さて、フェルメールの絵に向かって進みます。
途中のフランドル絵画、ドイツ絵画も見ていきましょう。
まずは、ヤン・ファン・エイクの「宰相ロランの聖母」です。実に精緻な表現の絵です。ヤン・ファン・エイクと言えば、彼の兄と2人で描いたゲントの祭壇画の精緻な表現も凄そうです。これから大修復だそうですから、いつか、きっとベルギーのゲントに修復の終わった祭壇画を見に行きたいと念願しています。

次は、ハンス・メムリンクの「聖ヤコブと聖ドミニクスの間の聖母子」です。メムリンク独特の世界ですね。メムリンクもいつかきっとベルギーのブルージュに彼の傑作群を見に出かけたいものです。

ホルバインの「アンナ・フォン・クレーフェの肖像」です。ホルバインの故郷はドイツですが、イギリスの宮廷画家をしていました。この絵のご婦人を見て、みなさんどう思いますか。そんなに美人ではありませんが、それなりの魅力がありますね。それがホルバインの画力なんです。ホルバインは、イギリス国王の結婚相手の見合い肖像画を描くためにドイツに行き、この絵を描きあげました。この絵を見たヘンリー8世はすっかり気に入り、4番目の妻にします。が、実物と会ったヘンリー8世は愕然とし、半年で離婚したそうです。この絵がルーブル美術館にあることを知らなかったので、この絵を見付けたsaraiは嬉しくなります。というのも、今回の旅でウィーン国立歌劇場で見るネトレプコ、ガランチャが出演するオペラ《アンナ・ボレーナ》は、ヘンリー8世と2番目の妻アン・ブーリン(アンナ・ボレーナ)と3番目の妻ジェーン・シーモアの愛と憎しみの物語なんです。アンとジェーンを演ずるのがネトレプコとガランチャです。そして、オペラには出てきませんが、その後の妻アン・オブ・クレーヴズがこの絵の人物です。ヘンリー8世は、結局6人の妃を持ちました。ヘンリー8世はこの離婚劇を宗教的に可能にするために、ローマ・カトリック教会から離脱しイングランド国教会を成立させました。この絵を見ると、そういう歴史的背景が頭の中をよぎります。

次は、saraiの大好きなクラナッハの作品です。
「風景の中のヴィーナス」です。なんとも不自然な体型がいいんです。

次は、デューラーの「自画像」です。有名な「自画像」はミュンヘンにあり、それもこの旅で鑑賞予定です。それというのも、デューラーの街であるニュルンベルグをこの旅の後半で訪れる予定なので、それを記念して?という感じです。

ルーベンスの「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」です。実はルーベンスはあまり好みではありませんが、フランドル絵画でルーベンスは外せませんね。ちなみに、マリー・ド・メディシスはフィレンツェ大公の娘でメディチ家からフランス・ブルボン家に嫁いできた人です。ところで、ロワール古城巡りに再三登場したカトリーヌ・ド・メディシスは、同じメディチ家からブルボン家の前に断絶したヴァロワ家に嫁いできた人で、2人は遠縁の関係です。まあ、2人とも摂政として絶大な権力をふるうという共通点があることと、結婚相手がアンリ4世とアンリ2世と似ているのでややこしいですね。

ようやくフェルメールの絵に到着。が、先着の団体が取り囲んでいて、長々と説明員の話が続き、待たされます。迷惑な話ですが、我慢ですね。ようやく団体が移動してくれて、ゆっくりと鑑賞です。なかなかの名品(地理学者)ですが、配偶者の評価は厳しいものです。よく描けているのにね。saraiとて、「牛乳を注ぐ女」などの代表作と比べる気はありませんが、それでもフェルメールの力作には違いありません。

もう1枚の「裁縫をする女」はとても小さな絵で寂しいですね。

充分絵画鑑賞を楽しんだのですが、クラナッハの特別展示をやっているということで、さらに楽しみは続きます。
クラナッハの「三美神」です。これは今年になって、購入・展示になった作品です。400万ユーロだったそうです。4.5億円くらいですから、よい買い物だったのではないでしょうか。それでも購入資金が不足し、最後の100万ユーロは一般の寄付に頼ったとのこと。1月29日の特別鑑賞会では、高額寄付の約600人が招待され、先程ご紹介したボッティチェリのフレスコ画の前でフルートの演奏などもあったようです。
いずれにせよ、ルーブル美術館はまた素晴らしい絵を手に入れたようです。

おまけのクラナッハまで鑑賞し、本当に充実した美術鑑賞でした。というわけで、もう心身ともに疲れ果て、この後凱旋門に行くつもりでしたが、予定を変更して昼食にすることにします。
再び、ピラミッドまで戻ってきました。
ピラミッドのガラス越しにルーブル美術館の建物が見えます。よい風景ですね。

ルーブルのメトロの駅に向かいます。

予定しているシャンゼリゼのレストランにメトロで向かうためです。
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