FC2ブログ
 
  

ラインの旅:フランス編~ストラスブールのアルザス料理とアルザス・ワイン

ストラスブールの伝統的なアルザス料理のレストランのシェ・タント・リーゼル Chez Tante Lieselでディナーをいただきます。開店時間前なので、我々が一番乗りです。小さな店内は、可愛い装いです。


BBko0HizJz813f.jpg



季節はイースター。イースター飾りも可愛いです。


3n84V86t1Td11c.jpg



壁には、アンティークな調理器具が飾られています。


0ry7g1yf0K74cf.jpg



saraiのレストランでのお目当ては、何と言ってもアルザス・ワインです。アルザス・ワインと言えば、たいていリースリンクの白ワインと決まっています。この旅でも各地のリースリンクの白ワインを飲み続けていますが、これが総決算です。まずはワイングラス。アルザス風のグラスです。


ZlPaFEy7e8a32b.jpg



ハーフボトルをお願いすると、2008年のリースリンクが出てきました。


eRXl9J0FVZac0c.jpg



ボトルのラベルです。Traenheimにあるアルザス協同組合のワインカーブ「Cave du Roi Dagobert」の2008年のリースリンクです。


qKbu36r4kI6b96.jpg



フランケンやオーバーヴェーゼルのリースリンクのワインとは、また味が異なり、葡萄の果実の風味の爽やかさが感じられます。とても美味しいですが、saraiの個人的な好みでは、フランケンやオーバーヴェーゼルのほうが上位にきます。

料理はアルザス料理。スターターはキャロットのスープとオニオンのキッシュ。


ZbLDirhVsTee8a.jpg



メインの料理用のお皿が出されましたが、地方色豊かなお皿です。


_ogea0MmOj6f5e.jpg



メインが出てきました。


rY0BpNODF15f48.jpg



ふたを取ります。
ザワークラウトとソーセージ、ハム、ベーコンのオーブン蒸し焼きです。


dkeD8IqIpZ267f.jpg



メインのもう一品、ガチョウの骨付き肉のグリルのジャガイモのオーブン焼き添えです。


c48CEu65Y59be7.jpg



アルザス料理は、なかなかがっつりした野性味あふれるものでした。このベーコンの厚みを見てください。


3h0FyyKjoEb9a9.jpg



とても美味しくいただきました。もちろん、量が多過ぎるのはいつものことで、お腹が苦しくなります。

ストラスブールの美に酔いしれながら、夜はアルザス料理をいただき、アルザスワインに酔いしれた極上の時間でした。

お店を出ると、お店のショーウィンドウ(レストランにそういうものがあるのかな?)は可愛く飾られていました。


YLDYi3qJ8n32d7.jpg



お店でいただいたカードです。ストラスブールにお越しの際はお勧めですよ。


qwtzLHaXwe24a6.jpg



明日はストラスブールを楽しみ、夕方の列車でスイスに移動します。ライン川の源流はスイスですからね。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第4番

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第2日(11月10日(日):交響曲第4番、第5番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)

今回は交響曲第4番変ロ長調Op.60について聴いていきます。
交響曲第4番はベートーヴェンが1807年までに完成しました。交響曲第3番《英雄》が1804年完成ですから、3年後の完成で順調なペースです。ただ、記念碑的な作品の交響曲第3番《英雄》とあまりにも有名な交響曲第5番《運命》の間にはさまれた地味な存在というのが交響曲第4番の立ち位置です。実際、かのシューマンが「2人の北欧神話の巨人(第3番《英雄》と交響曲第5番《運命》)の間にはさまれたギリシアの乙女」と例えたそうです。
しかし、今や、その評価は大きく変わってきていると思います。今回、聴いたCDでも巨匠たちは第3番《英雄》と交響曲第5番《運命》とも引けをとらないスケールの演奏で、この作品の偉大さを感じさせてくれました。しかも巨匠たちの個性あふれる名演揃いでもありました。

以下、今回、CDを聴いた順に感想を書いていきます。計15の演奏を聴きました。

まず、ウィーン・フィル以外です。

トスカニーニ、NBC交響楽団 1951年録音 モノラル

 これまで、トスカニーニの演奏は予想以上の出来栄えでした。この第4番も大変な好演です。
 第1楽章はやはりというか、導入部に続いて、主部は実に小気味いいテンポの演奏です。しかも、決して拙速ではなく、音楽の流れが実にいいんです。まさにばしっと決まっている感じの演奏です。
 第2楽章は一転して、落ち着いた演奏。
 第4楽章は、勢いがあって、とても切れがいい演奏です。

ワルター、コロンビア交響楽団 1958年録音

 ワルターらしい、柔らかく、流麗な演奏です。
 第1楽章、気品と迫力をあわせ持つ見事な演奏です。コロンビア交響楽団の出来も上々です。
 第2楽章、ふくよかで気品にあふれた天国的とも言える素晴らしい演奏です。
 第3楽章、慌てず騒がず、これまた気品のある演奏。
 第4楽章、流麗な美しい演奏です。典雅と言っていいかもしれません。

コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1960~61年録音

 この曲でもライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の響きは際立って素晴らしいものでした。そして、ベートーヴェンをこんなに堪能させてくれる演奏って、凄いとしか言いようがありません。大変な名演です。
 第1楽章、導入部から、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の響きに魅了されます。弦楽の響きは目が覚めるような美しさ。美しいだけでなく、どっしりと重心が低く、安定感があります。コンヴィチュニーはこのオーケストラの響きを活かして、ゆったりと堂々としたテンポで指揮しています。実に聴き応えのある演奏です。
 第2楽章、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の美しい響きに耳を傾けるのみ・・・それ以上何が必要でしょう。
 第3楽章、分厚い響きに魅了されます。無理のない自然な演奏が耳に心地よく感じられます。
 第4楽章、ほぼ、インテンポで整然として、重量感にあふれる演奏です。

ムラヴィンスキー、レニングラード・フィル 1973年録音

 ムラヴィンスキーは全集盤はありませんが、この1曲だけは聴いておきます。このCDはレニングラード・フィル大ホールでの録音で、その1か月後の来日公演のライブ録音CDもあります。公演を聴かれたかたもいらっしゃるでしょうが、大変な力演です。しかし、CDはレニングラードでの録音のほうが鮮明に感じたので、こちらを聴きます。
 第1楽章、主部に入ると切れがよく、怒涛のような勢いのある演奏。一糸乱れぬアンサンブルに舌を巻きます。
 第2楽章、潤いのある美しい響きで奏でられるベートーヴェンの世界。特に弦楽セクションの響きが見事です。
 第3楽章、きびきびとして、それでいて、重量感のある演奏です。
 第4楽章、歯切れの良さと重量感が同居しているアンサンブルの素晴らしさに感銘を受けます。弦楽セクションの伸びのよい響きは特筆に価します。

クーベリック、イスラエル・フィル 1975年録音

 瑞々しい感性のクーベリックの演奏に大満足です。第3番の演奏の不調がうそのようです。
 それにイスラエル・フィルとの演奏は初めて聴きますが、なかなかの相性の良さ。これがバイエルン放送交響楽団との演奏だと言われれば、信じてしまうかもしれません。クーベリックの本拠地のミュンヘン・ヘラクレスザールでの録音です。
 第1楽章、雰囲気たっぷりの導入部。非常に遅めのテンポです。一転して活力みなぎる主部。ライブかと思うような熱い演奏が展開されます。
 第2楽章、爽やかな抒情に彩られた美しい演奏です。
 第3楽章、これまた、爽やかな情緒に満ちた、懐かしさを感じる演奏です。
 第4楽章、トスカニーニを思わせる、沸き立つような、熱情あふれる演奏です。

クーベリック、バイエルン放送交響楽団 1979年録音

 イスラエル・フィルとの演奏がとても素晴らしかったので、手兵であるバイエルン放送交響楽団とのライブ録音も聴いてみることにしました。これもイスラエル・フィルとの演奏と同じく、ミュンヘン・ヘラクレスザールでの録音です。
 第1楽章、ピーンと張りつめた緊張感の漂う導入部。主部はゆったりとした堂々たるテンポながら、清々しい響きのオーソドックスなスタイルの演奏です。
 第2楽章、たっぷりとした響きの演奏で始まります。クラリネットソロのあたりの寂寥感から、連綿たる思いの演奏が続き、じっと聴き入ってしまいます。深く、しみじみとした演奏です。
 第3楽章、きびきびとメリハリのある、とてもよい演奏です。
 第4楽章、重厚な響きの隙のない演奏です。

ハイティンク、ロンドン交響楽団 2006年録音

 第1楽章、じっくりと抑えた導入部から、爆発的な主部に突入。活発な弦楽合奏が魅力です。精妙なリズムよりも力強いタッチを優先させた独特のスタイル。骨太の演奏で、これは意外に感じます。壮大なスケール感は最初から放棄して、コンパクトな古典的スタイルを打ち出した演奏と言えます。終盤の盛り上がりの凄さは素晴らしいです。
 第2楽章、この緩徐楽章も実に骨太スタイル。それでも、次第に抒情感を増していきます。特に木管は侘しげに演奏されます。しかし、基調はあくまでも力強いタッチ。エネルギー感が底流にあります。力強さと侘しさの対比が表現された演奏です。
 第3楽章、見事なアンサンブルの演奏を聴かせてくれます。
 第4楽章、この曲の躍動感がよく表出された演奏です。

ここまでは、録音年の順に聴いてきました。ここであえて温存していたフルトヴェングラーの戦時中の録音を聴いてみます。

フルトヴェングラー 1943年録音 モノラル

 これも、交響曲第3番と同様に、ベルリンに進駐したソ連軍がベルリンの放送局から持ち帰った放送用テープからメロディアがリマスターしたCDで聴きます。これも素晴らしい音質です。そして、それ以上に素晴らしい演奏。交響曲第3番のウラニア盤の演奏に比肩するか、あるいはそれを超えるような超ド級の演奏です。
 第1楽章、導入部から主部に入るところの凄まじさが凄い! 聴いているこちらが身震いします。この迫力たるや、何でしょう。この高揚状態が続き、金縛りにあったようになってしまいます。そして、このときのベルリン・フィルのアンサンブルも素晴らしいものです。戦時下において、この実力は何でしょう。いや、戦時下という限界状況故の演奏なんでしょうか。これはまさに神が乗り移ったような恐ろしい演奏です。
 第2楽章、巨大で美しい山を仰ぎ見るような神々しい演奏。ベルリン・フィルの輝かしい響きといったら表現できないほどです。
 第3楽章、雄大でスケールの大きな演奏です。
 第4楽章、すべてを燃やし尽くすような激しい演奏。素晴らし過ぎて、もう、絶句です。

ここからはウィーン・フィルの演奏に移ります。これも録音年の順に聴いていきます。

フルトヴェングラー 1952年録音 モノラル

 EMIの新リマスター盤です。凄すぎる1943年の演奏の後にどんな演奏が聴けるでしょう。ウィーン・フィルのスタジオ録音ということでまた、違った面が聴けるでしょう。
 第1楽章、導入部から既にウィーン・フィルらしい優美な響きにうっとりします。主部に入るところ、およそ、10年前のベルリン・フィルの緊迫した演奏と同じスタイルではありますが、あの激しい演奏とは違い、何と優しげな響きでしょう。心躍る思いはありませんが、癒しを感じさせてくれます。続く演奏もウィーン・フィルの流麗で滑らかな演奏に音楽の喜びを禁じ得ません。これも素晴らしい演奏です。
 第2楽章、何と心穏やかな音楽が流れるのでしょう。ベートーヴェンもそして、フルトヴェングラーも心の平安を得たという感じです。この楽章はとてもベルリン・フィルとは比較にならない素晴らしさです。ウィーン・フィルの真骨頂と言えるでしょう。クラリネット・ソロも侘しさではなく、心の平安・穏やかさを感じます。ベートーヴェンの晩年の音楽に聴かれる心の平安がもう、ここにあります。まだ、諦観はここにはありませんけどね。最高の第2楽章の演奏です。
 第3楽章、ウィーン・フィルの芳醇な響きで落ち着いた音楽が展開されます。
 第4楽章、ゆったりとしたテンポでたっぷりした音楽が流れます。じわじわと白熱した演奏になっていきますが、我を忘れるというわけでなく、終盤もきっちりした演奏で締めくくります。

