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ウィーン・ベルリンの旅:出発まで、もう4日しかない!

昨年の10月の旅日記の詳細編を5か月かけて、ようやく、昨日完了しましたが、もう、次の4月の旅の出発まで4日しかありません。旅日記詳細編のブログを書くことにかまけていて、まだ、準備もままなりません。これから超特急で準備にとりかかりましょう。

とはいえ、航空券・鉄道チケット、ホテル予約、オペラ・コンサートのチケットはすべて手配済みなので、準備作業といっても旅の情報の収集が中心になります。

今日は今回の旅の概要と目的について、まとめておきましょう。

第一の目的はウィーンで音楽を楽しむことです。特にガランチャがオクタヴィアンを歌う《薔薇の騎士》が一番の楽しみ。ティーレマンの指揮するオペラとコンサートがそれに続きます。

第二の目的はベルリンまで足を延ばし、フィルハーモニーでベルリン・フィルの演奏を聴くことです。ピアニストのぺライアも共演するとなると、いやがうえでも楽趣が高まります。

ということで、今回の旅はウィーンをまたまた訪問し、そこから、ベルリンに赴き、ベルリン周辺を小旅行するというのが概要になります。2週間半くらいの日程になります。昨年10月の旅は3週間半くらいでしたから、約1週間短い旅になります。短くしたのは諸般の事情からですが、経済的な問題が大きいんです。

さて、今日は今回の旅でのオペラ・コンサートのスケジュールをご紹介しましょう。

4月7日(土)ウィーン楽友協会 ウィーンの春コンサート ドゥ・ビリー+ウィーン交響楽団
 これは当初、プレートルが指揮することになっており、楽しみにしていましたが、つい最近残念ながらキャンセルになりました。
 指揮者はドゥ・ビリーに交代しました。コンサートは名曲コンサートで、軽騎兵序曲や時の踊りなどです。

4月8日(日)ウィーン国立歌劇場 オペラ:ワーグナー《パルジファル》 ティーレマン、デノケ、シュトルックマン、ヨーン、オニール
 ワーグナーの《パルジファル》はバイロイト祝祭劇場での上演を前提に作られた唯一のオペラでワーグナーの最後のオペラです。
 バイロイトではもちろん、夏の上演となりますが、舞台設定が聖金曜日であるため、その日の前後での上演が多いそうです。
 この日、4月8日は聖金曜日の直後の日曜日、すなわち、復活祭初日になります。
 ティーレマンの重厚な指揮とクンドリー役のデノケの澄み切ったソプラノに期待大です。

4月9日(月)ウィーン国立歌劇場 バレエ《アンナ・カレーニナ》パパヴァ、クーラエフ、フォラボスコ
 エイフマン振付のバレエです。最近、日本でも国立劇場で上演されたので、ご覧になったかたも多いのではないでしょうか。
 saraiは残念ながら見逃したのですが、とても動きがはげしく、ダンサーに高い技術力が求められる内容です。
 ウィーンのバレエの実力を見せてもらいましょう。

4月13日(金)ベルリン・フィルハーモニー ベルリン・フィル・コンサート ラトル、ペライア、ケイト・ロワイヤル(ソプラノ)
 ザルツブルグ・イースター音楽祭での上演内容をそのまま、ベルリンに持って帰ってのコンサートです。
 曲目は以下です。
  ベリオ:E vo
  シューマン:夜の歌
  シューマン:ピアノ協奏曲イ短調
  ベリオ:O King
  フォーレ:レクィエム(1900年バージョン:要するに通常のオーケストラ版)
 もちろん、一番楽しみにしているのは、ペライアのピアノによるシューマンの協奏曲です。美しいピアノの響きが聴けるでしょう。

4月17日(火)ウィーン国立歌劇場 オペラ:マスネ《ヴェルテル》サッカ、カサロヴァ
 シャルロット役はもちろん、ガランチャで聴きたいものですが、翌日の《ばらの騎士》でガランチャを聴くので、それは無理な注文。
 カサロヴァの熱演に期待しましょう。

4月18日(水)ウィーン国立歌劇場 オペラ:R・シュトラウス《ばらの騎士》ジェフリー・テイト、シュテンメ、リドル、ガランチャ、ミア・ペション
 もちろん、ガランチャのオクタヴィアンが楽しみですが、それ以外の配役も隙なしです。
 《ばらの騎士》はここ2年、チューリッヒ歌劇場、ミラノ・スカラ座と聴いてきて、遂にウィーン国立歌劇場で聴きます。
 ウィーン国立歌劇場で聴くのは1990年以来、22年ぶりになります。
 1990年はギネス・ジョーンズ,クルト・リドル,アン・マレイという顔ぶれでした。
 そうなんです。22年前もオックス男爵はクルト・リドルだったんです。息の長い歌手ですね。

4月19日(木)ウィーン楽友協会 ウィーン交響楽団 ヨルダン、ツァハリス
 ヨルダンの指揮、ツァハリスのピアノに期待しましょう。
 曲目は以下です。
  ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
  ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》

4月20日(金)ウィーン楽友協会 ウィーン・フィル ティーレマン、キュッヒル
 ティーレマンのシューマンをたっぷり聴かせてまらいます。
 CDではフィルハーモニア管弦楽団を指揮していましたが、ウィーン・フィルではもっとハイレベルな演奏になるでしょう。
 曲目は以下です。
  シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ
  シューマン:交響曲第1番《春》
  シューマン:ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー
  シューマン:交響曲第4番

4月21日(土)ウィーン楽友協会 ウィーン・フィル ティーレマン、キュッヒル
  馬鹿は承知で、同一プログラムを連日聴きます。それだけ、期待度が高いわけです。
 曲目は以下です。
  シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ
  シューマン:交響曲第1番《春》
  シューマン:ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー
  シューマン:交響曲第4番

4月21日(土)ウィーン・フォルクスオーパー オペレッタ:カールマン《チャルダッシュの女王》ビーブル、ネメット
  フェリ・バチを歌うネメットの70歳記念の公演で、ネメットのフェリ・バチはもう2度と聴けないかもしれないそうです。
  音楽のお友達のsteppkeさんから強いお誘いを受けて、急遽、チケット購入。同行させていただきます。
  オペレッタ好きは大集合です。

以上、合計で10回の公演を楽しむ予定です。ガランチャのキャンセルだけが心配事です。


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ウィーン・ベルリンの旅:出発まで、あと2日!

昨日は久しぶりにブログを休載しました。旅の準備でもう精神的な余裕がありません。

とりあえずは、移動手段とホテルの再確認をしているところです。
まずはウィーン往復の航空券ですが、オーストリア航空のサイトで予約確認できました。以前、書きましたが、イギリスのebookers.comで円高も活かして、格安で購入したチケットです。webチェックインは出発時間の1日前からだそうです。あさって、家を出る前に忘れずにチェックインしておきましょう。

ウィーン到着後はSバーンとトラムを乗り継いで、節約してホテルに向かいます。予約したホテルは前回同様、定宿化しているホテルです。

 Austria Trend Hotel FAVORITA

ウィーンに4泊後、ベルリンに飛びます。ベルリンへはLCCの格安航空を使うことで検討しました。ベルリンのLCCと言えば、エア・ベルリンですね。ところが、もっと安い航空会社がありました。何とルフトハンザ航空です。これもイギリスのebookers.comでEチケットを購入。往復で一人80ユーロと大変安価でした。ただ、格安運賃の飛行機はすべて出発時間が早朝です。我々の乗るのも7時20分です。6時ころまでには空港に行きたいので、5時過ぎにはホテルを出ないとダメでしょう。一応、公共交通機関では5時15分のトラムに乗って、Sバーンに乗り換えれば、5時50分にシュヴェヒャート空港に着く予定です。タクシーで確実に空港に向かうか、今後検討です。
ベルリンへのテーゲル空港には、朝8時40分には到着。とりあえず、ホテルに向かい、荷物を預かってもらいます。ホテルはクーダムにある5つ星ホテルを贅沢しました。もっとも、航空券を購入したebookers.comでは10%割引でホテル予約ができました。

 Steigenberger Berlin

空港からホテルはX9番のバスでツォー駅まで移動し、そこから、ホテルは500m歩きます。タクシーでも20ユーロ程度ですが、できれは、節約したいと思います。
ベルリンでも、公共交通機関のバス、トラム、地下鉄などは共通チケットです。いっそのこと、7日間乗り放題チケットを購入しようかと思っています。ベルリンはゾーンがA,B,Cに分かれていますが、Cは市外です。ポツダムでも行くときはCゾーンですが、普通はA,Bゾーンで大丈夫です。A,Bゾーンの7日間チケットが一人27.2ユーロとお得です。

ベルリンに1泊した後はアイゼナハ、ヴァイマール、ヴィッテンベルクに1泊で小旅行に出かけます。この日程以降の検討はこれからです。

とりあえず、以上が昨日サボったブログの記事ということにさせてもらいますね。


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この記事へのコメント

1, 涼風の庭さん 2012/04/03 17:19
気を付けて、良い旅を!!

2, sarahoctavianさん 2012/04/03 17:31
今回はミュンヘン素通りでお目にかかれず残念でした。目下、典型的4月の天気とばかりに少し寒が戻っております。来週には暖かくなるといいです。お体に気をつけて楽しく充実した旅になりますよう!

3, saraiさん 2012/04/03 18:19
涼風の庭さん、こんいちは。

ありがとうございます。楽しい旅にします。また、現地から旅のレポートを書きますので、ご愛読くださいね。

4, saraiさん 2012/04/03 18:26
sarahoctavianさん、こんにちは。

今回は飛行機の上からのご挨拶となりました。ゴメンナサイ。
そちらは暖かいとばかり思っていましたが、寒くなったんですね。暖かい恰好で出かけましょう。
いつの日か、お目にかかれればと思います。ミュンヘンの来シーズンのオペラもチェックします。もう、発表になったかな?

5, sarahoctavianさん 2012/04/03 18:37
はい、空を見上げて手を降りますね(笑)。来シーズンのプログラムも発表になっていますよ♪早速冊子を調達しました。(劇場サイトからPDFでダウンロードもできるようになったようで・・・この辺も今の総監督らしい采配?)バロックファンとしては依然として不満だらけな内容だけど、特に来年生誕200年のヴェルディは豪華な顔ぶれです。

6, saraiさん 2012/04/05 08:33
sarahoctavianさん、ありがとうございます。

上空通過は朝8時頃になります。機長さんに翼を振ってもらいますね(笑)。
ヨーロッパは素晴らしいバロックオペラが聴けるから、いいですね。ミュンヘンはダメですか。ヴェルディはいいですね。検討してみましょう。

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ウィーン・ベルリンの旅:出発まで、あと2日! その2

旅の準備中で大わらわです。
前回、ベルリンまでの日程は書きました。
ベルリンで1泊した後はホテルに荷物を預けて、鉄道を使って1泊の小旅行に出かけます。

ベルリン中央駅8時39分発のICEに乗り、途中、ナウムブルクでICに乗り換えて、12時前にアイゼナハに着きます。
アイゼナハと言えば、音楽ファンならば、すぐにバッハの生まれた街ということに思い当りますね。ここはバッハの聖地です。
バッハの家を見学し、その後はヴァルトブルク城に向かいます。
ヴァルトブルク城と言えば、リヒャルト・ワーグナーの楽劇《タンホイザー》の舞台です。有名な歌合戦の間があります。
また、マルティン・ルターがこの城にかくまわれ、その間、新約聖書のドイツ語訳をしたところでもあります。

夕方の列車でヴァイマールに向かい、そこで1泊します。ホテルはゲーテの家の近くのホテルです。

 Amalienhof Hotel und Apartment

ヴァイマールにはHotel Elephantという歴史のあるホテルもありますが、少し料金が高く、なおかつwifiが有料なので、あきらめました。
この日はチューリンゲンの郷土料理を楽しむ予定です。チューリンゲンと言えば、チューリンゲン・ソーセージですね。

翌日はヴァイマールの街を散策。一番の楽しみは画家クラナッハです。ここはクラナッハが長く暮らし、亡くなった街です。クラナッハの家や彼の作品を尋ねて、城美術館やヘルダー教会を巡ります。
また、この街ではゲーテも忘れてはいけません。ゲーテが50年暮らし、「もっと光を」の言葉を残して亡くなったゲーテの家があります。そのゲーテに招かれて来たシラーもこの街で亡くなりました。シラーの家もあります。
また、音楽家リストもこの街で亡くなるまで暮らしていました(亡くなったのはバイロイトですが)。で、そのリストの家も必見です。
ということで、盛りだくさんな内容を見て回り、午後の列車に乗ります。ベルリンに戻るのですが、その前に、ヴィッテンベルクで途中下車。

ヴィッテンベルクはクラナッハが活躍した、もうひとつの街です。今でもクラナッハ薬局があるそうです。クラナッハはこの街の市長をしていました。また、この街はルターの街としても知られています。有名な「95カ条の論題」が張り出された教会の扉があります。ルターが宗教改革後に住んでいたルターの家もあります。
これらを急ぎ足で周り、ベルリン行きのICEに乗ります。
ベルリンでは、また、元のホテルに4泊します。

 Steigenberger Berlin

東西ドイツ統合後のベルリン絵画館、カフェ巡り、ポツダムのサンスーシ宮殿などを巡る予定です。まあ、メインはフィルハーモニーでのベルリン・フィルとペライアのコンサートですけどね。
20年ぶりに訪れるベルリンの街の変貌の様子を見たいと思います。

ベルリンからはまた、ルフトハンザ航空の便でウィーンに戻ります。
ウィーンでは、また、元のホテルにとりあえず、2泊します。

 Austria Trend Hotel FAVORITA

このホテルはこの後は満室で予約が取れなかったので、次は5つ星のホテルに移動し、4泊します。

 Radisson Blu Palais Hotel

この間、毎日、音楽三昧です。
空いた日には、グリンツィングのマーラーのお墓参りを考えています。また、トゥルンのシーレセンターも訪ねたいと思っています。

ウィーンでは余裕の日々を過ごし、後ろ髪を引かれながら、オーストリア航空の直行便で帰国の予定です。


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ウィーン・ベルリンの旅:出発は明日!

旅の準備の追い込みです。
荷物はほとんど、配偶者の努力で整いました。

saraiはネットで旅の詳細の詰めです。
今日はベルリンでの過ごし方を固めました。
1日はポツダムのサンスーシ宮殿、ツェツィーリエンホーフ宮殿に出かけます。
ツォー駅からSバーン(S7)でポツダム中央駅まで行きます。ポツダムはベルリン市外でCゾーンになります。
面倒なので、A/B/C共通7日間券33.5ユーロを購入してしまいましょう。ポツダムの街でのバス、トラムも乗り放題になります。

ヴァイマールから戻った後はベルリンで一番美しいという宮殿のシャルロッテンブルク宮殿で半日を過ごし、夜はフィルハーモニーでベルリン・フィルです。ベルリンは一方通行が多いのか、バス路線が行きと帰りで別になっていて、シャルロッテンブルク宮殿へのバス路線も複雑です。1回以上の乗り換えが必要で、M45,309などの路線バスで訪問することになりますが、果たして、間違えずに行けるかどうか、不安です。

一方、フィルハーモニーは200番のバス1本で簡単に行けそうです。

翌日からは美術館、博物館を見て回ります。ミュージアム3日券(19ユーロ)を購入すれば、ほとんどの美術館・博物館は入館できるようです。
まずは東西ベルリンの絵画が統合された絵画館です。絵画館はフィルハーモニーのすぐ近くなので、200番のバスでアクセスが楽です。

翌日はウンター・デン・リンデンのあたりで、国会議事堂(昔見ましたが、最近はガラス屋根がつきましたね)、ブランデンブルグ門のあたりを歩きます。ここへのアクセスも100番のバス1本で行けるので楽ちんです。

最終日はやはり、ウンター・デン・リンデンにある博物館島に行きます。ペルガモン博物館は以前見ましたが、20年ぶりに見てみましょう。あとは新博物館、そして、ボーデ博物館を見ます。特にボーデ博物館にはクラナッハの作品があるので、楽しみです。

そして、夜のルフトハンザ便でウィーンに舞い戻ります。

ベルリンでの移動方法は駅すぱあとのようなルート検索のサイトがあり、便利です。

 http://www.fahrinfo-berlin.de/Fahrinfo/bin/query.bin/en

ウィーンにも同様なルート検索のサイトがありますね。

 http://www.wienerlinien.at/eportal/ep/home.do?tabId=0

明日は出発といっても、自宅から成田まで行き、前泊するだけです。ですから、多分、明日もぎりぎりまで準備作業が続くでしょう。
ウィーンに向けて出発するのは明後日です。


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この記事へのコメント

1, Steppkeさん 2012/04/05 02:34
sarai さん、奥様
お気を付けて。
では、17日、Staatsoper で..

2, saraiさん 2012/04/05 08:36
Steppkeさん、ありがとうございます。
Staatsoper の《ヴェルテル》で逢いましょう。

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ウィーン・ベルリンの旅:只今、成田で前泊中

いよいよ、旅に出ました。といっても、まだ、明日のフライトに備えて、成田のホテルに宿泊中です。

今日も自宅を出発するまで、ぎりぎりの時間を使って、準備を続けました。
ウィーンでは音楽以外の予定は一切なし。
そこで、以前から、一度行ってみようと思っていたシーレの生誕の地、トゥルンへの訪問についての計画を練ってみました。昨年はシーレの母親の出身地で、シーレの作品の舞台にもなったクルマウ(チェスキー・クルムロフ)にも行きました。今度はシーレの誕生した地へ訪問しようというわけです。
シーレの父親はトゥルン駅の駅長で、駅のなかに家がありました。シーレ自身もそこで生まれました。今も彼が生まれた部屋が駅の2階にあるそうです。残念ながら、現在はその部屋は公開されていないようです。
その代わり近くにエゴン・シーレ・ムゼウムが出来たそうです。そこに行ってみましょう。シーレの作品も展示されています。ただ、最寄りの駅トゥルン・シュタットへのルートを検索しても列車が停車するのは夜と早朝のみ。どうしても昼の時間帯のルートが見つけられません。それもその筈、よくよく調べると、トゥルンとザンクト・ペルテンの間の鉄道は現在工事中で、お昼の時間帯は列車は走っていないそうです。代わりに代替バスが走っているということがオーストリア国鉄のサイトで説明されていました。
要するに鉄道(Sバーン)でトゥルンまで行き、そこから代替バスでトゥルン・シュタット(実際に停車するのはフランツ・ヨーゼフ・シュトラーセ)まで行きます。
これだけ調べるのに手間取り、だんだん時間がなくなります。

もうひとつ、念願のマーラーのお墓参りも実現しましょう。マーラーのお墓がグリンツィングにあることは知っていましたが、場所がわかりません。調べたところ、トラムで終点のグリンツィングの一つ手前の停留所で下りて、行くようです。国際マーラー協会(そういうものがあるんですね!)のサイトに詳しいお墓の場所が掲載されていました。妻だったアルマ・グロピウスと彼女の娘のマノン・グロピウスのお墓もすぐ近くにあるそうです。マノン・グロピウスのお墓でベルクのヴァイオリン協奏曲を聴くことにすればよかったと今になって思っています。マノンの若過ぎる死に捧げられた曲です。IPODに入れておけばよかったんですが・・・。
あっ、・・・何だか、マーラーのお墓参りではなく、アルマの娘マノンのお墓参りになってしまいそうです。

ここでもう自宅出発の時間です。いざ、出ようとするときに、まだ、ウィーンへのフライトのWEBチェックインをしていないことを思い出しました。少し出発時間を遅らせて、急いでチェックインをすませて、なんとか出発。今は成田のホテルでゆっくりしています。

さあ、明日はウィーンです。わくわくです。


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出発です。行ってきまーす。

成田空港の36番ゲートで搭乗待ち中です。
空港に無料WIFIスポットがあるのを発見したので、早速ネットに接続。これはなかなか便利ですね。Eメールのチェックもできました。
朝は曇っていましたが、今は晴れ間から陽がさしています。
眼の前には、オーストリア航空機が駐機しているのが見えます。
20分後には搭乗です。
では、行ってきます。


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この記事へのコメント

1, Ikumi Satoさん 2012/04/06 13:18
sarai様、奥様
無事到着されましたかぁ?
ウィーン&ベルリン楽しんでくださいね(^^)/

いまだ雪が降り続く北海道より☆

2, saraiさん 2012/04/07 02:50
Ikumiさん、saraiです。

お蔭様で順調です。マルタからの悪夢のような移動でウィーンに着いたのが前回のウィーンでしたが、今回はすいすいでした。今、定宿のホテルに落ち着いています。
こちらも曇り空で少し寒いですが、まあまあっていうところです。
いまだ雪とは北海道、恐るべし!

