBest Western Premier Kaiserhof Hotel Wien)に3度目のチェックインです。レセプションのスタッフとはすっかりお馴染みになりました。
3回目の部屋は2回目の部屋ほどではありませんが、まあ問題ありません。
ベッドも清潔です。

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バスルームもちゃんとバスタブ付きです。

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ネット接続ももう手慣れたものです。

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ゆっくり休んで、今夜のオペレッタに出かけます。昨日に引き続きヨハン・シュトラウスですが、今日は「こうもり」。劇場はアン・デア・ウィーン劇場Theater an der Wienで、この「こうもり」を初演した歴史ある劇場です。ナッシュマルクトNaschmarktに隣接しており、ホテルからは歩いて5分ほどで着きます。
劇場に着くと、既に劇場の前には人が集まっており、劇場前の歩道に並べられたテーブルで、ワインなどを頂いています。

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劇場の壁面には今回の「こうもり」の公演ポスターが貼られています。

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この公演ポスターはウィーン市内の各所に張り巡らせてありました。
さて、早速、劇場の中に入りましょう。

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最前列中央の席だったので、第2ヴァイオリンのトップの金髪のきれいな女性に「東京で聴いたよ。よい出来だったよ」と声をかけると、「どこで聴いたの?」って返事。「オペラシティだよ」って言うと、「ありがとう。今回はバカンスで来ているの?」と言われ、「長いバカンスでね」って言うと、横の第1ヴァイオリンの男性が「楽しんで行ってね」とのこと。
写真はオーケストラピットにいる第2ヴァイオリンのトップの女性とその横で話し込んでいる第1ヴァイオリン(多分)の男性。

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劇場内部の様子もご紹介しておきましょう。今回の演出では、観客席も演出の対象。ということで、観客席の天井から派手な色のライトが当たっています。観客の顔色がおかしいのは写真のせいではなく、客席に赤い色の照明があたっているからです。

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天井を見上げますが、赤い照明のせいで、あまり、よく見えませんね。

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これは右サイドの様子。

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これは左サイド。写真のように舞台に近いボックス席は男性1人が座っています。これはこの後、開演する「こうもり」の演出に関係しています。この人の横の席はずっと空いていて、第1幕後半でアルフレードが舞台から仕切りを跨いで、この空いたボックス席に座り込みます。第2幕がはじまってもずっとそのまま。第3幕になって出番になったところで、再び、仕切りを跨いで、舞台に復帰するわけです。今回の演出では、全員が出ずっぱりなんです。出番のない人もこうして、舞台や観客席のどこかでずっと顔を見せています。

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さて、そろそろ開演です。オーケストラのメンバーが揃ってきます。

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このオペレッタについてはここに詳細にご紹介済です。音楽的には、さすがにウィーンの音楽水準の高さを示す素晴らしいものです。ウィーンで音楽を聴くと、よそがどうしても霞んでしまいますね。

終演後、劇場の外に出ると、コンサートの途中に激しい雷雨があったようで、道路はビショビショ、気温もグッと下がっています。まだ少し雨粒が落ちていますが、この程度でウィーンでは傘はさしません。我々もそれにならい、余韻を楽しみながら満足でホテルに。ホテルは近い所で便利です。

明日も夜は野外のオペレッタに出かけます。それが最後の音楽イベントです。旅ももう少しで終わります。
なんだか寂しいものです。


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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

欧州鉄道周遊の旅(企画・準備編):渡航前日は優雅なホテルで

さて、次のヨーロッパの旅への出発まで1カ月半ほどになりました。着々と最終準備中ですが、耳寄りな情報を伝えるEメールが旅サイトから飛び込んできました。

ホテル・オークラが一人7500円で宿泊できるそうです。
以前の記事で書いたように成田からの出発の前夜はサントリーホールで大事なコンサートがあります(東京都響の定期演奏会でインバル指揮のオール・バルトーク・プログラム。オペラ《青ひげ公の城》と庄司紗矢香のヴァイオリンで協奏曲第2番。1年前から待ち遠しかったコンサートです。)。
で、とりあえず、自宅に戻るのも何なので配偶者からの意見もあり、成田空港近くの格安ホテルを1室4900円で予約しておきました。
すっかりこの格安ホテルで前泊するつもりでしたが、ホテル・オークラの高級ホテルとしては破格の安価なプランを知って、気持ちが揺らぎます。
早速、配偶者に報告すると「とりあえず、ホテル・オークラも予約しちゃいなさいよ。その日の部屋が空いてるかどうかも分からないでしょう?」って意外な答えが返ってきました。
だって、ヨーロッパ旅行中のホテルは基本的に1泊2人で100ユーロっていうお達しを出したのは配偶者です。このホテル・オークラのプランが安いと言ったって2人で1万5千円です。ユーロで言えば130ユーロを超えていますよ。

まあ、配偶者からのお許し?が出たみたいなのでその気持ちが変わらないうちに予約しちゃいましょう。
予約サイトを見るとその日は予約可です。ちなみにこのプランは3月いっぱいまでなのでぎりぎりセーフでした。
早速、予約をぽちっと入れました。
ところでこのプランには宿泊条件が付いていて、午後11時以降チェックインとのことです。
まあ、構いません。どうせサントリーホールのコンサートは9時過ぎに終了なので日本での最後のディナーでも食べていれば、その時間になるでしょう。
それに、コンサートの始まる前に旅行のスーツケースをホテルのレセプションに預けておけば、チェックインしたのと同じようなものです。

で、翌朝の成田空港への移動ですが、流石に日本を代表する高級ホテル。このホテルから成田空港行きのリムジンバスが出るようです。朝6時半か7時過ぎと早いですが楽々1時間ちょっとで成田空港に着くようで料金も3000円でいつも利用する横浜からの成田エキスプレスよりも安いです。
このリムジンバスも予約しようとしたら、これは1カ月前からなのでまだ駄目でした。これは後で予約しましょう。

