前回の記事でハイティンクのブルックナーの交響曲第8番のCDを特集しました。それはここに書きました。その記事で取り上げたCDの一覧は以下です。
1.1969.9.1-3. コンセルトヘボウ管(全集) ハース版
2.1981.5.25-26. コンセルトヘボウ管(デジタル録音) ハース版
3.1989.08.22. ECユース管 ハース版、非正規盤
4.1995.1. ウィーン・フィル ハース版
5.2002.12.03. シュターツカペレ・ドレスデン(ライブ)ハース版
6.2005.2.18,20. コンセルトヘボウ管(ライブ) ハース版
7.2007.08.24. コンセルトヘボウ管(proms、ライブ) ノヴァーク版、非正規盤
既には正規盤5枚(1、2、4~6)は聴きました。
2.の1981年のコンセルトヘボウ管でハイティンクのブルックナーは完成の域に達し、4.の1995年のウィーン・フィル、5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンと、どの演奏も同様のスタイルで高いレベルの演奏です。6.の2005年のコンセルトヘボウ管は、もう一つの印象でした。これらから一つ選ぶなら、僅差ですが、5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンでしょう。
その後、再度、2.の1981年のコンセルトヘボウ管と5.の2002年のシュターツカペレ・ドレスデンを聴き直してみましたが、ますます、その演奏に惹かれます。
そして、最後に、7.の2007年のpromsでコンセルトヘボウ管と演奏したライブの非正規盤を聴いてみました。唯一、ノヴァーク版の演奏で最近のハイティンクの演奏スタイルを知るために、どうしても聴きたかったCDです。ただ、あまりの音質の悪さ(BBCの放送を録音したもののようです)に今まで聴くことをしり込みしていましたが、もう、今日が最後の機会です。
第1楽章、第2楽章は音質の悪さに我慢して聴いていました。それが一変したのは、第3楽章です。音質の悪さは変わりありませんが、何という演奏でしょう。表現は難しいのですが、実にしみじみとした滋味にあふれる演奏です。チェリビダッケによる究極の“美”がこれまでの理想の演奏でしたが、その“美”を超える最高の演奏に感じます。ハイティンク78歳にして、到達した境地です。ブルックナーの最終稿にハース版で付け加えられたものをすべて取り除いたノヴァーク版を採用したことも寄与しているかもしれません。陶酔するような演奏ではなく、言わば、人生の秋か冬を感じ、癒しを受けるような演奏です。勢いのある第4楽章になっても、基本的なスタイルはしみじみ感です。こういう演奏は万人に受け入れられる演奏ではないかもしれませんが、saraiにとっては、最高の演奏です。
この演奏から6年近く経った今、一体、ハイティンクはどんなブルックナーを聴かせてくれるでしょう。先日のみなとみらいホールでの究極の第9番を上回る演奏を期待して、心もそぞろです。
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