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ウィーン訪問も2桁になりました。

今日はオーストリア航空の成田ーウィーン直行便でウィーンに向かいます。
搭乗するB777です。


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オーストリア航空便は順調な飛行で、定刻の16時にウィーン・シュベヒャート空港に着き、Sバーンとトラムを乗り継いでホテルにチェックインしました。
ウィーンの街中では、もう美しい花が満開です。


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今はホテルの部屋でまったりしています。配偶者はぐっすり寝込んでいます。
ウィーンも10回目になると、目新しさよりも、故郷に帰ってきたような安息感があります。

明日は天気が良ければ、マーラーのお墓参りに出かけます。夕方、お友達のHさんと半年ぶりの形而上的なお話をして、夜はウィーン楽友協会でさっそくコンサートです。いよいよ、また音楽三昧の生活が復活です。楽しいな・・・


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ドゥ・ビリー+ウィーン交響楽団《ウィーンの春》@ウィーン楽友協会 2012.4.7

旅の最初のコンサートは軽く名曲ガラコンサートです。いつもはこの手のコンサートには行かないのですが、今回は指揮が大御所プレートルというわけで特別な思いでチケットを入手しました。しかし、無念にも直前で指揮者が交代。ドゥ・ビリーになりました。
そういうわけでますます気軽に聴けるコンサートになりました。
1時間ほど前に楽友協会に着き、予約していたチケットを受け取ります。今日はもちろんsaraiは楽友協会のネクタイ着用です。係のかたが目ざとく見つけて、「ベリー・ナイス!」と声を掛けてくれました。だんだん、楽友協会にも馴染んできました。しばらくすると開場です。今日はORF(オーストリア放送協会)のテレビ中継があるようで、両サイドのパルテッレ・ロジェの前方はテレビカメラがずらっと並んでいます。日本のコンサート会場でこんなに派手にテレビカメラが並んでいるのは見たことがありません。これがウィーン流なんですね。

sarai達の席はステージから少し遠くて、パルテッレの16列目。それは端っこです。でも、楽友協会のグローサーザールはそんなに大きなホールではないので、まあまあの位置です。楽団員の顔もしっかりと見えます。

今日のキャスト、プログラムは以下です。

 指揮:ベルトラン・ドゥ・ビリー
 ヴァイオリン:アントン・ソコロフ(ウィーン交響楽団のコンサートマスター)
 司会:バーバラ・レット(ORFのアナウンサー)
 管弦楽:ウィーン交響楽団

 スッペ:オペレッタ《軽騎兵》序曲
 ポンキエッリ:オペラ《ラ・ジョコンダ》より《時の踊り》
 ガーシュイン:《パリのアメリカ人》

  《休憩》

 トマ:オペラ《ミニヨン》序曲
 サン・サーンス:オペラ《サムソンとダリラ》よりバッカナール
 サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
 ビゼー:《アルルの女》第1組曲より第1曲《プレリュード》
 ビゼー:《アルルの女》第2組曲より第4曲《ファランドール》

《アンコール》
  オッフェンバック:オペレッタ《天国と地獄》序曲
  ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ・シュネル《雷鳴と電光》

開演前に購入したプログラムに付属していた来シーズンの予定を見ていたら、目が点に・・・。何と来年5月にウィーン交響楽団と我が庄司紗矢香が共演するではないですか。ウィーンのコンツェルトハウスです。指揮者は大野和士です。ブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏するとのこと。どうもウィーン交響楽団の日本ツアーの一環のようです。

さて、ドゥ・ビリーが颯爽と登場し、演奏開始です。まずはスッペの軽騎兵序曲、実に有名な曲ですが、生で聴くのは多分初めてです。ウィーン交響楽団の素晴らしい響きで聴くのはもったいないくらい。ビリーはオペラ指揮者として研鑽を積んできた実力を遺憾なく発揮して軽快な指揮ぶりです。特に中間部の抒情的な部分でのメロディーの歌わせ方は実に美しいです。
次はポンキエッリの時の踊りです。序奏に続く主題はかって《レモンのキッス》でしたっけ、歌謡曲にも取り入れられた有名なメロディーです。この演奏も先ほどの軽騎兵と同様で非の打ちどころのない美しい演奏です。弦の厚みのある響きが印象的で、やはり、抒情的なメロディーの歌わせ方が見事なのはビリーの老獪さでしょう。
前半最後はガーシュインです。ガーシュインのシンフォニックジャズを聴いていると、この流れがバーンスタインのウェストサイドストーリーに繋がってくるのがよく分かります。この曲は音の響きは素晴らしいのですが、ちょっと音楽のノリがもうひとつに感じます。やはり、アメリカ人の演奏家にやらせたほうがうまそうな感じです。
曲の切れ目ごとに司会のバーバラ・レットのアナウンスがはいります。ドイツ語なのでよく分かりません。分からなくても支障ありません。基本的には、演奏曲の説明をしているようです。指揮者のビリーへのインタビューもはいり、ビリーの生声が聴けたのが面白かったくらいです。

休憩後、まず、トマのミニヨン序曲です。この曲は初めて聴きますが、平明で分かりやすい曲で名曲コンサートにうってつけの曲です。ウィーン交響楽団の実力で美しい響きを聴かせてくれます。
次はサン・サーンスのオペラ《サムソンとダリラ》からバッカナールです。管楽器で中東風のメロディーを歌わせ、テンポのよい曲想が流れます。オペラの場面を彷彿とさせます。ビリーは的確な指揮ぶりです。
次は何とツィゴイネルワイゼン、あまり、コンサートでは聴きませんね。独奏ヴァイオリンはウィーン交響楽団の第1コンサートマスターのアントン・ソコロフです。音程もしっかりし、音色も美しいのですが、上品過ぎるといった感じです。もっと、ばりばりと名人芸を披露してもらいたい感じです。気持ち良く聴けたことは間違いないのですが・・・。
最後はビゼーのアルルの女です。やはり、こういうフランスものはビリーの得意とするところで、色彩感豊かな演奏で、煌めいた響きです。ファランドールのフィナーレは圧倒的でした。

期待通り、アンコールは2曲もありました。オッフェンバックの《天国と地獄》は運動会の定番でカステラのCM曲、さらにはフレンチカンカンでもありますね。楽友協会のホールに賑やかな響きが轟き渡りました。結構!結構!
そして、最後はやはり、ウィンナーワルツ。それも定番の《雷鳴と電光》です。ビリーの2年前のウィーン放送交響楽団との来日コンサートでもアンコール曲でした。満足!満足!です。

まあ、通俗名曲のコンサートで感動するようなものではありませんが、楽友協会でウィーン交響楽団の名手たちの贅沢な響きを聴かせてもらい、音楽旅の序章としてはとてもよかったと思います。



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マーラーのお墓参り

旅の2日目です。ウィーンははっきりしないお天気です。とりあえず、雨は降っていないので、グリンツィングのマーラーのお墓参りに行きます。地下鉄、トラムを乗り継ぎ、マーラーのお墓に到着。IPODでマーラーの9番のアダージョを聴きながら、うっとりと感動するsaraiです。


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夕方、Hさんに半年ぶりにお会いして、サプライズのプレゼントをいただきました。ハッピー・イースターです。ダンケ・シェーン!


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夜はこの旅1回目のコンサート。ウィーン楽友協会でのウィーン交響楽団の《ウィーンの春》という名曲ガラコンサートです。このコンサートについてはすぐに別記事で感想をアップします。

ホテルに戻って、旅の疲れですぐ眠くなりました。お休みなさい・・・

明日はウィーン国立歌劇場でワーグナーの《パルジファル》をティーレマン指揮、デノケのクンドリーで楽しみます。長大な楽劇に備えて、体力を蓄えないといけません。

今日の歩数:13701歩


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ティーレマンの《パルジファル》、デノケも最高@ウィーン国立歌劇場 2012.4.8

かなり期待して臨んだ復活祭の日曜日に上演するワーグナー舞台神聖祝典劇《パルジファル》でしたが、恐ろしく思えるほどに磨き上げられた演奏にただただ感動するのみでした。それにしても、主役は指揮者のティーレマンに間違いありません。オペラで指揮者が主役だったのはこれまでsaraiにはカルロス・クライバーの《薔薇の騎士》しかありませんでした。ティーレマンは当地では絶大な人気を誇りますが、その実力たるや、底知れない感じで、指揮する姿だけ見ていても、クライバーとは別の意味で魅了されるものがあります。
今夜のティーレマンは神が乗り移ったような指揮で、あくまでもsaraiの素人としての感想では、世に名高い1962年のバイロイトでのクナッパーツブッシュの演奏にも匹敵するものでした(クナッパーツブッシュファンの皆さん、恐れ多いことを言ってごめんなさい)。まさに今夜はティーレマンの《パルジファル》でした。
第3幕は舞台からつい目が離れ、ティーレマンの指揮する姿に釘づけといった感でした。
もちろん、ウィーン国立歌劇場のオーケストラ(実質、ウィーン・フィルです。当夜もコンサートマスターはライナー・キュッヒル、その横はダナイロヴァと豪華な顔ぶれ)という名器あればこそ、ティーレマンも縦横にその力を発揮できたわけです。歌手陣も充実していましたが、何といってもクンドリー役のアンゲラ・デノケの澄みきった声の素晴らしさはうっとりと聴き惚れるしかないものでした。演技も聖俗すべてをあわせ持つ難しい役どころを見事にこなし、体当たり的とも思えるヌードまで披露してくれる大サービス。saraiも男性の一人として、脱帽するのみです。もちろん、彼女はソプラノなので、声域的に低音が苦しい部分もありましたが、逆に高音域の清らかな声は次第に聖化していく女性像を美しく表現していました。特に第2幕の長いモノローグ、パルジファルとの絡みなどはこれまでのクンドリー役としては最高の出来栄えに思えました。ワルトラウト・マイヤーが現在、最高のクンドリー役として評価されていますが、清らかさへの昇華という観点からデノケに軍配を上げたい気持ちです。

今日のキャストは以下です。

 指揮:クリスティアン・ティーレマン
 演出:クリスティーネ:ミーリッツ
 管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 アンフォルタス:ファルク・シュトルックマン
 ティトゥレル:アンデレアス・ヘール
 グルネマンツ:クァンチュル・ヨーン
 パルジファル:サイモン・オニール
 クリングゾル:ヴォルフガング・バンクル
 クンドリー:アンゲラ・デノケ

saraiと配偶者の陣取った席は平土間の前から4列目の中央右寄りという好位置。間近にティーレマンの姿も見えます。
まず、第1幕への前奏曲が始まります。何と厳かで宗教的とも思える演奏でしょう。オーケストラの柔らかく美しい響きで空間が満たされます。こちらも厳粛な面持で緊張感いっぱいです。やがて、祈りのような音楽の果てに幕を透かせてステージが見えてきます。そして、幕が上がります。グルネマンツ役のヨーンが歌い始めますが、なかなかの美声で意外な驚きです。表現力もあり、素晴らしいバリトンです。グルネマンツは言わば、狂言回しのような役どころでとても重要な押さえどころですが、十分、満足して聴けました。うっとりと聴き入ることもしばしばでした。すぐにクンドリー役のデノケも登場。頭の頭巾も含め足首まで黒づくめの衣装です。第1幕では、美声を少し聴かせてもらう程度で、お楽しみは第2幕です。次いで、アンフォルタス役のシュトルックマンの登場。彼の実力からすれば、このあたりではまだまだ抑えた歌唱ですが、ベテランらしく、そつなくこなしていました。そして、タイトルロールのパルジファル役のオニールです。多分、初めて聴くテノールですが、パルジファルにしては明るい声でイメージが違います。ただ、このあたりではパルジファルは悟りにいたっていないので、少し、能天気っぽいのもよいのでしょう。事実、第2幕後半の聖人に昇華するあたりでは、実に熱っぽい歌唱に変化していました。最強のパルジファルではありませんが、十分満足できるパルジファルであると言えます。第1幕終盤の聖杯の場面はさすがにウィーン国立歌劇場の合唱が響き渡り、素晴らしいものでした。ただ、女声合唱が舞台裏(下?)からなので、もうひとつ弱かったかなという印象です。事実、舞台がリフトアップされて、下から女性及び少年合唱が登場するとなかなかの響きでした。演出上の問題もありますが、音楽最優先がsaraiの好みです。
長大な第1幕も緊張感をきらすことなく聴き通せたのは、いかに素晴らしい音楽が展開されたかの証しでしょう。幕があり、ぱらぱらと拍手が起きましたが、ウィーンやバイロイトでは第1幕後は現在でも拍手は慣例として禁止です。シーッという観客の声で拍手も止みました。ここで休憩。

休憩中、念願のウィーン国立歌劇場のネクタイをゲット。これで楽友協会とここへは専用のネクタイでこれから通うことになります。

第2幕は怪人クリングゾル役のバンクルの登場です。実に素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。第2幕だけの登場ではもったいないほどの素晴らしさでした。続いて、デノケが胸をはだけた体当たり的な衣装で登場。ぎょっとします。しかし、その歌声は人間の生の声、苦悩する人間の弱さ・強さを見事に表現していました。続いては花の乙女たちの登場。ミラーボールが回り出したのには苦笑しましたが、実に妖艶な雰囲気が醸し出されて、なかなよい演出でしょう。また、この場面は続くパルジファルとクンドリーの葛藤と昇華への導火線にもなっており、必然性が感じられました。ということで、クンドリー役のデノケが再登場して、いよいよ音楽は最高潮に達していきます。デノケの歌声の素晴らしさ。何を語っているのなんか、saraiにはどうでもよい感じ。ただただ、彼女の透き通った声の響きにひたっているだけで幸福感に包まれます。さらにその歌声に呼応すかのように、新しく生まれ変わったともいえるパルジファル、すなわちオニールの熱のこもった歌声が響き渡ります。彼らの聖人対俗人の対決、愛の葛藤、聖人への昇華、もう、凄まじい歌声で響き渡る中、saraiはもう感動の嵐です。ティーレマンの率いるオーケストラも負けじと美しい響きを奏でます。これこそ、最高のワーグナーです。第2幕が終わったとき、もうsaraiはこのまま帰っても満足という感じでした。ここでまた休憩。

第3幕は冒頭に書いた通り、もう、ティーレマンの独り舞台。なんという素晴らしい指揮でしょう。座って指揮していますが、ときおり、ここぞという時に立ち上がり、オーケストラを鼓舞しますが、そのスケールの大きな演奏には圧倒され、もうひれ伏すだけです。ものすごい指揮です。というわけで第3幕は舞台は半分も見ていなかったかもしれません。ただただ、ティーレマンの指揮の素晴らしさ、その作り出す音楽の美しさ、重厚さ、強靭さ、もう表現は難しいですが、なるほど、これがワーグナー音楽の頂点だということは理屈抜きで体感しました。フィナーレの神々しさには参りました。
満場総立ちでティーレマンに怒号の声援です。ティーレマンに初めて、ワーグナー音楽の奥義を教えられた思いです。
それにしても、ウィーンでのティーレマンの人気は凄まじいものでした。実力あってのことですね。今回の旅では最後にティーレマン指揮のウィーン・フィルのコンサートを2回も聴きます。ますます、楽しみです。


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       ティーレマン,        デノケ,  

ウィーン美術史美術館でクリムト展

旅の3日目です。今日は朝、日が差していて、喜んだのも束の間。すぐに曇り空。
ウィーン美術史美術館で時を過ごすことにします。クリムト展をやっていて、やぐらを館内に組んで、階段上部の壁面のクリムトの壁画を間近に見せてくれます。なかなか、良い企画です。これはそのままずっとやってくれればいいのにと思います。


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夜はウィーン国立歌劇場でワーグナーの《パルジファル》です。内容は別記事でアップしますが、まさにティーレマンの《パルジファル》です。指揮者が主役のオペラって、カルロス・クライバーの《薔薇の騎士》以来のような気がします。ティーレマンはカリスマ性のある素晴らしい指揮者です。クンドリー役のデノケも実に素晴らしい歌唱です。

明日は一転して、ウィーン国立歌劇場でバレエ《アンナ・カレーニナ》を鑑賞します。エイフマンの激しい動きの振り付けをダンサーたちがどう踊りきるか、楽しみです。

今日の歩数:14901歩


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エイフマン振付バレエ《アンナ・カレーニナ》@ウィーン国立歌劇場 2012.4.9

初めて観るバレエ《アンナ・カレーニナ》です。もちろん、ウィーン国立歌劇場です。この演目は今シーズンの最終公演です。このバレエはもともとフォルクスオーパーでプレミエをやって、そこでの公演が続いていましたが、何といってもエイフマンの振付の秀逸のバレエで現在はウィーン国立歌劇場に引っ越して上演されています。ウィーン国立歌劇場での公演ということは、フォルクスオーパー管弦楽団から演奏が実質ウィーン・フィルに変わったということです。音楽はチャイコフスキーの弦楽セレナード、交響曲第6番《悲愴》、幻想的序曲《ロミオとジュリエット》という名曲が演奏されるので、それをウィーン・フィルで聴くだけでもお得感が増します。事実、ダナイロヴァがコンサート・ミストレスを務めた今夜の演奏の美しかったこと、賛辞を惜しみません。それに彼女のヴァイオリン独奏が多く、その響きの美しかったこと、とても気持ちよく聴けました。昨夜の《パルジファル》でも彼女はオーケストラの一員として演奏していましたが、コンサートマスターはキュッヒルでした。もちろん、彼のヴァイオリン独奏も美しかったんです。さすがにウィーン・フィルのコンサートマスターとなれば、皆、そこらのソロヴァイオリニストにも出せない音楽を奏でます。
肝心のバレエですが、まあ、唖然とするほどの美しさです。特にアンナ・カレーニナ役のダグマー・クローンベルガーの美しさは言葉では表現できないほどです。リフトでのピタッと決まる姿勢、それも斜め逆さの姿勢で微動だにしません。体のラインの美しさも人間の限界を極めています。また、ベッドの手すりの上に見事に直立した姿勢から体を投げ出すときのケレンミのないことには驚きます。見事に受け止めるパートナーも立派ですけどね。実際の夫婦だからこその信頼関係でしょうか。でも、夫婦で信頼関係があるとは限らないので、やはり、これは鍛え上げられた練習の賜物でしょう。