ところでヨーロッパ旅行の前日にサントリーホールでコンサートを聴いて、ホテル・オークラに前泊し、成田空港に向かうっていうことで、はたと思い出したことがあります。
それは今をさかのぼる20年前、初めてのヨーロッパ・オペラ・ツアーに参加したときのことです。初めてのヨーロッパということもあり、このときは旅行会社のツアーに参加しました。時は日本中がバブル景気に酔いしれており、お金のない我が家も気持ちだけ同調して、今思えば身分不相応の超豪華ツアーに参加したわけです。もちろん、ホテルはすべて5つ星でした。航空機の座席もビジネスって言いたいところですが流石にこれはエコノミー。とはいえ、ジェット機に乗り込むと何故かsarai夫婦の近くにはあまり同行する他のメンバーが見当たりません。そうです。半分くらいのメンバーはビジネスのシートにアップグレードしていたんです。
皆さん、お金持ちで医者、経営者・・・でsarai夫婦が最も若くて最も貧しい参加者だったんです。
で、このお金持ち集団のなかでも一番のお金持ちのようだったのが病院の院長夫妻です。このかた達とお話ししていると「昨日はサントリーホールでコンサートがあったので近くのホテル・オークラに泊まって、そのまま成田空港まできたのよ」って奥様がおっしゃいました。そのときは「へーっ!!」と世の中には何と贅沢な暮らしをしている人がいるのかと思いました。どだい、そのときはホテル・オークラだって行ったことも見たこともありませんでしたからね。もしかしたらサントリーホールだって行ったことがなかったかもしれません。ですから、サントリーホールとホテル・オークラの位置関係だって知るわけないし、まさに異次元の世界の話だったわけです。

ということで配偶者もsaraiも頭の奥底にその贅沢な話が沈着したままになっており、ホテル・オークラに過剰反応したわけです。もちろん、ホテル・オークラは初宿泊になります。これまでホテル・オークラではランチをいただいたことくらいしかありません。

こんな経緯で憧れのサントリーホール⇒ホテル・オークラ⇒成田空港というゴールデンルートが実現しそうで変な感じですが、まあ楽しませてもらいましょう。


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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

エル=バシャ・ピアノ・リサイタル@ひまわりの郷 2011.2.13

最近は何故かピアノ・リサイタルを聴くことが続いており、今日は上大岡のひまわりの郷コンサートシリーズでアブデル・ラーマン・エル=バシャのピアノ・リサイタルに行ってきました。

エレーヌ・グリモー、仲道郁代と続いた美貌ピアニストシリーズは終了し、理知的な男性ピアニストのピアノ・リサイタルです。エル=バシャのピアノはテレビで少し聴いたくらいであんまり聴いたことがなく、初聴きに近い感じです。
先入観なしに聴いてみましょう。

今日のプログラムは以下です。

 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第9番ニ長調 K.311
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」Op.31-2
 シューベルト:即興曲第2番 Op.90 No.2 

  《休憩》

 ショパン:夜想曲第1番 Op.9-1
      ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」Op.18
      夜想曲第2番 Op.9-2
      ポロネーズ第6番「英雄」Op.53
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
      「鏡」~洋上の小舟
      「鏡」~道化師の朝の歌

  《アンコール》
  エル=バシャ:アンダルシアの歌
  バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻第12番よりプレリュード

1曲目はモーツァルトのピアノ・ソナタです。このところ、モーツァルトのピアノ・ソナタを聴く機会が多かったのですが、今日の演奏はsaraiの感覚に一番合った演奏で終始楽しく聴けました。特別個性に満ちた表現ではありませんがモーツァルトの様式美に満ちた演奏であると感じました。ピアノのタッチも粒立ちのよい、いかにもモーツァルトという感じでよい響きです。そう言えば、今日のピアノは珍しいベヒシュタインのピアノです。このピアノの印象は中低域の響きは深く素晴らしいのですが、高音域の最強音が鋭く響くのが難に感じました。スタインウェイはもっと華麗な響きがしますね。ピアニストの弾き方の問題かとも思いましたが、休憩中の調律を聴いているとやはりピアノの特性のようです。このベヒシュタインはエル=バシャの特別の要望で準備したそうです。それもホールに馴染ませるために2日前に搬入したそうです。ご苦労さまでした。

次はベートーヴェンのテンペストです。saraiのとても好きな曲です。
先程のモーツァルトと違って、とても重厚で思い入れたっぷりの弾き始めでぐっとこちらの気持ちも引き込まれます。あまり恣意的な演奏をするタイプのピアニストではありませんが強い情熱を秘めた演奏でこちらも熱くなります。1楽章途中のピアニッシモの部分で客席から長々と携帯の受信音が鳴り響きましたが、それも何のその、フォルテッシモの演奏で何もなかったかの如く引き続け、お蔭でこちらの集中力も切れずに済みました。サンキュウ! でもこういうことって勘弁してね。
第2楽章も緊張感のある演奏です。このピアニストはピアノの響きと無音の対比・使い分けに感じ入るものがあります。もっとも無音の部分など実際にはほとんどありませんが何故かそう感じさせられる演奏です。じっくりと聴きいってしまいます。
第3楽章はもうあの有名なメロディが最初から美しく響き、満足!満足! 一気にフィナーレまでいってしまった感じです。
なかなか感銘を受けた演奏でした。決して押しつけがましい表現ではなく、聴くものの感性に感じ方を委ねたともいえる演奏で一人一人受け止め方は異なるでしょうが素晴らしい演奏でした。

次はシューベルトの即興曲です。これも基本的には同様に客観的な演奏ともいえます。美しい演奏ですが何か物足りないような気もしました。楽しく聴かせてもらったので贅沢な感想ではあります。作品142の第2曲なら、どんな演奏だったかとも思います。きっとこのピアニストには合っているような気もしました。

ここまでがドイツ音楽のピアノ曲でしたがすっかり満足して、ここでこのリサイタルが終わってもよかったくらいです。
で、休憩の後は一転してショパンとラヴェルです。

まずはショパンの名曲集。次々と有名な曲が流れます。このピアニストは実にレパートリーが広い。見事に美しいショパンです。特に最初のノクターンの1番の美しかったこと、うっとりです。ゆったりしたテンポであの美しいメロディーがロマンティックに奏でられます。何も言うことなし。

次はラヴェルです。ラヴェルってsaraiは結構苦手な作曲家です。でも「亡き王女のためのパヴァーヌ」の丁寧な美しい響きにはうっとりしました。「鏡」の2曲はやっぱり苦手かな。

