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ヴァイマールは芸術家が花盛り:ヴァイマール巡りは大公家の墓所から

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/1回目

旅の7日目です。

昨夜早く寝た配偶者は、まだsaraiがぐっすり眠っている頃にお目覚め。
枕元のサイドテーブルに可愛い小箱があったそうです。配偶者が何かな・・・と思って開けてみると、耳栓だったそうです。こんなサービスは初めてですね。昨夜はsaraiのかなりの轟音に配偶者は夜中に目覚めてしまったようですが、こんなものがあれば使えば良かったのにね。ま、こういうことはお互い様なので、お互い我慢しましょうね。
・・・というのがsaraiが起きるまでの配偶者の行動でした。

saraiは普通の時間に起床。早起きしていた配偶者とおはようのあいさつして、早速、この旅で唯一のホテルの朝食をいただきます。今回の旅のテーマは「カフェの朝食」ですから、基本的にホテルに朝食はつけていませんが、ここだけは例外です。地方の街ですからね。
朝食レストランはとても清潔です。既にかなりの宿泊者が朝食を食べています。


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例によって、saraiはカプチーノ、配偶者はホットチョコレートをお願いします。メニューはかなり充実しています。ソーセージやハムの種類の多さに驚きます。いろいろ試してみたくて、すべての種類を一切れずつ取り二人で味見です。よくぞこんなにいろんな種類が作れるもんですね。


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美味しいです。暖かいものは朝食には作らず、パンとハムとソーセージとチーズのみだと聞きますが、これだけ種類があれば変化に富み楽しめるでしょうね。そういえば、市場でもソーセージを切り分けて購入してましたね。
テーブルには、燭台にちゃんとしたロウソクが立てられ灯がともされてます。プロテスタントの国だからでしょうか。

朝食後ホテルをチェックアウトし、荷物だけ預かってもらいます。ホテルを出ると、目の前には小さな公園があります。ヴィーランド広場Wielandplatzの公園の前に佇み、どこから周ろうかと思案します。


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まずはホテルから近いリストの家に向かいます。朝のヴァイマールWeimarの通りは人通りも少ないです。それにしても、ドイツの街はどこに行っても、街が清潔なことには驚かされます。ドイツ人の国民性でしょうか。


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通りには凄く立派な建物もありますが、何の建物なんでしょう。


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大きな緑地に出ます。


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このあたりにバウハウスBauhaus創立の建物があるので、外観だけでも見て行きましょう。しかし、バウハウスへの曲がり角で道が分からなくなります。家の壁にある住所表示を見るとバウハウス大学Bauhaus-Universitätと書かれているので、大きな間違いはなさそうです。


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緑地の前は綺麗な公園になっています。この公園で地図をよく検討してみます。


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すると、何と目の前の緑地はゲーテとシラーの棺がある大公家の墓所Fürstengruftではありませんか。もっと遠いところだと思っていました。これは行かなくてはいけません。


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ヴァイマールで一番の有名人はおそらく、ゲーテでしょう。その盟友はシラー。その2人の墓参りからヴァイマール巡りを始めるのは具合がいいですね。その後で、2人がそれぞれ後半生を過ごし亡くなった家で、ヴァイマール巡りを締めくくるのもいいかも知れません。
大公家の墓所の入口には、歴史的な墓地Historischer Friedhofの見取り図があります。


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広々とした緑地、それは墓石が並ぶ墓地なんです。近くに寄って見ると確かにお墓があります。


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この緑地の中央をまっすぐ貫く道を通り、正面に見えている建物に向かいます。この建物は霊廟です。そこにゲーテとシラーの棺がある筈です。


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霊廟に向かってどんどん歩いていきます。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:大公家の墓所からバウハウスへ

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/2回目

大公家の墓所Fürstengruftは緑地の中にお墓が点在しています。その中を歩きます。


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向かう先はゲーテとシラーの棺が収められている霊廟です。緑地の中央にあります。綺麗な建物ですね。


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霊廟の建物に入るのは有料ですが、ここでケチるわけにはいきません。扉を開けると、右手にチケット売り場があります。「チケット2枚お願いします」と窓口の女性に言いながら窓口の横の表示を見ると、チューリンゲンカードの説明があります。あわててチューリンゲンカードを提示すると、チューリンゲンカードがここでは有効で無料で入れます。窓口の女性は初めからチューリンゲンカードを提示しなかったことを訝り、後ろのロッカーから分厚いガイドブックを取り出し、「あなたはこのガイドブックは持っていないの?」と聞いてきます。


