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マーラー:嘆きの歌、インバル+都響+スーパー・コーラス・トーキョー@東京文化会館 2012.10.3

マーラーの《嘆きの歌》はマーラーの若い頃の作品で、演奏機会のそう多いものではありません。マーラーの作品でこれよりも若い頃の作品と言えば、ピアノ四重奏曲(第1楽章のみで未完成の作品)がありますが、これはなかなか美しい作品です。未完なのが残念です。マーラー10代の作品です。
ちょうど、インバル+都響のマーラー・ティクルスが始まったところで、絶好の機会なので、聴いてみようと思い立ちました。
saraiは実は《嘆きの歌》を聴いたことがなく、急遽、予習に励みました。聴いたのは以下です。
 シノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団
 ブーレーズ指揮ロンドン交響楽団
 ラトル指揮バーミンガム市交響楽団
 ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団
 シャイー指揮ベルリン・ドイツ交響楽団
不思議なことにいずれのCDも素晴らしい演奏で甲乙つけがたしの感があります。そういえば、マーラーのCDって、難しいことを言わなければ、よい演奏が多いですね。特にこの《嘆きの歌》はマーラーの自己陶酔の熱い思いがないので、客観的な美しい演奏が可能なのかも知れません。いずれにせよ、どのCDも名指揮者と名オーケストラですから、高水準な演奏は当たり前かもしれません。もし、1枚選ぶとしたら、やはり、ハイティンク盤になるでしょう。ただ、後述しますが、このCDは最終稿の第2部+第3部で、第1部ははいっていません。第1部も含むCDなら、ブーレーズかシャイーでしょうか。saraiは必ずしも第1部も演奏すべきだとは思っていません。純音楽的に第2部+第3部でこの《嘆きの歌》は十分に充足していると感じるからです。このCDの顔ぶれを見ると、クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団がCD録音していないのが惜しまれます。べストな演奏が期待できたような気がします。

さて、この《嘆きの歌》の成り立ちですが、初稿版ではマーラーはコンクールに応募するために意欲的な取り組みをして、3部から成る大規模な作品に仕立て上げました。しかし、当時の音楽状況ではまったく不評でコンクールは落選し、誰も認めてくれませんでした。あきらめきれないマーラーは構成を見直し、より小規模な作品に改訂し、最終稿では独唱者の数を減らしたり、第1部もすべてカットしました。
マーラー自身が初演したのは、この最終稿で第2部+第3部だけの作品です。ですから、もう、それを今でも演奏すればいいと思うのですが、後日(マーラーの死後)、初稿版が発見され、しかも当初は第1部の初稿版のみが公開されたため、第1部は初稿版で、残りの第2部+第3部は最終稿で演奏されるということが主流になったようです。確かに長大な第1部も美しい音楽で、見つかった以上、演奏しないのはもったいないとは思いますが、マーラーの意図には反しているような気がします。最近、すべての初稿版が公開され、3部とも初稿版で演奏することが主流になっているようです。本日の演奏は第1部は初稿版で、残りの第2部+第3部は最終稿だそうで、指揮者のインバルの意図だということです。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ

  ソプラノ:浜田理恵
  メゾソプラノ:小山由美
  テノール:福井敬
  バリトン:堀内康雄

  合唱:スーパー・コーラス・トーキョー
  管弦楽:東京都交響楽団


  ワーグナー:ジークフリート牧歌

《休憩》

  マーラー:カンタータ《嘆きの歌》(全3部)

まずはワーグナーの後期ロマン派の香気がたちのぼる名作《ジークフリート牧歌》です。これはとてもよい演奏でうっとりしてしまいました。特に弱音で繊細な部分の演奏が心に沁み入ります。今日の東京都響はコンサートマスターが山本友重で、いつもの第1ヴァイオリンの強力な女性奏者群の一部が欠けた布陣で、前回のマーラー・ティクルス開幕の《巨人》のベストメンバーに比べると、もうひとつの感はありますが、さすがにそれでも都響の演奏は素晴らしい響きです。なお、マーラーの《嘆きの歌》には、ワーグナーを思わせるところが多々あります。それを意識しての選曲なんでしょう。インバル自身は愛とロマンティシズムが共通しているので選曲したとは説明していました。まあ、この選曲は妥当かも知れませんが、《嘆きの歌》のワーグナー的な部分には、《パルジファル》を連想してしまいます。ですから、《パルジファル》の前奏曲というのもよかったかなとも思いました。

休憩後、いよいよ、マーラー《嘆きの歌》です。最弱音で第1部が開始されます。メロディーが始まると同時に、テンポが少し早いことに気が付きました。もっと、じっくりと粘って、美しい響きを引き出してもらいたいものです。なんだか、オーケストラの演奏も平板で、ディテールのほりの深さにも欠けます。それでも声楽がはいってくるあたりからはテンポも落ち着きましたが、演奏はしっくりときません。この第1部は美しい響きに満ちた演奏の筈なんですけどね。後半は幾分、部分的に美しい響きが感じられますが、インバルらしい構成感には欠けています。このままの演奏で終わるんだったら、つまらないと思ってしまいました。
ところが第2部が始まると、まったく違う音楽が響き始めました。まさにインバルのマーラーです。構成感があり、ディテールの繊細さも兼ね備えています。合唱も独唱も好演しています。満足して、残りの曲を楽しめました。曲自体がまだマーラーになりきっていないマーラーですから、それはそれで仕方がないでしょう。《復活》のような高揚感には欠けますが、これがマーラーの交響曲第0番、もしくは第-1番とは思えます。

あくまでもsaraiの想像ですが、インバルは最終稿の第2部+第3部に馴染んでおり、曲を深く把握していたんでしょう。初稿版の第1部は十分に把握しきれていなかった印象です。本来は最終稿の第2部+第3部だけを演奏すればよかったのでしょうが、世の流れで第1部をカットできなかったと思われます。次回はきちんと全体を初稿版で完全把握した演奏を望みたいと思います。

とは言え、正直なところ、saraiはマーラーを聴くんだったら、《復活》や《大地の歌》を聴きたいですね。実際、インバル指揮の両曲は素晴らしい演奏でした。どんなに《嘆きの歌》を名演奏しても、感動の深さは比べられないと思ってしまいます。今日はマーラーの若き日の作品に接したということで満足しておきましょう。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~只今、準備中

今日は悲しいことを知って、配偶者と一緒にショックを受けました。日本人作曲家のなかで特に敬愛していた三木稔氏が昨年12月に亡くなっていたことをネット検索中に知ったんです。確かに彼が体力が衰えていたことは分かっていたので、配偶者も心配していたんです。もっともっと活躍していてほしい人でした。彼は西洋音楽をベースに現代邦楽の数々の名作を創造した素晴らしい作曲家です。武満徹にも劣らないような国際的な名声を得ても当然の人だと思っています。きっと、今後、彼の業績が再評価される日がやってくると信じています。古いLPレコードを取り出してきて、配偶者と一緒に三木稔作曲の《佐保の曲》、《竜田の曲》、《箏譚詩集第一集》を聴き、ご冥福を祈りました。今更ながら、その作品の素晴らしさに感銘を受けました。いずれも箏の独奏曲で、演奏は盟友とも言える野坂恵子です。合掌・・・。

話は変わって、国内の旅が落ち着いたところで本格的に来年のヨーロッパの旅の準備を開始しました。saraiの旅は基本的に音楽の旅ですから、旅の骨格はオペラ・コンサートの日程が中心になります。以前から検討していた通り、4月と6月にヨーロッパに出かけます。まずは4月の旅です。軸となるオペラ・コンサートは以下です。

  2013年4月(5日、7日) オランダのアムステルダム・コンセルトヘボウ
    ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ブルックナー:交響曲第8番

  2013年4月 ウィーン国立歌劇場
    オペラ《エウゲニ・オネーギン》ネルソンズ指揮、ネトレプコ、ホロストフスキー、コルチャク

  2013年4月 ウィーン国立歌劇場
    オペラ《ウェルテル》ドゥ・ビリー指揮、アラーニャ、ガランチャ

  2013年4月 アン・デア・ウィーン劇場
     オペラ《ベアトリスとベネディクト》 マレーネ・エルンマン

  2013年4月 ウィーン楽友協会 ウィーン・フィル ヤンソンス指揮
     ハイドン《驚愕》、リスト《レ・プレリュード》、ハイドン88番、バルトーク《中国の不思議な役人》

チケットは一部購入済で残りは手配中です。また、ウィーン国立歌劇場でのオペラの追加も検討中(ドン・カルロ、ラ・ボエーム)でフォルクスオーパーでのバレエ《真夏の夜の夢》も見るつもりでいます。
アムステルダムでの公演とウィーンのオペラの間には日程的に10日程の空きがあります。当初はオランダとベルギーを周遊することを考えていましたが、配偶者の強い希望もあり、ライン川を遡りながら、ウィーンに向かうことにしました。オランダはフェルメール絡みでデン・ハーグとデルフトを訪問するくらいに留める予定です。ライン川の河口のロッテルダムから出発し、ドイツ、スイスまで向かいますが、詳細は今後じっくりと検討します。スイスと言えば、チューリッヒ歌劇場も視界にはいります。早速、ネットで公演プログラムをチェックし、速攻でチケットをゲットしました。

  チューリッヒ歌劇場 オペラ《リナルド》

ヘンデルの有名なアリア「私を泣かせてください」が聴けます。

日程がほぼ固まったところで航空券の手配です。今回もユーロ安を活かして、海外のサイトから航空券を手配しようとチェックしたところ、SASが一番安く、次がKLM/エールフランスです。ところがANAもほとんど同程度の料金で乗れそうです。マイル獲得も考えるとANAが最有力です。念のため、ANAのサイトで直接航空券を購入した場合の料金もチェックしてみました。驚いたことにほぼ同額か、安いくらいで、しかも路線の選択が幅広くなります。これはANAから直接航空券を購入するしかありません。ANAはオーストリア航空と提携しているので、ウィーン直行便も可能な筈ですが、何故か、満席状態になっています。まあ、乗り換えでも構いません。何故なら、帰国便が直行便の場合はウィーン出発がお昼過ぎになりますが、フランクフルト経由の場合は夕方遅くの出発で帰国日の余裕ができます。
したがって、行きはフランクフルト経由でアムステルダム、帰りもフランクフルト経由で成田という線で検討です。ところで最近のANAは最新鋭機B787を導入している筈です。是非、乗ってみたいですね。調べると成田発はB777だけで、B787は羽田発です。羽田はとても自宅から近いので、好都合です。成田空港前泊も不要になります。羽田からの国際線も初体験になって楽しみです。ただ、以前調べたときは羽田発は料金が割高でした。心配しながら料金をチェックすると、何と成田発と同一料金ではありませんか! これで決まり。早速、その線でネットで即予約。座席配置もB787は窓際は2列で配偶者とラブラブシート。羽田発は深夜1時発でフランクフルトには早朝6時に到着です。そのまま、すぐ接続便で朝早くアムステルダムに着くのも面白くないので、フランクフルトは夕方出発にして、お昼はフランクフルトで遊んで行きましょう。今回のテーマはフェルメールなので、フランクフルトのシュテーデル美術館でフェルメールを見てきましょう。十分にそれくらいの時間は取れそうです。それでもアムステルダムには夕方6時前には到着できます。コンセルトヘボウのコンサートは翌日の夜ですから、余裕です。
ウィーンからの帰りはまた、フランクフルトから羽田行きに乗ってもよいのですが、それではウィーン出発が朝になってしまい、ばたばたしそうです。やはり、フランクフルトからは成田行きに乗りましょう。ウィーン出発は夕方6時ちょっと前でゆっくりできます。それにフランクフルトからの成田行きのB777は改装済の機体で左側の窓際は2列シートでこれもラブラブシート。結構ですね。これで完全に航空券の手配ができます。
あとはライン川を遡って、チューリッヒ到着後、ウィーンまでの足をどうするかです。鉄道移動もありますが、あまりにも時間ロスが大きいです。やはり、飛行機で移動しましょう。ここでANAのお姉さんに電話して、チューリッヒとウィーン間の航空券の追加の料金を訊いてみました。するとスーパーエコ割の対象となるのは乗り換え2回までなので、チューリッヒとウィーン間はノーマル料金になるそうで検討外です。ここはヨーロッパを席巻しているLCCのお世話になるしかありません。幸い、チューリッヒとウィーン間はウィーンを拠点としているニキ航空(F1ドライバーのニキ・ラウダの創立した格安航空会社でエア・ベルリン系列)が低料金で結んでいます。2人乗っても1万円以下です。早速、この航空券をゲット。ただし、食事は別料金なので、+1,500円ほど追加にはなりました。席指定もオプションですが、それはなしにしました。たかだか、1時間ほどのフライトですからね。

これで骨格は固まり、ロッテルダムからチューリッヒへの日程を決めて、鉄道チケット予約とホテル予約を残すのみです。
次は6月の旅の骨格を固めましょう。


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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:ヴァイマールから、ハレ経由で一路ヴィッテンベルクへ

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/9回目

ヴァイマールWeimarの駅からヴィッテンベルクWittenbergへ向かいますが、ヴィッテンベルクへ直接向かう電車はないので、ハレ中央駅Halle Hauptbahnhofでの乗り換えになります。プラットホームに出て、ハレ行きの電車を待ちます。


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1本前の電車がやってきますが、少し運行時間が遅れているようです。この電車は行き先が違うので乗るわけにはいきません。


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この電車がプラットホームを離れていくと、次のハレ中央駅行きの電車の案内が表示されます。


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やがて、遅れていたハレ行きの電車がプラットホームにはいってきます。一安心です。


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早速乗り込みます。ちゃんと2人並びの席を確保できます。電車は7、8分遅れてきたので乗り換えが大丈夫か心配で、検札に来た車掌さんに確認。すると、手帳にメモをしながら大丈夫だよとのこと。お任せしましょう。


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ヴァイマールからハレへはローカル電車の2等です。各駅に停車しながら走っていきます。やがて、ナウムブルク中央駅Naumburg Hauptbahnhofを通過。昨日、ベルリンからやってきたときに乗り換えた駅です。


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ヴァイセンフェルス駅Weißenfels Bahnhofを通過。聞いたことのない街です。知らない街々に停車するのもローカル電車に乗る楽しみのひとつです。


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やがて、ヴァイマールから1時間ちょっとで終点のハレ中央駅Halle Hauptbahnhofに到着です。ハレ中央駅では見事に遅れを取り戻しています。車掌さんにお願いしたので急いでくれたのかな? 乗り換えの時間は10分ほどあるので、余裕です。ちょっと、駅の様子を見ておきましょう。駅舎内は窓が大きくてとても明るいですね。


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駅舎の天井もガラス張りで明るい光が差し込んでいます。


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とても立派な駅です。ヘンデルの出身地として知られていますが、ハレは大きな街なんですね。
あまりゆっくりしていると乗り換えができなくなります。ヴィッテンベルク行きの電車が出るホームに急ぎます。後5分ほどで電車が出発する時間です。


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すぐにヴィッテンベルク行きの電車が出るホームに着きます。既に電車はホームに停車しています。


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乗り込んだ電車は2階席がある電車。明るくて見晴らしの良い2階席で車窓を楽しみましょう。


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2階席の車窓から眺めたハレ中央駅のホーム風景です。


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やがて、定刻に電車はハレ中央駅を出発。


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ここまでの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。(緑色の矢印)


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これから向かうヴィッテンベルクはクラナッハが活躍した街で、クラナッハは市長まで務めました。今回の旅のテーマの一つはクラナッハですから、無理しても、このヴィッテンベルクに寄っていきたいんです。電車は順調にヴィッテンベルク目指して走っていきます。


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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:ヴィッテンベルブルクに到着、そして、城教会に行くと・・・

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/10回目

ヴァイマールWeimarからハレHalleまで電車に乗り、ハレでヴィッテンベルクWittenberg行きに乗り換えます。ハレからヴィッテンベルクへもローカル電車の2等。のんびりした鉄道の旅を楽しみます。配偶者がちゃっかりホテルから頂いてきたリンゴとせんべい(これは日本から持ってきた)が旅のお供です。


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ハレを出てしばらくすると、美しい緑の平原が広がります。その平原には風力発電の風車が並んでいます。ドイツの恵まれた自然を感じます。


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電車はヴィッテンベルブルクに近づくと、川沿いに走るようになります。エルベ川Elbeです。


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車窓から、はっきりとヴィッテンベルブルクの街が見えてきます。教会の大きな塔が2つ見えています。城教会Schlosskircheと聖マリエン市教会Stadtkirche Sankt Marienでしょうか。


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ヴィッテンベルブルクの駅に定刻で到着です。


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ここまでの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。(緑色の矢印)


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プラットホームからは地下道を抜けていくようです。


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ルターシュタット・ヴィッテンベルブルクLutherstadt Wittenberg(正式な街の名前には、ルターシュタットLutherstadt:ルターの街というのが頭に付きます)では、ルターとクラナッハの跡を尋ねます。が、ここでは滞在時間がたった1時間半しかありません。クラナッハの活躍した街をどうしても見ておきたくて、無理に無理を重ねて何とかこれだけの滞在時間を捻出したんです。この時間を効率的に使うために、街の一番奥にある城教会Schlosskircheへ駅前からタクシーを飛ばします(800円ほど)。


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あっという間に城教会に到着します。まずは城教会前の広場、シュロスプラッツSchloßplatzにあるツーリスト・インフォメーションで街の地図をいただきます。地図上では、一番左にある赤丸のiがツーリスト・インフォメーションの場所で、駅は一番右側の赤字の「DB」がその場所になります。つまり、この後はこの地図上を左から右に歩きながら、街をゆっくりと散策することになります。


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目の前には堂々たる城教会の塔が聳え立っています。


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塔の左には教会の建物が続いています。あまりに建物が大き過ぎて、すべてを一度に写真に収めることが不可能なんです。


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城教会に入ると、牧師さんが前に立って説教中のようです。これは後ろでおとなしく待っているしかありませんね。


