fc2ブログ
 
  

庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタルinラ・フォル・ジュル・オ・ジャポン@東京国際フォーラム 2011.5.5

初めて、ラ・フォル・ジュル・オ・ジャポン「熱狂の日」のコンサートに出かけてきました。これまでは例年、ゴールデン・ウィークはヨーロッパに出かけていて、縁がありませんでした。昨年、リタイアしたので、今年からは連休は自宅で過ごすことになり、このイベントにも参加できるようになりました。

とはいえ、今年も、これまで縁がなかったせいでチケットも購入してなかったので、やはり、危うくパスするところでした。しかし、今年は大震災の影響でほとんどの公演がキャンセルになり、新たにプログラムを組み直したそうで、チケットの販売もつい最近でした。
そして、新しいプログラムを見ると、この「熱狂の日」が開催される5月3日~5日の3日間、毎日、庄司紗矢香が登場するようです。毎日でも行きたいところですが、厳選して、今日の午前中のリサイタルに出かけることにしました。なお、3月にキャンセルになったコンサートにも彼女の登場するものがあったので、その代わりといっては何ですが、嬉しい突然のリサイタルです。

朝10時からのリサイタルというのはこれまでのコンサートでも多分、一番早い時間のコンサートです。少し早起きして出かけました。

今日のリサイタルは定員220名のホールなので、ヴァイオリンの音がよく聴こえるだろうという狙いでした。ただ、思ったよりも広いホールでしたが、定員220名のホールって、そんなものかも知れませんね。

さて、今日のプログラムは以下でほとんどブラームスです。公演時間は45分と大変短く設定されていますが、このプログラムがそんな短い時間の筈はありませんね。

 ヴァイオリン:庄司紗矢香
 ピアノ:シャニ・ディリュカ

 ブラームス:私の眠りはますます浅くなり(低音のための5つのリートOp.105より第2番 ヴァイオリン・ピアノ版)
 ブラームス:ご機嫌いかが、私の女王様(ブラーテンとダウマーによるリート歌Op.32より第9番 ヴァイオリン・ピアノ版)
 ブラームス:おとめの歌(5つのリートOp.107より第5番 ヴァイオリン・ピアノ版)
 ブラームス:野の寂しさ(低音のための6つのリートOp.86より第2番 ヴァイオリン・ピアノ版)
 ブラームス:ジプシーの歌(Op.103より第1番 ヴァイオリン・ピアノ版)

  《小休止》

 レーガー:ロマンス ホ短調Op.87-2
 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調Op.78「雨の歌」

なかなか意欲的なプログラムでとても興味が湧き、このリサイタルを選びました。
で、まず、前半の歌曲のヴァイオリンでの演奏ですが、色々な思いで聴きました。とりあえず、とても満足できる演奏でした。
全体にブラームスの歌曲をとてもインティメットな曲として捉え、抑えた演奏です。自分自身の内面と向かい合ったような密やかな表現です。弱い圧力のボーイングであまり響かせないような演奏です。ある意味、勇気ある演奏ともいえます。ヴァイオリニストならば、どうしても美しく響かせたくなるのではないでしょうか。こういう表現は昨年のベートーヴェンのソナタでも感じられました。それをさらに進化させた表現に思えます。ピアニストのディリュカもそれに合わせたよいアンサンブルでした。
歌曲版と比べると、それぞれ別の側面があるので、単純にはいえませんが、メロディーの同じまったく別の曲という感じです。それほど、ヴァイオリン・ピアノ版として熟成した演奏でした。
このまま、この方向での表現を追求すると、ヴァイオリニストから本当の成熟した芸術家への道も見えてきそうで楽しみです。ヨゼフ・シゲティの音楽性を持った芸術家のような未来を感じますが、さてどうでしょう。

後半はレーガーからです。この曲は初聴きですが、何と繊細でピュアーな高音域の響きでしょう。彼女のヴァイオリンからこのような響きを聴いたのは初めてです。昔の彼女は低音域をばりばり響かせなながら、凄いテクニックで爽快に弾ききっていくというスタイルでした。まあ、それでいて、高い音楽性を感じさせられるところがsaraiが好きになった庄司紗矢香でした。
思えば、彼女も若く恐いもの知らずのような演奏だったのかも知れません。もちろん、今でも十分に若いわけですが、音楽家として、自分自身の音楽を確立しつつある感じがあります。それもいい方向に向かっている感じです。メンチャイのCDを出したあたりが迷いの時期だったかも知れません。あのCDの課題をバネにして、大きく変わってきたように思います。
次がこの日のメインのブラームスの第1ソナタ。これもレーガー同様、素晴らしい高音域の響きが心地よく、さらにボリューム感のある低域の響きとよいバランスです。演奏は第1楽章は爽やかさに表現され、好感を持てます。ブラームスの叙情性をそういうふうに解釈した表現でしょうが、よい演奏です。第2楽章はインティメットに綿々とした表現ですが、前半の歌曲の演奏とは違い、抑えながらも、素晴らしく響かせた演奏は美しいの1語。第3楽章は雨の歌の主題が爽やかに鳴り響き、深みのある演奏でフィナーレに進みます。
とてもよいブラームス、それも庄司紗矢香の考え抜いた表現のブラームス。

庄司紗矢香はますます目を離せない音楽家になってきたようです。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       庄司紗矢香,
人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR