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ベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルス①:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2013.2.26

今年はベートーヴェンの年になるでしょうか。初めて、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲チクルスを聴きます。もしかして、ティーレマン指揮ウィーン・フィルの交響曲全曲チクルスも聴けるかもしれません。実現したら、これも初めてです。そうすると残りはピアノ・ソナタ全曲チクルスですね。これはペライアで聴きたいですが、まあ無理でしょう。ブッフビンダーあたりが現実的でしょうか。
とりあえず、今日から、1日だけ休みの日を置いて、4日間で3夜、弦楽四重奏曲チクルスの前半を聴きます。後半は秋になります。
ハーゲン・カルテットと言えば、何といっても、バルトークの名演が忘れられません。今度はベートーヴェン、弦楽四重奏曲の双璧をなす2大傑作群です。どんな演奏になるか、もっとも期待できる実力派です。というか、saraiが現在、最も聴きたかったのが、このハーゲン・カルテットのベートーヴェンだったんです。今、夢がかないます。

さて、今日のプログラムは以下です。

  ベートーヴェン
  弦楽四重奏曲第1番ヘ長調Op.18-1
  弦楽四重奏曲第16番ヘ長調Op.135

  《休憩》

  弦楽四重奏曲第7番ヘ長調Op.59-1

今、コンサートを終え、満月の下、地下鉄の駅に頭の中に渦巻く音の響きに包まれて、ゆっくりと歩き、電車に乗り、この文章を書いています。
一言だけ・・・とてもよかった!
生きているのはsaraiにとって、音楽を聴くことと同義語です。素晴らしい演奏で人生を実感しました。

そもそも、この日のプログラムが凄い。前半が第1番と第16番、すなわち、最初と最後の弦楽四重奏曲(作曲順は第2番が最初らしいですが)です。そして、後半が中期の傑作の第7番です。これだけでベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全体も概観できそうです。

まず、第1番です。意外にオーソドックスな演奏で意表を突かれた思いです。第1楽章の展開部では白熱した演奏もありましたが、アタックの強い鋭い演奏を予期していたのとは大違いの演奏です。古典的とも思える演奏でした。
今日の午後、出かける前に予習したのは、saraiが生まれる前のブッシュ・カルテットの演奏です。第1番は実に80年前の演奏です。
 第1番 1933年
 第16番 1935年
 第7番 1942年
今回のチクルスに備えて、先週までに聴いたのは、このブッシュ・カルテットのほかに以下を聴きました。
 バリリ四重奏団(全曲)
 ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団(中期と後期のほとんどをカバー)
 ブダペスト四重奏団(全曲)
 スメタナ四重奏団(全曲)
 ラサール四重奏団(後期のみ)
一番、感銘を受けたのがブッシュ・カルテットでした。ブダペスト四重奏団も名演ですし、他もすべて素晴らしいんですが、ブッシュ・カルテットの美しさは群を抜いています。
で、第1番ですが、ブッシュ・カルテットは後期の四重奏曲を思わせる深い演奏でした。今日のハーゲン・カルテットはどちらかというと、軽やかな典雅な演奏で往年のバリリ四重奏団を思わせます。もっと、突っ込んだ演奏でもよかったのではと思わなくもありませんでした。

続いて、第16番です。これは最初から、ただならぬ様子で演奏が始まります。いかにもハーゲン・カルテットらしい自在な演奏です。次第に白熱した演奏になり、saraiも胸が熱くなります。悪く言えば、やりたい放題の演奏ですが、ぴたっとはまっているから凄い。不意にsaraiの脳裏にあるイメージが想起してきました。そうです。これはバルトーク・ワールドです。そこまで言えば、言い過ぎですが、ずっと将来に登場する四重奏曲の天才作曲家バルトークの出現を見通すような演奏です。アタックの強さ、激烈なアンサンブル、強いリズム感、すべてがバルトークを思わせますが、ちゃんとベートーヴェンなのが驚異的です。特に第3楽章での悲しげな表現がバルトークの畢生の名作の6番のもメスト(悲しげに)と記された共通主題を連想します。これらの作曲時期、ベートーヴェンもバルトークもつらい環境にあったという共通点があります。
第16番で遥か将来のバルトークを展望したのは、ハーゲン・カルテットならでは素晴らしい着想であり、表現力でもあります。saraiは第3楽章が始まると、胸が締めつけられ、涙にくれました。第16番を聴いて、こんなに強い感動を受けたのは初めてです。ベートーヴェンとバルトークを一緒に聴いたような感動でした。妙かもしれませんが、感動が倍加しました。

ここではたと気が付きました。第1番では、ハイドン、モーツァルトの古典派との世界への広がりを表すために、あえて、古典派的な演奏をこころがけたのでしょう。将来志向の先進的な第16番と対比をつけるためです。これで、ベートーヴェンの世界が大きく広がりました。スケールのおおきなチクルス・コンセプトですね。
第16番が終わり、感動の嵐に襲われました。これ以上、何を望むものがあるでしょう。

最後に第7番です。これは実に響きの美しい演奏で、中期のベートーヴェンの豊穣の世界を満喫しました。満足です。今後の中期の作品の演奏は、こういう演奏になるのでしょう。中期にふさわしい演奏になると期待できます。

明日は中期の第11番、第10番、すなわち、セリオーソとハープです。今日の第7番(ラズモフスキー第1番)のような美しい豊穣の響きの演奏になるか、もっと突っ込んだ演奏になるか、楽しみです。初期の第6番は古典スタイルでしょうね。今回のチクルスは綿密な設計図に基づいて、単曲演奏では味わえない世界に誘ってくれるようです。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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