実は今日はプログラムを購入し、予定されていたキャストが変更になったことを知りました。主役に予定されていたパパヴァの妖艶な演技も期待していましたが、今夜のダグマーのパーフェクトな演技を見ては何も言うことはありません。

今夜のキャストは以下です。

 指揮:グイレルモ・ガルッチァ・カルヴォ
 振付:ボリス・エイフマン
 管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 アンナ:ダグマー・クローンベルガー
 カレーニン:エノ・ペシ
 ウロンスキー:シェーン・ A・ヴュルトナー
 
第1幕はチャイコフスキーの弦楽セレナードのとても美しい演奏のもと、舞踏会のシーンでアンナ役のダグマーの美しい体の線、そして、夫カレーニン役のエノ・ペシとの踊りで早速、魅了されます。その後、アンナが密会するウロンスキーとの絡みの美しいこと、ダグマーもシェーンも最高で、うっとりし続けです。
そして、最高潮に達するのがチャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》の第1楽章の演奏でダグマーとシェーンの踊るところの美しさ。バレエの美しさを最高に極めたものです。まあ、陶然とするほどのウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏、これはバレエ抜きでも最高に素晴らしい響きです。その上、素晴らしい踊り、特に見たことのないような高度で美しいリフトの数々、それがパーフェクトに決まり、その姿の美しいこと、まるで夢の世界のようです。初心者のsaraiでも、これが如何に素晴らしいか、確信を込めて、賛美できます。
古典的なバレエと違って、全編、息抜く暇のない、凝縮した踊りの連続、3人のダンサーだけでなく、群舞のダンサー達も体力・技術の限りを尽くし、観るものを圧倒し続けます。

休憩になり、はっぱさんと合流し、一気に盛り上がりました。そして、第2幕です。
第2幕もダグマーの美しさが光ります。アンナとウロンスキーがイタリアに駆け落ちし、ヴェネチアでの仮面舞踏会。このシーンでの仮面を付けた群舞の凄まじさには圧倒されるのみです。とても美しく、爽快感のあるダンスシーンです。
イタリアでウロンスキーがアンナをモデルに絵を描くシーンも、とても愛に満ちたというよりも、愛に燃え上がる感じが素晴らしく、またしても、ダグマーの美しさに魅せられます。やがて、イタリアでの生活にピリオドを打ち、ロシアに戻った二人は舞踏会に登場。そして、最高潮に達するのがチャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》の第3楽章に乗って、狂おしいダンスが踊られるシーンです。ここでもオーケストラの響きの素晴らしさに圧倒されます。切れがよく、美しい響き、最高です。
この後はアンナの転落の詩集です。どこまでも落ちていくアンナ。ダグマーが渾身のダンスで表現していきます。
それでも、チャイコフスキーの幻想的序曲《ロミオとジュリエット》の美しい音楽で踊られるダグマーの秀逸で美しいダンスで救いも感じます。何故、こうも美しいのか・・・。
最後は客席が振動するほどの機関車のダッダッという響きでアンナが身を投げて、轢死してフィナーレ。実際に高いところからダグマーが身を投げたようなのですが、この最高のシーンは照明がブラックアウトして、saraiの目には見えませんでした。また、このブラックアウトのせいで、そこでフィナーレと勘違いした観客が拍手してしまい、間抜けな終わり方になってしまいました。照明ももう少し何とかしてほしかったものです。

それにしても、実に美しいバレエでした。この路線のバレエはsaraiも大好きです。しかし、来シーズンはラインアップされていないようで、今夜の公演でこの演目は見納めかも知れません。やはり、バレエ監督のルグリの路線には合わないかも知れません。そういう意味でも、いいものを見せてもらいました。ダグマー始め、素晴らしいダンサー達、そして美しい演奏のオーケストラに感謝です。
なお、このバレエについてはわが友はっぱさんが素晴らしい記事を書いており、かなり、参考にさせていただきました。これにも感謝です。



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ウィーンでたまにはプラーター

旅の4日目です。今日はやっと青空です。ただ、やはり寒い!

せっかく晴れたので、久しぶりにプラーター公園にでも行ってみましょう。トラムに乗れば、終点がプラーターです。「第3の男」で有名といっても、あまりに昔のことですが、有名な観覧車でウィーンの街を展望。その後、プラーターの森のなかを少し散策します。ここは昔ハプスブルグ家の狩猟地だったところで、森の中に広い真っ直ぐな道が通っており、馬車も走っています。まさにオペラ《薔薇の騎士》を思い起こさせます。


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プラーターからはトラムと地下鉄を乗り継いで、早々にホテルに引き上げます。昨日の素晴らしかった《パルジファル》の記事を記憶が鮮明なうちに書き上げたいですからね。

夕方、Hさんに車でピックアップしてもらって、軽い夕食を食べ、一緒にウィーン国立歌劇場に向かいます。バレエ《アンナ・カレーニナ》の鑑賞です。一緒に鑑賞することになったのは偶然ですが、必然とも言えるかもしれません。いいものは誰にとってもいいんです。バレエの内容の詳細は別記事でアップします。まあ、あれが美の極致というんでしょう。うっとりなんて、生易しいものではありません。生のバレエの迫力、ウィーン国立歌劇場の演奏するチャイコフスキーの音楽のため息の出るような美しさ、まさにパーフェクトな公演です。

明日は早朝便でベルリンに向かいます。超早起きしないといけないので、もう寝ます。オヤスミナサイ・・・

今日の歩数:8200歩


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ベルリンではまず、ポツダムへ

旅の5日目です。
今日はウィーンからベルリンへの移動で超早起き。外は真っ暗です。

無事にベルリンへ飛び、10時前にホテルに到着。5つ星の立派なホテルです。
今日は1日、ポツダムに出かけます。
ポツダムの市街を散策しながら、サンスーシ宮殿を見学。素晴らしい庭園です。


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ツェツィーリエンホーフ宮殿にも行くつもりでしたが、サンスーシ宮殿で力尽き、早々にホテルに引き上げます。今日は早起きだったので、ホテルでゆっくりと休養しましょう。

ベルリン名物のカリーヴルストに初挑戦しますが、なかなか美味しく、病み付きになりそう。


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明日は鉄道でアイゼナハ、ヴァイマールに1泊のミニ旅行に出かけます。

今日の歩数:16206歩


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アイゼナハはバッハの街

旅の6日目です。

今日はベルリンを朝、鉄道で出発し、アイゼナハに向かいます。ツォー駅での乗り換え、ベルリン中央駅での乗り換えで少し迷ってしまいますが、初めての駅で、それも癖のある駅では戸惑うこともしばしばです。時間に余裕を持った行動が基本です。

アイゼナハに到着し、小雨にあいますが、ヨーロッパでは、フード付ウィンドブレーカーを持ち歩くので傘も不要です。アイゼナハはバッハの聖地です。早速、バッハの生家を尋ねます。これが生家で2階建ての立派な建物です。


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バッハの生家に着いたとき、ちょうど、ミニライブコンサートが始まるところ。バッハの生まれた家でバッハの鍵盤楽曲の演奏が聴けるなんて夢のようです。ライプツィヒの聖トーマス教会での日曜ミサでの生演奏に続き、敬愛してやまないバッハの聖地で得難い体験ができて、幸せです。

続いて、ヴァルトブルク城へ向かいます。ワーグナーが楽劇《タンホイザー》の着想を得たところで一度は行ってみたかったところです。山の上にある趣のあるお城です。


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半日、目一杯のアイゼナハ滞在で、アイゼナハを満喫です。

夜はヴァイマールに移動し、ゲーテの生家のすぐ近くのホテルに宿泊しています。チューリンゲンは偉大な人物が誕生し、亡くなった、実に文化の薫り高い地方です。

明日はヴァイマールでゲーテ、シラー、クラナッハ、リスト、ルターの足跡を尋ね、夜、ベルリンに戻ります。

今日の歩数:18,099歩


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ヴァイマールは芸術家達で花盛り

旅の7日目です。

ヴァイマールで一番の有名人はおそらく、ゲーテでしょう。その盟友はシラー。その2人の墓参りからヴァイマール巡りは始まり、2人がそれぞれ後半生を過ごし、亡くなった家でヴァイマール巡りを終えます。
これが二人の棺が納められている大公の墓所です。


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また、音楽家リストも同様にこの街で後半生を過ごし、亡くなるまでリストの家で過ごしました。


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さらに画家クラナッハもこの街で人生を閉じました。彼の素晴らしい作品をこの街で見ることができます。彼の作品を展示している城美術館です。


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近代デザインのルーツであるバウハウスもこの地でグロピウスによって創設されました。グロピウスはアルマ・マーラーの再婚相手としても知られています。これが当時のバウハウスの校舎の本館の建物です。


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ヴァイマールではこれらの芸術家たちの足跡を巡ることができ、感銘を受けます。

ヴァイマールから午後になって、ルターシュタット・ヴィッテンベルブルクに移動し、ルターとクラナッハの足跡を尋ねます。特にルターは街の名前になっているように、この街はルターの活躍した街として世界遺産になっています。ルターが「95か条の論題」を張り出して、宗教改革の口火を切りましたが、それが城教会にあるこの扉です。


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一方、クラナッハも画家の本業以外にこの街の市長を務め、薬局の経営まで手を染めていました。このクラナッハ薬局が今でも残っており、営業を続けています。


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これらを文字通り、駆け足で見て歩き、ICEでベルリンに戻ります。

明日はいよいよ待望のベルリン・フィルをフィルハーモニーのホールで初聴きします。楽しみです。

今日の歩数:20,681歩


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ベルリン・フィル+ペライア@フィルハーモニー 2012.4.13

ベルリンのフィルハーモニーのホールへ初見参です。
最前列の最高の席で、目の前で世界最高のピアニストとして崇めているマレイ・ペライアのピアノを聴くことができ、その素晴らしい演奏に感動しました。共演のサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルも切れ味鋭い演奏でバックアップ。今まで聴いた最高のシューマンのピアノ協奏曲です。やはり、生での緊張感はたまりません。

今日の演奏者、プログラムは以下です。

 指揮:サイモン・ラトル
 ピアノ:マレイ・ペライア
 ソプラノ:ケイト・ロイヤル
 ソプラノ:バーバラ・キント
 バリトン:クリスティアン・ゲルハーヘル
 管弦楽:ベルリン・フィル
 合唱:Rundfunkchor Berlin

 べリオ:ソプラノと14楽器のためのシチリア風子守唄《E vo》
 シューマン:《夜の歌》Op.108
 シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54

  《休憩》

 べリオ:メゾソプラノと5人の演奏者のための《O King》
 フォーレ:レクィエム ニ短調 Op.48

まず、合唱団が入場。次いでベルリン・フィルの面々が入場。期待感が高まります。オーケストラは対向配置です。最前列の席なので、演奏者が入場してくる控えの間の様子が見えます。ソプラノのバーバラ・キントに続いて、ラトルが入場です。キントは若いソプラノでまったくの初聴きです。ラトルは以前よりもまた太った感じ。ご自慢のふさふさした銀髪も頭頂部が透けています。若かった彼もこれから円熟期を迎えることになるのでしょうか。
ベリオの作品は歌曲というよりも、声を楽器にしたような作品です。ベルリン・フィルのフルオーケストラが勢ぞろいしていますが、その中で演奏しているのはトップ奏者たちだけです。その高度なテクニックの演奏をバックにキントの熱唱です。どんな楽譜か、想像もつきませんが、パーフェクトに思える歌唱というか、声を使った演奏です。だんだん、熱を帯びた声の演奏になっていきます。子守唄という雰囲気からは程遠い感じですが、妙に一体感を持って、演奏に集中できます。こちらまで熱くなって、聴きいった演奏でした。この作品も現代音楽という枠を超えて、古典として消化されているように感じました。
そのまま、間を置かずにシューマンの《夜の歌》に突入していきます。男性合唱の地味な歌唱から始まるので、そんなにベリオとの違和感は感じません。後半にはいると、女声合唱が主体になり、シューマンらしいロマンあふれる曲想で聴く者の胸に抒情感を誘います。やはり、シューマンはいいですね。この旅での最初のシューマンですが、それにふさわしい爽やかなロマンで盛り上げてくれます。今回の旅ではこのベルリン・フィルと来週のウィーン・フィルでシューマンのオーケストラ作品の傑作を聴く予定です。この《夜の歌》は前奏曲のように胸に響きました。

ここで演奏は一区切りで万雷の拍手です。次の演奏に備えて、セッティングが始まります。最初からステージの一番前にピアノが置かれていましたが、オーケストラの座るステージからは1段低くなっていました。2階層のまま、演奏するのかなと思っていたら、ピアノが置いてあった部分のステージがせりあがり、後方のステージと同じ高さになり、ほかのホールと同様な形でおさまりました。さすがにベルリンのステージは機械化されています。
準備が整い、控の間をのぞきこむと、ペライアの顔が見えます。期待でわくわくします。彼のピアノが聴きたくて、わざわざベルリンまで足を運んだんです。

いよいよ、ペライアラトルの登場です。saraiのまさに目の前にペライアが腰かけました。シューマンのピアノ協奏曲の耳馴染んだフレーズが流れ始めます。ペライアの顔の表情も鍵盤をたたく指の動きもすべて見えます。ピアノの向こうからはラトルのペライアへのアイコンタクトも見てとれます。第1楽章の中間部あたりのピアノの静かなさざ波のような響きの美しいこと、感動して聴き入ってしまいます。ベルリン・フィルもピアノが休む部分では切れ味鋭い合奏でシューマンの情感あふれる曲想を見事に表現します。フィナーレに向かって、ペライアのピアノもダイナミックなタッチで盛り上がっていきます。ペライアのピアノは響きの美しさはもちろんのこと、熱い感情のほとばしりも感じさせてくれます。まさに最高のシューマンです。特にカデンツァはシューマンのピアノの独奏曲を聴いている感じでうっとりするばかりでした。
第2楽章は全体、同じメロディーが繰り返され、いつもは退屈することもありますが、この日の演奏は一味違います。すべてのメロディーに心が込められ、移りゆくニュアンスに心が翻弄されます。実に美しい音楽です。ペライアの美しいタッチで紡ぎだされる瑞々しい響きに酔ってしまいそうです。シューマンの音楽の真髄を聴いた思いです。
そのまま、第3楽章にはいります。熱い思いが爆発し、祝典的にも思える喜びの歌です。永遠にも感じる長い楽章ですが、感動は増すばかりです。ペライアのシューマンはこんなに素晴らしいとは、やはり生で聴くということはこういうことですね。終盤に向け、さらに音楽は盛り上がり、深い感動を覚えながら、フィナーレです。きっと、もう2度と、こういうシューマンのピアノ協奏曲は聴けないと思います。ピアノのタッチミスもいくつかはありましたが、機械のようなパーフェクトな演奏が聴きたいんじゃありません。音楽は美しくなくてはならないって言ったのはこのペライアだったでしょうか。美しく、ロマンに満ちた最高の演奏でした。ペライアは今生きているピアニストの中で世界最高であるという確信をますます強くした今夜の演奏でした。やはり、ベルリンまで来て、本当によかったと幸福感に浸りました。

休憩にはいり、目の前のピアノはぐんぐんせり下がり、地下2階まで下がり、舞台下に引っ張っていかれました。すごい構造に感心しきりです。

休憩後はまた、ベリオの声楽作品です。今度はシンフォニアです。ソプラノは長身のケイト・ロイヤルです。今度もフルオーケストラの中で演奏者は数名です。オーケストラはこの後のフォーレのレクィエムに備えた編成になっています。コンサートマスターは何と、左側に陣取った2部編成のヴィオラのトップ奏者です。1部編成のヴァイオリンは右側に配置です。
このベリオの作品は紛れもなく、ソプラノの声は楽器扱い。弦楽器がトリルを奏でると、声も巧みにトリル。アタックだけが強く発せられ、詠唱のような単調な響きが積み重ねられていきます。それでも妙に気がそそられて行きます。そして、フィナーレで強く、高い声ではっきりと「マルティン・ルーサー・キング」と歌われ、音楽はカタルシスを迎え、フィナーレ。saraiは何の脈絡もなく、若い頃に読んだカフカの短編小説「流刑地にて」を思い起こしました。小説は処刑される者が処刑機械によって処刑針で肉体に刻み付けられる判決内容を12時間かけて、最後に理解するという戦慄の内容です。このベリオの作品もずっと何の内容なのか分からずに聴いていて、最後に暗殺されたキング牧師のことだと理解するわけです。ある意味、聴衆は処刑される立場であって、人類としてテロの責任を負っていることを最後に理解して、強い自省感にとらわれなくてはならないといっているように思えました。カフカの小説でも処刑される人間は自分が何の罪を犯したのか、当初はまったく理解していないのと同様に、人類として、差別や無関心という罪を常に負っていることをベリオは訴えたいのかと勝手な解釈をしてしまいました。
ベリオの作品を序章として、続けて、フォーレのレクィエムの演奏が始まります。フォーレの第3改訂版通りのヴァイオリンも含めたフルオーケストラ編成です。ただし、ヴァイオリンの出番はスコア通り、半分以下で、手持ち無沙汰にしていました。最近はオリジナルの演奏も流行っていて、その場合、ヴァイオリンは独奏のみのバージョンですが、フォーレの清澄な音楽を聴くにはオリジナルバージョンのほうが好ましく感じることも多いです。この日の演奏は通常のフルオーケストラ版でしたが、さすがにベルリン・フィルの演奏能力は高く、美しき清らかな響きに満ちていました。バリトンのゲルハーヘルはさすがの美声で最高の出来。特に第6曲のリベラ・メの素晴らしい歌唱にはうっとりとするばかりでした。少しドラマチック過ぎるきらいは感じましたが、こんな素晴らしい歌唱の前ではそういう個人的な趣味は引込めましょう。第4曲のピウ・イエスはとても好きな曲です。実は誰が歌っても聴き惚れてしまいます。この日のロイヤルの歌唱にも、感動して聴き入ってしまいました。美しく澄み切った高音でした。第5曲のアニュス・デイはヴァイオリンも含めた弦楽器の響きが木陰の清涼感を醸し出し、素晴らしい演奏です。バッハのマタイ受難曲のイエスの死の後の清涼感ある音楽を想起してしまいます。ベリオとフォーレを一体として構成する企画はちょっと無理があった感じですが、それぞれ好演でした。

この日はフィルハーモニーに初デビューで、素晴らしいシューマンが聴けて、超満足でした。来週からはウィーンで音楽三昧の日々です。本当に音楽って素晴らしい!


