2011年3月31日木曜日@パリ~ロワール地方/11回目
いよいよ、シュノンソー城Château de Chenonceauの中にはいります。
でも、その前に少しシュノンソー城の歴史に触れておかないといけませんね。登場人物が多いので、整理しておきましょう。
シュノンソー城は貴婦人たちの城とも呼ばれており、代々貴婦人たちが所有していました。
貴婦人としての最初の所有者は、フランス国王アンリ2世からシュノンソー城を譲り受けた愛妾ディアーヌ・ド・ポワティエです。ディアーヌは城主ではありましたが所有権は王にあったため、長年の法的策略の結果、1555年にようやく城は彼女の資産となりました。なお、この愛妾ディアーヌ・ド・ポワティエはアンリ2世よりも何と18歳も年上だったそうです。いやはや・・・。
次は、アンリ2世が騎乗槍試合で命を落とした後、王妃カトリーヌ・ド・メディシスがこのシュノンソー城をディアーヌから取り上げます。それでも、シュノンソー城の代わりに別の城を与えたというのですから、一応、体裁は取り繕っていたんですね。まあ、ディアーヌの個人的な資産ですから、一方的に取り上げるわけにはいかなかったんでしょう。王妃カトリーヌは今日最初に行ったブロワ城にも住んでいましたね。今日はカトリーヌに何かと縁があります。
カトリーヌは夫のアンリ2世亡き後、フランス王国の摂政となり、この城からフランスを統治しました。
カトリーヌが1589年に死ぬと、城はカトリーヌの息子の国王アンリ3世の妻でカトリーヌにとっては嫁であるルイーズ・ド・ロレーヌが相続します。
次いで、1624年にはアンリ4世の愛妾ガブリエル・デストレがシュノンソーを居城としました。
その後、正式な所有者ルイーズ・ド・ロレーヌの相続人ヴァンドーム公セザール・ド・ブルボンとその妻ヴァンドーム公爵夫人フランソワーズ・ド・ロレーヌの資産となり、代々引き継がれて100年以上が経過します。
その後、資産家の娘ルイーズ・デュパンの夫、クロードが買い取ります。ルイーズ・デュパンはショパンの愛人ジョルジュ・サンドの祖母です。
現在はチョコレート業者のムニエ一族が城を購入し、現在も所有しています。
以上が城の歴史です。
シュノンソー城はヴェルサイユ宮殿に次いで、フランスで2番目に観光客の多い城だそうです。
貴婦人たちの城と呼ばれるにふさわしい優美な佇まいのお城だから、人気が高いんでしょう。
では、お城の中に入ってみましょう。
まずは護衛兵の間です。暖炉に火がはいっていて、とても暖かいです。この16世紀の暖炉の上にある紋章は、この城を最初に建てたシャルル8世侍従のトマ・ボイエの紋章です。壁には16世紀のフランドル製のタペストリーがかかっています。

この護衛兵の間の隣には礼拝堂があります。天井のアーチとステンドグラスがとても美しいです。

この美しいステンドグラスは1954年に作られた最近のものです。元々あったオリジナルのステンドグラスは、第2次世界大戦時、1944年に爆撃を受けて破壊されたそうです。そういう形で文化財が失われるのは世の常とはいえ、悔しいですね。
この礼拝堂の右側のロッジアには、カッラーラの大理石に刻まれた聖母子像があります。

護衛兵の間に戻って、先に進むとディアーヌ・ド・ポワティエの寝室があります。最初の女主人ですね。おきまりの天蓋付きベッドです。

この部屋の暖炉の前には、コルドバ革で作られたアンリ2世のひじ掛け椅子が置いてあります。暖炉の上にはソヴァージュによるカトリーヌの肖像画がかけられていますが、これは19世紀のものだそうです。

この部屋から隣の緑の書斎に出られます。王妃カトリーヌ・ド・メディシスはこの部屋で国王シャルル9世の摂政としてフランスを統治したそうです。タペストリーは16世紀のブリュッセルのものです。本来は緑色でしたが、青に変色しました。テーマは新大陸発見で、ペルーの銀色の雉、パイナップル、蘭、柘榴など、それまでヨーロッパで知られていなかった動物・植物が題材です。

この緑の書斎の奥には、外の眺めが窓からよく見える図書室があり、その窓からシェール川Le Cherが見えます。

再び、ディアーヌ・ド・ポワティエの寝室に戻り、細い通路を先に進みます。窓からはシェール川を跨いだアーチ形の橋とその上のお城が見えてきます。

橋の上に作られたギャラリーに出ます。ここは最初、ディアーヌ・ド・ポワティエがシェール川の対岸まで橋を建設させましたが、その後お城を引き継いだカトリーヌ・ド・メディシスが自分の好みに合わせて、橋の上にこのギャラリーを建設させました。

全長60m幅6mで壮麗な舞踏会場だったとのこと。床は石灰岩とスレートを敷き詰め、天井は横梁がむきだしです。
何といっても、ここがこのお城の華ですね。これが見たかったんです。これが橋脚の上に乗っかっているというのは面白いでしょう。
ここには窓が18もあり、そこからはもちろんシェール川の美しい流れを見ることができます。

ギャラリーの棚には美しい花が飾られています。そういえば、このシュノンソー城の各所にお花が飾られています。さすが観光名所だけのことはあり、手入れが行き届いています。

ギャラリー中程までいくと、張り出した窓からお城が見えます。これはお城の入口の本館部分で、ギャラリーはそこから橋としてシェール川に突き出しています。

ギャラリーには2階もありますが、残念ながらそこには上がることはできないようです。2階の窓からの眺めはもっとよさそうなのにね。
ギャラリーはこれまでにして、次は地下に下ります。
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テーマ : ヨーロッパ
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