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ロワール古城巡り:アンボワーズ城

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/7回目

ようやく起点に戻って、アンボワーズ城Château d'Amboiseに入ります。

もちろん、単独チケットを買う羽目になります。一人10ユーロです。


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ここでも日本語のパンフレットが貰えます。このあたりは当然のことなんですね。


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アンボワーズ城は丘の上の高台にあり、入場すると花壇に挟まれた広い石畳の坂道(傾斜通路)を上ります。坂道の先には礼拝堂が見えています。


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高台に達すると、お城や礼拝堂が美しい緑の草原に点在していて、感動的な景観です。ここが見学スタート地点になっています。まずはダ・ヴィンチのお墓のあるサン=テュベール礼拝堂La Chapelle Saint=Hubertに向かいます。


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が、子供たちの集団が礼拝堂の中で説明を聞いています。ここは静かに鑑賞したいので、後から戻ってくることにして、アンボワーズのお城本体を先に見ることにします。その前に高台からのアンボワーズAmboiseの街の眺めを楽しみます。


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下を覗くと、先程までランチを食べていたお城前のミッシェル・ドブレ広場Place Michel Debréがずっと下のほうに見えます。


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さて、お城は比較的小さいですが、大変美しい外観です。お城の左側の部分が後期フランス・ゴシック様式の居住棟、直角に折れた右側部分が後に増設されたルネッサンス様式の居住棟(ルイ・フィリップの居室)になります。


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お城の内部に入ります。

ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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そのまま進むとロワール川Loireが望めるテラスに出ます。お城のテラスから眺めるロワール川も大変素晴らしいです。お城というのは、高いところからの眺めを楽しむ贅沢というのも一つの機能なのかなと思います。が、実はこのときテラスと思ったのは、衛兵の巡回路でロワール川を監視するためのものでした。贅沢ではなく、実用なんですね。


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お城の内部に戻り、美しい窓に近づくと、窓からは庭園が見えています。


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部屋(衛兵の間)にはお城の定番、甲冑・兜が飾ってあります。雰囲気ありますね。まあ、ここに衛兵が詰めていたんでしょうが、まさか、いつも甲冑に身を包んでいたわけじゃありませんよね。


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ここから2階に上がると、そこは美しい大広間。列柱と天井のアーチが素晴らしいですね。会議の間だそうです。


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石造りのお城は寒いのでしょうね、大きな暖炉があります。暖炉の火力というのは強力そうです。この部屋にはもう一つ暖炉があります。相当に冷え込むんですね。


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ここの窓からもロワール川の流れが望まれます。


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ここまでがお城の左側、ゴシック様式の居住棟になります。
続いて、右側のルネッサンス様式の居住棟に向かいます。



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ロワール古城巡り:アンボワーズ城~庭園

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/8回目

さて、アンボワーズ城Château d'Amboiseの見学はお城の左側、ゴシック様式の居住棟に続いて、右側のルネッサンス様式の居住棟を廻ります。

まずはアンリ2世の寝室です。


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この城も、王や王妃の居室や寝室のある典型的なお城の内部の造りになっています。

続く部分はルイ・フィリップの居室になります。これは寝室です。派手ですね。なお、ルイ・フィリップは1821年に母から、このアンボワーズ城を相続し、城の主になりました。彼はその後、フランス国王ルイ・フィリップ1世となりました。


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広い音楽サロンには、19世紀のフランス・エラール社のグランドピアノが置いてあります。19世紀のエラール社のピアノと言えば、まさにショパンが弾いていたピアノを思い起こします。ぽろんと弾いてみたかったような・・・。でも、残念ながらsaraiは簡単なバイエルでさえたどたどしくしか弾けません。(こう書いてしまいましたが、間違いに気が付きました。ショパンが愛用していたのはプレイエル社のピアノでしたね!)


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さて、ここからお城に密着して建っているミニームの塔Tour des Minimesの屋上に出ることができます。そこからは、遮るものもなく40メートル下にロワール川Loireが見通せます。


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また、緑の庭園も見下ろせます。


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塔の川寄りのところからは、お城のゴシック様式の居住棟が横から間近に見られます。この部分が先ほどロワール川から見上げたお城の建物です。


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このミニームの塔から下りていくと、螺旋の傾斜通路に出ます。えらく広い通路だと思ったら、昔は騎士が馬に乗ったまま入場する通路だったそうです。


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で、お城の出口です。ここから馬に乗った騎士が出入りしたんですね。


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この出口を出たところがナポリ庭園です。庭園は菩提樹の並木に縁取られています。ここにもロワール川を見下ろす展望台があります。また、ロワール川です。色んなところから眺められるんですね。


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その展望台のあたりから、お城のほうを眺めます。最初に見たお城の正面からはちょうど裏のほうになります。正面に見えるのがルネッサンス様式の居住棟です。一番右端の丸い塔がミニームの塔です。


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このお城から目を左に転じると、遠くの右側に礼拝堂が見えています。


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再度、サン=テュベール礼拝堂La Chapelle Saint=Hubertに行くと、今度はちょうど団体の出ていったところでチャンスです。

ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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この礼拝堂にはダ・ヴィンチのお墓がありますから、静かに見たいものです。



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ロワール古城巡り:ダ・ヴィンチのお墓に合掌

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/9回目

さて、アンボワーズ城Château d'Amboiseの庭園巡りは続きます。

次はいよいよダ・ヴィンチのお墓があるサン=テュベール礼拝堂La Chapelle Saint=Hubertです。フランボワイアン・ゴシック様式の建物です。


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入ってみると、ステンドグラスの美しいかわいい礼拝堂です。


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礼拝堂の左側はダ・ヴィンチのための礼拝堂になっています。


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ステンドグラスも美しいですね。


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ダ・ヴィンチの棺が埋められた床の上には絵筆が1本手向けられています。合掌・・・


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ダ・ヴィンチは先程行ったクロ・リュセの館Château du Clos Lucéで1519年5月2日、67歳で生涯を終えました。彼の遺志により、このアンボワーズ城に葬られたそうです。
この日のテーマはダ・ヴィンチですから、もう少し彼にこだわってみます。庭園に戻り、クロ・リュセの館が見えるほうに向かいます。庭園のクロ・リュセの館寄りの端のほうまで移動。もうアンボワーズ城も遠く離れました。


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このあたりからは、クロ・リュセが遠くに見えます。あんなに離れたところまでトンネルが掘られているとは信じられないくらいです。かなりズームアップしてカメラを向けます。正面に見えている赤い建物がクロ・リュセの館です。


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庭園の端近くまで歩いてきたので、いっそのこと、庭園の外まで行ってみましょう。アンボワーズ城はますます離れます。


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庭園の外に出るライオンの門までやって来ます。


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いったんここから外に出てまわりの様子を見ますが、特に何もありません。隣の区画への小さな橋があるくらい。で、またお城のほうに歩きます。


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この気持ちの良い広々とした庭で、日本人の家族を見かけます。パリに赴任していた若いご夫妻とお子さん2人の家族が、もうすぐ日本に帰られるということで、お母さんをパリにご招待したとのことです。ここで見かけた唯一の日本のかたです。
さて、出口に向かいます。今度は石畳の坂道を下りていきます。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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出口です。


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アンボワーズ城は期待以上に美しいお城と庭園です。それにダ・ヴィンチのお墓参りもできて、大満足です。それにランチも安くて美味しかったし、とてもいい気分になりました。

次は、3番目のシュノンソー城Château de Chenonceauに向かいます。


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ロワール古城巡り:シュノンソー城に到着

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/10回目

さて、アンボワーズ城Château d'Amboiseの次は、3番目のシュノンソー城Château de Chenonceauに向かいます。

ここからは鉄道の便が不便なので、タクシーで移動です。鉄道だとユーレイルパスで無料ですが、1回乗り換えだけとはいえ、ローカル線なので乗り継ぎが悪く、すごく時間が無駄になるんです。
そのタクシーを探しますが、お城の前のミッシェル・ドブレ広場Place Michel Debré付近にはタクシーが見当たりません。ロワール川沿いの大きな道、ジェネラル・ド・ゴール通りQuai du Général de Gaulleまで出てみますが、車の通行は多いもののタクシーは走っていません。ロワール川沿いの綺麗な花壇が見られたので、このあたりに歩いてきたのはよかったのですが・・・。


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少し探したところであきらめて、通りかかった地元の方にタクシーのいるところを聞いてみると、頭をかしげた上ですぐそばにあったツーリスト・インフォメーションを教えてくれました。たまたま、ツーリスト・インフォメーションのそばに来ていたんですね。ツーリスト・インフォメーションはロワール川沿いにあります。そこに行き、お姉さんにタクシーのことを聞くと、そこでタクシーを呼んでくれます。


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アンボワーズ城からツーリスト・インフォメーションまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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本来は、アンボワーズ観光の最後にランチを食べ、その後にレストランでタクシーを呼んでもらうつもりだったんです。お城のチケットオフィスでタクシーを呼んでもらえばよかったかもしれませんね。
ところで、例のアンボワーズ城とクロ・リュセの館のコンビネーションチケットは、案外ここで売っているのかもしれませんね。もう、後の祭りなので確かめてみませんが・・・。

10分ほど待つと、到着したタクシーのドライバーがツーリスト・インフォメーションで待っているsarai達を呼びに来てくれます。タクシーに乗り込んでシュノンソー城に出発です。ロワール川沿いの大通り、ジェネラル・ド・ゴール通りをすぐに左に折れて、やがて、レオナルド・ダ・ヴィンチ通りAvenue Léonard de Vinciに入り、アンボワーズの街を抜けていきます。サン=ドニ・オール通りBoulevard Saint-Denis Horsにぶつかったところで、今度はその通りをずっと走ります。この通りの周辺は緑あふれる平原で美しいこと、この上なし。


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やがて、左手のアンボワーズ通りRue d'Amboiseにはいり、しばらくして、交差点で左折して、シュノンソー通りRue de Chenonceauxを進みます。この通りはトゥールからシュノンソー城に向かう鉄道と並行している道です。途中で通りの名前はナシオナル通りRue nationaleに変わり、シュノンソー駅近くで右折して、踏切を越えると、シュノンソー城の入口に着きます。15分程の道のりです。途中の美しい景色を眺めてのドライブは気持ちよかったし、タクシーのドライバーとも楽しい会話をしたので、25ユーロほどのタクシー料金はそんなに高いわけじゃありませんね。

アンボワーズからシュノンソー城までのルートを地図で確認しておきましょう。


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ところでシュノンソー城の入口に着いたといっても、タクシーのドライバーがそうだというので分かっただけで、まだお城の姿は影も形もありません。タクシーを降りた所には閉じられた鉄柵とその手前にチケットオフィスがあります。


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チケットオフィスに入って、印象的なのは、日本語で日本の大震災へのお見舞いの言葉が書いてあることです。日本人を代表して?、スタッフの女性にお礼を言っておきます。


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まずはチケットを購入。1人10.5ユーロです。


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ここにも、もちろん日本語の案内パンフレットがあります。


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お城の敷地には水路にかかる橋を渡って入ります。水路の両側は並木が続き、綺麗な風景です。


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ここからはプラタナスの立派な並木道が延々とお城のほうに続きます。ずっと向こうにちらっとお城が見えますが、まだまだ先の方です。とても広い敷地ですね。観光客がまばらに見えますが、広大な敷地なのでそう見えるだけで、ブロワ城やアンボワーズ城に比べると、とても賑わっています。


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ようやく並木道を抜け、シュノンソー城の庭園の入口に来ます。お城もようやく近くに見えてきます。


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庭園も抜けて、お城のまわりに巡らせた堀にかかる橋の前までやって来ます。お城はもうそこにあります。
このシュノンソー城はシェール川Le Cherという川を跨いで建てられています。お城の手前の右手には塔が建っています。