シュミット・イッセルシュテット 1968年録音

 第1楽章、ウィーン・フィルの美しい響きを活かした、オーソドックスな自然な表現です。コンヴィチュニーが堪能させてくれたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の重厚な響きに対して、ウィーン・フィルの柔らかい響きを最もよく楽しませてくれる演奏と言えます。
 第2楽章、がっちりとした骨組みで、きっちりした演奏です。力強く優美です。
 第3楽章、爽快でバランスのとれた、胸のすくような心地よい演奏です。
 第4楽章、ゆったりとして、スケール壮大な音楽をウィーン・フィルの美しい響きでじっくりと聴かせてくれる、聴き応えのある演奏です。

ベーム 1972年録音

 第1楽章、力強く勢いのある主部。ウィーン・フィルがドイツのオーケストラに変身したかの感があります。ベームのベートーヴェンでは、これまで聴いてきた4曲では最高の出来です。素晴らしい迫力と気魄に満ちています。
 第2楽章、分厚い響きでシンフォニックな演奏。こんなにどっしりと響いてくる演奏は聴いたことがありません。
 第3楽章、この楽章も重心の低い重量感のある響き。ここで思い出しました。確か1975年のベームとウィーン・フィルの来日公演。FM放送で聴いて、当時感銘を受けたのと同じ響きです。これがベームによるウィーン・フィルの音なんですね。
 第4楽章、凄い迫力でぐんぐん迫ってきます。どっしりと落ち着いて、着実な歩み。武骨とも思える表現ですが、ウィーン・フィルの優美な響きはそれでも美しい。これがベームのベートーヴェンかと今更ながら。唸ります。素晴らしい演奏でした。

バーンスタイン 1978年録音

 第1楽章、抑えた導入部、そして、躍動する主部。精気みなぎるバーンスタインの指揮です。この演奏は映像版もありますが、映像を見なくても、バーンスタインの溌剌とした指揮が目に見えるようです。この曲をニューヨーク・フィル時代から得意にしていたバーンスタインならでは演奏です。バーンスタイン・ファンにはたまらない演奏でもあります。素晴らしい!!
 第2楽章、高揚した第1楽章から一転して、祈りを捧げるかのような静謐な音楽です。
 第3楽章、意外に落ち着いた表現。第4楽章での爆発に備えているかのようです。
 第4楽章、気力充実の冒頭、そして、流れるようにどんどん前進していきます。熱過ぎる演奏にぐいぐい引き込まれていきます。そして、感動のフィナーレ。
 これはバーンスタインとウィーン・フィルのベートーヴェン・チクルスの中でもピカイチの金字塔的演奏です。

アバド 1988年録音

 第1楽章、アバドらしくキレのある、美しくまとまりのある演奏。ちょっと優等生らしく、型にはまった感じもしますが、それでもこの演奏は現代のスタンダードと言えるかもしれません。抵抗なく、とても聴きやすい演奏です。ウィーン・フィルの伸びやかで流麗な響きも素晴らしいです。終盤の盛り上がりも秀逸です。
 第2楽章、思いっきり、耽美的な演奏。これはこれで素晴らしいです。すっかりと角の取れて、流麗で美し過ぎる音楽です。アバドの指揮に応えたウィーン・フィルも見事。思わず、うっとりと聴いてしまいました。
 第3楽章、古典的造形美に満ちた見事な演奏です。この楽章の演奏ではトップクラスの素晴らしさです。
 第4楽章、実に流れるように美しい音楽が進んでいきます。一点の曇りもなく、一切の停滞もありません。見事としかいいようのない演奏です。
 全体として実に爽やかな演奏で魅了されてしまいました。これがベートーヴェンでなく、ロマン派の作曲家の作品であれば、これ以上の演奏は望めないと思うほどです。だけれども、ベートーヴェンの精神世界の深い内面を描き切ったかと言えば、それは否。しかし、そういう理屈を吹き飛ばしてしまうような快演で、きっとアバドファンにはたまらない演奏でしょうね。

ラトル 2002年録音

 第1楽章、速めのテンポでアクセントをきっちりとつけて、きびきびした演奏。だが、意外に普通の演奏。もっと面白いオリジナルな演奏になるかと期待していました。それでも、聴き進むと、やはりモダニズムを感じる演奏になっていきました。どこかしら、プロコフィエフの古典交響曲の響きも聴こえてくる感じです。
 第2楽章、隈取のはっきりした美しい表現で、どこにも小細工のない堂々とした演奏です。ベートーヴェンの書いた譜面が如何に素晴らしいものであったかを実感させてくれるような演奏です。すなわち、譜面を素直にそのまま演奏すれば、美しい演奏になるという好例だと感じました。
 第3楽章、大変テンポの速い颯爽とした演奏。一切の澱みはありません。。
 第4楽章、まことに小気味よいテンポで切れ味鋭い演奏です。いやはや、こんな速いテンポでも完璧な演奏をするウィーン・フィルの恐るべき合奏力には脱帽です。ほかのオーケストラでは、こうはいきませんから、ラトルは心得たテンポの設定なんでしょう。

ティーレマン 2009年録音

 もちろん、これを聴くのが目的! これを最後に聴きます。
 第1楽章、ずいぶん遅めのテンポ。導入部は薄明の世界。主部にはいっても歩みはなかなか進みません。かといって、壮大なスケールの音楽でもありません。ピリッとしない不完全燃焼のまま、この楽章は終了。
 第2楽章、この楽章もかなり遅めのテンポで、あまり緊張感もありません。あるいは抑えた表現なのかもしれませんが、終始、沈んだ表情での演奏になりました。
 第3楽章、この楽章ものり切れません。一体、どうしたんでしょう。これがライブの難しいところです。
 第4楽章、この楽章も幾分、遅めですが、ようやく目を覚ましたように活力が感じられるようになってきました。ティーレマンらしく、重量感もありますが、ウィーン・フィルの流麗さも目立ちます。
 全体として、ライブゆえの、もうひとつのり切れない演奏に終始したようです。人間がやることだから、常にベストの演奏というのは難しいのかもしれません。


15枚のCDを聴き通して、水準の高い演奏ばかりなのは驚きです。
フルトヴェングラー1943年盤は破格のCDです。人間の力を超えた何かがあります。ウィーン・フィルとの演奏もそれと並ぶ名演です。この2枚のCDは頭抜けています。このほか、ウィーン・フィルの演奏は名演揃いです。個人的にはバーンスタインのCDは手放せない一枚です。ウィーン・フィル以外ではやはり、コンヴィチュニーは素晴らしいです。ムラヴィンスキーも見事。

肝心のティーレマンのベートーヴェン・チクルスの聴きどころです。

 1.聴きどころ以前に、今回の演奏にはがっかり。今度の来日公演では一発逆転の演奏を望むのみです。

次は、いよいよ、超名曲、第5番です。3回に分けて、特集します。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第5番《運命》①ウィーン・フィル以外

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第2日(11月10日(日):交響曲第4番、第5番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)

今回からは交響曲第5番ハ短調《運命》Op.67について聴いていきます。
交響曲第5番《運命》はベートーヴェンが1807年から1808年にかけて、交響曲第6番と並行して作曲しました。交響曲第4番を1807年に完成し、歌劇「フィデリオ」、ピアノソナタ第23番「熱情」、ラズモフスキー弦楽四重奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第4番などもこの時期に作曲しましたから、凄いペースの量産、それも傑作揃いです。ロマン・ロランが「傑作の森」と名付けた作品群の中でも、特別な存在がこの交響曲第5番《運命》です。
saraiも子供の頃、この交響曲第5番《運命》を聴いて、クラシック音楽に傾倒していきました。
初演はウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で1808年に交響曲第6番、ピアノ協奏曲第4番と一緒に行われたというのですから、凄いコンサートだったのですね。

交響曲第5番《運命》のCDは名演が揃っています。ここはぐっと力を入れて、聴いていきます。今回から3回シリーズにします。
・ウィーン・フィル以外(8枚)
・フルトヴェングラー(6枚)
・ウィーン・フィル(7枚)
計21枚以上聴きます。

今回はウィーン・フィル以外の7枚を聴きます。
以下、録音年順に感想を書いていきます。

まず、ウィーン・フィル以外です。

トスカニーニ、NBC交響楽団 1952年録音 モノラル

 特に後半の2楽章は凄い演奏です。
 第1楽章、とても引き締まった表現ですが、トスカニーニらしい鉄壁のアンサンブルという感じではありません。もっと怒涛のような演奏を期待していましたが、若干、肩透かしの感です。
 第2楽章、迫力はありますがトスカニーニらしいカンタービレは聴こえてきません。それでも終盤の盛り上がりはさすがです。
 第3楽章、これは素晴らしい。沸き立つような歯切れの良いリズム、そして、中間部のきびきびした厳しい表現に感銘を受けます。
 第4楽章、冒頭の歓喜の歌の雄々しさには感動! 緊張感みなぎる演奏には、ただただ心を打たれます。そして、再現部の素晴らしい音楽! 終結部の高まりには、もう忘我の境地。この演奏を実演で聴いたら、卒倒するかもしれません。

ワルター、コロンビア交響楽団 1958年録音

 このワルターの演奏は子供の頃、繰り返し、繰り返し、LPレコードが擦り切れるほど聴いたものです。隅々まで頭に刻み付けられています。今聴いても、ベートーヴェンの精神世界を峻厳に再現した演奏に感動新たです。ワルターは偶数番号の交響曲を得意にしていたと言われますが、奇数番号についても素晴らしいという見本がここにあります。80歳を過ぎたワルターの激しい燃焼の音楽です。
 第1楽章、凄まじい迫力を柔らかい響きで表現した見事な演奏です。
 第2楽章、いとおしむような温かい音楽の表現がここにあります。ワルターはコロンビア交響楽団にウィーン・フィルの響きを求めたであろうと推察されます。柔らかい響きに包まれて、心が平安になる思いです。
 第3楽章、ワルターにかかるとこの楽章も歌になってしまうことに今更ながら、気が付きました。中間部の低弦の響き、動きが何とも素晴らしいです。
 第4楽章、冒頭、高らかに歌われる第1主題の響きは何と柔らかいのでしょう。

フリッチャイ、ベルリン・フィル 1960年録音

 フリッチャイはこの録音の3年後に48歳の若さで世を去ります。この時期、コンヴィチュニーといい、若くして亡くなった大いなる才能があまりにも惜しいです。この素晴らしい演奏を聴き、その念が強くなりました。
 第1楽章、悠然とした構えで開始。フルトヴェングラーが亡くなって6年後のベルリン・フィルはまだ十分にその遺産を引き継いだ破格の響きです。スケールの大きな美しい響きに耳を奪われます。終盤に大きな盛り上がり、巨大な音の塊に圧倒される思いです。
 第2楽章、猛烈に遅いテンポでとても美しい音楽。このテンポでもたつきを感じないのはベルリン・フィルの素晴らしい合奏力のなせる業でしょう。それにしても、ベルリン・フィルの輝かしい響きには魅了されるのみです。
 第3楽章、これもゆったりと磨き抜かれた演奏です。
 第4楽章、冒頭、何たる輝かしい演奏でしょう。充実した展開部を経て、感動の再現部に至ります。見事過ぎる演奏です。第4楽章の高揚感は言葉で語り尽くせないものです。何という巨大なスケールの演奏でしょう。

コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1960~61年録音

 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の響きには魅了されるのみです。
 第1楽章、遊びのない実直とも言える直球勝負という感じの演奏です。この曲はそれだけですべてを語ってくれる音楽的内容があるので、とても好ましく感じます。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は相変わらず、素晴らしいアンサンブルです。
 第2楽章、さりげない、実にさりげない演奏です。もちろん、歌い上げるべきところは歌い上げます。あるがままを演奏し、聴く側のこちらもあるがままを受容するといったところです。
 第3楽章、ゆったりとしたテンポで細かいニュアンスの表情付けが丁寧に表現されています。音楽の流れはあくまでも自然です。
 第4楽章、悠然とした構えの大きな演奏です。終始一貫、最後までテンポを守り抜くのもコンヴィチュニーらしいです。もう少し、熱くなってもと思わないでもありませんけどね。

クーベリック、バイエルン放送交響楽団 1969年録音

 これは全集盤ではなく、手兵であるバイエルン放送交響楽団とのライブ録音です。全集盤に先立つこと4年前の演奏です。もちろん、ミュンヘン・ヘラクレスザールでの録音です。期待して、聴いたのですが・・・。
 第1楽章、まあ、普通の出来でしょうか。中庸という感じの演奏です。
 第2楽章、これも普通の出来。トゥッティのところの迫力はなかなかのものですけどね。
 第3楽章、少し、響きがよくなってきたかなという感じではあります。
 第4楽章、響きも切れも良いのですが、ちょっと訴求力に欠ける感じです。

クーベリック、ボストン交響楽団 1973年録音

 基本的な表現は1969年のバイエルン放送交響楽団と同じですが、音楽としての訴求力に優ります。瑞々しさにあふれる感じとでも表現すればよいのでしょうか。とても魅力的な演奏です。
 第1楽章、迫力もさることながら、クーベリックらしいロマンに満ちた演奏と言えるでしょう。ボストン交響楽団の合奏力もこんなに素晴らしかったのですね。
 第2楽章、繊細な情感にあふれた美しい演奏です。細かい表情付けが見事です。
 第3楽章、潤いのある響きがとても魅力的に感じます。
 第4楽章、第1主題を爽やかに歌い上げます。繰り返しの主題提示部はさらに美しく響きます。再現部もさらに素晴らしいです。第1主題が見事に歌い上げられます。そして、感動のコーダ!

ジュリーニ、ロサンジェルス・フィル 1979年録音

 ここらあたりで、大好きなジュリーニにも登場してもらいましょう。
 第1楽章、非常に鋭角的で、切り込んだような表現。後年のジュリーニのようにじっくりと粘るような感じはまったくありません。このとき、ジュリーニ65歳。まだまだ、若かったんでしょう。
 第2楽章、一転して、テンポを遅くして、落ち着いた演奏でじっくり聴かせます。地味ですが、情感あふれる演奏に心魅かれます。
 第3楽章、主題は祝祭的な雰囲気さえ感じます。晴れやかで心浮き立つ演奏です。主題の繰り返しは一層、晴れやかな雰囲気です。再現部は厳かな雰囲気に少し変質します。終結部はいくぶんテンポを上げて、整然としたフィナーレです。それほど大きな感動を与えてはくれませんが、とても気持ちよく聴ける演奏で、ジュリーニのファンには手放せないものです。

ハイティンク、ロンドン交響楽団 2006年録音

 これはフリッチャイの悠然とした巨大な演奏とは対極にあるような簡潔な表現の演奏ですが、どちらの演奏も捨て難い魅力があります。
 第1楽章、妙な思い入れのない簡潔な表現。テンポよく音楽は進行していきます。“運命”は遅滞なく、暫しの余裕も与えてくれないのかという思いに駆られます。終盤に向けて、大変、白熱化していきます。大変な迫力を感じます。
 第2楽章、ここでも、テンポは異様に速いです。無駄な停滞は一切ありません。強弱のメリハリも明確で見通しの良い音楽になっています。“運命”というテーマであることを考えれば、緩徐楽章といえども、このように推進力のある表現になるのもよいかもしれません。“運命”に立ち向かう悲愴な決意・覚悟は十分に表現されています。
 第3楽章、快速の中間部が凄い。低弦の切れのよいこと!! この楽章の終盤でテンポを落として、ぐっと音も抑えて、アタッカにつなぐあたりが見事で、一気に終楽章に突入していきます。
 第4楽章は、めちゃくちゃ、高速です。最初は少し戸惑いましたが、この勢いは誰にも止められないという感じの凄さ。ティンパニの強打にも驚かされます。ハイティンクのユニークで斬新な表現です。白熱の展開部もあっという間に終わり、再現部もテンポを落とさずに高速演奏。溜めなんてものは一切なしです。これはこれで清々しいものです。終結部ももちろん、高速。爆発するような気概にあふれた演奏です。とても感銘を受けました。

このほかにも、ムラヴィンスキー+レニングラード・フィルやライナー+シカゴ交響楽団など、とても魅力的な演奏もありますが、この後、本命のフルトヴェングラーやウィーン・フィルを聴かないといけないので、ぐっと自制して、ここで終了します。

ここで聴いた演奏は指揮者の個性を発揮した名演揃いで、どれが一番とは言えるものではありません。ただ、saraiがまた聴きたいと思うのは、トスカニーニ、ワルター、フリッチャイ、ハイティンクあたりです。

次回はこの交響曲第5番《運命》で伝説を築いたフルトヴェングラーを聴きます。彼の数奇な運命も辿ってみます。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第5番《運命》②フルトヴェングラー

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第2日(11月10日(日):交響曲第4番、第5番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)


今回は交響曲第5番ハ短調《運命》Op.67の2回目、フルトヴェングラーのCDを聴いていきます。
フルトヴェングラーは20世紀を代表する大指揮者でしたが、特にベートーヴェンの交響曲については他の追随を許さない名演の数々を残してくれました。もちろん、実演を聴いていないので、本当の凄さは分かりようがありませんが、古いライブ録音を聴いただけでもその片鱗は味わうことができます。
フルトヴェングラーは1886年にベルリンで生まれ、1954年にバーデン・バーデンで68歳で世を去りました。saraiが物心がついた頃には、この世にいなかったし、クラシック音楽を聴き始めた頃には過去の巨匠の一人だったわけです。彼の生きた時代はまさに激動の時代、それもその中心地のベルリンを拠点にしていたわけで、ナチスの影響から免れることは不可能で、良かれ悪しかれ、彼の音楽活動はナチスの巻き起こした戦争の影の中にあります。
今回聴く交響曲第5番《運命》はフルトヴェングラーのレパートリーの根幹を成す作品の一つで、彼の音楽人生の節目節目での名演の録音が多数遺されています。分かっているだけで、1926年、40歳頃の録音から、1954年、最晩年の録音まで、12の録音があり、すべて、CD化されています。19年間にわたる音楽記録です。このうち、半分にあたる6つの録音を今回、聴いてみます。いずれも名演の誉れの高いものばかりです。

 1.1937年10月8日&11月3日、ベルリン・フィル、スタジオ録音、ベートーヴェンザールにおけるHMVによるSP録音(opus蔵)
 2.1943年6月27日、ベルリン・フィル、ライヴ録音、ベルリン(メロディア)
 3.1947年5月25日、ベルリン・フィル、ライヴ録音、ベルリンのティタニア・パラストでの戦後復帰コンサート1日目(AUDITE)
 4.1947年5月27日、ベルリン・フィル、ライヴ録音、ベルリンのソ連放送局のスタジオでの戦後復帰コンサート3日目(DG、旧盤と新盤)
 5.1954年2月28日&3月1日、ウィーン・フィル、スタジオ録音(EMI最新リマスター盤)
 6.1954年5月23日、ベルリン・フィル、ライヴ録音、ベルリンでの第5番の最後の録音(AUDITE)

 1.の録音の前年はニューヨーク・フィルの次期音楽監督にトスカニーニから指名されましたが、ナチスの妨害により破談しました。1.はナチス政権下のベルリンでの録音です。SP盤の交響曲第5番《運命》の代表的録音と言われていました。CDはSP盤からの復刻です。
 2.は戦争の真っ只中のベルリンでの録音です。明日も分からない限界状況の中での録音です。このマスターテープはベルリンに進出したソ連軍がベルリンの放送局からソ連に持ち帰ったもので、それをもとにロシアのメロディアがリマスターしたCDです。
 フルトヴェングラーは戦争末期の1945年にスイスに亡命を果たしますが、同年5月、ナチス協力者の疑いで連合国から演奏禁止処分を受けます。2年後の1947年に「非ナチ化」裁判の無罪判決をうけ、音楽界に復帰することになります。
 3.はその復帰コンサートの記念すべき記録です。会場に詰めかけたベルリンの市民、そして、ベルリン・フィルのメンバーはステージに登場したフルトヴェングラーに総立ちで歓呼の声を上げたそうです。
 4.は復帰コンサートの3日目です。世評では、これが交響曲第5番《運命》の最高の演奏だと言われています。
 5.はEMIのベートーヴェン交響曲全集の1枚で、ウィーン・フィルとのスタジオ録音です。最晩年の録音で4.のベルリン・フィルとの演奏と並んで、交響曲第5番《運命》の演奏の双璧だと評価されています。
 6.はその3カ月後、コンサートツアーから戻ったベルリンでの録音で、これがフルトヴェングラーの交響曲第5番《運命》の最後の録音となりました。6カ月後、フルトヴェングラーは肺炎で他界します。

では、録音年順に感想を書いていきます。

1.1937年10月8日&11月3日、ベルリン・フィル

 SP盤の復刻ですから、もちろん、シャーというSP盤のノイズはありますが、実に鮮明な音に驚きます。当時のベルリン・フィルはこんな素晴らしい響きだったのかと2重の驚きです。
 第1楽章、フルトヴェングラーらしい前進力のあるテンポ遅めの演奏ですが、響きの美しさにも感銘を受けます。絶妙のタメ、パウゼにため息が出るほどです。
 第2楽章、中庸的な表現。かなり抑えめの演奏でおとなしいイメージです。優しくやわらかな演奏とも言えます。
 第3楽章、幾分、ためらいがちのテンポで、“運命”を突き進むべきか否か、迷っているかの如き雰囲気を感じます。中間部では、ふっきれたようにテンポを上げます。その後、極端にテンポを落とし、音楽が今にも止まってしまうかと思うほどです。終楽章への周到な布石なんでしょう。そのまま、アタッカへ。
 第4楽章、決然とした輝かしい音楽が始まります。主題の繰り返しはありません。速めのテンポで展開部を通過します。再現部は提示部と同じようなテンポ。アッチェレランドして、終結部に進んでいく。堂々たるコーダで完結。しかし、忘我の境地に至るような演奏ではありません。