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この教会はルターゆかりの重要な教会ですから、ちゃんと見ていきたいものです。ということで、城教会の見学はまだ続きます。


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吉野直子ハープ・リサイタル@上大岡ひまわりの郷 2012.10.7

今日は上大岡ひまわりの郷コンサート・シリーズの2012年秋編の開幕コンサートです。実に珍しいハープ独奏のリサイタルです。
クラシック音楽でハープが主役の曲というと、モーツァルトの《フルートとハープのための協奏曲》、ヘンデルの《ハープ協奏曲》、ドビュッシーの《フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ》あたりしか思いつきません。いずれも名曲ですけどね。しかし、ハープ独奏というと何も思い当りません。失礼ながら、クラシック音楽というよりもムード音楽のような気がしてしまいます。いずれにせよ、滅多に聴かない珍しい(saraiにとってですが)リサイタルなので、折角の機会を楽しみましょう。

今日のプログラムは以下です。

  ハープ:吉野直子

  J.S.バッハ=グランジャニー編曲:プレリュード(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番)
  ロゼッティ:ハープ・ソナタ第2番変ホ長調 Op.2-2
  クロフト:サラバンドとグラウンド ハ短調
  J.S.バッハ=オーウェンズ/吉野直子編曲:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番)

《休憩》

  グランジャニー:コロラド・トレイル Op.28
  プレル:雨にぬれた庭
  ルニエ:黙想
  ドビュッシー=ルニエ編曲:アラベスク第1番、亜麻色の髪の乙女(前奏曲集第1巻)
  アルベニス=マクドナルド/ウッド編曲:入江のざわめき(マラゲーニャ)
  グリーディ:古いソルツィーコ

   《アンコール》 サルツェード:夜の歌

プログラムを見ると、オリジナルは別の楽器で編曲されたものが多いことに気が付きます。そして、saraiの知っている曲はすべて編曲されたものです。ハープ独奏の有名曲って、なさそうですね。
まずはバッハのプレリュードです。この曲らしく、小気味いいテンポできっちりとした演奏です。愛聴しているオリジナル曲のヒラリー・ハーンの演奏は天馬空を行くか如きで、それには及びませんが、なかなか気持ちよく聴けます。もし、原曲のヴァイオリン曲を知らなければ、すっかり満足して聴いてしまいそうな快調な演奏でした。バッハはそもそも楽器を変えて演奏しても、どの曲も立派に演奏できてしまうのが凄いですね。
次のロゼッティのソナタはまったく聴いたことのない曲ですが、典型的な古典派のソナタで一発で楽しめてしまう曲です。第1楽章は模範的なソナタ形式できっちり提示部の繰り返しもあるので、曲の把握が簡単で、退屈することもありません。古典派のピアノ・ソナタを聴いている気分で聴いていました。まあ、短いのもいいですね。
次のクロフトのサラバンドとグラウンドですが、特に前半のサラバンドはいかにも古いイギリスを感じさせる名曲でした。初めて聴いたのになにやら懐かしい感覚を抱いてしまいます。ハープには、こういう曲が似合うんですね。何度聴いても聴き飽きない思いを持ちました。今日のリサイタルは多彩なプログラムでハープの魅力を聴かせてくれるという趣向のようですが、こういうイギリスの古いハープ曲だけのプログラムのリサイタルなら、また聴きたくなりそうです。今日の一番の収穫でした。
前半の最後はバッハのシャコンヌです。大曲です。原曲はもちろん、ヴァイオリン曲ですが、ピアノで演奏されることもあります。ハープでの演奏にピアノでの演奏は比較的近いかと思い、事前にミケランジェリの演奏を聴いておきました。ミケランジェリの演奏はかなりピアノを強く響かせた演奏で違和感のある演奏でしたが、吉野直子のハープ演奏はまろやかで耳にすっとはいってくる感じで、これは吉野直子のハープ演奏に軍配をあげましょう。もちろん、ヴァイオリンの名曲中の名曲なので、シャコンヌはヴァイオリンで聴くと異次元の素晴らしさがあることは間違いありません。ハープでは、耳に心地よい音楽に流れてしまい過ぎます。ヴァイオリン演奏での高い精神性はほかの楽器では表現が難しそうです。

休憩後、19世紀から20世紀に作られた曲が演奏されました。
グランジャニーの曲は良くも悪しくもアメリカの音楽です。グローフェの曲を聴いている感じ。それにハープ奏者が作曲したということもあり、音楽の深さは感じられません。耳に心地よい音楽ではありますが、そういうのはsaraiの好みではありません。
それに引き換え、次のプレルの曲はドビュッシーのような印象派を思わせる内容で素晴らしく音楽的です。フランス音楽の粋を聴かせてもらいました。
次のルニエの曲はまあまあですが、これもいかにもハープ奏者がハープをムード的に聴かせようとするところがもうひとつに感じます。もっと、音楽的に掘り下げてほしいと感じてしまいます。
次はドビュッシーの有名ピアノ曲が2曲です。吉野直子のお話で、これらの曲はピアノよりもむしろハープに向いているという紹介がありましたが、なるほど、《アラベスク》は本当にハープ演奏にぴったりです。今後、この曲はピアノでなく、ハープで聴いてもいいかなと思うほど、見事な演奏でした。《亜麻色の髪の乙女》はピアノがいいか、ハープがいいか、結構、拮抗しています。ピアノ演奏は少し聴き飽きているので、ハープもいいかも知れません。《月の光》なんかはどうなんでしょう?
次はアルベニスの有名曲《入江のざわめき》です。原曲はピアノ曲ですが、一般的にはギターで演奏されることが多いですね。その場合、《マラゲーニャ》という名前でも呼ばれています。一応、予習のためにナルシソ・イエペスのギター演奏を聴いておきましたが、やっぱり、この曲はギターの名曲です。ハープの演奏は綺麗ですが、素直過ぎて、ギターの持つ魔力のような力に欠けます。
最後のグリーディの曲もスペインの曲ですが、正直、よく分かりません。頭の上を音楽が素通りしてしまいます。なんでしょうね。saraiには印象がどうしてもつかめない曲でした。
アンコールの曲はハープの新しい技巧をふんだんに盛り込んだ曲でした。アンコール曲らしい華やかさに満ちていました。

全体に吉野直子のハープ演奏はとても素晴らしく、いいものを聴かせてもらったと思いました。しかし、反面、ハープは少なくとも独奏曲には恵まれていないという印象を持ちました。もっとも、この分野はほとんど聴いたことがないので、初心者の単なる思い違いかも知れません。ヨーロッパでは竪琴の長い歴史があるので、古い曲には素晴らしいものがたくさんあるのかも知れません。

ところで、前回のこのコンサートシリーズで聴いたアンリ・バルダは当ブログでも大絶賛しましたが、このコンサートシリーズをプロデュースしている平井さんのメッセージによると、また、再来年にこのステージに再登場してくれるとのことです。あの強靭で音楽的なタッチの響きがまた聴けるかと思うと嬉しい限りです。



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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:ルターの宗教改革が始まった城教会の扉

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/11回目

ヴィッテンベルクWittenbergの城教会Schlosskircheはルターゆかりの教会です。内部をじっくりと見学するつもりですが、生憎というか、牧師さんの説教が続いているので、教会の最後部あたりで静かにしています。後ろを振り返ると、バラ窓から夕方の優しい光が差し込んでいます。美しいですね。


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そのバラ窓の上には、大きく立派なパイプオルガンがあります。ここで活躍したルターもクラナッハもこのパイプオルガンの響きを聴いていたんですね。


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横の壁を見ると、高く開いた窓から明るい光が輝いています。典型的なゴシック建築です。


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そろそろ牧師さんの説教も終わりそうなので、そっと教会の真ん中くらいまで進出していきます。その辺りから見た後方の様子です。配偶者はおとなしく一番後ろで待っています。


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ここから見た側面の壁です。説教を聞いていた信徒の方たちも立ち上がります。


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まだ信徒さん達がいるので、少し遠慮気味に教会の前方を撮ります。ステンドグラスが美しいです。


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側面の壁にはルターの肖像画がかかっています。


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ルターはこの街の名前になっているように、この街はルターの活躍した街として世界遺産になっています。ルターが「95か条の論題」を張り出して宗教改革の口火を切りましたが、それがこの城教会にある扉です。1517年のことです。教会の外に出て、それを見に行きましょう。教会の外に出ると、またまた教会のスケールの大きさに圧倒されます。


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これがその扉です。ルターが「95か条の論題」を張り出した当時は木製でしたが、七年戦争のさなか1760年に焼失しました。現在の扉は1858年にブロンズで再現されたものです。


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扉に近づいてよく見てみましょう。これが扉の一部です。大きな扉1面にびっしりとドイツ語が書かれています。「95か条の論題」の文面が刻み込まれています。


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これが宗教改革の発端だったんですね。

城教会の前の広場、シュロスプラッツSchloßplatzでは、皆さん巨大な教会を見上げています。見上げるしかないほど、堂々と聳え立っているんです。


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さて、残り少ない短い時間を使って、このヴィッテンベルクの街を散策します。ツーリストインフォメーションでもらった地図を片手に持ち、街の中心地の方に歩いていきましょう。城教会から大きな真っ直ぐの通り、シュロス通りSchlossstraßeが街の方に続いています。その先には聖マリエン市教会Stadtkirche Sankt Marienの大きな2本の塔が見えています。


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青空のもと、気持ちのよい散策になりそうです。


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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:マルクト広場にはクラナッハの家が2軒もあります!

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/12回目

城教会SchlosskircheからヴィッテンベルクWittenbergの街の中心のマルクト広場Marktplatzへ歩きます。マルクト広場の聖マリエン市教会Stadtkirche Sankt Marienが見えています。シュロス通りSchlossstraßeをまっすぐ進めばよさそうです。


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通りを少し進んで振り返ると、ようやく城教会の全景を眺めることができます。大きな建物なんです。


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通りの途中からは、綺麗な水の流れている水路Trajuhnscher Bach(溝というにはあまりに綺麗です。名前:Bachからは小川のようですね。)が通りを2つに分けています。


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城教会とマルクト広場の中間辺りまでやってきます。城教会からはかなり離れましたが、それでもまだ大きく見えています。


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マルクト広場も近くなって、人の賑わいも見えています。


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通り沿いのホテルはとても可愛い装飾で思わず、見入ってしまいます。


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シュロス通りを最後まで歩くと、マルクト広場へ到着です。広場の左の赤い屋根の白い建物はルネッサンス様式の市庁舎Rathausです。右手の奥の立派な2本の塔の建物が聖マリエン市教会で、この街最古の建物です。教会には後で立ち寄る予定です。


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マルクト広場には2つの像が建っています。向かって右側がルター像Lutherdenkmalです。


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そして、左側はメランヒトン像です。


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ルターと並び立っているメランヒトンって誰なんでしょう。後で調べてみると、ルターの宗教改革に共鳴してルターの思想を体系化した知的な人物だったようです。ルターは非体系的で直感的だったので、メランヒトンが宗教改革に果たした役割は非常に大きかったとのことです。

このマルクト広場で見たかったのはクラナッハの家Cranach-Hausです。クラナッハは画家の本業以外に、この街の市長まで務めた街の重要人物です。ですから、彼の家は街一番の大きさを誇っていたそうです。マルクト広場に面したマルクト4番地にクラナッハの家があります。大きな建物ですね。


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でも、これで驚いてはいけません。さらにすぐ近くのマルクト1番地にもう一つのクラナッハの家があります。こちらもとても立派な建物です。クラナッハは薬局の経営まで手を染めています。このクラナッハ薬局Lucas-Cranach-Apothekeが今でも残っており、このマルクト1番地の家の東角の部分で営業を続けています。


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薬局の入口の上にクラナッハの家の銘板があります。


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店内に入ってみますが、見事に明るくモダンに改装されていて、普通に営業しています。


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クラナッハ薬局の全景です。


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クラナッハの家自体は薬局の右側に続いており、薬局の2倍ほどの大きな建物です。クラナッハは、この裏手にある建物も含めて、住居および工房として使っていました。後年、主君の失脚に伴って、これらの立派な家を息子に託してヴァイマールに去ったわけですが、さぞや無念だったことでしょう。

ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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まだまだ、ヴィッテンベルクの散策は続きます。


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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:クラナッハの3連祭壇画を見て、満足!満足!

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/13回目

ヴィッテンベルクWittenbergのマルクト広場Marktplatzでクラナッハの2つの家を見て満足し、次は広場近くにある聖マリエン市教会Stadtkirche Sankt Marienの前に立ちます。ルターが説教壇に立ったという由緒ある教会は、さすがに大きく立派です。


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この教会にはクラナッハによる祭壇画があり、それを見るのがこの街に来た一番の目的です。早速、中に入ってみましょう。えっ、ここも工事中のようです。でも、正面には祭壇画が見えています。


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工事用の足場は、祭壇画の邪魔にならないように組んであります。ご配慮、ありがとうございます。ヴァイマールの教会のようなことにならなくて、よかった!


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これがクラナッハの3連祭壇画です。あまりに簡単に見られたせいか焦ってしまい、写真がぶれて撮れてしまいました。お恥ずかしい。3連画の中央が、円卓を囲んでルターが宗教改革について語り合っている場面です。クラナッハの絵では見たことのない構図です。


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この絵を見ることができて、もうsaraiは満足です。ゆったりした気分で教会の中をながめます。後方を見ると、やはり立派なパイプオルガンがあります。


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これは説教壇でしょうか。ルターがここで説教したんですね。


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もう一度クラナッハの祭壇画を一瞥して、教会を出ます。教会の扉も立派です。


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聖マリエン市教会のすぐ隣には小さな古い教会もあります。


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聖マリエン市教会を横手から見ると、大変な修復工事中です。それにもかかわらず、クラナッハの絵が見られて本当によかったです。


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ここから駅の方に歩いて戻ります。マルクト広場から伸びているコレギエン通りCollegienstraßeに出ます。マルクト広場を介して、シュロス通りSchlossstraßeと繋がっている街の目抜き通りです。それにしても綺麗な街並みです。


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通りを歩くと、配偶者がいつも気になってしまう花屋さんがあります。この花屋さんには特に興味を引く珍しい花はないそうです。


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通りの外れのほうまで歩くと、マルクト広場にも像のあったメランヒトンの家Melanchthonhausがあります。あるにはあるのですが、これも修復工事中で無残な有様です。


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ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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このメランヒトンの家の先にはルターの家Lutherhaus Wittenbergがあります。最後にそこに寄っていきましょう。


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ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:ルターの家はとても大きい!

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/14回目

ヴィッテンベルクWittenbergの正式名称はルターシュタットLutherstadt(ルターの街)です。ルターの生家と最期の家はアイスレーベンEislebenの街にありますが、ルターが主に活躍したのはヴィッテンベルク。このヴィッテンベルクとアイスレーベンの2つの街は《ルターメモリアル》として、世界遺産に登録されています。このヴィッテンベルクでは既にルターが活動した2つの教会、城教会Schlosskircheと聖マリエン市教会Stadtkirche Sankt Marienを見てきました。最後にルターの家Lutherhaus Wittenbergを訪れます。家の前では綺麗に花咲く木蓮の木が訪れる人を迎えてくれます。


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ルターの家の案内板が立っています。開館時間は6時までです。あと15分ほどあるのでぎりぎりセーフですが、電車の時間が迫っているので、中に入るのはやめて外から見るだけにします。


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ルターの家には、大きな垂れ幕が下がっています。いろんな展示があるようですね。


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この辺りが入口です。ここから引き返します。


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ルターの家の中庭は公園のようになっていて、気持ちのよい空間です。中庭から見たルターの家の右半分です。


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こちらが左半分です。


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ずいぶん大きな建物です。もともとは大学兼修道院として建てられたそうです。ルターが1508年に初めてヴィッテンベルクを訪れたときは、この建物の屋根裏の僧房を住まいとしました。宗教改革後に館ごと譲り受けて、妻と6人の子供たちと住んだそうです。内部は質素らしいですが、それにしてもとても立派な建物に住んでいたんですね。
館の2階の壁にはルターのレリーフがはめ込まれ、ルターがここに1508年から1546年まで住んでいたことが記されています。実に40年近くも暮らしていたんですね。


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ルターの家を離れます。少し歩いて、再度ルターの家を振り返って見ると全景が見渡せます。左手奥がルターの家で、手前にあるのが付属教会です。


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ここから駅に戻りますが、途中にルターアイヒェLuthereicheという公園があります。ルターの家を探すときに目印になるところです。小さな公園ですが、大きなカシの木が印象的です。


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駅前の大きな通り、アム・ハウプトバーンホフAm Hauptbahnhofに出ます。この通りは駅からのタクシーでも通った通りです。だだっ広い通りで、このすぐそばに世界遺産のヴィッテンベルクの街があることが信じられないような風情のない通りです。


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この通りを歩いて行くと、やがてルターシュタット・ヴィッテンベルブルク駅Lutherstadt Wittenbergが見えてきます。


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ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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予約済のICEの出発時間まで、まだ20分を残しています。何とか駆け足で、念願のヴィッテンベルクの街を見ることができました。駅から片道はタクシーに乗りましたが、僅か1時間ほどで街を見ることができたわけです。これからICEに乗ってベルリンBerlinに戻ります。


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田部京子・矢部達哉・古川展生《室内楽コンサート》@上大岡ひまわりの郷 2012.10.12

すっかり秋めいてきました。秋といえば、やはり室内楽をじっくりと聴いてみたいですね。先週、上大岡ひまわりの郷コンサート・シリーズで吉野直子ハープ・リサイタルを聴きましたが、その際、今日の室内楽コンサートのことを知りました。日本を代表する演奏家たちが近場の小さなホールで室内楽を奏でてくれるのはとても嬉しいです。
実際、期待以上の素晴らしい演奏で感動しました。特に後半のピアノ3重奏曲の定番中の定番、ベートーヴェンの《大公》は大袈裟に聴こえるかもしれませんが、予習したオイストラッフ・トリオ、スターン・トリオ、スーク・トリオ、そして、ケンプ+シェリング+フルニエの演奏を吹き飛ばしてしまう快演で、終始、酔いしれました。ベートーヴェンの《大公》がとてつもない傑作であることが初めて実感できました。実は《大公》、そして、ピアノ3重奏曲は生で聴いたのは初めてだったんです。ピアノ3重奏曲は生が一番です。あのチェロの深い響きは拙宅のオーディオ装置では決して再現できません。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:矢部達哉
  チェロ:古川展生
  ピアノ:田部京子