アンコールの最初の曲はラヴェルかアルベニスかなって思って聴いていたら、何とエル=バシャの自作の曲。スペイン風の曲ですが彼ってレバノン出身だとのこと。面白いですね。
で、今回のリサイタルで一番心に沁みたのはアンコール最後のバッハ。何の衒いもなく自然な表現でしたがそれがとても心に響きました。やはりバッハはこんな作為のない演奏がいいなって感じるようになってきました。

初めて聴くエル=バシャのリサイタルでしたが、また聴きたいと思わせられる心に残る演奏でした。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ウィーンの森からのドナウの眺め

2010年7月18日日曜日@ウィーン~メルビッシュ

旅も14日目です。

今日はウィーンWien。
むむむっ・・・曇ってます。
そして、涼しい! 私達が思い描いていたヨーロッパの夏です。
今までの暑さは何だったのでしょう。

さて、今日は昨日に引き続きHさんに案内してもらいながら、音楽談義を楽しむ予定です。約束の10時までに朝食を済ませましょう。

このホテルの朝食はすっかり食べ慣れましたが、なかなか充実しています。とはいえ、いつもどおりの食事内容です。

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さて、朝食を済ませて部屋に戻ると、カードキーを差してもドアが開きません。アレ?と何回か試してみますが開きません。仕方なくレセプションに行って事情を話すと、カードキーを書き直してくれます。

で、再度部屋に戻りカードキーを差しますが、やはり開きません。仕方なくまたまたレセプションに行き、やはり開かないことを伝えると、我々の部屋の近くにいるメイドさんに指示をしてくれます。で、再再度部屋に戻ると、今度はメイドさんがメイドさんのマスターキーでもダメだとフロントに連絡しています。

そして、メイドさんがボーイを呼ぶから待っててねというので、しばし待っていると大柄のボーイさんがやってきます。彼もいったんマスターキーを差してみますが、もちろん開くわけはありません。
それではどうするのかと思って見ていると、彼が持ってきた大型ノートPCほどの機械を操作して、キーの差し込み口に向かって電波を送っているようです。すると、緑色のランプが点灯し、キーロックは解除。

ようやく部屋には入れますが、まだキー操作は無効のようです。さらに作業は続き、部屋の内部からキー開閉装置を修理して、ようやくOKになります。ボーイさん、ご苦労様! でも、これはホテル側のトラブルだから、チップは不要ですよね。それでよかったかな?(チップって本当に難しい)

ようやく部屋に入れて、ホッとして時計を見ると、えっ、もう10時! Hさんとの約束の時間です。あわてて出かける準備して部屋を出ようとすると、ロビーからHさんの電話。3分ほど遅れましたと言われましたが、遅れたのはこちらです。すぐにロビーに降りて、謝罪よりも言い訳モード。だって、ホテルのドアロックシステムが悪い!!

さて、今日もHさんの車で案内してもらいます。行き先はクロスター・ノイブルク修道院Stift Kloster Neuburg。
修道院へは、遠回りしてウィーンの森Wienerwaldあたりを通りながら行ってくださるそうです。
ウィーンの森への途中に、Hさんが住んでいるところのそばを通りますが、大きな公園のある一角で高級住宅地帯です。すごいですね。

ドライブの途中で、ウィーンの森の中腹で眺めを楽しみます。

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ここではドナウ川Donauは見えません。

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このあたりは車でないとなかなか来られない所ですね。それに、ウィーンの森を散策する起点としては、なかなかよさそうなところです。でも、のんびり散策するほどの時間はないので、車からは降りずにもっと山を上ってもらいます。
そして、ついにカレンベルクの丘Kahlenbergに到着です。ここは昔(20年前のツアーの折に)来たはずなのですが、まったく覚えていません。Hさんによると、ここも随分変わったそうです。
しかし、ここの展望台からの眺めは大変素晴らしい。ドナウ川が一望できます。

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こちらはウィーンの街です。大きく広がっていますね。

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展望台の建物はこんな感じです。

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ところでドナウ川は見えますが、ドナウ運河Donau Kanalは見えません。
Hさんに伺うと、ドナウ運河は小さくて、ここからは運河自体は見えず、運河の周りの緑が見えるだけとのこと。そう言われると、運河沿いのフンデルトヴァッサーのデザインしたウィーン市ゴミ焼却場Fernwaerme Wienの煙突の横に、緑地帯がずっと続いていますね。なるほどね。

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カレンベルクの丘からの眺めはすこぶる素晴らしいですね。
次は今日の目的地のクロスター・ノイブルク修道院に向かいます。


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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

エスコリアルを思い描いたクロスター・ノイブルク修道院

2010年7月18日日曜日@ウィーン~メルビッシュ/2回目

カレンベルクの丘KahlenbergからのウィーンWien・ドナウ川Donauの眺めを楽しんで、ここから丘を下ります。

そこはすぐにクロスター・ノイブルク修道院Stift Kloster Neuburgです。

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この修道院は、スペイン・ハプスブルク家出身のカール6世が、修道院と住居を兼ねて、スペインのエル・エスコリアル修道院Monasterio de El Escorialを思い描いて作ったとのことです。でも、カール6世の娘のマリア・テレジアがこの建物に興味を示さなかったので、さらなる発展はなかったそうです(すべて、Hさんの受け売りです)。もっとも、この時点ではエスコリアル修道院には行ったことがなかったので、その類似度は分かりませんけどね。

早速、入館します。これが入館チケット。二人で16ユーロ。

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住居部分だけを見て歩きます。宗教的なスペースは割愛。
中にはいると、綺麗に修復された回廊が続きます。

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回廊は起伏のある部分もあり、延々と続きます。

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修道院の内部は、白い壁に囲まれた美しい建物です。住居部分は王宮でもあります。

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天井が高く、赤絨毯がひかれているので、豪華な印象。

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広間は、それは美しい天井画で飾られています。

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広間の壁面の装飾も大変豪華です。

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ふと窓から中庭を眺めると、舞台が作られて劇場空間になっています。

