京都の旅ということで、京都で40年ぶりにコンサートを聴きます。そう、40年前はsaraiは京都の学生でした。当時は京都会館での京都市交響楽団コンサートを乏しい小遣いをやりくりしながら聴いていました。まだ日本で名前が知られ始めたマルタ・アルゲリッチも京都市交響楽団と共演したことが懐かしく思い出されます。常任指揮者は渡辺暁雄さんでした、多分。
その岡崎の京都会館は現在休館中。コンサートは北山の京都コンサートホールで開かれています。saraiはもちろん、この京都コンサートホールは初体験。とても立派なホールでした。外観はこんな感じです。

ホールの内部はこんな感じです。東京オペラシティホールに似た感じでしょうか。

ホールまでの通路も螺旋状の斜路になっていて、ユニバーサルデザインに基づいています。バチカン美術館と同じような感じです。

音の響きはまずまずといったところです。もちろん、昔の京都会館とは比べものにならないくらい良くなっています。
さて、今日のコンサートは子供連れでも楽しめるオーケストラ・ディスカバリー2012と銘打ったものです。だからと言って、曲目は必ずしも子供向けとは思えないものが多いのが不思議です。だからこそ、saraiも聴きに行く気になったんです。
今日のキャストとプログラムは以下です。
ピアノ:小川典子
指揮:広上淳一
ナビゲーター:ガレッジセール
管弦楽:京都市交響楽団コンサート
、、
ホルスト:組曲《惑星》から《木星》
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
《休憩》
ロッシーニ:《ウィリアム・テル》序曲から《スイス軍の行進》
モーツァルト:歌劇《魔笛》序曲
マーラー:交響曲第1番《巨人》から第4楽章
まずはホルストの有名なジュピターです。40年ぶりに聴く京都市交響楽団のお手並み拝見です。おっ、なかなか切れのいい響きの演奏です。弦楽器、特に第1ヴァイオリンの響きが弱いですが、奏者の数も少ないので仕方ありません。演奏の質は弦、木管、金管のバランスのよいアンサンブルで満足です。ちょっと金管の響きがデラックスなのもご愛嬌です。京都に住んでいたら、間違いなく、京響の定期会員になって、応援していたところです。40年前の演奏よりも確実にアンサンブル力は向上して、響きの透明度はよくなっています。音楽そのものの質はよく聴きこまないと何とも言えません。曲は歯切れのよい演奏から、あの有名な旋律に移ります。弦が中心での美しい演奏です。もっと分厚い響きなら、言うことありませんが、これで十分とも言えます。また、歯切れのいい演奏に戻って、気持ち良くフィナーレ。なかなか、よい出だしです。
ここで指揮の広上淳一がマイクを取って、ガレッジセールの二人をステージに呼び出し、漫談のような解説が始まります。これでクラシックのファンが増えるきっかけになるといいですね。そうこうするうちに、ピアノがステージ中央に引き出されて、次の曲の準備完了。一番、楽しみにしていたラフマニノフの《パガニーニの主題による狂詩曲》です。
小川典子が赤いドレスに身を包み、颯爽と登場。期待通りの素晴らしい演奏です。ガンガン弾くべきところは彼女のお得意だし、内省的な響きの演奏にも納得。一番盛り上がる第18変奏の有名な旋律は綺麗なタッチで美しい演奏、その旋律を受け継いだオーケストラは抑えた演奏でピアノの和音の響きを際立たせ、なかなかのサポートで感心しました。ある意味、頂点を過ぎたとも思える曲はどうしてどうして、ピアノの鋭い技巧が際立って、さらにヒートアップします。最終の第24演奏まで息継ぐ暇もなしという感じで一気に突進していきます。こんなガラ・コンサートで聴くのがもったいないような素晴らしい小川典子のピアノ独奏でした。トッパンホールで聴いたプロコフィエフのソナタも凄い迫力の演奏でした。そのときの記事は
ここです。今回はラフマニノフということで違いはありますが、これも小川典子の真骨頂を見た思いです。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番も聴いてみたくなりますね。もちろん、プロコフィエフのピアノ協奏曲も聴きたいです。上原彩子とまた違う個性で、日本人でこれほどプロコフィエフとラフマニノフが弾けるピアニストが2人もいるのは大変な驚きと喜びです。
休憩後、ウィリアム・テル序曲と魔笛序曲です。これも切れ味のよいピュアーな響きの演奏でしたが、まあ、軽く聴けばよい音楽でしょう。
最後はマーラー。巨人の第4楽章だけ。一番の聴きどころの楽章ですが、第3楽章からのつながりを欠くので、どうでしょうね。ただ、演奏は次第に熱を帯びて、このオーケストラの能力ぎりぎりまで出し切った演奏になり、国内のオーケストラとしては最高水準のマーラー演奏になりました。ここまで演奏できるのなら、大編成のオーケストラ(特に弦楽セクション)で全曲聴きたかったところです。
まあ、9月からはインバル+東京都交響楽団のマーラー・チクルスが始まるので、この交響曲第1番もじっくりと聴けます。お楽しみはそのときまで取っておきましょう。
なお、予習で聴いたテンシュテット畢生のシカゴ交響楽団とのライブCDには、本当に感動しました。この曲の真髄を聴いた思いです。マーラーファン必聴のCDですが、saraiはテンシシュテットは全集盤のロンドン・フィルのスタジオ録音しか聴いていませんでした。同じ指揮者とは言え、まったく別次元の演奏です。未聴の方は是非聴いてみられることをお勧めします。saraiはこのCDでこの交響曲の評価が一変してしまいました。
懐かしい京都でのコンサートを聴けて、とても幸福な気分になりました。青春時代の自分が戻ってきたような感じでした。
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この記事へのコメント 1, Masaさん 2012/06/26 16:15
こんにちわ。京響は僕も大好きなオケです。名古屋公演もしてくれるので、うれしいです。
名古屋フィルにいたホルン主席の水無瀬さんが、京響に移られたんですよね。水無瀬さんの音が大好きだったので、少し悔しい気持ちなんです(笑)
・・・私は四日市(三重県)に住んでいるので、名古屋が拠点。よって名古屋フィルのサポーターなんです(笑)
2, saraiさん 2012/06/26 22:41
Masaさん、こんばんは。saraiです。
40年ぶりの京響でしたが、少なくとも技術的・機能的には格段に向上していました。特に印象深かったのは弦の奏者に女性が圧倒的に増えていたことです。これは東京のオーケストラも同じ傾向ですが、若い女性弦楽器奏者の優秀さは驚くほどです。
力量のある指揮者次第で素晴らしい演奏を聴くことができますね。
名古屋フィル、今度はそのオーケストラも聴いてみないといけませんね。全国的にオーケストラの実力が上がっているのかもしれません。Msaさんがサポーターの名古屋フィルのお手並みも拝見しましょう。
テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