2.1943年6月27日、ベルリン・フィル
 
 第1楽章、異様な熱気に包まれています。1937年に比べると、テンポは遅めです。もう、どこがどうとは言えません。フルトヴェングラーの異常な集中力に聴く者のテンションも上がるだけです。凄い!!
 第2楽章、一転して、平穏な音楽が続きます。その平穏さも終盤に向けて、次第に集中力を高めていき、どんどんと高揚していきます。終わり近くのパウゼ、ルバートは思い切ったもので、こちらも息を呑んでしまいます。
 第3楽章、中間部で低弦が活躍するあたりから、ぐいぐいと推進力を増し、終盤でまた、思い切って、テンポを極端に落とします。1937年と同様に音楽が止まってしまうくらいです。高い緊張力を保ちながら、アタッカへ。
 第4楽章、とてもとても力強いテーマ! 満を持していたかのようです。そして、決然とした再現部。冒頭の提示部よりも勢いを増して進んでいきます。凄いアッチェレランド。熱過ぎる・・・実に白熱した演奏。コーダの圧倒的な突進はもう誰にも止められません。フィナーレが凄過ぎます! もう我を忘れて聴き入ってしまいます。

3.1947年5月25日、ベルリン・フィル

 これは音楽ですが、歴史的な記録でもあります。ここでは、純然たる音楽として、このCDを聴いていきましょう。
 第1楽章、確かに最初は大指揮者フルトヴェングラーといえども、力がはいり過ぎるのはやむを得ないところでしょう。次第に固さがほぐれ、終盤の盛り上がりは凄い! 激情が怒涛のようにあふれ出ます。
 第2楽章、起伏の大きいのは今まで通りですが、とても気合の乗った演奏です。求心力がとても高い演奏です。
 第3楽章、高らかに鳴り響く音楽が素晴らしいです。中間部の低弦の動きの激しさも尋常ではありません。
 第4楽章、感情が爆発したように高らかに歌い上げる主題。展開部の盛り上がりも素晴らしいものです。光り輝く再現部に圧倒される思いです。その高揚の果てに終結部に突入します。すべてを呑み尽くすような奔流のようなコーダ、これは最高のコーダです。心技一体でのみ成し得た奇跡でしょう。

4.1947年5月27日、ベルリン・フィル(DG、旧盤と新盤)

 この演奏のCDはDGから出ていますが、旧盤と新盤の2種類が入手可能です。一般には、新盤のTHE ORIGINALSが販売されています。これは"ORIGINAL・IMAGE・BIT・PROCESSING"という方式で新たにリマスターしたものですが、フルトヴェングラー好きの諸氏はこぞって、このCDは改悪だと声を合わせています。この声に押されたのか、DGはその後、旧盤(UCCG-3969という番号のCD)を併売するようになりました。以下の感想はこの旧盤に基づくものです。しかし、その後、新盤も聴いてみましたが、それほどの音質の差は感じられず、元々、同じ演奏なのだから、感銘の度合いも同じです。ただ、これから新たにこのCDを入手するかたはあえて、新盤に手を出す必要もないでしょう。もっとも新盤には旧盤には含まれない大フーガが含まれており、SHM-CDでも出ているので悩ましいですね。
 このCDは世評で最高と言われていますが、saraiには、それほどの確信はありません。saraiの最高の1枚は別のCDです。  
 第1楽章、荘重に運命の動機が始まります。堂々たる表現です。復帰後3日目で、最高の状態に戻ったようです。再現部も神々しく、終結部は高揚していきます。素晴らしい演奏です。
 第2楽章、これまた、堂々たる表現。ナイーブな表現も素晴らしいです。
 第3楽章、厚みがあり、切れの良い響きの重厚な演奏です。中間部は低弦に導かれて、激しい音楽が展開されます。
 第4楽章、巨大な音楽です。登りつめた山の頂を思わせます。凄まじい表現も感じます。フルトヴェングラーの気魄とベルリン・フィルの意気込みが一つになった火の玉のような演奏です。再現部でも、ゆるぎのない巨大な山塊。その山塊が怒涛のように動き出していくのですから、圧倒されるなんてものではありません。凄い勢いです。フィナーレは感動以外の何者でもありません。恐ろしいくらいの突進に我を忘れてしまいます。

5.1954年2月28日&3月1日、ウィーン・フィル

 これだけはウィーン・フィルとの演奏です。フルトヴェングラーはベルリン・フィルが手兵ですが、ウィーン・フィルとも強いつながりを持っています。ナチス政権下でウィーン・フィルの解体を阻止したのは誰あろう、このフルトヴェングラーだったんです。フルトヴェングラーがいなければ、現在のウィーン・フィルもどうなっていたでしょう。そして、saraiはフルトヴェングラーの演奏では、このウィーン・フィルの響きのほうがベルリン・フィルの響きよりも好きなんです。ただ、この録音はスタジオ録音なので、ライブ録音のようなフルトヴェングラーの熱気はないのが残念ではあります。
 第1楽章、これは端正で美しい演奏です。CDの音質も素晴らしいです。終盤のスケールの大きさも申し分、ありません。
 第2楽章、たっぷりとして、包容力の大きな音楽です。人間的な温もりさえ感じてしまいます。
 第3楽章、管と弦の一体となった響きの美しさ。造形の美しい演奏です。
 第4楽章、これはまた見事な開始です。この曲の量感、厳粛さを余すところなく表現しています。展開部もスケールが大きく、美しい響きで緊迫感のある演奏です。そして、再現部の何と輝かしいこと!! そんなにアッチェレランドを掛けることもなく、堂々と音楽は進行し、フィナーレも整然と終わります。

 フルトヴェングラーらしい“熱”には欠けるかもしれませんが、これは紛れもなく、巨匠が最晩年に残した超名演です。ウィーン・フィルとの組み合わせもとてもよかったと思います。

6.1954年5月23日、ベルリン・フィル

 いよいよ、フルトヴェングラー最後の交響曲第5番《運命》を聴きます。どうしても、聴き始まる前から、これが稀代の名指揮者フルトヴェングラーの死が近いときの《運命》だと思うと、感傷的になってしまいます。彼の全録音の最初はこの《運命》でした。この曲にかける彼の強い思いはこれまでの演奏で十分に伝わってきました。彼の人生もまさに闘争でした。この《運命》のように・・・。さあ、聴いてみましょう。

 第1楽章、始めから心に沁みる演奏です。彼の数奇な運命と重ね合わせると、涙なしには聴けません。手兵であるベルリン・フィルとの《運命》では、恐らく、最も音質のよい録音です。その録音を通して、フルトヴェングラーの代名詞とも言えるこの《運命》の表現がとてもよく聴き取ることができます。ベルリン・フィルの演奏も素晴らしいです。もっとも心に響いてきた第1楽章です。
 第2楽章、まるで鎮魂曲のように訴えかけてきます。心にジーンと沁みてくる響きです。そして、何よりもとても美しい。魂の歌です。
 第3楽章、金管で演奏される主題は悲しみに満ちています。この第3楽章がこんなに悲しく聴こえたことはありません。低弦で始まる中間部もいつものベルリン・フィルのような勢いのある凄みはなくて、整然と美しい響きです。まるでウィーン・フィルみたい。終盤はいつもの通り、極端にテンポを落としますが、今回は芝居っ気はまるでなくて、自然に歩みがゆるんだかのようです。
 第4楽章、最後の力を振り絞るように冒頭のテーマが始まります。熱い感動を覚えます。ベルリン・フィルの渾身の素晴らしい合奏力は一切の乱れもなく、パーフェクトな演奏です。フルトヴェングラーの最後の《運命》にふさわしい熱演です。そして、再現部、これがフルトヴェングラーの最後の最後に到達した地平です。もう、感動するしかないでしょう。ベルリン・フィルは気合のはいった美しい最高の演奏でした。フルトヴェングラーのすべての音楽の総決算とも言うべきこの演奏は計り知れない価値あるものでした。

これでフルトヴェングラーの6種の演奏を聴き終えました。言葉もありません。どれも素晴らしい演奏です。今回聴かなかった残りの6つの演奏も恐らく素晴らしい演奏でしょう。それでも、この中から一つだけ選べと無理難題を言われたら、涙なしでは聴けなかった最後の1954年のベルリン・フィルの演奏を躊躇なく、選びます。同年のウィーン・フィルとの演奏も忘れ難いのですが・・・。

次回はこの交響曲第5番《運命》の3回目、フルトヴェングラーを除く、ウィーン・フィルの歴代の名演を聴きます。遂にカルロス・クライバーも登場します。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第5番《運命》③ウィーン・フィル

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第2日(11月10日(日):交響曲第4番、第5番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)


今回は交響曲第5番ハ短調《運命》Op.67の3回目、ウィーン・フィルのCDを聴いていきます。

では、録音年順に感想を書いていきます。

フルトヴェングラー 1954年録音 モノラル

 これは前回、既に書きました。

シュミット・イッセルシュテット 1968年録音

 第1楽章、まことに素晴らしい響きの演奏に魅了されます。この時期のウィーン・フィルの響きは芳醇で魅力的なサウンドであったようです。こういう素晴らしいオーケストラには、シュミット・イッセルシュテットのようなオーソドックスで自然な指揮がぴったりです。変な小細工は何も必要ありませんね。
 第2楽章、何という美しい響きでしょう。呆然として、聴き入るのみです。
 第3楽章、実に見事な演奏です。音楽の調和がここにあります。ウィーン・フィルの美音を完全に活かせるテンポで指揮したシュミット・イッセルシュテットも立派です。
 第4楽章、ここまで美しい音楽が可能なのでしょうか。濁りのまったくないピュアーな響きです。スケール感もあり、ピュアーでありながら厚みもあります。DECCAの録音技術も素晴らしいです。この演奏のようなオーケストラ演奏の極致とも言うべきものに対して、これ以上語るべき言葉はありません。

クライバー 1974年録音

 クライバーは全集盤がないので、取り上げませんでしたが、この交響曲第5番《運命》については取り上げるのが当然でしょう。交響曲第4番も取り上げようか、迷いましたが、ウィーン・フィルの演奏ではなかったので、見送りました。これまで何度となく聴いてきた演奏ですが、再度、聴いてみましょう。
 第1楽章、すっきりと切り込んでくる演奏です。自己の音楽に確信を持った決然とした演奏です。ある意味、ストレートな表現で妙なタメや澱みは一切ありません。そういう風に書くと、トスカニーニやムラヴィンスキー流の演奏を想起しますが、彼らのようにオーケストラが一丸になって突進するという演奏ではなく、高級スポーツカーで颯爽と疾駆していくというスマートなイメージのほうが強いと感じます。実際、あっという間に第1楽章は終わってしまう印象です。
 第2楽章、これもすっきりした演奏です。大時代的なところは微塵もありません。ルバートはほとんど感じさせませんが、決して一本調子ではなく、丁寧な表情が作り込んであります。とても美しい音楽です。
 第3楽章、金管と弦を融合しつつも響きを明確に鳴らし分けた、素晴らしい指揮さばきは見事の一言。中間部では、低弦を高速に走らせて、重量感よりも爽快感を打ち出した、稀有な表現です。この楽章もあっという間に通り過ぎていきます。
 第4楽章、これはとても美しい山(第1主題)のようです。この山に向かって、第3楽章まで、爽快に走り続けてきたかのようです。そして、主題を繰り返すことで、この美しい山がこの交響曲の中核であることを宣言します。クライバーの明確なヴィジョンが分かる重要な繰り返しです。そして、演奏も壮大なものに登りつめていきます。再現部はますます輝かしいものになっていきます。

 この演奏はクライバーの入念なプランに基づいて、美しく描き込まれた絵画のようなもので、とても見渡しのよいものです。ドロドロしたところはなく、美を追求した演奏になっています。フルトヴェングラーが演奏するものとはまったく別の曲に思えるほどです。いずれの演奏も見事であることは間違いありません。saraiはどちらの演奏も好みます。