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Hさんに聞いてみると、ここではオペラの上演があり、なかなか質の高いオペラだそうです。
よく見ると、牛のオブジェのようなものが見えますね。今年の演目は、ビゼーのオペラ《カルメン》だそうです。実は、その公演はもう直ぐで、Hさんもチケットを買っているそうです。羨ましいですが、saraiはもう数日で帰国ですから無理ですね。

後日談になりますが・・・ちょうど公演の日は雨で、この中庭の野外での公演は中止になり、近くの公会堂のような所で上演されたとのこと、残念でしたね。でも、そのとき主催者から「ザンクトマルガレーテンのように、第1幕だけで中止してチケット代を返さなかったようなところとは違い、ここはちゃんと公演するんですよ」というようなコメントがあったそうです。saraiが見に行き、雷雨のために途中で公演打ち切りになったときのことを言ったようです。やはり、あの公演打ち切りはずい分異常なことだったんですね。

この修道院では、絵画展示もあり、往時を偲んで見学。これですべて終了。
ここも随分、修復されています。
建物を出て外から見ると、大変立派な建物ですね。

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さて、この修道院はワインの醸造・経営もしているそうで、ワインの販売も行っています。ワイン好きのsaraiとしては興味をそそられます。見て回っていると、ゼクト(スパークリングワイン)が安い。しかも、飲みやすいピッコロのボトルがあるので、陳列してあった6本すべてをお買い上げしてしまいました。

帰国後、折に触れて飲みましたが、なかなか美味しいワインでした。
で、先日、遂に最後の1本になってしまったので、記念撮影。

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撮影後に、もちろんしっかり最後の1本をいただきました。



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

クロスター・ノイブルクでランチ、そしてメルビッシュ音楽祭

2010年7月18日日曜日@ウィーン~メルビッシュ/3回目

クロスター・ノイブルク修道院Stift Kloster Neuburgを見て歩いたところでもうお昼時。

この修道院にもカフェレストランがあるようですが、もう少しちゃんとした食事がしたいということで、Hさんに近くのレストランに案内してもらいます。
が、ここも修道院の経営とのこと、修道院の経済力は恐るべし・・・。

Hさんにメニューの説明をしてもらいながら選んだ内容は、野菜とパンケーキの細切りの入ったコンソメスープ、西洋松茸のフライ、玉ねぎのソースと玉ねぎのカリッと揚げた細切りの添えたローストビーフ、アイスクリームのせのアイスコーヒー、メランジェといったところ。
やはり、プロのお墨付きの食事は、ひときわ美味で、満腹!!!

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ここでゆっくりお昼を楽しんでいると、雨が降り出します。
すかさずHさんは、今夜の野外オペレッタ会場のメルビッシュMörbischに電話で状況確認。さすがに仕事ができる女性!という感じですね。その結果は「ウィーンは雨だけど、メルビッシュは晴れているわよ」ってことで、一安心です。ザンクトマルガレーテンのように、豪雨に降られたくありませんからね。

その後、またホテルに送ってもらいます。
が、まだ出かけるには少し時間があるということで、ホテルのロビーでお茶しながら、Hさんと話の続き・・・ウィーンでHさんとお話できるのもこれが最後ですからね。
で、音楽、芸術のディープな話で、つい話し込んでしまい、あっと気が付くと、もう出かけないと間に合わない!
Hさんにそそくさと別れを告げ(Hさん、慌ただしくてゴメンナサイ!)、部屋に戻り、ちゃちゃっと支度をして、タクシーを呼んでもらい、速攻で出発。

今日のオペレッタは、一昨日の野外オペラ(ザンクトマルガレーテン)と同じバス乗り場(国際バスターミナル)からのバスを利用します。2度目なので、慣れたものです。
タクシーがバス乗り場に着くと、出発15分前。まだ何人かバスの前に並んでいますが、どうも我々が最後の乗客だったみたいです。

バスは予定の時間を少し過ぎて出発。向かう方向は毎日同じなので、見慣れた風景です。そのせいか、しばらくすると睡魔に襲われ、気が付くと、大きな湖(ノイジードラー湖Neusiedler See)に着いていました。ここが今日の会場です。
ノイジードラー湖はこんなに大きな湖です。

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今日はメルビッシュ湖上音楽祭Seefestspiele Mörbischで、3日前から始まり8月いっぱいやっています。
このメルビッシュ湖上音楽祭は、毎年NHKのBSハイビジョンで放送されていて、saraiは欠かさず楽しみに見ていた音楽祭です。まさか、その音楽祭に来られるとは思ってもいなかったので、saraiは大喜びなんです。
今年のプログラムは、レハールのオペレッタ「ロシアの皇太子」。美しいメロディーで知られるオペレッタです。

早速、会場に入ります。これは入場ゲート。

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今回ゲットしたチケットはVIP席(LOGE)。観客席の最後列のスタンドにある、無料のドリンク・軽食付きのもの。
スタンドには2階にレストランもあり、食事もできます。

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さて、VIP席に向かいましょう。
VIP席は会場案内板の下方中央の緑色のLOGEと表示されているブロックです。

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スタンドの内部を抜けて、VIP席に向かいます。

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スタンド内にはレストランスペースもあります。

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VIP席は専用の入口からはいります。
まず、入場するとスワロフスキーの大型双眼鏡を無料で貸してくれます。
ちゃんと返却することを確認するためでしょうか、名前や連絡先、パスポート番号などを記入させられます。
まあ、立派で高価な双眼鏡ですからね。

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また、お土産の手提げも手渡されます。中身は「ロシアの皇太子」のCD(もちろん、このメルビッシュ音楽祭のものです)、フルカラーの立派なプログラム、ドリンク。

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そして、毛布。そうです、今日は一転して寒いんです。湖上からの寒風が身に沁みます。というわけで、一般席のお客さんは、座布団や毛布を詰め込んだ大きなバッグ持参なのです。saraiのような旅人には、こんなものは準備できないので、このVIP席ならではのサービスがとっても魅力的。その割には安いんですよ。
ところが、この毛布サービスでもまだまだ寒く、こんな事態も想定して持参したウィンドブレーカーも着込みます。
で、とりあえず、ウェルカムシャンパンでお腹を温めましょう。

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VIP席はこんな雰囲気で中にバーカウンターもあり、なかなかリッチな気分になりますね。

