今回は久々にオーディオの話題です。
と言っても、実はもう数年前の話です。現在、アンプのリペアの記録を整理していたので、それをご紹介します。
その頃に使っていたパワーアンプQUAD606がハムを発生するようになったので、新たにパワーアンプQUAD405をネットオークションで購入しました。
もちろん、ヴィンテージアンプなので、かなり使い込まれた古いものです。

この落札したQUAD405は左チャンネルがまったく鳴らない状態だったので、早速、リペアに取りかかりました。中古品を購入したので、動作不良はおりこみ済みでした。
まずはアンプを分解しました。分解はそう難しくはありませんが、基板を取り外すのが面倒です。なんとか基板をはずして、少し調べたら基板上のフューズが2つとも断線。これが原因かと思い、交換してみても通電と同時に花火状態で断線します。
ここから本格的に修理モードにはいりました。
まず、劣化しやすい電解コンデンサをすべて交換してみました。結果はまったく変わりません。
仕方がないので、基板上の全回路をテスターで測定した結果、2つある出力トランジスタのひとつが壊れているのが判明しました。
これがそのパワートランジスターのRCAの17556です。

回路図を調べると、オリジナルのトランジスターはBDY77ですが、製造時期によって、使われている部品が変遷しているようです。
この型番のトランジスタ(RCAの17556)は入手できなかったので、互換トランジスターの2SD424に交換してみました。

すると、無事、鳴り始めました。これって、快感です。ちょうど、難解な数学の問題を解いたときの感覚に似ています。この瞬間から、また、オーディオにのめり込んでいくことになってしまいました。
一応、修理は完了ですが、もう、ここで止めることはできません。きっちりと整備・修復をします。
まずは電解コンデンサをすべてBLACK GATEのコンデンサーに交換しました。これでしばらくは電解コンデンサーの劣化に気を使う必要はありません。

次にいったん交換した出力トランジスタの2SD424ですが、これは左チャンネルのみだったので、左右を同じもので統一したいので、この際、ネットサイトで推奨されている高速動作タイプのNECの2N3773に交換しました。電気回路はど素人のsaraiですが、昔学んだ物理学では、高速タイプの素子を使えば、位相の歪みが減少する筈です。位相の歪みといえば、難しそうですが、要はタイムドメインでの周波数帯別の応答時間のズレが少なくなるっていうことです。そう信じて高速タイプを採用しましたが、この理解でよかったんでしょうか(笑)。

出力トランジスター(TR9,TR10)の4個すべてを2N3773に交換したので、正常動作のRCAの17556が3個、交換用に購入した2SD424が2個余ってしまいました。緊急時の予備部品にします。
劣化の恐れのあるR7,R8の3.3Kの抵抗を交換しました。
スピーカージャックを金メッキのバナナプラグ用に交換しました。入力ジャックは購入時に既にRCAジャックに交換済みでした。

また、電源用のフィルターコンデンサも23000ufの大容量に交換済みでした。
ここまでで第1次の整備・修復は完了しました。
ところで、ひとつ疑問点がありました。
購入したのはたしかに405(ケースに表示)ですが、中身の基板・回路は明らかに405-2でした。出力トランジスターがBDY77でなく、17556だったのは中身が405-2だったからでしょう。405から405-2への過渡期の製品だったのかも知れません。
その後、また、手を入れました。第2次の整備・修復です。
まずはオペアンプをBurr BrownのOPA637BPに交換しました。一般的には、Burr BrownのOPA604とかに交換するようですが、思い切って、新しいモデルを選択しました。

高域の発振とか不安定動作が心配でしたが、以下の対策も実施し、問題なく動作しました。
・ツェナーダイオードを16Vに変更(従来は12V)
・パワー(+、-)を0.1ufのフィルムコンデンサでグランドに落とす。
次に出力トランジスタTR9、TR10に続いて、ドライバトランジスタTR7、TR8も高速タイプの2SB536に交換しました。

これで、主要な部品は電源トランス以外はほとんど交換したことになります。
音質は満足していましたが、オリジナルと比べて、どうなのかは、オリジナルを知らないので、正直、分かりません。
しばらくはこのパワーアンプでCDを聴いていました。
その後、ハムに悩まされていたQUAD606も電解コンデンサーをすべて交換し、ハムは発生しなくなりました。オペアンプも交換し、QUAD405と遜色がないレベルになりました。プリアンプQUAD33との相性の良さから今はQUAD606を使用しています。QUAD405は予備用です。
ただし、トランジスターアンプはサブシステムの役割です。メインシステムは真空管アンプのQUAD22とQUADⅡです。この真空管アンプにたどり着くきっかけがこのQUAD405のリペアだったわけです。QUAD405は今は使っていませんが、saraiのオーディオ生活の出発点となった重要なアンプです。
なお、QUAD405修理については
ここのサイトに詳しく説明があります。
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