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テーマ : クラシック
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       ペライア,        ラトル,        ベルリン・フィル,  

ベルリンでの楽しい出会い、そして、感動のベルリン・フィル/ペライア

旅の8日目です。

今日は夜、ベルリンに来た第一目的のベルリン・フィルのコンサートがあるので、ベルリン絵画館だけをさっと見て、ホテルに戻り、休養して、コンサートに備えましょう。

ベルリン絵画館に向かう前に、お洒落なカフェで朝食をいただきましょう。100番の2階建てバスの上からベルリンの街を眺めながら、アレキサンダープラッツ駅に行き、そこから地下鉄に乗り換えて、エーベルスヴァルダー駅に行きます。その駅のそばに評判のカリーヴルストのお店コノプケがあるので、カフェに行く前にとりあえず、2人で1人前のカリーヴルストをいただきましょう。お店に向かって歩いていると、前を歩いている人たちの声が聞こえ、日本語です。こんなところで日本人も珍しいので、配偶者が声をかけます。すると、このあたりで日本骨董店を開いている女性とその甥っ子さんです。やはり、カリーヴルストを買いに来たそうです。後でそのお店を訪ねてみましょう。カリーヴルストを美味しくいただき、これまた評判のカフェのアンナ・ブルーメに向かいます。

アンナ・ブルーメは花屋さんを併設したカフェレストランですが、評判通り、平日なのに待ち行列ができています。少し待って、テーブルに案内され、朝食セットを2人前注文。運ばれてきたのはまるでアフタヌーンティーのような3段重ねの豪華な朝食です。


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ゆっくりと時間をかけて、豪華朝食を完食。先ほどの女性のお店に寄っていきましょう。エーベルスヴァルダー駅のすぐそばにお店があります。日本骨董とカフェの店の《エニシ》(enishi)です。店内には日本の懐かしい品々が豊富に並べられています。店主の女性は明るく迎えてくれ、雑談で盛り上がります。お手製の抹茶プリン、豆腐プリンまでご馳走になってしまいます。どうもありがとうございました。店内と店主の女性とその甥っ子さんです。


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さて、予想外の楽しいできごとも重なり、遅くなってしまったので、もう、このままホテルに戻ろうかとも思いましたが、やはり、少しの時間でもベルリン絵画館に寄ってみましょう。ベルリン絵画館は今夜のコンサートの会場のフィルハーモニーのすぐ隣にあります。これがフィルハーモニーです。今夜のコンサートが楽しみです。


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ベルリン絵画館では、予想外に充実したクラナッハの作品群に遭遇。写真を撮りながら、鑑賞にふけっていると、日本人の同じ年頃の男性に声をかけられ、ちょっとした芸術談義です。クラナッハに詳しいかたは珍しいです。ずい分、話し込んでしまいます。ベルリンに1か月ほど滞在されるそうです。上には上があるものです。
ヤン・ファン・エイク、フェルメール、カラヴァッジョ、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、レンブラントと充実したコレクションを堪能して、急いで、ホテルに戻り、一寝入り。

元気回復して、フィルハーモニーに向かいます。
ベルリン・フィルと世界最高のピアニストのペライアの共演です。実に感動します。夢のような時間です。このコンサートについては別の記事で報告します。

今日はベルリンを堪能した1日でした。明日から3日、ベルリンを余裕で過ごしましょう。

今日の歩数:15,106歩


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ベルリンは定番の博物館島巡り、そして、美味しいベルリン料理

旅の9日目です。

昨日、待望のフィルハーモニー詣でを済ませ、ベルリン訪問は山場を過ぎました。
あと、ゆっくりと3日間を過ごします。
とは言え、今日はヨーロッパに来て最高の青空です。元気に出かけましょう。
まずはカフェで朝ごはんです。有名カフェのカフェ・アム・リテラトウーアハウスの素敵なガーデンテラスで美味しい朝食をいただきます。


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今日は博物館島に行きます。まずはペルガモン博物館です。実に20年ぶりの訪問です。展示内容は基本的に変わりませんが、細部をさらに整備した感じがします。まあ、とんでもないものを作ったと感心します。


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次は隣のボーデ博物館です。ここは初めてです。展示の内容以前に建物自体がとても素晴らしいものです。エントランスホールの豪華さには圧倒されます。


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それにペルガモン博物館と違い、訪問者の数が圧倒的に少なく、ゆったりと鑑賞できるのは有り難いことです。目玉のクラナッハの作品も1点だけは鑑賞させてもらいます。
ここを出て、博物館島の別の場所に移動です。博物館島内の移動はできないので、博物館島の外側のシュプレー川の岸辺を歩きます。岸辺はゆったりとした時間を過ごす人たちでいっぱいです。川はひっきりなしにクルーズ船が行き来しています。


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続いて、同じ博物館島にある新博物館です。ここも初めてではありますが、エジプトの展示物は20年前に別の場所にあったエジプト博物館で見ています。この博物館に入場したあたりから、疲労感が高まり、歩き続けることが困難になってきます。とりあえず、必見のネフェルティティの胸像だけは見ておきましょう。ずい分、探し回り、2階のギャラリーにエレベーターで上がり、20年ぶりの再会を果たします。以前よりもきれいになっているように思えます。そのため、神秘性よりも一人の生身の女性の印象が強くなります。とは言え、エジプト美術の芸術性の高さを示す作品であることには変わりありません。このあたりで、早々に今日の日程はおしまいにしましょう。

最後は食い気で古き良きベルリンを感じさせてくれるレストランのトゥホルスキーに携帯で予約を入れ、向かいます。最後の力を振り絞って、何とか到着。
美味しい料理とワインに酔いしれ、疲れを忘れます。

さて、明日はどうしようかな。saraiはもう少し美術館を周りたい気持ちですが、配偶者はシャルロッテンブルク宮殿にも行きたいようです。明日の天気と体力次第ですね。

今日の歩数:18,330歩


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ベルリンのカルチャーコンプレックスって・・・

旅の10日目です。

ベルリンの朝はまず、カフェでの朝食が1日の始まりです。今日はカフェ・フルーリーに向かいます。地下鉄を乗り継いで、もうすぐ到着するところで、急に気が変わり、別のお店にチェンジです。ベルリンと言えば、歩行者信号のマークから人気の出たキャラクターのアンぺルマンが有名です。お土産を入手するためのアンぺルマン・ギャラリーに行こうということになり、カフェもその近くにあるところにしようと一瞬の決断。即、地下鉄を降りて、Sバーンに乗り換えて、最寄駅のハッケシャー・マルクト駅で下車。駅からすぐ近くのカフェのハッケシャー・ホーフに行きます。若者に人気のお店とのことですが日曜の朝は空いています。窓際近くの特等席で朝食セットと追加メニューでまたまた豪華朝食。美味しくいただきます。

このカフェがあるのは、カフェと同名のハッケシャー・ホーフというカルチャーコンプレックスの中です。ベルリンで今流行しているサブカルチャーの発信地として、ホーフと呼ばれている、複数の建物の中庭に面して、おしゃれなショップやカフェやギャラリー、小劇場などが集まってできた複合カルチャー施設が誕生していますが、このハッケシャー・ホーフはその代表格です。
朝食後、このホーフの8つの中庭を巡りながら、アンぺルマン・ギャラリーを探します。ホーフの中庭の奥のほうにアンぺルマン・ギャラリーが見つかります。


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キャラクターの性格上、子供向けの商品が多いですが、狭い店内はアンぺルマングッズであふれています。何点か、お土産に購入します。

ここは博物館島にも近く、まずは歩いて、博物館島で昨日は行かなかった旧ナショナル・ギャラリーに向かいます。この美術館には、19世紀の作品を展示しています。ちなみに一昨日行ったベルリン絵画館には18世紀以前の作品が所蔵されています。20世紀の作品は新ナショナル・ギャラリーに展示されています。ベルリン美術館の絵画作品を見ようと思えば、3つの美術館に行かなくてはなりませんが、今回は新ナショナル・ギャラリーに行く余裕はなく、残念です。今日見る旧ナショナル・ギャラリーには、ドイツ・ロマン派を代表するフリードリッヒの作品があります。これが見たかったんです。3階のフロアに上がると、フリードリッヒの作品だけで1部屋が占められており、壮観です。こんなにフリードリッヒを見るのは初めてです。夢中で鑑賞します。そのほか、リーバーマンやベックリンの作品も揃っています。さすがにベルリンですね。ベックリンの超有名な《死の島》を見つけたときには正直びっくりします。ここにあったんですね。かって、ヒットラーの総統室に掛けられて作品だそうです。


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これでsaraiは満足し、次は配偶者の要望のシャルロッテンブルク宮殿に向かいます。

Sバーン、地下鉄、バスを乗り継いで、シャルロッテンブルク宮殿にたどり着きます。いやはや、広大な宮殿です。もっともヨーロッパの宮殿はどれも広大ですから、これが特別っていうわけではありません。日本語のオーディオ・ガイドのご丁寧な解説付きで宮殿を1階、2階と見学。その後は、もちろん、庭園の鑑賞です。これは宮殿の2階の展望室から眺めた庭園の美しい姿です。


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シュプレー川が傍らを流れ、とても美しい庭園です。が、とても広く、歩き疲れます。何とか、ぐるりと見て周り、宮殿の外に出ると、そこがちょうどM45番のバスのバス停です。助かります。

バスに乗って、またまた、癖になったカリーヴルストを食べに向かいます。カリーヴルストの有名店に立ち寄り、夕食代わりのカリーヴルストとマヨネーズ付のポテトフライをゲット。


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とても美味しいですが、インビスでの食事は露天でとても寒いんです。
ここからはホテルも歩いてすぐです。

明日は夜の便でウィーンに飛びます。

今日の歩数:14,178歩


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ベルリンの最後の朝食は豪華・・・そして、ヨーロッパ最大のチョコレート屋さん

旅の11日目です。

ベルリン最後の日です。今日もベルリンのカフェの朝食にこだわります。4軒目になります。今日はカフェ・ビルダーブーフです。店の奥には、豪華なしつらえの安らぎの空間が広がっています。ソファに座って、ゆったりした朝食をいただきましょう。


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ということで、スパークリングワイン付の豪華朝食と相成り、1時間半以上の時間をたっぷりとかけて、豪華朝食をペロリ。


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その後、お決まりの観光コース、ブランデンブルグ門、国会議事堂、ティアガルテン、ウンター・デン・リンデンを歩き、へとへとになります。
休養も兼ねて、ヨーロッパ1の大きさのチョコレート・ショップ、ファッスベンダー&ラウシュに立ち寄ります。ホットチョコレートを頂き、そのあと、チョコレート料理に挑戦です。スープとリゾットですが、甘いチョコレートがかかっているんです。これはスイートポテトのチョコレート掛けのスープです。配偶者は美味しいそうです。


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これでベルリンの休日はすべて終わり。昨夜、WEBチェックインしていたので、すいすいとウィーンへ帰還できます。ウィーンでは同じホテルの同じ部屋に戻り、我が家のように寛いでいます。

明日の夜はウィーン国立歌劇場でマスネのオペラ《ウェルテル》です。帰国するまで、連日連夜、オペラ・コンサートが続きます。配偶者にも頑張ってもらいましょう。



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《ウェルテル》カサロヴァ、テジエ@ウィーン国立歌劇場 2012.4.17

DVDでは、ガランチャ、アルヴァレスの素晴らしい公演を見ています。同じウィーン国立歌劇場で同じ演出です。今夜、大きく違うのは、当初、ウェルテル役がテノールのサッカだったのが、バリトンのテジエに変更になったことです。バリトン版もあるんですね。
この日の公演では、全編流れるマスネの美しい音楽がウィーン国立歌劇場管弦楽団によって、実に綺麗な響きで演奏されました。特に高音弦と木管の奏でる美しい調べには、茫然とするばかりです。室内オーケストラのような一体感のある整ったアンサンブルには驚嘆します。生でこのオーケストラの響きを聴くだけでも、ここへくる価値があります。カサロヴァはこの役をどんなドスのきいた声で歌うにかと思っていたら、さにあらず、抑えた美しい声で悲しく優しい役柄を歌い切りました。時折、張り上げる劇的な表現にも心を打たれます。静かな表現でも声がよく通っており、生で聴くカサロヴァの素晴らしさを再認識させられました。姿形や若さではガランチャに及ばないわけですが、音楽的な表現では、拮抗しているという感じです。来年、4月はこのウィーン国立歌劇場でガランチャが《ウェルテル》を歌う予定なので、是非、聴き比べてみたい思いです。
バリトンのテジエですが、やはり、いつも彼らしく、少しクールで冷たい感じですが、声の響きは大変素晴らしい。素晴らしくて、堂々としているところが、このナイーブなウェルテル役とのギャップを感じてしまいます。どうしてもテノールのほうが愛の情熱に打ち震える青年の心にあいそうです。それでも、バリトンでも、もっと線の細い表現ならば、それなりに死ぬほど女性を恋い焦がれる心情にあったかもしれません。辛目の言い方になりましたが、さすがに素晴らしいバリトンで第3幕、第4幕のリリカルな歌唱も巧みに歌い、聴衆の心を揺さぶってはくれました。

今夜のキャストは以下です。

 指揮:ミカエル・ギュットラー
 演出:アンドレイ・セルバン
 管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 ウェルテル:ルドヴィク・テジエ
 アルベール:ター=ヨーン・ヤン
 大法官:アンドレアス・ヘルル
 シャルロッテ:ヴェッセリーナ・カサロヴァ
 ソフィー:ダニエラ・ファリー
 シュミット:ペーター・イェロシッツ
 ヨハン:ジェイムズ・ロザー
 
特に続けて演奏される第3幕~第4幕には、心を打たれました。オーケストラの素晴らしさはもちろんですが、カサロヴァの円熟した歌唱力によって、とても感動しました。バリトンのテジエもオシアンの歌ではさすがに聴かせてくれました。フィナーレでは思わず、胸にジーンとくるものがありました。こういう1流の布陣で聴くオペラは生の迫力で素晴らしいです。やはり、オペラを生で聴くのは最高です。


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ウィーンのショッピングはマリアヒルファー通りで

旅の12日目です。

ウィーンに戻って、最初の朝はまあまあの天気。
前から予定していたトゥルンのエゴン・シーレ・ムゼウムに行ってみましょう。途中、ウィーンの朝ごはんはカフェ・ハイナーでということで急いで出かける準備です。
ところでちょっと気になって、トゥルンのエゴン・シーレ・ムゼウムのオープン日をチェックしてみると、何と月曜と火曜がお休みです。出かける前に気がついて良かった!
じゃ、とりあえず、カフェ・ハイナーで朝食を食べながら、今日の計画を決めましょう。

今日もカフェ・ハイナーでプロセッコ付きの朝食セットを楽しみながら、プランを練ります。軽く、マリアヒルファー通りで雑貨屋さんでも覗いてみましょう。
こんなにウィーンに来ているのに、そんなにショッピング好きでないので、マリアヒルファー通りは初めてです。こんなに賑やかなショッピング街だとは思っていませんでした。見て歩くだけでも面白く、つい、物欲が出て、買い物までしてしまいます。マリアヒルファー通りには、可愛いいパサージュまであり、ちょっと見物してしまいます。


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帰りにウィーン西駅のMr.Leeでお寿司を買って、ホテルに戻ります。オペラまで、お昼寝です。

時間になり、お寿司をつまんで、ウィーン国立歌劇場でオペラ《ウェルテル》を鑑賞。詳細は別途、記事をアップしますが、実に美しい音楽でついつい感動してしまいます。何を聴いても感動できるウィーン国立歌劇場って素晴らしい!
ところで、ウィーン国立歌劇場ではブログにもコメントをいただいているお友達のsteppekeさんにもお会いし、終演後、お食事をご馳走になってしまいました。ありがとうございました!

明日もウィーン国立歌劇場でオペラです。今回の第1の目的であったガランチャの出る《薔薇の騎士》です。楽しみです。
その前に明日はホテルを引越しします。明日からは贅沢に5つ星のホテルです。


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《薔薇の騎士》ガランチャ、リドル、ペション@ウィーン国立歌劇場 2012.4.18

20年ぶりに聴くウィーン国立歌劇場での《薔薇の騎士》です。とても素晴らしい公演で感動しました。特に第2幕冒頭の銀の薔薇の献呈での愛の2重唱の素晴らしさには涙を禁じ得ませんでした。

タイトルロールの薔薇の騎士、ことオクタヴィアンが主役だと感じる《薔薇の騎士》を聴いたのは初めてです。たいていは元帥夫人が主役だと思うことがほとんどです。クライバーが指揮したときは、もちろん、主役は指揮者。今日はオクタヴィアン役のガランチャが主役以外の何ものでもありませんでした。
今日のガランチャには本当に魅了されました。普通はsaraiにとって、歌手はあくまでも声がすべて。しかし、ガランチャは声だけでなく、姿かたち、顔、仕草などすべてがキュートで魅力たっぷり。騎士姿はかっこいいし、女姿は可愛いこと、この上なし。まさにオクタヴィアンを歌い、演じるために生まれてきたような女性です。その声ですが、《アンナ・ボレーナ》のときのような深くてたっぷりした声というよりも、透き通った美しい声に感じました。これもsarai好みです。産休明けということで心配しましたが杞憂でした。特に第2幕の素晴らしさと言ったら、もう、何と表現すればいいか、涙なしには語れません。
もう一人、オックス男爵を歌ったクルト・リドルも、もう少しで主役に躍り出る勢いでした。20年前にこのウィーン歌劇場でオックス男爵を歌ったときは渋いとしか言いようのない、それでいて、人をうならせる歌唱でした。それから20年、渋さに軽味が加わり、深くて多彩な表現力を身に着けたようです。R・シュトラウスがこのオペラを作曲したときに題名を《オックス男爵》と考えていたとのことですが、それを実感させてくれる歌と演技でした。
今日の最大の収穫は実はソフィー役を歌ったミア・ペションです。今まで、ソフィー役はバーバラ・ボニーが断トツの素晴らしさでほかの誰にも追随を許しませんでしたが、今夜のペションはボニーに肉薄。感動の歌を聴かせてくれました。それに見栄えもいいし・・・。 まだ、若いのでこれからも彼女のソフィーを聴けるでしょう。嬉しいですね! 彼女には、2006年のグラインドボーン音楽祭のヴィデオでフィオルディリージを歌うのを聴いて(見て)から、密かに注目していました。やっぱり素晴らしい歌手に成長していました。
今日の最大の問題点は元帥夫人を歌ったニーナ・シュテンメです。悪くはないのですが、第1幕は声が重くて、高音部も苦しそう。この役は美しく透明な高音が必須です。第1幕終盤のモノローグも平凡な出来。昨年聴いたミラノ・スカラ座でのシュヴァンネヴィルムスに遠く及ばない感じでした。それでも第3幕の終盤の3重唱では、まあ納得の声の響きでした。最初から、あの調子だったならと悔やまれます。
ファーニナルを歌ったグルンドヘーバーはさすがの素晴らしい歌唱。こんな役ではもったいない感じでした。
そうそう、イタリア人歌手役のホー・ヨン・チュンの歌唱は素晴らしかったです。韓国人テノールということですが、声にはりがあり、なかなか聴かせてくれました。あれだけ歌ってくれると満足です。
ほかにロイダーのバルザッキ役、バンクルの警部役など、豪華な歌手を並べ、まったく隙のない布陣。さすがにウィーン国立歌劇場です。

今夜のキャストは以下です。

 指揮:ジェフリー・テート
 演出:オットー・シェンク
 管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 元帥夫人:ニーナ・シュテンメ
 オックス男爵:クルト・リドル
 オクタヴィアン:エリーナ・ガランチャ
 ファーニナル:フランツ・グルンドヘーバー
 ソフィー:ミア・ペション
 ヴァルザッキ:ミヒャエル・ロイダー
 アンニーナ:ヤニーナ・ビークル
 警部:ヴォルフガング・バンクル
 イタリア人歌手:ホー・ヨン・チュン