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持っていないと言うと、ガイドブックの中身の説明をしてくれます。それはチューリンゲンカードが有効な施設の案内です。ガイドブックの表紙の見開きに案内の地図が掲載されています。ヴァイマールWeimarとエアフルトErfurtの地図です。何故か、アイゼナハEisenachの地図はありません。


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もちろんこの大公家の墓所もその地図上に無料入場可の説明があり、大公家の墓所以外もヴァイマールのほとんどの施設は無料になるようです。しかもこのガイドブック自体が無料だとのことで、ありがたくいただきます。どうも御親切に、ダンケ・シェーン!
棺は霊廟の建物の地下の安置所に並んでいます。階段を下りて、一番近くにゲーテの棺、その隣がシラーの棺です。立派な棺です。ゲーテと言えば、今回の旅でマスネのオペラ《ウェルテル》をウィーン国立歌劇場で観る予定ですが、その原作はゲーテの《若きウェルテルの悩み》です。シラーは今回は関係ありませんが、ベートーヴェンの交響曲第9番に彼の詩《歓喜の歌》が使われていますね。音楽への貢献も多い方達です。
ゲーテとシラーの棺以外にもカール・アウグスト大公を中心とした大公家の棺もほの暗い地下に並んでいます。

あまり長居するところでもないので、さっさと霊廟を出ます。霊廟の建物は一段小高くなっているので、大公家の墓所の緑地が見渡せます。静かな空間です。


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緑地の中を歩いて、出口に向かいます。なるべくバウハウスBauhausに近い出口から出たいと思い、右の方に向かいます。


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すると、草地の上を何かが動きます。リスです。広い緑地を住み家にしているんですね。


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墓所を出て、今度は迷わずにバウハウスに向かいます。バウハウスを示す標識も見つけます。5分ほどでバウハウス前に到着します。


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バウハウスはヴァルター・グロピウスの創設した芸術造形学校で、クレーやカンディンスキーが教授に招かれました。バウハウスは政治的理由から創設5年後にはデッサウに移ることになりますが、近代デザインを語る上で、この地にバウハウスが創設されたことは忘れてはならないことです。現在は大学の建物になっているようです。当時の校舎のバウハウス本館の向い合せには、ヴァン・デ・ヴェルデ館が建っています。


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バウハウス本館前では、団体がガイドの説明を聞いています。


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ところで、この創設者グロピウスはドイツの大建築家ですが、アルマ・マーラーの再婚相手、あるいは不倫相手としても知られています。今回の旅でもグリンツィングのマーラーのお墓参りをした際、アルマとグロピウスの間に生まれたマノンのお墓も、アルマのお墓と一緒になっていました。また、《風の花嫁》を描いたココシュカもグロピウスがいなければ、アルマと結婚できたかも知れません。そうしたら、傑作《風の花嫁》も生まれていなかったでしょう。グロピウスはアルマを通じて、随分と罪作りなことをしたとも言えますが、別の言い方で言えば、他の芸術家の創造活動をアルマを奪うことで促したとも言えますね。ちょっと違うかな・・・。

そんなことを思っていると、バウハウス本館の横にあるベンチにカップルが腰掛けています。学生か観光客でしょうか。ここには静かな日常があります。


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そろそろ、目的地のリストの家に向かいましょう。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:リストが最後に暮らした《リストの家》

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/3回目

音楽家リストの家Liszt-HausはバウハウスBauhausからすぐです。公園の外れがリストの家。イルム公園(Park an der Ilm)は実に広大です。手入れも行き届いており、綺麗な花壇もあります。


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公園の地図があります。この地図は左が北を示します。公園の真ん中を南北に流れているのがイルム川Ilmです。リストの家は一番下、すなわち最西端にあります。


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これが公園内から見たリストの家です。


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家の壁をよく見ると、壁の前に格子状の支柱を立てて、蔓を巻きつかせようとしているところです。しばらくすると、蔓に覆われた緑濃い家になりそうです。


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門柱の横を通って、家の前の庭に入ります。


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リストの家の正面です。公園側からはこぶりに見えましたが、なかなか大きな建物です。


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庭に入ると、ちょうど家の前でおばさんが花の手入れ中です。