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橋を渡って、お城の前庭に入ると、お掘越しに左手には広々としたディアーヌの庭園Le Jardin de Diane de Poitiersが見えます。噴水が上がり、緑も綺麗ですね。


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また、右手には、ちょっとこぶりなカトリーヌの庭園Le Jardin de Catherine de Médicis が見えます。庭園には後で行ってみましょう。


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これがお城の前庭の右手に建つマルク家の塔La tour des Marquesです。シュノンソー城ができる前にはマルク家の城塞があり、城塞そのものは取り壊されましたが塔だけが残され、ルネッサンス様式に作り変えられました。


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シュノンソー城の広大な敷地の中を歩いたルートを地図で確認しておきましょう。


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さて、まずはシュノンソー城の中にはいってみます。


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この記事へのコメント

1, おささん 2011/06/06 15:43
御無沙汰しています。
連日の詳しいレポートを、まるで自分が一緒に行ったかのような錯覚を覚えながら、楽しく拝読しております。

シュノンソー城の日本語のメッセージには驚きました。
心遣いに感謝するとともに、(当地在住の日本人が書いたのでしょうが)文字のきれいさに、なんだか嬉しくなりました。
これを書いた方にも、お礼を言いたくなりました。
自国の文化をきちんと身につけることの大切さを、再認識しました。
(カリグラフィーより書道を習わないと!ですね^^;)

2, saraiさん 2011/06/08 10:04
こちらこそ、ご無沙汰していました。
折角、メッセージいただきましたのに返事が遅れて申し訳けありません。
ちょっと、ドライブに出かけていました。

シュノンソー城の日本語、言われてみれば、日本人が書いたんでしょうね。さすがにフランスは日本文化の造詣のあるかたがいると単純に思ってしまいました。
でも、本当に異国の地でのサプライズでした。感謝!

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ロワール古城巡り:シュノンソー城

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/11回目

いよいよ、シュノンソー城Château de Chenonceauの中にはいります。

でも、その前に少しシュノンソー城の歴史に触れておかないといけませんね。登場人物が多いので、整理しておきましょう。

シュノンソー城は貴婦人たちの城とも呼ばれており、代々貴婦人たちが所有していました。
貴婦人としての最初の所有者は、フランス国王アンリ2世からシュノンソー城を譲り受けた愛妾ディアーヌ・ド・ポワティエです。ディアーヌは城主ではありましたが所有権は王にあったため、長年の法的策略の結果、1555年にようやく城は彼女の資産となりました。なお、この愛妾ディアーヌ・ド・ポワティエはアンリ2世よりも何と18歳も年上だったそうです。いやはや・・・。
次は、アンリ2世が騎乗槍試合で命を落とした後、王妃カトリーヌ・ド・メディシスがこのシュノンソー城をディアーヌから取り上げます。それでも、シュノンソー城の代わりに別の城を与えたというのですから、一応、体裁は取り繕っていたんですね。まあ、ディアーヌの個人的な資産ですから、一方的に取り上げるわけにはいかなかったんでしょう。王妃カトリーヌは今日最初に行ったブロワ城にも住んでいましたね。今日はカトリーヌに何かと縁があります。
カトリーヌは夫のアンリ2世亡き後、フランス王国の摂政となり、この城からフランスを統治しました。
カトリーヌが1589年に死ぬと、城はカトリーヌの息子の国王アンリ3世の妻でカトリーヌにとっては嫁であるルイーズ・ド・ロレーヌが相続します。
次いで、1624年にはアンリ4世の愛妾ガブリエル・デストレがシュノンソーを居城としました。
その後、正式な所有者ルイーズ・ド・ロレーヌの相続人ヴァンドーム公セザール・ド・ブルボンとその妻ヴァンドーム公爵夫人フランソワーズ・ド・ロレーヌの資産となり、代々引き継がれて100年以上が経過します。
その後、資産家の娘ルイーズ・デュパンの夫、クロードが買い取ります。ルイーズ・デュパンはショパンの愛人ジョルジュ・サンドの祖母です。
現在はチョコレート業者のムニエ一族が城を購入し、現在も所有しています。
以上が城の歴史です。

シュノンソー城はヴェルサイユ宮殿に次いで、フランスで2番目に観光客の多い城だそうです。
貴婦人たちの城と呼ばれるにふさわしい優美な佇まいのお城だから、人気が高いんでしょう。

では、お城の中に入ってみましょう。

まずは護衛兵の間です。暖炉に火がはいっていて、とても暖かいです。この16世紀の暖炉の上にある紋章は、この城を最初に建てたシャルル8世侍従のトマ・ボイエの紋章です。壁には16世紀のフランドル製のタペストリーがかかっています。


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この護衛兵の間の隣には礼拝堂があります。天井のアーチとステンドグラスがとても美しいです。


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この美しいステンドグラスは1954年に作られた最近のものです。元々あったオリジナルのステンドグラスは、第2次世界大戦時、1944年に爆撃を受けて破壊されたそうです。そういう形で文化財が失われるのは世の常とはいえ、悔しいですね。
この礼拝堂の右側のロッジアには、カッラーラの大理石に刻まれた聖母子像があります。


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護衛兵の間に戻って、先に進むとディアーヌ・ド・ポワティエの寝室があります。最初の女主人ですね。おきまりの天蓋付きベッドです。


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この部屋の暖炉の前には、コルドバ革で作られたアンリ2世のひじ掛け椅子が置いてあります。暖炉の上にはソヴァージュによるカトリーヌの肖像画がかけられていますが、これは19世紀のものだそうです。


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この部屋から隣の緑の書斎に出られます。王妃カトリーヌ・ド・メディシスはこの部屋で国王シャルル9世の摂政としてフランスを統治したそうです。タペストリーは16世紀のブリュッセルのものです。本来は緑色でしたが、青に変色しました。テーマは新大陸発見で、ペルーの銀色の雉、パイナップル、蘭、柘榴など、それまでヨーロッパで知られていなかった動物・植物が題材です。


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この緑の書斎の奥には、外の眺めが窓からよく見える図書室があり、その窓からシェール川Le Cherが見えます。


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再び、ディアーヌ・ド・ポワティエの寝室に戻り、細い通路を先に進みます。窓からはシェール川を跨いだアーチ形の橋とその上のお城が見えてきます。


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橋の上に作られたギャラリーに出ます。ここは最初、ディアーヌ・ド・ポワティエがシェール川の対岸まで橋を建設させましたが、その後お城を引き継いだカトリーヌ・ド・メディシスが自分の好みに合わせて、橋の上にこのギャラリーを建設させました。


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全長60m幅6mで壮麗な舞踏会場だったとのこと。床は石灰岩とスレートを敷き詰め、天井は横梁がむきだしです。
何といっても、ここがこのお城の華ですね。これが見たかったんです。これが橋脚の上に乗っかっているというのは面白いでしょう。
ここには窓が18もあり、そこからはもちろんシェール川の美しい流れを見ることができます。


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ギャラリーの棚には美しい花が飾られています。そういえば、このシュノンソー城の各所にお花が飾られています。さすが観光名所だけのことはあり、手入れが行き届いています。


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ギャラリー中程までいくと、張り出した窓からお城が見えます。これはお城の入口の本館部分で、ギャラリーはそこから橋としてシェール川に突き出しています。


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ギャラリーには2階もありますが、残念ながらそこには上がることはできないようです。2階の窓からの眺めはもっとよさそうなのにね。
ギャラリーはこれまでにして、次は地下に下ります。



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ロワール古城巡り:続.シュノンソー城

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/12回目

シュノンソー城Château de Chenonceauの美しい橋上のギャラリーを楽しんだ後、次は地下に下りてみます。

そこは厨房になっています。


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壁には銅製と思われるぴかぴかの鍋がかけられていますが、いつの時代のものか分かりません。


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また、包丁なども壁を飾っています。とにかくこのお城は整備が素晴らしいです。


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この厨房は地下にあると書きましたが、実際はシェール川Le Cherの川床に建てられた2つの橋脚が形成する大きな土台の上にあり、窓からはその様子が窺い知れます。


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再び1階のホールに戻り、フランソワ1世の居室に入ります。このシュノンソー城はフランソワ1世(アンリ2世の父)のときに国庫に収められ、国王のものになりました。国王にお城を献上したのは最初に城を建てたトマ・ボイエの息子です。この部屋には豪華な16世紀のイタリア製のキャビネットがあります。このキャビネットはフランソワ2世(アンリ2世と王妃カトリーヌの息子)とメアリー・ステュアートの結婚のお祝いに贈られたものです。メアリー・ステュアートというのは、もちろんスコットランド女王のメアリーのことで、後にエリザベス女王にロンドン塔に幽閉され、打ち首になる悲劇のヒロイン。ドニゼッティの名作オペラ《マリア・ストゥアルダ》は彼女がヒロインです。


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次は2階に上がります。階段は由緒あるもののようです。イタリアからの影響を受けたものです。写真は2階に上がってから、階段を振り返ったところです。扉は16世紀のオーク材のものです。


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2階の窓からはお城の前庭とマルク家の塔La tour des Marquesが見えています。


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2階では《5人の王妃の居室》を見ることができます。これは、カトリーヌ・ド・メディシスの二人の娘と三人の息子たちの嫁を記念して名付けられたそうですが、天蓋付きのベッドはなぜかひとつだけ。


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続く部屋はカトリーヌ・ド・メディシスの寝室です。ベッドの右側の壁に掛かっている絵は、コレッジョの《愛の教え》で木に描かれています。saraiの今回の旅では、この後イタリアのパルマも訪れますが、パルマではコレッジョの名画を見るのも楽しみのひとつです。これはその先駆けですね。


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次の部屋はヴァンドーム公セザールの寝室です。彼もシュノンソー城の城主の一人でしたね。


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2階の最後の部屋は、アンリ4世の愛妾ガブリエル・デストレの寝室です。この二人の間に生まれた子供が、先程のヴァンドーム公です。


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再び1階に下りて、最後の部屋、ルイ14世のサロンにはいります。美しいルネサンスの暖炉にはサラマンダー(火とかげ)とストート(オコジョ)の紋章が刻まれていますが、これはフランソワ1世とクロード王妃を表しているそうです。


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そして、この暖炉の横には、ルイ14世の肖像画が飾ってあります。ルイ14世がシュノンソー城を訪れた記念に叔父のヴァンドーム公に贈ったものです。


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これでシュノンソー城の内部を見終わり、出口に向かいます。


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次は庭園を見てみましょう。庭園に向かうときにシェール川にかかるお城のギャラリー部分が見えます。美しいですね。


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ハーディング+マーラー室内管@Bunkamuraオーチャードホール 201.6.7

今日は久しぶりに国内で海外のオーケストラのコンサートを聴きます。震災前のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団以来でしょうか。

ちょうど家からコンサートに出かけるときにEメールを開くと、今月末に来演予定だったドレスデン・フィルが公演キャンセルになり、チケットの払い戻しだということです。がっくり。でもまあ、考え方によっては、今日のコンサートは実に希有なコンサートだともいえます。こんな折りに日本公演をやってくれるのは本当にありがたいですね。今日のコンサートはしっかり大事に聴かせてもらいましょう。

さて、今日の演奏は以下です。

 指揮:ダニエル・ハーディング
 ソプラノ:モイツァ・エルトマン
 管弦楽:マーラー・チェンバー・オーケストラ

で、プログラムは以下。

 マーラー:《花の章》
 マーラー:歌曲集《子供の不思議な角笛》より
       「むだな骨折り」
       「この世の生活」
       「ラインの伝説」
       「美しいトランペットが鳴り響く所」
       「だれがこの歌を作ったのだろう」