  ベートーヴェン:ユダス・マカベウスの主題による12の変奏曲 WoO 45
  ブラームス:主題と変奏 Op.18(弦楽6重奏曲第1番第2楽章の作曲家自身のピアノ編曲)
  ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》 Op.78

《休憩》

  ベートーヴェン:ピアノ3重奏曲第7番《大公》 Op.97

   《アンコール》 ドビュッシー:ピアノ3重奏曲より第3楽章

矢部、古川の両氏は東京都響の弦楽セクションを支える首席奏者で、毎月の定期演奏会でいつもご尊顔を拝見していますが、なかなか、ソロの音は聴いていません。ピアニストの田部氏は初聴きです。

前半のプログラムはベートーヴェンはともかく、ブラームスは不満だらけの演奏。あまり思い出したくないので、詳細には触れませんが、休憩時間に配偶者にsaraiは「日本人の音楽家はどうしてブラームスがちゃんと演奏できないんだ!」なんて暴言を吐いていました。《主題と変奏》は妙にピアノを響かせ過ぎて、ピアノのピュアーな音色が聴けませんでしたし、ヴァイオリン・ソナタはあの爽やかなロマンチシズムが表現できていませんでした。ベートーヴェンの《ユダス・マカベウスの主題による12の変奏曲》はチェロの古川展生の深い響き、力強い音楽表現で結構よかったんですが、ブラームスの2曲でその好演も消え去ってしまいました。

ということで、まったく期待していなかった《大公》です。この長大な曲、退屈するといやだなあと思いながら聴き始めました。
第1楽章はあの有名な主題から始まります。たーたーたーたーたー、たーたたーたーたーたーたー・・・。
いやもう、その素晴らしい響きに金縛りにあいました。あの聴きなれていた筈の旋律が実に新鮮に聴こえます。チェロの低音の深い響きはCDでは味わったことがありません。実はsaraiはかぶりつきのど真ん中で聴いていました。美しいヴァイオリンの高音の響き、ピアノの重厚な響き、それらが一体になって、saraiの耳を楽しませてくれます。長い筈のこの曲がアンサンブルの妙に聴き惚れているうちにあっという間に進行していきます。圧巻は第3楽章。ピアノの内省的な流れのとても美しい音楽が始まります。やがて、チェロ、そして、ヴァイオリンが絡んでいきます。思わず目頭が熱くなり、saraiの胸は感動で満たされます。これはベートーヴェンが書いたなかでももっとも美しい曲の一つです。後期の弦楽四重奏曲群、後期のピアノ・ソナタ群と肩を並べる傑作中の傑作です。美しく諦念に満ちた変奏が次々に続きます。最後に主題に戻った時の美しさといったら、何物にも例えられません。そして、そのまま、明るい第4楽章にはいり、うきうきした気分で曲が閉じられます。フィナーレでの余韻も感じました。素晴らしい快演です。こんな素晴らしい音楽がこんなにお手軽に聴けて、嘘のようです。演奏した3人の名手にブラヴォー!

アンコールはドビュッシー、もちろん、聴いたことのない曲です。チェロが甘いロマンを感じさせるメロディーを弾きます。これって、本当にドビュッシー? 印象派ならぬ、後期ロマン派の響きです。ロマンの香りに満ち、フランス的な気品も感じる美しい曲でした。

彼ら3人は素晴らしいピアノ・トリオです。できれば、前半もピアノ・トリオの曲を演奏してくれればなあと叶わぬ望みを配偶者に話しながら、ご機嫌でホールを後にしました。

今夜とまったく同じプログラムで11月7日に浜離宮朝日ホールでコンサートが予定されています。少なくとも《大公》だけは聴きものですよ。室内楽の好きなかたもそうでないかたも是非、足を運ぶことをお勧めします。

最後に駄話ですが、ピアニストの田部京子は初めて聴きましたが、とても綺麗なかたでした。saraiは音楽家を見栄えでは評価しませんが、美しさは罪ではありません。ねっ・・・



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       田部京子,  

ヴィッテンベルクは世界遺産のルターの街:短いヴィッテンベルク滞在を終え、ICEでベルリンへ

2012年4月12日木曜日@ヴァイマール~ヴィッテンベルク~ベルリン/15回目

ヴィッテンベルクWittenbergの街の散策を効率よく終えて、ルターシュタット・ヴィッテンベルブルク駅Lutherstadt Wittenbergに戻ってきました。駅舎はヴィッテンベルクの街とは反対側にあるようです。


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線路の向こう側に渡り、駅舎の前に立ちます。もう夕方の6時を回っています。


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予約したICEの到着も間近です。自分の指定席の車両がホームのどの辺りに停車するのか、確認します。ドイツの駅には、その駅を発着する全列車の車両編成とホームの停車位置の関係を示すマップが張り出してあります。これを確認しておかないと、電車が到着した後に走り回る羽目に陥ります。これまでに何度も大変な目にあいました。


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ホームには、もちろんICEの案内が表示されています。到着まで後10分ほどです。


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駅のプラットホームのまわりはだだっ広い広場になっています。街から離れたところに駅があるので、建物もまばらです。


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さあ、確認した車両の停車位置の方に移動しましょう。ずっと前方です。


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駅舎からこんなに離れた場所がsarai達の乗る車両の停車位置です。あらかじめ移動しておかないと大変なことになります。


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ちょうどこの位置に待合所があり、配偶者はベンチで待機です。


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定刻にICEがホームに滑り込んできます。きっちり待っていた場所に乗りこむ車両が停車します。


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ルターシュタット・ヴィッテンベルブルク駅からはICEで45分でベルリン中央駅Berlin Hauptbahnhofに到着です。

ここまでの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。(緑色の矢印)


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夕食代わりに、寿司弁当を調達します。
実は、一昨日ベルリンに着いた時から気になっていたんです。ベルリン到着後に訪れたポツダムPotsdamでも多くの「sushi」という看板を見かけました。この中央駅には立派な店舗の回転寿司屋があり、アジアの料理店の中にもお寿司があるんです。これは、一度チェックしてみないといけませんよね。このアジア料理店でお弁当を注文します。


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ちゃんとした寿司屋の誂えになっていて、注文後にお寿司を握ってくれます。味は期待できそうです。


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ツォー駅Zoo経由でバスに乗り、昨日チェックアウトしたばかりのホテルに到着。これがホテル・シュタイゲンベルガー・ベルリンSteigenberger Hotel Berlinの全景です。


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saraiが、とても安いからと5つ星のこのホテルを選んだのですが、今夜からは少し張り込んで1つランクUPします。今日から4泊もしますから、居心地のよさそうな部屋にしてみたんです。部屋のしつらえは一昨日の部屋と変わりないのですが、2階から最上階の6階に移動、洗面台が2人使用タイプになりハンドタオルが増えました!


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さらに、湯沸かし器がデロンギ製のコーヒーメーカーになりました。カプセルタイプのコーヒーの粉を使いますが、このカプセルは各種のものが用意されていて、もちろん無料。使えば使っただけ、翌日にはちゃんと補充されます。


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バスローブとスリッパが用意されています。


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なんと無料のミネラルウォーターもガスなしとガス入りの両方が置いてあります!


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少々料金は上がりましたが、なかなかのサービスで満足です。

気分よくお茶を入れて(お茶や各種の紅茶のティーバッグも用意されてます)、お寿司を試食。いやあ、美味しいですよ。酢飯もちゃんと酢飯だし、ネタもなかなか美味しいです。シメサバもあります。ウィーン西駅のお寿司には及びませんが、世界標準は着実に上がっています。


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気持ちのよさそうなベッドでゆっくりと睡眠を楽しみます。


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明日はいよいよ待望のベルリン・フィルをフィルハーモニーのホールで初聴きします。楽しみです。


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20年ぶりのベルリン:100番の見晴らしの良い2階建てバスで、束の間の市内観光

2012年4月13日金曜日@ベルリン/1回目

旅の8日目です。3日前から20年ぶりにベルリンBerlinの街に滞在しています。一昨日から昨日にかけてはアイゼナハEisenach、ヴァイマールWeimar、ヴィッテンベルクWittenbergを小旅行してきましたが、今日からは久々のベルリンを本格的に楽しみます。

配偶者が朝目覚めて、ホテルの部屋のカーテンの隙間から外を見ると・・・え~、どんよりとした曇り空。夜の間に雨も降ったようでビショビショ。


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昨日の午後はヴィッテンベルクで素敵な青空が見えたので、配偶者はお天気は回復して今日あたりから素晴らしい晴天になる予感がしていたらしいのです。完全に期待を裏切られましたが、雨は止んでいるようなので良しとしようか・・・などと配偶者がお天気にがっかりしている間、saraiはまたまた夜遅くまでブログを書いていたのでぐっすり睡眠中。仕方がないので、配偶者は選手交代でブログの下書きを書きながら、saraiの目覚めを待っていたとのことです。

ようやくsaraiが起床。saraiも思わしくない天気を見て、今日予定していたシャルロッテンブルク宮殿Schloss Charlottenburg行きは止めようということにします。やはり青空の下がいいに決まっています。こういう日は、美術館に限ります。楽しみにしていたベルリン絵画館Gemäldegalerieに行くことにしましょう。今夜はベルリンに来た第一目的のベルリン・フィルのコンサートがあるので、ベルリン絵画館だけをさっと見てホテルに戻り休養して、コンサートに備えることにします。
さて、ベルリン絵画館に向かう前に、お洒落なカフェで朝食をいただきましょう。今回の旅のテーマの一つは「カフェでいただく朝食」ですから、ホテルは朝食なしにしてあります。本日のお楽しみの朝食はどこにしましょうか。配偶者が一番楽しみにしていた、花屋さんがあるカフェのアンナ・ブルーメCafé Anna Blumeに決定です。

さっさと出かける準備をして、ホテルの部屋を出ます。さすがに5つ星ホテルのロビーは綺麗ですね。


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お洒落なブティックもありますが、朝はまだ開店前です。


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ホテルを出て、クーダムKu-damm(正式名称クアフュアステンダムKurfürstendammの略称)の通りを歩きます。道行く人も寒そうです。


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カフェ・アンナ・ブルーメに向かいます。ブライトシャイドプラッツBreitscheidplatzのバス停からバスに乗ります。100番の見晴らしの良い2階建てバスの上からベルリンの街を眺め、市内観光をしながらアレキサンダープラッツ駅Bahnhof Berlin Alexanderplatzに行くことにします。100番、200番の2階建てバスは路線バスなので、購入済のベルリン7日間券で乗ることができます。


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もちろん、2階席に上がります。少し混んでいますが、並んで席につけます。saraiが地図を手にして、しっかりガイドを務めます。市内半日観光の気分です。


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まず街の風景で目立つのは、いまだに工事中の建物が多いことです。20年前はベルリンの壁が崩壊して間もない頃でしたが、いまだにこんなに工事中が多いとはね・・・。


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バスはティーアガルテンTiergartenの緑に包まれた公園の中の道にはいっていきました。


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やがて、ティーアガルテンの真ん中にある戦勝記念塔(ジーゲスゾイレSiegessäule)を通過します。これは20年前と変わりがありません。


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その先はベルビュー宮殿Schloss Bellevueの白い瀟洒な建物が見えます。騎馬警官の姿も見えます。この建物は、現在は大統領官邸として使われていますが、1786年にプロイセンの皇太子のために建てられました。第2次世界大戦の頃はナチス政府の迎賓館として利用され、戦争で破壊されましたが、戦後再建されました。この建物は一般人には公開されていません。


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ベルビュー宮殿を過ぎたあたりから、バスはシュプレー川Spreeに沿って走ります。


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道が川からそれていくと、変わった形の建物が見えます。世界文化会館Haus der Kulturen der Weltの建物です。ベルリンっ子の間では「孕んだ牡蠣Schwangere Auster」としておなじみなんだそうです。アメリカの建築家ヒュー・スタビンスが設計した建物で、文化的なイベントに利用されているそうです。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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バスの上からの観光はまだまだ続きます。20年前の復習です。


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フェドセーエフ/チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ@サントリーホール 2012.10.15

今日は巨匠フェドセーエフ80歳記念ツアーと銘打ったコンサートです。やはり、チャイコフスキーは本場ロシアの指揮者とオーケストラで聴いてみたいものです。最近では、テミルカーノフ/サンクト・ペテルブルグ交響楽団やプレトニョフ/ロシア・ナショナル管弦楽団とかはなかなかの名演を聴かせてくれました。もちろん、ゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団は別格ですけどね。
フェドセーエフはロシアだけでなく、ウィーンでも活躍していますが、これまで聴く機会がなく、今回が初聴きになります。80歳を超えた指揮者は現在、そうはいませんが、ハイティンク、アーノンクール、プレートルなど敬愛する指揮者ばかりです。saraiの偏見ですが、指揮者とピアニストは80歳を超えて、本当の音楽家としての境地に達すると思っています。そういう意味で、80歳に達するのを楽しみに待っている音楽家も何人かいます。指揮者とピアニストは長生きも才能のひとつでしょう。そういうことで、今日も80歳になったフェドセーエフのコンサートに駆けつけることにしました。オール・チャイコフスキー・プログラムというのも期待の一つです。
予習もムラヴィンスキー、スヴェトラーノフというロシアの2大巨匠で「弦楽のためのセレナード 」、「悲愴」をきっちり聴きこみました。さすがにムラヴィンスキーは録音は古くても、心の奥底まで訴えてくる力があります。さて、今日のフェドセーエフはどうでしょう。フェドセーエフは「悲愴」を自筆譜に基づいて演奏していることで知られていますから、今日の演奏もきっとそうなるんでしょう。自筆譜に基づいた演奏の大きな特徴は第4楽章が通常のアダージョからアンダンテに変わることです。したがって、演奏時間も10分程度と通常に比べて、1~2分早まり、あっさりとした表現になる筈です。心して聴いてみましょう。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
  管弦楽:チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ(旧モスクワ放送交響楽団)

  ~オール・チャイコフスキー~
  「エフゲニ・オネーギン」より3つのシンフォニック・パラフレーズ(フェドセーエフ選曲)
    ・イントロダクション ・ワルツ ・ポロネーズ
  弦楽のためのセレナード ハ長調 op.48

《休憩》

  交響曲第6番 ロ短調 op.74「悲愴」

   《アンコール》
チャイコフスキー:バレエ音楽《眠りの森の美女》~パノラマ
    チャイコフスキー:バレエ音楽《白鳥の湖》~スペインの踊り

まず、歌劇《エウゲニ・オネーギン》からの3曲です。来年の4月にウィーン国立歌劇場でこのオペラを見る予定なので、耳なじみにいいでしょう。最初は第1幕冒頭の音楽です。暗く沈んで、このドラマの先行きを暗示しています。弦が中心ですが、アンサンブルが完璧ではないのが残念です。それに高音弦の透き通った響きがないのも不満ですが、逆に低音弦を中心に分厚いサウンドできっちりした演奏です。初めはロシア的な響きかとも思いましたが、そういうわけでもなさそうです。分厚い響きを除けば、結構モダンな演奏に思えます。もっとも弦の配置はロシア型の対向配置で、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンと並び、コントラバスは管楽器群の後ろの台の上に陣取っています。
第1曲は繊細な響きでいい感じです。第2曲はワルツです。華やかですが、屈折のある明るさです。第3曲はよく独立して演奏される有名なポロネーズです。オペラでは、華やかな舞踏会のシーンで圧倒される音楽ですが、フェドセーエフも思い切ってドライブし、オペラの場面を想像しながら、気持ち良く聴けました。コンサートの幕開けには、打ってつけの選曲でした。まあ、軽く始まったというところです。

次は、管楽器奏者が退場し、《弦楽のためのセレナーデ》です。予習したムラヴィンスキーの演奏では、セレナーデなんていう軽いノリの音楽ではなくて、とても深い精神性に満ちた音楽で、形式はともかくとしても、交響曲といっても差し支えのない大変な傑作です。今日の演奏は、よくも悪くもやはり、セレナーデでした。ただ、美しさだけを求めた演奏ではありませんでした。特に第3楽章の切々とした響きは心に迫るものがありました。後半の低弦のピチカートに乗って、第1ヴァイオリンが深い歌を歌うところは何という美しさでしょう。
これで前半は終了。満足でしたが、少し物足りない感じもありました。