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ここにはVIP席専用のトイレもあり、配偶者は早速利用。

VIP席からは舞台上の大掛かりなセットが見えています。お城を模したセットですね。その向こうにノイジードラー湖が広がり、素晴らしい景色です。

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観客席はまだ、ほとんど人が埋まっていません。開演まで、まだ、1時間以上もあります。

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周りを見渡すと、一般席は野球場のスタンドのようになっており、座布団が欲しいかもしれませんね。

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もちろん、VIP席はクッション付のシートになっています。

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舞台の向こうの湖を眺めると、観光船が運行しています。

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舞台上ではスタッフが最後の準備に大わらわ。

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開演時間が迫り、VIP席も大賑わいです。

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VIP席を始め、客席も多くの人で埋まってきます。

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大がかりな舞台セットも、まだ明るい夕刻の明かりでよく見えています。まもなく開演です。

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8時半になり夕闇が迫った時に、公演が開始。
次々にレハールの美しいメロディーが流れ、うっとりします。

休憩時間には軽食と飲み物を寒さに震えながら、たっぷりといただきます。
が、気が付くと、VIP席の下に専用の暖かい部屋もあり、なーんだ・・・。

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我々もちょっとだけ、この専用ルームで暖かい空気を楽しませてもらいます。

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後半も順調に公演は続き、あっという間にフィナーレ。
フィナーレ後の湖上に上がる花火はレハールの音楽と連動した見事なもの。オペレッタファンの心をしっかりとつかんでいますね。みな、レハールのメロディーを鼻歌まじりに上機嫌で帰っていきます。

公演の詳細は既にここに詳細にご紹介しました。

我々も余韻に耽りながら、駐車場のバスに向かいます。

満足な気持ちを抱きつつ、バスでウィーンに無事帰着。
バスはシューターツオパー前まで行ってくれたので、ホテルには楽々帰れましたが、着いたら深夜1時を過ぎています。
そのまま、倒れこむようにベッドに・・・。

明日はフリーの1日なので、ゆっくりとウィーンを過ごしましょう。



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ウィーンのカフェ巡りに出発

2010年7月19日月曜日@ウィーン

旅も15日目です。明日は遂に帰国の途につきます。

今日はまったくフリーの1日なので、ゆったりと朝食を楽しみます。
ここでちょっと、合計7泊も宿泊した「ベスト・ウェスタン・プレミア・ホテル・カイザーホフBest Western Premier Kaiserhof Hotel Wien」のパブリックスペースを紹介しましょう。
レセプションの奥には贅沢なロビーがあります。

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ロビーの一角にはニュースコーナーがあり、新聞やテレビがあります。テレビではCNNニュースをやっています。

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また、ロビーにはスナックバーや読書コーナーと至れり尽くせりです。

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さて、このロビー、そしてレセプションを抜けてホテルを出て、街歩きに向かいましょう。

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今日もウィーンWienは曇り空で、涼しいです。
街の中には、ビシッとタイトなスーツを着て颯爽と歩いてるビジネスマンを多く見かけます。暑いときはどんな格好をしてたのかな・・・。
観光客は何だか寒そうな夏の格好です。
sarai達は、ウィーン子ぶってちゃんと上着を着て出かけます。今日は街をブラブラしながらお土産の調達とカフェ巡りです。本当は美術館にも行きたいのですが、生憎、今日は月曜日。軒並み、閉館です。仕方がありませんね。
外を歩いても涼しいと体が楽です。元気よく出発です。

まずは、配偶者が日頃お世話になっているお友達に、ホテルザッハーからウィーンの空気と共にザッハートルテを送ります。次にスーパーで、適当な価格のチョコや塩などのお土産をゲット。これでお土産の調達は終了です。

さて、カフェ巡り開始です。
まず、前回からお気に入りになったカフェのL.ハイナーCafé-Konditorei L. Heinerに向かいます。
ただ、同じお店もつまらないので、前回行ったケルントナー通りKärntner Straßeの本店をパスして、ヴォルツァイレ通りWollzeile(聖シュテファン大聖堂Domkirche St. Stephanの近く)の支店に向かいます。

途中の路地とも言っていい幅の狭い通り、ヴァイブルク小路Weihburggasseに沿って色んなものがあり、なかなか面白いです。
美しいファサードのかわいい教会があります。フランツィスカーナー教会Franziskanerkircheです。

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教会の向かいには、通り抜けの路地があります。バル小路Ballgasseです。いつか、こういう路地を歩きたいですね。(5年後にこのあたりの路地歩きは実現します。)

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路地の角のちょっとした広場、フランツィスカーナー広場Franziskanerplatzのオープンテラスのカフェは、大勢の人で賑わっています。

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フランツィスカーナー教会の横の路地をヴァルツァイレ通りに向かって歩いていきます。

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ジンガー通りSingerstraßeを横切って、グリューナー小路Grünangergasseに入ります。
この路地で、面白いお店を見つけます。
ザルツブルグによくあるような店先のシンボルです。この短ズボンみたいなものをぶら下げているお店は一体何でしょうね。

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どうやら、このお店はこのシンボルの通り、革製の半ズボンのお店のようです。オーストリアやドイツの民族衣装の革製の半ズボンの製造・販売を手掛けているようです。

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ヴァルツァイレ通りの1本手前のシューラー通りSchulerstraßeに出ます。すると、狭い路地いっぱいに消防車みたいな真っ赤な大型車がやってきます。sarai達は路地の脇によけて、やり過ごします。

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どうも、ウィーン市街地観光の車のようですね。
何だかウィーンの古い街並みには似合わないな・・・

そうこうするうちに、L.ハイナーのヴァルツァイレ通り支店に到着します。

ここまで歩いたルートを地図で確認しておきましょう。

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いよいよ、カフェに入店します。



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ウィーンのカフェ名店:L.ハイナー(ヴォルツァイレ通り支店)

2010年7月19日月曜日@ウィーン/2回目

目的のカフェ、L.ハイナーCafé-Konditorei L. Heinerのヴォルツァイレ通りWollzeile支店に到着します。

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ショーウィンドウには、美味しそうなものがたくさん並んでいます。

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店内の陳列ケースにも美味しそうケーキが並んでいます。

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sarai達は、窓際の明るいテーブルに落ち着きます。
ショーウィンドウ越しに外を見ると、女の子達を連れた家族がショーウィンドウを覗き込んでいます。

