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上原彩子ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2012.1.15

今日は実に久々の上原彩子のリサイタルです。昨年はオーケストラとの共演では素晴らしい演奏を聴きましたが、ピアノソロのリサイタルは皆無。調べてみると一昨年の6月に鎌倉で聴いたのが最後です。1年半ぶりになります。サントリーホールでのリサイタルとなると一昨年の1月まで遡ります。特にこの2年前のサントリーホールでのリサイタルは素晴らしいものでした。
というわけで、今日のリサイタルは楽しみです。

今日のリサイタルのプログラムは以下です。前半はベートーヴェンとリストです。この二人は前回のサントリーホールでのリサイタルでも取り上げられました。彼女のライフワークと言ってもいいかもしれません。後半はラフマニノフの難曲です。ラフマニノフと言えば、saraiが彼女の演奏に初めて接したのがピアノ協奏曲第3番でした。その素晴らしい演奏を聴き、一遍に彼女のファンになってしまいました。彼女のラフマニノフの独奏曲を聴くのは多分、初めてです。きっと素晴らしい演奏になる予感がします。

 べートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13 「悲愴」
 リスト:『詩的で宗教的な調べ』から第3曲「孤独のなかの神の祝福」
 リスト:リゴレット・パラフレーズ

  《休憩》

 ラフマニノフ:練習曲集『音の絵』 op.39

  《アンコール》

 リスト:愛の夢 第3番
 スクリャービン:エチュード op.42-5

まずはベートーヴェンの「悲愴」です。序奏でバーンと和音が鳴り、こちらも身震いします。美しい響きですが、妙に重厚さを欠いた軽い響きなのが気になります。そういえば、今日のピアノは久々にYAMAHAです。最近のオーケストラとの共演ではスタインウェイばかりでした。そのせいかなとも思いました。しばらく聴くと、そうではなくて、どうも彼女の演奏に問題がありそうです。気迫は感じられるものの、演奏にいつもの切れのよさがまったくありません。弾き間違いまであります。演奏も凡庸です。がっかりを通り越して、びっくりです。どう聴いても、この演奏は弾き込み不足にしか思えません。超有名曲の「悲愴」を選曲したこと自体、首を傾げましたが、きっと、明確なヴィジョンがあって、驚くような解釈の演奏でも聴かせてもらえるのかと思っていたら、何とこんな演奏とは、上原彩子ファンを任じるsaraiでも失望するしかない演奏です。彼女のベートーヴェンと言えば、2年前聴いた30番のソナタの素晴らしさ。そして、1年半前の3番のソナタ。まったく、saraiを納得させてくれるベートーヴェンだったんです。この日入手したパンフレットでは、今年8月に横浜みなとみらいホールでも「悲愴」を弾くようです。それまでに是非、「悲愴」をきっちり弾き込んでもらって、納得の「悲愴」を聴かせてもらいたいと望むばかりです。

しかし、このまま終わらないのが上原彩子です。この後のリストからはまさに別人とも思える演奏に変わります。
次のリストの「孤独のなかの神の祝福」はこの日の演奏で、一番心に響く演奏でした。テクニックも最高だし、祈りにも思える静謐さをたたえる響きも最高です。第1部、そして、第3部の後半はあまりの素晴らしさにうっとりです。2年前のリストの「ペトラルカのソネット」も素晴らしかったのですが、今日の演奏も甲乙つけがたしの素晴らしさ。この曲の宗教的な側面よりも深く沈潜した心情の表現に共感しました。

続く「リゴレット・パラフレーズ 」も美しい演奏です。曲の性格上、楽しく聴くという感じにはなりましたが、立派なリストです。これも納得の演奏です。これで前半が終了ですが、ベートーヴェンはともかく、これらのリストを聴けただけで満足です。