休憩後、《悲愴》です。第1楽章は実に暗い表情で抑えた表現です。無理のない自然な演奏とも言えます。もちろん、曲の抑揚はありますが、いかにも朴訥とした感じで派手さのかけらもありません。聴きながら、色々と考えてしまいました。スコア通りに抑えた自然な演奏をするので、聴衆のほうから音楽に近づいてきて、それぞれの心の中でこの音楽を咀嚼して欲しいというメッセージなんでしょうか。それはそれで理解できます。いわゆる押しつけがましい演奏、自己陶酔型の演奏の対極を行くわけです。演奏家は作曲家と聴き手の間をダイレクトにつなぐためのパスとしてだけ存在し、出来る限り、作曲家の書いたスコアを忠実に再現するという黒子的な存在に徹するという、ある意味、困難な作業を行うわけです。その理解が正しいかどうかは分かりませんが、精神的な意味で身を乗り出して、音楽に没頭することになりました。音楽の細かいニュアンスは自分で聴きとるのみです。第2楽章は美しい音楽ですが、それでもやはり抑えた表現が続き、自分から音楽を聴きとる作業を続けます。こういう演奏もあるのだと、この時点までは納得して聴いていました。何といっても、こういう演奏は退屈する暇がないという利点があります。自分なりに音楽を理解するので手一杯で退屈する暇なんてありません。特に《悲愴》のような聴きなれた超有名曲だと、単に美しい演奏は退屈することもありますからね。妙な聴き方かも知れませんが、実は音楽に接近するための本質的な聴き方のような気もします。
ところがです。第3楽章にはいると、状況が一変します。フェドセーエフが抑えていた手綱を開放し、オーケストラを響かせ始めたんです。繊細な響きですが、勢いのある演奏が始まりました。そして、徐々に頂点に上り詰めます。今までが抑えた表現だったので、余計に解放感があり、響きに酔いしれます。そして、第4楽章です。《悲愴》の看板とも言っていい部分です。そうそう、自筆譜に基づいたアンダンテのテンポなんですね。聴いていても少し速いかなと思うくらいで自然な演奏です。それよりも、演奏が切々とした調子ではなく、哀しい響きながら、ボリューム感のたっぷりとした分厚い響きなんです。ここに至って、今日の演奏の骨格がようやく理解できました。フェドセーエフは第1楽章から第4楽章までを全開でドライブしないで、第2楽章まではきっちりと抑えた演奏をして、第3楽章から盛り上げ始め、第4楽章に頂点を持ってこようという周到な設計をしていたようです。通常の《悲愴》の演奏とはずい分と違った演奏です。通常は第1楽章から第3楽章までを美しく、そして、激しく歌い上げ、一転して、第4楽章はテンポを落とし、抑えた響きで切々と迫るというのが定番でしょう。saraiもフェドセーエフの引いた設計図にまんまと乗り、第2楽章までは気をそそられ、第3楽章で解放され、そして、第4楽章で圧倒されるということになりました。第4楽章は終始、美しい響きで満たされ、高揚感を味わえました。フィナーレですが、低弦の強い響きが鼓動のように続きながらのエンディング。消え入るようにではありません。弔いの鐘のように銅鑼がなり、金管もそれに続いた後、通常は悲劇の幕引きのように弦が小さな響きで消え入るように人の最期を悲しんで終わるというところですが、今日の演奏は違うメッセージを感じます。人は悲劇的な運命にあったとしても、じっとそれに耐えて、生き抜くだけだという感じに聴こえます。それは《悲愴》の正しい解釈なのかもしれません。フェドセーエフが自筆譜を読みこなした結果がこれだったんでしょうか・・・。
以上はsaraiの勝手な深読み、あるいは誤解かも知れません。しかし、演奏を聴いた後の感動は確かにありました。いつもとは違う《悲愴》で感じるところも大いにありました。これをCDで聴いたら、きっと第2楽章までが物足りなくて、第3、第4楽章がよかったという感じになりそうな気がしますが、生演奏で聴けば、後半に盛り上がる演奏に満足して、感動ということになります。実際、第4楽章が終わった後、しばしの静寂があり、その後、聴衆は拍手と歓呼でフェドセーエフを称えました。アンコールのバレエ曲も思いっきり、美しく、激しく演奏され、本番以上の演奏でした。サントリーホール恒例?の指揮者のみのカーテンコールでしめくくり、聴衆と音楽家の心が触れ合う感動のコンサートとなりました。
最後に書き忘れていました。第4楽章のテンポですが、聴いていてもよく分かりませんでしたが、時間を計測すると約10分でした。規範?とされるムラヴィンスキーの1960年のDG録音も10分弱ですから、変わりませんね。これって、どういうことでしょうね?



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この記事へのコメント

1, AMATIさん 2012/10/18 10:40
感想読ませていただきました。主催者として、とても嬉しくまた今後の企画に参考になるありがたい内容でした。ありがとうございます。ひとつだけお伝えしたく、投稿させていただきます。

「人は悲劇的な運命にあったとしても、じっとそれに耐えて、生き抜くだけだ」

という想いを感じてくださったとのことですが、マエストロがまさにそのようなことをおっしゃっていたので、そのことをお伝えさせて下さい。マエストロにもそう感じてくださったお客様がいらして書き込みをしてたくさんの方に伝えてくれていました、と伝えます。
御来場ありがとうございました。



2, saraiさん 2012/10/18 13:59
AMATIのスタッフのかたからのメッセージ、ありがとうございます。
マエストロにもよろしくお伝えください。機会があれば、ウィーンでマエストロの指揮するウィーン交響楽団のコンサートにも足を運びます。今年の定期演奏会のオープニングコンサートは素晴らしかったようですね。

なお、聴衆の一人として、演奏家のかたと思いを同じくできることは、コンサート通いをする一番の喜びです。嬉しくコメントを読ませていただきました。

ところでAMATIの活動も注目しています。特に菊池洋子、パク・ヘユンは目が離せません。今後ともよい音楽を聴かせてくださいね。

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20年ぶりのベルリン:バスから地下鉄に乗り換えましたが、電車がストップ・・・なんで?

2012年4月13日金曜日@ベルリン/2回目

100番の見晴らしの良い2階建てバスの上からベルリンBerlinの街を眺めながら、アレキサンダープラッツ駅Bahnhof Berlin Alexanderplatzに向かいます。広大なティーアガルテンTiergartenの中をバスは進みます。緑の芝生の奥に大きな建物が見えます。連邦首相府Bundeskanzleramtの建物です。


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ティーアガルテンの外れにドイツ連邦議会議事堂Reichstagsgebäude am Sitz des Deutschen Bundestagsの重厚な建物が見えてきます。多くの観光客が集まっています。是非ここへも、明日以降に来てみましょう。


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この議事堂を過ぎるあたりでバスが進まなくなります。渋滞なのかしらと思っていると、10台ほどの日本で言うところの白バイに先導された黒塗りの車の列が通過していきます。大統領か、どこかの国の要人が通ったのでしょうか。


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ティーアガルテンを抜けると、ウンター・デン・リンデンUnter den Lindenの通りに入ってきます。ブランデンブルク門Brandenburger Torから博物館島Museumsinselへと続く通りです。


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バスは博物館島に入り、巨大なベルリン大聖堂Berliner Domが正面に見えます。


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ベルリン大聖堂の奥には、ギリシャ様式の列柱が並ぶ旧博物館Altes Museumの建物が見えます。


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博物館島には別の日に来てみましょう。
ようやくバスはアレキサンダープラッツ駅に到着。大きな建物が立ち並び、なかなか賑やかなショッピングエリアのようです。


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もちろん花屋さんもあり、配偶者は見逃しません。このBLUME2000という花屋さんはチェーンストアのようで、ドイツ各地で見かけます。


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駅前の広場にはたくさんの市がたっています。でも、朝食のカフェを目指しているので、お店をながめている暇はありません。残念!


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地下鉄乗り場を見つけて、地下のプラットホームに下ります。ここから地下鉄2号線(U2)に乗って、3駅向こうのエーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeに行きます。電車はあと3分でやってきます。


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ホーム内にあるショップの壁にある看板を見て、びっくり。ここでも寿司弁当を販売しています。巻物中心ですが、300円程度とお安いです。


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さて、ようやく目的の電車に乗ったのに、次の駅に停車するとぞろぞろと乗客は降りて行きます。sarai達は降りずに座っていると、車掌さんがやってきて、電車はここで終わりだよと言います。えっ、何で?と怪訝なsaraiの表情を見た車掌さんが、工事のためここで電車は終わりでバスが代替運行しているから地上に出てバスに乗ってねと説明してくれます。他の乗客の後ろに付いて地上に出ると、バス停があります。


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すぐにバスはやってきます。その表示はU2です。地下鉄と同じ路線名にしてあります。これは分かりやすいですね。当分工事は続くのでしょう。


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バスで2駅分進んで、エーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeに到着です。地下鉄の線路はここでは地上の高架線になっています。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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バスと地下鉄とを乗り継いでやってきましたが、ようやく朝食を食べられそうです。これからは歩いてカフェに急ぎます。


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20年ぶりのベルリン:朝食の前ですが、とりあえず評判のカリーヴルストに舌鼓

2012年4月13日金曜日@ベルリン/3回目

エーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeのそばに評判のカリーヴルストのお店“コノプケ”Konnopke's Imbissがあります。朝食を食べにカフェに向かっている途中ですが、2人で1人前のカリーヴルストならいただいてもよいでしょう。お店は地下鉄の高架線の下にあります。


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本来のお店は改装中か何かで営業しておらず、この高架線下の店舗は仮の店舗です。


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お店に向かって歩いていると、前を歩いている2人連れの声が聞こえてきます。なんと、日本語です。こんなところで日本人は珍しいので、配偶者が声をかけます。あちらからも、快活な返事が返ってきます。この辺りで日本骨董店を開いている女性とその甥っ子さんとのことです。やはりカリーヴルストを買いに来たそうで、そこまでおしゃべりをしながらご一緒します。お店に着くと、そんなにお客さんが並んではいなくてホッとします。まだ朝ですからね。


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一緒にカリーヴルストを買いに来た女性の経営するお店はそこからも見えているので、後で彼女のお店を訪ねることを約束して別れます。カリーヴルストを注文すると手際よく調理してくれます。店舗内のテーブルに持っていって、いただきます。外は寒いですからね。


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これが2人で食べる1人前のカリーヴルスト・・・このお店“コノプケ”で定番のオーネ・ダルム(腸詰でないもの、つまり皮なし)です。


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ここのカリーヴルストは、上品な美味しさです。でも、B級グルメですから、もっとどんくさい方が良いかも知れないというのが我々の意見です。でも、美味しくいただきます。saraiの趣味では、ミット・ダルム(腸詰め、つまり皮つき)のほうが美味しく感じます。
お店を出ると、寒空の下、外で食べている人もいます。こちらの人は寒さに強いですね。


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さあ、いよいよ朝食をいただきに行きましょう。これまた評判のカフェ“アンナ・ブルーメ”Café Anna Blumeに向かいます。駅からは10分ほど歩きます。途中に奇妙な建物があります。外装は綺麗ですが、正体不明です。


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アンナ・ブルーメに到着。もう、お店は賑わっています。


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アンナ・ブルーメは花屋さんを併設したカフェレストランです。朝食の後で、花屋さんも覘いてみましょう。


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このカフェはベルリンで一番の人気店という観光案内書通り、平日なのに待ち行列ができています。我々もお店の中で並んで待ちます。


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少し待ってテーブルに案内されます。やけに狭いテーブルですが、混んでいるので文句は言えません。それほど待たずに座れただけでもよしとしましょう。


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我々の後にもまだまだお客さんの行列ができています。


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観光案内書でお勧めの朝食セットを2人分注文。お店の様子をながめながら、朝食が運ばれてくるのを待ちます。


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お腹が空いて、朝食セットが待ち遠しいなあ。


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20年ぶりのベルリン:カフェ“アンナ・ブルーメ”での素晴らしき朝食!

2012年4月13日金曜日@ベルリン/4回目

評判のカフェ“アンナ・ブルーメ”Café Anna Blumeでの朝食です。まずは紅茶ポットとティーカップとパンが運ばれてきます。それだけで小さなテーブルはいっぱいになってしまいます。朝食がこのテーブルに並べられるんでしょうか。


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来ました、来ました。運ばれてきたのは、まるでアフタヌーンティーの3段重ねのような器にあふれんばかりの豪華な朝食。


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思ったとおり座っていた小さなテーブルではのり切れず、これでは無理だねと、ちょっと広目のテーブルに案内しなおしてくれます。見た目も美しい盛り付けです。


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一番下は、色んな種類のハムやチーズ。真ん中は、調理されたいろいろな野菜と生野菜。上段は果物です。突き詰めれば、普通の朝食の内容と同じかもしれませんが、盛り付けが素晴らしいんです。この3段セットを食べている人も結構います。3段セット以外のものも、これらの食材をアレンジして見事な盛り付けをしたワンプレートのようです。お隣の女性が食べているフルーツサラダもとっても美味しそうです。


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お花屋さんらしい華やかな盛り付けですね。店内には、配偶者好みの可憐な花がセンス良く活けてあります。
ゆっくりと時間をかけて、豪華朝食を完食。たかが朝食に1時間以上も費やしてしまいました。


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しかも、2人で3000円弱です。この料理とパンと紅茶ポット(たっぷり3杯は飲める)2人分ですから、決して高くはないですね。

朝食後にはもちろん配偶者は隣に併設してある花屋に直行し、お花を物色。数種類をお買い上げです。ホテルで押し花にして、日本に連れて帰るそうです。花屋さんはなかなかお洒落です。こんなものが目にはいります。お花で装飾したシャンデリアです。


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お花の展示も綺麗です。


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これなんかもなかなか良いですね。


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朝食もお花もすべて大満足で、カフェ“アンナ・ブルーメ”にお別れ。お店はますます賑わってきたようです。


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さて、お約束通り、先ほどの女性のお店に寄っていきましょう。エーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeのすぐそばにお店があります。日本骨董とカフェの店の《エニシ》(enishi)です。


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店内には日本の懐かしい品々が豊富に並べられています。店主の女性は明るく迎えてくれ、雑談で盛り上がります。やはり、この2週間はイースター休暇で学校もお休みだとのこと。だから、アイゼナハEisenachには若い子たちが来ていたんですね。お手製の抹茶プリン、豆腐プリンまでご馳走になってしまいます。どうもありがとうございました。女性はベルリンに長くお住まいで、その彼女を頼って、数日前に日本からやってきたのが18歳の甥っ子です。彼は、近くの日本料理屋で勉強をするそうです。頑張れ、若者!です。店内で店主の女性とその甥っ子さんと記念撮影です。撮ってくれたのはドイツ人のお客さんです。ここでは彼女と甥っ子さんをご紹介しましょう。周りには、和風の品々が並んでいます。


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海外で頑張っている日本人女性と、楽しい時間が過ごせました。彼女たちとお別れして、エーベルスヴァルダー駅の方に向かいます。青果店の店先には、ポツダムで美味しくいただいたシュパーゲルが並んでいます。いかにも美味しそうですね。


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予想以上に朝食に時間をとられ、もうすぐ2時です。この後、どうしましょう? 思案しながら駅に向かいます。


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20年ぶりのベルリン:カフェでの朝食の後のお楽しみは憧れのベルリン絵画館でクラナッハ

2012年4月13日金曜日@ベルリン/5回目

カフェでの朝食を十分に楽しみました。
予想外の楽しい出来事も重なり遅くなってしまったので、このままホテルに戻ろうかとも思いますが、朝食を食べただけで1日の行動を終えるのも寂しいものです。
少しの時間ですが、ベルリン絵画館Gemäldegalerieに寄ってみましょう。急ぎましょう。来たときと逆の経路を辿ります。エーベルスヴァルダー駅U Eberswalder Straßeから地下鉄2号線(U2)の代行バスに乗り、その後はアレキサンダープラッツ駅Bahnhof Berlin Alexanderplatzまで一駅分地下鉄に乗ります。アレキサンダープラッツ駅からは200番の2階建てバスに乗ります。来たときは100番のバスでしたが、これはベルリン絵画館の前は通りません。途中で面白いものが見えます。これです。


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何か分かりますか? ベルリン名物の酔どれビール自転車です。集団で大型の自転車を漕ぎ、積み込んであるビール樽からビールを飲みながら、市内観光をするようです。これは酔いがまわって、見物どころではなさそうな気がします。あっという間に目の前を通り過ぎていきます。何とかもう1枚写真が撮れました。


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200番のバスは、ウンター・デン・リンデンUnter den Lindenの通りまでは100番のバスと同一経路を走ります。また、博物館島Museumsinselで旧博物館Altes Museumが見えます。


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ウンター・デン・リンデンの通りの先は、ティーア・ガルテンTiergartenの公園には入らずに大きく公園を回り込みながら市街地を走ります。ポツダム広場Potsdamer Platzの先のティーア・ガルテン沿いに走るところでバスを降ります。ここはフィルハーモニーPhilharmonieのバス停です。ベルリン絵画館は、今夜のコンサートの会場のフィルハーモニーのすぐ隣にあるんです。フィルハーモニーの建物を見ると、今夜のコンサートが楽しみになってきます。


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どの建物がベルリン絵画館か分からず、ちょっと迷います。複雑な構造のビルなんです。ようやく、ベルリン絵画館に入り、チケットを購入します。2人ほど並んでいるだけで、すぐに買えます。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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明日からの予定も検討した結果、ミュージアム・パス・ベルリンMuseumspass Berlinの3日間券Drei-Tage-Karteを購入します。ベルリンの主な美術館・博物館などに入場できるパスです。連続する3日間、つまり明後日までは美術館見放題っていうことです。1人19ユーロですから、かなりお得感があります。日本の場合、海外からの美術展では1回でこれ近くの料金をとられますものね。


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パスと一緒にミュージアム・パス・ベルリンの利用ガイドをもらいます。60もの美術館・博物館に入場できるとのことで、その一覧が掲載されています。今日から3日間はできるだけ美術館・博物館回りをしましょう。


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このベルリン絵画館の入場チケットも一緒に渡されます。もちろん、無料です。


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ベルリン絵画館のガイド・パンフレットもゲットしますが、日本語版はなく英語版です。


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このガイド・パンフレットによると、入口に入ってすぐに7室もクラナッハ、デューラー、ホルバインを中心とした16世紀までのドイツ絵画が展示されているようです。今回の旅のテーマのひとつでもあるクラナッハ作品を、思いっきり楽しめそうです。わくわくです。
それに前回のベルリン訪問ではベルリン絵画館には来ていません。その頃は、東西ドイツの美術品を統合したこのベルリン絵画館はまだ存在しませんでしたからね。
広いロビーを歩いて展示室の入口に向かいます。


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おっと、その前に手荷物はロッカーに預けないといけません。こういうことはドイツは実に厳格ですぐに注意されます。カメラだけはちゃんと取り出して、手荷物を預けます。ベルリン絵画館は写真撮影は可なので、パチパチ撮りまくりましょう。いよいよクラナッハの作品群と対面します。


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庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル@横浜みなとみらいホール 2012.10.20