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お店の内部を観察します。結構狭いですね。

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奥の壁際では、ゆっくりと時間を過ごしている人達が多いですね。ウィーンはそういうカフェ文化ですからね。

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さて、saraiはハイナー特製のハウストルテ(チョコレートのトルテ)とメランジェをいただきます。

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配偶者は、同じくハイナー特製のウィーナー・メーデルトルテというケーキとアイスコーヒー(Hさんに教えられてからはまった!)です。

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Hさんからのご指南通りに、「アイス・カフェ・オーネ・シュラーク」って言うとすぐに通じ、ホイップクリームなしのアイスコーヒーを持ってきてくれます。

が、このお店のアイスコーヒーは、コーヒーにアイスクリームが浮いているというより、アイスクリームにコーヒーがかかっているという感じで、ほとんどがアイスクリーム状態。やはり、冷たいものはアイスクリームという文化なのでしょうね。ちょっと思いが違った配偶者は残念そうです。

ケーキをズームアップしてみましょう。
これがハウストルテ。

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これがウィーナー・メーデルトルテ。

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ケーキを選んだときに見たメニューってこんなものです。

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賑わっていた店内も少し、空いてきました。我々も満足したところで、席を立ちましょう。

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で、このお店の総括です。
食器類は本店同様にかわいいものですし、ケーキも飲み物ももちろん本店と同じ内容です。が、店内が古い内装で暗いので、明るく開放的な本店の方が雰囲気がよかったねということで配偶者と意見が一致。
次はまたL.ハイナーのケルントナー通りの本店に舞い戻ってみましょう。

ここでいったん荷物(お土産物)を置きがてらホテルに戻ります。



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ウィーンの変わった日本食

2010年7月19日月曜日@ウィーン/3回目

さて、カフェのL.ハイナーCafé-Konditorei L. HeinerでウィーンWienのカフェ文化を楽しみました。

ここでいったん、ホテルに荷物を置きに帰ります。
ここへ来るときはケルントナー通りKärntner Straßeを歩いてきたので、少し遠回りになりますが、街歩きということでシュタットパークStadtparkの方に出て、リンク通りRingstraßeを通って帰りましょう。ヴォルツァイレ通りWollzeileをまっすぐ、リンク通りに向かいます。

すると、リンク通り近くで、薔薇のよく咲いている公園を発見。ドクター・カール・ルエーガー広場Dr.-Karl-Lueger-Platzです。

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全景はこんな風です。中央に建つ銅像はこの広場の名前にもなっているカール・ルエーガーKarl Luegerです。彼は1897年にウィーン市長になった人物で、美男でさわやかな弁舌で人気を集めました。一方、彼のユダヤ人攻撃はヒットラーに先鞭をつけたとも言われています。

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やはり、回り道するといいことがありますね。
近くには、かわいい花屋さんもあります。リンク通り沿いのシュタットパークの角にあります。

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花好きの配偶者は大喜びで、店内をチェックです。

さて、リンク通りをカールスプラッツKarlsplatzのほうに歩いていきましょう。左側にはシュタットパークの緑が続いています。

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シュタットパークの横のリンク通りを歩いていると、自転車用道路をまたまたセグウェイに乗った人達が通ります。見ていると次々にやってきます。流行っているようですね。

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すると、通りの反対側にセグウェイのお店を発見。セグウェイの名前のはいった車も駐車しています。

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一度、セグウェイを体験してみたくなりました。
というところで、カールスプラッツを抜けて、ようやくホテルに戻ってきます。
たまには階段を上って部屋に戻ろうとします。すると、階段の踊り場の窓が素敵だったことに気がつきます。やはり立派なホテルですね。

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部屋で少々休憩をすることに・・・のつもりだったのですが、前日の帰りが遅くブログも書けていなかったので、結局PCの前で格闘することになってしまいます。一段落したところで、再び出撃。出かけるときにホテルのロビー近くにプリンター付きのPCが置いてあることに気が付きます。帰りの飛行機のWEBチェックインをするときに、これで搭乗券が印刷できそうです。

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ホテルのすぐ近くにナッシュマルクトNaschmarkt(市場)があります。そのすぐ横に「茶の間Cha No Ma」というカフェがあり、そこの抹茶スムージー(抹茶フロートのようなもの) が美味しいとHさんから情報をもらっていたので、行ってみることにします。迷わずにすぐ、お店が見つかります。

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ウィーンのすし屋など日本食のお店は、中国人がやっているのかすごく変なお店が多いのですが、このお店は店員さんも含め、「ザ日本」という感じがします。

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おにぎりや味噌汁、大福などの和菓子もあります。
メニューは、大きなボードに張り出されています。

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店内の様子はこんな風です。

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日本のお茶の店なのですが、お客さんはみな現地ウィーンの人達です。

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sarai達は抹茶スムージーと抹茶ティラミスを頂きます。美味しいですよ。

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近くには「小次郎Kojiro Sushi」というお寿司屋さんもありますが、安いし、まともそうな気がします(外から見ただけで試食してないので味はわからない)。

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また、「日本屋Nippon-Ya」という日本食品のお店もあります。

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店内の商品はすべて日本の製品で、本当にいろんなものがあります。夕食にしようとカップ麺の「どん兵衛天ぷらそば」を買うと、なんと500円ちょっとします(後で食べたら、久しぶりのお蕎麦のせいか悔しいけど美味しかった!)。何でも手には入るけど、相当高いですね。

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なお、後日、日本に戻って、このカップ麺「どん兵衛天ぷらそば」を食べてみましたが、もちろん同じでした。・・・価格以外は。

今回は特にウィーンの日本食に触れてみました。

ここまで歩いたルートを地図で確認しておきましょう。

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次はナッシュマルクトの市場をぶらつきます。



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ナッシュマルクトをぶらぶら、そしてまたカフェ巡り

2010年7月19日月曜日@ウィーン/4回目

「茶の間Cha No Ma」というカフェで超猛暑でどうしても食べたくなった日本のかき氷もどき(抹茶スムージー)を食べ、満足。
で、落ち着いたところでナッシュマルクトNaschmarktの市場をぶらつくことにします。

