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マーラー5番、リュッケルト5つの歌:インバル&東京都交響楽団&フェルミリオン@サントリーホール 2013.1.22

今日は東京に雪が降るという気象予報があり、真面目にコンサート後のホテルを確保しようかと相談していました。
ところが朝になってみると、曇り空で小雨がぱらついていますが、雪が降りそうな気配はありません。
では、折角、交通費を払って、都心に出るのだから、早めに家を出て、ほかのイベントにも回りましょう。
まずは、横浜そごうで開催中のエリザベート展を鑑賞。


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本当に綺麗なかたですね。そして、驚異的な腰の細さ! 
色々なアイテムが展示されていました。何故か、オーストリアのザルツカンマーグートのバート・イシュル市立博物館からの出展物が多いのが目立ちます。実はバート・イシュルにカイザー・ヴィラという別荘があり、国王フランツ・ヨーゼフの王妃エリザベートがよく滞在していたので、その関係でしょう。saraiも4月の旅ではバート・イシュルに宿泊する予定なので、このカイザー・ヴィラも訪問してみましょう。

次は上野の東京都美術館で開催中のエル・グレコ大回顧展を鑑賞。素晴らしいものでした。これは明日、特集しますので、ご期待ください。

ようやく、サントリーホールに向かい、インバル指揮東京都交響楽団のマーラー・チクルスを楽しみます。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン
  管弦楽:東京都交響楽団

  マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌 Funf Lieder nach Ruckert
         私は仄かな香りを吸い込んだ Ich atmet' einen linden Duft
         私の歌を覗き見しないで Blicke mir nicht in die Lieder!
         美しさゆえに愛するのなら Liebst du um Schonheit
         真夜中に Um Mitternacht
         私はこの世に捨てられて Ich bin der Welt abhanden gekommen

   《休憩》

  マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

最初は歌曲の「リュッケルトの詩による5つの歌」です。この曲はバリトンかメゾソプラノで歌われます。saraiは断然、メゾソプラノ派ですが、CDでのフィッシャー=ディースカウのあまりの素晴らしさには、バリトン独唱も許さざるを得ません(バーンスタインのピアノ伴奏も凄い)。女声では、ジャネット・ベーカーの感涙もの絶唱(バルビローリの指揮も凄い)、そして、現役で一番好きなマーラー歌手フォン・オッターのCDが現在のsaraiのスタンダードです。ちなみに、今年の6月はそのフォン・オッターのマーラーが聴きたくて、ウィーン・コンツェルトハウスでのベルリン・フィルのマーラーの交響曲第2番《復活》を聴きに行きます。それも2度も聴きます。
さて、この日のメゾソプラノのイリス・フェルミリオンはインバル指揮東京都交響楽団と何度も共演していますが、いつも素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。今日も期待して、聴いていました。まさに期待通りの素晴らしい歌唱でした。5曲ともよかったんですが、3曲目の《美しさゆえに愛するのなら》のラブソングはうっとりと聴き惚れました。この曲のみはオーケストレーションがマーラー自身でないので、弦中心の少し、平板なものだったのが残念です。もっと、管楽器を使って、彫りの深い伴奏であったら、もっとよかったでしょう。
第4曲の《真夜中に》は深く、内容のある歌唱でした。フィナーレの堂々たる歌唱でも、よく声が出ていました。
そして、第5曲の《私はこの世に捨てられて》がこの日の白眉でした。名曲だし、恥ずかしながら、saraiもミーハー的に大好きで、この曲を聴くとどうしても涙もろくなってしまいます。フェルミリオンは弱声を効果的に使って、しみじみとした心情を歌い上げていました。最後の「イン・マイネン・リーベン、イン・マイネン・リート(私の愛に、私の歌に)」には、正直、参りました。マーラーが天国から呼びかけているようです。
歌が終わって、拍手する気が失せるほど、感動していました。

休憩後、マーラーの交響曲第5番です。今回のマーラー・チクルスはインバルと東京都交響楽団の演奏はどの曲も素晴らしく、この5番も聴く前から、素晴らしい演奏になることは確信していました。そして、その通りになりました。テンポは中庸か、少しゆったりめ。金管、木管も好調で、弦はもちろん世界トップクラスです。そんなに熱い演奏ではありませんが、切れのよい素晴らしい響きに身を委ねるだけで、満足!満足!の演奏です。この名曲は、特別なことはせずに素直に演奏するだけで、聴く者の心の奥底に暖かい思いが伝わってきます。無論、明るい感情だけでなく、切ない感情もないまぜになったものです。先程の「リュッケルトの詩による5つの歌」と同様に、アルマ・シンドラーと電撃結婚した時期に作曲されているので、アルマへの純粋な愛がベースにあるからでしょう。
とても長い曲ではありますが、美しい響きに聴きいっているうちに、輝きに満ちたフィナーレに上りつめ、感動します。途中、アダージェットの美しさ、優しさは心を溶かすような素晴らしいアンサンブルでした。

これからはアルマへの愛情、そして、その愛情を失う恐れに向かって、人類の達した最高峰の名曲、交響曲第9番に上りつめていきます。saraiもしっかりとセット券をゲットしました。残り4曲、十分に受け止めていきたいと思います。

間近に迫った4月の旅では、ザルツカンマーグートへの小旅行も予定しており、マーラーが夏を過ごしたアッター湖のシュタインバッハにも訪れたいと思っています。当分、マーラーの音楽からは離れられそうにもありません。


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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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