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入口はここかと聞くと、そうだとのことです。何故そんな会話が必要かというと、入口の戸が固く閉じられているからです。この街の施設はすべて大きな表示もなく、入口はガラス戸ではなく木製の扉で閉じられていて、どこから入るのかちょっと迷います。入口かなと不安を感じながら扉を開くと、そこにチケット窓口があるって言う感じなんです。やはり寒い気候のせいなのでしょうね。
リストの家は、リストが後半生で亡くなるまで住んでいた家です。この家はヴァイマールのアレクサンダー大公から与えられた贅沢な家で、大公自身が家具や調度品を揃え、リストは「ワーグナー並みの贅沢」と喜んでいたようです。リストは36歳からの10年間、ヴァイマールの宮廷楽長としてヴァイマールに暮らした後、ローマに移りました。が、60歳になって、アレクサンダー大公からの執拗な懇願に応えてヴァイマールに戻ってきて、後半生を過ごしました。もっとも、リストは同時にブダペストやローマにも住んでおり、春はブダペスト、夏はヴァイマール、秋から冬はローマと、リスト曰く「三分割の生活」を過ごしていました。
実際に亡くなったのはバイロイトです。娘のコジマが不倫の果てに一緒になった娘婿ワーグナーの主宰するバイロイト音楽祭で、楽劇「トリスタンとイゾルデ」を聴いた後にそこで病気になり亡くなりました。享年74歳でした。しかし、実質この街で人生を終えたと言えるでしょう(3分の1かも知れませんが)。
昨年はリストイヤー(生誕200年)だったので、ここでも様々な催しがあったようです。

このリストの家でもチューリンゲンカードは有効で無料で入場。リストの家のパンフレットもいただきます。


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建物内は残念ながら、写真撮影禁止です。部屋に入ると、リストの有名な肖像画(オリジナルかどうかは分かりません)が2枚あり、彼が使用していたアップライトピアノとグランドピアノが置いてあります。日頃旅にも持ち歩き練習していたといわれる音の出ない鍵盤だけのものもあります。今で言えばモバイル鍵盤ですね。もちろん、彼の作品もヘッドフォンを貸してくれて聴けますが、リストのCDは定番のものはたいてい持っていていつも聴いているので、ここで聴く必要はないでしょう。あ、そういえば、いつも携行しているIPODにも入れてあります。
最近はピアノ・リサイタルでもリストを聴く機会が多く、ロ短調ソナタ、《巡礼の年》~「ペトラルカのソネット」、《詩的で宗教的な調べ》~「孤独のなかの神の祝福」などは大好きな曲です。
その大作曲家リストの家を訪問することができて、saraiは感激です。

次はゲーテの家に向かいます。まさに芸術家が花盛りの街です。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:ゲーテの家ではチューリンゲンカードが使えない! それでは・・・

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/4回目

リストの家訪問の次は、ちょっと歩いてゲーテの家Goethes Wohnhausに向かいます。ホテルの近くのヴィーランド広場Wielandplatzまで戻ってきます。広場越しに右手後方に見えているクリーム色の建物が宿泊したアマリエンホーフ・ホテルAmalienhof Hotelです。


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ゲーテの家に到着します。ゲーテが亡くなるまで住んでいた家です。中に入ろうとしてチューリンゲンカードを提示すると、ナイン!と拒否されます。ヴァイマールWeimarでここだけはチューリンゲンカードが使えません。そのチューリンゲンカードですが、昨日のお昼にアイゼナハで購入したのは24時間有効のカードなので、今日の12時頃までしか使えません。今、11時20分です。有効に使える時間はあと1時間足らずです。このゲーテの家で使えないのなら、先に使えるところに行って、ここへは後で戻ってきましょう。

城美術館Schlossmuseum Weimarにクラナッハの作品を見に行くことにします。途中、マルクト広場Marktplatzを抜けていきます。昨夜も夕食のためにここに来ましたが、お昼は市場が開いています。


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ここへも後で戻ってきて見物することにして、急いで城美術館に向かいます。歩いてすぐでした。堂々たる塔を備えた城門が見えてきました。急げ~!


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城門の前に着きました。


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城門のアーチをくぐります。城門のトンネルの中には城美術館のポスターがあります。もちろん、クラナッハも紹介されています。


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城門を抜けると、城StadtSchloss(館といったほうがいいかもしれません)の前に出ます。立派な建物です。


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お城の前に立ち、お城前の広場を眺めます。建物がたて込んでいた旧市街に対して、ここは広々とした空間が広がっています。


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お城に対面すると目の前がお城の入口のアーチです。


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左手には、先ほど抜けてきた城門の高い尖塔が聳え立っています。この塔に登れば街がよく見えるでしょうが、とてもそんな時間はありません。


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お城は四角形で中庭のある構造です。建物の入口に入り、いったん中庭に抜けます。


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ようやく城美術館です。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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城美術館で楽しみにしていたクラナッハの作品を鑑賞します。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:城美術館の素晴らしいクラナッハの作品群

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/5回目

ヴァイマールWeimarのお城StadtSchlossの中庭に入ります。正面奥が城美術館Schlossmuseumの入口です。


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中庭の中央に立って振り返ってみると、お城の入口側の建物とその上に城門の塔が見えます。お城は美しいロココ調ですが、これは15世紀に建てられた建物が焼失後、18世紀に再建されたものです。再建にはゲーテが建築委員の一人として、大きな役割を果たしました。城門と塔だけは15世紀のものが残ったそうです。