   《休憩》

 マーラー:交響曲第4番ト長調

今日はチェンバー・オーケストラということですが、楽団員45名のところを来日メンバーは70名に増員しての公演だそうです。それでもマーラー演奏としてはずい分少ないメンバーになりますね。一体どんな感じの演奏になるのでしょうか。興味津々といったところです。
ところで、実は今日のコンサートの出演メンバーはすべて生聴きとしては初めてなんです。特にハーディングは今までまったく縁がありませんでした。これも今日の楽しみのひとつです。

さて、最初に演奏される《花の章》ですが、これは交響曲第1番《巨人》のために作曲された曲ですが、結局、最終的に使われず、《花の章》という単独の曲として演奏されます。この曲は、実はsaraiも初の生聴きなんです。CDでも今回の予習で初めて聴きました。あまり演奏の機会のない曲です。
静かに曲が始まり、木管の美しい響きがゆったりと流れます。ゆったりと美しい響きが続くものの曲は短く終わります。マーラーにしては実にあっさりとした曲です。それほどインパクトのない曲ですから、あまり、オーケストラの実力は判断できません。

次は歌曲集の角笛です。黒いドレスに美しい肢体を包んだモイツァ・エルトマンがゆっくりと立ち上がり、表情豊かに角笛の曲を次々と歌います。エルトマンはふくよかでピュアーな声のソプラノというタイプではなく、少し粗削りなスープレットという感じで、ボーイソプラノ的な響きの声です。意外にマーラーには向いているようです。声も容姿も少女らしさを失っていないという感じで、この年齢のときのエルトマンを聴けるのは幸運かも知れません。特に「美しいトランペットが鳴り響く所」の美しい歌の響きが印象的でした。角笛がこんなに面白く聴けるとは思っていなかったので、それがなかなかの収穫でした。伴奏のオーケストラも表情豊かな演奏で、マーラーの歌曲らしく、マーラーチックなメロディーが散りばめられていて、面白く聴き通せました。

休憩後はいよいよ、交響曲第4番です。第1楽章、第2楽章とオーケストラのアンサンブルはパーフェクトではありませんが、彫の深い演奏です。ハーディングが実に丁寧な指示で強弱、リズムの細かくダイナミックな変化を曲に与えようとします。オーケストラもよくその指示に応えますが、ここまでやると完璧というわけにはいきませんね。パッセージの頭に強いアクセントをつけていたのが、いい場合もそうでない場合もありましたが、独自の表現で面白く聴きました。まあ、ウィーン・フィルのような美しい響きというわけにはいきませんが、とても気持ちのなごむ優しい響きのオーケストラです。このあたりが人気の秘密でしょうか。
第3楽章はsaraiが特に好きな楽章ですが、とてもスローなテンポで旋律を歌わせ、ぎりぎりのところまでテンポを引っ張り、それが破綻しないのはさすがで、うっとりと聴きいってしまいました。納得の演奏です。それにしてもハーディングの実に丁寧な指示には恐れ入りました。オーケストラもしっかりとそれに合わせ、これはこれでなかなかの演奏です。この長い楽章もうっとりと聴きいっているうちにあっと言う間に終わり、すぐに終楽章に突入。
再び、エルトマンの歌唱ですが、これは実によかったです。声の響きがこの曲にぴったり。もっと美しいソプラノもいますが、この初々しさは出せないでしょう。短い楽章もまだ聴き足りないと思っているうちに終わり、しみじみ・・・
マーラーの熱い思いとか、彼岸への憧れ・恐れといったものとは、この曲も演奏も遠い感じですが、それはそれで、ほのぼのと楽しい音楽がそこにあり、曲を聴き終えた後は何か嬉しい感じが心に残ります。

ハーディングはカリスマ的な指揮者ではなく、真摯にていねいに音楽を作るタイプですね。マーラー・チェンバー・オーケストラは手兵とあって、ハーディングにぴったりと寄り添って、気持ちのよい音楽を作り上げていました。

音楽の余韻に浸りながら、配偶者とは言葉を交わすこともなく、無言で帰途につきました。こういうときに言葉をしまっておけるのは、長く一緒に人生を歩んだ夫婦ならではと、密かに配偶者に感謝です。

マーラーを聴いた後って、寡黙になりたくなりませんか?



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ロワール古城巡り:シュノンソー城の庭園

2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/13回目

さて、シュノンソー城Château de Chenonceauの庭園を見て回ります。

まずは、お城に向かって右側のカトリーヌ・ド・メディシスの庭園Le Jardin de Catherine de Médicisです。こぶりな庭園ですが、手入れのよい花壇が綺麗です。


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次は、左側のディアーヌ・ド・ポワティエの庭園Le Jardin de Diane de Poitiersに向かいます。途中には立派な建物がありますが、これは16世紀に建てられた管財人の家La Chancellerieです。


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中央にはシンプルな噴水があります。その先まで進み、庭園と庭園越しのシュノンソー城の眺めを楽しみます。


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この庭園も実によく手入れされています。幾何学的に配置された構成が見事です。


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別の角度で見ると、さらにこの配置の美しさが分かります。


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花壇の花も綺麗ですね。


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庭園の一番端まで歩き、そこからの庭園とお城を眺めますが、実に綺麗です。


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シェール川Le Cherの堤に移動し、そこからのシュノンソー城の優美な姿を眺めます。もっと近くでも見たくなりますね。


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やはり、この姿がシュノンソー城の美しさの極みですね。まさに絵になるお城です。


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シュノンソー城の庭園巡りのルートを地図で確認しておきましょう。


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もう十分にシュノンソー城の美を堪能しました。そろそろ帰りましょう。
帰り際にもう一度だけ、振り返って見ます。ロワール古城巡りもこれで見納めです。


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帰りもプラタナスの並木が迎えてくれます。このあたりのプラタナスは本当に美しい!!


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ロワール古城の中でも一番人気のシュノンソー城には多くの観光客が訪れるようですが、観光バスで来る人が多いようで、広大な駐車場があります。電車の最寄り駅のシュノンソー駅Gare de Chenonceauxもすぐ近くにあるのですが、こちらはなんとも寂しい無人駅です。


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あらかじめsaraiが用意した時刻表を見ると、すぐ5時5分に電車があります。が、これは通常のルートとは反対方向からパリのオーステルリッツ駅に向かう電車で、予定ではそれに乗るつもりがなかったので乗り換え駅などの詳しい情報が調べてありません。通常ルートの電車は、5時58分までありません。1時間ほどもこの無人駅で待つ気になれないので、5時5分の電車に乗り、車掌さんにパリへのルートを教えてもらうことにします。電車が入ってきて、乗り込んだ1等車のドアのところにちょうど車掌さんがいるので相談すると、このルートは乗換えが面倒なので、やはり通常ルートがいいよというアドバイス。そして、この電車はすぐ先で終点となり、折り返して通常ルートの電車になるので、この電車にこのまま乗っていって、車掌さんと一緒に折り返そうよって誘われちゃいます。折角のご助言なので、その通りにすることにします。お蔭で予定にない車窓の眺めも楽しめ、普通は経験できない電車の折り返し(一旦車庫に入った!)も体験できて、それなりに楽しめます。結論から言うと、結局この電車がシュノンソー駅5時58分発の電車でした。これが車窓からのシェール川の眺めです。


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やがて、車掌さんからここで乗り換えだよと教えてもらって、無事にパリのオーステルリッツ駅行の電車に乗れました。車掌さん、お世話になりました。メルシー・ボクー!!


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乗換駅はサン・ピエール・デ・コール駅Gare de Saint-Pierre-des-Corpsです。トゥール駅Gare de Toursの手前の駅です。てっきり、トゥール駅で乗り換えだと思っていましたが、ひとつ手前のこのサン・ピエール・デ・コール駅で乗り換えられるんですね。

午前中に通ったアンボワーズ駅やブロワ駅を順次戻り、一路パリへ。外の景色はだんだんと暗くなり、最後は真っ暗になります。9時過ぎに予定通り、電車はオーステルリッツ駅Gare d'Austerlitzに到着。


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また、メトロを乗り継いで、夜遅くにホテルに帰着です。

今日は朝早くから夜遅くまでの強行軍に加えて、随分と歩きまわったこともあり、配偶者はグロッキー気味です。saraiがブログの記事を書くためにPCに向かっている間もうつらうつら。ご苦労さま。
明日はパリのオペラ座でのオペラ鑑賞ですから、ゆっくりと休みましょうね。

こうして忙しかった旅の2日目が終わりました。


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メトロポリタンオペラ特別コンサート@サントリーホール 2011.6.14

ネトレプコの降板など、すったもんだもありましたが、新たな出演者、新たなプログラムでメトロポリタンオペラ特別コンサートの日がやってきました。ネトレプコのファンであるsaraiはやっぱり、正直なところ残念です。チケットも高額でしたからね。

まず、今日のプログラムは以下です。

 ベッリーニ:歌劇《ノルマ》序曲
 ベッリーニ:歌劇《清教徒》より、リッカルドのアリア「おお、永遠に君を失った」
  バリトン:マリウシュ・クヴィエチェン
 ベッリーニ:歌劇《清教徒》より、エルヴィラのアリア「優しい声が私を呼んでいる・・・さあ、いらっしゃい愛しい人よ」
  ソプラノ:ディアナ・ダムラウ
 R・シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》Op.28

  《休憩》

 ヴェルディ:歌劇《運命の力》序曲
 ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》より、レオノーラのアリア「穏やかな夜」
  ソプラノ:バルバラ・フリットリ
  メゾ・ソプラノ:エディタ・クルチャク
 ヴェルディ:歌劇《仮面舞踏会》より、リッカルドのアリア「永遠に君を失えば」
  テノール:ピュートル・ベチャワ
 R・シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》Op.20

  《アンコール》
 プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》間奏曲

 演奏:ファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団

会場はもちろんサントリーホールです。オペラと違って、ステージの前で歌う歌手が近くで聴けるのがいいですね。それに今日の席は前から4列目の中央。最高のポジションです。

まずは聞き慣れた《ノルマ》序曲です。まあ、特別に感じるところはありません。普通の演奏です。悪いというわけじゃありません。

次は《清教徒》のリッカルドのアリアをクヴィエチェンが歌います。昨年、バイエルン国立歌劇場で《フィガロの結婚》でアルマヴィーヴァ伯爵を聴きましたが、とても素晴らしい声だったので今日も大変期待しました。ですが、今日はもうひとつ声が響かない感じです。それなりの歌で終わってしまいました。曲の選択の問題か、喉の調子が今一つだったかはわかりませんが、不完全燃焼です。オペラ本番では是非、実力を発揮してもらいたいと思います。

で、次はいよいよ期待のダムラウです。2002年にウィーン国立歌劇場でツェルビネッタを聴いて以来、ほぼ10年ぶりに聴きます。10年前はまだ若手でそんなに存在感はありませんでした。それにその頃はグルベローヴァの素晴らしいツェルビネッタを聴いていたので、それほどの歌唱には思えませんでした。もっともグルベローヴァが凄過ぎるといえば、そうなんですけどね。
今日は登場からして、もう押しも押されぬ世界のソプラノとしての貫祿(オーラ)が感じられます。今日は《清教徒》の狂乱の場です。今回はオペラ本番で《ルチア》も歌うので、何と続けて、狂乱の場を2つも聴けるんですね。嬉しいことです。(4月にはウィーン国立歌劇場でネトレプコの歌う《アンナ・ボレーナ》の狂乱の場も聴いたしね。)
で、まずは正気を失ったエルヴィラが切々と歌いあげる聴かせどころ。ここはもう一つ、ピュアーな声が響いてきません。泣かせどころなのに残念。このあたりはグルベローヴァやネトレプコはさすがに聴かせるんですが・・・。
後半のコロラテューラの技巧を駆使するところになり、ダムラウの本領発揮です。実に磨き上げられた光沢感のある声の響きで聴かせます。エンジン全開で超高音を張り上げて、圧倒してきます。素晴らしい!! さすがに超1級のソプラノです。
ですが、saraiとしては、この曲ではそれでもやはり、グルベローヴァやネトレプコに軍配をあげてしまいます。ダムラウは最近出たCDでは、ティーレマン指揮ミュンヘン・フィルでR・シュトラウスの歌曲を歌っていますが、それは次元の違う素晴らしい歌唱でした。やはり、R・シュトラウスを聴きたかったのが本当の気持ちです。もっと、素晴らしい歌声が聴けたでしょう。

