指揮のリッカルド・シャイーを聴くのも久しぶり。
もちろん、この組み合わせで聴くのは初めてです。
今回はブルックナーの交響曲第8番というのに惹かれて聴くことにしました。
このところ、ブルックナーの交響曲を聴く機会が増えています。どうしてだろう。
ともあれ、本日のプログラムは以下。
ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調(ノーヴァク版)
で、予習したのは以下の2つのCD。
ヴァント指揮ベルリン・フィル
ヴァント指揮ケルン放送交響楽団
意外にベルリン・フィル盤は生彩に欠けて、もう一つです。
ケルン盤は24ビットサンプリングの効果もあってか、素晴らしいサウンドですみずみまで神経が通い、なおかつスケール感もそこそこあり、とても聴きやすい演奏です。なにしろ長大な交響曲ですから、聴きやすいというのはポイントです。
今日聴くライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団もケルン放送交響楽団と同じプロシア的な響きのオーケストラですからブルックナーは期待できます。
さて、今日はサントリーホールの6列目の中央あたりの極上の席です。結構早く席に着いたので、随分待っていると、ようやく楽団員がステージにはいってきました。まさにステージからこぼれんばかりの大編成です。配置は対向配置、音の広がりが感じられそうです。
で、指揮のシャイーが指揮台に立ち、満場の拍手。異例なほど、長い間、笑みを浮かべながら、聴衆の拍手をかみしめているようです。
で、静かに第1楽章が開始。なかなかよい響きです。すっと演奏に引き込まれます。第1楽章は大波小波が押したり引いたりして、ブルックナー特有のじらしの世界、そう簡単に絶頂は見せてくれません。それでも、演奏が素晴らしく、部分部分の美しさで楽しめます。
第2楽章もよい響きで始まりますがやはり高みに登りつめることはできません。まだまだ先の長い長大な交響曲ですから、このあたりは助走部分とも言えます。
第3楽章は弦楽の息の長いフレーズで美しい音楽が始まります。実に清澄な響きでホールが満たされます。音楽がフィルターになってsaraiの心も澄み切っていきます。宗教的・哲学的とも思える瞑想的な音楽です。
それも中間部にはいると次第に激しさを増し、遂に一つの絶頂に達します。素晴らしい音の洪水です。
最後はまた最初の瞑想的な音楽に戻り、いくつかの変化・うねりを経て、この長大な楽章を終えます。ふーっ・・・
そして、終楽章です。ホールは静まりかえりますがシャイーはなかなかタクトを取ろうとしません。十分な間を取ろうとしているようです。まるで、これまでの3楽章がこれから始まる音楽の序奏に過ぎなかったかのように、新たに音楽を始めようとしているように思えます。
こんな風に思い入れたっぷりで始まった第4楽章はそれはもうブルックナーが思いっきり凝縮された音楽。勇壮な金管の響きが轟きわたる管弦楽の咆哮は凄まじい限り。そして、一転して、弦の美しい響き。もう次々に大波が襲ってきます。勇壮さと美しさの交錯した世界、これこそブルックナーですね。シャイーもオーケストラもエンジン全開。凄まじい音楽がサントリーホールに響きわたります。音の饗宴、音楽の持つ力に圧倒されます。
そして、フィナーレは絶頂に上り詰めたところで、ジャ、ジャーン・・・
圧倒的な音の響きでフィナーレなのに少し静寂が漂います。昔はフライングの怒号・拍手が陶然出るところです。もちろん、この静寂はsaraiは大歓迎です。
もっとも今日はNHKが録画しており、そのせいで皆さん自重したのかも。
因みに今日の公演はNHK教育テレビの芸術劇場で3月18日に放映されます。ホールに響きわたった音響がどこまで再現されるか分かりませんが必見です。素晴らしいブルックナーでした。
シャイーは何度も拍手とブラボーコールでステージに呼び出されていました。
やはり、ブルックナーはこういう一流のドイツのオーケストラが演奏すると素晴らしいですね。ひさしぶりに思いっきりブルックナーの音楽に浸り、頭のなかに美しい響きと金管の咆哮が渦巻いたままになっています。
正直、8番は若い頃はあまりピンときませんでしたが、ようやく、この年になって、特に後半部分の素晴らしさが強く感じられるようになりました。
今月はインバル指揮の東京都響の定期演奏会でもブルックナーの9番を聴く予定です。楽しみです。
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