ベーム 1977年録音

 交響曲第5番《運命》と交響曲第6番《田園》は素晴らしい来日公演のライブ演奏が残されています。《運命》は全集盤ではなく、この来日公演盤を聴きます。全集盤は1970年の演奏でしたから、これはその7年後のベーム晩年の演奏になります。
 第1楽章、予想と異なり、ウィーン・フィルの美しい響きを活かした自然な演奏になっています。もっと、重心の低い剛健な演奏を予想していました。リリックとも言っていい、ソフトなタッチです。これが老境の大家というものかと感心してしまいます。実に美しい音楽です。
 第2楽章、ベームの指揮で優雅で美しい音楽が紡ぎ出されます。強奏の部分はスケールの雄大な演奏ですが、落ち着いた美しさがあくまでも基調にあります。ここ楽章の美しい演奏に酔ってしまいそうになりました。
 第3楽章、この楽章も落ち着いた典雅な演奏です。とても魅力的な演奏です。
 第4楽章、自然な盛り上がり、あくまでも落ち着いた表現です。その演奏も展開部に至り、遂に熱いほとばしりが流れ出ます。再現部は壮大な盛り上がりで、ベームの気魄が感じられます。コーダが終わると同時に沸き起こった日本の聴衆の盛大な声援にびっくりです。

 これがベームかと耳を疑うような、しなやかな演奏でした。そして、これは畢生の名演です。

バーンスタイン 1977年録音

 ベームの来日公演の半年後の演奏です。こちらはウィーン楽友協会でのライブ録音です。
 第1楽章、美的で量感もあるバランスのとれた、しなやかな演奏です。ベームと同じ年の演奏だけあって、共通する響きも感じます。これが当時のウィーン・フィルの響きなんでしょう。両巨匠とも、強引にドライブすることもなく、ウィーン・フィルの響きを活かした自然な表現に徹しているところはさすがです。実に美しい演奏です。
 第2楽章、これはよく歌っている演奏です。見事な音楽の運びに感銘します。
 第3楽章、管と弦のバランスのとれた、まろやかな演奏です。甘美ささえも漂います。中間部で低弦が活躍するところは程よい突っ込み方に感じます。
 第4楽章、これは実に壮大な音楽です。量感がたっぷり。そして、雄大なテーマが繰り返されます。展開部は落ち着いた盛り上がり。そして、再現部は輝かしく、美しく、気魄に満ちた熱い演奏です。フィナーレに向かって、ひた走っていきます。最後は圧巻のコーダ!!

 これもまた、大変な名演です。

アバド 1987年録音

 第1楽章、相変わらずアバドらしく綺麗な演奏ですが、切り込みや凄みとかは感じられません。テンポは中庸ですが、スケール感、熱さは感じられません。
 第2楽章も第1楽章と印象は同じです。ただ、第2楽章の性格上、この楽章のほうが気持ちよく聴けます。
 第3楽章、古典的造形美に満ちた見事な演奏です。この楽章の演奏ではトップクラスの素晴らしさです。
 第4楽章、これは覇気に満ちた第1主題です。おおらかに歌い上げられます。繰り返しの第1主題も輝かしいものです。第3楽章まで抑えてきたものを一気に吐き出したかのようです。展開部も堂々たる演奏です。再現部もスケールの大きな、おおらかな演奏です。そのまま、輝かしく、曲が締めくくられます。重点を置いた第4楽章は素晴らしかっただけに、特に第1楽章の演奏が残念です。

ラトル 2002年録音

 第1楽章、相変わらず、ラトルは速いテンポでの演奏です。軽快とも言える表現です。最初から、ラトルは重い命題など意に介していないかのようです。純粋な音楽表現だけを目標にしているようです。これはこれで納得がいきます。
 第2楽章、この楽章も相当に速いテンポなのですが、第1楽章があまりにも速かったせいか、いったりと余裕のある表現に聴こえてしまうのは不思議です。美しい演奏ではあります。
 第3楽章、これも相当に速いのですが、何故か中庸の速度に聴こえます。自然な演奏なのでしょう。中間部は超高速。ウィーン・フィルの低弦が見事にこの超高速テンポをこなしているのには脱帽です。
 第4楽章、引き締まった主題、そして、繰り返し。どんどん加速していくかの如き演奏です。もちろん、この高速ではそれ以上の加速は不可能ですから、錯覚に過ぎません。再現部は輝きに満ちています。ウィーン・フィルはこの高速モードでも余裕で美しい響きを奏でます。終結部はもう凄いとしかいいようのないスピードで駆け抜けていきます。とても現代的な演奏です。そして、音楽性豊かでもあります。

ティーレマン 2010年録音

 もちろん、これを聴くのが目的! これを最後に聴きます。
 第1楽章、荘重な響きですが、いいテンポで音楽が進行していきます。とても気合のはいった演奏です。音楽の流れがスムーズで聴き応えがあります。魅力的な演奏です。終盤の迫力も満点です。ティーレマンらしく腰のすわった演奏でした。
 第2楽章、実に美しく、甘美とも言えます。ディテールの美しい響きが最高です。音楽を聴く喜びを堪能させてくれる、素晴らしい演奏です。
 第3楽章、幾分、早めのテンポで主題が歌われます。中間部は落ち着いたテンポ。この楽章は全体に抑えた表現に思われます。終盤にさしかかり、抑えた表現ながら、高い緊張感をはらみつつ、アタッカへ。
 第4楽章、巨大なエネルギーの噴出。第3楽章で溜めていたエネルギーを一気に吐き出すかのようです。悠然と美しい響きでもあります。繰り返しの主題はさらに素晴らしく、今度はぐっとアクセルを踏み込んで、アッチェレランドします。再現部もスピードを上げて、迫力満点! 細かくルバートを行いながら、終結部に進んでいきます。終結部も速いテンポです。そして、フィナーレではテンポを落とし、悠然と締めくくります。いやはや、ティーレマンのやりたい放題、自在なルバートで即興的とも思える演奏です。saraiはすっかり、この演奏に乗せられてしまいました。感動させてくれる演奏です。

これで21枚のCDを聴き終わりました。どの演奏にも満足です。
特に、ウィーン・フィルの演奏は素晴らしい演奏ばかりでした。

肝心のティーレマンのベートーヴェン・チクルスの聴きどころです。

 1.何と言っても第4楽章の自在なルバート。第3楽章からのつなぎも含めて、ドラマチックな表現をどう聴きとっていくかです。
 2.第1楽章の冒頭のテンポ、どうはいるか、それによって、全体の動き・構成も変わってくるかもしれません。固唾を飲んで、最初のダダダダーンを待ちましょう。
 3.第2楽章は間違いなく、甘美な演奏になるでしょう。これは耳を楽しませてくれることになります。心して、楽しみましょう。

これで2日目のプログラムまで完了です。3日目以降のプログラムについてはまた、後日、記事をアップします。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールの大聖堂の屋上テラスへ

旅の10日目(2013年4月13日(土)@フランス・ストラスブール)です。

今日は夕方までストラスブールの美しい街を楽しみ、それからまたライン川を遡り、いよいよスイスに向かいます。

ストラスブールの朝は快晴です。昨日は風が強くて上れなかったノートルダム大聖堂のテラスに上りましょう。その前にまずは朝食です。朝食ルームに向かいますが、途中通ったビリヤード台のあるロビーの豪華なことにため息がでます。


8ztiZXWTOPf798.jpg



朝食ルームも木材がふんだんに使われた豪華な造りです。5つ星ホテル並みですね。


E1kXwljMvAb595.jpg



チーズ、ハム、ソーセージの種類が豊富でしたが、パンも充実していました。


ZUWHm7L_H8ebc1.jpg



朝食を済ませ、ノートルダム大聖堂に向かいます。


H6nqThdEwH21fd.jpg



クーン通りを駅前に出てトラムに乗ってもいいのですが、駅とは逆の方向に歩いて停留所フォーブール・ド・サヴェルヌ通りFaubourg de Saverneに向かいます。こちらのほうが、一駅分旧市街に近いんです。


m3caKa5mhp9bd4.jpg



トラムに乗り、旧市街の入り口の停留所オム・ド・フェール広場Homme de Ferで降ります。チケットは昨日、24時間券を買っておきましたから、いちいち買う手間は省けます。クレベール広場Place Kléberを抜けて、グランド・アルカード通りGrandes Arcades通りを大聖堂に向かって歩きます。


69w5a01xUDd244.jpg



昨日も通ったグーテンベルク広場Place Gutenbergに出ました。また、グーテンベルク像に迎えられます。


dzB35HXt2e6f93.jpg



今日は土曜日なので、市場が開かれています。古書店がずらっと並んでいます。


_yzL_olGjr7afd.jpg



市場の通りの先に大聖堂の尖塔が頭を出しています。


6kuGMEKq5Xd389.jpg



市場には、花屋さんも出ていますね。


KSh1uP9nRf16ea.jpg



お店を横目に見ながらアルバルド通りRue des Hallebardesを抜けて、大聖堂の前の“カメルゼルの家”Maison Kammerzellに出ます。この家は1589年に建てられた木造の家です。外壁の木彫りの装飾は当時の流行だったそうです。現在の建物は19世紀末に修復されたものです。


SUh4ZWORmj0831.jpg



大聖堂の前に出ました。昨日も感動しましたが、やはり凄いの一語です。


DNfVl9EhKh92d8.jpg



ところでちょっと調べてみると、ノートルダム大聖堂という名の大聖堂はフランス全土に30以上もあるそうです。そのうち、saraiと配偶者が行ったのはパリとマルセーユのみ。有名なシャルトル、アミアン、ランス、ルーアンあたりには、いつか行ってみたいものです。ノートルダムとは我らが貴婦人という意味で、聖母マリアを信仰するものです。そのためでしょうか、規模の大きさもさることながら、繊細さが基調にあります。

大聖堂の右手の尖塔がない方に回ります。こちらの屋上にあるテラスに上って、眺望を楽しみたいんです。


Tkz7CfLbHb417b.jpg


ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。


2013090601.jpg



テラスに上る入口のドアを恐る恐る開けると、係の人が今日はOKだとのこと。やったね! 2人分10ユーロ払って、テラスへの螺旋階段を上ります。


hH3VB82Fih57ad.jpg



エレベーターはないとのこと。頑張って上りましょう。
ようやく半分ほど上りました。ここからは外の景色が眺められます。


LQN4DvG2GJ4585.jpg



左手にはロアン邸館Palais Rohanも見えています。ロアン邸館はマリー・アントワネットの宿になった建物です。後で寄ってみましょう。


x3wF82LIyC7cce.jpg



下を見下ろすと、随分上ってきたのが分かります。ふーっ。


acnsF4devv3f29.jpg



上を見上げると、テラスまでは気が遠くなるほどの高さです。くらくらっとします。


Vf14mrMiAm7553.jpg



このあたりは横に移動する回廊なので、やっと一息入れられます。


MRRG_PtFw_026d.jpg



最後はひーひー言いながらも、何とか一気に上れました。
テラスの建物のドアに手がかかりました。


1CwtYNAv9r7bc8.jpg



いよいよストラスブールの街を大聖堂の上から見渡します。この後は次回で。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールの大聖堂の屋上テラスからの美しい眺め