まず、オーケストラの前奏です。あれっという感じ。あの流麗なR・シュトラウスの音楽ではなくて、少しぎくしゃくした感じの演奏です。音の響きそのものはウィーン国立歌劇場のオーケストラですから、美しい響きですが、どうも指揮のテートとオーケストラが合わない感じです。テートは流麗なウィーン風ではなく、自分なりにきちっとした表現をしたいようです。こういう緊張関係も面白いです。なれあい演奏ではありませんからね。オーケストラが主導権を握ってウィーン風になったり、テートがきちっとリズムを刻んだり、展開がころころ変わります。流麗なウィーン風はクライバーの遺産のようにも感じます。あのとろけるように甘く輝かしい薔薇の騎士の音楽にうっとりとします。ここにクライバーがいれば、今でも15年前の世界に戻れそうです。
幕が開き、オクタヴィアンと元帥夫人の登場です。ガランチャの声量は朗々たるものではありませんが、よく通る美声。ちょっと物足りないかな。シュテンメは冒頭に書いた通り、声が重く、高音も抜けていません。これは全然物足りません。それでも、ガランチャの演技の溌剌さが目を奪います。リドルのオックス男爵が登場すると、完全にリドルがステージを支配します。素晴らしい存在感、渋さと洒脱さのミックスされた熟年男性の魅力です。ここで声は発しませんがマリアンデルに変身したガランチャのコケティッシュぶりにsaraiはノックアウト。可愛いこと、この上なし。ガランチャってこんなに綺麗だったっけ!
次にどやどやと人が入ってきて、ステージは満員すし詰め状態。そのなかでも一際存在感のあるのはリドル。たいしたものです。突如、イタリア人歌手の張りのある歌声に耳を奪われます。素晴らしい歌声です。合格点!この韓国人テノールのチュンは初めて聴きました。ここらから、元帥夫人の憂鬱が始まります。シュテンメの演技はそのあたりの雰囲気を醸し出しています。ただ、モノローグにはいり、歌声に透徹した響きが欠けるのが問題点。高い声は苦しそうです。事前の喉作りがうまくいかなかったのでしょうか。いずれにせよ、透き通った高音を歌うタイプではないので、saraiの好みからは外れます。シュヴァネヴィルムスとかデノケあたりがタイプです。途中から、ガランチャも騎士姿で再登場しますが、その姿の凛々しさにはまたもやノックダウン。少々太り気味なのも気になりません。歌はまあまあの状態です。ほかの歌手の歌うオクタヴィアンよりは格段素晴らしいのですが、ガランチャならもっと歌えるでしょう。ただ、まだ、第1幕なので、少しセーブして長丁場を乗り切る必要もあるでしょう。ガランチャとリドルは全幕出っ放しですからね。第1幕は、少し指揮の問題はあるにせよ、オーケストラの美しい響きだけでも聴きもので十分満足です。

第2幕にはいると、ソフィー役のペションの登場。まあ、美人の部類でしょう。それになかなかの美声です。声量も十分。いよいよ、ガランチャも銀の薔薇を持って登場。ソフィーとオクタヴィアンの初対面・一目ぼれの最高のシーンです。美女と美女で実に様になっています。そして、ガランチャもエンジンがかかってきて、声量・響きともに素晴らしい。ペションは驚くべき美声を披露。あの高音部が楽々と出ています。バーバラ・ボニー以外に出せなかった声です。2人の声も姿も素晴らしい愛の2重唱を聴いて、涙が滲んできました。今までで最高の2重唱です。もともとsaraiはこの2重唱が大好きで、遂に最高のものを聴いてしまいました。空前絶後の素晴らしさです。オックス男爵が登場した後はまた彼がステージを支配します。なんという自由闊達な歌と演技でしょう。こんな素晴らしい熟年に惹かれないソフィーがおかしいんじゃないかとさえ感じます。オックス男爵のワルツの素晴らしさ、何故、世の女性たちはこれがわからないんでしょう。R・シュトラウスも意外とファルスタッフのような魅力的な人物として力を注いだんでしょう。オックス男爵にマリアンデル(つまり、オクタヴィアン)から恋文が届き、オックス男爵が上機嫌になって、歌い踊るところで2幕目は終わります。それにしてもリドルの一見、男の単純さ、しかし、悲哀を秘めたあたりを表現する軽妙洒脱、軽みは何という高みに達していることでしょう。脱帽です。

第3幕はまたリドルの深い歌唱・演技とガランチャの美しさで惹きつけられます。まさに主役2人の絡み合いで一瞬も気を抜けません。
そして、遂に終幕の3重唱。第1幕よりも格段に調子を上げたシュテンメの元帥夫人、好調なペション、そして、美声で押し通すガランチャ、見栄えもいい3人でステージ一杯に素晴らしい声が響きあいます。そこにオーケストラの爛熟した響きも合わさって、感動のフィナーレです。
ちょっと融通のきかない感じの指揮者のテートでしたが、そんなものは吹き飛ばす勢いのあるのがR・シュトラウスの音楽です。結局は美しく、流麗に盛り上がってしまうし、細かいニュアンスも聴こえてきてしまいます。
パーフェクトとは言えなくても、それでもsaraiを感涙させるウィーンのR・シュトラウスは流石、流石、流石です。

来年の1月はデノケが元帥夫人をやるそうです。今日のキャストでデノケが元帥夫人で指揮がヨルダンであったなら、saraiは気絶していたかも知れません。この旅でデノケもヨルダンも聴くのだから、あり得ないことではなかったのに・・・

恨み言を言いつつ、大満足して、最後まで拍手を送り続けたsaraiでした。


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この記事へのコメント

1, ぶらあぼさん 2012/07/30 01:57
はじめまして。ガランチャで検索していましたところ、このサイトのタイトルに興味ありクリックしました次第です。
昨年4月、ネトレプコとガランチャの共演を聞きつけ、見逃すまいと「アンナ・ボレーナ」を見に行きました。ネトレプコを食ってしまうほどのガランチャにの歌唱、演技にすっかり嵌ってしまい、先日の7月25日に、ミュンヘンの歌劇場でのガランチャの「ドイツリート」のコンサートを聴きに参りました。素晴らしいの一言です。アンコールに5曲も歌いました。、客席から「パパゲーノ」という観客の声に、突然ガランチャが何故か大笑い。で魔笛から歌うのと誰しもが思った筈ですが、カルメンのハバネラを歌い、やんやの喝采でした。
終演後にロビーでサイイン会もあり、長蛇の列でした。超人気の程がよく分かりました。次はオクタビアンを目標とします。長々と失礼いたしました。

2, saraiさん 2012/07/30 09:44
ぶらあぼさん、初めまして、saraiです。
コメントありがとうございました。
「アンナ・ボレーナ」よかったですね。以下の記事もご覧ください。
 http://traveler.co-blog.jp/sarai/11174
ガランチャのオクタヴィアンは来年6月のドレスデンでも聴く予定です。指揮がティーレマンですから聴き逃せません。4月のウィーンでガランチャのシャルロッテも聴く予定です。6月のウィーンでのガランチャのカルメンは迷っています。ハバネラいいでしょうねえ。
また、コメントをお寄せください。

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ウィーンのMAKでクリムト展

旅の13日目です。

今日は快晴でぽかぽか陽気。ようやく、4月の暖かさを実感します。
朝はホテルでゆったりして、ホテルの引っ越しの準備です。
ホテルをチェックアウトし、地下鉄とトラムを乗り継ぎ、シュタットパルク前のラディソン・ブルー・ホテルに到着。入口をはいるとベルボーイがさっと荷物を奪うようにカートに積み込みます。チェックインは何故か、もたもたして、パスポートと予約時のクレジットカードを提示して、ようやく完了。キーをもらう前にバスタブ付の部屋かを確認します。

部屋は7階で。窓からはシュタットパルクが見え、気持ちがいいんですが、部屋は狭めです。
まだ、朝食も食べていないので、いきなり、豪華ランチに出かけます。ホテルのすぐ近くのオーストリア料理のレストランのプラフッタです。まだ、12時前なので、予約なしでもOKです。ここの名物はターフェルシュピッツです。鍋にスープと骨付き牛肉がはいった状態でテーブルに運ばれてきます。


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このたっぷりしたスープの美味しいこと。まさに黄金のスープです。白ワインと一緒にいただきます。お店のスタッフも親切で明るく、気持ちのよいレストラン。お勧めです。ただし、予約は必要でしょう。

ランチの後はアート。すぐ近くの応用美術博物館、通称MAKに行きます。現在、ここでクリムトが手掛けたブリュッセルのシュトックレ邸にある、いわゆる、シュトックレフリースの下絵が公開されています。
MAKに入館すると、コリント式アーチに囲まれて、吹き抜けになった大ホールに出ます。素晴らしく美しい空間です。この建物自体が芸術品です。色んな展示物を見ながら、クリムトのシュトックレフリースの下絵を拝見。素晴らしいものです。
これは全部で9枚の内の1枚です。名作《接吻》と同じような構図ですね。


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是非、ベルギーにある本物も見たいですね。世界遺産になったそうですが、非公開とのこと。残念です。

この後、シュタットパルクの気持ちの良い緑を楽しみながら、ホテルに戻ります。久しぶりに黄金色のヨハン・シュトラウス像も見ました。
ホテルでしばしの休憩です。今日は長丁場のオペラです。

6時半開演のオペラを見るためにウィーン国立歌劇場に向かいます。今回の旅の一番の目的がこのオペラを見ることです。R・シュトラウスの楽劇《薔薇の騎士》です。久々のガランチャの登場です。産休明けの最初のオペラで、今夜は3日前の日曜に続く2回目の公演です。それはもう素晴らしい公演です。歌手もオーケストラもすべてが最高です。詳細な内容は別記事でアップします。

明日からは楽友協会でのコンサートが続きます。


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この記事へのコメント

1, レイネさん 2012/04/19 19:53
さすがクリムト・イヤー、MAKでもクリムト関連の展示があるんですね。
ストクレ邸のフリーズは、去年10月から今年3月までベルヴェデーレで展示されてましたよね。
わたしは数日違いで見れなかったのですが、saraiさんご夫妻はご覧になってるのではないかと。
ブリュッセルのストクレ邸は非公開なので、千載一遇のチャンスを逃し残念です。

オペラ座近くのプラフッタでターフェスシュピッツいただきましたよ。ここは、インテリアがおしゃれで
気に入りました。

2, saraiさん 2012/04/20 08:13
レイネさん、地味なMAKでもクリムトにあやかって展示があります。クリムトも若干、食傷気味ですが、この際に見られるものは見ないと。
昨年10月にベルヴェデーレの下宮で「ホフマンとクリムト」展があり、シュトックレ邸の再現展示があり、見ましたが、フリーズの展示は今回のMAKのほうが上です。下絵といっても完全な色付けした本物ですからね。
プラフッタの鍋入りのスープは絶品ですね。少々お高いですが・・・
レオポルド美術館でもクリムト展をやっているので、行こうか、どうしようか迷っているところです。

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ウィーン交響楽団、ヨルダン、ツァハリス@ウィーン楽友協会 2012.4.19

今日からは楽友協会でオーケストラのコンサートを聴きます。

今夜のキャストとプログラムは以下です。

 指揮:フィリップ・ヨルダン
 ピアノ:クリスティアン・ツァハリス
 管弦楽:ウィーン交響楽団

 ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83

  《休憩》

 ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》

今日は特上の平土間中央の席です。
大きなピアノが正面にドーンと置いてあります。
ピアニストのツァハリスと指揮のヨルダンが登場します。
ツァハリスはこれまで縁がなく、初聴きです。
まず、ピアノの音がホールに響き渡るに驚きます。オーケストラ全体と変わらないくらいに感じます。このホールの特性でしょうか。昨年、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴いたときには、特にそういう印象がなかったので、ツァハリスがブラームスということで鳴り響かせているのかも知れません。タッチ自体はクリアーですが、ともかく響きます。オーケストラパートにはいると、ウィーン交響楽団がこれぞブラームスという美しい弦の響きを聴かせてくれます。ウィーン風のブラームスですね。渋さは感じられません。オーケストラパートだけ聴いていると、まるで交響曲を聴いている感じです。一方、ピアノが弾き始めると、オーケストラ並みに響き、これもピアノによる交響曲を聴いている感じです。まとめると、ピアノ版オーケストラと通常オーケストラの2つのオーケストラが一緒に交響曲を演奏している感じに聴こえます。この曲って、そんな風でしたっけ。まあ、それはそれで実に面白く聴けます。そもそも4楽章構成なので、無理なく、交響曲として聴けます。指揮者もピアノ演奏部分はツァハリス、通常オーケストラ部分はヨルダンとそれぞれ分担して、お互いの領分を守って演奏している感じです。実際、この曲はそれぞれが別々に演奏する部分が多いので矛盾もありません。この曲は結構苦手なんですが、こういう演奏は分かりやすく聴けます。それにしても、楽友協会のホールの響きの良さは、素晴らしいなんてものではありません。こういうホールで聴くブラームスの響きはなんとも気持ちのよいものです。楽友協会は今年で200周年だそうですが、これこそ世界遺産にすべきホールです。ともあれ、長大なピアノ協奏曲を聴き、ピアノと通常オーケストラと2つの交響曲をいっぺんに聴いてしまったような妙なお得感を感じました。本来はsaraiの趣味では、先日、ベルリンで聴いたペライアのような澄み切ったクリアーなピアノ演奏が好みなんですが、ブラームスのこの曲に関しては、こういう演奏もありかなと納得しました。まあ、音楽は楽しめれば、それでいいでしょう。例え、ツァハリスのピアノにミスタッチが多かったにせよ・・・

休憩後はストラヴィンスキーのバレエ音楽《火の鳥》全曲です。組曲版ではありません。
これは大変、聴き応えがありました。バレエの伴奏でこんな演奏をやったら、ダンサーが踊れないのではないかというようなオーケストラ演奏の極致を感じさせる、ド派手な演奏です。それでいて、決して、下品とかいうのではなくて、表現力豊かな演奏です。火の鳥が登場する場面では、決して誇張ではなく、楽友協会のホールの上を火の鳥が飛びまわっていました。最初から最後まで、息つく暇もなく、物語がオーケストラの響きとともに進んでいきます。トゥッティでのホール全体が鳴動するのには驚嘆しかありません。体全体で音楽を受け止める感じです。ロシアの民俗風のメロディーが優しく流れるときのソロ奏者たちの演奏の素晴らしさ。特にフルートの響きの美しさは特筆ものでした。ストラヴィンスキーの音楽はやはり木管の上手いオーケストラでないといけませんが、ウィーン交響楽団は皆達人揃いでした。
指揮のヨルダンですが、タクトなしで、長い両手の長い指を駆使して、見事にオーケストラを操ります。彼自身が魔王カスチェイであるかのごとき、魔術のような指揮です。平凡な演奏であると、特に全曲版は退屈なものに陥ることもありますが、これだけの指揮を見せてくれた非凡な才能には、これからも期待が膨らみます。縦横に音楽を動かし、構成していく力はオペラ指揮者としての彼の今後が楽しみになってきます。昨日も書きましたが、《薔薇の騎士》のような自在な音楽の組み立てが必須なものには、ヨルダンの才能が最も活かされると感じます。

楽友協会のホールの響きのよさ、ヨルダンの自在な指揮、ウィーン交響楽団の素晴らしい響きに魅了された、大変、幸福なコンサートでした。



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トゥルンはエゴン・シーレの街、そして、意外なお店も・・・

旅の14日目です。

今日も見事に晴れています。ウィーンもいよいよ春爛漫ですね。
では、ちょっと郊外のトゥルンまでエゴン・シーレ・ムゼウムに出かけましょう。
ウィーンからトゥルン駅までは急行REXであっという間です。トゥルン駅から先は昼間は鉄道が工事中でバスの代行運転。そのバスの時間が迫り、駅で走り回っているうちに配偶者がものの見事にばったり転倒。冗談抜きで右足を捻挫。我慢強い配偶者は何とか、よちよちと歩けるようで一安心。同じく、渡欧直前に両足を捻挫したsaraiの湿布と足首固定バンドで治療中です。

ともあれ、美しいドナウ河畔に建つエゴン・シーレ・ムゼウムは無事に見学。


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トゥルン駅舎にあるシーレの生まれた部屋の前まではオーストリア国鉄の方のご厚意で見学させてもらいます。部屋の中は公開していません。これでシーレゆかりの地はほぼ回ったことになります。今や、saraiにとって、シーレはクリムト以上の存在になりつつあります。

ところでトゥルンには立派なLPレコードコレクションの店があり、そこで長い時間を費やす羽目になりました。正面に見える棚は交響曲だけの棚。奥にもっと棚があり、2階には秘蔵品の棚も所狭しと並んでいます。


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お店の主人の熱い思いも聞きます。数点のヴィンテージのLPレコードを入手します。アドルフ・ブッシュ・カルテットのベートーヴェン後期の弦楽四重奏曲集、カール・シューリヒト指揮ウィーン・フィルのブルックナーの9番シンフォニーというところです。アラウのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集にも食指が動きますが、高いし、重いので断念します。

ウィーンに戻り、ホテルで休息後、ウィーン楽友協会でヨルダン指揮ウィーン交響楽団、ピアノがツァハリスでブラームスのピアノ協奏曲第2番、それにストラヴィンスキーのバレエ音楽《火の鳥》です。いずれも音の響きの素晴らしい楽友協会のホールで今まで聴いたことのないような音響の洪水にのみこまれ、音楽の素晴らしさを実感します。

明日もこの楽友協会で目玉のティーレマン指揮ウィーン・フィルでシューマン三昧です。それは次の土曜日の公演まで連続します。まったく同じ公演を2回聴きます。お友達のHさんも同様です。Hさんの影響をうけつつあります・・・

今日の歩数:14,279歩


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ティーレマン指揮ウィーン・フィル《シューマン尽くし》1回目@ウィーン楽友協会 2012.4.20

期待していたティーレマン指揮のウィーン・フィルでシューマンを聴きます。今日は1回目。明日も同じプログラムを聴きます。同じプログラムを連日聴きたいほどのコンサートです。この日のコンサートは人気沸騰でチケット入手困難。何とか、オーケストラ席、すなわち、ステージ上のオーケストラの横に椅子を置いた席をゲット。オーケストラのメンバーがはいってくる同じ扉から入ります。席は左側ですから、目の前に第1ヴァイオリン奏者たちが並んでいます。横にはホルン。幸いにティンパニは逆サイドでした。配偶者の隣には大阪から来られた女性が座り、音楽の話に花が咲きます。ウィーンではほぼ同じような内容のオペラ、コンサートを聴いているようです。誰しも聴きたいものは同じですね。

今夜のキャストとプログラムは以下です。

 指揮:クリスティアン・ティーレマン
 ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル
 管弦楽:ウィーン・フィル

 シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52
 シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 Op.38《春》


  《休憩》

 シューマン:ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー ハ長調 Op.131
 シューマン:交響曲第4番 ニ短調 Op.120