後半はラフマニノフの『音の絵』です。第1曲から難曲ですが、彼女は難なく弾きこなします。素晴らしい響きです。軽い響きなんて、とんでもないというようにYAMAHAのピアノがガンガン響きます。第2曲は瞑想的な曲ですが、これもしみじみと難曲をさらりと弾きこなします。第5曲も素晴らしい演奏でうならせられます。そして、第6曲は低音部の迫力ある響き、一転して高音部の華やかな響き、これらが交錯して、ダイナミックな音楽を形作ります。実に面白く聴けました。最後の第9曲、素晴らしい響きのまま、この超絶的な技巧を駆使する難曲をしめくくりました。何という演奏でしょう。告白するとラフマニノフの独奏曲はsaraiは苦手なんです。でも、この日の上原彩子の演奏はそれを忘れさせてくれる快演でした。

アンコールは軽く、「愛の夢」。何も言うことはありません。美しい演奏です。スクリャービンのエチュードはこれもラフマニノフ同様、素晴らしい演奏。この曲はホロヴィッツのCDでしか聴いたことがありませんが、まったく遜色のない演奏と評価します。

次は前述した8月の横浜みなとみらいホールを是非聴こうと思っています。プログラムは今日の前半と同じものと後半は「展覧会の絵」です。不安と期待のリサイタルになりそうです。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       上原彩子,  

アマルフィでリゾートライフ:アマルフィの美味しい魚介料理とワイン

2011年10月13日木曜日@カプリ島~アマルフィ/12回目

アマルフィの路地裏探索も終了です。さぁ、迷路のような路地から抜け出しましょう。といってもそう難しいことではなく、下へ下へと向かえば、メインストリートに戻れる筈です。狭い路地の階段を下ります。


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どんどん下って小さな広場に出ました。ここにもレストランのオープンテラスがあります。


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無事にメインストリートが見えてきました。階段もあと少し下るだけです。


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メインストリートに戻り、夕食のレストランへ向かいます。レストランはメインストリート沿いにあります。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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6時半開店のレストランの1番客になりました。レストランはトラットリア "IL TARI"です。ホテルの女性エステルのリコメンドしたレストランで、魚介料理が美味しいそうです。彼女によるとこの日(木曜日)は別に予約は不要とのことで、予約なしです。実際、問題なくテーブルに案内されます。


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まずはワインをお願いします。ソレント産の白ワイン、ラクリマ・クリスティLacryma Christi(「キリストの涙」と直訳されるワインですね。)、とても美味しい!!


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前菜にパルマの生ハム(もちろん、クラテッロではありません。ただのプロシュート)と水牛のモッツァレラチーズ(ブッファーラ)です。ナポリのピザ屋さんで食べたブッファーラが忘れられずに注文しましたが、やはり美味い!


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これは突き出しのブルスケッタです。


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次はメインのシーフードです。
魚介たっぷりのスープ。


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これも魚のスープ。


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今日の昼はお茶だけなので、夕食はこれくらい食べてもいいでしょう。すっかり満足です。
この日は地元の団体のパーティーのようで、隣の大テーブルは大盛り上がり。ですから、木曜日とは言えレストランは混み合っていて、予約なしはあぶないところだったかもしれません。


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宵闇のアマルフィの街をホテルに戻ります。ドゥオーモはライトアップされて夜空に浮かび上がっています。綺麗ですね。


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道の先にホテルの古い建物が見えてきます。トンネルの手前の左手が階上にあるホテルの入口です。


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ホテルに向かって歩いていると、横の建物から明るい光が漏れてきます。覗き込むと、アーチ形の天井の大きな部屋に帆船がずらっと展示されています。海の博物館でしょうか。さすがに海の交易や海軍で栄えたアマルフィですね。


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ホテルに戻り、レセプションにいたエステルにボナセーラ。彼女はsaraiのお気に入りなんです。

部屋に戻ると配偶者はすぐにぐっすりです。saraiはこの日の記事を書くのに余念なしです。
それにしても悪夢のようなナポリとはうって変って、天国にいるようなカプリ・アマルフィの1日でした。記事をまとめるのも上機嫌です。

そうそう、このホテルも無線LANは無料ですが、残念なことに部屋では接続できません。レセプション前のロビーか、朝食レストランでしか接続できないそうです。部屋で記事を書いて、ロビーでネット接続しました。部屋からは近いので、そう問題はありませんけどね。

明日は午前中アマルフィで過ごし、お昼に高速船でサレルノまで出て、そこからイタリア国鉄のIC(インターシティ)で延々とシチリア島のメッシーナまで大移動です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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