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城美術館は、もちろんチューリンゲンカードは有効で入場無料。まだ、12時前です。パンフレットをいただきます。パンフレットはヴァイマールのどの施設も同じデザインです。


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美術館の入口を入ると、右側の部屋にクラナッハの作品がずらっと展示されています。いずれも保存がよく、作品のレベルも素晴らしいものばかりです。今まで見たことのない構図の作品も揃っています。これは期待していた以上の展示です。クラナッハ好きの方は、是非ここを鑑賞することをお勧めします。鑑賞後、目ぼしい作品の絵葉書を買い求めます。ヴァイマールの施設はほとんどすべてが内部での写真撮影禁止なんです。ブログの美術関係の記事に写真は必須なので、絵葉書をスキャンして代用します。

《ルターの肖像》です。クラナッハとルターはとても親しく、ルターを描いた肖像画も多いです。この肖像画は、その中でもとても素晴らしいものです。


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《ルターの妻カタリナ・ルターの肖像》です。カタリナ(旧姓:カタリナ・フォン・ボラ)は貴族の子女でカトリックの修道女でしたが、26歳のときに修道院を脱出して、当時41歳のルターと結婚しました。年の差婚ですね。カトリックでは聖職者の結婚は禁じられていますが、プロテスタントは聖職者の結婚を認めています。それを始めたのが宗教改革を起こしたルターです。因みにプロテスタントでは牧師のことを聖職者とは呼ばないそうです。ですから、ルターは聖職者ではなく、牧師です。カタリナは牧師の妻ということになります。
この肖像画も素晴らしい出来です。


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これも《ルターの肖像》です。正式には《ユンカーのヨルグの姿をしたルター》です。アイゼナハEisenachのヴァルトブルグ城Schloss Wartburgに隠棲したルターは、当局からの追求を逃れるために自身をユンカーのヨルグという名前で偽っていました。宗教改革に信念を貫くルターの強い姿が穏やかに描かれた傑作です。


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《シビレー・フォン・クレーベ姫の肖像》です。ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世の所へ嫁いでいく花嫁を描いた作品です。女性を描かせたらこの上もなく素晴らしいクラナッハの作品の中でも、ウィーン美術史美術館の「ユディット」に匹敵する美しさにsaraiはうっとりです。当時、花嫁のシビレーは14歳だったそうです。初々しい美女です。ふわりと広がる髪は処女を表現しているそうです。なるほどね! 髪飾りの花冠は花嫁であることを表現しています。この素晴らしい作品を見るだけでも、このヴァイマールを訪問する価値があります。


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《カリタス》(慈愛)です。3人の子供に囲まれた女性(ヴィーナス?)の母性愛を描いたものです。クラナッハお得意のヴィーナスですね。


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《法律と慈悲の寓話》です。モチーフはクラナッハの宗教画でよく見るものですが、このような構成の絵は初めて見ました。左側の楽園追放はかなり変わった絵です。


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このようにクラナッハ好きにとっては必見の充実したコレクションです。クラナッハが最後に暮らした街の面目躍如です。
城美術館ではクラナッハに絞って、鑑賞しました。もうすぐ12時です。もう時間的にチューリンゲンカードを使って入れるのは一つくらい。ともかく急いで次のところに回りましょう。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:クラナッハの祭壇画があるヘルダー教会は昼休みで見られない?

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/6回目

城美術館Schlossmuseumを出ます。もうすぐ12時なので、チューリンゲンカードの有効時間は後僅かです。チューリンゲンカードを最後に行使して無料で訪れるところは、シラーの家Schillers Wohnhausか、バウハウス博物館Bauhaus-Museum Weimar(昔のバウハウスの建物ではなく、バウハウスでデザインされた作品が展示されています)か迷います。とりあえず、それらはどちらも近くにあるのでその方向に急ぎます。歩いている途中で、無情にも教会の正午の鐘がなります。残り数分の勝負です。この大事なときに道が分からなくなります。一生懸命、ガイドブックとにらめっこしていると、大きな見落としに気が付きます。クラナッハの祭壇画があるヘルダー教会(市教会)Stadtkirche Sankt Peter und Paulは必見なのに忘れていたんです。午前の公開は12時で終わり、午後3時まで昼休みになってしまうのに!です。3時前にはヴァイマールWeimarから電車に乗って出発する予定なので、このままではヘルダー教会でクラナッハの祭壇画を見ることができません。
駄目元で、今度は方針変更してヘルダー教会に急ぎます。超特急でヘルダー教会に着くことができました。美しい教会です。


