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ハイティンクのブルックナー:交響曲第8番の名盤を聴く(その2)・・・行き着く先は“美”を超えて

アムステルダムのコンセルトヘボウで、ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団でブルックナーの交響曲第8番を聴くのも、いよいよ今週末の金曜日と日曜日に迫りました。ヨーロッパの長旅の準備もありますが、やはり、このコンサートは我が音楽人生の頂点になるのではないかという予感がしています。しっかりとできるだけの準備はして、コンサートに備えましょう。

前回の記事でハイティンクのブルックナーの交響曲第8番のCDを特集しました。それはここに書きました。その記事で取り上げたCDの一覧は以下です。

1.1969.9.1-3.  コンセルトヘボウ管(全集)      ハース版
2.1981.5.25-26. コンセルトヘボウ管(デジタル録音)  ハース版
3.1989.08.22.  ECユース管              ハース版、非正規盤
4.1995.1.    ウィーン・フィル           ハース版
5.2002.12.03.  シュターツカペレ・ドレスデン(ライブ)ハース版
6.2005.2.18,20. コンセルトヘボウ管(ライブ)     ハース版
7.2007.08.24.  コンセルトヘボウ管(proms、ライブ)  ノヴァーク版、非正規盤

既には正規盤5枚(1、2、4~6)は聴きました。

2.の1981年のコンセルトヘボウ管でハイティンクのブルックナーは完成の域に達し、4.の1995年のウィーン・フィル、5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンと、どの演奏も同様のスタイルで高いレベルの演奏です。6.の2005年のコンセルトヘボウ管は、もう一つの印象でした。これらから一つ選ぶなら、僅差ですが、5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンでしょう。

その後、再度、2.の1981年のコンセルトヘボウ管と5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンを聴き直してみましたが、ますます、その演奏に惹かれます。

そして、最後に、7.の2007年のpromsでコンセルトヘボウ管と演奏したライブの非正規盤を聴いてみました。唯一、ノヴァーク版の演奏で最近のハイティンクの演奏スタイルを知るために、どうしても聴きたかったCDです。ただ、あまりの音質の悪さ(BBCの放送を録音したもののようです)に今まで聴くことをしり込みしていましたが、もう、今日が最後の機会です。
第1楽章、第2楽章は音質の悪さに我慢して聴いていました。それが一変したのは、第3楽章です。音質の悪さは変わりありませんが、何という演奏でしょう。表現は難しいのですが、実にしみじみとした滋味にあふれる演奏です。チェリビダッケによる究極の“美”がこれまでの理想の演奏でしたが、その“美”を超える最高の演奏に感じます。ハイティンク78歳にして、到達した境地です。ブルックナーの最終稿にハース版で付け加えられたものをすべて取り除いたノヴァーク版を採用したことも寄与しているかもしれません。陶酔するような演奏ではなく、言わば、人生の秋か冬を感じ、癒しを受けるような演奏です。勢いのある第4楽章になっても、基本的なスタイルはしみじみ感です。こういう演奏は万人に受け入れられる演奏ではないかもしれませんが、saraiにとっては、最高の演奏です。

この演奏から6年近く経った今、一体、ハイティンクはどんなブルックナーを聴かせてくれるでしょう。先日のみなとみらいホールでの究極の第9番を上回る演奏を期待して、心もそぞろです。


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       ハイティンク,  

オランダ・ライン川・ウィーンの旅~いよいよ、明日出発!

明日出発ですが、まだ、準備を続けています。

鉄道チケットの確認・購入はほぼ完了です。残りは明日、2週間後のスイスの割引が発売になるので、それをゲットすれば、おしまいです。ネットで購入可能な鉄道チケットはすべて購入しました。

スイス国内の鉄道チケットはベルンからチューリッヒへの移動分まで購入しました。

翌日はボーデン湖です。湖畔の街コンスタンツ、そこから花の島のマイナウ島へのボーデン湖クルーズ、ライン河畔の街シャフハウゼン、ラインの滝、ヴィンタートゥールをまわります。チューリッヒ空港駅を出発して、チューリッヒ空港駅に戻ってくる、言わば周遊チケットにして、通常チケットを購入しました。ばらばらの区間を購入するよりも割安でした。ホテルからチューリッヒ空港駅の往復はホテルの無料シャトルを利用します。
ボーデン湖クルーズは春シーズンの時刻表が適用されます。夏に比べると本数は少ないですが、冬季は運行しないようです。
ラインの滝はライン川最大の滝ですが、ここへはシャフハウゼンからバスで行くことが多いようですが、この時期からは近くの鉄道駅にSバーン(S33)が停車します。ちょうど、ヴィンタートゥールへの途中駅でもあるので、ここで乗降することにしました。駅名はLaufen am Rheinfallです。ヴィンタートゥールは夕食を食べるために寄っていきます。

翌日はまた、ヴィンタートゥールに行き、ラインハルト美術館に寄った後、バーゼルに移動します。これは割引チケットSparbillettを購入しました。すぐ近くのヴィンタートゥールに行くよりも、このバーゼルへの割引チケットのほうが安いのには絶句!

 チューリッヒ中央駅⇒バーゼルSBB駅 12:34分発、13:27分着のIC:インターシティ(特急)

翌日のバーゼルからチューリッヒ空港に移動する割引チケットは明日、購入します。

次はウィーンからザルツカンマーグートへの旅の鉄道チケットです。
まず、ウィーンから次のルートでハルシュタットに行きます。

 ウィーン・マイドリング駅⇒レオーベン中央駅 10:30分発、12:25分着のrailjet:レールジェット(特急)
 レオーベン中央駅⇒シュタイナッハ・イルドニング駅 12:31分発、13:36分着のEC:ユーロシティ(特急)
 シュタイナッハ・イルドニング駅⇒ハルシュタット駅 13:40分発、14:31分着のREX:レギオナル・エクスプレス(急行)

しかし、いつまで待っても、この区間の割引チケットSparSchiene Osterreichが割り当てられません。最悪、スタンダード料金ですが、これは悔しい。色々と悪あがきした結果、ウィーン・マイドリング駅からの別のレールジェットでレオーベン中央駅の手前のブリュック・ムア駅まで行けば、割引チケットSparSchiene Osterreichが割り当てられることを究明しました。

 ウィーン・マイドリング駅⇒ブリュック・ムア駅 10:03分発、11:56分着のrailjet:レールジェット(特急)
 ブリュック・ムア駅⇒レオーベン中央駅 12:06発、12:18分着のR:レギオ(ローカル列車)
 レオーベン中央駅⇒シュタイナッハ・イルドニング駅 12:31分発、13:36分着のEC:ユーロシティ(特急)
 シュタイナッハ・イルドニング駅⇒ハルシュタット駅 13:40分発、14:31分着のREX:レギオナル・エクスプレス(急行)

これで大幅に鉄道料金を節約できたので、ファーストクラスにアップし、さらに、ウィーンからのレールジェットは最上級のプレミアムクラスにしました。それでも、セカンドクラスのスタンダード料金よりは若干安いんです。是非、憧れのプレミアムクラスに乗車してみたかった夢も果たせます。プレミアムクラスはレールジェット1編成で10席ちょっとしかない贅沢席です。

翌日のハルシュタットからバード・イシュルへは通常チケットを購入。

翌日のはアッター湖のバード・イシュル駅から、アットナング・プッフハイム駅を経て、カンマー鉄道(Kammerer Bahn)のカンマー・シェルフリング駅までは通常チケットを購入。
カンマーからはバスでマーラーゆかりのシュタインバッハに行きます。マーラーが交響曲第2番と第3番を作曲したところです。彼の作曲小屋と宿泊した宿が残っています。
ここからはバスを乗り継いで、クリムトゆかりのホテルに移動します。

翌日はカンマーにあるクリムト・センターを見学して、ウィーンに取って返します。アッターガウ鉄道(Attergaubahn)を経由して、アットナング・プッフハイム駅まで行き、そこからはWESTBAHNという電車です。念の為、指定席のチケットを購入。

これでザルツカンマーグートの鉄道チケットはすべて購入済みになりました。なかなか充実した日程になると、一人で悦にいっています(笑い)。

明日は羽田空港からの深夜便なので、最後まで準備作業は続くでしょう。まだ、レストラン・カフェのチェックがほとんど、できていません。


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もうすぐ出発

今、羽田空港の国際線ラウンジで搭乗待ちです。無料の無線LANがつながらず、10分100円のPCでネットしています。
家を出たのは9時過ぎで、1時間で空港に到着。予約しておいた外貨両替を済ませ、荷物を預けたら、すべて、完了。
出国審査を終え、免税店で探していた延長電源タップ(3口)を見つけ、ご機嫌です。

では、今度はヨーロッパから旅の報告を送ります。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~アムステルダムに無事、到着

羽田からの深夜便はすべて闇の中で、真っ暗なフランクフルト空港に着陸。早朝、6時です。
早速、Sバーンでフランクフルト中央駅に移動しますが、寒い! シュテーデル美術館の開く10時まで、市内散策しながら、時間をつぶし、目的通り、フェルメールの絵を独占状態で見ました。でも、素晴らしかったのはボッティチェリの《美しきシモネッタ》です。身時通り、美しい!


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あとはゲーテの生家を見て、ゲーテが裕福な家の出身だということを実感しました。


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空港に取って返し、余裕でアムステルダム便に搭乗。無事、ホテルにたどり着きました。今日はホテルにあったサウナにはいり、ゆっくりと旅の疲れを取りましょう。

明日はコンセルトヘボウでハイティンクのブルックナーの交響曲第8番を聴きます。


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人生の最終ゴール・・・ハイティンク+RCOのブルックナー第8番@コンセルトヘボウ 2013.4.5

思えば、長い間、クラシック音楽を聴いてきました。そして、今日はその音楽人生の到達点とも言えるコンサートに出会いました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

  ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版))

過大な期待はしていました。しかし、まさにその期待した以上の演奏に接し、これが人生最後に聴く音楽であっても、悔いはないという思いです。
第1楽章から、素晴らしい演奏です。コンセルトヘボウ管の透き通った響きが体を貫いていきます。低弦の素晴らしい響き! 高音弦の透き通った響きと同質の透明感のある響きです。想像を絶する響きでした。高音弦の美しさでは、ウィーン・フィルが1枚上かも知れませんが、高音から低音までバランスのとれた響きでは、コンセルトヘボウ管は無敵だと感じます。管ももちろん、パーフェクトな響き。ホルンに若干の乱れはあるものの、これもブルックナーでここまで吹けるオーケストラはないでしょう。
そして、何と言っても、この素晴らしいオーケストラを完璧にコントロールするハイティンクの指揮、そして、彼のブルックナー解釈の素晴らしさ。saraiにとっては、もう、これ以上のブルックナーはありえないと断言できる内容の深さです。
第2楽章の迫力、そして、中間部の美しさ。感動は深まる一方です。
そして、第3楽章。長大な楽章ですが、音楽のあらゆる要素・・・美、迫力、滋味、等々がすべて、表現され尽くした感動的な演奏です。ブルックナー演奏の頂点、そして、クラシック音楽の頂点を極めたものと感じました。曲の隅々まで、丁寧に表現され、それでいて、全体の構成感もゆるがせにしないという趣です。この第3楽章までで、音楽は完成しています。が、さらに第4楽章でさらなる感動の世界に飛翔します。
ここまで、大音量の迫力あるパートも、あくまでも透明感のある繊細な響きの上に構築されて、自然で奥行きの深い世界を繰り広げてきました。第4楽章の冒頭の咆哮もその音楽の延長線上で、決して、気品を失うことはありませんが、迫力感は凄まじいまでです。そして、また、自然で美しい音楽が始まります。何度も、何度も、感動に酔いしれながら、フィナーレへ。上昇旋律が繰り返されながら、天上への飛翔感を味わい、最後に爆発的なコーダへ突き進みます。最後のジャジャジャンがホールに残響を残し、ハイティンクのタクトが静かに下されます。ホールはしばしの静寂に包まれます。素晴らしい聴衆は音楽の余韻を味わっています。そして、満場の拍手と歓声! すぐに聴衆が立ち上がり始め、saraiもスタンディングオベーションの輪に加わります。気が付くと、ホール全体でスタンディングオベーションです。

凄い演奏を聴きました。この日のコンサートに邂逅するために自分の人生があったんだという思いに駆られます。
前に当ブログで書きましたが、チェリビダッケのリスボン・ライブのCDに収められた演奏がブルックナーの交響曲第8番の最高の演奏、さらに言えば、クラシック演奏の規範とも感じていましたが、今日の演奏はそのチェリビダッケの演奏を凌駕するものでした。
ハイティンクのブルックナーは先月、第9番の最高の演奏を聴いたばかりでしたが、今日の演奏は遥かなる高みに達した極限の演奏でした。
明後日も同じコンビで同じくブルックナー8番を聴きますが、到底、今日以上の演奏は想像もできません。ですが、それでも、まだ、楽しみは続きます。


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       ハイティンク,  

オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ハイティンク、至高のブルックナー

今日のアムステルダムは朝から太陽が顔を出す絶好の天気。
早速、エルミタージュ美術館にゴッホの作品展を見に行きます。ゴッホ美術館が閉館中なので、5月まで、主要な作品がここで展示されています。凄い人出でしたが、めげずにじっくりと作品鑑賞。
《ひまわり》、《黄色い家》、《カラスの群れ飛ぶ麦畑》などの傑作もいいのですが、やはり、ゴッホが家族のために描いた《アーモンドの木(花)》は魅力的な作品です。さらに、見れば見るほど、初期の傑作《じゃがいもを食べる人々》の暗色の深さに惹かれます。このパリ以前の暗い作品でゴッホが終わったとしても、きっと、ゴッホは再評価されたことでしょう。
お昼はこの美術館のレストランでネットで知り合ったお友達レイネさんと楽しいランチをいただき、時を忘れて、話に夢中になりました。色々とお世話にもなりました。レイネさん、ありがとうございます。
夜はコンセルトヘボウでハイティンクのブルックナーを鑑賞。別次元の演奏でした。別記事で感想をアップ済です。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~フェルメールの最高傑作《デルフトの眺望》