今日の庄司紗矢香のヴァイオリン・リサイタルは元々、オール・ベートーヴェン・プログラムで、以前聴いた彩の国さいたま芸術劇場でのオール・ベートーヴェン・プログラムが素晴らしかったので、その続編として期待していました。ところが、チケット購入後にプログラム変更があり、ベートーヴェンのソナタは第10番だけになってしまいました。プログラム全体はほぼ10日後のサントリーホールでのリサイタルと同じものになりました。実はそのサントリーホールでのリサイタルも聴く予定なので、曲目が重なってしまい、残念ではあります。
今日のリサイタルを聴き終えての感想は庄司紗矢香も若い頃の熱い演奏を卒業し、実にオーソドックスで自然な演奏に変容したというものです。多彩なヴァイオリン・ソナタをどう弾き分けるのかと聴く前には頭をひねっていましたが、無理のない自然で安定した表現で、気持ちのよい音楽を聴かせてくれました。特にヴァイオリンの響きの美しさはこれまで聴いた中で最高でした。よく響く低音から透き通るような美しい高音まで、もう一歩で世界のトップレベルと渡り合えるところまできました。そして、持ち前の音楽性も熟成してきました。ますます、これからが楽しみです。来年5月のウィーン交響楽団とのブラームスの協奏曲の共演でのウィーンデビューが次のステップになることを願っています。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  ピアノ:ジャンルカ・カシオーリ

  ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調Op.96

《休憩》

  ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
  シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2番二短調Op.121

   《アンコール》
シベリウス:子守歌

最初はヤナーチェクのソナタです。この曲もヤナーチェク独特の語法に基づく音楽です。よく言われるのは、チェコ語の語法がベースになっているということですが、saraiはチェコ語が分からないので、確実なことは言えません。ただ、彼のチェコ語でのオペラは聴いているので、何となく、分かるような気もします。このソナタを聴いていると、どうしてもヤナーチェクの代表的なオペラ《カーチャ・カヴァノヴァ》を思い浮かべてしまいます。そして、今日の庄司紗矢香のヴァイオリンがカーチャ役のソプラノ歌手の歌に聴こえます。素晴らしいソプラノの響きを聴くかのごとくです。第2楽章のバラードは素晴らしい演奏で、最高のソプラノを聴いている感じでうっとりしていました。ただ、その響きは素晴らしいのですが、チェコ語がうまくない歌にも聴こえたのも事実です。このあたりが課題でしょうか。

次はベートーヴェンのソナタです。力みのない素直な表現での演奏でした。これは第2楽章での美しい演奏が胸に残りました。次にはもっと熟成した演奏を期待したいところです。

休憩後、ドビュッシーのソナタです。庄司紗矢香の演奏するフランス音楽は初めて聴くような気がします。ちょっと不安な気持ちで演奏を聴き始めましたが、実にたっぷりした演奏で美しく響きます。パリに住んでいるせいか、フランスの香りに満ちています。とても気持ちよく聴けました。これなら、フランクのヴァイオリン・ソナタあたりも聴いてみたくなります。

最後はシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番です。彼女のシューマンも初めて聴くような気がします。第1楽章はよい演奏でしたが、もっと爽やかに抒情を込めて弾いてほしかった感じです。そして、大好きな第3楽章ですが、これは素晴らしい演奏でした。ピツィカートで始まった主題のコラール「深き苦しみの淵から我汝を呼ぶ」が心を込めて演奏され、重音で演奏される部分の美しさは例えようもないものでした。ただただ、うっとりと聴きほれるだけです。最高の演奏でした。

とても充実したリサイタルでした。こういう幅広い曲目をなんなく弾きこなせるようになったんですね。協奏曲を弾く彼女はとても素晴らしい演奏をしてきましたが、こういうヴァイオリン・ソナタにもどんどん挑戦し、室内楽でも活躍を期待したいものです。アンコールのシベリウスの子守歌は初めて聴きましたが、シベリウスらしい繊細な美しさを表出した素晴らしい演奏でした。

10日後にまた、サントリーホールで同様のプログラムのリサイタルを聴きますが、シューマンのソナタがシューベルトの幻想曲に入れ替わります。シューベルトにも期待したいですね。



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       庄司紗矢香,  

20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の予想外に充実したクラナッハの作品群に遭遇して、絶句!

2012年4月13日金曜日@ベルリン/6回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieの展示室に入場します。入って右手のⅠ~Ⅲ、1~4の計7室がクラナッハ、デューラー、ホルバインを中心とした13世紀から16世紀までのドイツ絵画のコーナーです。もちろん、お目当てはクラナッハの作品群です。昨日、ヴァイマールの城美術館でも名品を鑑賞し、教会の祭壇画も鑑賞しました。そして、その総仕上げがこのベルリン絵画館の作品群です。早速、クラナッハの作品を見ていきましょう。

これは《森の風景の中のアポロンとディアナ》です。アポロンが弓を持ち、狩りの女神ディアナが獲物(といってもまだ生きていますが)の鹿の上に腰掛けています。しかし、絵柄としてはアダムとイブの絵にもそっくりです。神話に題材を借りて、クラナッハが得意の裸体画を描いたというところなんでしょう。そういう意味でアダムとイブの絵とそっくりなのもご愛嬌です。まあ、見事な絵ではあります。


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これは《ルクレツィア》です。クラナッハがたびたび描いた題材で、ほかでもいくつか見ています。この手の女性の裸体画はヴィーナスもルクレツィアもユーディットも同じ描き方ですね。ちなみにルクレツィアは紀元前6世紀のローマの女性で、貞淑な妻でありましたが、横恋慕されて、凌辱されてしまいます。彼女はそのことを夫に告白し、短剣で自害します。凌辱したのは王家の王子でしたが、復讐に立ち上がった男たちによって、王家はローマから追放され、これをきっかけにローマは王政から共和制に移行することになりました。


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これは《エジプト逃避途上の休息》です。ユダヤの王ヘロデがベツレヘムに生まれる新生児の全てを殺害するために放った兵士から逃れるため、エジプトへと旅立った聖母マリアと幼子イエス、マリアの夫の聖ヨセフを描いたものです。鮮やかな色彩によって、聖家族を高貴な存在として描き出している名作です。


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これは《聖アンナと聖母子》です。背景を天使が持ったビロードの布で覆っているのが面白いですね。衣のひだの描き方は見事なものです。


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これは《アダムとイブ》です。これもしばしば取り上げた題材ですが、ライオンと思しき動物が登場するのは見たことがありません。いずれにせよ、裸の女性を描かせたら、クラナッハの右に出る人はいません。少し、癖のある描き方ですが、クラナッハのファンにとっては、それがいいんです。


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これは《岩のある風景のなかの聖ヒエロニムス》です。典型的な聖ヒエロニムスが描かれていますね。背景の風景も丹念に描き込まれています。


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これは《ダビデとバテシバ》です。ほかでは見たことのない題材です。ピカソは余程この絵を気に入ったのか、ほぼ同じ構図のリトグラフを描いています。この絵の女性たちはちょっと見ると、有名な「ザクセンの3公女」の絵とそっくりなのが面白いですね。ダビデ王は上にいる男たちの左から2番目の竪琴を持っている人物です。バテシバはヒッタイト人ウリヤの妻でしたが、後にダビデの妻となり、ダビデの跡を継いでイスラエル王国の王となるソロモンを産んだ女性です。この場面は部下の妻であったバテシバにダビデが一目惚れして、言い寄るシーンです。絵画でもよく取り上げられる題材ですが、バテシバは裸で描かれるのが多く、女性の裸を得意にしていたクラナッハが着衣で描いたのは奇妙なことです。


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これは《シュテファン・ロイス(Stephan Reuss)夫人の肖像》です。シュテファン・ロイスはウィーンの法学の教授だったそうです。


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これは《荒野の聖ヒエロニムスとしてのアルブレヒト・フォン・ブランデンブルク》です。アルブレヒト・フォン・ブランデンブルクの肖像画ですが、聖ヒエロニムスに扮装した姿で描かれています。このアルブレヒトはこういう形で肖像画に描かれることを好んでおり、聖エラスムス、聖マルティヌスなどの聖人に扮装した姿の肖像画も残されています。アルブレヒト・フォン・ブランデンブルクはブランデンブルク選帝侯を継いだ兄ヨアヒム・ネストールの尽力により、ドイツ最高位の聖職者の枢機卿に上り詰めた人物で美術作品のコレクターとしてもザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公と並ぶ存在でした。一方、アルブレヒトはローマ法王から昇進などの便宜を図ってもらうための莫大な経費を捻出するためにアウグスブルグのフッガー家から莫大な借金を負い、その対応のために免罪符販売を推進した人物でもあります。昨日、ヴィッテンベルクの城教会で見たルターの『95ヵ条の論題』はこのアルブレヒトに向けられたメッセージでした。ルターの最大の敵とも言われる人物です。ある意味、宗教改革の引き金を引いた人物とも言えます。ルターの親友だったクラナッハがルターの最大の敵とも言える人物の肖像画を何枚も描いているのは皮肉なことだとも思われますが、どこの世の中も生き抜いていくのは大変だということなのでしょう。


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これは《ソロモンの審判》 です。ソロモンはダビデ王とバテシバの間に生まれ、ダビデの後を継ぎました。賢王として有名で、エルサレムに寺院を建てた人物です。この審判の場面は次のようなものです。二人の女が子供を産み、赤ん坊の一人が死んでしまい、その子の母親が、もう一人の赤ん坊を自分の子だと言い張ります。二人はソロモンの前に行き、どちらの子か決めてもらうことにしました。ソロモンは刀を用意させ、二人のために、この子を二つに切り裂こうとします。そのとき、一人の女が叫び、この子はあの女にやってもかまわないから、殺さないでくださいと言いました。このことで、本当の母親が判明しました。まさにこの絵はその迫真のシーンです。


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これは《ヴィーナスとキューピッド》です。これこそ、クラナッハがたびたび描いた題材で、これまでもずい分見ました。盲目の愛に惑わされずに、秩序ある結婚生活を送りなさいという教訓が込められているそうです。それにしても見事な絵です。


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これも《ヴィーナスとキューピッド》です。完成度の高い作品が2点もあるのは、この美術館の凄いところです。こちらの絵は先程の絵を上回る素晴らしい出来で、女性の美しさが最高に表されていますね。このベルリン絵画館でクラナッハの絵を1枚選ぶなら、この絵で決まりです。


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これは《若返りの泉(青春の泉)》です。画面左から老婆達が手押し車などに乗せられてやってきます。その老婆達が中央の泉にはいると、あれ不思議や・・・たちまち若返って、若い美女に変容し、画面右手の対岸で貴公子に迎えられます。そして、赤いテントのなかで着飾り、右奥の愛の庭で新たな恋人と踊り語らうという寸法です。中央の泉には、ヴィーナスとキューピッドの彫像があり、この泉が「ヴィーナスの泉」あるいは「愛の泉」であることを示しています。この絵の左右に《ヴィーナスとキューピッド》が配置されています。面白い発想ですね。


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この絵の写真を撮りながら、鑑賞にふけっていると、日本人の同じ年頃の男性に声をかけられ、ちょっとした芸術談義になります。クラナッハに詳しいかたは珍しいです。ずい分、話し込んでしまいます。ベルリンに1か月ほど滞在されるそうです。上には上があるものです。これからヴァイマールにも行かれるそうなので、ヴァイマールの城美術館のクラナッハのコレクションの素晴らしさをお話しさせてもらいました。この男性とお別れしてからもクラナッハ鑑賞は続きます。

これは《最後の審判》です。ボッスの絵と見間違いそうな絵ですが、れっきとしたクラナッハの作品です。内容は題名そのものですが、地獄の描き方が実にグロテスクです。クラナッハはボッスの絵の模写などもしているようで、この絵はボッスの影響が見て取れる作品です。


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これは《ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世》です。ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世と言えば、ヴァイマールの城美術館で見た絶世の美女「シビレー・フォン・クレーベ姫の肖像」の嫁いだ相手です。また、宗教戦争で敗れ、ヴィッテンベルクからヴァイマールに移る際に高齢のクラナッハが付き従った主君でもあります。


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最後にシビレー・フォン・クレーベ姫の美しい姿を思い出したところで、ベルリン絵画館のクラナッハ・コレクションの鑑賞を終了します。

ベルリン絵画館では、予想以上に充実したクラナッハの作品群に遭遇。大満足です。
まだまだ名画は続きます。ヤン・ファン・エイク、フェルメール、カラヴァッジョ、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、レンブラントと大画家の傑作群が待っています。


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至高のブラームス!インバル:東京都交響楽団定期演奏会@サントリーホール 2012.10.22

嬉しい驚きでした。インバルと東京都交響楽団がやってくれました。最高のブラームスでした。マーラーでは何度も素晴らしい体験をさせてくれた東京都交響楽団ですが、ドイツのオーケストラすら超えるようなブラームスを遂に演奏してくれました。それも今日演奏した2曲ともどちらも素晴らしい演奏でした。単なる偶発的な演奏ではなく、確実にアンサンブルを高めてきた結果だと思います。それにしてもインバルは真に巨匠だと再認識させられました。インバルの指揮するブラームスということで、半信半疑、どういう演奏になるのか、そう高い期待も持たずにコンサートに足を運びました。素晴らしく美しいブラームスと表現すればいいのでしょうか。磨き抜かれた輝きがそこにはありました。重厚さや渋さというよりも澄み切った秋空のような透徹した美の世界です。今回は先週の東京文化会館での定期演奏会と合わせて、ブラームスの全交響曲ツィクルスでしたので、先週のコンサートを聴き逃したのが悔やまれます。今日の出来から考えると、先週のコンサートもきっと素晴らしい演奏だったに違いありません。それに今日の東京都交響楽団のメンバーは少なくとも弦楽器セクションの顔ぶれはベストメンバーではありませんでした。それでこの演奏ですから、東京都交響楽団は相当、地力がついてきたように思われます。今後のマーラー・ツィクルスも期待が高まりますね。

今日のプログラムは以下です。

  ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73

《休憩》

  ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98

最初の交響曲第2番、あまりsaraiの集中力のない状態で始まりましたが、すぐにえっという感じになりました。ふわーっとした素晴らしい響きが広がっています。真正のブラームスの響きです。久しぶりに聴く本物のブラームスの世界がそこにあります。インバルの指揮はとりたてて、どうということはありません。ただ、きっちりと棒を振っているだけです。余程、リハーサルで磨き上げたのでしょう。結局、どの楽章も終始一貫して、完璧ともいえる演奏が続きました。特に楽章ごとのはいりが自然で素晴らしかったのが印象的です。生で聴いた交響曲第2番では最高の演奏でした。これまで一番良かったのは、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団でしたが、無駄な力が抜けていた分、今日の演奏が上回りました。第2楽章の深い味わいのある旋律が美しく歌われたのには、うっとりと聴き入るのみでした。第4楽章の輝かしいフィナーレには心躍る感動がありました。

この交響曲第2番も素晴らしかったのですが、交響曲第4番の仕上がりのよさはさらなるものでした。無理のない強弱の付け方、そして、強音でもしっかりしたアンサンブル、弱音での各楽器パートの安定した美しい響き、何をとっても文句の付けようのない演奏です。長い第1楽章もじっと聴きいっているうちに終わってしまい、名残り惜しく感じます。弦楽器セクションの素晴らしさは例えようもありませんが、特に第1ヴァイオリンの美しい高音の響きには自分の耳が純化する思いです。どこをどうとっても素晴らしいとしか言いようのない演奏が続き、心は高揚するばかりです。最高に素晴らしかったのは第4楽章のフルートソロからの部分です。まさにこれこそ、秋の日に聴くべき演奏です。秋の日の木漏れ日の美しさにも思えるしみじみとした深い抒情あるいは寂寞感が管楽器によって淡い表情で演奏されます。これこそブラームスを聴く最高の喜びです。何という美しい演奏でしょう。心はブラームスの秋色で満たされていきます。そして、あっという間に上り詰めるフィナーレ。もっともっと聴いていたかったブラームスでした。インバルに脱帽です。

ガリー・ベルティーニの指揮したマーラーの第5番に衝撃を受けて、東京都交響楽団を聴き始めましたが、10年以上も聴いてきて、最高の演奏でした。このブラームスを上回る演奏はこれまでウィーン・フィルの演奏した第4番のみです。東京都交響楽団は日本のオーケストラの枠を超えたレベルに達してきたのでしょうか。その答えはこれからのマーラー・ツィクルスのなかにあるでしょう。今週末はいよいよマーラーの大曲、第3番を聴きます。



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この記事へのコメント

1, Masaさん 2012/10/23 17:32
こんにちわ。久しぶりにコメントさせて頂きます。
インバル+東京都交響楽団では、少し前にショスタコ10番を聴きましたが、相当に感動したのを覚えています。
マーラーチクルスも全部聴きたいところですが、そうもいきませんので、とりあえず大好きな5番を買いました。まだまだ先ですが、楽しみにしています。
3番の感想を楽しみに待っています。

2, saraiさん 2012/10/23 22:10
Masaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

マーラーチクルスの第5番は定期演奏会に組み込まれているので、当然聴くことになります。第5番も楽しみですが、フェルミリオンの歌う「リュッケルトの詩による5つの歌」も素晴らしそうな予感がします。あと、もちろん、第9番は外せませんね。2014年3月17日ですよ。
第3番はやはり終楽章が楽しみです。

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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の珠玉のフランドル絵画

2012年4月13日金曜日@ベルリン/7回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのクラナッハの作品群に続いて、14世紀から16世紀のフランドルあるいはネーデルランド絵画を見ていきましょう。

これはヤン・ファン・エイク作の《教会の聖母》です。とても小さな絵(32×14cm)なので、あやうく見逃すところです。実に貴重なヤン・ファン・エイクの作品です。ヤン・ファン・エイクの作品は大きな美術館でも見かけることがあまりありません。いずれはベルギーにヤン・ファン・エイク詣でをしたいと思っています。ゲントの祭壇画は聖バーフ大聖堂自体がしばらくは工事中ですが、祭壇画は公開されているようなので、そのうちに行きたいと思っています。
この絵は小さいとは言え、ヤン・ファン・エイクらしく、とても緻密に描かれており、小さな画面を通して、教会の広大な空間のなかに引き込まれそうです。教会の内部空間に対して、聖母マリアが巨大に描かれていますが、これは描き方が素朴なのではなく、瞑想のなかで見えた聖母の姿だということです。この小さな絵は持ち歩くためのものだそうで、出先でもこの絵の聖母に祈りを捧げていたようです。