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着いたときにはもう12時を10分ほど過ぎています。教会の入り口の扉の前にはおじさんが仁王立ち。もうダメ?と配偶者が目で訴えると、入り口は横にあるよとのこと。あれ?と思いながら横から入ると、ヘルダー教会は大修復中で無残な姿になっています。とりあえず中には入れるようなので、教会の2階席に入れてもらいます。教会内部の1階を見下ろすと、ぐちゃぐちゃに工事の真っ最中。


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祭壇画はといえば、遠くに見えてはいます。


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よく見えないので、祭壇画の正面に回り込んでみます。


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工事用の柱などに遮られてちゃんとは見えませんが、部分的には見えています。


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その部分的に見えている絵がクラナッハの祭壇画なのか判然としないので、貼ってあるポスターと見比べて、ようやくクラナッハの祭壇画だと確認できます。


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2階の別の場所には、本物の祭壇画が見られないお詫びということなのか、コピーの絵が展示されています。


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工事中だから12時過ぎでも入れたのだろうし、入れたけどちゃんと見えないしというジレンマはありますが、見たと言えば見たのでこのあたりで手を打ちましょう。
ヘルダー教会を出ると、隣の建物も大工事中です。ここもヘルダー教会の修復工事の一環の工事でしょうか。


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もうとっくに12時は過ぎてしまったので、チューリンゲンカードの有効時間は過ぎてしまいました。バウハウス博物館とシラーの家は外側から見るだけにします。入場料を払ってまでみるほどのことはないし、いずれにせよ、ヴァイマールを出発する列車の時間も迫っています。とりあえず、バウハウス博物館に向かいます。通りに面したショーウィンドウにはちょっとしたイースターの飾りがあります。イースターって、しっかりと生活に根をおろしているんですね。


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バウハウス博物館はテアタープラッツTheaterplatzにあります。昨日の夕刻、ヴァイマールに着いたときもこの広場を通りました。今日は青空の下で見物です。この広場にはとても綺麗な花壇があり、配偶者はその花壇が気になるようです。


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テアタープラッツ(劇場広場)には国民劇場Deutsches Nationaltheater und Staatskapelle Weimarがあります。日程さえ合えば、ここでオペラを見たかったところです。この劇場では、リヒャルト・ヴァーグナーの「ローエングリン」などが初演されています。フランツ・リストやリヒャルト・シュトラウスも音楽監督を務めた由緒ある劇場です。いわゆる「ヴァイマール憲法」が採択されたのもこの劇場です。


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国民劇場の前にはゲーテとシラーの像Goethe-Schiller-Denkmalが建っています。とても絵になります。この街のシンボルと言ってもいいでしょう。


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国民劇場の向かいに建つのがバウハウス博物館です。外から見るだけです。時間さえ許せば、中を見てみたかったんですけどね。


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ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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もうあまり時間はありませんが、急ぎ足でヴァイマール散策を続けます。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:シラーの家からマルクト広場へ

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/7回目

テアタープラッツTheaterplatzから、シラーの家Schillers Wohnhausを探してシラー通りSchillerstraßeを歩きます。


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やがて、シラーの家らしき建物を発見。この黄色い建物がシラーの家のようです。ゲーテに招かれてヴァイマールWeimarにやってきたシラーが、1802年から亡くなる1805年まで住んだ家です。ここでシラーは有名な《ウィリアム・テル》を書きました。


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この家を外側から見ながら裏の方に回り込むと、シラー博物館Schiller-Museumがあります。でも、チューリンゲンカードも有効時間を過ぎ、そもそもヴァイマールでの滞在時間も尽きそうになっているので、外から見るだけで満足して素通りします。


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ここでシラー通りを左折して、シラー通りと並行している別の通りに向かいます。シラー通りは昨日歩きましたからね。


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これがシラー通りと並行しているヴィンディシェン通りWindischenstraßeです。この通りの突き当たりがマルクト広場Marktplatzの筈です。石畳の綺麗な通りですが、シラー通りに比べると観光客の姿が少ないです。


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通りの左側にある建物に旗が出ているので立ち止まって見てみると、何とこの建物もシラーの住んでいた家です。先ほどのシラーの家に住む前の3年間住んでいた家です。思わぬ発見があるものです。


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通りを突き当たると、やはりマルクト広場です。この広場は、昨日から3度目の訪問です。じっくりと、そして、急いで見物しましょう。広場は名前の通り(マルクトMarkt:市場)、市場で賑わっています。


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まずは旧市庁舎Weimarer Rathausです。金色の時計が綺麗で、建物も重厚です。