今日はアムステルダムをいったん、引き払って、デルフトに移動します。途中、デン・ハーグに寄って、フェルメールの作品を鑑賞。現在、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館は改修中のため、収蔵品はデン・ハーグ市立美術館で展示中です。日本で人気のフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》は改修費用を捻出するために、日本・米国などを巡業中で見られませんが、同じくフェルメールの《デルフトの眺望》は門外不出の作品なので、
デン・ハーグ市立美術館で見ることができます。TVや画集でいやと言うほど、見てきた《デルフトの眺望》ですが、実際に生で見てみると、まったく印象が異なりました。大きな画面にくっきりと明瞭にデルフトの街の風景が丹念に描きこまれています。実に自然に描かれた風景画ですが、誰もこのようには描けないだろうとも思います。フェルメールの強い自信がうかがい知れる感じです。本当に見惚れてしまう作品です。


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デン・ハーグでは、このフェルメールを見るだけの滞在で、すぐにデルフトに移動。ただし、デン・ハーグでのデモ行進による交通渋滞やデン・ハーグとデルフト間の鉄道工事のための代行バス運行などで大幅に遅れて、デルフトに到着。街を巡って、フェルメールの足跡を追います。そして、街の外れまで歩いて、《デルフトの眺望》が描かれたという場所からの街の眺めを見ました。


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なるほど、これは絵になる風景です。天才フェルメールの筆にかかると、この風景がさらなる進化を遂げ、素晴らしい芸術作品に昇華したこともよく分かります。風景の再構成はまるでコラージュのようです。決して、リアルな絵画ではなく、天才芸術家の頭の中で美を構築したものです。フェルメールの凄さを改めて、痛感しました。
美に感動した後は、やはり、美味しいものを食べたいですね。デルフト唯一の魚料理店でのディナーは感動的な美味しさでした。これがメインに魚料理3種です。


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デルフトの運河沿いのホテルでゆったりと休み、明日はまたアムステルダムにハイティンクのブルックナーを聴きに行きます。楽しみが続きます。


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人生の厳しい冬、壮麗な死・・・ハイティンク+RSOのブルックナー:交響曲第8番@コンセルトヘボウ 2013.4.7

一昨日聴いたのと同じプログラム、今日はマチネー公演です。今日は一昨日と違って、sarai自身の問題で第3楽章までは集中力を欠きました。一昨日の究極の演奏で、自分がふぬけになってしまったようです。それでも、第4楽章の凄まじい音楽でよみがえり、自分と演奏者が同調するようになり、一昨日同様、あるいはそれ以上の高揚感を味わいました。

今日のプログラムは一昨日と同じく以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

  ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)

言い訳になりますが、座席が一昨日よりもかなり前のほうになったため、オーケストラの響きがよくなり、逆に聴き方が甘くなり、散漫な状態で聴いてしまいました。演奏の出来は隣の配偶者によると、ずい分、よかったとの意見です。多分、そうなんでしょう。第3楽章の後半くらいから、侘しさを感じ始めましたが、本当に目が覚めたのは、第4楽章冒頭の激しく、熱い大強奏からです。本当に凄まじい第4楽章でした。めくるめく・・・というのが感じた一言です。強く熱いメッセージ、一転して、美しく、やるせない抒情、贖罪の心の痛み、天上からふりそそぐ明るい光・・・ここには、人生の冬に向かう人間の深い思いのすべてが包み込まれています。一節、一節がこころに突き刺さります。人生の心の痛みに耐えかねる自分、そして、すべてを優しく許される自分、究極の死はマーラーの甘美な死ではなく、天に昇華する壮麗な死です。素晴らしいメッセージをもらい、歓喜の涙にくれるのみです。
今日も聴衆総立ちのスタンディングオベーション・・・もう、これ以上のブルックナーは聴けないかも知れませんが、その寂しさはsaraiにはありません。このブルックナーを胸に抱きつつ、生きていける幸福感に喜びだけがあります。感謝の拍手を送るのみです。


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       ハイティンク,  

オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ラインの黄昏

今日は滞在中のデルフトからアムステルダムに遠征して、一昨日と同じく、コンセルトヘボウでハイティンクのブルックナーの交響曲第8番を聴きます。
贅沢なコンサートを連続して聴き、幸福な自分がそこにあります。コンサートの感想は既に記事をアップ済です。

コンサートの後は早速、ライン川の旅の序章の幕開けです。ライン川河口の街、ロッテルダムでライン川の支流のマース川が海に向かうのを、この目に収めます。
ロッテルダム港の遊覧船に乗ってもいいのですが、もっと見晴らしの利くユーロマストという展望塔に上ることにしました。
ユーロマストロッテルダム港近くの180mの展望塔です。


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展望エレベーターからのライン(実際は支流の新マース川)の雄大な姿を目にしました。


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その後は、ユーロマストの中間部にある展望レストランで地上100mの眺めを楽しみながらのディナーです。今日もまた、美味しい魚料理に舌鼓。オランダ料理もなかなかのものです。ディナーを楽しんでいるうちに日が傾き、展望塔からの美しい夕日に心もバラ色に染まります。


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明日はライン川の旅に出発。ライン川を遡り、ケルン、ボンに向かいます。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~圧倒的な重量感のケルン大聖堂、そして、シューマン夫妻のお墓で感動

今日は2日滞在したデルフトからデン・ハーグ、ユトレヒトを経由し、オランダ国内を出て、ドイツのライン川の街、ケルンとボンを訪れます。

ケルンの駅前に降り立ち、いきなり、目の前に聳えるケルン大聖堂の巨大で重厚な姿に圧倒されます。しかし、高い尖塔は1本しか見えません。配偶者に、やはり、こんな凄い尖塔を作ったので、財政難でもう1本が作れなかったのかなあと話すと、配偶者もそうだろうねという返事。
ところが、これが大きな間違いでした。配偶者が大聖堂内のショップで絵葉書を見て、やはり、尖塔は2本あることを発見。あわてて、外に出て、大聖堂の建物を回り込むと、本当の正面に出ました。配偶者と2人で茫然としました。これまで大聖堂は一杯見てきましたが、こんなに巨大で重量感のあるものは見たことがありません。圧倒的で凄過ぎます。こんなものをずっと見ていると、キリスト教にひれ伏し、悄然と入信してしまいそうです。


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次はボンに移動。ベートーヴェンの生家を見ましたが、建物だけで、内部は資料館になっていました。フランクフルトのゲーテの生家のように整備するといいのですが、もう、家具・調度の類はおろか、ベートーヴェンが幼少期を過ごした家の内部の様子も分っていないのでしょう。アイゼナハのバッハの生家と同様ですね。

ボンはロベルト・シューマンがサナトリウム(精神病院)で亡くなったところで、お墓があります。愛妻クララも一緒に眠っています。
このお墓参りは今回の旅でも大事なイベントです。シューマンの歌曲集《ミルテの花》の「献呈」、「クルミの木」などを聴きながらお参りしました。あらかじめ、IPODに大好きなソプラノ歌手バーバラ・ボニーのCDを入れておいたんです。彼女の清らかな歌声を聴きながら、シューマンのお墓に対面すると、感動で涙が出てきました。配偶者にも「献呈」を聴いてもらい、しばし、お墓の前に立ち尽くしていました。


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ディナーはボン郊外のライン河畔のイタリアンレストラン。予約を入れましたが、それは正解で超満員の大盛況。大人気のお店です。ライン川の眺めのよさが一番です。夜が更けたライン川の旅情はなんて、ロマンチックなんでしょう。


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明日はラインをさらに遡り、ライン川に注ぎ込んでいるモーゼル川まで足を延ばし、モーゼルワインを楽しみます。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~モーゼル川の美しい眺めと美味しいワイン

今日はボンを出て、ライン川をさらに遡り、コブレンツを経由し、そこから、モーゼル川沿いのコッヘムまで足を延ばしてみました。コブレンツでモーゼル川がライン川に合流しています。

コッヘムは小さな街ですが、平日にもかかわらず、街の中心は観光客で賑わっていました。
saraiと配偶者はその賑わいから離れ、Sesselbahnというリフトに乗って、山の上に上ってみました。小雨混じりでしたが、覆い付きのシートがあったので、問題なく、リフトを利用できました。


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しかし、リフト利用客はほとんど皆無といってもいい状況。
山の上からの眺めは絶景です。遥か下に流れるモーゼル川、近くの丘の上にある古城ライヒスブルク、コッヘムの街並み、すべてが美しい眺めです。この絶景を2人で独占しました。


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美しい眺めを楽しんだ後は、ワイン。有名なモーゼルワインをチェックします。ライヒスブルクのお城に上った帰りにワインショップに立ち寄り、試飲させてもらいました。モーゼルワインと言えば、リースリンクの白ワイン。ドライなワイン、4つ試飲して、最後はお店のご主人の薦める2010年のリースリンクをチョイス。旅のお供にするつもりです。


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明日はいよいよ、ラインの旅のメインとも言えるラインクルーズとラインの古城ホテルに宿泊です。朝早くの移動になるので、早目に休みます。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ライン川クルーズと古城ホテル

今日は朝、早起きして、コブレンツからリューデスハイムまで鉄道で移動し、そこから、K-Dラインのライン川クルーズに乗船です。
リューデスハイムから、古城を鑑賞しながらの4時間の船旅をコブレンツまで楽しみました。次々とお城が現れるので、退屈する暇もなし。カメラのシャッターを切り続けました。これは川の中洲に建つプファルツ城です。


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コブレンツに着き、まず、目に入ったのはライン川を横断するロープウェイ。これは乗らなくっちゃあね。船着き場のすぐ前がロープウェイ乗り場。ロープウェイはライン川を眼下に対岸の丘の上のエーレンブライトシュタイン城塞までの短い旅。眺めのよいこと、この上なしって感じです。モーゼル川がライン川に合流するポイントのドイチェス・エックがくっきりと見えます。


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ロープウェイで着いたエーレンブライトシュタイン城塞からの眺めもとても素晴らしい!ライン川の流れ、モーゼル川の流れが美しい景観になっています。ライン川の滔々たる流れをご覧ください。


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エーレンブライトシュタイン城塞の内部は迷路のような感じでとても複雑でどうにも手強く、その全貌を把握するには時間がかかり過ぎ、適当なところで内部探索を切り上げて、ロープウェイでドイチェス・エックの方に退散です。

ちょっと、予定よりも遅れて、コブレンツ駅から私鉄のMRBに乗って、オーバーヴェーゼルの古城ホテルに向かいます。駅からはタクシーで山の上のホテル・シェーンブルクに到着。古城の圧倒的な存在感に感動! ここに泊まれるとはね・・・。


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ホテルのスタッフの手厚い歓迎を受け、素晴らしい古城ライフのスタート。広いお部屋に付属しているバルコニーからは遥か下を流れるライン川を望めます。可愛いガーデンの散策の後はディナー。美味しいオーバーヴェーゼル産のリースリンクの白ワインを頂きながら、豪華な4コースの料理を楽しみます。旅の贅沢、極めたりという心境に達して、幸福感に浸ります。かくして、ライン川古城の夜は更けていきます。

明日はライン川をさらに遡り、マイン川との合流点の街マインツ、そして、近くの温泉地ヴィース・バーデンを巡ります。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~マインツのシャガールとヴィースバーデンの珍しい鉄道と美しい温泉

今日も不安定な天気が続きますが、すっかり暖かくなり、一気にみんな薄着になりました。
オーバーヴェーゼルの古城ホテルでの朝食はシャンパン付きです。やっぱり、これじゃないとね。何故か、朝食ルーム内は日本人3組だけで占拠してしまいました。記念にご一緒した若い2組のかたを撮影させてもらいました。みなさん、これからドイツを旅することで、楽しい旅をお祈りしましょう。


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オーバーヴェーゼルの駅からマインツ中央駅まで鉄道でライン川を遡ります。マインツでは、大聖堂とライン川を見て、いよいよ、ザンクト・シュテファン教会に向かいます。この教会にはシャガールのステンドグラスがあるんです。教会の扉を開けると、ブルーの光に彩られたステンドグラスの美しさにいきなり魅了されます。扉の前に立ちすくみます。ようやく、教会の真ん中に進み、内陣の珠玉のステンドグラスに見入ります。聖書の物語が題材になっていますが、細かい内容よりも、全体のイメージの美しさに惹かれます。1978年~1985年に制作された新しい作品で、その新しさ故に、教会空間での違和感もありますが、美術館と思って鑑賞したほうがふさわしいかもしれません。配偶者にはあまり好評ではありませんでしたが、こういう賛否両論も時代とともに変遷し、やがて、違和感なく、美に魅了される空間となっていくような気がします。saraiは単純に美しいと感じました。


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マインツも堪能し、ヴィースバーデンに立ち寄ってきましょう。ヴィースバーデンでは、天気もまあまあだったので、町はずれのネロベルク登山鉄道でネロベルク山に登ってみました。ネロベルク登山鉄道は珍しい方式のケーブルカーで、水力で動いているんです。山上の車両に水を注水し、麓の車両からは水を排出することで、動力を得て、スムーズにケーブルでつながれた2両の車両が山を上下します。まあ、水の注水と排出の時間は運行できないので、ゆったりとしたものですが、のんびりした面白い鉄道です。それにこの鉄道は1888年開業ということですから、とても歴史あるものです。


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ネロベルク山の山頂からはヴィースバーデンの街とその一帯のどこまでも続く大平原が見渡せます。眺めのよいレストランでゆっくりとランチをいただきました。

山を下り、ヴィースバーデンでのお楽しみと言えば、温泉です。カイザー・フリードリヒ温泉はユーゲントシュティール様式の美しい内装で、温水浴、サウナとすっかり、寛いだ時間を持ちました。この詳細は帰国後の詳細編でご紹介しましょう。ただし、もちろん、写真はなしですよ。

この後、バスでマインツに戻りました。明日もバーデン・バーデンで温泉を楽しみ、次はドイツを離れ、フランス・アルザス地方のストラスブールです。

そうそう、この後、深夜3時過ぎに起き出して、日本のリサイタル・チケットの購入です。秋のペライアの公演のチケット発売がこの旅の最中だったんです。ネットは場所を選びませんが時差はどうしようもなく、深夜でのネット販売になってしまいます。首尾よく、最上の席を確保できました。旅での懸案のひとつをクリア・・・しかし、寝不足。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~バーデン・バーデンの温泉とストラスブールの素晴らしき大聖堂