今日のオーケストラ席からは指揮者が出入りするドアの中がよく見えます。誰よりも早く、ティーレマンの姿が見えます。ティーレマンは勢いよく、ステージに出てきます。
まず、《序曲、スケルツォとフィナーレ》の序曲からです。この席での音響がどうなのか、正直、心配でした。ところが、実に弦楽器の音が綺麗に揃って響いてきます。序奏ではヴァイオリンで、シューマンらしくロマンチックな、それでいて、少し倦怠感がある屈折感の響きが見事に演奏されます。出だしから魅了されます。間に低弦の深い響き。すぐに主題にはいり、快活なテンポに変わり、弦の美しい響き。しばらくすると、弦の高音部の輝かしい響きです。艶があって、なんとも言えないウィーン・フィル独特の美しい響き身震いします。高音部の響きが鳴るたびについ、身震いしてしまうことを止められません。この席はオーケストラと同じ床面なので、耳からだけではなく、床からの振動も一緒に感じます。ウィーン・フィルの美しい響きをオーケストラと文字通り、共有できるとは、何という幸福感でしょう。シューマンのこの曲はあまり聴きこんでいませんが、小交響曲と言っていいほど、聴きごたえがあります。ティーレマンも軽いタクトさばきですが、的確にシューマンの音楽を把握した見事な指揮。さすがです。そうそう、この席からはオーケストラの奏者と同じ目線で指揮者の指揮ぶりを見ることができます。
序曲が終わったところで、聴衆からぱらぱらと拍手。これは困りますね。ティーレマンは若干、苦笑しながら、右手を上げて、拍手を制します。観光客なんでしょうか。こういう素晴らしいコンサートに来てほしくない聴衆です。しかし、ティーレマンは少しも意に介さない様子で、スケルツォにはいります。弦が中心で付点が続くリズミカルなフレーズを美しい響きで奏でます。曲想的には軽い部分です。そのまま、穏やかに曲を閉じます。
すぐに最後のフィナーレにはいります。トゥッティで素晴らしい響きが鳴り響き、すぐに弦で快活で悦びに満ちた主題にはいります。対位法的で勢いのある楽想をなんと見事に表現していることか、まさにこれぞシューマンの祝典的な音楽の正統な演奏です。ティーレマンの棒にウィーン・フィルがパーフェクトに応え、シューマンワールドにどっぷりと身を置きます。素晴らしい!! そのまま、ぐんぐん盛り上がり、音楽の楽しみを満喫しながらのシンプルなコーダ。最初から、シューマンのミニ交響曲の完璧な演奏を聴いた思いです。聴衆ももっと沸いていいのにとsaraiは一人で不満を持ちます。この後の演奏がますます、楽しみです。しかし、ここでコンサートが終わってもsaraiは満足して会場を後にしたでしょう。それほどの素晴らしい演奏でした。

ティーレマンが再度登場します。拍手も鳴り止まらないうちに、交響曲第1番《春》の第1楽章が始まります。金管のファンファーレが鳴り響きます。その後、スローダウンしてぐっとオーケストラを抑え込んで、次第にテンポアップして、解き離れたように悦びにみちた主題が奏でられます。高音弦の上昇音形のフレーズの響きの美しさにうっとりします。何という美しさでしょう。主題提示部が繰り返され、またもや、高音弦の上昇音形の美しさに幻惑されます。じっくりと展開部が奏でれられます。色々な楽器で引き継がれる上昇音形は悦びに満ちた音楽です。いったん、音楽が登りつめ、壮大なスケールで美しいメロディー。また、音楽は落ち着きを取り戻し、高音弦の上昇音形も登場し、少しスローダウンした後、フルートのゆったりした上昇音形に導かれ、トゥッティで快活なコーダにはいり、ヴァイオリンの細かい旋律が美しく奏でながら、フィナーレ。シューマンの悦びに満ちた音楽を何と素晴らしく聴かせてくれることでしょう。
第2楽章にはいり、ヴァイオリンの綿綿とした旋律が続きます。ティーレマンはコンサートマスターのキュッヒルに対して、音量を抑えに抑えるように指示をしつこいくらい続けます。ただ、ウィーン・フィルは響きを損ねない程度に抑えた演奏に留めます。このあたりの指揮者とオーケストラの葛藤は音楽を作り上げる上では重要ですね。少しずつ、抑えが解き放され、抒情感にあふれる演奏が続きます。聴衆もこのあたりは一息つけるところです。
第3楽章のスケルツォが始まります。悠々たるテンポのスケールの大きなフレーズが素晴らしい響きで鳴り渡ります。第2パートをはさみ、また、冒頭の部分が素晴らしい響きで繰り返されます。耳に心地よいですね。また、次のパートを挟み、冒頭の部分を短く繰り返し、最終パートで音楽は沈静化。
そして、輝かしい第4楽章です。トゥッティの素晴らしい響きで祝典的なフレーズを奏で、第1、第2ヴァイオリンでリズミカルで美しい旋律を奏でます。このあたりは対向配置が効いているようですが、聴いている場所がステージの端なので、ヴァイオリンは第1も第2も同じように響いてきます。このあたりは明日、もう一度、聴き直させてもらいましょう。音楽は美しく続きます。フルートソロが見事に響き、先ほどの弦のリズミカルで美しい旋律を奏で、続いて、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンが呼応して、その旋律を引き継いでいきます。このあたりのシューマンの音楽的感受性にいたく心を打たれます。そして、いくつかの楽想を経て、冒頭の祝典的なフレーズがたっぷりと鳴り渡ります。弦の演奏が実に美しく輝かしいです。その祝典的な気分のまま、コーダにはいっていきます。ティーレマンの下からすくいあげるような《まくり》が圧倒的です。オーケストラもそれに呼応して高揚感のある響きを高らかに歌い上げます。高音弦の素晴らしい響きのフレーズが光り輝きながら、フィナーレ。何という演奏でしょう。究極のシューマンです。ティーレマン恐るべし。この後の交響曲第4番は一体、どういうことになるのでしょう。

ここで休憩。ふーっ・・・。こころがかき乱されて、言葉も出ない状態です。次第に落ち着きを取り戻したところで休憩時間が終了。

コンサートマスター席には、先ほどまではキュッヒルの隣の席に座っていたホーネックが移り、今度はキュッヒルがソロヴァイオリンとして、ティーレマンを従えて、登場です。
《ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー》という珍しい曲が演奏されます。
まさに曲名通り、オーケストラがロマンチックで幻想的な旋律を美しく響かせます。続いて、キュッヒルのソロヴァイオリンが華麗なフレーズではいってきます。響きは美しいのですが、コンサートヴァイオリニストのような派手やかな響きとは別世界。オーケストラと溶け合うような響きです。途中から、ティーレマンはキュッヒルを覗きこむように顔を付きだし、タクトをキュッヒルに向かって振りはじめます。まるでインスパイアしているみたいです。指揮者がソロヴァイオリニストに対して、タクトを振るのは初めてみました。そのせいか、後半のヴァイオリン演奏は精彩のある素晴らしい演奏に感じ始めました。それにしても、この曲はシューマンぽくない奇妙な曲です。特にヴァイオリン独奏部は細かい動きのフレーズが続き、ファンタジーというよりもカプリッチョみたい。ただ、聴き終わり、この曲は来たるべきR・シュトラウスの世界を先取りしているようにも感じました。やはり、シューマンは実に多彩な才能を持った偉大な作曲家で西洋音楽の中核の流れにいたことを確信しました。
この曲の終了後、ティーレマンのキュッヒルへの敬意に満ちた態度は、父親への慈しみにも似た雰囲気でほほえましく感じました。キュッヒルもまんざらではない様子でにこにこ顔。ティーレマンとウィーン・フィルも蜜月状態なんでしょうか。音楽的には、これ以上のコンビは世界中見渡しても思い当たらないくらいです。まあ、別格として、ハイティンク+コンセルトヘボウがあるくらいでしょうか。

再び、キュッヒルがコンサートマスター席に戻り、最後の交響曲第4番です。saraiの関心事は伝説的なフルトヴェングラーの演奏にどれだけ肉薄できるだろうかということです。
またしても、ティーレマンは拍手も止まぬうちにタクトを打ち下ろします。序奏は意外なことにオーケストラを抑えに抑えます。しつこいくらいです。印象的な旋律が聴こえづらいほどです。しかし、そのために聴衆としては逆に緊張し、耳を凝らさざるを得なくなります。そして、主題部にはいり、手綱はゆるめられ、あのロマンチックな旋律が美しく流れ始めます。カタルシスにも似た感覚を覚えます。ウィーン・フィルの美しい高弦がうねるように響き続け、桃源郷のような音楽の世界。こういう音楽を聴きたくて、長い間、音楽を聴いてきたんです。気持ちの高揚感は表現ができないほどの素晴らしさ。素晴らしい音楽、それに身を委ねる自分、ただ、それだけです。完全に音楽と一体化できました。流麗で、それでいて、ダイナミックな音楽が体を突き抜けていきます。そして、ティーレマンの迫力に満ちた指揮棒が強く振られて、高揚感に満ちたコーダです。これ以上、望むものは何もありません。しかし、まだ、第1楽章が終わったばかりです。
第2楽章は一転して、チェロの独奏で瞑想的な美しいメロディーです。心の安らぎを感じます。続くヴァイオリンのゆったりとした波は憧れに満ちた感情を呼び覚まします。また、チェロの独奏で安らぎ、続くキュッヒルの独奏で美しいヴァイオリンの響きがさざ波のように流れ、最後はチェロの独奏で優しく、心をあたためてくれます。ここで一息ついた感じです。
第3楽章のスケルツォは弦楽合奏の分厚く、美しい響きに圧倒的されます。こんなに心を揺り動かされる音楽があるでしょうか。そして、抒情的なパートにはいります。繰り返しが多いのですが、少しも気になりません。心の落ち着きを得るのみです。そして、また、冒頭の素晴らしい弦楽合奏が再現されます。気持ちが高揚しかけたところで、抒情的なパートに戻り、平静な心に落ち着きます。音楽は沈静化し、アタッカでクレシェンドしながら、終楽章へ。
第4楽章はゆったりした楽想を経て、一気にテンポを上げ、付点のある悦びに満ちた主題が合奏され、高揚していきます。ウィーン・フィルの素晴らしい合奏力で楽友協会のホールに音が満ちて行きます。ティーレマンがどんどん推進力を増していき、中核部に迫っていきます。いったん、テンポをスローダウンし、スケール感を増したオーケストラの響きが次第にヒートアップ。美しい響きを充満させながら、終盤に向かっていきます。テンポを上げ、頂上に上りつめていきます。ティーレマンの凄まじい気迫にsaraiも上りつめていきます。語ることのできない究極のフィナーレでした。まさに重量戦車を思わせる剛直なティーレマンの指揮に、ただただ、ひれ伏すのみです。終楽章はティーレマンの緻密であり、小細工抜きの直球勝負の圧倒的な名演でした。もちろん、楽友協会に響き渡ったウィーン・フィルの弦楽の美しさ、特に艶のある高弦の輝きには目も眩むほどでした。

シューマンの究極を聴いた今、過去のフルトヴェングラーの伝説的名演と比べようとしていた自分を恥じています。音楽はその一瞬に輝き、消えていくもの。特に生演奏は一期一会の自分だけの体験。そこで感動した自分を過去の他の演奏とどう比べようがあるのか、あるわけありません。フルトヴェングラーの素晴らしさは揺るぐものではありませんが、ティーレマンのシューマン、特に第4番はあくまでもティーレマンのシューマンです。その素晴らしさは感じ取れるものだけの宝でしょう。その宝を大事に大事に胸の奥深くにしまっておきましょう。そっとね・・・・



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       ティーレマン,        キュッヒル,        ウィーン・フィル,  

ウィーン・レオポルド美術館でクリムト展

旅の15日目です。

朝起きると、この旅最高の上天気でとても暖かくなりました。もう、コートは不要です。
今日は朝ご飯は省略して、一気にランチをカフェ・ツェントラルでいただきます。
カフェ・ツェントラルへ向かう道すがら、またまた、モーツァルトとご対面です。当ブログのイメージキャラクターですから、ご紹介しましょう。


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カフェ・ツェントラルには11時20分頃に到着。ランチは11時半からなので、最初に朝食メニューが出されますが、ランチのメニューをお願いすると、ランチは10分後からと言われ、それでもお願いすると、とりあえず、メニューを持ってきてくれます。無事、美味しいランチをいただきます。
カフェ・ツェントラルはフュルステン宮殿内にあり、内部は見事なアーチが連なった特上の空間になっています。


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この後、近くのミノリテン教会を覗き、ホーフブルグを抜けて、レオポルド美術館に向かいます。今、ウィーンは生誕150年でクリムト一色の感があります。今回の旅で3つ目のクリムト展はこのレオポルド美術館です。
今回の展示の目玉は以下の3つです。なお、クリムト展のフロアでは写真撮影禁止なので、写真ではご紹介できません。
 ・ウィーン大学の天井画の『哲学』、『医学』、『法学』のモノクロ復元図の展示。特に『医学』は女神ヒギュエイアの部分だけは色づけされています。『医学』の下絵(色付き)も一緒に展示されています。大変、興味深い展示です。
 ・クリムトのアトリエが再現されて、ホフマンの作成したインテリアも展示されています。これも興味深い展示です。
 ・クリムトからエミーリエ・フレーゲに宛てた数百枚の絵葉書が展示されています。絵や写真の上に走り書きしたもので、ドイツ語での内容とその英語訳が展示されています。なかなか見ることのできないものですね。クリムトは相当に筆まめだったようです。

以上のほか、レオポルド美術館所蔵のクリムトの名画やよそからの特別貸し出しの作品も展示されており、なかなかの内容です。写真が撮れなかったのが残念です。もっとも、レオポルド美術館の所蔵品は既に前回撮影済みではあります。

いったん、ホテルで休養を十分に取り、夜はウィーン楽友協会でのティーレマン指揮ウィーン・フィルでシューマン尽くしのコンサートを聴きます。大変素晴らしいシューマンで心の底から、音楽の悦びを感じます。このコンサートについては、別途、当ブログでご紹介します。今や、ティーレマンとウィーン・フィルのコンビは音楽的に最高の水準に達しているという実感です。楽友協会のホールと相俟って、これ以上の音楽を聴くことはできないでしょう。

コンサート後、Hさんやお友達とカフェ・ムゼウムでおおいに盛り上がりました。

明日もティーレマンとウィーン・フィルを楽友協会で聴きます。もちろん、今日と同じプログラムです。夜はフィルクスオーパーでオペレッタ《チャルダッシュの女王》です。ヨイ・ママンで盛り上がりそうな予感です。

今日の歩数:11,887歩


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この記事へのコメント

1, レイネさん 2012/04/21 18:18
レオポルドでもクリムト展とは、全く今年のウィーンはクリムト一色ですね。8月にもやってるかしら。
ウィーンでは、夜のオペラやコンサート、昼の美術館巡り、そしてカフェでくつろぐのが3大楽しみ。
二泊した前回の遠征では、シュペール、オーバーラー、ツェントラル、ムゼウムに入りました。
地元の人が顧客の大半のようなシュベールが落ち着けて気に入りました。ツェントラルも風格があり、
空間が広いのでゆったりした気分になれますね。(MAKの中にあるレストランもおしゃれで好き)
次回は1泊のみですが、saraiさんイチオシのハイナーに行ってみたいと思います。

2, saraiさん 2012/04/22 08:19
レイネさん、一押しのクリムト展はレオポルド美術館ですが、8月27日までやっています。多分、その頃は新たにベルヴェデーレでもクリムト展が始まっている筈です。
カフェはシュペールもお気に入りです。でも、ハイナーが最高。是非、行ってみてください。Johnson Brothers製の食器にもご注目くださいね。ケーキもランチも美味しいですよ。
ところで、来年の4月にはハイティンクのブルックナー8番を聴きにアムスに行こうと思っています。是非、デートしてください。こちらは配偶者付きですが・・・・

3, レイネさん 2012/04/23 04:54
奥様とご一緒のアムスでのデートのお誘い、ありがとうございます。ハイティンクの生の指揮姿を一度は拝みたいものだと思っています。それがコンヘボなら願ったり叶ったりで、4月7日なら日曜マチネもあるわ!ばら売りチケット発売は6月1日からだから、忘れないようにしないと。
来年4月には、ウィーン遠征予定です。またもやマレーナ・エルンマンの追っかけで、24日25日の2晩、アン・デア・ウィーン劇場です。ベルリオーズの『ベアトリスとベネディクト』(マレーナ様主演)とヘンデルの『ゴーラのアマディージ』の組み合わせ。

4, saraiさん 2012/04/24 01:08
レイネさん、ハイティンク行かれますか。ブルックナーの8番のような大曲はもうそろそろ聴けなくなるかもしれませんね。チケットは入手困難のようなので、早めに手を打ちたいと思っています。ばら売りは6月からなんですね。
実は私もハイティンクを聴いた後は、ウィーンでネトレプコのタチアーナとガランチャのウェルテルを聴こうと思っています。20日前後です。ウィーンでもニアミスしそうですね。アン・デア・ウィーン劇場も食指をそそられます。
アムスでは前回行ったときに休館中ではいれなかった国立美術館でフェルメールとレンブラントを見たいし、これから楽しく計画を練ります。まだ、1年後ですからね。
ところで、今回もナッシュマルクトのウマーに行き損ねました。残念!