ナッシュマルクトには、野菜や果物、魚、肉・・・いろんな食材があります。配偶者が昨日食べてとても美味しかった西洋松茸もあります。写真の右下がその西洋松茸です。

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八百屋さんの店先をもう少しご紹介しておきましょう。

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次は果物屋さんです。スイカがありますね。

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レストランもいろいろあり、メニューの中にはお寿司も多く見られますが、アジア系の食べ物屋さんの中に含まれています。

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レストランの並んでいる一角です。

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結構、賑わっているレストランもあります。

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ナッシュマルクトの市場街の向こうには、一昨日にオペレッタを観たアン・デア・ウィーン劇場Theater an der Wienが見えています。

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ナッシュマルクトを十分に楽しんだ後は、またまたカフェ巡り。
カールスプラッツKarlsplatzの交差点に出ます。

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カールスプラッツ近くの老舗カフェのカフェ・ムゼウムCafé Museumは、改装中で閉店しています。次回のウィーン訪問時にでもまた来てみましょう。

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ところでカフェ・ムゼウムの写真を眺めていて、今更ながら気が付きましたが、有名人の大きな顔写真が3枚張られている中、中央の写真は敬愛する作家シュテファン・ツヴァイクではありませんか。今でもウィーンの中心街にツヴァイクの写真があることに感銘を覚えます。

で、カフェ・ムゼウムの代わりにウィーンの有名カフェのオーバーラーKurkonditorei OBERLAAに向かうことにします。昨年はお店までは行きましたが、既に満腹状態だったので、ケーキを買って帰りホテルで食べたので、今度こそ店内で食べましょう。
リンク通りを横切り、ウィーン国立歌劇場の左手の道を歩きます。横にウィーン国立歌劇場の前庭の美しい泉(彫刻)が眺められます。

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ウィーン国立歌劇場を過ぎると、左手にアルベルティナ美術館Albertina、アウグスティーナ教会Katholische Kirche St. Augustinが見えてきます。そちらには行かずにまっすぐ、テゲットホフ通りTegetthoffstraßeを進みます。

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やがて、ノイアー・マルクトNeuer Marktの広場に突き当たります。その広場の奥にコンディトライ・カフェのオーバーラーがあります。
お店には、テラス席もありますが、初体験のお店なので店内を選択します。店内は空いています。やはり、テラス席が人気のようです。

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ここでも窓際のテーブルに座ります。外の通りを眺めるのもカフェの楽しみのひとつですからね。見えている通りはノイアー・マルクトの裏通りになるザイラー小路Seilergasseです。

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このカフェではsaraiはアプフェルシュトゥルーデルをオーダーしますが、売り切れとのこと。もう夕方遅くなので、ケーキの種類も少なくなっているようです。
ホーレンダー(コーヒー味クリーム)、レモンケーキ風、ダージリンティー、アールグレイティーをオーダー。

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人気店に恥じない美味しいケーキです。初めて、ウィーンで紅茶を頼んでみますが、甘いケーキにはコーヒーよりも合うかも知れないと再認識します。
でも、紅茶はどのお店も、お湯の入ったティーポットとティーバッグが出てくるだけです。自分でお湯にティーバッグを入れ、適当な時間待って頂くようです。何とも味気ないですね。いつも茶葉を使って丁寧に紅茶を煎れている紅茶派の配偶者としては、この紅茶に対する扱いはどうも納得できないとのこと。が、たっぷり飲めるという利点はありますね。

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街歩きにも疲れました。この後はホテルでゆっくり過ごそうと、ケルントナー通りKärntner StraßeのノルドゼーNordseeでフィッシュ・アンド・チップスをテイクアウトしてホテルに帰着。

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ホテルでその夜食を食べて、この記事を書いています。

「茶の間Cha No Ma」から歩いたルートを地図で確認しておきましょう。

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明日は遂に帰国の日です。



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上原彩子+東響@東京芸術劇場 2011.2.25

このところ、何かとピアノがらみのコンサート続きです。まあ、ピアノの響きは好きなので当然の結果かも知れません。

ということで今日はご贔屓?にしているピアニストの上原彩子がソロを弾く東京交響楽団のコンサートに出かけました。


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会場は池袋の東京芸術劇場です。横浜からは遠いのですがJRの湘南新宿ラインがこんなときには便利です。開演1時間前には池袋に到着し、駅ビルのルミネのレストランの石焼鍋定食で早めの夕食です。面白いものを食べて満足。食欲を満たしたところで今度はコンサート会場に急ぎます。10分少し前には到着。もう結構席が埋まっています。

さて、今日のプログラムは以下ですが、ラヴェル以外はとても珍しい曲が並びます。マニアックな選曲ですが、それでも客席がほぼ満席になっているのは凄い!

 パヌフニク:交響曲第3番《祭典交響曲(シンフォニア・サクラ)》
 ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
  《休憩》
 スタンフォード:交響曲第3番ヘ短調 Op.28《アイリッシュ》

ラヴェル以外は作曲家の名前も聞いたことがありませんでした。とりあえず、CDを探して、スタンフォードの交響曲は聴いてみました。因みにスタンフォードのCDはNAXOSから出ています。
スタンフォードはイギリスの作曲家ですが、いかにもという感じの曲でした。エルガーと同世代の作曲家ということでエルガーといい、ディーリアスといい、ヴォーン・ウィリアムスといい、このスタンフォードも含め、まあイギリス音楽はいい意味でも悪い意味でも古色蒼然たるものがありますね。嫌いってわけではなく、毎年プロムスのラストコンサートはTVで楽しんでいます。古き良きイギリスの自然を懐かしむって感じですね。絵画で言えば、コンスタブルの《干草車》もその代表選手ですね。なかなかこの文化を理解するのは難しいとは思っています。

また、パヌフニクはポーランド出身の作曲家で共産圏からイギリスに亡命して活躍した人らしいです。そういう意味では彼はやはりイギリス系の音楽とは一線を画しています。

今日のコンサートのお目当ては上原彩子なので、それを契機に珍しい音楽に接することができるのはいいことです。これらの曲は多分、今後永久に聴く機会がなさそうですからね。