マインツからIC、ICE、REと電車を乗り継いで、温泉保養地のメッカ、バーデン・バーデンへ到着。ここにはフリードリヒス浴場とカラカラ浴場がありますが、水着着用のカラカラ浴場を選択。晴れたり、曇ったりの不安定な空ですが、温泉に浸かれば、関係なし。露天の大きな風呂(プール?)をとことん楽しみます。激しい水流の噴き出しやバブルなど、多彩なお楽しみに飽きることがありません。お風呂の後は、やはり、サウナ。これまた、各種のサウナを次々に楽しみ、あっという間に2時間が過ぎました。

バーデン・バーデンに半日ほど滞在しましたが、草花が美しく咲き始め、春到来の雰囲気たっぷり。ゆっくりとオース川沿いのプロムナードを散策したかったところです。


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しかし、温泉にゆっくりしたところで時間一杯です。これでドイツの旅は終了。
いよいよ、ライン川の旅も終盤にかかります。次はライン川を越えて、ちょっと、フランスに寄り道。アルザスの州都ストラスブールです。バーデン・バーデンからSNCF(フランス国鉄)のTGVでほんの30分で到着です。到着したのは夕方ですが、まだ、日は高く、早速、お目当てのノートルダム大聖堂(パリ以外にも同名の教会が多く、ややこしい)を拝見。ケルンの大聖堂で度肝を抜かれたばかりですが、これも凄い。天を突き刺すかのような巨大で繊細な美にあふれた尖塔に圧倒されます。


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内部にはいると、ステンドグラスの美しいこと、あっけにとられます。配偶者には、ほらねって言われます。もちろん、昨日見たマインツのシャガールのステンドグラスとの比較のことです。確かにこのストラスブールのステンドグラスは美しく、saraiもぐうの音も出ません。


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ストラスブールの美に酔いしれながら、夜はアルザス料理をいただきながら、アルザスワインに酔いしれました。

明日は1日、ストラスブールを楽しみ、スイスに移動します。ライン川の源流はスイスです。



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この記事へのコメント

1, プランタンさん 2013/04/13 10:48
私にとって、ストラスブルグの大聖堂は初めて目にした大聖堂でした。ゴシック様式の聖堂の天に向かって聳え立つ沢山の塔、入り口の門のカーブに沿って彫られた聖人達の細かい彫刻、圧倒されました。40年たった今でも目に浮かびます。おかげで数日後パリのノートルダム大聖堂を見た時、何の感激もありませんでした。(今ではその違いがよく分かりますが。)バーデンバーデンでは東洋人の私達は少し、異人という目で見られていたかなという気がします。(40年前ですから)saraiさん達の一時も時間を無駄にしない旅行スケジュールには何時も驚嘆です。それと年齢には関係ない瑞々しい感性!何時も楽しく読ませていただいています!大好きなルザーンはどんな報告になるのでしょう!

2, えりちゃさん 2013/04/13 18:39
ご旅行の報告、楽しく拝見。
しっかり抜かりなく計画準備されて、着々と実行して、しっかり楽しまれていますね。
私もそろそろ荷作りしなくては、う、まだ寒そうだな。
ストラスブールからコルマールに至るアルザスワイン街道を旅したことがあります、下戸にはお菓子が美味しかったです。
気をつけてご旅行を続けてください!

3, saraiさん 2013/04/14 06:20
プランタンさん、初めまして。saraiです。

40年前ですか・・・絶句! 今日も大聖堂を見ましたが、何度見ても素晴らしいですね。バーデン・バーデンではドイツ人とも文字通り、裸の付き合い。人間に国境はありません。
いつもご愛読、ありがとうございます。
残念ながら、スイスではルツェルンには行きません。ベルン、チューリッヒ、ボーデン湖、ヴィンタートゥール、バーゼルです。一度、ルツェルン音楽祭には行きたいのですが、季節がよくなくて、まだ、機会がありません。
また、コメント、お寄せ下さいね。

4, saraiさん 2013/04/14 06:31
えりちゃさん、こんばんは。saraiです。

今、ベルンのホテルです。
大きなトラブルこそ、ありませんが、危なっかしい旅を続けています。大事に至らないのは、すべて、現地のかたのご親切に寄るものです。今日も親切なお姉さんに声を掛けてもらい、迷ったベルンのホテルに案内してもらいました。オランダ、ドイツ、スイス、みなさん、とても親切で頭が下がります。
昨日、今日はこちらはとても暖かくなりましたよ。
連日、ワインが美味しく、今もモーゼルで求めたワインを飲んでいます。
ウィーンでの再会を楽しみにしています。

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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ストラスブールの絶景に感動!!

ストラスブールの朝は快晴です。昨日は風が強くて、上れなかったノートルダム大聖堂のテラスに上りましょう。ところでちょっと調べてみると、ノートルダム大聖堂という名の大聖堂はフランス全土に30以上もあるそうです。そのうち、saraiが行ったのはパリとマルセーユのみ。有名なシャルトル、アミアン、ランスあたりには、いつか行ってみたいものです。ノートルダムとは、我らが貴婦人という意味で、聖母マリアを信仰するものです。そのためでしょうか、規模の大きさもさることながら、繊細さが基調にあります。
大聖堂に着いて、テラスに上る入口のドアを恐る恐る開けると、係の方が今日はOKだとのこと。2人分10ユーロ払って、テラスへの螺旋階段を上ります。エレベーターはないとのこと。ひーひー言いながらも、何とか一気に上れました。テラスは66mの高さです。この大聖堂は本来あるべき尖塔が1本だけしかなく、片側は1階建ての建物になっています。この尖塔と片側の1階建ての建物の間が屋上テラスになっていて、展望台のようになっています。ここからの眺めはかのゲーテも絶賛しています。ストラスブールの美しい街並みや遠くアルプスの山並みまで望めます。眺めに見飽きることなく、結構、長い間、テラスに留まっていました。


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次は大聖堂の隣にあるロアン邸館に行ってみます。ここはマリー・アントワネットがルイ16世への嫁入りの道中でフランスに入って、初めての一夜を過ごしたところで、配偶者がとても興味を持っていました。大変、贅を尽くした建物で宮殿といってもよい感じです。

さて、今日の最大の楽しみの一つであるストラスブールの街を囲むイル川と運河とのクルーズ船に乗りましょう。ロアン邸館の前が船乗り場です。チケットを買おうとすると係のかたが今日は1日中、船は出ないというすげないお答えです。確かに船着き場にはクルーズ船は一隻も見当たりません。水位が高いので、船が出せないそうです。そんなー!! 楽しみにしていたのに・・・ブツブツ。仕方がないので、自分の足でイル川沿いに歩きましょう。幸い、今日は天気も素晴らしいしね。

昨日も歩いたプティット・フランスの地区にやってきました。今日はその先のクヴェール橋まで行きます。いやはや、これはラッキーでした。好天に恵まれて、絶景です。ヴォーバンの堰から眺めたクヴェール橋とその向こうの大聖堂の尖塔の美しさは例えようもありません。今回の旅で最高の美しい眺めです。ここからだけで、何十枚も写真を撮りまくりながら、景色を楽しみます。イル川の緑色の水面も美しいです。この素晴らしい景色を見られただけでも、わざわざ、ストラスブールまで足を延ばした甲斐がありました。フェルメールにこの眺めを絵にしてもらいたいと不可能な望みを思わず、抱いてしまいました。


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別の角度からももう一枚。


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さて、この旅で1日限りのフランス滞在もこのあたりで切り上げましょう。
これから、電車を乗り継ぎ、ライン川をまた遡ります。いったん、ライン川を越えて、ドイツにはいり、オッフェンブルクからICEでバーゼル、そして、バーゼルから、ちょっとライン川を離れて、ベルンに向かいます。ベルンでまた、クレーの名画と再会するためです。夕暮れの中、遠くに白く輝くアルプスを眺めながら、ICEは一路、ベルンへ。
今夜はベルンのホテルで一夜を過ごし、明日、クレーの絵画を鑑賞します。そして、チューリッヒに移動し、チューリッヒ歌劇場でオペラを鑑賞します。



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オペラ《リナルド》@チューリッヒ歌劇場 2013.4.14

素晴らしいバロック・オペラを聴き、とても満足です。チューリッヒ歌劇場のかぶりつきの中央の席で指揮者が邪魔になるほどの良い席です。視覚はともかく、音楽の響きは最高の席でした。
のっけの序曲から、あのヘンデルの美しいメロディ、一転してのダイナミックな早いパッセージに身も心もうっとり、のりのりになります。指揮のボルトンの優雅なタクトさばきも見事ですが、古楽アンサンブルの響きといったら、素晴らしい!の一言です。チューリッヒ歌劇場のオーケストラよりもずっと優秀に聴こえます。特にコンサート・ミストレスのおばさまの見事な演奏には惚れ惚れです。ヴァイオリン協奏曲もどきもあるんです。ともかく、コンチェルト・グロッソから室内楽、チェンバロ独奏まで、ヘンデルの器楽曲のほとんどのレパートリーが楽しめる、お得で嬉しいオペラがこの《リナルド》です。
歌手はリナルド役のソニア・プリーナが素晴らしいの一語。グラインドボーン音楽祭の《リナルド》公演のヴィデオで聴いたときよりも数段、上の歌唱です。力強さが増しています。リリックなところも聴かせます。存在感では、チューリッヒ歌劇場の花、マリン・ハルテリウスのアルミーダ役が突出しています。本来、敵役のアルミーダなので、ハルテリウスはアルミレーナ役を想像しますが、実際に聴いてみると、アルミーダ役にぴったりとはまっています。美しい彼女にこそ、アルミーダははまり役です。彼女が主役かと思ってしまうほどです。それに彼女がこんなにヘンデルのころころが歌えるとはビックリです。あとの歌手もみな及第点でした。特にアルガンテ役のルーベン・ドロールは声量も声の質も抜群です。アルミレーナ役のジェーン・アーチボルトもそれなりの歌唱で、有名なアリア《私を泣かせてください》は胸にジーンときました。もっとも、伴奏のオーケストラの演奏に半分以上、ジーンときたんですけどね。

今日のキャストは以下です。

  指揮:アイヴァー・ボルトン
  管弦楽:チューリヒ歌劇場“ラ・シンティラ”管弦楽団
  演出:ジェンス-ダニエル・ヘルツォーク

  リナルド:ソニア・プリーナ
  アルミーダ:マリン・ハルテリウス
  ゴッフレード:ローレンス・ザッツォ
  アルミレーナ:ジェーン・アーチボルト
  エウスタツィオ:アンナ・ゴリャチョーヴァ
  アルガンテ:ルーベン・ドロール

こんな素晴らしいバロック・オペラが聴けるのは、やはり、ヨーロッパならではです。だから、ヨーロッパ詣ではやめられません。


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テーマ : クラシック
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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ベルンと言えば、やっぱり、クレー

ライン川を遡って、スイスのバーゼルまで来ましたが、そこから、ちょっとベルンに寄り道。目的はクレーの名画たちに再会するためです。とりわけ、最高傑作とも言える《パルナッソス山へ》がお目当てです。

ベルンの朝は雲一つない青空が広がり、気温もどんどん上がります。冬の気配よ、さらばっていうところです。
駅前から12番のバスに乗ると終点がパウル・クレー・センターです。ここからは白銀に輝くアルプスの峰々がくっきりと見えます。美しい緑の草原の向こうに白い雪山・・・対比の妙です。配偶者はクレーをとるか、アルプスの眺めをとるか、究極の選択だと言います。とりえず、アルプスの眺めを写真に収め、クレーセンターにはいるっていうのがsaraiのあれもこれもの答えです。


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クレーセンターでチケットを買おうとすると、統計をとっているので、どちらから来たのか教えて欲しいと言われ、日本からだと言うと、受付の女性は少し興奮気味に何かを話し始めました。よく聞くと、ちょうどジャポニズム展をやっているそうで、是非、楽しんでねっていうことです。


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まずは《ヤウレンスキーとクレー》展です。2人は青騎士の仲間ですが、かなり、交流があったようで、作風の似た絵もあります。クレーの有名な作品はあまり展示されていませんが、それでもクレーの作品の質はどれも素晴らしいものです。ヤウレンスキーは独特な鮮やかな色彩を混ぜた大きな人間の顔の絵が印象的です。
続いて、階下での《ジャポニズムとクレー》展です。北斎、若冲、広重などの作品を完璧に理解し、それを自分の中で再構成した作品が見事の一語です。後日、特集する予定なので、ご期待くださいね。
次はまたバスで駅前まで戻って、そこからベルン市立美術館に向かいます。ここには、何と言ってもクレーの最高傑作《パルナッソス山へ》があります。単純であるようで、複雑な絵です。色彩の味わいが何とも言えず、輝くような作品です。天才にのみ、描ける作品です。それにしても、クレーの最高傑作をクレーセンターに置かないのは不便なことです。この市立美術館には、モディニアニの素晴らしい裸婦画、マルクの代表作3点(そのうち、1点は馬を後ろから買いた絵で配偶者のお気に入り)、ピカソの傑作数点、マティスの佳作3点、セザンヌ2点~、ホドラーの大作、ミロの佳作、カンディンスキー、ゴッホのオランダ時代の農婦のごつごつした絵、美しいボッティチェリなどがあり、そして、最後の展示室はキルヒナーの絵画で埋め尽くされ、壮観です。この中で、saraiの気に入ったのは、クレーは別格として、モディニアニ、ボッティチェリ、マティスあたりです。
ここまでで、もう電車の時間が迫ってきました。ちょっとだけ、市立美術館の裏のあたりのアーレ川の景色だけ楽しみました。川面の緑色が何とも美しいですね。


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ベルンに行っても、クレーを見ただけのようなものです。
ベルンからは1時間半ほどでチューリッヒに移動します。夜、チューリッヒ歌劇場でバロック・オペラ、ヘンデルの《リナルド》を見ました。古楽オーケストラの響きが抜群で、ヘンデルの管弦楽曲を気持ち良く鑑賞し、さらにおまけにオペラが付いてきたような感覚でした。詳細記事は後日、アップします。

明日はラインの旅の総仕上げ、ライン川が流れ込むボーデン湖をクルーズし、最後にシャフハウゼンに行き、ラインの滝を見る予定です。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ラインの滝の驚異に原初的な感動!