前半最後は交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》です。ルイージのお手並み拝見というところ。曲の組み立て方はよいのですが、オーケストラがR・シュトラウスにしっくりこないという感じです。以前、ルイージがシュターツカペレ・ドレスデンでR・シュトラウスを演奏したときは無理のないよい演奏でした。あれは《ツァラトゥストラはかく語りき》だったでしょうか。曲こそ違え、演奏の本質は同じ。やはり、ルイージはオーストリア・ドイツ系のオーケストラがぴったりと合うようです。少なくとも、R・シュトラウスはね。それでも、フィナーレの叙情的な部分の演奏はその前の高揚した部分と対比させて、しみじみと感じさせてくれました。ドイツ的な響きに不満はあるものの楽しめた演奏ではありました。さすが、R・シュトラウスに入れ込んでいるルイージの指揮棒さばきですね。ところで、そのルイージの指揮ぶりですが、バッタのように跳んだり、撥ねたり、とても激しく忙しいものでした。何とか、自分のイメージに合わせようとする精一杯の努力だったんでしょうか。確かに十分なリハーサルはつめなかったでしょうからね。ご苦労様です。

これで休憩です。まあ、よかったんじゃないでしょうか。

休憩後、《運命の力》序曲です。まあ、これは名曲ですし、メトも得意でしょう。なかなか聴かせてくれました。以前、ウィーン国立歌劇場で聴いたのには及びませんが、素晴らしい演奏ではありました。

で、いよいよ大好きなソプラノのフリットリの登場です。今日もなかなか美しい。彼女が《イル・トロヴァトーレ》を歌うとは知りませんでした。でも、第1声から、あのフリットリの澄みきった天上の声です。後半に向けて、切々と叙情的に歌うのではなく、かなり、劇的に歌うので、天上の聖なる声もほぼ第1声だけで残念でしたが、ドラマチックな歌唱も素晴らしく、呆然と聴き惚れてしまいました。やはり、フリットリは素晴らしいソプラノであることを再確認しました。曲を選べば、ネトレプコと覇を競えるのは彼女だけです。かえすがえすも、フリットリが《ドン・カルロ》のエリザベッタを歌わないのは残念。今、彼女以上にエリザベッタを歌える人はいません。かくなる上はフリットリが昨年以上のミミを聴かせてくれることを期待するだけです。

次はベチャワが《仮面舞踏会》のリッカルドのアリアを歌います。これはよかった。オペラ全体を聴きたいくらいです。誰がアメーリアを歌うかが問題です。ダニエラ・デッシーあたりがいいかも知れません。もしかしたら、マッティラあたりもいいかも知れない。それにしても、ベチャワはいいテノールになってきました。最近はいいテノールが増えてきたので、いい傾向です。saraiはどうしてもソプラノ好きなので、テノールに対する注文はそんなに厳しくありません。そういう意味ではベチャワを始め、いいテノールが目白押しです。

最後はまた、R・シュトラウスの交響詩《ドン・ファン》。オーケストラの響きへの違和感はともかく、特に叙情的な部分の演奏が楽しめました。強奏はあまり美しく響いてこなかったのが残念です。ルイージの曲の構成力は文句なしで楽しめました。

で、アンコールですが、オーケストラの演奏では、これが最高によかったです。《マノン・レスコー》間奏曲のプッチーニ節が胸にびんびんきました。プッチーニには痺れますね。メトもオペラになると俄然、実力発揮です。これはどうもフリットリが歌う《ラ・ボエーム》に期待でしょうか。

明日から、3夜連続で《ドン・カルロ》、《ランメルルーアのルチア》、《ラ・ボエーム》を聴きます。もちろん、毎日、ブログに感想を書きますので、是非お読みください。



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5分の2の《ドン・カルロ》:MET@NHKホール 2011.6.15

ヴェルディの歌劇《ドン・カルロ》は彼の最高傑作ともいっていいくらい素晴らしいオペラです。友情、悲恋、満たされぬ愛、人生の黄昏の苦悩、宗教の権威と国権、民衆の嘆きと怒りなどの様々な要素がヴェルディの筆で丹念に描き込まれ、美しくもドラマチックなオペラに昇華しています。

このオペラをメトロポリタンオペラの総力で5人のスーパースターを並べ、まさに現在最高のキャストでのプラチナオペラが実現する筈でした。
が、結局、歌手のキャンセルが相次ぎ、当初発表されたメンバー5人のうち、残ったのは2人だけ。あとは代役。5分の2のオペラになってしまいました。まあ、そう書くと代役の方に失礼にあたりますね。代役の方もよく歌いました。予想以上と言ってもいいでしょう。
当初の主な配役は以下。

 エリザベッタ:バルバラ・フリットリ
 ドン・カルロ:ヨナス・カウフマン
 フィリッポ2世:ルネ・パーペ
 ロドリーゴ:ディミトリ・ホロストフスキー
 エボリ公女:オルガ・ボロディナ

このうち、最終的に歌ったのはルネ・パーペとディミトリ・ホロストフスキーの2人です。
結論から言えば、2人残っても、このオペラは感動できたでしょう。その2人はバルバラ・フリットリとルネ・パーペの2人です。他は泣く泣く代役でも我慢できたと思います。特にバルバラ・フリットリのエリザベッタは世界中探しても誰も代わりは務まらないでしょう。それくらい、彼女のはまり役です。1昨年のミラノ・スカラ座の来日公演での最終幕での愛の2重唱はフリットリの天上の歌声、聖なる歌声に胸が打ち震えました。

今回の代役3人の顔ぶれは以下です。

 エリザベッタ:マリーナ・ポプラフスカヤ
 ドン・カルロ:ヨンフン・リー
 エボリ公女:エカテリーナ・グバノヴァ

まずはエリザベッタを歌ったポプラフスカヤに触れないわけにはいきません。この交代が一番の問題だったわけです。ところが彼女は予想以上の出来。まったく及第点の歌唱。特に中音域の透き通った響きは絶賛できます。ただ、高音域の歌声が詰まり気味でソプラノとしてはかなり辛いところです。もっとも高音域の響きが綺麗だったとしても、イタリア最高のディーヴァであるフリットリのレベルとは格段の違いがあります。それは人の心をうち震わせるカリスマ的な力としか表現できません。フリットリだって、何を歌っても素晴らしいわけではありません。昨年、ミュンヘンで聴いたフィガロの伯爵夫人はヴィブラートのかかり過ぎの歌声でもう一つ本領を発揮できていませんでした。しかし、こと、エリザベッタに関しては、無垢な聖女としての役柄に合わせた天使のような歌声は彼女だけのもの。で、最終幕はその歌唱で盛り上がって、感動のうちに幕というのが期待したシナリオです。
今日のオペラはこれがすべて。最終幕はみんなよく歌いましたが、それだけのこと。感動はありませんでした。

フィリッポ2世を歌ったルネ・パーペはさすがによかったです。ただ、これも比べると1昨年のスカラ座のほうが少しよかったですね。でも、満足の歌唱でした。人生の黄昏の悲哀は胸にくるものがありました。

ロドリーゴを歌ったディミトリ・ホロストフスキーは期待したほどではなく、決して絶好調というわけではなかったみたいです。それでも、さすがに大物歌手です。ロドリーゴが死ぬ場面の歌唱は力も抜けて、とても素晴らしいものでした。歌唱に波があったのが残念でした。

代役で一番よかったのはドン・カルロを歌ったヨンフン・リーです。これは及第点。高音も伸び、性格表現もよく、何の不満なし。

もう一人の代役、エボリ公女を歌ったエカテリーナ・グバノヴァはまあ及第点の歌唱でしょう。エボリ公女としては十分でしょう。もっとも本来歌う筈だったボロディナにはそれ以上を期待していましたが・・・

指揮のファビオ・ルイージには何の不満もありません。見事な指揮でした。

愚痴のオンパレードで申し訳けありませんが、いいこともありました。それは今回の公演の公式プログラムが無料で配布されたことです。通常、2000円はしますよね。もっとも、内容はキャストが交代前のものでとても売り物にならなかったんでしょうが、それでもラッキー。明日以降ももらえそうです。同じものを3冊もいりませんけどね。欲しいかたはご連絡いただければ2冊までは進呈しますよ。

そうそう、嬉しいことがもうひとつ。ひとつ前の座席にsaraiもファンの一人であるピアニストのI.N.さんがいらっしゃったことです。娘さんとお二人でいらっしゃってました。思わず、休憩時間に声をおかけしてしまいました。いつもどおりのお洒落で美しいかたでした。今年のサントリーホールでのリサイタルは素晴らしかったですねと言うと、来年3月もやるので是非いらしてくださいということでした。ふらふらっと行ってしまいそう。もっとも来年の3月あたりはウィーンでいいオペラをやってそうなので、どうなるか、???です。

ということで今日は不在のフリットリの偉大さをあらためて感じることになりましたが、こうなると是非ともそれを挽回するミミをフリットリが歌ってくれることを願うのみです。明日はダムラウのルチアです。



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この記事へのコメント

1, ハルくんさん 2011/06/17 22:16
saraiさん、こんばんは。

ドン・カルロは素晴らしいオペラですよね。
今回はパスでしたが、一昨年のミラノスカラ座の感動が思い出されます。あの時のフリットリは凄かったです。今回は配役変更で残念でしたね。

それにしてもI・Nさんとお話されたとは羨ましい!
僕も美人演奏家には滅法弱いのですが、生I・Nさんを見たことはありません。いやー、ぜひ一度拝んでみたいものです。

2, saraiさん 2011/06/18 00:23
ハルくんさん、こんばんは。
今、最後のラ・ボエームから帰ってきたところです。
内容は・・・今から記事を書くので、そちらをご覧いただきますが、フリットリは最高のディーヴァだとだけ、言わせていただきます。

ドン・カルロは歴史に残る名演になる筈だったので、正直、今でも悔しいです。単なるよい公演に留まってしまいました。

しかし、天は我を見放さず、I.N.さんとの思わぬ出会いを演出してくれました。ステージ通りのとても綺麗なかたでした。この後、一気にテンションがあがり、ドン・カルロもそっちのけだったかも・・・・

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感動の《ルチア》:MET@東京文化会館 2011.6.16

日本のこういう状況のなかで、気持ちよく来日してくれたメンバーに感謝あるのみです。特に生まれたばかりの息子さんを連れて来日してくれたディアナ・ダムラウには特に感謝の意を捧げたいと思います。彼女の今夜の歌唱は素晴らしいという言葉では表現できないものです。ほぼ10年ぶりに聴きましたが、まさに世界最高のソプラノに成長していました。現在、彼女に比肩できるのはネトレプコ、フリットリ、デッセイくらいでしょう。それぞれタイプが異なりますが、非常に高いレベルでの独自性を持つディーヴァたちです。もちろん、別格のグルベローヴァはいますが、もう世代が異なりますね。

さて、今日のプログラムとキャストは以下です。

 ドニゼッティ:歌劇《ランメルムーアのルチア》
 
 ジャナンドレア・ノセダ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団
 演出:メアリー・ジマーマン

 ルチア:ディアナ・ダムラウ
 エドガルド:ピョートル・ベチャワ
 エンリーコ:ジェリコ・ルチッチ
 ライモンド:イリダール・アブドラザコフ
 アリーサ:テオドラ・ハンスローヴェ
 アルトゥーロ:マシュー・プレンク
 ノルマンノ:エドゥアルド・ヴァルデス

