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内田光子ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2011.11.7

はっきり言って、昨年のサントリーホールでの内田光子のモーツァルトのピアノ協奏曲の弾き振りは期待外れの結果でした。指揮はよかったんですが、肝心のピアノの響きが思わしくありませんでした。今回はリサイタルということでピアノの音に集中して聴いてみましょう。彼女本来の響きが聴けるか、期待と不安がないまぜです。

今日のプログラムは以下です。シューベルトの後期のソナタ3つ、すべて大作です。

 シューベルト:ピアノ・ソナタ ハ短調 D958
 シューベルト:ピアノ・ソナタ イ長調 D959

  《休憩》

 シューベルト:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 D960

昨年とは、最初の1音から違いました。クリアーというのではありませんが、深い響きです。思いっきり、強弱をつけて、音楽の表情を明確にした演奏です。シューベルトの音楽への愛情と理解がベースとなった演奏とも感じられます。
ハ短調のソナタは彼女のCDでは今一つに思えましたが、今日の演奏は素晴らしい演奏です。

しかし、さらに素晴らしかったのは次の2曲。パーフェクトな演奏です。シューベルトの憧憬に満ちた音楽を余すところなく表現していました。一体、何に対する憧憬でしょう。色々な心の動きが深い響きで演奏されます。
特にどちらの2曲も第2楽章のゆっくりしたメロディーの美しさはうっとりと聴くのみです。このしみじみとした音楽は後期のシューベルトを聴く喜びですが、それを内田光子は最高の演奏で聴衆に与えてくれました。

長大なソナタ3曲、彼女は最後まで丁寧に、そして真摯に演奏しきってくれました。大変な体力と精神的集中力を要するリサイタルですが、完璧な演奏でした。
昨年のsaraiの不完全燃焼を完全に払拭してもらいました。
実に長大なソナタなので、細かく感想を書くことができず、申し訳ありません。素晴らしいシューベルトだったということだけを述べるに留めさせていただきます。


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この記事へのコメント

1, レイネさん 2011/11/09 16:41
この春、同じプログラムで内田さんの演奏を聴きました。(オランダです)
シューベルトへの愛情は並々ならぬ彼女ですから、精神統一してシューベルトの霊が憑依した
巫女さんのようで、聴衆を別世界に案内してくれました。
最後のソナタは、速めのテンポでしたが馬力で押していくのではなく、音の隅々まで光っていて、
凄まじい集中力に圧倒されました。

また最近シューベルト練習してます。ピアノ・ソナタは長大なので即興曲ですが。自分に一番
しっくりくる作曲家のような気がします。

2, saraiさん 2011/11/10 00:12
レイネさん、こんばんは。

シューベルトのピアノ曲いいですよね。即興曲といえば、記事にも書きましたがペライアの演奏素晴しかったです。最近はCDではアラウの最晩年の3つの小品D.946のあまりにも素晴しい演奏に感涙しました。レイネさんの演奏も一度聴いてみたいですね。youtubeにアップしませんか?

内田光子さんはCDのシューベルト集よりも、やはりおっしゃるとおり、ライブの集中力が凄かったですね。あの長大なソナタ3つ弾ききるだけでも大変なのにね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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