ライン川を遡っての旅も遂に、その源流のようなボーデン湖を訪れます。実際にはボーデン湖にライン川の上流が流れ込み、その源はアルプスまで達するようですが、何となく、それは感性に合わないので、sarai的には、ライン川の源流はボーデン湖ということで、旅のしめくくりをしたいと勝手に思っています。
ボーデン湖はドイツ、オーストリア、スイスの国境に位置する湖で、今回はスイスのチューリッヒから、電車に乗って、1時間半ほどでドイツの国境を越えて、コンスタンツの街に到着です。ここから、クルーズ船に乗って、花の島、マイナウ島に向かいます。この数日で一気に春になったので、軽装でも寒くありません。さすがに船のオープンな甲板は航行中は風が吹き抜けるので、次々に乗客が下のデッキの船室に退却しますが、saraiと配偶者は平気で(やせ我慢)、耐え抜きました。湖の向こう端の方には、雄大なアルプスが雪を抱いて、美しい姿を見せています。これもまた、絶景です。


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メールブルグを経由して、1時間ほどの船旅でマイナウ島に到着。島はお城を中心に公園のように整備されています。春の花々が綺麗に咲き乱れる中を気持のよい散策です。メーヴェンピックのアイスクリームを売っていたので、買い求めましたが、思わず、スイスフランを出そうとして、間違いに気が付きました。こういう国境近くは通貨がややこしいですね。スイスもユーロに統一してくれれば、観光は楽です。
さて、また、船でコンスタンツに戻ります。コンスタンツの船着き場に近くなると、ライン川の河口が見えてきました。ボーデン湖の豊富な水がここからライン川に流れ込んでいます。sarai的にライン川の始まりです。ロッテルダムの河口から遡って、遂にここまでやってきました。今日は逆にボーデン湖からライン川を下流に進みます。まず、シャフハウゼンに向かいますが、ここで急に心変わりして、シュタイン・アム・ラインの街で途中下車。これが大当たり、ライン川にかかる橋の周りの街の美しいこと、素晴らしいです。街の名前の“ラインの石(宝石)”というのも肯ける美しさです。美しいこの街を見ずして、ライン川は語れません。


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コンスタンツからはクロイツリンゲンで乗り換えて、30分ほどでした。なお、この街はライン川のドイツ領側に張り出していますが、れっきとしたスイスの街で、有効な通貨はスイスフランです。
さらにシュタイン・アム・ラインの街から30分ほどでシャフハウゼンです。ここでも急いでライン川を見て、鉄道でラインの滝に向かいます。本当は鉄道で2つ目の駅ですが、慌てて、1つ目の駅で間違えて下車。この駅名にもRheinfallの名前が付いていたからです。しかし、結果的にこれが大正解。ここからライン川沿いの道を徒歩で歩きましたが、その散策路の美しいこと、とっても気持ちのよい散策になりました。


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30分近く歩くと、ラインの滝に到着です。いったん、滝の手前にかかる橋を渡って、丘の上のラオフェン城に上ります。そこから石段を下りながら、ラインの滝に近づきます。落差はそれほどでもありませんが、巨大な水の奔流が目の前を通り過ぎ、その自然の驚異に魂が震撼します。川辺に滝見台のようなものが張り出していて、そこから、まともに自分にめがけて、ラインの豊富な水が迫ってくる様は思わず、自然の迫力にひれ伏しそうになりますが、それではいかんと虚勢を張り、この圧力に立ち向かおうと両手を挙げて、雄叫びを上げます。


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自然と人間、人類の創生以来、自然との闘いに挑んできた闘争心がsaraiの原初的な本能を目覚めさせ、新たな自分を発見しました。
配偶者も興奮し、このラインの滝こそ、ラインの源流に相応しいと無茶なことを言いだしました。それもいいでしょう。saraiと配偶者のライン川の旅は、このラインの滝で終焉を迎えます。ライン川旅をしめくくるのに最高の場所に到達しました。

明日はヴィンタートゥールの美術館を訪れ、再度、バーゼルのライン川を見て、ライン川の見納めです。また、ライン川の渡しに乗ってみましょうか。バーゼルでは、もちろん、sarai最愛の絵画、オスカー・ココシュカの最高傑作《風の花嫁》と対峙します。夜はバーゼル歌劇場でモーツァルトのオペラを見て、スイスの旅も完了です。その後はいつものオーストリア編です。友人達との再会も嬉しい旅になりそうです。



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清新な演奏!オペラ《イドメネオ》@バーゼル歌劇場(シアター・バーゼル) 2013.4.16

今日はバーゼル歌劇場。もうすぐ、初来日するオペラハウスです。シアター・バーゼルという新しいホールを拠点にしています。
オーケストラは若くて綺麗な女性が多いのにびっくり。どこにもいる日本人あるいは東洋人はまったくいません。このオーケストラもピリオド楽器でノン・ヴィブラートのピリオド奏法のバロックオーケストラです。スイスには、バロックオーケストラが多いのかな?
このオーケストラの演奏は生硬とも言えますが、むしろ、清新と表現するのがふさわしいかも知れません。ティンパニのお兄さんのノリノリの演奏が素晴らしい。コンサート・ミストレスのお姉さんは若くて綺麗ですが、まとめ役として、演奏前のチューニングは各パートを周って、自分のヴァイオリンの音程に合わせさせていたのが印象的です。演奏中にも常に笑みを浮かべて、音楽を楽しんでいる様子がほほえましい感じでした。
歌手はアンサンブルオペラのように、誰かが突出するわけでなく、バランスがよく、とても聴き映えがします。イドメネオ役のテノール、スティーヴ・ダヴィスリムはなかなかの美声。モーツァルトにはぴったりです。イダマンテ役はメゾ・ソプラノだったのでびっくり。このイダマンテ役のソレン・ラヴァナント-リンケも綺麗な声で熱演です。一番、気にいったのは、イリア役のソプラノ、ローレンス・ギヨーです。若くて、容姿も美しく、声も尻上がりに透明さを増し、今後、期待できるソプラノです。パミーナとか、モーツァルトのソプラノの役はどれでも、よさそうな感じです。一番の収穫でした。今後、saraiの贔屓にしたいな!
エレクトラ役のシモーネ・シュナイダーはベテランのようですが、難しい役を熱演して、声量もあり、力のこもった歌唱はなかなかでした。

今日のキャストは以下です。

  指揮:アンドレア・マルコン
  管弦楽:ラ・チェトラ・バロックオーケストラ・バーゼル
  演出:デイヴィッド・ベッシュ

  イドメネオ:スティーヴ・ダヴィスリム
  イダマンテ:ソレン・ラヴァナント-リンケ
  エレクトラ:シモーネ・シュナイダー
  イリア:ローレンス・ギヨー
  アルバーチェ:カール-ハインツ・ブラント
  ラ・ヴォーチェ:アレクセイビルクス

1幕目はぼーっとして聴いていましたが、2幕目のアリアの連続はどれも素晴らしく、聴き惚れました。第3幕冒頭のイリアのアリア《そよ風に私の愛の告白を運んで》はローレンス・ギヨーのピュアーな歌声に心が洗われる思い・・・素晴らしい歌唱です。終幕の大合唱も素晴らしい迫力で、モーツァルトのオペラを堪能した今宵でした。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~バーゼル市立美術館の至宝:ココシュカ《風の花嫁》は最高の名画!

今朝はまず、チューリッヒ近郊のヴィンタートゥールのオスカー・ラインハルト美術館で絵画鑑賞。ほとんどがスイス絵画で、アンカー、ホドラーあたりが見もので、フリードリッヒもなかなか素晴らしいですが、全体として、期待には程遠い内容で残念です。レマーホルツの分館のほうが、よかったのではないかと後悔しています。

次はチューリッヒからバーゼルに移動します。インターシティ(IC)で1時間です。
まずはバーゼル市立美術館に駆けつけます。とるものもとりあえず、ココシュカ《風の花嫁》に再会します。以前と展示場所が変わっていて、ちょっと迷いましたが、美術館のスタッフのかたから場所を教えてもらい、急行します。
《風の花嫁》に対峙し、感動します。saraiにとって、世界最高の名画です。深い青を基調にアルプスの風景を背景に、ココシュカ自身の内面を見つめるか如くの黙想、そして、彼にそっと寄り添う美しいアルマは目を閉じています。この絵が描かれたときには、アルマ・マーラーは既にココシュカのもとを去り、この絵に登場するアルマはココシュカの忘れがたい思いが想像した産物でしか、ありません。でも、それだけに、この絵画は深い感情に覆われて、愛の挫折、悲しみ、捨てがたい慕情、すべてがないまぜになって、saraiの心を強く打ちます。時の経つのを忘れて、《風の花嫁》に見入ってしまいました。


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この1枚を見るだけでも、何度も再訪したい美術館です。ナチスに退廃芸術とみなされ、処分されかねないところを、バーゼル市民が救った絵画です。本当にバーゼル市民には感謝したいし、尊敬の念も禁じ得ません。この絵は、ココシュカの熱い思いを示すかのように、非常に絵具が厚塗りです。しかもとても大きな絵画です。したがって、この絵を持ち出すのは不可能で、いわば、門外不出です。この絵を鑑賞するためには、バーゼルを訪れる必要があります。そして、その価値は十分あり、訪れる人は必ず、報われます。
バーゼル市立美術館には、この《風の花嫁》以外にも、ナチスの退廃芸術を救い出した名画の数々があり、こんな見応えのある美術館はそうはありません。クレー、ミロなど、挙げたら、きりがありません。とりわけ、ホルバインのコレクションは充実し、《死せるキリスト》の迫力、そして、ベックリンのコレクション中、《死の島》は白眉です。ピカソのコレクションも素晴らしいですが、ちょうど、ピカソ展も開催中で、名画の数々も見られました。この美術館にいると、時を忘れてしまい、夜のオペラに備えるお昼寝は無理になってしまいました。しかし、それも後悔はありません。最後にもういちど、じっくりと《風の花嫁》を鑑賞し直し、後ろ髪を引かれる思いで美術館を後にしました。
この美術館は特集記事をアップする予定なので、ご期待くださいね。

その後、ライン川の旅の付録で、バーゼルの立派で美しいライン川を見て、本当にライン川に別れを告げました。


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夜はバーゼル歌劇場でモーツァルトのオペラ《イドメネオ》を聴き、大変、堪能しました。その詳細は別記事でアップ済です。

明日はウィーンに移動し、音楽三昧の日々が続きます。



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見事な演出と音楽!オペラ:ベルリオーズ《ベアトリスとベネディクト》@アン・デア・ウィーン劇場 2013.4.17

今日からはウィーンです。まずはマレーネお姉さま(マレーネ・エルンマン)に惹かれて、アン・デア・ウィーン劇場でベルリオーズのオペラ《ベアトリスとベネディクト》です。オペラとしては、結構珍しい演目で、まだ、DVDも出ていない作品です。対訳付きのCDで予習して、臨みました。
今夜はアン・デア・ウィーン劇場の新演出の初日、プレミエ公演です。2列目のど真ん中という最高の席で見ることができました。

演出はアン・デア・ウィーン劇場らしく、新しいスタイルの演出ですが、決して、奇をてらっただけのものではなく、ベルリオーズのロマン主義の音楽を際立たせるための演出の工夫が随所にみられ、大変、質の高いものでした。例えば、第1幕終盤の夜想曲の美しい2重唱では、ソプラノを舞台前方に立たせ、メゾソプラノを対角の後方に立たせ、ソプラノの声を前面に出して、美しいハーモニーの響きを醸し出していました。第2幕目の冒頭の楽長ソマローネのアリアの終盤で、彼が酔っぱらってしまって、ちゃんと歌えなくなるシーンでは、ソマローネを椅子の上に立たせて、バランスをくずしそうになる、危なっかしさで、このシーンを表現し、自然な感じに見せていました。
舞台の作りも凝っていて、舞台全体がオペラ劇場の観客席を模したスタイルになっています。これは以前見た《こうもり》でも、同様だったので、その舞台を流用したのでしょう。楽長ソマローネが指揮する場面では、この舞台がうまく活かされていました。ちょうど、オーケストラ・ピットをはさんで、舞台上の観客席と実際の観客席が向かい合わせになるので、舞台上から楽長ソマローネがこの場面に限り、ドイツ語で指揮者のフセインに話しかけるというオペレッタ仕立ての展開になり、聴衆もどっと沸いていました。ちなみに公演自体は原語のフランス語でした。言わずもがなですが、このオペラは原作がシェークスピアの《恋の空騒ぎ》で、ベルリオーズ自身がオペラ用に翻案したもので、その際に英語からフランス語に変えられています。
舞台は回り舞台になっていて、中央に映像を表示する大きなパネルが上下するようになっていて、舞台を2分するようになっていて、実に凝った映像が流れます。おしゃれな演出です。

衣装は20世紀初頭といった感じのちょっと古めいたレトロな感じで、これもなかなかお洒落です。大勢の紳士、淑女が登場する場面は大変、華やかなもので、オペラを見る楽しみも倍化します。

さて、肝心の音楽ですが、これが素晴らしい。序曲の冒頭は演奏が固い感じも受けましたが、これもウィーン放送交響楽団のかっちりした演奏とも言えます。オーケストラは大変引き締まった演奏ですが、フランス音楽の、それもロマン派の音楽を十分に満喫させてくれるものです。このオーケストラはドゥ・ビリーが音楽監督の時代から、フランス音楽も得意にしていましたからね。とはいえ、やはり、ウィーンのオーケストラ、ウィーン風の音楽に聴こえる箇所も多く、それはそれで、大変、好もしい感じです。この土台のしっかりした管弦楽に乗って、粒揃いの歌手たちが素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。あっと、その前に、このオペラはフランス語のセリフの場面が多いのですが、そのシーンでの演技のうまさは特筆するものがあります。大筋、ラブコメディみたいなものですから、オペレッタを感じさせますが、節度のある範囲内での演技で、上品でもあります。
歌についてですが、やはり、タイトルロールのベアトリスとベネディクト役の2人は抜群の出来です。期待のマレーネお姉さまは、演技力、容姿が素晴らしく、舞台の中心であり続けます。歌唱はメゾソプラノとは言え、高音の伸びが素晴らしく、ピュアーな響きがホールが広がります。第2幕のアリアでのリリックな歌唱もアリア終盤のダイナミックな歌唱も胸にじんじん来ます。一方、ベネディクト役のベルナルド・リヒターも張りのある声で素晴らしい歌唱。
(写真はプログラムから拝借)