第1幕の第1場、ルチッチの美しく豊かなバリトンが響きわたります。素晴らしいですね。生で聴くのは初めてです。得意役のマクベスを聴いてみたいものです。
で、第1幕の第2場、いよいよ期待のダムラウが登場しますが、最初のアリアでは、まだ、あまり声が出ていません。アリア後半の声を張り上げるところになると、突如、実に美しい高音の響きが聴かれるようになりました。続いて、ベチャワも登場して、2人で別れの2重唱を歌うあたりはもう澄みきっていて芯のある素晴らしい響きです。ベチャワは声は十分出ていますが、この歌は少し平板な感じでもう一つです。ただ、あまり技巧を凝らさないで歌っていくのはきっと終盤での切々と歌うところにつなげていくためだとも考えられます。いずれにせよ、この2重唱はsaraiが大好きな歌なので、ダムラウの歌唱にはすっかり満足です。

休憩後、第2幕の第1場、ルチッチ扮する兄とダムラウ扮するルチアの対決の場面ですが、ここは激しいやりとりというよりも、ダムラウは等身大の哀れな女性としてのルチアを演じていました。これはこれで彼女の個性ですから、面白く聴きました。アブドラザコフ扮するライモンドがルチアを家のために犠牲になって結婚するように諭すところは、どのプロダクションもそうですが、なにかもうひとつ説得力に欠けます。ダムラウはここでも等身大の哀れな女性としてのルチアを演じていました。ですから、抑え気味の歌唱です。このあたりはこれくらいの盛り上がりで納得です。
続いて、第2幕の第2場はルチアとアルトゥーロの結婚の手続きの場面。ダムラウは相変わらず、等身大の哀れな女性を演じます。ここにベチャワ扮するエドガルドが飛び込んできて、怒りまくるところですが、なかなかの迫力での歌唱、聴きいってしまいます。

休憩後、このオペラの最大の見せ場の第3幕です。第1場はルチッチとベチャワの対決シーン。よく省略される場面ですが、今回のプロダクションは丁寧に作られています。この後の布石となるシーンですから、省略なしにやったのは正解でしょう。2人ともよく声が伸び、いい場面になっています。
そして、遂に第2場は「狂乱の場」です。ここはダムラウの一人舞台。現代を代表するソプラノにふさわしい素晴らしい歌唱です。特にフルートと絡み合うところでの自在な高音の響き、まさに驚異的です。この美しさは多分、ネトレプコ、デッセイよりも上です。パーフェクトを通り越しています。フィナーレに向かってのコロラテューラの技巧を凝らした歌唱の素晴らしいこと、完璧にコントロールされたクリスタルの輝きを思わせる高音の響き、ただただ呆然と聴きいるのみです。最後の超高音の叫びでまるでこのオペラも幕を閉じた感があります。
しかし、METのこのプロダクションはこの後に続く第3場が泣かせるんです。まず、ベチャワの素晴らしいアリアで愛する人のいない人生の哀しさが胸につきささるようです。その後、ルチアが正気を失って、エドガルドに恋い焦がれながら、死んでいくことを知り、エドガルドは「ルチアが死ぬ」と哀切を込めた歌唱。このベチャワの歌唱はとても涙なしには聴けません。突然、愛するルチアがこの世からいなくなる衝撃ははかりしれませんが、このオペラでは、saraiを含めた聴衆にその悲しみが共有されます。ここで涙しない聴衆はオペラを聴く資格なしと断じたいと思うくらいです。
そして、最後は天使として現れたルチアに導かれて、エドガルドは自害を果たします。哀しい結末ですが、あえて、ハッピーエンドといいたいと思います。それが救いというものでしょう。人は愛の力で最後は救われる。そう信じたいオペラの結末です。
それにしても、この演出で最後にルチアを再度登場させたのは、とてもよい考えだと思います。演出のジマーマンにもブラボー!!

ということで、昨日の《ドン・カルロ》に比べて、なんという素晴らしさでしょう。新世代の《ルチア》として、とても感動した公演でした。



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この記事へのコメント

1, 瑞光さん 2011/06/20 13:26
こんにちは

本当にMETのルチアは素晴らしかったですね。

私は2回出かけましたが
2回ともテノールが違うので
すごく楽しめました。
初日でしたので、ものすごく興奮したのを覚えております。

2回目は

同じ日に出かけたみたいで、
この日もとてもよかったと思います。
おっしゃるようにダムラウは
初日の方が良かった印象ですが、初日よりも堂々としておりました。


本当に
良い公演に巡り合えたと、心から感謝しております。

2, saraiさん 2011/06/20 13:38
瑞光さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

ダムラウは初日はさらによかったんですね。それは聴きたかった。来年の6月はウィーン国立歌劇場でも、ベチャワと一緒にルチアを歌うようです。きっと、ますます磨きがかかるでしょうね。
ところで初日というと、テノールはカレーヤの代わりにビリャソンが歌ったんですよね。これは聴きたかったですね。特に第1幕の2重唱はCDで聴きましたが、素晴らしかったので、きっと、生ではもっと聴き応えがあったでしょう。

また、当ブログにお越しくださいね。では。

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フリットリ新たな伝説・聖女ミミ!《ラ・ボエーム》:MET@NHKホール 2011.6.17

プッチーニの名作オペラ《ラ・ボエーム》はsaraiがオペラにのめりこむきっかけとなった記念的作品。そして、このオペラだけはミレッラ・フレーニのミミなしには成立しないものでした。
イタリア人プッチーニのオペラをイタリア人フレーニがすべてを歌い尽くす。そこには愛と死という人間として根源的なものがありますが、フレーニは一人の哀しい生身の女として演じきります。で、聴く者すべてを人間的共感に包み込むわけです。フレーニのミミはsaraiにとって、永遠に不滅のもの。今までは封印が解かれることは決してありませんでした。

フリットリは今までにないタイプのソプラノ歌手でしょう。イタリア人でありながら、決してイタリア臭くありません。なにか人間を超越している存在にも思えることがあります。一言で言えば、聖女の歌声を持つソプラノです。
フリットリでさえもフレーニのミミの封印を解くことは決してできません。しかし、もうひとつ別のミミを作り出すという破天荒なことをやってのけました。それはフレーニの歌うミミはあくまでも血の通った生身の人間であり、人間としての共感が我々聴衆との結びつきを作り上げたわけですが、フリットリは違います。フリットリは天上の世界から遣わされた天使が地上に舞い降り、生身の人間と一時の恋に落ち、そして、また、聖女として天界に帰って行くのです。その聖なる奇跡を我々聴衆がオペラとして目撃するわけです。

第1幕、どこからともなく、ロドルフォのもとに現れたミミ(フリットリ)はまことに優しげな声で「私の名はミミ」と語りかけます。その声ははかなげでもあります。ドラマチックな筈の愛の2重唱も人間ロドルフォと聖女ミミの決して通うことのない絆を強調するだけです。

第2幕の喧騒のなかでも、一人ミミは超越した存在として、冷静に周囲を見渡しているだけで、客観的な立場を貫きます。

第3幕、ここからは実に見事なフリットリの聖なる天上の声が響きわたります。ミミの別れ、それはミミの病気が原因ですが、それは天上の世界に戻る時期が近くなったとも言えます。だんだんと澄み渡っていくフリットリの高音の声の響きはミミが次第に聖化していくかのようです。とても生身の心や体が蝕まれた人間とはほど遠いものです。優しげにロドルフォを気づかう聖女ミミの純粋さがとても心を打ちます。このあたりからは涙なしには聴けなくなります。なんという感動でしょう。

第4幕、もうミミは完全に聖女に列せられます。声量を抑えて、澄みきって、どこまでも伸びていく高音は天上の世界の響きです。地上での想い出をひとつひとつ語りながら、ロドルフォを慰め、そして、天上に昇天していきます。残された我々人間は聖女ミミの姿を求めて、哀しみにくれます。

こういう聖女伝説はフレーニにもなしえなかった世界です。稀代のソプラノ、フリットリが作り上げた奇跡のオペラと言えるでしょう。人間の哀しみを表現したフレーニのミミは不滅ですが、ここに聖女ミミを誕生させたフリットリの新たな伝説が生まれました。そして、これも永遠に不滅でしょう。ラ・ボエームの封印が2重になってしまいました。

語っても語り尽くせない最高のオペラでした。こういうオペラに遭遇できて、とても幸せです。

最後に今夜のキャストをご紹介して幕とします。ルイージの指揮も聖女ミミを好サポートした見事なもので、メトロポリタン歌劇場管弦楽団の弦セクションの美しさが耳に残りました。ロドルフォを歌ったアルバレスは声量が足りませんが、その分、とてもロマンチックな歌唱で好印象。また、マルチェッロを歌ったマリウシュ・クヴィエチェンのバリトンの豊かな響きも忘れられません。ムゼッタを歌ったスザンナ・フィリップスは声がよく出て、とてもよい歌唱でした。

 プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》
 
 ファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団
 演出:フランコ・ゼッフィレッリ

 ミミ:バルバラ・フリットリ
 ロドルフォ:マルセロ・アルバレス
 マルチェッロ:マリウシュ・クヴィエチェン
 コッリーネ:ジョン・レリエ
 ショナール:エドワード・パークス
 ムゼッタ:スザンナ・フィリップス
 ベノワ/アルチンドロ:ポール・プリシュカ

これを持って、4夜聴いたメトロポリタンオペラも終幕です。結果的に震災後に素晴らしい公演を実施してくれた関係者のみなさんに感謝します。



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1, 瑞光さん 2011/06/20 13:31
こんにちは

私は、この演目は
昨年のトリノオペラとくしくも同じになったので
スルーして「ルチア」2回という選択をしましたが
行けばよかったかもしれませんね。

個人的にはオケ・コンもほぼ同じような感想でした。
私も行ったコンサートについて書いてありますので
まあ読んでみてください。
ほぼ同じです。

2, saraiさん 2011/06/21 01:24
瑞光さん、こんばんは。
こちらにもコメントありがとうございます。

そうですね。「ルチア」2回という選択は二人のテノールを聴けたので正解だと思いますが、やはり、フリットリのミミは欠かせなかったでしょう。ゼッフィレッリの演出した舞台も見物でしたし・・・
六万四千円は決して高くなかったですよ、この内容では。

ブログ面白く読ませていただきました。基本的に同じ感想でしたね。ただ、R・シュトラウスはオケがまだ練習不足だったと思います。いかにアメリカのオケでももう少し、ドイツ的な響きが出せたと思いました。

最後にルチアで感涙した同類であることに喜びを禁じ得ませんでした。

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QUAD67CD(CDプレーヤー)の故障と修理:分解編

今回は久しぶりにオーディオの話。興味のあるかたはご覧ください。普通は面白くないかも・・・・

現在、saraiのリスニング環境は以下の構成です。

 QUAD22(プリアンプ)
 QUADII(モノラルパワーアンプ)2台
 QUAD67CD(CDプレーヤー)
 PIONEER PL50LII(レコードプレーヤー)
 ORTOFON MC30SUPERII(MCカートリッジ)
 AUDIO NOTE AN-S4II(昇圧トランス)
 TANNOY EDINBURGH(スピーカー)

このサウンドの質は素晴らしく、変な言い方ですが、実に音楽的に鳴ります。オーケストラの弦楽なんて最高です。
また、以下のセカンドシステムも用意しており、切り換え可能です。

 QUAD33(プリアンプ)
 QUAD606(パワーアンプ)
 WADIA23(CDプレーヤー)