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ネメット70歳記念《チャルダッシュの女王》@ウィーン・フォルクスオーパー 2012.4.21

ほぼ1年ぶりでフォルクスオーパーのオペレッタ《チャルダッシュの女王》を見ることになりました。昨年聴いたときの感想はここです。今回の旅では、1年前に聴いたばかりだし、聴かないつもりでしたが、お友達のsteppkeさんから、ネメットさんの70歳記念公演(フォルクスオーパー出演30年記念)で、ネメットさんのフェリ・バチは今回で最後の舞台になりそうだという情報をいただき、あわてて、チケットを購入しました。ネメットさんのフェリ・バチといえば、ちょうど10年前に初めてフォルクスオーパーでオペレッタを聴いたときの《チャルダッシュの女王》で大変、楽しい体験をさせてくれたことを思い出します。ヨイ・ママンのリフレインを日本語でやってくれたときのことは今でもまざまざとよみがえってきます。あれでオペレッタの楽しさを知ったんです。saraiのオペレッタへの道を開いてくれた恩人とも言える人の記念すべき公演を聴き逃すわけにはいきません。

今日のキャストは以下です。

カールマン:オペレッタ《チャルダッシュの女王》 
 指揮:ルドルフ・ビーブル
 演出:ロベルト・ヘルツル
 アンヒルテ(侯爵夫人):マリア・ハッペル
 アナスタシア(スタージ):エリザベート・シュヴァルツ
 シルヴァ・ヴァレスク:アネリー・ペーボ
 レオポルト・マリア侯爵:ペーター・マティック
 エドウィン・ロナルド:トーマス・シグヴァルト
 オイゲン・フォン・ローンスドルフ陸軍中尉:マルクス・コフラー
 ボーニ:ロマン・マーティン
 フェリ・バチ:サンダー・ネメット
 シギ・グロス:ニコラウス・ハッグ

演出は1年前と同じです。派手なバレエが多く、踊り手のレベルも見事なものです。また、舞台のセットは何度見ても素晴らしく美しいです。アールヌーボー調でミュシャの絵もどきの大きな絵が目をひきます。

序曲が華やかに響き、開演です。ビーブルさんのつぼをしっかり押さえた指揮で見事な演奏です。第1幕の冒頭、舞台の大階段からシルヴァ役のペーボが華やかに登場、とても大柄でスタイルがよく、役柄にあっています。声は高域がしっかりと出ており、及第点です。中低域の声があまり出ていないので、すこし聴きとりにくい感じ。演技・踊りはしっかりとこなしています。シルヴァ役としては前回聴いたシェプフと同じくらいで立派な出来と言えます。ボーニ役のマーティンはとにかく声がよく通り、歌もうまく、とても満足な出来です。もちろん、演技も踊りにもうーんとうなされます。足りないと言えば、カッコよさくらいですね。フェリ・バチ役の注目のネメットはもう存在感だけでも華があります。お歳ですが、スタイルもよく、踊りも十分こなしています。せりふの声はさすがに少し声量が落ちている感じですが、saraiはドイツ語が分からないので、特に問題なし。歌はメリハリをきかせて、ここぞというところでは頑張って歌ってくれていました。まだまだ、やれそうな感じなので、これでフェリ役がおしまいなのは残念です。エドウィン役はシグヴァルト、声も演技もまあまあというところでしょう。第1幕はバレエの華やかな踊りに乗って進行します。また、カールマンの哀愁のあるメロディーの数々すべてがとても素晴らしい。一緒に口ずさみたくなってしまいます。前回はなかったリフレインまでがあり、聴衆は手拍子で乗りまくりになります。舞台の中心にはネメットが立ち、全体をとりしきり、しまった舞台を形作ります。あっという間に第1幕は大拍手のなか、終了。

休憩後、第2幕から第3幕まで休憩なしに一気に舞台は進みます。舞台の転換の見事さには前回同様でてきぱきと物語は進行していきます。2幕目では、スタージ役のシュヴァルツが登場。白いドレスに身を包み、立ち姿の美しさに目を惹かれます。歌声も綺麗で、踊りもうまく、演技もなかなかのものです。前回、とても評判になったスタージ役のゲッツには溌剌さで少し及びませんが、十分、満足できる歌手です。
第2幕も哀愁のメロディーが続き、saraiは聴き惚れてしまいます。ビーヴルさんの指揮による部分が大きいと感じます。前回は、このフォルクスオーパーの大きさでは鳴らし過ぎも感じましたが、今回はうまくオーケストラをメリハリをきかせて鳴らし、鳴らし過ぎに感じる部分もなく、それでいて、十分なダイナミックレンジで幅の大きな演奏を聴かせてくれました。ネメットのお祝いということで、オーケストラのメンバーも力がはいっているのでしょう。最後はシルヴァが身を引く悲しいシーンで幕切れです。

すぐに引き続き、アールヌーボー調のセットの第3幕が始まります。この幕にはいると少しそわそわしてきます。いよいよ、楽しみにしているヨイ・ママンが近づいてくるからです。登場人物も入れ替わりながら、徐々にヨイ・ママンの3人に絞られていきます。さあ、いよいよです。まずはネメットが歌い始めます。十分に声が響いてきます。この場面が見たくて集まった聴衆がほとんどでしょう。まさに千両役者。踊りも素晴らしい。聴いているsaraiも興奮します。歌はシルヴァ、ボーニに歌い継がれて、最後のダンスの見事さ。万上の拍手です。もちろん、ネメットに対しての賛辞です。まずはハンガリー語(マジャール語)でのリフレインです。ホール全体が熱気に包まれます。名歌手、1世1代の素晴らしい歌と踊り。シルヴァとボーニも素晴らしいサポートです。まだリフレインは続きます。お待ちかね、日本語と英語でのヨイ・ママン、聴いているsaraiは感動に包まれ、嬉しくもあり、悲しくもあるという不思議な感情にとらわれて、もうボロボロになって聴いていました。これで聴きおさめかと思っていたら、まあ、今日の聴衆の凄いこと。ここでホールに聴衆全員が万雷の拍手でスタンディングオベーションを始め、延々と止めません。もちろん、saraiもその一員です。オペラでも滅多に幕の途中でこんなことになることはありません。ステージ上のネメットも困ってどうしたらいいのか分からない様子。後で聞いた話では、客席から見ていた総裁のロベルト・マイヤーがもう1度リフレインをやるようにステージに指示を出したそうです。素晴らしい判断です。最後のリフレインはまたマジャール語でした。素晴らしいヨイ・ママンでした。聴衆もこれで満足して、3回にわたるリフレインが終了。ネメットの素晴らしい晴れ舞台でした。
フィナーレのハッピーエンドで、またほろりとして、終幕。カーテンコールは延々と続き、ネメットさんの祝賀式典もありました。

大満足のネメットさんのフェリ・バチで、今回のウィーン訪問も幕。このままで終われないのは、日本からここへ駆け付けたオペレッタ好きの面々です。今晩はウィーン国立歌劇場でガランチャの《ばらの騎士》もやっていましたが、それを振って、フォルクスオーパーに集まったんです。それにふさわしい出来でした。近くのカフェ・ワイマールで祝杯を上げるために予約までしてあります。大いに盛り上がって、ウィーン最後の夜が更けていきました。もう、ウィーン抜きの人生はありません。



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1, えりちゃさん 2012/04/27 21:02
sarai様、奥様、こんにちは。
ウィーンでご一緒させて頂いた大阪のオバハンこと、えりちゃです。
その節はお話出来て楽しかったです、ありがとうございました。
素晴らしいコンサートでしたね。あの地鳴りのするような弦の音、すごかったです。身体にしみ込みましたね。
ヨイ・ママンもハイマシ・ペーターも聞きたかった!!皆様、さすが情報通でいらっしゃる。
すごいブログやなあ、と読んで感心しました。私ならたった一言、”よかった”、”楽しかった”、で終わるのに、かくも詳細かつ丁寧に書いてあると、オノレの語彙の無さ、貧弱な表現力をただただ恥じるばかり。
また今後共、よろしくお願いします。

2, saraiさん 2012/04/28 02:54
えりちゃさん、無理やりのコメント、ありがとうございます。ずっとお待ちしていました。

ティーレマン+ウィーン・フィル凄かったですね! 一緒にお話しできて、楽しかったです。3回目の《ばらの騎士》はガランチャがよかったそうですね。楽しめたことでしょう。

音楽のブログでもありますが、中心は旅ブログです。これから、今、終えたばかりの旅の詳細編を書き始めますので、是非、ご愛読の上、コメントと人気ランキングの投票をお願いしますね(笑)。

ところで配偶者がEメールアドレスを教えてほしいそうで、mail欄にアドレスを記入してもらえませんか。一般公開はしないようにしますので。

3, Steppkeさん 2012/04/28 15:25
sarai さん、奥様、こんにちは。
悪い道に引き込んだ Steppke です。何とか1週間を乗り切りました。
(ちょっと長いので、分けてコメントします)

Németh さん、素晴らしかったですね。あの公演に立ち会えて、本当に幸福でした。
私の記憶の為にも、細かな点を幾つか。

第1幕の途中、O jag dem Glück nicht nach auf meilenfernen Wegen(遠くへ行っても幸せは見つからない)の前、大きな拍手が起こって1回目のスタンディングオベーションで劇が止まりましたが、Németh さんの Feri bácsi が「Es lebe die Jugend!(若さに乾杯!)」と言ったからでした。16日の公演ではそんなことはなかったので、やはり21日は特別でした。

4, Steppkeさん 2012/04/28 15:26
Jaj mamám(ヤイ、ママーン) の3回目のアンコール(これも16日には無し)は、最初はハンガリー語でしたが、リフレインの部分はロシア語でした。(私もロシア語は分かりませんが、Németh さんが歌う前にそう言ったので)

Németh さんも、終演後の式典で、目に涙を浮かべておられましたね。
Volksoper の女性スタッフからも花束が贈られましたが、一緒にアルバムも渡されました。Németh さんの Volksoper での活躍の写真が貼ってあるそうです。(私も欲しい..) 最後の数ページは、これからの活躍の為に空いていると言っていました。

これからも Németh さんの舞台に接することはできそうですが、老け役でしょうし、あれだけの役柄・名演とはなかなかいかないでしょうね。

5, えりちゃさん 2012/04/28 19:24
Sarai様、奥様、
またしてもコメントさせて頂きますね。
Steppkeさんのコメントを読んで、またまた感心!全部聞き取れているんですね!ひょっとしてテキストも全部、頭に入っている(@@)???!Volksoperに行くと、聞き取れないせいか、笑いのツボが分からなくて、寂しい時があります。
チャールダッシュの女王は、それこそまだ私が初々しいお姉さんの頃(遠い目)、20数年前の来日公演で聞いて、好きになりました。フムフム、今回がそんなオタカラ公演だったとは。
sarai様のブロクを精読して(!!!)、以後、聞き逃さないようにしますね。

6, saraiさん 2012/04/28 23:26
Steppkeさん、saraiです。

実に詳細なフォロー、ありがとうございました。本文よりも詳しかったりして・・・(笑)。さすがにオペレッタの先達・師匠です!

同じネメットさんが出演した公演でも、この日は特別だったんですね。
ヨイ・ママンの最後のリフレインはロシア語だったとは驚きです。

ネメットさんの目に涙は6列目のsaraiの席からは判然としませんでしたが、かぶりつきの中央に陣取ったSteppkeさんだからこそ、観察可能だったようです。
それにしても、Steppkeさんのお人柄からはそんなにオペレッタに熱くなるのは想像しがたいと配偶者と話していました。

ガランチャのオクタヴィアンもsaraiとは別の見方のようですから、同様にコメントをいただけると幸いです。

7, saraiさん 2012/04/28 23:39
えりちゃさん、saraiです。再度のコメントありがとうございます。

Steppkeさんへのお尋ねの件はご本人からコメントいただくとして、saraiの場合はドイツ語がほとんど聴きとれていないので、笑いのツボが分からない場合も多いですが、お芝居よりも音楽中心で楽しんでいるので、そんなに気になりません。

それよりもえりちゃさんはオペレッタ、フォルクスオーパーについて、saraiよりもずい分、先輩だったんですね。凄い! saraiはまだ、オペレッタ歴、たった10年で、何かとSteppkeさんたちにご指導・情報提供いただいています。当ブログでも、そういう情報も発信できるでしょう。ご精読いただければ嬉しいです。

8, Steppkeさん 2012/05/05 01:44
えりちゃさん、こんばんは。Steppke です。
楽友協会では、失礼しました。

私も、ほとんど聞き取れていません。
Die Csárdásfürstin は、1985年の来日時から何度も舞台に接していますし、東京文化会館でのライブCD(私はその場に居ました)も繰返し聴いたので、台詞も含めて事前に頭に入っています。なので、ちょっとした違いが分かっただけです。

Volksoper での笑いのツボは、半分も分かりません。
19日には Die Fledermaus に行きましたが、第3幕の Frosch(Gerhard Ernst さん)は時事ネタとか入るし、定番の冗談を除くとお手上げです。
しかし、ドイツ人でも分からないとか聞いていますし、地元の人でないと無理と最初から諦めています。

9, Steppkeさん 2012/05/05 01:46

そう言えば、3月に Baden で Viktoria und ihr Husar(ヴィクトリアと軽騎兵)に行った際、皆が笑い転げているのに独り笑えないでいると、隣の席のオバサマが外国人には駄目でしょうねとか話しかけて来ました。

それでも、オペレッタは、曲がきれいで親しみやすいし、面白いし(他人が笑い転げているだけでも楽しくなります)、やめられません。

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ティーレマン指揮ウィーン・フィル《シューマン尽くし》2回目@ウィーン楽友協会 2012.4.21

前日も聴いたティーマン指揮のウィーン・フィルのシューマンを2日連続で聴きます。こんな贅沢なことはありません。前日のステージ上のオーケストラ席から、今日は平土間の3列目中央の席です。真ん前の眼の高さには指揮台が聳え、今日はティーレマンの足元にひれ伏す感じでの鑑賞です。すぐ横には、コンサートマスター席が間近に見えます。オーディオ的に言えば、ステレオスピーカーにへばりついて聴くようなものです。左右の分離度は最高でしょう。前日、配偶者の隣に座っていた大阪から来られた女性はやはり、2列目の横のほうに座り、今日も開演前に音楽の話に花が咲きました。saraiの隣席には音楽のお友達のsteppekeさんも来ており、みんなで開演前の盛り上がり。滅多にない経験で演奏の前からウキウキ状態です。

今日ののキャストとプログラムは前日とまったく、同じです。

 指揮:クリスティアン・ティーレマン
 ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル
 管弦楽:ウィーン・フィル

 シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52
 シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 Op.38《春》


  《休憩》

 シューマン:ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー ハ長調 Op.131
 シューマン:交響曲第4番 ニ短調 Op.120

今日の席からもは指揮者が出入りするドアの中がよく見えます。ティーレマンの姿が見えて、最初に拍手するのはsaraiの役目のようです。

基本的には、コンサートの内容は前日と変わらないので、《差分》を中心に書きます。前日の感想も合わせて、読んでいただければと思います。

まず、《序曲、スケルツォとフィナーレ》です。この席では、左右の対向配置のヴァイオリンが極めて近く、集団としてまとまって響いてくるのではなく、直接、個々の奏者の音が聞こえてくる感じで、前日の音響とのあまりの違いにすごく戸惑いながらの聴き始めになりました。
そういうわけで、静かな演奏ではさすがのウィーン・フィルのヴァイオリンも少し不揃いに感じます。音量が高まると不思議に揃って響いてきます。序曲でのロマンチックな倦怠感があまり前日ほどは感じられません。場所のせいもありますが、前日ほどの出来ではないようです。それでも、主題部での弦の美しい響きは変わりません。ただ、前日のように身震いすることはありません。
序曲が終わったところで、今日は聴衆から拍手が出ることはありません。スケルツォのリズミカルなフレーズは前日同様の美しい響きです。
最後のフィナーレの快活で悦びに満ちた弦の響きは前日同様です。耳が贅沢になったのか、聴いている席の音響のせいか、前日の素晴らしい演奏には及ばない感じです。誤解のないように言えば、前日と比べての話で、シューマンを実感させる素晴らしい演奏には違いありません。saraiも熱狂的に拍手しました。

ティーレマンが再度登場し、前日同様、拍手も鳴り止まらないうちに、交響曲第1番《春》の第1楽章を始めます。高音弦の上昇音形のフレーズの響きの美しさには前日同様うっとりします。ただ、全体に前日に比べて、演奏の精度がもうひとつです。
第2楽章にはいり、ヴァイオリンの綿綿とした旋律が続きます。ティーレマンが第1ヴァイオリンに音量を抑えに抑えるように指示を出しているのは前日同様ですが、前日よりも指示があっさり。ウィーン・フィルとはそれなりに折り合いがついたようですね。
第3楽章のスケルツォは前日同様、悠々たるテンポのスケールの大きな素晴らしい響きです。
そして、輝かしい第4楽章に突入。祝典的に開始し、ヴァイオリンのリズミカルで美しい旋律が続きます。今日は昨日と違い、対向配置の第2、第1ヴァイオリンのこの旋律がステレオ的に綺麗に響きます。とても美しいパートです。フルートソロに続くパートでも、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンが呼応して、その旋律を引き継いでいく様が美しく聴こえてきます。とても素晴らしく感じます。祝典的なフレーズがたっぷりと響き、そのまま、コーダに突入。ティーレマンの圧倒的な盛り上げ方は天才的、カリスマ的です。素晴らしいフィナーレです。ただ、今日の前半の2曲はいまひとつの感は否めずです。後半に期待しましょう

ここで休憩。sarai自身も感性の感度が前日よりも落ちている感じです。休憩中に立て直しましょう。

休憩後はコンサートマスターのキュッヒルがソロヴァイオリンとして、登場です。
《ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジー》という滅多に演奏されない曲。
キュッヒルのソロヴァイオリンは最初から、前日を上回る熱演。そこらのソロヴァイオリニストにはとても弾けないような美しい響きの演奏です。オーケストラとの音質の同質性もあり、アンサンブルも含め、素晴らしい演奏です。前日の若干の不満を吹き飛ばす快演でした。
この曲の終了後、前日同様、ティーレマンとキュッヒルの愛情に満ちた態度はほほえましいものでした。ティーレマンとウィーン・フィルも蜜月状態なんでしょう。ウィーン・フィルはこの不世出との思えるカリスマ指揮者を離さないためにも、音楽監督ポストを復活して、ティーレマンを迎えてほしいと思います。ティーレマンは信奉者も嫌う人も半ばするかも知れませんが、その才能は誰しも認めるでしょう。シュターツカペレ・ドレスデンとウィーン・フィルに君臨し、新世代のスーパースターとして、西洋音楽を盛り立てていってほしいと心から思うものです。ティーレマンを嫌いなかたもここらで気持ちの整理をつけてもいいだけの、ティーレマンは音楽的成熟度に達していると思います。決して、恣意的な音楽表現ではなく、伝統に根差した新しい表現で広く共感を得るだけの高みに上りつつあると思います。それにクラシック界にもそろそろ新しいスターも必要でしょう。

再び、キュッヒルがコンサートマスター席に戻り、最後の交響曲第4番です。前日の素晴らしい演奏に何を付け加える必要があるでしょう。あのままで十分だと思い、固唾を飲みながら演奏を待ちます。
今回も、ティーレマンは拍手も止まぬうちにタクトを打ち下ろします。前日とは、序奏から違っていました。オーケストラをあまり抑えません。印象的な旋律が美しく流れます。まるでフルトヴェングラーみたいに聴こえます。(前日はフルトヴェングラーの伝説的名演と比べないといったのに性懲りもなく、また、比べてしまっている。)その序奏の勢いに乗って、主題部のロマンチックな旋律が美しく歌いあげられます。とても素晴らし過ぎる。ウィーン・フィルの美しい高弦がうねるように響き続け、前日の桃源郷のような音楽の世界を通り越し、彼岸の世界にいっちゃいます。ワーグナーすら感じてしまいます。今日も素晴らしい音楽に向かい合い、それに身を委ねる自分、ただ、それだけです。昨日以上に完全に音楽と一体化できました。流麗な音楽で体が揺れ始めそうです。それを必死に食い止めながら、ダイナミズムを心で受け止めます。そして、ティーレマンがまたしても高揚感に満ちたコーダをたたき込んできます。凄い音楽です。
第2楽章はチェロの独奏とキュッヒルのヴァイオリン独奏で癒されながら、一息つきます。
第3楽章のスケルツォは弦楽合奏の分厚く、美しい響きが前日以上に迫ってきます。こんな音楽をやられたら、堪らないですね。繰り返して演奏されるこの素晴らしい弦楽合奏に気持ちは高揚するばかりです。いったん、沈静化した音楽は、アタッカでぐんぐんクレシェンドしながら、終楽章へ突入。
第4楽章は一気にテンポを上げ、祝典的でもあり、瑞々しい悦びにも満ちた主題が合奏され、頂点を目指し始めます。理屈抜きで、ウィーン・フィルの素晴らしさ、楽友協会のホールに音の素晴らしい響きに体がとろけそうです。ティーレマンが剛直に音楽を推進していき高みを目指していきます。前日同様、いったん、テンポをスローダウンし、スケール感と美しい響きを整え直して、オーケストラの響きが磨き上げながら来たるべき頂点への期待を高めていきます。そして、終盤に向かい、ティーレマンもテンションがあがります。テンポを一気に上げ、誰も上ったことのない頂上に上りつめていきます。ティーレマンは前日以上に凄まじい気迫に満ちています。感動の痺れるようなフィナーレでした。神のごときティーレマンの指揮に、ただただ、ひれ伏すのみです。実際、ひれ伏す席なんです。まさか、あの素晴らしかった昨日以上の演奏に出会えるとは想像していませんでした。楽友協会のホールは沸きに沸きました。指揮者だけのステージ登場も2回に及びました。もし、これが東京なら、5回は呼びだしたでしょう。ティーレマン渾身のシューマンでした。