ストラスブールの大聖堂の屋上テラスにある建物内に登ってきました。ここの窓からも街が眺められます。


dt4vg3T1UU2fda.jpg



建物内は小奇麗な部屋になっています。


wKgYYGQ9WL8986.jpg



この建物を出ると、いよいよ屋上テラスです。テラスは地上66mの高さです。この大聖堂には、本来あるべき尖塔が1本しかありません。地盤が弱くて危ないので、建築を諦めたようです。その尖塔の高さは地上142m。このテラスからも76mの高さがあります。目の前には、その尖塔が聳えたっています。


yVJSCPCY2u24da.jpg



この尖塔と片側の建物の間が屋上テラスになっていて、展望台のようになっています。まだ朝早いので、人もまばらですね。


2zEw5KPsLm578b.jpg



これが1階建ての建物です。上を双眼鏡で見ている人がいますが、尖塔を眺めているようです。


sQ41LyidKOc54c.jpg



展望テラスの端に寄って、下を覗き込んでみます。人が蟻のように小さく見えています。


iJPvjC6fwj04a2.jpg



そして、ゆっくり視線を上げて美しい眺めを見渡します。おーっ!という感じです。素晴らしい。


ZmL_JSGhCP8eb2.jpg



視線を右の方に向けて、眺望を楽しみます。


oYoqGBbNDz7772.jpg



ここからの眺めは、かのゲーテも絶賛しています。ストラスブールの美しい街並みや遠くアルプスの山並みまで望めます。いよいよライン川をさかのぼる旅も終盤です。この眺めに見飽きることなく、ず~っと眺めていました。
これは大聖堂の建物の屋根ですが、こんなに下に見えます。


m8DLJiPPl1a295.jpg



手前の正面の建物はロアン邸館です。その裏にはイル川が流れている筈ですが、それは残念ながら見えません。


SfK9d67gBX4741.jpg



眺め飽きることはありません。色々な方向の眺めを楽しみ続けます。


AevcChqu7v3ab2.jpg



今度は尖塔の近くに寄って見上げます。尖塔は壁面が抜けていて、その間から向う側の空が見えます。尖塔の内部空間は、がらんどうなんですね。


eErZZWjgkC585c.jpg



尖塔の中に入ってみました。内部は何かの作業中のようで、ごたごたした様子です。窓からの眺望も今一つ。


PXpm7Zchm00cae.jpg



内部はがらんどうで、上に上るような階段などはありません。工事用の作業台のみが組み立ててあります。


PHDZB2We9w323a.jpg



尖塔から出て、また展望テラスに戻ります。


KSjC3zEenV0da5.jpg



振り返って、尖塔を見上げます。この尖塔は基部の四角い塔(40m)と上部の八角錐の塔(36m)から成っています。見事な石造りです。

rKWBJ9obVNc58f.jpg



近くからは彫像もよく見えます。多分、地上からはこういう細部はほとんど見えないでしょうが、手抜きなしでの建築であることがよく分かります。


dGlwbphRm2d55d.jpg



尖塔が青空に映えて美しいです。この尖塔の建設は1399年から40年かけて、1439年に完成したそうです。完成後、19世紀初頭まで4世紀にわたって、ヨーロッパのキリスト教世界で1番の高さを誇っていたそうです。


xH5uzvl4yj3240.jpg



もう一度、眺望鑑賞に戻ります。クヴェール橋Pont Couvertsを探します。ありました。これです。3つの大きな塔がクヴェール橋です。


uog0ioNfHrd274.jpg



もうちょっとよく見てみましょう。クヴェール橋の塔の先にはイル川の水面が見え、その先の茶色の屋根の白い建物がヴォーバンの堰Barrage Vaubanです。後でそのあたりを散策してみましょう。


RSGR_qkhRb28e3.jpg



こうして、かなり長い間、テラスに留まっていました。
次回は大聖堂のテラスから降りて、ロアン邸館に行きます。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブール大聖堂のファサードの素晴らしい彫刻

大聖堂のテラスから降りていきます。階段の柵越しに下の広場が見えますが、恐ろしいほどの高さです。階段から転げ落ちないように慎重に歩を進めましょう。


TAluca6jg36e37.jpg



階段の柵越しに大聖堂の外壁も見えます。


BgWMDZkq2kfb92.jpg



まだまだ大聖堂の建物の屋根が見下ろせますから、下に辿り着くのもなかなかです。


RynorfngTre52a.jpg



もう少し降りると、大聖堂の建物の屋根が直接見渡せるところに出ました。


QEjNq3P0VPc151.jpg



大聖堂前の広場を見下ろすと、今いるところはまだこんなに高いところです。


bajZKsZeIz5551.jpg



ここから見た大聖堂の壁面の装飾です。これは比較的あっさりしたものです。


XJgerZBFHG41db.jpg



このあたりは大聖堂の側面で、ステンドグラスの大きな窓が並んでいます。


l1hJrkYMaj6ec0.jpg



大聖堂の側面の装飾はあっさりしていると言っても、なかなか凝ったデザインになっています。綺麗ですね。後陣のドームも見えています。


bWCy9xOJ02a2ce.jpg



ほとんど降りてきました。無事に階段を降りることができそうです。


VHhWQ78Ykj4789.jpg



地上に降りてきて、大聖堂前に立ちました。ロアン邸館に行く前に大聖堂西側正面のファサードをじっくりと鑑賞しておくことにします。
これはファサード中央の扉部分です。扉の周りにはびっしりと彫刻が施されています。


_RwPGtmQoW09ac.jpg



仔細に観察してみましょう。
これは扉の中央部分です。聖母子の彫刻です。


sl9ZLeaBoC91b8.jpg



これは扉の上部です。中央部はキリストの受難の彫刻になっています。そのほか、キリストの生涯や最後の審判も彫刻になっています。呆れるほど細かい彫刻です。


TuXywN6BiOc17c.jpg



これは扉の左側。聖人像でしょうか。


_QUSYJUJuO465c.jpg



これは扉の右側。左側と同じような構成になっています。


gw1oVoIaTObde4.jpg



これは先ほどの扉上部のさらに上の部分です。羊の彫刻がずらっと並んでいます。よくよく見ないと分かりません。それほど細かい彫刻です。


J5REKunXcj81bc.jpg



さらに上部にはバラ窓があります。このバラ窓は16花弁のバラを模したもので、窓の直径は約13mと巨大なものです。バラ窓の周りも繊細な透かし彫りで囲まれています。


8b5OCzlvos617e.jpg



バラ窓の上の部分には、聖人像とその上に天使像が並んでいます。何とも気が遠くなるような膨大な彫刻群ですね。


8Jb5AGdyKf6253.jpg



今度はファサード左側を見てみましょう。こちらは上に高さ142mの尖塔が聳えたっています。写真では142mの建物全体をカバーできないので、側廊の天井から上の部分だけになっています。すなわち、この下に側廊の高さの分のファサードがあるわけです。


xcPtprAcRe7b0e.jpg



これは側廊の天井の上の部分です。バラ窓の左側になります。中央に比べると簡素ですが、それでも細かい透かし彫りで装飾されています。


5BKR2TD8VQ42e4.jpg



これはさらにその上部。その上はテラスの高さの尖塔の基部です。このあたりもちゃんと彫刻装飾が施されています。


iCaZTLXDTN0133.jpg



これはぐっと下がって、地上部分の扉です。中央の扉と同様の彫刻装飾に囲まれています。中央の扉よりも小さいため、扉上部の彫刻は少し簡素化されています。それでもちゃんと聖書の物語が作り込まれています。


Bzl879FfE66537.jpg



これは扉の上部です。素晴らしい透かし彫りが施されています。


tAIuvrfuZOab9d.jpg



細かく見ていくと、この巨大な大聖堂は細部にまでこだわって、繊細な彫刻が至る所に彫り込まれていることが分かります。この西側正面には3つの扉があり、その上に施された彫刻はそれぞれ3つの彫刻師集団が競い合うように作ったものだそうです。この大聖堂は巨大な彫刻作品とも言えるものです。この大聖堂に匹敵するものとして、現在、バルセロナにサグラダ・ファミリア教会が建設中ですが、これも完成が楽しみですね。このストラスブールのノートルダム大聖堂を上回る規模になるようです。

大聖堂を十分に堪能したところで隣にあるロアン邸館に向かいます。この後は次回で。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~マリー・アントワネットゆかりのロココの館・・・ロアン邸館

大聖堂西側正面のファサードをじっくりと鑑賞しました。素晴らしい建築作品です。堂々として繊細な美に満ちた大聖堂に深い感銘を受けました。


s7syGqff5p9360.jpg



次は大聖堂の隣にあるロアン邸館Palais Rohanに行ってみます。大聖堂の側面を回り込みます。後陣のあたりは工事中です。これだけの建物を維持するためには、常にどこかは修復が必要でしょう,


vzpzPjSCjn26e1.jpg



大聖堂を回り込むとロアン邸館が見えてきましたが、その前の広場はこれまた工事中です。


_aZJ8ebERj3a4f.jpg



工事中の現場の間の通路を抜けて、ロアン邸館の北側玄関の前に出ます。ドイツ風の建物が立ち並ぶ中、いかにもフランスらしい建物です。ここはマリー・アントワネットゆかりの建物で、配偶者がとても興味を持っていました。大変贅を尽くした建物で、宮殿といってもよい感じです。


TaAC3hL1WH9bb0.jpg



これは北側玄関の左側です。壁面が楕円の曲線を描く優美な佇まいになっています。これはロココ様式の傑作といわれるパリのスビーズ館に影響を受けているそうです。


rpaEIsfJlKd1fe.jpg



こちらは北側玄関の右側。


MKaNmx2dgO4f0c.jpg



玄関のアーチを抜けると、石畳の中庭に出ます。どっしりと落ち着いた石造りの建物に囲まれます。この建物はヴォージュ山脈から切り出した赤砂岩で作られていて、アルザス地方特有の色をしています。この砂岩は濡れると赤く、乾いて光を浴びると淡黄色になるそうです。


t4XeY7N5j05da4.jpg



中庭を進み振り返ると、北側玄関越しに大聖堂の側面が見えます。


qix7HQZv6hba94.jpg



ロアン邸館は1732年、時のストラスブール大司教のガストン・アルマン・マクシミリアン・ド・ロアン・スビーズが造営を命じました。ガストンは太陽王ルイ14世の庶子と言われる人物で、大司教であるばかりでなくアルザス地方の領主も兼ねていて、絶大な権力を握っていました。彼は宮廷建築家ロベール・ド・コットに建築を依頼。バロック・ロココ様式を熟知したコットはヨーロッパ中から第一級の芸術家や職人を呼び寄せ、豪華なロココの館を完成させました。
そして、1770年4月、オーストリアからルイ16世に嫁ぐために旅をしてきたマリー・アントワネットが、フランスでの第1夜をこのロココの館で迎えました。その翌日、彼女は身に着けるすべてのものをフランスのものに代えるために引き渡しの儀式の場所、ライン川の中洲に向かったのでした。
この館の主、ロアン家はストラスブールの大司教を4人も輩出する名家でしたが、1785年に時のロアン枢機卿が有名な《王妃の首飾り事件》で詐欺に巻き込まれ、一時は王妃マリー・アントワネットが自分の名前を使われて侮辱されたとして、彼を逮捕させる騒ぎにまで発展します。裁判の結果、無罪になったとは言え、ロアン家の名誉は失墜します。その結果、フランス大革命後の1791年にこのロアン邸館はストラスブール市に没収されました。
その後、ストラスブール市はこの館をナポレオンに献上し、ナポレオンは妻ジョゼフィーヌを伴って、たびたびこの美しいロココの館を訪れたそうです。
いやはや、華麗な歴史に彩られた館です。これは是非、その内部も見学しないといけないでしょう。向かって左側にエントランスがあります。