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しかしながら、このオペラで最高に素晴らしかったのは、第1幕終盤の女声重唱(エロー、ユルシュール)の夜想曲《静けき清らかに澄んだ夜よ》と、それをさらに上回った第2幕前半での女声3重唱(ベアトリス、エロー、ユルシュール)の《私は、心が愛に満たされて》です。夢見るような美しい歌唱に心がとろけてしまいそうです。エロー役のクリスティアーネ・カルクの美しいソプラノ、ユルシュール役のアン-べス・ソルヴァンクのメゾソプラノの美しいハーモニー、そして、マレーネお姉さまのメゾソプラノならではの美しい高音、これらが調和して、ベルリオーズが到達したロマン派の神髄を表現しきってくれました。幻想交響曲だけがベルリオーズではなかったことに、いまさらながら、気づかされました。
そうそう、合唱はアルノルト・シェーンベルク合唱団ですから、実力通りの素晴らしい響きを聴かせてくれました。

今日のキャストは以下です。

  指揮:レオ・フセイン
  管弦楽:ウィーン放送交響楽団
  合唱:アルノルド・シェーンベルク合唱団
  演出:カスパー・ホルテン

  ベアトリス:マレーネ・エルンマン
  ベネディクト:ベルナルド・リヒター
  エロー:クリスティアーネ・カルク
  ユルシュール:アン-べス・ソルヴァンク
  ドン・ペドロ:マルティン・シュネル
  楽長ソマローネ:ミクローシュ・セバスティアン
  レオナート:トーマス・エンゲル


素晴らしいプロダクションの初日が聴けて、改めて、ウィーンの音楽文化のレベルの高さに舌を巻きました。うっとりとした感動・・・それがベルリオーズのロマン派の音楽でした。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ライン川の旅は完了・・・我が街ウィーンへ

今日でスイスともお別れ。宿泊したバーゼルから、半額でゲットしたチケットでチューリッヒ中央駅へ。そこでチューリッヒ空港行のICNに乗りかえて、空港着。
チューリッヒ空港からは、オーストリアのLCCのニキ航空でウィーンに飛びます。ニキ航空はエア・ベルリン傘下で、空港での手続きもすべて、エア・ベルリンで行います。荷物の重量オーバーもなく、ノートラブル。実に快適な空の旅、1時間でウィーンのシュベヒャート空港に到着。途中、快晴の空の下、アルプスが鮮やかに見えました。


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Sバーンとトラムを乗り継ぎ、定宿に到着。実に1年ぶりのウィーンです。正直、慣れ親しんだウィーンに着くと、ほっとします。
ホテルで1時間ほど、仮眠して、早速、音楽三昧を開始。
まず、アン・デア・ウィーン劇場でのオペラ。ベルリオーズのオペラ《ベアトリスとベネディクト》です。本日、新演出のプレミエで、着飾った男女が集結。とても充実した内容の公演で、マレーネお姉さまも実力全開。聴き応えありました。詳細は別記事でアップ済です。

明日はフォルクスオーパーで定番の《こうもり》を聴きます。本来なら、ネトレプコの《エウゲニ・オネーギン》を聴く筈でしたが、チケット売り切れで高額販売になったので断念しました。正直、どうして、この公演が売り切れになるか、理解できません。ネトレプコ人気は不動なのかな?



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極め付き!オペレッタ《こうもり》@ウィーン・フォルクスオーパー 2013.4.18

ウィーンと言えば、オペレッタ。ほぼ、1年ぶりに聴くオペレッタです。昨年は同じフォルクスオーパーでネメットさんの記念公演でカールマンの《チャルダッシュの女王》を聴きました。今回はヨハン・シュトラウスのオペレッタ《こうもり》です。この2つは所謂、3大オペレッタですね。3大オペレッタのもうひとつの作品、レハールの《メリー・ウィドウ》は6月のウィーン訪問時に聴く予定にしています。

さて、フォルクスオーパーで《こうもり》を聴くのは、一昨年の4月以来です。そのときの感想はここに書きました。今回はそのときとほぼ同じ演出ですが、細部は磨き上げられている印象です。
今回の公演は音楽が素晴らしく、特に歌手が粒揃いでした。不満の残る歌手は一人もいないのはフォルクスオーパーでは、初めてのことかもしれません。したがって、今回の《こうもり》はsaraiの聴いたなかで、最高のものでした。最初から最後まで、大変、満足して聴けました。のりのりで体が揺れるほどです。と言っても、周りに迷惑はかけていませんよ。今日はロジェバルコンで聴きましたからね。

今日のキャストは以下です。

  指揮:ニコラス・ミルトン
  管弦楽:ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団
  演出:ハインツ・ツェドニック

  アイゼンシュタイン:セバスティアン・ラインターラー
  ロザリンデ:クリスティーネ・カイザー
  アデーレ:ベアーテ・リッター
  イーダ:ヨハンナ・アロウアス
  ファルケ:ジュリアン・オーリシャウゼン
  オルロフスキー:アネリー・ペーボ
  アルフレード:メーアザッド・モンタゼッリ
  フランク:クルト・シュライブマイヤー
  フロッシュ:ゲルハルト・エルンスト
  ブリント:ジェフリー・トレガンツァ

一昨年の歌手陣で今日も出演したのは、フロッシュ役のエルンストとブリント役のトレガンツァの2人のみで後は一新されたメンバーです。ラインターラーとシュライブマイヤーはお馴染みの歌手で演技も歌も安心して聴けることが予想できました。また、オルロフスキー役のアネリー・ペーボは昨年の《チャルダッシュの女王》でシルヴァ役を好演しましたが、オルロフスキーとは意外な役どころです。ロザリンデ役のクリスティーネ・カイザーとアデーレ役のベアーテ・リッターは初めて聴くので、少し心配です。

これらの事前予想・心配をすべて払拭する歌手陣の素晴らしい出来でした。ラインターラーとシュライブマイヤーは問題なしの素晴らしい出来だし、フロッシュ役のエルンストは前回以上のおとぼけぶりで笑わされます。それに彼の歌声も聴けたしね。そうそう、歌声と言えば、この演出では、イーダの歌声も聴けます。イーダはずっこけた踊りも披露するし、大活躍です。目立たないセリフだけの役の演出がほとんどなのに、この演出では結構重要な役どころです。
最高だったのは、アデーレ役のベアーテ・リッターです。素晴らしいスープレットです。今までは、アデーレ役はスープレットでは物足りない感じもありましたが、彼女の場合は違います。高域の澄み切った声の魅力に参ってしまいました。第1幕冒頭のアリアから惹き込まれましたが、とりわけ、第3幕のアリアの素晴らしさには、うっとりと聴き惚れ、感動させも覚えました。このアリアはとても難しいと思いますが、彼女は楽々と余裕を持った歌唱でした。オペレッタのもならず、将来が実に楽しみなソプラノです。モーツァルトあたりも聴いてみたいと思いました。
ロザリンデ役のクリスティーネ・カイザーもとても綺麗な響きのソプラノで、素晴らしいロザリンデでした。今まで、ロザリンデとアデーレの両方に満足できたことはありませんでしたが、今回はこの2人が好調な上にベテランの男声陣がしっかりと支えましたから、音楽的に最高のものになりました。
演技に関してはフォルクスオーパーですから、何も注文することはない出来栄えです。

こんなに音楽が充実したものが聴けるとは思いませんでした。フォルクスオーパーはお芝居だけでなく、音楽についても再認識させられました。

明日もフォルクスオーパーですが、一転して、バレエ《真夏の夜の夢》を見ます。これも楽しみです。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ウィーン・・・落ち着きの1日、そして、ご機嫌です!

昨日までは、ずっと移動続きの旅だったので、saraiも配偶者もいささか、お疲れ気味でした。天候も後半はともかく、前半は不安定でしたしね。

今日はウィーンでゆったりです。ぎりぎりの時間まで朝寝をして、ホテルの朝食ルームにしんがりで駆け込みました。

まずは近くのスーパーにお買いもの。何でも揃うスーパーで楽しみ半分のお買いものです。
当座、必要なものを買った後は街に繰り出します。

シュテファンズ・プラッツまで地下鉄で出て、そのあたりをブラブラ。意外に今まで歩いていない通りがあることにびっくりです。それにしても、ウィーンは凄い人出です。それに異常に気温が上がり、Tシャツ1枚でも暑いくらい。好天なのは結構ですけどね。

最後にお気に入りのカフェ・ハイナーでランチとケーキをいただき、ご機嫌のsaraiです。


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ホテルで仮眠して、フォルクスオーパーに出かけ、最高のオペレッタ《こうもり》を聴いて、ますます、ご機嫌です。ウィーンの滞在は今回も楽しいものになりそうです。



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バレエ《真夏の夜の夢》@ウィーン・フォルクスオーパー 2013.4.19

ウィーンで見るのも定番になりつつあるバレエ。今回はウィーン国立歌劇場ではなく、フォルクスオーパーで見ます。いずれにせよ、ウィーン国立バレエです。ただし、オーケストラがフォルクスオーパー管弦楽団になるのがちょっと残念なところです。

今日のキャストは以下です。

  指揮:ローレンツ・C.アイヒナー
  管弦楽:ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団
  演出・振付:ヨルマ・エロ

  オベロン:ロマン・ラツィク
  ティターニア:オルガ・エシナ
  パック:ミハイル・ソスノヴィッチ
  テセウス:ライアン・ブート
  ヒッポリタ:アレーナ・クロチコヴァ
  ハーミア:プリスカ・ツァイゼル
  ライサンダー:グライク・マシューズ
  ヘレナ:ルイ・タマイ(玉井るい)
  ディミトリウス:ドゥミトル・タラン
  イージウス:アンドレイ・カイダノフスキー

音楽はメンデルスゾーンの劇音楽《真夏の夜の夢》と序曲ですが、バレエ全体の長さに不足するので、第1幕に同じくメンデルスゾーンの《ライ・ブラス序曲》と交響曲第4番《イタリア》、第2幕に《ヴァイオリン協奏曲ホ短調》の第2~3楽章が追加されています。
ほかの振付でも、やはり、同様に長さを補うためにメンデルスゾーンの序曲などが付加されていますが、曲は振付によって、異なります。

あらすじは、ほぼシェークスピアの原作通りです。複雑なストーリー展開ですが、結局は他愛無いロマンチックコメディーです。それを芸術に昇華させたのは天才シェークスピアの類まれなる筆の力です。

このエロ振付では、特にパックの役割が大きく、狂言回しを飛び越して、まさに主役です。それを踊ったミハイルの素晴らしさには、脱帽です。上半身裸で、身のこなしがおどけているようで、実に美しく、舞台を端から端まで駆け巡ります。場面転換で幕が下りると、必ず、幕の前に立ち、奇妙な動作で魅了します。そして、その彼の周りには、決まって、電飾で光っている小妖精(子供)たちが取り囲みます。これは原作にはありませんね。ともかく、仕草、顔の表情、ステップ、ジャンプ、すべてが見事でパーフェクトなダンスでした。

次いで、男女の妖精たちの群舞も美しいものでした。特に第1幕、《ライ・ブラス序曲》と交響曲第4番《イタリア》の第2~4楽章までは、舞台があまりピリッとした感じがありませんでしたが、《真夏の夜の夢》序曲が始まると、見事な群舞で実に華やかなシーンが展開されます。これこそ、バレエの醍醐味って感じです。第2幕の結婚行進曲のシーンでの群舞も見事でした。

さて、このバレエでは、ティターニアの踊りも楽しみなところ。今日はオルガ・エシナが踊ります。長身の彼女はスタイル抜群で、美人。立っているだけでも、絵になりますが、ステップ、ターン、すべてが美しく、群舞の間にはいっても、ひときわ、目立ちます。妖精の女王の貫禄も感じられますが、妖精の可愛らしさという面では、イリーナ・ツィンバルに軍配があがるそうです。はっぱさんのお話では、イリーナのティターニアは可愛らしく、妖艶だったそうですから、それも見てみたいものです。まあ、大人の女性の美しさを十分見せてくれたオルガにも満足でした。

ヘレナを踊った日本人バレリーナの玉井るいさんはコケティッシュな仕草と切れのよい踊りで、ヘレナ役を役割以上に魅力的に見せていました。今後の検討を祈りましょう。
ハーミア役のプリスカ・ツァイゼルは、まだ17歳だそうで、踊りもまだ未完成な部分が見られましたが、容姿の美しさは抜群です。彼女も今後が楽しみですね。

シェークスピアの名作をベースに楽しく、美しいバレエに堪能した一夜でした。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ウィーンのカフェのランチ・・・カフェ・ハヴェルカ

今日もウィーンでゆったりです。またまた、ホテルの朝食ルームにしんがりで駆け込みました。

今日は昨日の好天が一転して、小雨模様。たいした雨ではないので、傘はささず、ウィンドブレーカーのフードをかぶって、街を散策。アム・ホーフ広場でモーツァルトがわずか6歳でウィーンデビューを飾ったという宮殿を見ました。

今回のウィーンのテーマはカフェでランチ。昨日はカフェ・ハイナーでしたが、今日はグラーベン通りから、ちょっと路地にはいったところにあるカフェ・ハヴェルカです。チューリッヒのレストランで隣り合わせたウィーンっ子に強く推薦されたお店です。
お店にはいると、お昼でも暗い店内はまるで貸切パーティーでもやっているのかと思うほどの混雑ぶりで、帰ろうかと思っていると、配偶者がお店の“おっさん”みたいなスタッフとアイコンタクトして、手招きされました。どこか、テーブルに案内してくれるようです。行ってみると、そこはちょうどお客さんが席を立つところで、その席を割り当ててくれたようです。ランチはあるかと訊くと、ランチはないけど、牛肉とパスタの定食のようなものがあるというので、ちょっとメニューを見せて欲しいと言うとメニューはないということ。仕方ないので、その牛肉プレートを2人前注文。それなりのランチになりました。最後にメランジェとアインシュペナーをいただき、美味しいコーヒーを味わいました。このカフェはともかくお店が狭く、その狭い空間に客がすし詰めなので、大変に騒がしいです。普通は外のオープンテラスの席につけばいいのかもしれませんが、今日は生憎の雨で建物内のテーブルだけでした。晴れた日はまた印象が異なるかもしれません。
ところで、このカフェ・ハヴェルカは昔、よく利用していたホテル・グラーベンの斜め前にありました。その頃は、このカフェの存在には気がつきませんでした。
これがそのほの暗い店内の様子と店を取り仕切っている“おっさん”スタッフです。