メインのシステムは真空管アンプでセカンドシステムはトランジスターアンプです。

このうち、メインシステムのQUAD67CD(CDプレーヤー)が遂に故障してしまいました。"遂に"というのは、予測された故障だからです。
CDトレイの開閉がうまくいかなくなったんです。これはこのCDプレーヤーの持病みたいなもので必ずといっていいほど発生します。
当初は手でトレイを引っ張ったり、押し込んだりして使っていましたが、最後は引っ込んだままで引っ張りだすのが大変面倒になりました。故障の原因は開閉メカニズムのプラスチック製のギアが経年劣化で壊れたためです。
このCDプレーヤーはヴィンテージものなので、メーカーでの修理はできません。

とりあえずはセカンドシステムに切り換えて、音楽を聴くことにしましたが、どうしてもサウンドの質が違います。
で、急ぎ、自分で修理することにしました。
まずは壊れたギヤの部品調達です。幸いというか、この故障は多いので、EBAYでは比較的安価でこのギアを入手できます。QUAD67CDのメカニズム部分は実はPHILIPSのCDM9というCDトランスポートです。ですから、実際はCDM9の開閉用ギアを入手することになります。今回、香港の業者から2個2000円弱で送料込みで入手できました。


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このギアは日本製の高品質だそうです。それを輸入するのも変ですね。それに海外製のCDプレーヤーの部品が日本製というのも何だか・・・。まあ、それだけ、このPHILIPSのCDM9が色々なCDプレーヤーに採用されていたということです。

で、修理ですが、まず、CDプレーヤーを裏返して、裏蓋の4本のプラスねじを外します。


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これで表蓋が外れる筈ですが、まだ、がっちり固定されています。で、側面下の蓋とケースの間の隙間にドライバーをこじ入れて、なるべくそっと隙間を広げます。まず、片方が外れ、もう片方も力を入れて横に広げ、ようやく蓋が外れました。


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で、蓋を開けたCDプレーヤーはこんな感じ。


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次に前面のパネルを外します。これは4本のプラスねじを外すだけ。ただ、ケーブルがつながっているので、それはそのままにしておきます。トレイを少し引き出すと、後方に1個、前方に2個ビスが見えます。これはマイナスドライバーで外しますが、CDトランスポートを固定している調整ビスなので、締め具合を確認しておきます。


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取り外したCDトランスポートは本体とケーブルがつながっているので、外します。赤いコネクターです。


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CDトランスポートをひっくりかえすと裏に基盤がついているので、ねじ3本を外して、動かせるようにします。基盤はケーブルでつながっているので、決して無理をしないようにします。また、基盤の固定はねじは何故か2本は6角レンチの別の太さで、もう1本はプラスねじという変なつけ方です。また、ギアを回転させるためのゴムベルトも外します。


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QUADのアンプ類は6角レンチが必要になることが多いので、常備しておきましょう。自分の工具箱を探すと次の2つが見つかりました。今回は両方の規格が必要でした。


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次にギアの上の金属の覆いを外すと(プラスねじ)、ギアがその金属についている軸に差し込まれています。歯車はすっかり破損していますね。


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このギアを軸から外します。マイナスドライバーでそっと抜きます。


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で、外れました。
分解はこれで完了。この後は新しい部品を取り付けて、再組み立てです。



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1, Nakahataさん 2011/06/20 18:48
PhilipsのCDプレイヤーを分解してわかったのですが、このギア部分を止めているのはトルクスねじNo.10のものでした。なぜならPhilips製品に使用されているのは普通のねじではなく、ほぼ全部がこのトルクスねじだからです。ここだけその名残だとおもってます。

2, saraiさん 2011/06/21 01:35
ははあ、そうなんですか。QUADの好みで使っているのかと思っていました。Philips製品はほぼすべてそうなんですね。やはり、技術的なこだわりなんでしょうね。日本製品ではまず、お目にかからないですね。
勉強になりました。

3, Golaudさん 2012/08/28 15:04
初めまして。
私もいつか来る日だろうとオークションでこのギアを入手しておりました。先日、とうとうその日がやって来て、このページを参考に交換いたしました。
末永く使い続けたいと思います。

4, saraiさん 2012/08/29 02:22
Golaudさん、初めまして。saraiです。

本ブログがお役に立てたようで、ブロガーとしても実に嬉しいです。
いったん気に入ったQUAD67CDはどんな高級品にも出せない美しい音楽を奏でてくれます。お互い、永久に使い続けましょう。

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QUAD67CD(CDプレーヤー)の故障と修理:組み立て・復活編

さあ、組み立てにかかりましょう。分解の逆の手順ですから、簡単な作業です。

まず、これが破損したギアを外した軸です。


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新しいギアを破損していたギヤの代わりに、軸にぱちっというまで差し込みます。


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また、ゴムベルトをかけて、ギアを固定し、基盤も固定します。これでCDトランスポートの修復は完了。

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なお、ゴムベルトは新しいギヤにも付属してきましたが、別のCDプレーヤーの部品らしく短過ぎるので使えません。元からついていたゴムベルトをそのまま使いました。ゴムベルトのほうは全然傷んでいません。

CDトランスポートを本体に取り付けますが、調節ねじの締め具合を加減する必要があり、水準器を置いて、トレイが水平になるように調整しました。このあたりはそれぞれで工夫するところでしょう。この水準器はアナログプレーヤー調整用のものです。


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あとは蓋を取り付けて完了。そうそう、CDトランスポートと本体のケーブルをつないでおかないといけませんね。

これが破損したギアです。まわりにあるのがケース内から回収したギアから欠けた破損品です。


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おそるおそる電源を入れて、トレイの開閉スイッチを操作すると、以前のように動作することが確認できました。
よかった! これでまたCDを気持ちよく聴けます。

CDプレーヤー復活後に最初に聴く記念すべきCDはクラウディオ・アラウのヘリテージシリーズのブラームスBOX(4枚組)です。やはり、素晴らしい響きです。これでなくっちゃあね!

また、ギヤが壊れてもスペアのギヤがもう一つあるので安心です。ただ、日本製の高品質のギヤはそんなに簡単には壊れないでしょう。

最後にこの修理の参考にさせてもらったNakahataさん、たぬ社員様やJapan QUAD Fan Clubの方々に感謝します。



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リスト・イヤーならではの東京都響定期演奏会@東京文化会館 2011.6.20

本来はサントリーホールの東京都交響楽団の定期演奏会に行くのですが、先週はメトロポリタンオペラと重なったため、今日の東京文化会館の定期演奏会にチケットを振り替えました。
おかげで、滅多に聴けないリストのオーケストラ曲を聴くことができました。今年はリスト・イヤー(生誕200年)ですから、こういう曲を聴く絶好のチャンスではあります。

今日のプログラムは以下。

 小泉和裕指揮東京都交響楽団(コンサートマスター:矢部達哉)
 ピアノ:マルクス・グロー
 テノール:福井敬
 男声合唱:二期会合唱団

 リスト:ピアノ協奏曲第2番イ長調S.125
  
  《休憩》

 リスト:ファウスト交響曲S.108

リストのピアノ協奏曲といえば、普通は第1番のことです。チャイコフスキーの場合と同じですね。いずれもまだ第2番は聴いたことがありません。それが今年は両方とも聴けますが、今日はまずリストを聴きます。
ピアニストはドイツ人のマルクス・グロー、この人も今回初めて知りました。指揮の小泉和裕も多分初めて聴きます。なんだか、初物尽くしの感があります。
リストの1番は大変、派手なヴィルトゥオーゾ的な曲ですが、ほぼ同時期に作曲された2番はかなり趣が異なり、ロマン的・神秘主義的な傾向の曲です。2番はある意味、1番に比べると、捉えどころがないとも言えますが、精神性が高いとも思えます。
都響の弦セクションとグローのピアノが精妙な音楽を作り上げていきます。とても感性に優れた表現です。これがフランス音楽ならば、エスプリに満ちた演奏というのでしょうが、ドイツロマン派の音楽ですから、ロマン性にあふれた演奏というのでしょう。とても気持ちよく、聴けました。まあ、音楽ミーハーとしては通常は1番を聴いて、すかっとしたいところです。が、たまにはこういう曲を聴くのもいいものです。新鮮ですからね。
ピアニストのグローはタッチが美しく、粒立ちのよい響きでなかなか優秀なピアニストです。この曲だけでは判断できませんが、今後、注目しましょう。40代の中堅ピアニストです。グローと都響の共演はとても息があって、素晴らしいバランスでした。

休憩後は大曲のファウスト交響曲です。滅多に聴けない曲だと思っていたら、さすがに今年はリスト・イヤーということで盛んに演奏されているようです。もうひとつの秘曲ダンテ交響曲はほとんど聴けないようです。
で、なかでも指揮の小泉和裕がこの曲にかなり入れ込んでいるようで、既に大阪でも演奏したそうです。
ファウスト交響曲は3部からなり、2部まではオーケストラだけで演奏。3部の最後の5分間はテノール独唱と男声合唱がはいります。

第1部は《ファウスト》という題名で真理を探究するファウストを表現しています。曲想は後期ロマン主義を先取りしたような感じで、ワーグナーのトリスタンへ続く道を連想します。ということは、なかなかの名曲・・・かのバーンスタインもリストの最高傑作と評価し、2度も録音したとのこと。事前にそのバースタインのCDを聴きましたが、素晴らしい演奏でした。
都響は定評のある(saraiが勝手に言っている)弦楽セクションが絶好調。特に第1ヴァイオリンの女性奏者たちの素晴らしい演奏には舌を巻きます。切れ込みの鋭い演奏で、ユニゾンはぴたっと合い、一糸も乱れぬ素晴らしい響き。パーフェクトです。さぞや、指揮者の小泉和裕と練習を積んだことでしょう。その成果が表れた演奏です。

第2部は《グレートヒェン》という題名です。ファウストの憧れの女性、グレートヒェンを連想させる優美な楽想に満ちています。ここでも都響の強力な弦楽セクションがその実力を十分に発揮して、美しい響きでホールを満たします。

第3部は《メフィストフェレス》という題名で悪魔の暗い世界をグロテスクに表現しますが、楽想自体はこれまでのものを用いており、音楽の一貫性を志向しているようです。この曲の成り立ちにはベルリオーズがかかわっており、幻想交響曲でも使われたイデーフィクス(固定楽想)の影響があるのでしょう。
最後に《神秘の合唱》と呼ばれる男声合唱がハ長調ではいってきます。暗黒の世界に差す光を表現したとのことですが、鈍感なsaraiには明確には感じられません。むしろ、テノール独唱と合唱による劇的な表現のほうが耳に感じられます。お恥ずかしいことです。神秘性よりもドラマチック性を感じます。saraiのせいか、演奏の問題か、判断するほど、この曲を聴き込んだわけではありません。
まあ、ともかく、劇的にファウスト交響曲はフィナーレです。

感動というよりも爽快感が感じられた演奏でした。リストらしいと言えば、そうですね。オーケストラ曲としては最高傑作かも知れませんが、リストはピアノ曲のほうがやはり、好みです。ロ短調ソナタとか、巡礼の年とか、感動できる名曲がありますものね。
ただ、リストの滅多に聴けない曲をしっかりした演奏で聴けたので、収穫は多く、満足したコンサートでした。



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カラヴァッジョを尋ねて、いざマルタ島へ・・・

さて、そろそろ、次の旅のことを考えましょう。
ヨーロッパへの旅の目的はもちろんオペラが基本ですが、美術ももうひとつのテーマです。
なかでも、saraiにとってゴッホ、フェルメール、ボッティチェリは特別の存在です。

が、最近、フェルメールに近い存在として急浮上してきたのがカラヴァッジョなんです。
彼の無頼な生き様はともかくとして、あのあまりにも上手過ぎる光と影のリアルな絵に魅せられつつあります。配偶者も同じ感じらしく、あまり言葉を交わすまでもなく、今度の旅はカラヴァッジョを見に行こうということで意見一致。