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旧市庁舎と広場を挟んで向かい合わせに建っているのが、画家クラナッハが亡くなるまで住んでいた家です。クラナッハの家は今は小劇場Theater im Gewölbeになっているようです。


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今回の旅のサブテーマは、クラナッハの足跡を尋ねるというものです。ウィーンWienで活躍していたクラナッハは、ザクセン選帝侯のフリードリヒ3世(賢公)に御用絵師としてヴィッテンベルクWittenbergに招かれ、そこに工房を開いて活躍していました。結局3代のザクセン選帝侯に仕えましたが、3代目の選帝侯ヨハン・フリードリヒが宗教戦争で敗れ、退位を余儀なくされてヴァイマールに移ることになり、クラナッハも78歳の高齢で工房を次男に譲り、ヨハン・フリードリヒに従ってヴァイマールに居を移しました。単なる画家がここまで主君に従うのも不自然に感じますが、クラナッハはヴィッテンベルクの市長まで務め、単なる画家の枠を超えて選帝侯の要人の一人だったようです。
この家は、亡くなるまでの1年間ほどを住んだだけのようです。都落ちのようなものでしょうが、この建物の外装はとても派手で、街の中心にあることから、それなりの生活は維持できていたようです。


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建物の扉の上にクラナッハが住んでいた旨の説明が書かれています。


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実は、クラナッハの足跡を訪ねて、ヴァイマールから彼が活躍したヴィッテンベルクに向かうつもりです。本当は彼の生地クローナッハにも行きたいところですが、少し遠くて断念しました。

広場には有名人が多く宿泊したホテル・エレファントHotel Elephantがあります。ホテル・エレファントはトーマス・マンの「ヴァイマールのシャルロッテ」という小説の舞台にもなったホテルで、この小説は映画化もされています。


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このホテルの入口の上の正面テラスには、2人の男女の像があります。この2人はバウハウスBauhausの創設者にして大建築家のヴァルター・グロピウスと彼の妻アルマ・マーラー・グロピウス・ヴェルフェルです。アルマはもちろん大作曲家マーラーの未亡人です。グロピウスはヴァイマールの有名人の一人ですが、何故2人の像がこのホテルのテラスにあるのかは不明です。ご存じの方はいらっしゃいますか?


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ホテル・エレファントの隣は、昨夜チューリンゲン料理をいただいた老舗レストラン「ツム・シュヴァルツェン・ベーレン」Zum Schwarzen Bärenです。日本語では黒熊亭という感じでしょうか。店の軒には実際、黒熊がぶら下がっています。


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こういう感じで3度目の訪問のマルクト広場の復習も完了。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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最後にやり残したゲーテの家の見物に向かいます。


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ヴァイマールは芸術家が花盛り:ゲーテの家はゲーテ街道の中核です

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/8回目

ヴァイマールWeimarでの最後の見物は、先ほどパスしたゲーテの家Goethes Wohnhausです。マルクト広場から先ほども歩いた道をゲーテの家に向かいます。すぐにゲーテの家に到着。

ドイツのフランクフルトFrankfurtからライプツィヒLeipzigに至るルートはゲーテ街道と呼ばれていて、文豪ゲーテゆかりの土地です。その中でもヴァイマールを中心としたチューリンゲン地方Freistaat Thüringenはゲーテが生涯の50年を過ごしたところで、ゲーテ街道のハイライトとも言えます。ゲーテの家は、彼が生涯を終えた家でゲーテ街道の中核です。これは是非見ておかないといけないでしょう。


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ここはチューリンゲンカードが効かないので、別途料金を払って入館します。


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英語版のパンフレットもいただきます。日本語が重視されていたアイゼナハEisenachと違って、ヴァイマールには日本語のものは見当たりません。


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ゲーテの家はとっても広くて立派です。カール・アウグスト大公から贈られたそうです。1等地にある立派なお屋敷ですが、ゲーテはそれに応えるだけの活躍をしました。それに今でもヴァイマール観光の目玉です。
2階がゲーテの居室。一番奥に寝室があります。この小さな部屋でゲーテは偉大な生涯を終えました。ベッドの横にある安楽椅子で息を引き取ったそうです。亡くなる前の最後の言葉「メーア・リヒトmehr Licht(もっと光を)」は有名ですね。ここでその言葉が発せられたかと思うと感慨しきりです。この部屋はこじんまりとした寝室ですが、庭に面した窓から優しく光が差し込んでいるのですけどね・・・。
その中庭に下りてみます。2階の居室の窓が見えます。ゲーテもこの窓から顔を出していたんでしょう。


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中庭は石が敷き詰められていて、狭いながらもきっちりした空間です。ゲーテの家らしい厳格さも感じられます。