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これはメムリンクの《聖母子》です。楚々とした聖母がなんともいえず、いいですね。いかにもメムリンクらしい作品です。メムリンクもベルギーを訪れて、ブリュージュでたっぷりと鑑賞したい画家です。


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これはメムリンクの《年老いた夫妻の肖像(夫)》です。これは本来、妻の肖像と一対になる作品です。妻の肖像は、現在、パリのルーブル美術館に所蔵されています。2枚の肖像画は背景の風景が完全につながりますので、間違いなく1対であることが分かります。当初は合わせ釘で一緒につなぎ合わせてあったそうです。絵画とは言え、夫婦がベルリンとパリに離ればなれというのも寂しいものです。2005年のメムリンクの肖像画展では、特別にこの一対の肖像画が一緒になって、ヨーロッパとニューヨークを巡回したそうです。束の間の再会だったようです。
メムリンクは聖母子などの宗教画も素晴らしいですが、こういう肖像画も深みのある表現で素晴らしいですね。


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これはメムリンクの《天使と玉座の聖母子》です。背景の玉座は素晴らしく緻密に描かれています。


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これもメムリンクの《聖母子》です。いかにもフランドル絵画らしく、人物も背景もとても緻密に描かれています。素晴らしい作品です。


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これはブリューゲルの《十字架を運ぶキリスト》です。画面中央に大きな十字架を背負うキリストが描かれています。画面全体には膨大な数の人々が描かれています。ブリューゲルらしいと言えば、それまでですが、それにしてもここまで描き込むのは凄いとしか言いようがありません。


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これもブリューゲルの《ネーデルラントの諺(ことわざ)》です。とても有名な絵ですね。ブリューゲルらしく、画面のなかに多くの人々が細かく描き込まれています。80人以上の登場人物がいるそうです。そして、絵の中に多くのことわざが描かれています。描かれたことわざは100以上もあるようです。例えば、画面の中央で夫に青いマントを着せている赤い服の妻は、青色が欺瞞を意味する色ということから、妻の裏切りと不貞を暗示しています。
細かく見ていると何時間あっても足りません。残念ながら、ざっと全体の絵模様を楽しむだけに留めます。


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これはボッス(ボス、ボッシュとか表記が色々ありますね)の《パトモス島の聖ヨハネ》です。この絵もあやうく見逃すところでした。まさか、ボッスの絵とは気付きませんでした。配偶者の指摘でボッスの絵だと気付いたんです。ボッスらしい、おどろおどろしいところがなく、爽やかな絵です。しかし、よく見ると画面右下に奇妙な生物がうづくまっています。やっぱり、これはボッスの世界です。ところで、題名のパトモス島はエーゲ海の小さな島で、この島で聖ヨハネがイエスから啓示を受けたということになっています。この島は世界遺産だそうです。


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これはヤン・ファン・エイクの《ジョヴァンニ・アルノルフィーニ(Giovanni Arnolfini)の肖像》です。ベルリン絵画館には、さすがにヤン・ファン・エイクが2作品もあります。描かれている人物のジョヴァンニ・アルノルフィーニはロンドンのナショナル・ギャラリーにある有名な『アルノルフィーニ夫妻像』でも妻とともに描かれています。アルノルフィーニはイタリアのルッカ出身の商人でブルージュで生活していたことがわかっており、ヤン・ファン・エイクが2枚も彼をモデルとして描いているのは2人が友人だったのではないかとされています。


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これはヤン・ファン・エイクの《ボードワン・ド・ラノワ(Baudouin de Lannoy)の肖像》 です。これもまさかヤン・ファン・エイクとは気付かずに通り過ぎようとしてしまいました。2作品どころか、3作品もヤン・ファン・エイクの作品がベルリン絵画館に所蔵されています。これが15世紀の作品とは信じられません。板の上に描いた油彩画です。既に完璧な油彩技法が確立されています。ボードワン・ド・ラノワはブルゴーニュの貴族で、1428年のポルトガル派遣使節団にヤンとともに参加していました。


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いやはや、ヤン・ファン・エイク、メムリンク、ボッス、ブリューゲルの傑作の数々があります。クラナッハも凄かったですが、これも凄い。ベルリン絵画館の実力は底知れぬものがあります。しかし、この先、まだ、フェルメールも待っています。


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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の素晴らしいフェルメール2作品をじっくり鑑賞、そして、イタリア絵画へ

2012年4月13日金曜日@ベルリン/8回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのクラナッハ、14世紀から16世紀のネーデルランド絵画を見てきましたが、続くルーベンスはあまり興味がないので、飛ばして、いよいよ17世紀のオランダ絵画を見ます。

これはレンブラント工房で作成された《黄金の兜の男》です。昔はレンブラントの代表作のひとつとして、とても有名な絵でした。ところが、1985年の美術館による調査でレンブラント自身の作品ではないと判断されました。レンブラントのアトリエ(工房)にいた助手や弟子たちによって作成されたものだということです。贋作ではありません。まあ、レンブラントの筆によるかどうかで芸術作品の価値が変わるわけではないと思いますが、どうでしょう。素晴らしい作品ではありませんか。


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これはフェルメールの《真珠の首飾りをつける女》です。とても有名な絵で何も解説はいらないでしょう。人だかりがなく、ゆっくりとフェルメールの名作と向かい合えるのは幸せです。


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これはフェルメールの《騎士とワインを飲む女》です。ベルリン絵画館はなんとフェルメールを2枚も所蔵しているんです。凄いですね。それに2枚とも傑作ですから、驚きます。またまた、ゆっくりと鑑賞します。


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この後、18世紀のイギリス、フランス、ドイツの絵画はそれほど興味を引く作品がないので、さっと通り過ぎます。
次はイタリア絵画の珠玉のコレクションです。

これはカラヴァッジョの《勝ち誇るアモル》です。昨年はカラヴァッジョ巡礼の旅でイタリアを文字通り、縦断し、マルタ島まで行って、カラヴァッジョの主要な作品をほとんど鑑賞しました。やはり、このベルリン絵画館にもカラヴァッジョが1枚あります。これも有名な絵の1枚ですが、あまり、saraiの趣味ではありません。


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これはティツィアーノの《ヴィーナスとオルガン奏者》です。神話のヴィーナスと現実世界の男性が一緒に描かれているのが面白いですね。女性の美しさは「ウルビーノのヴィーナス」に遠く及ばないと感じます。


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これはラファエロの《聖母子と小さな洗礼者聖ヨハネ(テラヌオーヴォの聖母子)》です。相変わらず、ラファエロの聖母は美しく、非の打ち所がありません。ありがたく拝見させてもらうだけです。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《二人の天使に支えられる死せるキリスト》です。ジョヴァンニ・ベッリーニはヴェネティア派の巨匠ですが、義兄にあたるマンテーニャが素晴らし過ぎるために、どうしても陰に隠れてしまいがちです。saraiは結構、ジョヴァンニ・ベッリーニを評価しているんです。この絵は残念ながら、マンテーニャの「死せるキリスト」の絵の影響を受けているようです。よくは描けていますが、ジョヴァンニ・ベッリーニらしさに欠けます。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《キリストの復活》です。これもあまり好きな作品ではありません。


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これはジョヴァンニ・ベッリーニの《聖母子》 です。これはとてもいいですね。やはり、ジョヴァンニ・ベッリーニの絵は聖母子の絵が一番好きです。聖母の表情が素晴らしいです。


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これもジョヴァンニ・ベッリーニの《聖母子》 です。これは上の作品のほうが素晴らしいですが、聖母の衣の襞はよく描けています。


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イタリア絵画はまだまだ続きます。この後、マンテーニャ、フィリッポ・リッピ、そして、大好きなボッティチェリを見ていきます。



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20年ぶりのベルリン:ベルリン絵画館の質と量の揃ったボッティチェリのコレクション

2012年4月13日金曜日@ベルリン/9回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのドイツ絵画、フランドル絵画、オランダ絵画に続き、最後のイタリア絵画を鑑賞しています。

これはマンテーニャの《キリストの神殿奉献》です。マンテーニャはパドヴァ派の代表的画家で、ヴェネツィア派のベッリーニ家とも姻戚関係にあり、ヴェネツィア派とも強い関わりを持っていました。彼はマントヴァ公の宮廷画家としても過ごしており、マントヴァのドゥカーレ宮殿の結婚の間に有名な天井画を残しています。以前、わざわざ、見に行きました。天使が可愛い天井画です。
この絵は彼らしい淡いタッチで厳かな雰囲気をかもしだしています。絵の周りの額縁部分も本当の額縁ではなく、だまし絵のようになっています。包帯に巻かれたキリストを抱く聖母マリアの手が額縁をはみ出して、絵の中の世界と現実の世界がつながっているかのごとくです。


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これはマンテーニャの《枢機卿ルドヴィコ・トレヴィザンLudovico Trevisanの肖像》です。ルドヴィコ・トレヴィザンはヴェネティア出身で枢機卿に上り詰めた人物であり、母方の姓でLudovico Scarampi-Mezzarotaとも呼ばれます。ルドヴィコが古代ローマ風の衣装に身を包んだ姿で描かれていますが、迫真の表現の肖像画です。


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これはフィリッポ・リッピの《幼子を礼拝する聖母》です。フィリッポ・リッピと言えば、何といっても、フィレンツェのウフィツィ美術館にある聖母子が大好きな絵です。この絵も清楚な姿の聖母が素晴らしいですね。


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この後、驚くほどのボッティチェリの傑作群が続きます。フィレンツェのウフィツィ美術館を別にすると、こんなに質と量の揃ったボッティチェリのコレクションがある美術館はないでしょう。嬉しい驚きです。

これはボッティチェリの《聖母子》です。これは文句なしに美しいですね。ボッティチェリの描く女性はどうしてこんなに美しいんでしょう!


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これはボッティチェリの《歌う天使と聖母子》です。ウフィツィ美術館のボッティチェリ作品と並ぶ傑作です。この絵を見るためでもベルリン絵画館を訪れる価値があります。まったく、うっとりします。


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これはボッティチェリの《聖母子と二人の聖ヨハネ》です。ボッティチェリとしては、あまり見ない構図です。全盛期の輝かしさが感じられないのは後期の作品なのでしょうか。しかし、細部まで、よく描き込まれた素晴らしい絵ではあります。


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これはボッティチェリの《聖セバスティアヌス》です。題材はよく取り上げられるもので、特にグイド・レーニの作品が有名です。ボッティチェリが描いていたとは意外です。ちょっと見てもボッティチェリ作品とは分かりません。


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これはボッティチェリの《ヴィーナス》です。言わずと知れた「ヴィーナスの誕生」(フィレンツェのウフィツィ美術館)の中のヴィーナスと瓜ふたつですね。こんなヴィーナス単独の絵があるとは、知りませんでした。実に美しい!


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クラナッハ、ヤン・ファン・エイク、フェルメール、カラヴァッジョ、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、レンブラントと充実したコレクションを堪能もしました。ちょっとと思っても、やはり素晴らしいものが多過ぎて、鑑賞時間が長くなってしまいますね。
急いで、ホテルに戻って、夜のベルリン・フィルとペライアのコンサートに備えましょう。


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神のごときティーレマン、圧倒的なブルックナー!シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2012.10.26

ティーレマンのシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者就任のお披露目ツアーみたいなもので、今夜は来日公演の最終日です。このところ、ティーレマンミュンヘンのガスタイクでのミュンヘン・フィルウィーン国立歌劇場でのパルジファルウィーン楽友協会でのウィーン・フィルと聴いてきましたが、いずれも素晴らしい演奏でした。そして、初めて、国内で聴きましたが、まさにパーフェクトな演奏でした。ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》は厳かで美しい響きのなかに、「熱を帯びた愛」が感じられる、甘美な演奏。そして、ブルックナーの交響曲第7番は美しさと迫力のある咆哮が見事に交錯する最高の演奏。ちょうど1年前、ウィーン楽友協会でプレートルとウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第7番を聴き、これ以上の演奏は聴けないだろうと思いましたが、今夜の演奏は並び立つ演奏で、甲乙つけがたしです。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:クリツティアン・ティーレマン
  管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン

  ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》より、“前奏曲”と“愛の死”

《休憩》

  ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

   《アンコール》なし

まず、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》です。楽劇の冒頭に演奏される“前奏曲”と最後の第3幕の最後に演奏される“愛の死”です。つまり、楽劇のまんなかをすっぽり、外して最初の10分と最後の6分ほどに超圧縮した演奏です。これがワーグナー自身が最初に楽劇《トリスタンとイゾルデ》を公開演奏したスタイルでした。全体で4時間かかる大きな楽劇はなかなか演奏される機会がなかったんですね。そういうわけで、今でもコンサートで取り上げられることが多いです。
最初は“前奏曲”から始まります。静かに下降音型が鳴り始め、底でいわゆるトリスタン和音、そして、上昇音型。これが2回繰り返されます。もう、この時点で完璧な《トリスタンとイゾルデ》になっています。予習したクライバー+シュターツカペレ・ドレスデンの演奏と双子かと見紛うばかりの素晴らしい演奏。クライバー亡き後、この《トリスタンとイゾルデ》を振れるのはティーレマンを置いて、ほかはないと確信させる演奏が続きます。熱を帯びた瞑想のなかで繰り広げられる甘美な愛情と甘美な死。《パルジファル》と並ぶワーグナーの傑作を完璧に演奏します。聴集は夢のような世界に誘われます。いずれ、ティーレマンの指揮で楽劇《トリスタンとイゾルデ》を聴かないと、この世を去ることはできません。最後は静かにイゾルデの死で曲を閉じますが、音楽は永遠の闇のなかに続いていきます。名演でした。

休憩中、今年、ウィーン楽友協会でティーレマン指揮ウィーン・フィルでシューマンの第4番を一緒に2度も聴いた女性と半年ぶりの再会。ティーレマンのパーフェクトな演奏を讃え合います。
休憩後、いよいよ、ブルックナーの交響曲第7番です。ブルックナー開始といわれる弦のさざ波のなか、低弦の美しい旋律がたっぷりと歌われます。弦のユニゾンが多く、シュターツカペレ・ドレスデンの弦の響きに耳を奪われます。低弦は深い精神性を感じさせます。美しくきらめく高音弦は清らかでピュアーな精神を感じさせます。実に精神性に満ちた音楽が展開されます。これがブルックナーです。チェリビダッケではありませんが、ブルックナーは美しく、それもとびっきり美しく演奏されなければなりません。それがここに実現されており、saraiは充足感に浸っています。この美しい世界が延々と続きます。いつまでたっても第1楽章は続いていきます。これもブルックナーの世界です。ただ、退屈することはありません。真正のブルックナーの音楽の深い精神に包み込まれているんですからね。それでも頂点を極めて、第1楽章は終了しました。
次は一番の楽しみである第2楽章です。管楽器で主題が提示された後、弦楽器がこの上もない演奏を繰り広げます。美の極致がまさに永遠に続きます。やがて、後半にはいり、第1ヴァイオリンの上昇音型が始まります。例えようもなく、美しいです。この部分を美しく表現できるのはヨッフムとチェリビダッケしかいませんでした。そして、ティーレマンはそれを凌駕するかのような演奏です。上昇音型が頂点に達し、下降音型に変わります。そして、音楽はさらなる高みを目指し、高揚していきます。その頂点でシンバルの一撃! 最後は静かに消えるように第2楽章が終わりました。通常の交響曲ならば、もう、このあたりで終わってもいいくらい。第3楽章はまさにティーレマンが豪腕で剛速球を投げ込んできます。力んでいるわけではないのに、高揚した音楽でインスパイアーされます。一転、中間部はまた静かな瞑想的な音楽となります。豪腕ですが、しなやかな感性も併せ持ち、流麗な音楽を展開してくれます。また、最初の部分に戻って、豪壮にフィナーレです。第4楽章が始まります。中庸のテンポで荘重な音楽を進めていきます。プレートルはここは切れのよい演奏で早いテンポで進めていきましたが、ティーレマンは個性が違います。十分に美しい流麗な響きをかもしだしていきます。実に聴き応えがあります。何度も頂点を上り詰め、フィナーレは圧倒的に締めくくりました。完璧なブルックナーでした。何も言うことはありません。ただ、この場にいただけで幸せです。

ブルックナーの交響曲第7番は何枚ものCDで予習を重ねましたが、最後はヨッフムの名盤のシュターツカペレ・ドレスデンでした。ティーレマンはこのシュターツカペレ・ドレスデンを完全に手中に収め、完璧にドライブしていました。ヨッフムとも甲乙つけがたいと思います。
もう、いつでもティーレマンはシュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの交響曲の録音を始められる状態にあるように思います。ウィーン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集と同様に、ライブ録音でブルックナー交響曲全集へ取り込むことが望まれます。ついでにミュンヘン・フィルでも録音してほしいなあ!
ところで、来年の6月は彼らの本拠地のドレスデンに乗り込んで、ティーレマンの楽劇《ばらの騎士》を聴く予定です。オクタヴィアンはガランチャです。今から楽しみでなりません。

さあ、今日は早く寝ましょう。明日はインバル+都響のマーラー・ツィクルスで最長の交響曲第3番を聴かないといけませんから・・・

あっ、書き忘れましたが、ブルックナーのフィナーレの後、会場は興奮の坩堝で、オーケストラ退場後も2回もティーレマンのカーテンコールが続きました。もっと続けてもおかしくない快演でした。ティーレマンへの怒濤のような歓声も凄かったですね。もちろん、こういうコンサートでアンコールは不要です。用意はしていたようですが、アンコールはなしです。納得のアンコールなしでした。


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この記事へのコメント

1, Masaさん 2012/10/27 15:51
こんにちわ。
私もその場におり、同じ空間の中で同じ感動を味わいました。
誠に「この場にいただけで幸せ」、この言葉に共感いたしました。