7jA0H3gNG_6a70.jpg



ここで入場チケットを購入。窓口のお姉さんがどのチケットが欲しいのって聞いてきます。フルチケットは併設している美術館や考古学博物館も見るものらしいので、saraiは館だけで結構と言うと、1階の装飾博物館のチケットを出してくれました。1人3ユーロです。


H_uoH4tqgG780d.jpg



まず、とても立派な大広間があります。


ClMBYNWNtg4a72.jpg



大きな窓があるので、その窓から外を見ると、イル川の流れが見えます。


Xd0TSPTekq36b2.jpg



この大広間から出て、ロココの館の美を巡ってみましょう。


v7FmVQ0btObfcf.jpg



この後は次回で。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールのロアン邸館の館内巡り

マリー・アントワネットゆかりのロココの館、ロアン邸館の館内を巡ってみます。
館内はヴェルサイユ宮殿をお手本とした豪華な続き部屋の形式、すなわちアパルトマン形式です。順に巡って歩いていきます。これはサロンでしょうか。豪華なシャンデリア、絵画が埋め込まれた壁面、その前には胸像が並びます。美しい木の床の上にはテーブルと椅子が並べられています。


jb85V9guz6aaa9.jpg



テーブル、椅子は見事なものです。


WikQGXeGr1983b.jpg



これはルイ15世が滞在した「国王の間」です。ヴェルサイユ宮殿に基づいて、非対称系の彫刻、鏡で装飾されています。ベッドの裏の壁は大きなタペストリーが飾られています。


R2ypTddslS3ab5.jpg



これは巨大なタペストリー。ともかく、この館の室内装飾は豪華です。


WwO7BN7SlL4354.jpg



これは「司教図書館」。ロアン邸館でも特に知られる部屋です。壁や扉は金箔で縁取られた額縁装飾で、典型的なロココ様式です。


oW6fK_tp8e8558.jpg



部屋では、大きな天球儀(もしかして地球儀?)が目立ちます。


aomqc7d5I8a62a.jpg



部屋の中央にあるテーブルと椅子は豪華そのもの。


UEgM6QUksUe375.jpg



壁際にはずらっと豪華なマホガニー製の本棚が並び、立派な革装の本が並べられています。金飾りも豪華です。


Pf_jU5zBDea748.jpg



壁は絵画とタペストリーで装飾されています。ルイ14世の肖像画もかかっています。


fv1WPOdbtVf0be.jpg



階段室は美しい吹き抜けになっています。


kIKUUvKysKd8e2.jpg



これはナポレオンの寝室のようです。


fhiGMJIkJvbc15.jpg



窓からは大聖堂が見えました。


Kk9Vu0tZiNc95d.jpg



購入したチケットで見学できるのは1階のみです。2階への美しい階段ですが、上るわけにはいきません。


0NZy1QidDyf233.jpg



これでロココの館の鑑賞を完了とします。ロアン邸館を出ると、目の前には大聖堂が圧倒的な存在感で迫ってきます。


e88AK3T5Ar7c1c.jpg



次はイル川に向かいます。イル川に出ると、そこはロアン邸館のイル川に面した建物正面の前です。これは中央に4本のコリント式円柱が立つ華麗な建物です。


4WE4f_tGzwc303.jpg



イル川にはクルーズ船が走るので、それに乗ってみましょう。前から楽しみにしていたんです。それは次回で。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~えっ、ストラスブールのイル川と運河を巡るクルーズ船は休業!!

今日の最大の楽しみ・・・ストラスブールの街を囲むイル川と運河を巡るクルーズ船に乗りましょう。ロアン邸館の前が船乗り場です。乗り場が見えています。


P9j_7Gnd2a8068.jpg



チケットを買おうとすると、係の人の今日は1日中船は出ないというすげないお答。確かに船着き場にはクルーズ船は一隻も見当たりません。水位が高いので、船が出せないそうなんです。そんな~! 楽しみにしていたのに・・・ブツブツ。


MQnsXMeucV242e.jpg



イル川には呑気そうに白鳥が泳いでいます。それなのに船が出せないなんてね。


bjjFdxYPb174e2.jpg



橋の上からイル川の流れを見ると、実に穏やかで美しいです。あ~あ~。


dkXwsPAW4s5317.jpg



仕方がないので、自分の足でイル川沿いを歩きましょう。幸い、今日は天気も素晴らしいしね。船着き場はガラーンとしています。


ftgkbHU6_E0490.jpg



当てが外れた他の観光客も同じ考えらしく、ぞろぞろと川岸を歩いています。

イル川沿いには綺麗な建物が立ち並び、気持ちのよい散策になりそうです。


v_jb79pvuD94af.jpg



目の前には橋がありますが、その下はトンネルになっていてくぐり抜けられそうです。


NarWIIs49D4f6f.jpg



ええーっ、トンネルの先は工事中らしく、しっかりとブロックされています。


fewejjsVF43de0.jpg



いったん川岸を離れて、迂回して進みましょう。川岸から大聖堂の方に上がると、そこは賑やかな子豚市広場。この広場には、17~18世紀に建てられた貴重な建物が並んでいます。


Rc8q8saARj1bcc.jpg



今日は土曜市が立っていて、人がどっと繰り出しています。


bv_n7c1JgH579e.jpg



綺麗な建物が軒を連ねていて、人も賑わい、お祭り気分です。


cmwDCggFYt5984.jpg



広場から続くコルディア通りも人でいっぱい。空には、何を狙っているのか鷹のような鳥が飛んでいます。


R09whhPnVf35af.jpg



鳥は鳶なのかよく分かりませんが、広場の上に舞い降りてきました。広場の古い建物によく似合います。


R0nqnxF0Pzfd1c.jpg



通りを進むと、小さな広場に骨董品の店が出ています。


QHub0l9Wwd02d9.jpg



このは食料品の店。


GcNr7rKmWy2b65.jpg



いったん、先ほどトンネルをくぐれなかったコルボー橋の上に出てみます。イル川を眺めると、どうも次の橋までは川岸に下りるところはなさそうです。


BnJNZrAJTI303f.jpg



コルボー橋の上も人がぞろぞろ歩いています。橋の袂の左に見えている建物は歴史博物館。


H1PLnyJf303f95.jpg



コルボー橋から、ヴュー・マルシェ・オー・ポワッソン通りを戻り、市場が出ている辺りに来ます。


hVDVUH3glOdb8b.jpg



もう一度市場に出ているお店でも眺めながら、ぶらぶら歩きましょう。
この後は次回で。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールの土曜市をぶらぶら散策し、プティット・フランスへ

イル川沿いの川岸を歩けないので、川岸近くで開かれている土曜市を覘きながら、ぶらぶら歩きます。
これは野菜屋さん。農業大国のフランスらしく、新鮮な野菜が豊富です。


ZtwXo69ZPTd67b.jpg



これは魚屋さん。


xHyKu_iFyI81fe.jpg



これは鶏屋さん。鶏以外の鳥の肉もあるかもしれません。


lpHCcHi4qE26d8.jpg



これはチーズ屋さんかと思いましたが、各種のパテを売っているようです。


9_hOhCSJpWfa76.jpg



これはソーセージ屋さん。サラミが多いようですね。


V_Gdw3AeP4b779.jpg



これは花屋さん。配偶者が期待しているような日本にない珍しい花は、なかなかありません。


s8JngRDdwz71bb.jpg



これはハーブ屋さん。豊富な種類が揃っています。


ge8FN60Hke83f4.jpg



これも魚屋さん。手前には、こちらでよく見かけるサン・ピエールがあります。


ZkawRhm4vRf790.jpg



市場を抜けて、ようやくイル川の川岸に下りるポイントを発見。ここはもう工事はしていないエリアです。


5sidURrdam61c9.jpg



うららかな陽光のもと、イル川散策は気持ちがいいです。


1goDu22e_Gb10e.jpg



ゆったりと鴨も泳いでいます。流れも緩やかなんでしょう。


gj3RW088K948c3.jpg



振り返ると、若い男女がベンチで寛いでいます。その向こうには橋が見えていますが、この橋とその向こうのコルボー橋の間が通行禁止区間だったんです。今歩いているのは、イル川沿いのサン・トマ通りを川岸に下ったところです。


aGxRTINsspcbf0.jpg



また、次の橋が見えてきました。マルタン・ルター通りの橋です。


tVNuhL8dz1210c.jpg



鴨が岸辺に近寄ってきました。鴨はどこの国にもいるもんですね。


mSMlUmrA8v32f1.jpg



マルタン・ルター通りの橋をくぐりぬけます。


6Num_dP0hV5c19.jpg



橋を過ぎると川幅が広がり、景色が変わってきます。この先、もうプティット・フランスでしょう。


Pc_psUKlRv2186.jpg



綺麗な柳の枝が緑の葉を付けて、川に垂れ下っています。なかなか絵になる光景です。ベンチで休んでいる家族もいます。


nERTS2peHbc078.jpg



柳の緑の先に橋が見えてきます。昨日も渡ったサン・マルタン橋です。その辺りはプティット・フランスです。


DMVld903338e8c.jpg



サン・マルタン橋が近づいてきました。その先の木組みの家々も散見できます。


YAJZKvBZ4Lce41.jpg



サン・マルタン橋です。今日もまたプティット・フランスにやってきてしまいました。


LAO7vxnz0o54ed.jpg



今日はプティット・フランスの先にも足を延ばしてみましょう。この後は次回で。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールのプティット・フランスをそぞろ歩いてクヴェール橋へ

イル川の岸辺を散策しながら、サン・マルタン橋の下までやってきました。振り返ると、川幅の広がったイル川のたっぷりした水面が綺麗です。左手には、サン・トマ音楽学校の建物が見えています。


B0MSO_aexG6889.jpg



サン・マルタン橋の先には、イル川の堰が見えます。昨日もこの風景を見ましたが、明るい陽光の下ではいっそう綺麗に見えます。


I0kxNDitcU6ac4.jpg



ここはイル川に張り出した木橋が作られているので、今日もその上を歩きます。気持ちがいいです。


jlW3_SNsIPf888.jpg



観光客もぞろぞろ歩いています。プティット・フランスは大聖堂と並ぶ世界遺産の街、ストラスブールの名所ですからね。


TFXuHrV9T84af1.jpg



この堰を見る限り、それほど水位が高いとも思えません。でも、クルーズ船が通行するには、橋の下を微妙にくぐりぬけられないほどの水位の上昇なんでしょう。


5CrxMenqbK44af.jpg



堰の水門を見ると、向うの方がかなり水位が高いようです。ここで水位の調整をしているんでしょうか。


NI8DJwaX0A835f.jpg



堰を過ぎると、イル川沿いは木組みの家々が立ち並び、美しい風景を作っています。古き時代を偲ばれるプティット・フランスというわけですね。


kUxccoiV0R1485.jpg



先に見えていたFaisan橋の上が何やら華やかです。結婚式を挙げたカップルのフォトツアーです。なるほど、ここはフォトツアーにぴったりの美しい風景ですね。後ろ向きの花嫁の顔が拝見できないのが残念。