このコンビでシューマンのCDを録音すれば、フルトヴェングラーの伝説的名演と並び立つ名演になるでしょう。それほどのシューマン(第4番)でした。


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       ティーレマン,        キュッヒル,        ウィーン・フィル,  

ウィーン最後の夜はお友達と楽しいおしゃべり

旅の16日目です。

明日は帰国です。現地レポートもこれでオシマイ。
今日はHさんを始め、日本から来ていて一緒になった仲間(実は昨夜と同じメンバー)と12時からオーストリア料理のレストランでわいわいやって、そのまま、皆でウィーン楽友協会でのティーレマン指揮ウィーン・フィルのシューマン尽くしを昨夜に引き続き、聴きに行きます。

終わると、その足で今度はフォルクスオーパーに移動です。オペレッタ好きには聴き逃せない《チャルダッシュの女王》の公演です。ネメットさんの70歳記念のオペレッタで、彼の最後になるかも知れないフェリ・バチを聴きます。熱いものが胸にこみ上げます。日本語でヨイ・ママンを歌ってくれるのは彼で最後になるでしょう。

オペレッタの後はカフェ・ワイマールで最後の夜をFeriさん、Steppekeさん、Hさんと楽しく語り合いました。ウィーンを去るのが名残り惜しいです。

明日は聖シュテファン大聖堂での日曜ミサでモーツァルトのK.192のミサ曲を聴いて、急いで空港に向かいます。
ウィーンの音楽三昧はとても素晴らしいものばかりでした。今日のコンサート、オペレッタについては帰国後、感想をアップします。

今日の歩数:6,597歩


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最後は聖シュテファン大聖堂でモーツァルトのミサ曲

旅の17日目です。

今日は帰国です。
既に荷物のパッキングは昨夜、配偶者がやってくれており、朝はさっとホテルをチェックアウト。
トラムと地下鉄を乗り継ぎ、ウィーン・ミッテ駅へ移動。そこにあるシティ・チェックイン・カウンターで午後1番の帰国便のチェックイン。荷物を預け、ボーディングパスを受け取ります。このカウンターはがらがらでチェックインも楽々です。

身軽になって、地下鉄で聖シュテファン大聖堂に向かいます。ウィーン最後のお楽しみは日曜ミサでのモーツァルトのミサ曲(K.192の小クレド・ミサ)です。
お友達のSteppekeさんに教えていただいた情報なんです。
少し早めに着いたので近くのマックで早業で朝食を済ませ、聖シュテファン大聖堂の信者席につきます(信者じゃないけど・・・)。
ドームに響く小編成オーケストラと合唱をしみじみと聴かせてもらいます。配られた楽譜の聖歌も一緒に歌い、近くのかたと握手して、おしまい。ウィーンの旅を閉じるのにふさわしいですね。

さあ、急いで空港に向かいましょう。Steppekeさんも偶然同じ便なので、合流して、CATでシュヴェヒャート空港に余裕で到着。

無事に帰国しました。

まだ、アップできていないコンサート、オペレッタの記事もあるので、ぼちぼち、整理していきます。
いつもの通り、旅の詳細編も開始しますので、引き続き、ご愛読ください。


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無事、帰国はしたものの・・・トホホ

ウィーンからの直行便で成田に向かう間、まだ書けていなかったティーレマン+ウィーン・フィルの2回分のシューマン・コンサートのブログ記事に没頭していて、ほとんど一睡もできません。一方配偶者は、白ワインがきいたのか、はたまた座席のサウンドシステムが壊れていて映画が見られなかったためか、ぐっすりと寝込んでいます。

早朝に成田に着き、お昼前には自宅に到着。自宅は出かけたときのままで平穏そのもの。ベランダの花たちだけが大きく成長し、咲き誇っています。荷物は成田空港で宅配をお願いしたので、荷物が届くのは夜になりそうです。まだ何をする気にもなれず、とりあえずPCでネットしていると、さすがに睡魔が襲ってきてどうにもなりません。昼寝するしかありません。saraiが爆睡している間、配偶者は郵便物の整理や親しい人たちとメールしたりしていたようです。そりゃ、元気一杯でしょう。
saraiは、夕食の時間には昼寝から無理やり抜けだしますが、頭はぼーっとしています。そのうちに宅配便で荷物が届いたので、中身を取り出して整理すると、もう深夜です。配偶者はあっという間に就寝。もうすっかり日本のペースになっているようです。saraiもしばらくして追っかけるように就寝。またまた爆睡です。寝ていると、夢の中で何か声が聞えてきます。どうやら配偶者のようです。「おトイレはどこにあるのーー!!」って、切迫した声です。「何言ってるんだ・・・・ここは家だぞ」とsarai。「あ、そーか」って、納得した様子で戸を開けてトイレの方に向かいます。ホテルと思い、部屋の中をトイレを探して一周したけど見つからなかったとのこと。結局、配偶者もボケているようです!
saraiは10時間ぐっすり寝ましたが、それでもまだ眠くて1日中ぼーっとしています。そして今日も同じ調子。配偶者は、お土産を孫達に送り、せっせと洗濯をして片付け、旅の気配は跡形もなく片付いてしまいます。なんとか、明日はもう少し、しっかりしましょう。

というわけで、ウィーン最後のオペレッタ《チャルダッシュの女王》の記事を書く気力も出ない状態。旅への出発前に切れかけていたプリンターのインクを、帰国後早速amazonに注文はしたものの、届いたのは間違った型番のインク。完全に頭の回転が停止状態です。
旅の後には、時差ぼけ地獄が待っていました。この記事もぼーっとした頭で何とか気持ちを奮い立たせて書いていますが、また睡魔が・・・・
なるべく早く、頭が冴えたところでブログを書きたいと念じています。


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快演!パク・ヘユン・ヴァイオリン・リサイタル@紀尾井ホール 2012.4.27

期待のパク・ヘユンが蘇ってくれました。応援者のsaraiとしては、これほど嬉しいことはありません。
今日のリサイタルはプロジェクト3×3というシリーズの一環で、昨年から続いています。パク・ヘユンも昨年から2回目のリサイタルで来年の3回目まで続く筈です。昨年は大震災の影響で4カ月延期して7月にリサイタルが行われました。そのときのリサイタルについての記事はここです。実に不満足で残念なリサイタルでした。体調不良とのことでしたので、今日は是非、復活したパク・ヘユンを聴きたいと思っていました。ただ、正直、不安感もあったのは事実です。結果はすべての不安を払拭してくれて、ブラームスの協奏曲を弾いたときのあの素晴らしいパク・ヘユンが戻ってくれました。

今日のプログラムは以下です。

 ヴァイオリン:パク・ヘユン
 ピアノ:ラウマ・スクリデ

 シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D.574
 ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調

  《休憩》

 シマノフスキ:3つの神話 Op.30より 第1曲《アレトゥーサの泉》
 プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ長調 Op.94bis

  《アンコール》
    ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品 Op.75より、第1曲 アレグロ・モデラート 変ロ長調
    クライスラー:中国の太鼓

パク・ヘユンがステージに登場してきました。昨年よりも、やや顔がふっくらした感じで、笑みをうっすらと浮かべて聴衆に挨拶。ずい分、昨年とは印象が異なります。
まず、シューベルトのソナタです。第1楽章はシューベルトの優しさが滲み出たような音楽ですが、パク・ヘユンのヴァイオリンの響きは第1音から、その優しさを見事に表現しています。この時点でsaraiはパク・ヘユンの復活を確信しました。第2楽章以降も動きの少ない弓さばきで端正な音楽を奏でてくれました。刺激的な響きのまったくないパク・ヘユン特有の音作りです。まずは満足しました。

次はラヴェルのソナタです。ピアノ協奏曲と同じト長調でジャズの要素を取り入れた兄弟のような作品です。パク・ヘユンが奏でる響きは実に新鮮で今まで聴いた、この曲とは印象が異なります。先ほどのシューベルトに比べて、ヴァイオリンの響きが深く、美しくなったようです。第1楽章はジャズというよりも流麗な音楽な流れます。第2楽章のブルースも実に流麗、うっとりと美音に聴きほれます。第3楽章は一転して、凄いテクニックでバリバリと弾きこなされます。パク・ヘユンは静かな動きの弓づかいでの流麗な響きと激しい動きの弓づかいでのダイナミックな響きの2面性のある響きを明確に弾き分けて、多彩な音楽表現を聴かせてくれます。今後、この2つの表現がさらに密接によりそっていくことで素晴らしい音楽を構築していってくれることでしょう。今はまだ、その序章段階です。

休憩後、まず、シマノフスキの《アレトゥーサの泉》です。実にミステリアスな曲が流れます。前半の演奏よりも音の響きがよくなり、見事な演奏です。弓づかいは静かな動きの流麗な響きで、この曲の曲想にぴったりです。選曲も見事ですね。途中、自然な感じでさりげなく、ダブルストップで演奏されますが、あくまでも響きは刺激的でなくて流麗そのもので、ミステリアスな雰囲気を高めます。前半の2曲に増して、素晴らしい演奏で心が洗われる思いの清新な演奏です。
ちなみに題名のアレトゥーサというのはギリシャ神話の女神であり、その女神が泉に変身してアレトゥーサの泉になったそうです。このアレトゥーサの泉はsaraiが昨年旅したシチリアのシラクーサの街のオルティージャ島にあります。パピルスの生い茂る印象深い泉です。この泉から5分ほどのところにあるホテルに泊まりました。ホテルの名前もアレトゥーサ・ヴァカンツェB&Bでした。そのときの模様はここに書きました。

最後はプロコフィエフのソナタ第2番です。これはsaraiの大好きな名曲です。最初は原曲のフルート・ソナタで馴染んだ曲で、なかなかヴァイオリン・ソナタとしては違和感が拭えませんでしたが、今ではフルート・ソナタであったことを失念するほど、ヴァイオリンがぴったりに感じます。プロコフィエフの新古典主義で作曲した曲のうち、とても成功した曲です。第1楽章の古典的で端正な響きをパク・ヘユンが素晴らしく美しく奏でます。この第1楽章の演奏は素晴らしく、今までの3曲の演奏を大きく上回ります。しり上がりに音の響きの豊かさ、演奏の精度を上げてきました。端正で新鮮で瑞々しい演奏です。何かつけくわえる要素としては、細かなテンポの揺らしでしょうが、20歳の若いヴァイオリニストにとっては、そういう小細工めいたものは排して、若々しい演奏に徹してもらったほうがsaraiも気持ちがいいです。第2楽章、第3楽章とすっきりとした音楽を聴かせてくれました。第4楽章にはいると、今度はバリバリとテンポアップしてきびきびした演奏に変わります。こういう演奏が実に爽快で素晴らしいです。フィナーレに向かい、saraiは高揚感で音楽の楽しさを満喫。パク・ヘユンは確実にステップアップしたようです。これからも紆余曲折もあるでしょうが、現代を代表するヴァイオリニストの一人になってくれることは間違いないでしょう。saraiの命のある限り、見守り、応援していきたい逸材です。

アンコールのドヴォルザークは懐かしさを感じさせる素晴らしい演奏でした。まさにこの日の演奏の頂点に達したようです。続くクライスラーも別の響きで満足の演奏でした。

まだ、彼女は知名度が低く、聴衆が少なくて、気の毒でしたが、saraiにとっては、少ない聴衆の一人として、こういう素晴らしいリサイタルを堪能できて、大変、贅沢な思いをしました。

次はNHK交響楽団の定期演奏会でメンデルスゾーンの協奏曲を弾くようなので、多くの人が彼女の真価に付くことになるでしょう。



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旅で見つけたブッシュ弦楽四重奏団のLPレコード

旅には出会いがあります。人との出会いも然り、そして、こんな出会いもありました。古いLPレコードとの偶然の出会いです。
ウィーンの少し郊外のトゥルンの街、そこは画家エゴン・シーレの生まれた街です。シーレに惹かれて、トゥルンの街へ出かけ、通りを歩いていて、たまたま見つけたレコード店。そこのご主人の案内で店内の膨大なLPレコードのコレクションを見せていただき、偶然、目に止まったLPレコードがブッシュ弦楽四重奏団のベートーヴェン後期弦楽四重奏曲集でした。大枚はたいて、手に入れました。


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大事にスーツケースの衣類の間に挟んで日本まで持ち帰りました。そして、ようやく時差ぼけがかなり解消した今日になって、ちょっとだけ聴いてみようと3枚組のディスクの1枚をケースから抜き取って、レコードプレーヤーに乗せ、慎重に針を下ろしました。
最初の1枚はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 Op.131です。何せ1936年の録音ですから、どういう音質なのか、皆目見当が付きません。とりあえず、今日は音質や盤質だけチェックし、後でゆっくりと鑑賞しましょう。
すると、スピーカーから流れてきたのは実に妙なる響き!! うっ、美しい。とても75年も前の演奏とは信じられない美しい響きです。もちろん、モノラルですが、そういうことを意識させない立体感のある音です。
それ以上に第1ヴァイオリンのアドルフ・ブッシュの素晴らしい演奏に耳をそばだたせてしまいます。特に高音域の伸びやかな響きは美しく、物悲しくもあります。ベートーヴェンの後期の作品は諦観を感じさせられるのが特徴ですが、ブッシュの演奏は気品に満ちていて、やわらかな情緒を漂わせています。もう、途中で針を上げる暴挙など、saraiにはできません。結局、美しい響きに身を任せて、第1面を聴き終えました。もちろん、ふらふらっと立ちあがったsaraiは何も考えずにディスクをひっくり返して、第2面に針を下ろします。弦楽四重奏曲第14番の残りの楽章の音楽がたおやかに流れ始めます。時間の流れを忘れ去り、ブッシュの素晴らしいヴァイオリンの高域の響きに集中するだけです。
全然、古さを感じさせないスタイルの演奏ですが、かと言って、今時の弦楽四重奏団では聴けそうもない実に優雅な演奏です。これがドイツ音楽の真髄を行く本流の演奏なんですね。綿々とした情緒を美しい響きで紡ぎだす演奏です。渋さとは縁遠い演奏。ウィーン風とでも表現したい音の響きです。オーケストラならば、ウィーン楽友協会で聴くウィーン・フィルの響きにでも例えたいような響きです。
第2面を聴き終わり、弦楽四重奏曲第14番も全曲聴き終わりました。でも、もう、ここで止めるわけにはいきません。とりあえず、次の第3面、第4面に収録されている弦楽四重奏曲第15番イ短調 Op.132も聴いてみましょう。特に第4面のMolto Adagioと最後のFinaleの素晴らしかったこと! この曲は今までは何といってもブダペスト弦楽四重奏団の演奏がダントツに好きでしたが、強力なライバル登場です。
ここまできたら、残りの1枚も聴いちゃいましょう。弦楽四重奏曲第12番変ホ長調 Op.127と弦楽四重奏曲第16番ヘ長調 Op.135です。あまりの素晴らしさに結局、3枚全部聴いてしまいました。

旅でたまたま出会ったLPレコードはドイツElectrola EMIのLPで盤質もとてもよく、ほとんどスクラッチノイズもなし。なにより、名演奏です。手放せない宝物を手に入れた気持ちです。やはり、これぞと思うものに出会ったら、即お買い上げは、はずれもありますが、原則中の原則です。こういうものは2度と出会えないでしょう。

こうやって、まだ、旅の名残りに浸っている日々が続いています。



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来シーズンのヨーロッパの注目公演:ウィーン国立歌劇場

旅には終わりがない。旅を終えたら、次の旅をどうしようかと考えます。saraiの旅は音楽と切り離すことができない旅。

ということで、これからのオペラ・コンサートのチェックをしましょう。
既に来シーズンのヨーロッパのオペラやコンサートのスケジュールはほとんど発表されています。
saraiが注目しているオペラ、コンサートについて、まとめてみましょう。
ウィーン国立歌劇場でsaraiが厳選したオペラは以下です。

2012年9月 《エレクトラ》ヤング指揮、バルツァ、ポラスキ、デノケ、ローズ、アンガー
 これは凄いキャストですね。エレクトラ役のポラスキが叫びまくれば、感動的でしょう。デノケがクリソテミスを歌うのも贅沢だし、バルツァのクリテムネストラも余裕の配役。

2013年1月 《薔薇の騎士》テイト指揮、デノケ、ローズ、ホウトツェール、シュヴァルツ
 今月聴いたばかりの《薔薇の騎士》はガランチャのオクタヴィアンはカッコよさ、可愛さ、そして、もちろん美声と3拍子?揃った最高のものでしたが、来年はデノケの元帥夫人が聴きもの。第1幕最後のモノローグでは、ピュアーな高音でしみじみとした歌唱が聴けるでしょう。テイトの指揮がどうであれ、モノローグは彼女の一人舞台ですからね。

2013年1月 《シモン・ボッカネグラ》ピド指揮、ドミンゴ、フリットリ
 ドミンゴはともかく、フリットリが聴きたいですね。ヴェルディ・イヤーにふさわしい歌唱が聴けるでしょう。

2013年4月 《エウゲニ・オネーギン》ネルソンズ指揮、ネトレプコ、ホロストフスキー、コルチャク
 ネトレプコのタチアーナは聴き逃せませんね。手紙の場だけでなく、終幕もよさそうです。ホロストフスキーのオネーギンも適役。問題はネトレプコがキャンセルしないかどうかだけ・・・

2013年4月 《ウェルテル》ドゥ・ビリー指揮、アラーニャ、ガランチャ
 これも今月聴いたばかりですが、カサロヴァのシャルロッテは期待以上の好演だったものの、やっぱり、ガランチャが聴きたい! それにウェルテルがバリトン版だったので、ちゃんと?、テノールで聴きたいし、アラーニャが歌うのなら文句はありません。これも聴き逃せません。これも問題はガランチャがキャンセルしないかどうか・・・

2013年5月 《カルメン》ドゥ・ビリー指揮、アラーニャ、ガランチャ、テジエ
 このガランチャのカルメンも聴きたいですね! そんなに毎月、ガランチャがウィーンで本当に歌うのかな・・・
 
2013年6月 《カプリッチョ》エッシェンバッハ指揮、フレミング、スコウフス、シャーデ、リドル、キルヒシュラーガー
 これも凄いキャストですね。これで満足できない筈がない。オーケストラだけだって素晴らしいのだから。絶対に聴き逃せません。

残念ながら、これらを全部聴くわけにはいきません。財布と相談しながら、絞り込む必要があります。
すると、来年4月の《エウゲニ・オネーギン》と《ウェルテル》をまとめて聴くのが第1の選択。
そして、来年6月の《カルメン》(最終公演は6月2日)と《カプリッチョ》を何とか、つなげて聴くのが第2の選択になりそうです。
来年1月の《薔薇の騎士》と《シモン・ボッカネグラ》にも気をそそられますが、ウィーンの冬の寒さを恐れているsaraiです。

ということは今年の旅はもう、なしってことかな~??

ほかのオペラハウスやコンサートも来年の4月、6月のあたりで検討するしかなさそうです。それは明日、検討してみましょう。

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たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
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京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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