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これでヴァイマール散策はすべて終了。最後は少し駆け足になりましたが、予定していたところはほぼすべて見ることができました。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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ホテルに戻って、荷物を受け取りましょう。ゲーテの家からアマリエンホーフホテルAmalienhof Hotelまでは歩いて数分の距離です。
ロビーで荷物の受け取りを待ちます。テーブルの上には定番の花とりんご。折角ですから、りんごをもらっちゃいましょう。


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荷物を渡してくれたレセプションの女性に駅まで行くバスの停留所の場所を聞き、バスでヴァイマール駅に行きます。バスはぐるぐると街のなかを走り回った挙句、ヴァイマールの駅前に到着します。駅前はのどかな感じです。


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ヴァイマール中央駅Weimar HBFです。白い壁に赤い屋根の綺麗な駅舎です。


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駅前からは旧市街の方に伸びる真っ直ぐな通り、カール・アウグスト・アレーCarl-August-Alleeが見えます。通りの先に見えているのは新美術館Neues Museum Weimarでしょう。


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駅舎に入ります。ドイツの駅と言えば、必ずあるのが花屋さん。配偶者は花屋の店先をのぞきに行きます。


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まだ予定している列車には時間があるので、駅のスナックのようなところで遅いランチをいただくことにします。


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野菜スープとハンバーグをいただきます。
配偶者は、インゲンたっぷりの野菜スープを食べられて満足。saraiのハンバーグも、添え物のポテトサラダがとっても美味しくてペロリといただきます。


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これで完全にヴァイマール滞在はおしまい。これからプラットホームに出て、次の目的地ヴィッテンベルクWittenbergに向かう電車を待ちましょう。



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上原彩子の素晴らしいピアノ、インバル+都響のマーラー・ツィクルスも素晴らしいスタート@東京芸術劇場 2012.9.15

8月下旬以来、久々のコンサートに出かけました。8月下旬は上原彩子のピアノ・リサイタルと東京都響の定期演奏会を聴きましたが、今日はそれらを組み合わせたものです。上原彩子と東京都響の共演、しかもインバルのマーラー・ツィクルスのスタートでもあります。これは聴き逃せません。そのため、横浜からわざわざ遠い池袋まで出撃しました。
その努力は報われました。上原彩子のベートーヴェンはチャーミングで陶酔的ですらありました。こんなベートーヴェン演奏もあるんですね。これだけでもコンサートに満足するところですが、コンサート後半はインバル+都響の新マーラー・ツィクルスがいよいよ始動。《巨人》の凄まじいフィナーレは再来年の交響曲第9番までのツィクルスが素晴らしい演奏になることを予感させる祝典的なファンファーレに思われました。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:上原彩子
  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19

