実に12月以来、5カ月ぶりです。これでも定期演奏会の会員なんですけどね。
今夜のプログラムは以下です。
指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:東京都交響楽団
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D.485
《休憩》
R・シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》
ヴァイオリンソロ:矢部達哉
《英雄の生涯》といえば、ミュンヘンのガスタイクでティーレマン指揮ミュンヘン・フィルで聴いて、まだ1カ月経っていません。あのときの素晴らしかった演奏とどうしても比べてしまいそうですね。
サントリーホールのステージにメンバーが登場してきました。今夜は矢部達哉がコンサートマスターで独奏もありますが、その横には同じくソロコンサートマスターの四方恭子が座りました。で、指揮は昨年11月以来のインバルです。最高のメンバーが揃いましたね。
最初のシューベルトは小編成での演奏です。いかにも古典形式といった風情の交響曲を綺麗なアンサンブルで演奏していきます。モーツァルトの交響曲を綺麗に響かせているのと同様に感じます。気持ちのいい演奏です。ほとんど弦楽器主体の曲ですから、いかにも東京都響に向いていますね。とてもいい演奏でした。
ところでこの選曲は面白く感じました。ハイティンク+シカゴ交響楽団が来日公演で《英雄の生涯》を演奏した際に、先に演奏したのが小編成でのモーツァルトの《ジュピター》でした。今回も意図は同じで小編成の古典交響曲を美しく演奏し、その後に超大編成の《英雄の生涯》を演奏し、対比の妙を感じさせるというものでしょう。ちなみにティーレマン指揮ミュンヘン・フィルはオールR・シュトラウスプログラムでした。プログラムでの選曲も面白いものですね。
さて、休憩後、いよいよ《英雄の生涯》です。いつ聴いてもこの曲の出だしは何か胸にジーンときます。この日も低弦が響かせる颯爽とした音楽に心が浮き立つ思いです。このオーケストラの弦セクションは本当に聴き応えがあります。まあ、これが楽しみで定期演奏会を聴いているんですけどね。
何度もこの低弦のメロディーは繰り返されますがとてもよいです。
戦いの部分では段々と大音響が響きますが、迫力はあるものの、もう少し、響きのクリアーさが欲しいところ。シカゴ響はもちろん、ミュンヘン・フィルもきっちりと響かせていました。
フィナーレに近づき、弦がしっとりとした演奏をしたところはとても心に響くものがありました。フィナーレよければ、すべてよしで満足の演奏でした。
矢部達哉のソロも素晴らしく、日本のオケのコンサートマスターでここまで弾ける人はいないのではないでしょうか。
で、ティーレマン指揮ミュンヘン・フィルと比べてですが、まあ大差はないというもののアンサンブル力の差でしょうか、音楽の瑞々しさ・若々しさという面で一日の長の差があったのは仕方ないでしょう。何といっても、ドイツのオーケストラの合奏力と響きの深さは凄いですし、ティーレマンのオーラもなかなかですからね。
それでもsaraiのホームオーケストラがこの高水準で演奏してくれるのを久々に聴き、音楽の楽しさに酔わせてもらいました。
来週も同じコンビの文化会館の定期演奏会を聴きます。今度はブルックナー。なかなか厳しい演目ですが、期待しましょう。
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