2, anさん 2012/10/27 21:51
はじめまして。 大好きな旅行や音楽のお話がいっぱいで
毎日楽しみに見させていただいています。
昨日は本当に幸せでした。 ただただうっとりと、ティーレマンの世界に
浸りました。
演奏が終わると同時の早すぎた拍手も、ティーレマンがまだ音楽の中にいることを察してすぐに止まりましたね。
そして静止していた彼の手が動くと 改めてわれるような拍手!
こんなことも含めて その場に居られたことに感謝でした。

とても詳しく書いてくださって ありがとうございました。

3, saraiさん 2012/10/28 00:52
Masaさん、こんばんは。
返事が遅れました。インバルのマーラー3番が大変な演奏で心が平静に戻らなかったんです。
ティーレマン、私は好きです。やり過ぎであるか、どうかよりも、自分の心に共鳴するかどうかを大事にしたいと思っています。よいブルックナーを聴いたと素直に感じています。心を同じくしていただき、嬉しいです。

4, saraiさん 2012/10/28 02:45
anさん、初めまして。saraiです。
ありがたいお言葉、感謝します。ブログを書いていると、本当に一人でも読んでくれてかたがいるのか、不安になるときがあります。
拍手したい気持ちも分かりますが、昨日はじっと我慢してほしいところでしたね。ただ、そんなフライング拍手もあまり気にならないくらい、とてもよいブルックナーでした。気持ちが共有できるコンサート、これこそ理想とするものです。
また、コメントください。励みになりますからね。

5, Preさん 2012/10/29 09:53
はじめまして
別の日でしたが、ティーレマンのブラームスを聴きました。異次元の世界でしたね。指揮をするとは何なのを考えさせられました。saraiさんもガランチャさんのファンのようでうれしく思います。私も大ファンで来年のばらの騎士、ウエルテル、カルメンを聴く予定です。

6, saraiさん 2012/10/29 11:19
Preさん、はじめまして。saraiです。

ティーレマンの指揮は賛否両論ありますが、誰しも認めるのは彼の推進力でしょう。彼が指揮すると何かが起こるという予感がします。
ガランチャは圧倒的な声量のメゾで、その上、オクタヴィアン・マリアンデルでのかっこよさと可愛さを併せ持っていますから、参りますね。
私は来年は4月にウェルテル、6月にカルメンとばらの騎士を2回の旅に分けて聴きますが、Preさんはどういう日程にされましたか? もしかして、2カ月間滞在されますか? どこかでご一緒するかも知れませんね。

7, michelangeloさん 2012/10/29 21:21
sarai様
初めまして。数ヶ月前より貴ブログを拝読致しておりました。海外での素晴らしいクラシック音楽ご鑑賞記事が眼に広がり、読み手であるこちらの心まで高揚して参ります。
ティーレマン氏の演奏会、私も2日間堪能致しました。火曜日以外は連日ステージに立つと言う過酷なスケジュールにも関わらず、千秋楽には性格が異なりながらも深く関連する作曲家を二本届けて下さり、本当に嬉しかったです。少々お疲れの様子が伺えましたが、ソロのカーテンコール2回で優しい笑顔がこぼれ安心しました。
事前に、sarai様の海外ティーレマン氏演奏会の記事で予習ができたお陰で、多角的に鑑賞が出来ました。心よりお礼を申し上げます。

8, saraiさん 2012/10/29 23:40
michelangeloさん、初めまして。saraiです。

ブログ愛読いただき、ありがとうございます。ティーレマンのコンサート、どうしても熱く語ってしまいます。歴史に残る大指揮者になってくれるでしょうね。
貴ブログの感性の豊かな表現にうっとりしましたよ。michelangeloさんこそ、ティーレマンに没頭して、体力を使い果たしたご様子。お疲れ様でした。
また、コメントをお寄せください。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ティーレマン,  

感動のコラール!マーラー3番:インバル&東京都交響楽団@横浜みなとみらいホール 2012.10.27

昨日のティーレマンのブルックナーの交響曲第7番に引き続き、今日はインバルと東京都交響楽団のマーラーの交響曲第3番です。連日、大物の作品が続き、予習も大変です。特に今日のマーラーは長大な作品で、CDを3枚聴くのがやっとでした。
 ・アバード&ウィーン・フィル
 ・ノイマン&チェコ・フィル
 ・ハイティンク&シカゴ交響楽団
どれも素晴らしい演奏ですが、特にハイティンクの新盤が心に残りました。
今日のインバル&都響の演奏はそれらの名演と肩を並べる素晴らしいものでした。インバルのマーラーの素晴らしさを再認識するとともに、このところ、好調の東京都交響楽団が既に欧米のオーケストラと遜色がないという確信を持ちました。少なくとも、インバルが指揮する都響は今週のブラームスと言い、素晴らしい響きに満ちています。今日のマーラーの交響曲第3番の第6楽章のコラール風の旋律を聴き、弦楽器セクションの響きの素晴らしさに涙の滲むような感動を覚えました。ここ2年ほどのインバル&都響のマーラー演奏には、いつも感動させられてきましたが、今日はそのなかでも最高の演奏でした。
まだまだマーラー・ツィクルスは始まったばかりです。ますます期待が高まります。第9番ではどれほどの高みに達するのでしょうか。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  メゾ・ソプラノ:池田香織
  女声合唱:二期会合唱団
  児童合唱:東京少年少女合唱隊
  管弦楽:東京都交響楽団

  マーラー:交響曲第3番ニ短調

このマーラーの交響曲第3番は聴く者にとって、なかなかの難物でもあります。特に30分ほどの長大な第1楽章に意識を集中させて、聴き通すことは容易ではありません。今日は最初のホルンの朗々とした響きで堂々の開始です。素晴らしい響き、そして、弱音での表現の繊細さに終始、耳をそばだたせ、緊張感を持続して、曲に集中できました。ただ、これは長大な交響曲の序章に過ぎません。
第2楽章は比較的コンパクトな楽章で、クリアーな響きに気持ちよく身を委ねるのみですっと過ぎ去ります。
第2楽章終了後、インバルがいったん退場し、合唱団とメゾ・ソプラノの池田香織が入場し、小休止。準備が整いましたが、インバルが一向に再登場しません。妙な雰囲気が漂いましたが、インバルがようやく登場。何だったんでしょう。
ところが第3楽章が始まると、すっかりオーケストラの響きが美しく向上しました。まるで魔法のようです。最高の響きです。中間部以降は舞台裏で演奏されるポストホルンの長閑な響きに魅了されます。ザルツカンマーグートの美しい自然のなかにいるかのごとく、感じます。この曲はマーラーが夏の休暇に過ごしたザルツカンマーグートのアッター湖畔で作曲しました。第2楽章、第3楽章は最も自然との一体化を感じる音楽になっています。その美しい自然を都響の美しい響きで感じ、心が安らいでいきます。少しずつ、心が溶け出して、音楽と融合していく感じです。まだ、感動というところにまでは至りません。
第4楽章はアルト独唱で池田香織の美声を楽しみます。よく通るピュアーな声です。だんだん、感動の予感がしてきました。
第5楽章は休止なしに少年合唱がビム、バム、・・・と朗らかに歌い始め、一転して、明るい雰囲気に盛り上がります。途中のアルト独唱もなかなかの歌声で聴かせます。
そして、一気に第6楽章に突入します。また、一転して、実に精神性の高いコラール風の旋律が弦楽器で静かに演奏され始めました。ここでもろくもsaraiの心は崩壊します。涙が滲んできます。ザルツカンマーグートの美しい自然に抱かれて、傍らには若くて美しい妻のアルマがいます。愛情に充足して、幸福の絶頂にいるマーラー。しかし、何故か、美しい旋律には、哀切の響きがあります。saraiの心とマーラーの心がシンパシーで結ばれます。永遠に続くと信じたい愛・・・しかし、心の底では、未来への不安が渦巻いています。永遠の愛なんて、あるんだろうか。そして、いつかやってくる死への恐れ。現実世界は美しいアッター湖と美しいアルマがいるだけ。それで充分じゃないか。もろくて壊れやすい繊細な音楽が静かに美しく響いています。いつまでもいつまでも・・・。音楽は時に爆発もします。不安感に押しつぶされるんです。そして、また、幸福で静謐な音楽に戻ります。ただ、深い哀切感から逃れる術はありません。滲んだ涙で視界も曇ってきます。最後に音楽は高揚していきます。一体、何の高揚なのか、理解できないまま、それでも感動の嵐に巻き込まれていきます。フィナーレで心もずたずたになります。まさに神なき時代の人間の哀歌です。感動した心の向ける方向が分からないままの終結です。それでも我々は知っています。この後、マーラーは交響曲第9番の第4楽章アダージョに向かって、救いを求めて、彷徨っていくことになります。まだまだ、苦悩の道のりは始まったばかりです。

実に音楽性の高い演奏内容でした。ライブでこれだけの演奏ができるのはインバルと都響のコンビ以外にどこがあるでしょう。最高とも言っていいマーラーでした。この演奏はCD化されるようですが、多分、saraiは聴かないでしょう。いや、聴けないというのが正確なところです。もう、このライブの美し過ぎる演奏で十分です。

とりあえず聴き始めたインバル&都響のマーラー・ツィクルスですが、もう、第9番まですべてを聴かずにはいられません。マーラー・ファンのかたは決して聴き逃してはいけませんよ!


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20年ぶりのベルリン:フィルハーモニー初見参・・・感動のぺライアのピアノとベルリン・フィル

2012年4月13日金曜日@ベルリン/10回目

ベルリン絵画館Gemäldegalerieのまったくもって素晴らしいとしか言いようのないコレクションを堪能して絵画館から出ると、文化フォーラムKulturforumのテラスに出ます。絵画館は、文化フォーラムという複雑な構造の複合文化施設の中にあります。
テラスから見えるのは素晴らしい青空。フィルハーモニーPhilharmonieの建物が輝いています。


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文化フォーラムのテラスを下りて、フィルハーモニーの前にある200番のバスの停留所に向かいます。


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急いでホテルに戻りましょう。バスに乗って10分ほどで目的の停留所ブライトシャイドプラッツBreitscheidplatzです。バスを降りると、オイローパセンターEuropa Center近くの広場は、週末の金曜日ということで、お決まりのメリーゴーラウンドや出店や屋台やちょっとしたコンサートなどで盛り上がっています。


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これはソーセージやステーキを焼いている屋台です。


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ヌードルの屋台が気になります。屋台を覗き込んで、夜食用にテイクアウトするものを選びます。


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野菜をたっぷり乗せた焼きソバのような物をゲットします。
広場では、テーブルに座って軽食と飲み物を楽しんでいる人たちがたくさんいます。


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実に様々な屋台があるので、B級グルメが楽しめます。やっぱり、癖になってしまったカリーヴルストも買って帰りましょう。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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夜食用にと思って買ったカリーヴルストですが、あまりに美味しそうな匂いにたまりかねて、ホテルに戻るなりぱくっと食べてしまいます。実に美味しいです。カリーヴルストはベルリン最大の収穫です。明日からも積極的に食べましょう。


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結構歩き回って疲れたので、夜のコンサートに備えて一寝入りします・・・ZZZZ。

熟睡中にドアのノックで起こされます。何でしょうね。ホテルのスタッフが明日の天気予報を持ってきてくれたんです。晴れ!にチェックが入っています。ありがとう・・・でも起こさないで欲しかった・・・ZZZZ。

元気回復して、乗り慣れた200番のバスでフィルハーモニーに向かいます。憧れのフィルハーモニーのホールのロビーに入ります。既に多くの人達が来ています。


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チケットをチェックしてもらって、入場です。いやあ、中はなかなか壮観ですね。素晴らしい内部空間です。


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物珍しそうにうろうろしてしまいます。その挙げ句にテラスに出て、裏庭のようなところにまで出てみます。出入りにはチケットのチェックがあります。珍しいところに出たので、そこからのフィルハーモニーの建物を撮影します。あまり見かけない角度からのフィルハーモニーです。フィルハーモニーの向こうには、ソニーセンターSony Centerのビルが見えています。


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さて、開演時間が迫ったので、自分の席につきます。今夜はベルリン・フィルと世界最高のピアニストのペライアの共演です。実に感動しました。夢のような時間でした。すぐ目の前でペライアがピアノを弾くというとんでもない席で配偶者は緊張しまくりだったようですが、粗相なく聴き終わりほっとしたとのことです。あ~、疲れたっていうのが彼女の感想。このコンサートについては既にここに記事をアップ済みです。

また、200番のバスでホテルに戻ります。
ホテルの部屋で無料のコーヒーを淹れて夜食をいただき、1日の終わりです。


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今日はベルリンを堪能した1日でした。明日から、さらに3日間ベルリンを余裕で過ごします。

今日はずい分歩き回った筈ですが、歩数は15,106歩でした。そこそこですね。


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この記事へのコメント

1, Masaさん 2012/10/30 15:46
こんにちわ。
ペライアとベルリン・フィル、なんて素晴らしい組み合わせなんでしょう! 羨ましい限りです。
しかし、昨日インバルのマーラーを聴かれてから、そのままベルリンへ飛んだのですか? すごい行動力ですね。
自分も将来的に、そのように精力的に世界各国を飛び回って演奏会に出かけられるよう、体力を温存しておこうと思いました。

2, saraiさん 2012/11/01 00:44
Masaさん、saraiです。

紛らわしくて、すみません。旅の詳細記事はリアルタイムで書いているわけではないんです。ですから、ペライアをベルリンで聴いたのは今年の4月です。海外の旅でのオペラ・コンサートについてだけはリアルタイムで書いています。
今はおとなしく、横浜の自宅にいます。今週末のインバル+都響のマーラー4番も聴きますので、感想を読んでくださいね。

テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ブダペスト・ウィーン・ドレスデンの旅~只今、準備中

本格的に来年のヨーロッパの旅の準備中です。saraiの旅は基本的に音楽の旅ですから、旅の骨格はオペラ・コンサートの日程が中心になります。以前から検討していた通り、4月と6月にヨーロッパに出かけます。4月のオランダ・ライン川・ウィーンの旅についての準備状況は既に報告しましたが、並行して6月の旅の準備も開始しました。6月の旅の軸となるオペラ・コンサートは以下です。

  2013年6月(2日) ウィーン国立歌劇場
    オペラ《カルメン》ドゥ・ビリー指揮、ガランチャ、アラーニャ、テジエ、ハルティッヒ

  2013年6月(3日) ウィーン・コンツェルトハウス ベルリン・フィル ラトル指揮
    ブーレーズ《ノーテーション8》、ブルックナー交響曲第7番

  2013年6月(5日、6日) ウィーン・コンツェルトハウス ベルリン・フィル ラトル指揮、フォン・オッター
    マーラー交響曲2番《復活》

  2013年6月(7日) ウィーン楽友協会 ウィーン・フィル ソフィエフ指揮、シュトイデ、ソモダーリ
    ブラームス《2重協奏曲》、ベルリオーズ《幻想交響曲》

  2013年6月(8日) ウィーン・コンツェルトハウス ウィーン交響楽団 コンロン指揮、ヴァイラーシュタイン
    ドヴォルザーク《チェロ協奏曲》、ツェムリンスキー交響詩《人魚姫(Die Seejungfrau)》

  2013年6月(12日) ドレスデン・ゼンパーオーパー
    楽劇《ばらの騎士》ティーレマン指揮、シュヴァネヴィルムス、ペーター・ローズ、ガランチャ、ダニエラ・ファリー

  2013年6月(19日) ウィーン・フォルクスオーパー
    オペレッタ《ルーナ夫人》

  2013年6月(20日) ウィーン国立歌劇場
    楽劇《カプリッチョ》エッシェンバッハ指揮、フレミング、スコウフス、シャーデ、リドル、キルヒシュラーガー

  2013年6月(21日) ウィーン国立歌劇場
    オペラ《ロミオとジュリエット》ドミンゴ指揮、ニーノ・マチャイゼ、ベチャーラ

  2013年6月(22日) ウィーン・コンツェルトハウス ウィーン交響楽団 ナガノ指揮
    シェーンベルク《グレの歌》

チケットは一番の目的であるドレスデンでの《ばらの騎士》だけは購入済ですが、残りはこれからです。ティーレマンは3日前に圧倒的なブルックナーを聴きましたが、今度はR・シュトラウスの傑作オペラでの快演に期待が高まる一方です。

オペラ鑑賞のために途中でウィーンからドレスデンに出かけることになりますが、ドレスデンでの滞在も含めて、およそ10日間の空いた日程があります。ドレスデンへは空の旅も考えましたが、ゆったりと鉄道の旅にして、途中でプラハなどに滞在することにしました。鉄道のチケットの手配はこれから考えましょう。プラハの街はまだゆっくりと見ていないので、今回徹底的に歩いてみます。プラハというと音楽の街でもあります。オペラ・コンサートもこれからチェックする予定です。

日程を決めたので航空券を手配します。4月の旅と同様に、ANAにそこそこの料金で乗れそうです。4月と同様に羽田発フランクフルト行きの最新鋭機B787に乗りましょう。成田空港前泊も不要になりますからね。フランクフルトでトランジットしてウィーンに向かいます。早速その計画でネットで予約しようとすると、4月に比べて若干料金が高めです。よくよく調べてみると、出発が金曜日だと週末料金で高くなるようです。では、出発を1日早めましょう。帰りの便も同様に週末料金を避けて、日曜日ウィーン出発にします。帰りの便も4月と同様にフランクフルト経由で成田着にしました。
これで一件落着のつもりでしたが、日程を確認していた配偶者から注文が付きました。ウィーンに予定より1日早く行っても、いつも滞在しているウィーンでは無駄な日を過ごすことになるので、ブダペストにでも寄っていけばいいんじゃないのっていうことです。それもそうです。すぐにANAのお姉さんに電話して、フランクフルトからの行き先をウィーンからブダペストに変更してもらいました。もちろん料金は変わりません。ブダペストでゆっくり温泉にでも浸かってきましょう。ブダペストからウィーンへは鉄道でもバスでも大して時間はかかりません。

これで骨格は固まり、ウィーン・ドレスデン間の日程を決めて、鉄道チケット予約とホテル予約を残すのみです。
これで来年4月と6月の旅の概要は決定。これから、詳細を詰めていきましょう。でも、一度に2つの旅のプランを練っていくのはなかなか大変です!