《休憩》

  マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》

まずは真っ赤なドレスに身を包んだ上原彩子が巨匠インバルを従えて登場です。
新マーラー・ツィクルスの始動にベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を演奏するとは、何とも粋な選曲です。古典派の交響曲を完成したとも言えるベートーヴェンを冒頭に演奏して、マーラーのシンフォニーズの原点を示す意図でしょう。それもベートーヴェンがモーツァルトの古典派音楽を引き継ぎつつ、自己の音楽を確立しつつあったピアノ協奏曲第2番はマーラーの《巨人》にぴったりです。マーラーもこの第1交響曲で新しいシンフォニーの世界を確立していったわけですからね。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番は意外に演奏機会の少ない作品で、saraiも過去に聴いた記憶がありません。それだけに上原彩子がどう弾くのか、興味津々です。事前に予習したのは、ペライアとアラウです。最近はベートーヴェンと言えば、彼らの美しいタッチの演奏がsaraiのお気に入りなんです。
上原彩子がうなずくと、インバルの棒が振り下ろされ、都響の演奏が始まります。今日の都響は四方恭子、矢部達哉のダブルコンマスを始め、第1ヴァイオリンの強力な女性陣、すべてのパートがベストメンバーです。弦楽の美しい響きは最良のベートーヴェンの音楽を奏でていきます。まさに納得のベートーヴェンです。堂々として、たおやかで、力みのない自然な演奏です。その間、上原彩子は強く息を弾ませながら、高ぶる気持ちを抑えきれない様子です。2列目の中央の席にいたsaraiからはすぐそこに上原彩子がいるので、表情がよく見てとれます。プロの演奏家もこんなに緊張するのかと驚きました。やがて、上原彩子がピアノの鍵盤を叩き始めました。よく響く切れのある演奏です。ピアノはスタインウェイで響きのよいこと、この上なしです。美しいピアノの響きはアラウの響きにも匹敵するほどです。違いと言えば、アラウのためのきいた演奏と上原彩子の切れのある新鮮な演奏というところでしょうか。ペライアと似たスタイルにも思えます。一言で言えば、重厚な演奏ではなくて、美しい響きの演奏です。saraiの聴きたいベートーヴェンとも言えるでしょう。フレージングと言い、明快で正確な打鍵と言い、パーフェクトな演奏です。強いて問題点を挙げれば、強い打鍵で少し音が割れ気味になることですが、大ホールの中ですぐ近くで聴いているsaraiだけの問題かも知れませんね。逆に弱音の美しい響きにはうっとりするだけです。ピアノの音の素晴らしい奔流に身を任せているだけで第1楽章がいつの間にか終わってしまいました。カデンツァは思い切ったダイナミズムと奔放とも言えるテンポの動かし方で、ピアノのソロ演奏を満喫できました。即興性を感じさせてくれる素晴らしいカデンツァでした。
第2楽章がこの日の演奏の白眉とも言えるものでした。古典的でロマン的、一見、相反するような概念を見事に融合した演奏です。抒情的でよく歌う演奏で、実際、上原彩子の歌声も聴こえました。装飾音(ターン)の弾きこなしの素晴らしさにも絶句しました。それに彼女の陶酔した表情もその音楽とぴったり寄り添うものです。実にチャーミングでセクシーな音楽、ベートーヴェンからこういう音楽を引き出すことのできるピアニストは凄いとしか言えません。音楽スタイルはまったく異なりますが、時代を超えて、マーラーのピアノ協奏曲を聴いている感じと言えば、言い過ぎでしょうか。マーラーがもしピアノ協奏曲を作曲したら、緩徐楽章でどのように音楽を展開したのかと思わず想像してしまうような演奏だったんです。モーツァルトのピアノ協奏曲の影響を色濃く残した作品であると思っていましたが、この曲はなかなか奥深い作品であることが今更ながら、理解できました。
第3楽章は切れのあるタッチでばりばりとピアノを弾いていきます。ピアニズムの見事さに脱帽です。ずい分、弾き込んだんでしょうね。かなり速いテンポの演奏ですが、オーケストラもしっかりと付いていきます。この楽章も圧巻の演奏でした。
爽快でかつ陶酔的なベートーヴェンでした。第2番でこれだけの演奏とは恐れ入りました。第1番ではなく、第2番を演奏してくれて、本当によかったという感想です。上原彩子の奔放な演奏をしっかりと支えたインバルの巨匠としての実力もやはり見逃せません。このコンビでショスタコーヴィチでも聴きたいですね。

休憩後、いよいよ、マーラーです。インバルと東京都交響楽団のマーラーは既に《復活》、《大地の歌》を聴いていますが、いずれも最高水準のマーラー演奏でした。ベルティーニ亡き後、再び、感動のマーラーが聴けそうです。
大編成でベストメンバーの東京都交響楽団がステージ上に並び、インバルが指揮を始めます。
第1楽章は静かな弦のフラジオレットから始まり、明るい響きの音楽が展開されます。後半、少し熱を帯びますが、全体に平静に美しい弦の響きが心に残ります。
第2楽章は低弦が印象的なスケルツォでここでも都響の弦の実力が遺憾なく発揮されました。
第3楽章は葬送の旋律に始まり、葬送の旋律に回帰します。
そして、嵐のような第4楽章が始まります。意外に最初からは全開モードではありません。これがインバルの構成感でしょう。インバルのマーラーはベルティーニと違って、細部を磨き上げるのではなく、全体の構成を考え抜いた表現になっています。以前聴いた《復活》も《大地の歌》もフィナーレに向かって、頂点を目指す構成でした。そして、この日の《巨人》も最後の3分間に向けて、圧倒的な感動を盛り上げていきます。すべてはフィナーレに向けての周到な準備作業だったとも言えます。金管の立奏のあたりのめくるめき感動はインバルのマーラー演奏の頂点です。そして、単に交響曲第1番《巨人》の演奏に留まらず、マーラーがその後、次々と完成させていった傑作シンフォニー群を予感させる序章としてのファンファーレを感じさせるものでもあります。感動的ではありますが、あくまでも祝典的で楽天的にも思えます。これが交響曲第5番をひとつの頂点として、《大地の歌》、交響曲第9番の深遠とも思える世界に変容していくことを考えると身震いする思いです。
インバルのマーラー・ツィクルスはマーラーの全交響曲の構成も念頭に置いた演奏であり、最後に完結する交響曲第9番に向けての長い道のりを見通した演奏であることを感じさせる今回の交響曲第1番《巨人》でした。日本のオーケストラでマーラーの高水準の演奏が聴ける稀有な機会であり、その演奏に立ち会うことができる幸せを感じています。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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