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今夜はまた、フォルクスオーパーでしたが、バレエ公演を見ました。《真夏の夜の夢》です。目で楽しむバレエもよいものです。音楽は名曲揃いだしね。このバレエについては別途、記事をアップします。
バレエの後は、ちょうど、そのバレエに来ていたお友達のはっぱさんとカフェで食事しながら、1年ぶりの楽しいおしゃべり。音楽を中心に話は暴走しました! 次は6月の再会を楽しみにしましょう。

明日はウィーン国立歌劇場でガランチャとアラーニャの《ウェルテル》です。ガランチャの熱唱が楽しみです。演技も凄そうです。



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ガランチャ、アラーニャ絶唱!!オペラ《ウェルテル》@ウィーン国立歌劇場 2013.4.20

オペラは人生そのものです。人生の縮図でも何でもなく、人生のすべてがあります。愛と死、それ以上、何があるというでしょう。ゲーテが芸術として昇華させた《若きウェルテルの悩み》。saraiも思春期に読んで、やるせなく、心が震えたことを、老境の今、思い出しました。マスネは実に見事に原作から、その心情をくみ取って、音楽という別の形の芸術に移し替えることに成功しました。
今日のオペラは、シャルロッテを歌ったガランチャ、ウェルテルを歌ったアラーニャ、そして、ドゥ・ビリー指揮のウィーン国立歌劇場管弦楽団の3者のテクニックを超えた熱い思いが結実した結果、とても言葉では言い表しようのない感動がそこにありました。今年、最高のオペラになりそうだし、一生、忘れられないオペラになりそうです。

ちなみにこの《ウェルテル》は昨年もこのウィーン国立歌劇場でカサロヴァ、テジエ(バリトン版でした)で聴きました。そのときの記事はここです。

今日のキャストは以下です。

  指揮:ベルラント・ドゥ・ビリー
  管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
  演出・振付:アンドレイ・セルバン

  ウェルテル:ロベルト・アラーニャ
  アルベール:ター=ヨーン・ヤン
  大法官:アンドレアス・ヘルル
  シャルロッテ:エリーナ・ガランチャ
  ソフィー:ダニエラ・ファリー
  シュミット:トーマス・エーベンシュタイン
  ヨハン:ハンス・ペーター・カンマラー

冒頭の序曲でオーケストラが少し不揃いであれっと思いましたが、さすがにすぐに修正して、あとはオーケストラは素晴らしい響きで、《ウェルテル》のリリックな心情を余すところなく表現していました。やはり、ここのオーケストラは別次元の響きを出します。弦楽器の独奏や少人数での演奏も多いのですが、実に見事な演奏です。いい意味でオーケストラ奏者とは信じられません。マスネの抒情的な音楽が2倍も3倍も美しく響きます。

ガランチャは何て素晴らしいんでしょう。昨年聴いたカサロヴァも素晴らしかったのですが、美しい声の響きだけでなく、迫真の演技、恐ろしいほどです。後ろによろけるシーンなどは怪我をするんじゃないかというくらい思い切った動きです。そして、全編、顔の表情だけでも、緊張感を与えられます。そして、何と美しい! こんなに美しいシャルロッテならば、ウェルテルならずとも、底知れない深い深い恋に落ちてしまうでしょう。後半の第3幕、第4幕では、涙なしに聴けません。昨年聴いたオクタヴィアンも素晴らしいですが、シャルロッテは彼女のために書かれた音楽に聴こえます。今、思い出しても、その素晴らしさにため息が出ます。ヴィデオで聴いた彼女のシャルロッテよりも、一段と熟成していると感じました。

アラーニャ・・・こんな素晴らしい彼の歌唱はいまだかって、聴いた覚えがありません。声もよく出ていましたし、何と言っても、ウェルテルの純粋な愛を貫く青年の思いには、魂を揺すぶられます。やはり、彼は傑出したテノールです。

もう、これ以上、書く必要はないでしょう。オペラ好きなら、誰しも感涙してしまいます。ウィーンでは、こういうものが聴けるから、ウィーン詣ではやめられなくなるんです。

4月のウィーンでの音楽鑑賞も残り一つ。楽友協会でのウィーン・フィルのコンサートだけになってしまいました。


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この記事へのコメント

1, Steppkeさん 2013/05/03 17:21
sarai さん、こんにちは。Steppke です。

オフ会では、1年振りにお会いできて、愉快でした。
(時間が短かったので、1ヶ月ちょっとでまたお会いできるのが楽しみです)

もうご存知だとは思いますが、Garanča は、27日(と30日も)の公演をキャンセルしました。
27日は、かぶりつきだったのに..(涙)
前日夜にチケットが急に数十枚も出て来たので怪しんでいたところ、当日昼過ぎにネットで配役表を見たら名前が変わっていました。朝は大丈夫でしたが、夜のうちに内部情報が洩れていたのでょうね。

2, Steppkeさん 2013/05/03 17:24
(続き)
しかも、代役はよりによって Kasarova ..
自分のチケットは売って Theater an der Wien にでも行こうかと考えましたが、24日の Alagna が良かったので、一応行くことにはしました。
開演前の入口付近には売っている人が大勢おり、ダフ屋も売れずにあせってましたね。席は、一番前なのであまり分かりませんが、ポツポツ空いていたみたいです。

残念ながら、Alagna の歌には涙がありませんでした。声は 24日より出ていたようですが、歌ではなく声を聞かせているといった感じです。まあ、こちらが醒めていたからかも知れませんが..

3, Steppkeさん 2013/05/03 17:25
(続き)
Kasarova は、歌も演技もやはり比べものになりませんね。急な代役(プログラムの配役表も印刷が間に合わず、紙が挟んでありました)で、昨年演じているとは言え、きちんとは覚えていないでしょう(結構抜けがありました)し、Alagna とも初めてなので、仕方はないですが。
それより、終演後、カーテンコールで最初に出て来た時から異様にはしゃいでいたのが気色悪かった。Garanča は、一緒の Alagna も、死のシーンの直後で表情が固く、徐々にほぐれていく感じなのに。もう少し役に入ってくれないと、しらけてしまいます。

まあ、1度だけでも聴けて、良かったと思わねばなりません。
もともとの予定では、27日に行って 30日を聴いてから帰ることにしていたので、あぶないところでした。

4, saraiさん 2013/05/04 02:00
Steppkeさん、こんばんは。
無事に帰国されたようでなによりです。

ガランチャの公演キャンセル、かなり、がっかりされていると思っていましたが、予想以上のようですね。言葉もありません。ガランチャの代役は誰にも務まらないでしょう。

6月のオクタヴィアンを楽しみにしましょう。ドレスデンでの再会、楽しみにしています。オペレッタ劇場へのご案内もよろしくお願いします。

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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~ウィーンの聖シュテファン大聖堂の不思議

今日もウィーンの休日です。

今日は曇り空ですが、雨は大丈夫です。聖シュテファン大聖堂の北の界隈を散策。ウィーンにも何故か、グーテンベルクの記念像があります。今回の旅では、マインツ、ストラスブールに続き、またまた、グーテンベルク。彼も謎の人物です。印刷技術を秘密にしていたため、彼の業績の詳しいことは分からないようです。
そのグーテンベルク記念像から続く2本の通り、ベッカー通りとゾンネンフェルス通りを歩きましたが、見かける教会の内部の豪華なことには驚かされます。

途中、ヴォルツァイレ通りに抜けて、カフェ・ディグラスでランチです。この通りにはカフェ・ハイナーもありますが、1昨日、ケルントナー通り店でランチしたので、今日はカフェ・ディグラス。
お店にはいると、大変な混雑ぶりでしたが、お店のスタッフが店の一番奥の特等席を見つけてくれました。配偶者がほかの客がターフェルシュピッツを食べているのを目ざとく見つけましたが、メニューにはありません。スタッフに訊くと、ターフェルシュピッツはあるとのことで、お昼から贅沢して、2人でいただきました。もちろん、大変、美味しかったですよ。

聖シュテファン大聖堂に戻り、この巨大な建築物を真後ろからまじまじと見上げると、この大聖堂も尖塔が左側、すなわち南側に1本しかないことに気付きます。


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どうなっているのか、よくよく見ると、北側の尖塔のあるべき場所には途中までの基本部分は堂々と立っていますが、その上はドームがかぶって、未完の状態です。


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この素晴らしい聖シュテファン大聖堂もストラスブールのノートルダム寺院同様に未完の建物だったんです。400年かかって建築され、結局、未完で終わったものです。
しかし、改めて見ると、ケルンの大聖堂の尖塔、ストラスブールの大聖堂とも肩を並べる巨大な尖塔は天を切り裂きます。偉大な建築物です。
今日の散策はこれで切り上げ、ホテルに戻って、仮眠。

ウィーン国立歌劇場でガランチャとアラーニャの《ウェルテル》を聴きに出かけました。オペラの素晴らしさを感じ尽くす公演で感涙あるのみでした。もう、よかったとしか、いいようがありません。詳細は別時事でアップ済です。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~美しき世界遺産ハルシュタット

今日から3泊でウィーンを飛び出し、ザルツカンマーグート地方への小旅行に出ます。

まずは、世界遺産の街ハルシュタットです。
鉄道の旅ですが、狙いはセンメリング鉄道を体験すること。このセンメリング鉄道も世界遺産です。ウィーン・マイドリング駅からレールジェットでセンメリングを経由して、ブルッフ/ムアまで行きますが、ここは贅沢して、ファーストクラスの上のプレミアムクラス(ビジネスクラス)に乗ります。ウィーン・マイドリング駅で車両の前に立っていた女性車掌さんに号車の位置を訊くと、何故か「ブルッフ/ムアまで行くの?」と訊かれました。そうだと答えると、乗る車両とドアの位置を教えてくれました。
乗車した後、謎は解けました。何と、プレミアムクラスの車両(ファーストクラスの車両の一部)全体で、乗車したのは我々だけだったんです。まあ、実に快適な車両でした。無料ドリンクまで付いていて、お好みのものを訊いてきました。
センメリング鉄道はセンメリング駅の手前の上り勾配のじぐざぐの鉄道です。山の高いところを通り、実に眺めが素晴らしいです。2人ではしゃぎながら、独占した車両を行き来しながら、ベストスポットの写真を撮りまくりました。ベストはアーチ橋を進むジェットレールです。


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ブルッフ/ムア駅からは、3つの列車を乗り継いで、ハルシュタットに向かいます。ハルシュタットに近づくにつれて、周りの雪をかぶった岩山が青空をバックに聳えたち、美しさに魅了されます。美しいハルシュタット湖が見えてくると、ハルシュタット駅です。駅から、坂道を下りて、湖岸のフェリー乗り場に行くと、待っていたフェリーがハルシュタットの街に向かって、出発です。湖の周りの景色の美しいこと、ため息が出るほどです。フェリーのキャップテンにホテルへの連絡をお願いすると、船着き場には、すぐにホテルのオーナーが迎えに来てくれました。
ホテルでチェックイン後、ただちに塩抗に向かいます。ケーブルカーで山に上り、絶景を楽しみます。


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その後、塩抗内のツアーを楽しみました。インディー・ジョーンズみたいな体験です。
山を下り、湖岸沿いに街の中心に向かいます。通りが1本だけの街で10分も歩けば、通り抜けてしまいます。町並みは湖岸から山の斜面にへばりつくように急斜面に建っています。
やはり、湖面とその周りに切り立つ山々の景色が一番の宝です。面白かったのは、湖岸の家々の下には船が収納できるような仕組みになっていて、伊根の舟屋ととても似ていることです。姉妹街にでもなるといいのになあと感じました。


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明日はバート・イシュルを遊びます。温泉もあるし、ゆっくりしたい・・・



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~バート・イシュルは日が悪かった!

今日はハルシュタットを発って、すぐ近くの街バート・イシュルに向かいます。

鉄道で20分ほどの移動です。朝方の雨は止みましたが、曇り空です。
バート・イシュル駅からは、とりあえず、ホテルまで歩きます。ホテルはトラウン川沿いにあり、大体の場所は分かりましたが、外壁を工事中のため、入口が分からず、うろうろ。
ホテルのレセプションの女性はまだ、部屋が空いていないので、荷物だけ、預かるわねっていうことです。これから、テルメ(温泉)に行きたいと言うと、困った顔で、実は今日と明日の2日だけはテルメがお休みなのよということです。それなら、とりあえず、レハール博物館(レハールは有名なオペレッタの作曲家)に行ってみようと言うと、複雑な顔をして、ちょっとチェックしてみるわねって言われます。資料をチェックした結果、この時期(オフシーズン)は月曜と火曜がお休みだということです。つまり、今日と明日です。結局、行けそうなのは、オーストリア皇帝の別荘だったカイザー・ヴィラのみ。あとは、カフェ・ツァウナーのカイザー・トルテが美味しいわよって、付け加えてくれました。saraiがアンハッピーと言うと、ソーリーって言われました。いえいえ、あなたが悪いわけではありませんよ。月曜日はたいていの美術館の休館日ですが、この旅では、日程上、たまたま、具合悪く、月曜日に美術館訪問になり、多くの美術館を見損ねました。今日もブラック・マンデーです。

今日はのんびり過ごしましょう。ぶらぶらと街を抜けて、カイザー・ヴィラに赴き、ハプスブルグ最後の皇帝フランツ・ヨーゼフと皇后エリザベートが夏を過ごした別荘を拝見。周りは緑に囲まれた自然豊かな場所で、お庭全体が公園になっていました。
緑の中にひっそりと佇むカイザー・ヴィラです。


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帰りは、カフェ・ツァウナーの美味しいカイザー・トルテをいただいて、今日の日程は終了。


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後はホテルで旅の疲れをとるべく、ゆっくりと休みました。

まあ、こんな日もあってもいいでしょう。

明日はマーラーとクリムトという大芸術家の跡を尋ねて、アッター湖を訪れます。



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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~アッター湖は芸術創造の原点・・・マーラーとクリムト

バート・イシュルでは、残念続きでしたが、何と今朝も雨にたたられます。小雨も何のその、傘もささずに駅に向かいます。次は予定変更して、グムンデンで途中下車。古風なトラムに乗って、グムンデンの街に行き、そこから歩いてトラウン湖の湖上のオルト城を訪れました。曇ってはいましたが、トラウン湖の美しさに触れることができました。