で、カラヴァッジョの跡を尋ね、代表的な絵を見て回ろうということになりました。
無論、彼が活躍したローマには聖マタイの連作を始め、見どころ満載です。
ローマで殺人を犯した後、流浪の末たどり着いたマルタ島も外せません。かなり遠いような気もしますが、マルタの騎士団抜きにしてはカラヴァッジョを尋ねたことにはならないでしょう。

そういうことで、彼の作品を求めて、ミラノ、ローマ、ナポリ、シチリア島、マルタ島を巡る計画を練り始めました。今から準備を始めるので時期は10月ということにしました。11月は国内でのコンサートが目白押しなので、そのあたりが都合がよさそうです。

もちろん、ヨーロッパの旅は音楽がもうひとつの要素。ミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場でもオペラを見るつもりです。
また、旅の後半はウィーンへ飛び、オペラ・コンサート三昧です。
旅程は25日ほどになる見込み。既にオペラ・コンサートのチケットの手配を始めたところです。
コンサートの目玉は
 ウィーン楽友協会:プレートル+ウィーン・フィル 未完成、ブルックナーの7番
です。チケットの確保が大変そうです。
でも、今回の旅の日程はこのコンサートに合わせて決めようとしています。

航空券はスターアライアンスのマイル特典を利用するつもりですが、予想以上にサーチャージ・諸費用が高く、悩ましいですね。もう、昔のようにマイルが得だった時代は終焉したのかもしれませんね。

これから気持ちを高めて、旅の計画を詰めていくつもりです。


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神尾真由子ヴァイオリン・リサイタル@杜のホールはしもと 2011.6.25

久しぶりに神尾真由子のヴァイオリンを聴いてみようと思いました。前に聴いたのはお得意のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でした。
以前、彼女は協奏曲の女王?とか呼ばれていて、オーケストラとの共演を得意にしていました。
事実、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は素晴らしい演奏でした。ただ、TVで聴くほかの演奏はもうひとつ。そういうこともあり、何となく、彼女のコンサートから足が遠のいていました。
今回は小さなホールでのリサイタルということで、じっくり最近の彼女のヴァイオリンを聴いてみようと思い、チケットを入手。

JR横浜線の橋本駅の駅前にある「杜のホールはしもと」は初めて行くホールですが、ビルの8,9階にある500人収容の立派なホールです。室内楽には最適ですね。今回は10周年記念コンサートとして企画されたとのことです。交通アクセスは結構便利です。周辺での食事も可能です。

今日のリサイタルのプログラムは以下。

 ヴァイオリン:神尾真由子
 ピアノ:鈴木慎崇

 パガニーニ:ヴァイオリン・ソナタ第12番ホ短調Op.3-6
 イザイ:悲劇的な詩Op.12
 タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ ト短調「悪魔のトリル」

  《休憩》

 パガニーニ:24のカプリースOp.1より
  第1番、第2番、第4番、第6番、第9番、第11番、第13番、
  第14番、第15番、第16番、第17番、第20番、第21番、第24番

  《アンコール》
 パガニーニ:24のカプリースOp.1より第10番

最初のパガニーニのヴァイオリン・ソナタは原曲はヴァイオリンとギターのためのソナタで後にピアノ版に編曲されたものです。そのせいか、神尾真由子のヴァイオリンは抑えた響きでの演奏。まあ、ギターとの演奏ならば、それはそれでいいですが、音量のあるピアノとの演奏なので、美しいメロディーを思いっきり、歌わせてもらいたいところ。少し、不満のある出だしですが、それは音楽の捉え方の問題で決して演奏の質が劣るわけではありません。あくまでもsaraiの感性の問題です。まあ、ほんの3分ちょっとの曲なので手馴らしってとこでしょう。

次はイザイの悲劇的な詩。これは初めて聴きました。いかにも大ヴァイオリニストであったイザイらしく、なかなかの難曲です。無伴奏ヴァイオリン・ソナタと似た感じです。神尾真由子のテクニックはとても素晴らしく、この難曲を楽々と弾きこなして、音楽表現に重点を置いたような演奏です。フツフツと熱い感情のたぎりが沸きだしてくるような神尾真由子らしい力演です。これは聴き応えがありました。

次はタルティーニの「悪魔のトリル」。ヴァイオリン曲の定番ですね。フィナーレに向かっての凄まじいテクニックに圧倒されました。こんな曲でも熱く演奏できるのは素晴らしいですね。ただ、精神性や深みを感じさせる曲ではないのが残念。たまに聴きたくなる曲ではあっても感動に至るような曲ではありません。演奏は素晴らしかったです。

休憩後はこの日一番注目のパガニーニのカプリースです。いやはや、どの曲も素晴らしい仕上がり。特に叙情的なメロディーラインの美しさ、超絶技巧の曲であることを忘れさせる高度な演奏です。有名な最後の第24番も楽々と弾き、熱いフィナーレです。現在、世界でもこれだけ弾けるヴァイオリニストは数えるほどしかいないでしょう。

アンコールもまたカプリースの別の曲。この第10番もまったく素晴らしい。きっと、この日演奏していない曲もすべて同じような高いレベルで弾くのでしょう。

この日のリサイタルは素晴らしい演奏で満足しました。しかし、こんなに演奏が素晴らしいのにもうひとつ感動に至りません。考えてみると、この日の選曲に問題があるような気がします。少なくともsaraiの趣味ではありません。パガニーニもイザイも決して嫌いではありませんが、何となく組み合わせが面白くありません。また、ここで「悪魔のトリル」を組み合わせる意図がよく分かりません。折角の才能ですから、今後、意欲的なプログラムに取り組むことを願いたいと思います。
楽しめそうなリサイタルがあれば、再度、聴いてみたいと思っています。



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ルーブル美術館見て歩き:コンコルド広場からチュイルリー公園

2011年4月1日金曜日@パリ/1回目

旅の3日目です。

朝は何やら外がうるさいので早くから目が覚めます。毎朝ではないけれど、朝のまだ暗いうちから(五時くらいから?)通りの清掃が始まります。ガ~ガ~結構うるさい音。このお蔭でいつも美しい街並になっているのでしょうが、かなりうるさいですよ。もっとも、眠かったので、また、眠ってしまいましたけどね。

時間になり、そこそこに起き出します。今朝は、曇り空ですが雨は降りそうにありません。でも、結構寒いですよ。

さて、朝食は無論無料で付いています。昨日の朝はロワール古城巡りに早起きして出かけましたから、朝食は残念ながらパスしましたが、今日からはしっかり頂きます。朝食のレストランは地下です。レンガ造りのワイン倉庫のような感じの空間です。狭いですがなかなかいいですね。


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メニューの内容はパンとハムなどで普通です。
が、メイドさんが「コーヒー?チョコレート?」と聞きます。チョコレートって言うなんて、さすがにパリですね。もちろん配偶者はチョコレートをお願いしています。が、出してくれるのは、粉末チョコレートとミルクです。今どきなのでしょうね。配偶者はちょっと残念そうですが美味しいので良しとしましょうとのこと。


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総合的な評価ではこのパリのホテルが今回の旅のホテルでは最低なので、この後のホテルが快適に感じられるのが今回の旅での特徴でしょうか。

朝食を済ませ、ホテルを出発。ホテルの外に出ると、ちょうど出たところが公共自転車の駐輪場。自転車を使えば、街中を颯爽と風を切ることもできるでしょうが、今回はその機会がなく、残念です。


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今日は本当に久しぶりのルーブル美術館訪問です。前回訪れてから10年以上経っているかもしれません。
メトロを乗り継いで行きます。最寄りのノートルダム・ドゥ・ロレット駅Notre-Dame-de-Loretteからメトロの12号線でコンコルド駅Concordeまで行き、乗り換えです。
ノートルダム・ドゥ・ロレット駅はホテルから3分ほどのすぐ近くにあります。駅名の由来であるノートルダム・ドゥ・ロレット教会Notre-Dame de Loretteの前がメトロの入口です。折角ですから、メトロに乗る前に教会に入っておきましょう。入ると、特徴のある素晴らしい天井、側面の列柱と絵画など重厚な空間が広がっています。入ってみてよかった!


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教会の名前になっているロレットはイタリアの地名Loretoで、この教会はロレートの聖母マリアに捧げられているそうです。ロレートの聖母と言えば、カラヴァッジョの名画を思い出します。いつか、ローマのサンタゴスティーノ聖堂Santa'Agostinoまであの名画を見に行きたいと思います。

中程から後ろを振り返ると、見事なパイプオルガンが天井とマッチしています。


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さて、メトロに乗って、乗り換え駅のコンコルド駅に到着。ここで乗り換えですが、久しぶりにパリの中心地を歩いてみるのもよいかなと思い付き、コンコルド広場Place de la Concordeから歩いてルーブル美術館Musée du Louvreに向かうことにします。地上に出ると、いきなりコンコルド広場の中心に建つオベリスクとその向こうにパリのシンボルのエッフェル塔Tour Eiffelが見えます。


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すぐ近くのオランジェリー美術館Musée de l'Orangerieの向かいに建つジュ・ド・ポーム美術館Galerie nationale du Jeu de Paumeの小高いテラスにあがると、このあたりが一望できます。


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セーヌ川方面に目を向けると、ずっと向こうにアンバリッドInvalidesの金色のドームも見えます。


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エッフェル塔がかなり遠くに見えるので、ズームアップして撮影してみます。コンコルド広場のオベリスクと並んで美しいですね。


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久しぶりのパリの景色に興奮しながら、ひとしきりカメラのシャッターを切り、ようやくルーブル美術館の方に向かいます。せっかくですから、チュイルリー公園Jardin des Tuileriesの芽吹き始めた美しい木々の間を歩いて行きましょう。


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この公園はパリの中心にあるにもかかわらずとても広大で、ジョギングしている人たちがいます。東京のどこかみたいですね。
公園の中ほどまで来ると、はるか遠くにルーブル美術館に隣接するカルーゼル凱旋門Arc de Triomphe du Carrouselが見えてきます。


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さらに進むと、やっとルーブル美術館が見えてきます。


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チュイルリー公園の美しい花壇には、チューリップ、ヒヤシンス、ラッパ水仙が咲いています。春ですね。


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別の花壇には見事に咲き誇った花木があります。花桃でしょうか?