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この記事へのコメント

1, Steppkeさん 2012/11/03 06:31
sarai さん、ご無沙汰しています。

6月の準備も着々と進んでいますね。
いつも1ヶ月近くの旅程、うらやましいです。

当方は、ドレスデンの12日と16日(当然、Garanca は2度聴きます)、それに15日(さまよえるオランダ人)のチケット手配が済んだだけで、他はまだ手を付けていません。
Dresden の前に Volksoper の Frau Luna に行くか後にするか?、途中はどうするか?、別の都市にちょっと寄り道するか?、等々いろいろと考えていますが、なかなか決まりません。(これが、また楽しくもあるのですが..)

2, saraiさん 2012/11/03 10:22
Steppkeさん、お久しぶりですね。

(当然、Garanca は2度聴きます)・・・そうですね。私もそうすれば、よかった! 今更、いいチケットはありません。 13日のバレエでも見ようかと思っています。音楽がバッハの無伴奏パルティータなので(テープですが)、いいかも知れません。ドレスデンではオペレッタはやっていないのですか?
ところで、もちろん、4月のウィーンのウェルテルは行かれるんですよね。私は20日のチケットを購入しました。

3, Steppkeさん 2012/11/03 12:36
sarai さん、こんにちは。

ドレスデンには州立オペレッタ劇場があって、オペレッタやミュージカルなどをやっています。
http://www.staatsoperette-dresden.de/
6月14日には Millöcker の Gasparone が予定されており、行くことにしています。

中心街から市電で30分くらいの郊外にあり、地方の映画館に毛が生えたみたいな小さな劇場です。
私が行ったのは20年くらい前ですが、アンサンブルがしっかりしており、なかなかでした。(Feri さんのブログにたまに登場しています)

4, Steppkeさん 2012/11/03 12:37
(続き)
4月の Werther には行きたいのですが、まだ迷っています。(一応、スタンバイは入れてあります)
ただ、行くとしたら、sarai さんより少し後の予定です。演目の並びが良い期間をねらって、Netrebko は諦めるつもりです。
実は、Garanca のコンサートがあり、1月に行くことにしました。(チケットは、はっぱさんにお願いして入手済みです)
迷っているのは、半年で3回になるので勤め人にしてはちょっと行き過ぎかなと思っている(嘘です)のと、何よりも先立つものが不足しているからです。

5, saraiさん 2012/11/03 19:04
Steppkeさん、こんばんは。

そんなオペレッタをやってるのは気がつきませんでした。14日に行く方向で検討します。そんなによいチケットはなさそうですが、まあまあの席なら空いているようです。

私はガランチャのウェルテルは見ていませんけど、Steppkeさんはずい分、見られたでしょうからね。ネトレプコはいずれにせよ、既に大変なプレミアが付いて、チケット入手困難で迷っています。

1月も行かれるとは・・・・絶句です。

6, Steppkeさん 2012/11/03 21:18
sarai さん、こんばんは。

あぁ..また焚きつけてしまいました。奥様によろしくお伝え下さい。

それほどは頻繁に行っている訳ではないので、Garanca の Charlotte はミュンヒェンで1回聴いただけです。
ヴィーンでの Werther は、今年4月にご一緒した時が初めてです。なので、是非、聴いてみたいのですが..

7, saraiさん 2012/11/04 00:34
Steppkeさん、こんばんは。

先程、配偶者が帰宅したので、顛末を説明しましたが、多分?、快く了承してくれたようです。私が音楽が一番大事に思っていることは分かってくれていますので、気になさらないでください。
明日はコンサートなので、夜にでも、ガスパローネのチケットを購入します。

ウィーンのウェルテルはそりゃ、ガランチャ・フリークのかたは見逃せないでしょう。ヴィデオでは見ましたが、素晴らしいですもんね。ご一緒できないのは残念です。ウィーンには4月24日まではいます。

8, Steppkeさん 2012/11/10 12:49
sarai さん、こんにちは。

私も旅程をほぼ決めました。

6月7日にヴィーンに行き、その日は Il barbiere di Siviglia、Frau Luna の初日(8日)と Die lustige Witwe(9日)を聴いて、ÖBB と DB でミュンヒェン、ライプツィヒに1泊ずつした後、ドレスデンに行きます。
11日に、ライプツィヒで Frau Luna があるので、比較するのも面白いかなと思い、ヴィーンを短くしました。
10日はミュンヒェンですが、オペラ・オペレッタが無いので、仕方なく Bayerisches Staatsorchester のコンサート(指揮は、Kent Nagano)にする予定です。DB の乗り継ぎが良ければ、他の都市にするかも知れません。(この日だけ、まだはっきりしません)

9, Steppkeさん 2012/11/10 12:49
(続き)
16日に Der Rosenkavalier の2回目を聴いた後、17日に乗って18日朝に帰国です。

sarai さんに比べてとても短いのですが、これでも丸1週間+前後1日ずつの計7日休む必要があり、最近では一番長い日程になります。

10, saraiさん 2012/11/10 17:01
Steppkeさん、こんにちは。saraiです。

現役の方としては異例に長い日程ですね(笑い)。私が現役のときは最長で出入り12日でした。ウィーンとドレスデンが日程が重なりますね。特にドレスデンは12日と14日はご一緒しますので、よろしく。ドレスデンは15日にプラハに移動しますので、14日がお別れになります。
ミュンヘンで特にめぼしいものがなければ、ウィーンからLCCでベルリンまで飛ぶのもありですね。交通費はかえって安くなるのでは? ベルリンで10日にいいものがあればの話ですが・・・。

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シューベルトに感動!庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル@サントリーホール 2012.10.30

10月後半のこの1週間ほどに聴いた3回のコンサートはいずれも強い感銘を受けたものばかりで、いずれも“当たり”のコンサートでした。もちろん、そういうコンサートを選択したのですから、当たり前と言えば、当たり前ですが、当たりくじばかり連続で引くのは滅多にないことです。このところ、ご機嫌のsaraiです。
 10月22日(月) インバル指揮東京都交響楽団 ブラームス交響曲第2番、第4番
 10月26日(金) ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 《トリスタンとイゾルデ、ブルックナー交響曲第7番
 10月27日(土) インバル指揮東京都交響楽団 マーラー交響曲第3番

そして、今日の庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタルも大変感銘を受けたリサイタルでなんと4回連続当たりくじでした。 
今日のリサイタルはほぼ10日ほど前に横浜みなとみらいホールで聴いたリサイタルとほぼ同内容です。違いといえば、ホールがサントリーホールに変わったこととと、最後のメインの曲目がシューマンのソナタからシューベルトの幻想曲に変わったことです。しかし、受けた感銘の度合いはまったく違います。席の場所はほとんど同じですが、サントリーホールではヴァイオリンの響きがよく聴こえ、実に集中して聴くことができました。そして、シューベルトの幻想曲の演奏はとても素晴らしいもので、深い感動に浸りました。シューベルトの後期のピアノ曲の素晴らしい演奏に接して、感動するのと、同じ感覚といえば、お分かり頂けるでしょうか。幻想曲もシューベルト晩年の名曲で深い音楽性に満ちていますが、庄司紗矢香のヴァイオリンはそれを余すところなく、完璧に演奏しました。今まで、庄司紗矢香のヴァイオリンを長い間、聴いてきましたが、今日のシューベルトは間違いなく、最高に素晴らしい演奏でした。ずっと、庄司紗矢香の成長の過程を見守るという足長おじさんのような気持ちでいましたが、それも今日で最後にします。こんな素晴らしいヴァイオリニストになった庄司紗矢香の成長を見守るというのは不遜で失礼にあたるでしょう。これから始まる絶頂期の名演の数々を鑑賞させてもらうことにします。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  ピアノ:ジャンルカ・カシオーリ

  ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調Op.96

《休憩》

  ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
  シューベルト:幻想曲ハ長調D.934

   《アンコール》
バッハ:音楽の捧げ物より
    ストラヴィンスキー:ペトルーシュカより

最初はヤナーチェクのソナタです。今日のリサイタルで唯一、不満のあったのがこのソナタの第1楽章です。あまりに流麗で美し過ぎる演奏なんです。この楽章は少しぎこちなく、抑えた演奏をしてもらいたかったんです。孤独でコミュニティにとけ込めない哀しさを表現してもらいたいというのがsaraiの意見です。高いレベルの勝手な要求です。
第2楽章は途中から始まるノスタルジックな綺麗なメロディーの美しい響きに満足しました。孤独で愛に飢えた人が子供時代の何者にもとらわれなかった幸福な頃の回想にふけるという切なさがよく表出されていました。
第3楽章はまあまあというところでしょうか。どうしてよいか分からない自分を無理に奮い立たせて、明るく振る舞ってみせますが、それが奇妙な行動に見えてしまうというちぐはぐさがそこそこに表現できていました。もっと思い切った鋭い演奏もよかったかなという感じです。
第4楽章は特に後半からフィナーレまでは実に秀逸な演奏でした。孤独な魂が愛を求めますが、哀しみが増すばかり。どこにも救いのないやるせなさのまま、曲は閉じます。深い感銘を受けた演奏でした。それに感情のこもった熱い表現にほろっときました。
それにしても、低音から高音まで均一性のある美しい響きで、この音楽的に難しい曲を演奏したのは凄いことです。

次はベートーヴェンのソナタです。力みのない素直な表現での演奏でした。ヤナーチェクのソナタとは一転して、実に端正な表現です。ピアノのカシオーリも丁寧なタッチで、庄司紗矢香のヴァイオリンの響きとうまくマッチしています。テンポの微妙な変化で、2人の息がぴったりで、室内楽の喜びを感じ取ることができました。インテンポで演奏する部分でのきちっとしたベートーヴェンらしさが模範的なベートーヴェン演奏を感じさせられました。
第2楽章の抒情あふれる美しい演奏が爽やかです。第4楽章の素朴な主題の表現が印象的で演奏の終わった後でも、そのメロディーが頭のなかで響き続けていました。
抑え気味のしみじみとした演奏で、室内楽の楽しさを感じました。こういうベートーヴェンもいいですね。

休憩後、ドビュッシーのソナタです。10日前のリサイタルでも素晴らしい演奏でしたが、この日はそれ以上だったかも知れません。ドビュッシー晩年の室内楽はどれも名曲で大好きですが、エスプリに満ちた演奏でうっとりと聴き惚れるのみです。このドビュッシーの作品の色々な要素が聴き取れたのも新しい発見です。東洋風な表現はバルトークのマジャール風の音楽を想起させます。無限旋律を思わせるところはフランクです。それらをドビュッシーの印象派の音楽でまとめあげているというモザイク的な音楽に聴こえました。丁寧にクリアーな演奏だったからこそ、細部までじっくりと楽しめたのだと思います。本当に完成度の高い演奏です。
休憩後の演奏はますます精度の高い演奏になってきています。

最後はこの日のメインのプログラムに据えたシューベルトの幻想曲です。この曲は序奏と3つの楽章とコーダが休みなく演奏されます。ロマン派らしい自由な形式のヴァイオリン・ソナタと言っていいでしょう。シューベルトの晩年の作品は本当に名作揃いですが、これもそのひとつです。演奏機会も少なく、CDのリリースも少ないので、隠れた名曲といえるかもしれません。庄司紗矢香はいい曲をプログラムに組み込みました。
演奏の中身にはいる前にちょっと予習したCDについて、触れておきます。何枚か聴きましたが、何といっても、アドルフ・ブッシュの演奏の素晴らしさは特筆すべきものです。1931年録音のSPからの復刻CDですが、素晴らしい音質で聴くことができます。デジタル技術の進歩に感謝します。アドルフ・ブッシュのヴァイオリンは少し甘いポルタメントのかかった昔風の演奏ですが、それはマイナスにはなりません。懐かしさのこみあげてくるようなシューベルトの演奏につながっているからです。ピアノのルドルフ・ゼルキンの演奏も実に美しく、非の打ち所のない真正のシューベルト演奏に仕上がっています。この年代はアドルフ・ブッシュの絶頂期だったようです。アドルフ・ブッシュはその後、ナチス政権に追われ、米国に移り住みます。そこでも数々の名演奏を残しています。前回のリサイタルのプログラムのメインだったシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番はこの時期に名演を残しています。庄司紗矢香の2回のリサイタルのメイン曲の名盤がいずれもアドルフ・ブッシュの演奏であるのは面白い偶然です。ということで、リサイタルの予習にシューベルトとシューマンを繰り返し、アドルフ・ブッシュの名盤で聴きました。これは是非、みなさんも一聴されることをお勧めします。シューベルトの幻想曲のCDは既に廃盤ですが、AMAZONから、相応の価格で中古CDを入手することができます。米国、日本から買えます。このCDはリマスタリングも良好でよい音質で聴くことができます。因みにシューマンはここから買えます。4枚組のCDです。このなかにも、シューベルトの幻想曲がありますが、米国でのライブ演奏のようです。これは未聴です。
アドルフ・ブッシュのCDにこだわったのは、そこに真正のシューベルト演奏があると感じたからです。
そして、今日の庄司紗矢香の演奏は演奏スタイルこそアドルフ・ブッシュとは異なりますが、やはり真正のシューベルトの魂が感じられました。序奏のゆったりした美しい響きはまるでソプラノ歌手のアリアを聴いている感じでうっとりします。第1楽章はシューベルトらしい美しいメロディーに胸を揺さぶられます。第2楽章はシューベルトの歌曲「私の挨拶を」を主題とした4つの変奏が繰り広げられ、この曲の白眉ともいっていい部分ですが、ヴァイオリンとピアノの美しい響きは真正のシューベルトです。第3楽章を経て、圧巻のコーダです。シューベルトの名作を目の前でライブで素晴らしい演奏・・・感動で胸が一杯です。アドルフ・ブッシュは素晴らしいですが、何といってもsaraiが生まれた頃に亡くなった人で今更、生の演奏は聴けません。同じ精神性での演奏が今生きている現在に聴けて、幸福感でいっぱいです。
いつの間にか、庄司紗矢香はこんなシューベルトが弾けるような高みにまで上ってきました。凄いことです。

素晴らしいリサイタルでした。アンコールも含めて、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ドビュッシー、ヤナーチェク、ストラヴィンスキーをすべて高水準で演奏しました。もう成長過程を終え、稔りの時期にはいってきたようです。これからの庄司紗矢香はますます、saraiを楽しませてくれるでしょう。



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       庄司紗矢香,  

20年ぶりのベルリン:久々の朝日を浴びながら、カフェでの朝食に出発・・・カフェ・イム・リテラトウーアハウス

2012年4月14日土曜日@ベルリン/1回目

旅の9日目です。昨日、待望のフィルハーモニー詣でを済ませ、ベルリン訪問は山場を過ぎました。
後はゆっくりとベルリンBerlinの3日間過ごします。

今日のベルリンは素晴らしい青空です。今回の旅では、ウィーンに着いてからベルリンに移動した後もずっと寒い日が続いていましたが、ようやく晴れました。


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窓をちょっと開けると、まだ空気は冷たいですが気持ちの良い朝です。ホテル前の公園にも朝日が当たっています。


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どこからか小鳥の声も聞こえます。あまり聞いたことのない声です。あっ、窓の縁に止まって鳴いています。やはり青空は、生き物を活動的にしますね。こちらも元気に出かけましょう。


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まずはカフェで朝ごはんです。5つ星のホテルの朝食はとても料金が高いので、ホテルは朝食なしで予約してあります。今日は有名カフェのカフェ・イム・リテラトウーアハウスCafé im Literaturhausの素敵なガーデンテラスで美味しい朝食をいただくことにします。
saraiがなかなかパソコンの前から離れられないでいると、痺れを切らした配偶者は先にホテル前の公園にお散歩に行ってしまいます。その配偶者は、ホテルの玄関前で、派手な彩りで朝日で輝いているウェルカム・ベアーを見つけたそうです。お茶目な熊さんですね。


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小鳥もいっぱい鳴いていて、遊び場では子供たちが楽しげな様子だったそうです。saraiもようやくホテルを出て、眩しい光を浴びながらベンチに座りゆったり時を過ごしている配偶者を見つけます。連れ立って、カフェに向かいます。

クーダムKu-dammの通りを一駅分歩いて行きましょう。賑やかな大通りを歩いて行くと、20年前のベルリン旅行のときに泊まったホテル・ケンピンスキーKempinski Hotelが見えてきます。そのときの記憶はまったく戻ってきません。きっと、このあたりの様子もずい分変わったんでしょう。


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そのホテル・ケンピンスキーに向けて、ちょっと大通りを歩きます。


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やがて、大通りから左に折れて小路、ファザーネン通りFasanenstraßeに入ると、今までの喧噪が嘘のようにシ~ンと静まりかえっています。車も通りません。静かな小路をしばらく歩くと、カフェ・イム・リテラトウーアハウスがあります。ベルリンの街のど真ん中とは思えません。その空間だけ、郊外にワープした感じです。大きな門柱を抜けて、敷地内に入ります。


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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。


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古い建物の一部がカフェになっています。そして、そのカフェの前に広がる庭の緑の美しいこと。まるで公園みたいです。


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カフェのある古い建物のさらにその一部が小さな小さな本屋さんになっています。朝食の後、ちょっと覗いてみましょう。


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既に何組かの人が、庭の暖かな日差しの中で朝食を楽しんでいます。sarai達も、そこに加わります。


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空いていたテーブルにつきカフェの建物を見ると、2階にはテラス席もあります。上からの眺めもよさそうですが、やはり庭の緑に囲まれての朝食がいいでしょうね。ここで朝食をいただくことにします。


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庭には噴水もありますが、今は水が出ていません。噴水が上がると気持ちがいいでしょうね。


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さて、朝食のオーダーをしましょう。美味しく朝食がいただけそうです。


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金婚式、おめでとうございます!!!
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京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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