次はいよいよ、ザルツカンマーグートのローカル線カンマー鉄道でアッター湖に向かいます。途中、ちょっとしたミスもおかしましたが、無事にアッター湖畔のカンマーに到着。駅前で出発寸前のバスに飛び乗って、マーラーゆかりの地、アッター湖畔のシュタインバッハで下車。バス停の前がマーラーが家族や友人達と4年の間、夏の休暇を過ごした家(今はホテル)です。そこから、道に迷いつつ、何とか、マーラーの作曲小屋を見つけました。湖畔にぽつんと立つ小屋ですが、周りの景色はとても素晴らしい。こんな景色に囲まれて、よく、作曲活動に没頭できるものだと感心します。ここでマーラーは交響曲第1番の改訂、第2番と第3番、そして、歌曲集《子供の不思議な角笛》の作曲を行いました。1893年からの4年で、当時はマーラーはハンブルグ歌劇場の指揮をしていました。結構、遠くから来ていたんですね。この作曲小屋の前で、アッター湖を眺めながら、持参したIPODでフォン・オッターの歌う《子供の不思議な角笛》を聴き、感慨にふけるsaraiでした。フォン・オッターのしみじみとした歌声がアッター湖の自然の中に溶け込んでいきます。


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今回の旅のフィナーレを飾る感動の体験です。1時間ほどの滞在時間があっという間に過ぎていきます。このアッター湖畔に着くと、今までの曇り空から一転して、青空が広がります。まるで奇跡のようです。saraiの思いを天が感じ取ってくれたのでしょうか。

また、バスでカンマーに戻り、今度はクリムトです。湖上に突き出たカンマー城はクリムトが何度も描いた題材です。特にカンマー城前の並木道はクリムトの絵画を彷彿とさせます。


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ここを起点に《クリムトの道》が整備されています。アッター湖の湖畔をゆっくりと散策。クリムトは50枚ほどの風景画(カンバスが真四角なことが特徴)を描いていますが、ほとんどはこのアッター湖で描きました。彼は湖面にボートを浮かべ、そこからの景色を好んで描いています。したがって、絵にはアッター湖の水面がよく登場します。実際のアッター湖の湖面を見て、まさにクリムトの絵の世界そのものだと感じました。緑色がかった湖面、少し、水蒸気が上がり、靄った湖面、軽いさざ波の立った湖面、すべてにクリムトの筆の跡を感じ入りました。湖畔の散策の末、今日の宿、リッツベルガー・ケラーに到着。クリムトも滞在し、この宿も絵に描いています。最近、サザビーズのオークションでこの絵は高額で売れたそうです。この宿の船着き場から、クリムトが恋人のエミリー・フレーゲとともにボートに乗り込む写真がレオポルド美術館に展示されていたことを思い出します。宿のオーナーの女性のご厚意で宿の船着き場に入れてもらいました。もちろん、当時の船着き場とは異なるでしょうが、雰囲気たっぷりです。対岸には、カンマー城が夕日を受けて、白く輝いています。


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クリムトは1900年から1916年にかけて定期的にアッター湖をエミリー・フレーゲとともに訪れていたそうです。マーラーがアッター湖を訪れていた4年後からですから、マーラーとクリムトがアッター湖畔でばったりという夢のような機会はなかったようですね。しかし、ほぼ、同じ時期にウィーンを代表する大芸術家の2人がこのアッター湖を訪れていたのは偶然ではないでしょう。ザルツカンマーグートでも、あまり、観光客の入り込まない閑静な地で落ち着いた芸術活動を展開したのでしょうし、やはり、鋭い感性の2人が選択した地はそれなりに芸術創造の糧になる何かがあったのでしょう。

saraiは今、宿の窓から見える真っ暗なアッター湖を眺めながら、尊敬する2人の芸術家に思いを馳せています。



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テーマ : ヨーロッパ
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センセーショナルなバルトーク演奏!!ヤンソンス+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2013.4.24

この日はウィーン国立歌劇場でガランチャの歌うオペラ《ウェルテル》もやっていました。もう既に1回聴きましたが、何度でも聴きたい内容です。しかし、ウィーンに来て、やはり1度はウィーン・フィルを聴きたい気持ちが強く、ウィーン楽友協会に足を運びました。この公演は楽友協会主催の公演で、同一のプログラムで、この後の土曜・日曜のウィーン・フィル定期でも演奏される予定です。saraiは楽友協会のネクタイを締め、気持ちも引き締めて、コンサートに臨みました。その結果は・・・

この日のプログラムは以下の内容です。

 指揮:マリス・ヤンソンス
 管弦楽:ウィーン・フィル

 ハイドン:交響曲第94番ト長調《驚愕》
 リスト:交響詩《レ・プレリュード》

  《休憩》

 ハイドン:交響曲第88番ト長調《V字》
 バルトーク:演奏会用組曲《中国の不思議な役人》

まず、有名なハイドンの交響曲《驚愕》です。オーケストラは対向配置で、コンパクトな編成。第1楽章は弱い響きの弦の響きは心地よく聴こえますが、フォルテになると響き過ぎに感じてしまいます。もっとシャープで繊細な響きを期待していましたが、不満な演奏です。ヤンソンスの曲のまとめかたも不満。しかし、標題の《驚愕》という名前の元になった第2楽章は弦の実に繊細な合奏で期待通りの素晴らしい響き。フォルテは上品な響きですが、それでも集中して聴いていたら、思わず、ビクッとしてしまい、これがハイドンの仕掛けた《驚愕》であることを初めて実感しました。ハイドン、ウィーン・フィル、ヤンソンスの3者の見事な仕掛けに脱帽です。この第2楽章の素晴らしさがすべてでした。全体としては、実に普通の演奏で何も言うべきことはありません。ヤンソンスももっと、何かやれなかったかなあと思いますし、ウィーン・フィルももっと磨き上げた響きが出せなかったかなあと思いました。後半もハイドンの交響曲が演奏されますが、何とかならないかなあという思いです。

この普通でおとなしいハイドンの後は、リストの交響詩です。一転して、実に華々しい演奏です。古典派からロマン派にいかに音楽が変遷していったのかを実感します。そういう効果を狙ってのプログラムと演奏なのかとも思いますが、いかがなものでしょう。確かにリストの曲は華麗に響きますが、派手に演奏し過ぎとも思えます。面白くは聴けましたけどね。まあ、リストの《レ・プレリュード》が名曲であることも感じた演奏ではありました。

ここまでが前半で休憩にはいります。ここまではあまり、ぴんとこない演奏で、後半に期待しましょう。

後半はまた、ハイドンの交響曲で始まります。今度は第1楽章から素晴らしい響きです。フォルテも《驚愕》と同様にホールに強く響きますが、決して、うるさい感じではなく、心地よく感じます。管の編成がさらに小さくなったせいもあるかもしれませんが、演奏の精度があがっている感じに思えます。これこそ、古典派の音楽という感じで気持ちよく聴けます。第4楽章が終わるまで、見事な演奏が続きました。とても満足です。これでこそ、ウィーン・フィルの演奏するハイドン、期待通りの演奏でした。

続くはバルトークです。このところ、《中国の不思議な役人》の演奏が多いような気がします。これも流行でしょうか。この日のウィーン・フィルのバルトークは、バルトーク好きにとっては、たまらない演奏で、本当に興奮してしまいました。決して、これがバルトークの正統的な演奏には思えませんが、実にセンセーショナルな演奏です。ウィーン・フィルという世界でも最高の美音のオーケストラが恥じらいを投げ捨てて、本音の響きを披露したという風に聴こえてしまいます。そのウィーン・フィルの響きを受け止める楽友協会のホールもさらに響きを増幅させて、ホール全体がセンセーショナルな響きに満たされます。こんな響きは公序良俗に反するのではないかと思ってしまいますが、sarai自身は楽しく、嬉しく、興奮していくのみです。古典派の上品なハイドンの後に、こういう強烈なバルトークを持ってきたヤンソンスに尊敬の念を禁じ得ません。ヤンソンスものりのりの指揮です。しかし、100年近くも前に作曲された曲が今でもセンセーショナルに響くとは、バルトークの才能の凄さを再認識します。特に初期のバルトークの先鋭さは群を抜いています。晩年の名曲群も素晴らしいですが、ある意味、今後はこの《中国の不思議な役人》こそ、バルトークの代表作になるのではないかと予感させるような素晴らしい演奏です。ウィーン・フィルがこういうバルトークを演奏できるのも驚きだし、ヤンソンスがバルトークを見事に指揮したのにもびっくり。多分、イヴァン・フィッシャー指揮のブダペスト祝祭管弦楽団も面白い演奏をするだろうし、過去にブーレーズも見事な指揮をしていましたが、それらを凌駕するかもしれない演奏です。聴衆も立派。演奏が終わるとやんやの拍手と声援。この場面をバルトークに見せてあげたいと思いました。あまりに先鋭的で強烈な音楽は作曲当時は不謹慎(特に台本)だと批判され、演奏の機会が少なかったと聞いています。今や世界の頂点のひとつであるウィーン楽友協会のウィーン・フィルのコンサートで聴衆に広く受け入れられるようになったんですからね。それも、たんたんとした演奏ではなく、物凄く踏み込んだ内容の演奏ですから、バルトークとしては本望でしょう。ここまでやるのなら、演奏会用組曲ではなく、全曲を演奏してもらいたいものです。演奏会用組曲は終盤のさらに強烈な音楽をカットしたものですから、全曲ならば、気絶しそうな響きになったことでしょう。

ハイドン、リストというハンガリー系の作曲家とハンガリーそのものというバルトークを組み合わせたコンサートでしたが、結局、バルトークがいかに偉大な音楽的な進化を果たしたのかということを思い知らされたコンサートになりました。前半、少し、不満もありましたが、終わってみれば、さすがにウィーン・フィル、さすがにヤンソンスという大満足のコンサートでした。このコンサートを聴くために旅の日程を無理して延ばしましたが、その無理は十分に報われました。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

オランダ・ライン川・ウィーンの旅~アッター湖のローカル鉄道の旅、そして、ウィーン最後の夜のオフ会

アッター湖畔の朝は快晴。湖面がさざなみ、美しい絵になっています。

今日はアッターガウ鉄道に乗ります。アッター湖畔のアッターゼー駅からフェックラマルクトまでの短い区間のローカル鉄道です。車両は1両のみの可愛い車両です。


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この鉄道は緑の野原の中を走る風光明媚な路線です。


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学校帰りの子供たちのほかには、ほとんど乗客はいません。のんびりした鉄道の旅です。1時間に1本しか走らない不便な路線ですが、saraiの一押しの鉄道です。

フェックラマルクトからアットナンク-プフハイムまでは急行ですぐに到着。アットナンク-プフハイムからは初めて乗るウェストバーンという私鉄です。私鉄と言っても、実際はウィーンとザルツブルグ間のオーストリア国鉄(OBB)の線路を走ります。料金が安く設定されているのが魅力です。今回、座席指定したのですが、100号車の2階席としか、指定券には表示されていないので、システムがよく分かりません。到着した車両に乗り込むと、結構、混み合っていて、空いた座席はあまりありません。よく探すと、4人席がぽっかり空いているところがあります。その座席を見ると、テーブルに予約席という布が巻かれています。カフェやレストランのテーブルに予約席と表示されているのと同じです。どうやら、これが我々の指定席のようです。


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そこに座っていると、発車してすぐに女性の車掌さんがやってきて、検札です。検札といっても乗車券はチェックせずに指定券のみのチェックです。この席でよさそうです。それに2人分の指定で4人分の席を確保して構わないようです。これはお得ですね。1人分の指定料は5ユーロでした。快適な鉄道の旅で2時間ほどでウィーン西駅に到着です。

今夜はこの旅で最後のコンサート。ヤンソンス指揮のウィーン・フィルのコンサートを楽友協会で聴きました。プログラム後半のハイドンの《V字》とバルトークの《中国の不思議な役人》の素晴らしい演奏でした。このコンサートについては別途、記事をアップします。

コンサートの後は1年ぶりのウィーン音楽愛好会のオフ会です。カフェ・ムゼウムに楽友協会、国立歌劇場、フォルクスオーパーから、5人が集まって、気炎を上げました。はっぱさんが所用で参加できなかったのはとても残念でしたが、大いに盛り上がり、閉店時間で追い出されるまで、楽しく過ごしました。
次のオフ会は6月に場所をドレスデンに変えて、開催することを決定。いやはや、みなさん、音楽にのめり込んでいますね。何故、ドレスデンなのかと言うと、ティーレマン指揮でガランチャがオクタヴィアンを歌う楽劇《薔薇の騎士》の公演にみなが駆けつけるからです。オペレッタも見ます。

かくして、長かった4月の旅もこれでおしまい。明日の夜の便で帰国です。実り多い旅をできて、幸せでした。



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テーマ : ヨーロッパ
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オランダ・ライン川・ウィーンの旅~いよいよ、帰国

昨日の夜は遅くまで起きていて、WEBチェックインをしたり、ブログを書いていたので、ゆっくりと朝寝して、朝食をぎりぎりの時間に滑り込んで食べ、その後、部屋でゆっくりしていると、ホテルのレセプションから電話がかかってきて、11時になったので、すぐにチェックアウトしてほしいとのこと。はいはい、配偶者がちゃんと荷物をまとめてくれていたので、すぐに部屋を出ますよ。

荷物をホテルに預け、街に出ます。まず、6月のウィーン国立歌劇場のチケットを受取り、ついでに劇場連盟カードを作ってもらいます。これからはポイントを貯めてみましょう。
お土産を買い集め、最後のカフェ・ランチはカフェ・グリーンシュタイドルで。なかなか、いい味付けで美味しいです。肩の張る料理ではありません。
リンク通りに出ると、マロニエの花が咲き始めています。旅の初めは冬の寒さでしたが、もう初夏を思わせる陽気です。


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さあ、これで旅はすべて完了。空港に向かいましょう。今回の旅もお付き合い願い、ありがとうございます。



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長い旅も終わってみれば・・・あちゃ!!