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いよいよ、チュイルリー公園からルーブル美術館にはいるところまでやってきました。チュイルリー公園を抜けるのに10分ちょっとでしたが、とても遠かった印象です。

ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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ルーブル美術館見て歩き:一路モナリザへ・・・でも、その前に

2011年4月1日金曜日@パリ/2回目

やっとルーブル美術館Musée du Louvreの敷地に足を踏み入れます。目の前に巨大なルーブル美術館の建物が広がっています。


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ようやく凱旋門です。このカルーゼル凱旋門Arc de Triomphe du Carrouselはもともとはチュイルリー公園の門として作られたそうです。有名なシャンゼリゼ通りの凱旋門Étoile(エトワール凱旋門)の半分くらいの大きさですが、これもなかなか立派です。


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凱旋門の上には、平和を象徴する女神がチャリオットに乗っていて、その両脇に金メッキされた勝利の女神が馬を牽いて立っています。もともとはナポレオンがヴェネチアのサンマルコ寺院から持ち帰った馬だったそうですが、ナポレオン失脚後にヴェネチアに返却したそうです。もっとも、そのサンマルコの馬ももともとはコンスタンチノープルの競馬場から奪い取ったものだそうです。歴史って面白いですね。現在のものは、サンマルコの馬を返却後に新たに作ったものです。


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さて、凱旋門をくぐって進みましょう。向こうには、ガラスのピラミッドPyramide du Louvreが見えています。


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ようやく、ガラスのピラミッドの広場の前まで来ました。これがルーブル美術館の全景といいたいところですが、これは一部ですね。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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ピラミッドに入ろうとすると人の行列ができています。


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こんなこともあろうかとあらかじめ、カルト・ミュゼ(美術館のフリーパス券)を購入しておいたんです。


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で、係の人にカルト・ミュゼを見せて通してもらおうとすると、なんと行列の後ろにつけとの指示です。不審に思いながらも仕方なく行列に加わり、そのまま列の先頭の方に進むと、この列はルーブル美術館の入館者のセキュリティチェックであることが分かりました。それは仕方ないですね。
このセキュリティチェックを抜けて入館口のある地下に下りると、チケット売り場には人がそんなに並んでいません。混雑を予想して、パリ到着後空港でカルト・ミュゼを買っておきましたが、あまり意味はなかったようです。
さて、いよいよ日本語の館内案内のパンフレットをもらい入館です。


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今日はダ・ヴィンチの絵を見るのがメインテーマなので、ともかくモナリザの案内指示に従って、館内をひたすら進みます。途中にはミロのビーナスもある筈なので見ていこうとしますが、見つからず断念。2階に上がり、一路モナリザに向かいます。が、その途中で19世紀のフランス絵画の回廊を通りますが、名作が目白押しで目を奪われ、足が止まります。

ジェリコーの「メデューズ号の筏」です。実物大の絵画なので巨大な絵です。


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続いて、ドラクロワの「サルダナパールの死」です。これも大きくて迫力があります。


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同じドラクロワの一番の代表作「民衆を導く自由の女神」です。超有名ですね。


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もっとも、これらはsaraiはそんなに好きなわけじゃないので、ちらちら見ながら素通り状態です。もったいないかな。
回廊と回廊がつながっているところは大きなドームになっており、素晴らしい天井です。ルーブル美術館は建物も凄いですね。


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いよいよモナリザが近付いてきます。


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ルーブル美術館見て歩き:ダ・ヴィンチを探せ!

2011年4月1日金曜日@パリ/3回目

ようやくモナリザに到着。モナリザの前は黒山の人だかりです。さすがにルーブル美術館で一番人気の作品ですね。


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しっかりとガラスケースにおさまっています。


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saraiは、そんなにモナリザに思い入れはないので見るだけ見て、他のダ・ヴィンチ作品を探します。が、ラファエロなどのイタリア作品はありますが、モナリザ以外のダ・ヴィンチが見つかりません。とりあえず、ラファエロを鑑賞しておきましょう。

ラファエロの「美しき女庭師」です。聖母子の代表作ですね。フィレンツェのピッティ美術館にある「小椅子の聖母」に次ぐ作品であると思います。


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ラファエロの「バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像」です。ラファエロは聖母子だけの画家ではありませんね。


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この他、ともかくイタリア作品だけでも膨大な数があり、ダ・ヴィンチの作品はなかなか見つかりません。でも、こんなことくらいでダ・ヴィンチの作品との対面を諦めるわけにはいきません。もっと詳細な館内案内図はないかと、もう一度延々と歩いて入館案内所まで戻り聞いてみると、ブックショップにあるかも知れないとのこと。で、ブックショップを見回りましたが、それらしきものはありません。今度は店員さんに聞いてみると、館内案内図は館内案内所にしかないとのこと。つまり、詳細な案内図はないということになります。それならば、誰かに教えてもらうしかありませんね。そこで、配偶者が身振り手振りで粘りに粘って、何とか館内案内所の男の子からダ・ヴィンチ作品の展示場所を聞きだしました!
これが館内地図に書き込んでもらったダ・ヴィンチの作品の展示場所です。青ボールペンで一番下に丸く書き込まれたのがその場所。


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場所がわかれば、元気を出して歩くだけですね。再入館して、再度同じ道を辿ります。前回同様に彫刻の並べてある1階の回廊を通るので、この際彫刻も見ておきましょう。

カノーヴァの「エロスの接吻で目覚めるプシュケ」です。結構、人が集まっています。きれいな作品です。


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今度は「ミロのビーナス」も見つかります。


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またまた2階に上がり、イタリア作品の展示場所に戻り、教えられた場所に行くと遂にダ・ヴィンチを発見!!
特に「岩窟の聖母」の、よく書きこまれたマリアの美しい顔は素晴らしいものです。


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「洗礼者ヨハネ」です。ダ・ヴィンチがモナリザとともにアンボワーズに携えていった作品です。謎めいた雰囲気の作品ですね。


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これも「洗礼者ヨハネ」です。この絵の詳細は知りません。ダ・ヴィンチ工房の作品なのでしょうか。


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「美しきフェロニエール(婦人の肖像)」です。頭部と肩以外は弟子によるものだと言われています。いい作品だと思いますが・・・。


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残念ながら、見たかった「聖アンナと聖母子」は見当たりませんが、まあ、満足です。

ダ・ヴィンチを堪能したので、後はゆったりとこの他の好きな作品を見てまわりましょう。



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ルーブル美術館見て歩き:ボッティチェリなどのイタリア絵画も堪能

2011年4月1日金曜日@パリ/4回目

さて、ダ・ヴィンチを堪能したので、ルーブル美術館での最大の目的は果たしました。でも、久しぶりのルーブル美術館ですから、ほかに見たい作品がいっぱいあります。なかでも、saraiはどうしてもラ・トゥールが見たい!
というわけで、次はラ・トゥールの作品群をめざし、館内マップを見ながら迷路のような館内をウロウロすることになります。

ウロウロする途中で発見したのが、ジョットの聖フランチェスコ。この絵は、とても素晴らしい。この絵に気付いてくれた配偶者に感謝です。二人でじっとこの絵を見ていると、いつの間にかまわりに人が集まってきました。有名な作品ではありませんが、誰でもこの絵のよさは分かるようですね。今まで見たどのジョットの作品よりも保存状態が素晴らしいのにも驚きます。
「聖痕を受けるアッシジの聖フランチェスコ」です。


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さらに、ボッティチェリやフィリッポ・リッピの作品も目にとまります。
特にボッティチェリの淡い色彩のフレスコ画は、大分傷んでいるのですが、とても雰囲気豊かな作品。実は、saraiが最初にルーブルを訪れた際にこの絵が印象に残り、その後のフィレンツェのウフィツィ美術館詣でが始まったといういわくつきの絵です。懐かしい思いに駆られます。
これがその「若い婦人に贈り物を捧げるヴィーナスと三美神」です。


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ボッティチェリの「聖母子と少年聖ヨハネ」です。ルーブル美術館にはボッティチェリの聖母子が3枚もあります。特にこの絵はいいですね。


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これが2枚目の「聖母子」です。これも聖母マリアが可愛いですね。


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これが3枚目の「5人の天使に囲まれる聖母子」です。


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これはフィリッポ・リッピの「聖母子と天使,聖フェルディアーノと聖アウグスティヌス」です。


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なかなか、イタリアの作品展示の回廊を抜け出すことができません。

マンテーニャの「聖セバスティアヌス」です。こういう殉教の場面を描かせたら、彼はそのリアルな表現で他の画家の追随を許さないと思います。


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ひときわ巨大な絵があります。ヴェロネーゼの「カナの婚礼」です。縦666cm、横990cmもあり、ルーブル美術館で一番大きな絵です。登場人物は100人を超えるそうですが、数える気になりませんね。大きさ66㎡といえば、ちょっとしたマンションの1戸分の広さですね。


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ところで、イタリア絵画といえば、この人を抜きにはできません。ティツィアーノです。
これは「化粧する女」です。豊満な女性が実に美しく描かれています。いかにもティツィアーノらしい傑作です。


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ようやく、イタリア絵画展示からは抜け出しました。
が、今度はフランス絵画の回廊にはいってしまいます。まあ、名作揃いなので、これらも見ておきましょう。


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ルーブル美術館見て歩き:ルーブルの恋人、そして、必見ラ・トゥール

2011年4月1日金曜日@パリ/5回目

さて、ラ・トゥールを目指す途中でフランス絵画の回廊にはいってしまいました。

アングルの「グランド・オダリスク」です。新古典主義の旗手アングルを代表する1枚です。女性の背中の美しさが何ともね・・・。


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新古典主義といえば、ダヴィッドも忘れてはいけません。
「ナポレオン1世の戴冠式」です。ルーブル美術館でも必見の大作ですね。


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でも、ダヴィッドといえば、saraiのルーブルの恋人と言っていい「レカミエ夫人」が大事な存在。しっかりと再会を楽しみます。いやあ、本当にいつ見てもお美しい麗人です。ルーブル美術館での1枚を聞かれたら、saraiは迷わずこの「レカミエ夫人」を選びます。


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と、近くに、この絵を描いたダヴィッドの「自画像」を発見します。この絵はこんなところにあるんですね。


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このくらいの鑑賞で、フランス絵画の回廊は通過。ふと階下を見下ろすと、そこには「サモトラケのニケ」が見えました。いつもは階段の下から上って行くときにこの彫刻が見え感動しますが、こういう風に見下ろすのもいいですね。ズームアップして撮影してみましょう。


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さて、肝心のラ・トゥールですが、展示されているのは18世紀フランス絵画のコーナーで3階です。この3階に上る階段が容易に見つからず、かなりうろうろしてしますが、ようやく3階への階段を発見。増築を重ねたルーブル宮殿は、本当に迷宮です。


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ようやく見つけた階段を上がり3階に行くと、窓からはルーブル美術館の中庭が見えます。さすがに、そこを歩く人はまばらです。


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3階の18世紀フランス絵画の展示の一番奥のほうに、やっとラ・トゥールのコレクションがあります。
ラ・トゥールの残っている作品は極めて少ないのですが、ここには彼の最大のコレクションがあります。といっても、せいぜい10枚程度です。特に「聖ヨセフと少年」は、ろうそくの火にかざされた少年の炎の透き通った手と、老人のよく書き込まれた顔の表情の素晴らしさが相まって、これは名作中の名作です。このような名作を独り占めできるのが、ルーブル美術館の凄さですね。


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この「灯火の前の聖マドレーヌ」も繰り返し描かれた題材で、この他に3点現存します(いずれもアメリカ)。聖マドレーヌとはマグダラのマリアのことです。このルーブル美術館所蔵品が最後に描かれたものだと言われています。


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これは「聖イレネに介抱される聖セバスティアヌス」です。この題材となっている聖セバスティアヌスは先程のマンテーニャの絵画でも題材となっていましたが、いずれ劣らぬ傑作です。いずれも殉教者の痛みが伝わってきます。


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これは「羊飼いの礼拝」です。真ん中の赤ん坊はキリストです。左がマリアで、右が聖ヨセフで、真ん中の3人は羊飼い達です。この光の演出もラ・トゥールらしく秀逸です。


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これは「ダイヤのエースを持ついかさま師」です。ほかの宗教的な絵画と異なり、風俗画です。カードでいかさまをしている場面がドラマチックに描かれています。感動する絵ではありませんが、実に面白く鑑賞できます。


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これは「聖トマス(槍を持った聖人)」です。ラ・トゥールの「聖トマス」と言えば、東京西洋美術館が最近購入したことで話題になりました。ご覧になったかたもいらっしゃるでしょう。あの絵は初期の絵で、猜疑心のある聖人の姿を見事に表現したものでした。このルーブル美術館の同一題材の絵は趣きを異にして、峻厳な聖人の姿になっています。東京のものよりもずっと後の作品です。


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それにしてもルーブル美術館のラ・トゥールのコレクションは素晴らしいです。しかも、まだまだ順次コレクションを増やしているようです。

あとはやはり2枚のフェルメールは欠かせないということでそちらに向かいます。


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これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
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CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
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、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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