今日の演奏者は以下です。

 指揮:大友直人
 ピアノ:上原彩子
 管弦楽:東京交響楽団

まず、開演前に指揮の大友直人さんからご挨拶(あるいはプレトーク?)がありました。このコンサートは東京交響楽団の東京芸術劇場シリーズという19年も続いているシリーズだそうですが、今回の107回をもってフィナーレなんだそうです。東京芸術劇場の建物自体が同様に大分古くなったので、今年の3月末でいったん閉館し、1年半ほどかけて大改装するそうです。
で、フィナーレを飾るのがこのプログラムで道理でマニアックというか、意欲的なんですね。
このシリーズをプロデュースしているのが指揮の大友直人さんで選曲も彼の感性に従ってやっておられるとのことです。流石にプロの音楽家はマニアック(意欲的?)だと感心しました。素人のsaraiがまったく知らない作曲家を発掘してきて演奏するんですものね。

最初のパヌフニクの交響曲ですが、これは冒頭から度肝を抜かれました。
オーケストラの4隅にトランペット奏者を配し、延々とこの4人で演奏が続きます。オーケストラの森に響くラッパの音はあたかも森のこだまのようです。ホルンでなくトランペットというのがよかったかも知れません。ファンファーレのような晴れやかさでなく、朗々とただ森閑と響きわたる神々しさです。
次のパートにはいると、今度は抑えた弦楽だけの響きが弱音で続き、森の朝靄が漂っている感じです。そして、それが次第に澄んでくるという雰囲気です。
次は一転して打楽器だけで強い響きを奏で、やっとその後、管楽器群も絡み、弦楽器もはいり、オーケストラ全体でシャープな響きを発します。でもその響きは何か恐ろしいものに追い立てられているような感じで現代の強迫観念を象徴しているかの如くです。このあたりは亡命作曲家としての立場と無縁ではないでしょう。
最後の部分は何と弦楽器のハーモニクスの合奏が続きます。やがて管楽器も絡みながら進行し、フィナーレ。グレゴリオ聖歌のメロディーがベースになっていたようです。
まったくの予備知識なしで聴きましたがそれなりにこの曲の響きが胸に残りました。
昨夜はリタイア後、初めての確定申告の書類作りで明け方まで起きていたので、眠くなるかと思っていましたが、とても眠れるような退屈な曲ではなく、新鮮な響きに満ちた音楽でした。
なお、この曲は各パートがアッタカでつながっており、全体が休みなく演奏されました。古典的な意味での交響曲ではありません。

というところで、いよいよお目当てのラヴェルです。
ピアノが搬入されてきました。どうやら今日はスタインウェイのようです。やったね!
ラヴェルはどちらかというと苦手な作曲家ですが、このピアノ協奏曲は好きな曲です。プロコフィエフと同じカテゴリーに感じてしまいます。実際はプロコフィエフのほうが先鋭的ですが、このラヴェルも新古典的でシンプルとはいえ、新鮮な響きに満ちた曲です。
プロコフィエフといえば、上原彩子のお得意ですが、ラヴェルはどうでしょう。期待してのこの日の公演でした。

固唾を飲んで待っていると、意外におとなしいソフトな演奏でスタート。抑えた感じと言ってもいいかも知れません。それでもピアノのタッチはいつものように粒立ちのよいクリアーなタッチでsaraiの耳の感覚を刺激します。
第1楽章の途中あたりからエンジンがかかり始め、後半は猛烈な打鍵。フィナーレに近くなると低音部の激しいリズムから一気に加速。オーケストラの音がちょっと邪魔ですが彼女のピアノの激しくも美しい響きはちゃんと聴こえました。上り詰めたところで第1楽章は終了。ふーっ・・・

第2楽章、ピアノのソロです。何も言うことはありません。パーフェクトです。こういう叙情的なパートも素晴らしく演奏するようになりました。安定したテンポで叙情的なメロディーを紡いでいきます。強弱の少しの揺れがたまらなく素敵です。こちらは頭を無にして、ただただ、ピアノの響きに身を委ねるのみです。こういう音楽が聴きたくてコンサートに通っているんです。
ピアノのソロにオーケストラが絡んできます。悪いんですが上原彩子のピアノのピュアーな響きに比べてオーケストラの響きはもう少しピュアーにならないものかと思います。ベルリン・フィルならいいだろうなあと思ってしまいます。
saraiの耳はひたすらピアノの響きを追い続けます。
そして、終盤のピアノが分散和音的に細かい動きで鍵盤を駆けめぐる響きの美しいこと、うっとりしてしまいます。何というシャープな動きでしょう。音楽的な感性も素晴らしい。このまま気持ちよく、第2楽章は終了。魅惑されました。

第3楽章、最初から激しく飛ばします。リズムの饗宴です。これぞ上原彩子の真骨頂。これは快感に身を委ねているうちにあっと言う間に終了。ブラボー!

大変満足した演奏でした。が、ラヴェルの協奏曲はちと軽すぎて、あっと言う間に終わり、食い足りない感じが残ったのも事実。腹八分っていうところでしょうか。上原彩子の演奏にはほぼ満足だったんですが・・・

軽くデザートにアンコールでもやって欲しかったんですが、このところ彼女はアンコールなし。残念です。

休憩後、スタンフォードの交響曲。よくもあしくもイギリスの伝統の流れに乗った曲。意外に熱い演奏でおっと思いましたが、それも第3楽章にはいると、まさにイギリスの田園風景でのんびりです。こうなると昨夜の寝不足で頭は空白状態。そういう演奏がいい演奏なんでしょう。
第4楽章はエルガーばりにジャジャーンと盛り上がりますが、saraiの頭は既にお休み状態。
珍しい音楽が聴けてよかったですが、まあこれならエルガーの交響曲を聴いていればいいかなと罰当たりな感想を持ってしまいました。

来週は一転して、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウスの来日公演でブルックナーの交響曲第8番という重量級のコンサートを聴きます。
そして、3月の半ば過ぎからはコンサート・リサイタルが目白押しで、その勢いのまま、3月末からはヨーロッパに旅立ちます。ヨーロッパでもオペラ、コンサートをたくさん聴けそうです。音楽好きとしては黄金のシーズンが開幕という気分です。ルンルン・・・



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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06/18 12:46 sarai

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 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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