一昨日の夕刻、無事に成田に帰り着き、自宅の最寄り駅でアツアツのラーメンをすすっていると、帰国の実感がありました。それにしても、初夏を思えるウィーンから日本に戻ると、寒さが身に沁みました。

昨日は朝から電話にかじりつき、ハーゲン・カルテットのベートーヴェン・チクルスの後期シリーズのセット券を何とかゲット。そのまま、かかりつけの病院に定期的な診断に行くと、最悪の状態。先生にはヨーロッパでワインを飲み過ぎたことを白状し、これから、節制することを誓いました。

旅でのクレジットカードの請求をチェックしていると、チューリッヒのホテルからの請求の内容が理解できず、よくよく考えてみると、何と1度予約し、キャンセルしたホテルからの請求でした。キャンセルがうまくいっていなかったのかとも思い、予約サイトのBooking.comに問い合わせると、やはり請求がおかしいとのことで、クレジット会社からの請求の画面をPDF化して、証拠書類として、提出。うまく、返金されることを願うばかりです--⇒Booking.com様。このところ、Booking.comがらみのトラブルが多いんです。ホテルとのクレジットカードでの会計処理の問題が大半です。ebookersでの予約は、お金のやりとりはebookersと自分の間だけで、ホテルは絡まないので、今のところ、ノートラブルです。Booking.comのシステムは問題があるかもしれません。

昨日、寝ようとして、そうだ、そうだ、ティーレマンとウィーン・フィルのサントリーホールでのベートーヴェン交響曲チクルスのチケット売り出しはどうなったのかなと思い、サントリーホールのサイトをみてみると、げげっ!!!
何と、セット券の売り出し日は次のヨーロッパ旅行の初日。売り出し開始時刻にはまだロシア上空です。がっくりです。翌日、ANAに電話して、出発日の変更はできないかと訊いてみると、スーパーエコ割は変更不可との厳しいお答え。変更するためには、とりあえず、全部キャンセルするしかないとのこと。それも違約金3万円(一人当たり)ということで、これは無理。ああー、どうしよう!?

悪いことばからいではありません。先日、ハイティンクのブルックナーと重なって、聴けなかった上原彩子のリサイタル。ヨーロッパに行っている間にTV放映があり、友人が録画しておいてくれました。それも頼んだわけじゃないのにです。持つべきものは友。早速、聴きましたが、上原彩子の気魄あふれる燃焼度の高いラフマニノフに魂が揺さぶられました。放映されたのはリサイタル前半の《13の前奏曲》Op.32でしたが、後半の《ピアノ・ソナタ第2番変ロ長調》Op.36も是非、TV放映してもらいたいものです--⇒NHK様。

今日は時差ぼけがひどく、昼下がりの3時まで寝ていて、配偶者に迷惑をかけました。明日は何とか、建て直そうっと。


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オランダ・ライン川・ウィーンの旅を開始

2013年4月4日木曜日~4月26日金曜日@オランダ~ドイツ~フランス~スイス~オーストリア

いよいよ、2013年1回目のヨーロッパの旅の詳細編を開始します。現地からも日々レポート済みですが、今度は多くの写真とともに旅の詳細を書いていきます。

まずは旅のルートを地図で確認しておきましょう。

羽田空港から出発して、フランクフルト経由でオランダのアムステルダムに到着。
オランダではデルフト、デン・ハーグ、ロッテルダムを周ります。
次はライン川を遡って、ドイツ、フランス、スイスを周ります。
次はチューリッヒから、空路でウィーンに移動。
お決まりのウィーンで音楽三昧。
次はザルツカンマーグートへ小旅行。
最後はウィーンで音楽の総仕上げ。


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具体的な日程は以下の23日間の旅になります。スペイン、ザルツブルグ、ウィーンが3分の1ずつです。

1日目は深夜に羽田空港を出発して、フランクフルトで美術館に寄って、アムステルダム入り。

2日目~4日目はアムステルダムで音楽三昧。フェルメールなどの美術も楽しみます。アムステルダムとデルフト宿泊。

5日目~13日目はライン川を遡る旅です。
 ドイツ編:ケルン、ボン、コブレンツ、コッヘム(モーゼル川)
      ライン川クルーズ、古城ホテル(オーバーヴェーゼル)
      マインツ、ヴィースバーデン、バーデン・バーデン
 フランス編:ストラスブール
 スイス編:ベルン、チューリッヒ
      ボーデン湖、シュタイン・アム・ライン、ラインの滝
      ヴィンタートゥール、バーゼル

14日目~17日目はウィーンで音楽三昧。

18日目~21日目はザルツカンマーグートへ小旅行。
 ゼメリング鉄道、ハルシュタット、バート・イシュル、アッター湖

21日目はウィーンに戻り、最後の音楽三昧。

22日目はウィーンを発ち、フランクフルトを経由し、翌日、帰国(成田)です。

では、旅に出かけましょう。まずは羽田を発って、フランクフルトに向かいます。


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旅はオランダから~フランクフルトにちょっと寄り道

2013年4月4日木曜日@東京~フランクフルト~アムステルダム/1回目

旅の1日目です。深夜1時に、羽田空港から飛び立ち、フランクフルト経由でアムステルダムに向かいます。

今回は初めての深夜便。羽田出発です。家でゆっくりお風呂に入り、近くの回転寿司で夕食を済ませて、羽田に向かいます。羽田にある両替屋さんは夜は11時までなので、出発時間よりはちょっと早めに羽田に到着。両替するユーロとスイスフランは予約しておいたので、スムーズに両替完了です。


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羽田の国際線乗り場は、成田に比べてコンパクトで歩き回らなくてもよく、なかなか快適です。若くて美人のANAのお姉さんも余裕があるのか、親切で丁寧な対応。フランクフルトからアムステルダムのルフトハンザ便の席の変更を何度もチャレンジして、遂に希望の2人並びの席を取ってくれました(WEBチェックインしていましたが、ばらばらな席が割り当てられていたんです)。彼女の綺麗な笑顔に心も弾みます。
荷物も預け、他に用事もないので出国します。深夜なのに思ったより出国者が多いです。深夜便が多いのか、人気があるのか・・・。


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免税ショップに向かいます。免税品が欲しいのではなく、トラベルグッズを探すんです。海外のホテルで電器製品を使うための電源アダプターはいくつも持っていますが、ホテルによってはコンセントの場所が遠かったり、コンセントの口が少なかったりして不便なことが多いので、200ボルト用の電源タップ付きの延長コードが欲しいんです。AKIHABARAというぴったりした名前のショップを配偶者が見つけてくれました。


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店中を探し回り、遂に見つけ出しました。コード長は50センチ程と短いのですが、実にコンパクトで3口の差し込みが付いています。しかもこの差し込みはユニバーサルタイプです。結果的に、これは今回の旅でとても役立ちました。優れものグッズです。名称は”ゴーコンタップ”。みなさんも常備しましょう。

本来は初のB787搭乗となる筈でしたが、今回はB777に変更になりました。B787はいろいろありましたからね。


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B787は次の機会にしましょう。しっかりと後方に3組しかない窓際2人並び席、いわゆるラブラブシート(って、そんな名前はない!)を確保し、快適なフライトになりそうです。


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トラブルもなく、予定通りの深夜1時に飛行機はフランクフルトに向けて飛び立ちます。

凄く気になるのは食事。既に夕食は済ませ、普通ならばもう寝る時間です。今から夕食が出るのかと心配してたのですが、やはり考えてくれてるのですね・・・簡単なサンドイッチとお水がさっさと配られ、後は飲み物だけのサービス。


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ワインを貰いましたが、配偶者はそのまま片付けてすぐにオヤスミモード。周りの人たちも、もう目がふさがっています。機内はすぐに寝静まります。外も真っ暗なせいか、窓のブラインドを下ろすようにとの指示もありません。配偶者は朝までぐっすり。saraiはラブコメディの映画をうつらうつらしながら1つ見てオヤスミします。
ずっと暗闇の中を飛行機は飛ぶことになるので、この深夜便だと窓際の席にこだわることもありませんね。途中のサービスもなく(寝てたのでよくは分からないけど)、着陸3時間ほど前に灯りが点き、強制的に朝となります。ここで、しっかりとした朝ご飯が出されますが、お酒のサービスはなし。お願いすればもらえたようですけどね。和と洋のメニューをお願いしましたが、和食はなかなか美味しかったです。


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これは洋食。


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しばらくは、この素晴らしい日本食ともお別れですね。

無事に定刻にフランクルトに到着です。朝6時。まだまだ真っ暗で、気温は2度! (2013年4月4日(木)@ドイツ・フランクフルト)


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ここはトランジットするだけ。荷物はアムステルダム受け取りなので、手元には荷物はなく身軽なままです。ある目的があって、このフランクフルトの街にちょっと寄り道します。そのため、意図的に長めの乗り換え時間を設定しました。10時間ほどの滞在です。持っているのは機内持ち込みの手荷物だけですが、歩くには荷物は少なければ少ないほど楽なので、その荷物も空港に預けましょう。空港だからでしょうか、コインロッカーはないそうです。仕方がないので手荷物預かりを利用しますが、あまりの小さな預け荷物に、「えっ、これだけ」って、係のおじさんに笑われました。でも、やはり荷物は少ない方が楽ですよね。
次に、フランクフルトカードの購入です。フランクフルトカードは通常、市内にあるツーリスト・インフォメーションで購入しますが、それだと空港から市内への鉄道チケットも購入しないといけないし、時間も無駄です。空港内では、Hotels & Toursカウンターでのみフランクフルトカードを購入できます。Hotels & Toursカウンターの場所を訊くと、階下のウェルカムセンターにあるとのこと。ウェルカムセンターに行くと、Hotels & Toursカウンターは7時からのオープンとのことで、10分程待たされました。


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少し待って、問題なくカードをゲット! このカードで、乗り物は1日乗り放題で、美術館も割引になります(美術館は無料になると思い込んでいたので、美術館でエッという感じでした(笑い))。


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空港からSバーン(電車)でフランクフルト中央駅に移動します。ドイツは車内でよく検札があるので、ちゃんと鉄道チケットを買っておかないと面倒なことになりますが、今日はフランクフルトカードがあるので、OK。


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フランクフルトの街歩きは今回が2度目。勝手知った街というのは、不安感がなくウキウキしますね。でも、中央駅で降りるのは初めてです。駅の巨大な鉄骨には圧倒されます。


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駅の構内の花屋さんに配偶者の視線がさっと投げかけられます。相変わらず、花には目がないですね。


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これから、早朝のフランクフルトの街歩きを始めます。


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旅はオランダから~早朝のフランクフルト散策

2013年4月4日木曜日@東京~フランクフルト~アムステルダム/2回目

早朝のフランクフルト中央駅Frankfurt Hauptbahnhofに着き、駅前に出ると、重厚な建物が並び、その向こうには高層ビル群が見えています。この高層ビル群はマイン河畔のフランクフルトにあるために、マンハッタンならぬマインハッタンと呼ばれているそうです。


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振り返って中央駅を見ると、現在工事中です。写真で建物のように見えているのは、垂れ幕に描かれた絵(写真?)です。最近のヨーロッパでの工事中の歴史的建造物は、ご親切にも、このようにして建物の様子が分かるようにしてくれています。それにしても、ドイツはどの都市も工事中の建物が多いですね。ドイツの経済力があるということなんでしょうか。


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中央駅からまっすぐに伸びるカイザー通りKaiserstraßeを歩き始めますが、寒い! 気温は3度のようです。通りには市場も立っており、野菜や肉、魚、花など、多彩なものが朝の寒空に並んでいます。


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交差点の道案内の表示板を見ると、今日の第1目的のシュテーデル美術館Städel Museumへ行くには、右折して1000メートルと書いてあります。しかし、美術館が開館するのは10時です。まだまだ早過ぎるので、このまま真っ直ぐ旧市街に向かって、街を散策しましょう。


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配偶者は青空市場の花屋さんをのぞいています。何も変わった花はないそうです。


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しばらく歩くと左手に巨大な超高層ビルがあります。古風な建物の間ににょっきりと立っており、凄い存在感です。(この後の写真は、撮影モードのセットを誤りポスター風になってしまいました(苦笑)。見苦しくて申し訳けありません。)。


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ちょっと近くに寄ってみましょう。いやはや凄いビルです。


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どこのビルでしょう。ビルの前の表示を見ると、DB(ドイツ国鉄)の関連企業がはいっているビルのようです。


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後で調べてみると、このビルは高さ166メートルで1990年まではドイツ1番ののっぽビルだったようで、シルバートゥルムSilberturm(銀の塔)という名の旧ドレスナー銀行本社ビルでした。なお、ドレスナー銀行は2008年にコメルツ銀行に吸収合併されて、消滅しました。どこの国も金融統合が進んでいますね。コメルツ銀行本社ビルはもっと高層のビルだそうで、このビルは不要になり売却されたそうです。

次に、欧州中央銀行European Central Bank(EUの金融の大元締め)の高層ビルが正面にどーんと見えてきました。ユーロタワーです。


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ビルの手前にある大きなユーロマークが面白いですね。あれっ、後で気が付きましたが、ユーロタワーの左手奥に、上にアンテナの付いているコメルツ銀行タワーも見えていますね。先ほどのドレスナー銀行を吸収合併したコメルツ銀行の本店ビルです。一時期、ヨーロッパ1の高さを誇った高層ビルです。


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なお、欧州中央銀行の新本店ビルはフランクフルトの別の場所に建設中で来年2014年にはユーロタワーから移転予定です。

ユーロタワーの前には、フランクフルト歌劇場があります。


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ポスターを見ると、なかなかよさそうな公演をやっているようです。これからは要チェックですね。


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この先には大きな工事現場。本当に工事が多いです。


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しばらく歩くと、旧市街の中心のレーマー広場Römerbergが見えてきました。


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レーマー広場に着きました。ここは観光の中心地ですが、閑散として、まだ清掃作業中です。早朝で寒い朝ですから、まだ観光客が来ていないようですね。人込みを気にせずに、いくらでも写真が撮れます。


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広場の中央には、正義の女神ユスティシアの噴水Gerechtigkeitsbrunnenがあります。通常は撮れそうもない、人っ気のない写真が撮れました。


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広場の西側の建物は旧市庁舎で、中央の建物はレーマーRömerと呼ばれています。このレーマーの2階にある皇帝の広間カイザーザールで、神聖ローマ帝国新皇帝の戴冠式後の祝宴が開かれていたそうです。


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では、その神聖ローマ帝国新皇帝の戴冠式が行われていた大聖堂も見ておきましょう。

駅からレーマー広場への散策ルートを地図で確認しておきましょう。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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通りすがりさん

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