DkkK4tBmK2982f.jpg



ここはBenjamin Zix広場です。イル川沿いの広場にはカフェのテラス席があり、大勢の人がお茶しています。


yEUKa9gKIQ2f87.jpg



Faisan橋の上に出ました。ここから先ほどのBenjamin Zix広場が見えます。その先に大聖堂の尖塔が頭を出しています。やはり、大聖堂はストラスブールの街のランドマーク。どこからでも見えます。


ajkdrdcvS05aad.jpg



昨日はここから引き返しましたが、今日はその先まで足を伸ばしましょう。


ONU8GPFSLN43f0.jpg



Faisan橋を渡り切ってムーラン通りに入ると、水路の向うにクヴェール橋が見えてきます。あのクヴェール橋に向かいましょう。


oHINQYS7FFcd33.jpg



クヴェール橋までやってきました。橋を歩いてみます。


VixoLD5maDa328.jpg



クヴェール橋は石畳の幅の広い橋です。元々は13世紀に建造された木製の屋根付きの橋でした。そのため、「屋根付き」を意味する橋の名前が付けられました。今の橋は19世紀後半に再建されたものです。ここがプティット・フランスの西の端になります。


u9DT5R1QX73362.jpg



クヴェール橋には3つの大きな石造りの塔が立っています。イル川の中洲にできたストラスブールの旧市街、すなわち、グランド・イルを防衛するための防塞です。昔はグランド・イルの周囲には80以上の見張り塔があったそうですが、現存するのはこのクヴェール橋の3塔を含めて4つだけです。写真では1つだけ写っています。


MGajtUQHonb394.jpg



クヴェール橋の先には、ヴォーバンの堰が見えます。ヴォーバンの堰は13のアーチから成る要塞です。17世紀に建造された要塞は、20世紀初頭の洪水から街を守り、さらに敵の侵入を防ぐ目的もありました。


uERFC0Pc646777.jpg



クヴェール橋から旧市街方面を眺めます。この辺りは水路が4本に分かれ、中洲のようなところは公園になっています。


M5cWM7Ze4vf543.jpg



クヴェール橋から眺めたヴォーバンの堰の左端です。全体はなかなか見渡すことができません。


T50T4eMgrY6864.jpg



ここから旧市街方面に振り向くと、やっぱり大聖堂が望めました。


Q8Iv127AO7c153.jpg



石塔の周囲は通路が川に張り出していて、周回できます。そこから、別の石塔を眺められます。


JsvKPYk5kN87ff.jpg



こちらは別の石塔です。今いる石塔を合わせて、これで3本になります。


N2FHBqHv8wc673.jpg



では、クヴェール橋からヴォーバンの堰に向かいます。この後は次回で。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ヴォーバンの堰からのストラスブールの絶景に感動!!

クヴェール橋からヴォーバンの堰まで歩いていきます。ヴォーバンの堰の横手までやってきました。アーチ状の入り口があります。


DjHTPwFnOT4ccd.jpg



ヴォーバンの堰(Barrage Vauvan)の案内板です。


mkzKTYUpiH9d15.jpg



トンネルのような内部に入ってみます。


mrtFf5WzXi6462.jpg



このトンネル状の通路はヴォーバンの堰の建物を貫いて続いています。


LvVHgApu2qfcd9.jpg



通路の途中に階段があり、上に上れます。2階の窓からはクヴェール橋を眺められます。


hxB0EjSF6804b8.jpg



そして、2階からさらに階段を上がると、屋上のテラスに出ます。いやはや、これはラッキーでした。好天に恵まれて、絶景です。ヴォーバンの堰から眺めたクヴェール橋とその向こうの大聖堂の尖塔の美しさは例えようもありません。イル川の緑色の川面も美しく輝いています。今回の旅で最高の美しい眺めです。


3inwT_NZ7f926d.jpg



ここから何十枚もの写真を撮りまくりながら、景色を楽しみます。この素晴らしい景色を見られただけでも、わざわざストラスブールまで足を延ばした甲斐があります。フェルメールにこの眺めを絵にしてもらいたいと不可能な望みを、思わず抱いてしまいました。

これはクヴェール橋の右側の2本の石塔の間に見える大聖堂の眺めです。


kxyJKTBIJI1dcb.jpg



クヴェール橋の左側の2本の石塔の間からも大聖堂を眺めてみます。ヴォーバンの堰の屋上はとても広いので、色んな場所に移動して眺めを楽しむことができるんです。


buYYcvgpTQcf7c.jpg



これはパノラマモードで撮った風景です。クリックして拡大モードで見てください。


wRGaNZvcUo7eb9.jpg



わざわざパノラマモードにしなくても、ずっと左側に移動すると、クヴェール橋の全景と大聖堂を写真に収めることができました。


xacEstSznSb55b.jpg



ヴォーバンの堰とクヴェール橋の間に広がるイル川の水面もとても美しいです。


yHqDvfsGcOfad1.jpg



こちらはヴォーバンの堰の先に続くイル川の風景です。


ySBLHBGZmh7888.jpg



下に下りて、そこからのイル川とクヴェール橋を眺めます。


cegWT1BuNja888.jpg



ヴォーバンの堰のアーチ状の水門越しに見たクヴェール橋です。


B2Fes6UvJuf9ee.jpg



ヴォーバンの堰の建物内は博物館のように彫刻も置いてあります。これは天使像ですね。


ka1ahOKjsT07e5.jpg



窓越しにも大聖堂の姿を望むことができます。


fBkCGNq7wtdffb.jpg



ヴォーバンの堰であまりの絶景に感動して、長い時間を過ごしてしまいました。
ようやく、建物を出ます。目の前には青空のもとにクヴェール橋の姿が見えます。


XXdCJGfg4_55f9.jpg



小さな芽を吹きだした木が青空に美しく映えています。


XEP4LR9GRb5122.jpg



これがヴォーバンの堰の全景です。2階建ての要塞建築で、13のアーチ状の水門を持ち、屋上には展望テラスがあります。でも、本当の主役はイル川の美しい水面ですね。


K8mUF6mxeB57e2.jpg



また、イル川に沿って、旧市街に戻ります。


SoU_hDkVu9dd09.jpg



歩き出して後ろを振り返ると、クヴェール橋の大きな塔が存在感を見せつけています。その後ろには、ヴォーバンの堰。また、来ることはあるでしょうか・・・。


yObzm7bkpV62f9.jpg



クヴェール橋がどんどん遠くなってきました。


tiD13NgAINbd98.jpg



もう、お昼過ぎの1時半です。そろそろ、ストラスブールのランチにしましょう。もちろん、アルザス料理と、できれば配偶者のお許しをいただいて、アルザスワインをいただきたいものです。
この後は次回で。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールの美味しいタルト・フランベを初体験

ヴォーバンの堰からのストラスブールの絶景を十分に楽しんだところで、そろそろお昼にしましょう。プティット・フランスの中心の方に移動します。建物にトンネルのような通路が抜けています。いかにも昔の街らしい風景です。


prTpid30yEc9f1.jpg



レストランの並ぶ通りにやってきました。ちょうどお店がありますが、閉店中のようです。


OCuMrodmIg4431.jpg



これから何を食べるかということですが、友人からの情報で、ストラスブールのタルト・フランベが美味しいとのこと。どうもピザのようなものみたいです。ということは窯がなければ提供できないはずで、どのお店にもあるというわけにはいきませんね。昨夜の散策の折に目を付けておいたお店に行きます。この辺りでしょう。


GFfQF31S3Hb8c5.jpg



好天の土曜日とあってか、どっと繰り出した観光客で、どこのお店の前のテーブルも賑わっています。が、その狙いのお店の前は誰もいません。ちょうど日陰になるせいなのかもしれませんが不安です。でも、思い切って入ります。お店の中もガラーンと空いていますが、お店はやっているようです。


X9qZ5J55Jtb8c5.jpg



このレストランはアルザス料理のLe Thomsienというお店です。


I32cz66paa7c0a.jpg



注文を取りにきたお店のスタッフにタルト・フランベはあるかと訊くと、色んな種類のタルト・フランベがメニューにあるとのこと。もっとも一般的そうなものを注文すると、お店の奥の厨房で調理が始まったようです。


cCIj9ucLGu5f40.jpg



saraiは、最後の最後までアルザス・ワインにこだわってみます。まずはワインを飲みながら料理を待ちます。


1ma5rYNkct5422.jpg



料理が運ばれてきました。出されたタルト・フランベは思った通り、見た目はピザです。でも、生地が紙のように薄い!ベーコンと玉ねぎとチーズのみで、トマトやオリーブオイルはつかっていないようです。木のヘラの上に載せられて出てきましたが、30センチ四方はあると思われる大きさです。


7EUweQqrfUee05.jpg



まずは、食べてみましょう。初体験です。


ScLDHwHteQ0cee.jpg



これが、なんとも美味しい。完食です。
美味しいレストランなのに、何故かお店は空いたままです。


lnIXOG0qE4e2c6.jpg



空いているというよりも、誰も客がいません。謎です。


0nMNOVaEe5e2f4.jpg



saraiがリンゴのソルベを食べようよと言い、配偶者もお付き合いしてくれます。


SdFvU4fS7w766a.jpg



これもまたまたたっぷりの量ですが、saraiが配偶者の分も手伝って完食。美味しかったです。

残された時間は後少々。観光客でごった返す中を、聖トーマ教会堂に向かいます。


ZYZfaPtduD2c18.jpg



聖トーマ教会堂の近くまで来ました。


RcXb_2agKV9593.jpg



聖トーマ教会堂の全景が見えます。


6dje88IO8f2e95.jpg



すぐ下で見上げると大きな建物です。壁の石がモザイクのようになっています。ここも戦災で再建したんでしょう。


aJJDbD1uJs80bd.jpg



内部にはいると、天井のリブ・ヴォールトと束ね柱が目にはいります。典型的なゴシック様式です。13世紀にゴシック様式に改装されたそうです。


CA5ogP013e2871.jpg



この聖トーマ教会堂で有名なのは、パイプオルガンです。1778年にモーツァルトがここで演奏会を開き、パイプオルガンの音色を絶賛したそうです。また、ノーベル賞を受賞したシュヴァイツァー医師もこの教会で助任司祭を務め、「このオルガンでバッハのフーガを弾くのは至上の喜び」とオルガンを讃えたそうです。そういうわけで、オルガンの鍵盤の両側にお二人がいました。


H6Adw_ig6Z00e4.jpg



これがパイプオルガンの本体です。バラ窓の前に鎮座しているので、逆光になって写真がぼんやりになってしまいました。このパイプオルガンはストラスブール出身の世界的に名高いヨハン・アンドレアス・ジルベルマンが制作したものです。ジルベルマンは楽器製作で名高い家系の出身で、父アンドレアスも叔父ゴッドフリードも高名なパイプオルガン制作者。ジルベルマンの名を冠するパイプオルガンは色々な教会で見られます。この名高いオルガンの音色が聴けなかったのが残念。


iOVavpHqID672e.jpg



側面にも綺麗なパイプオルガンがありましたが、これは関係ありませんね。


EYutK4MI28bdbf.jpg



正面奥の祭壇には、彫刻の墓石があります。ルイ15世のもとで軍功を上げたサックス元帥の墓石です。中央に立っているのが元帥です。ルイ15世が制作を命じました。


lZ61SwMqh8bd84.jpg



バラ窓の方向に見た豪華な内部空間です。


YEHFOG4F_42076.jpg



パイプオルガンの上にあるバラ窓です。


LAlJrKuZ0ub9d1.jpg



側面のステンドグラスもお洒落です。


vF_V25EpLi69c6.jpg



ところで、この聖トーマ教会堂は建物だけが有名なわけではありません。ルターのヴィッテンベルク、ツヴィングリのチューリッヒと並び、16世紀、宗教改革の中心でした。その中心人物はマーティン・ビューサーで、彼がこの聖トーマの参事会会長に就任し、宗教改革に取り組みました。聖トーマ教会堂は彼の功績とともに歴史に名前を残しています。
残り時間は僅かですが、もう少し、散策を続けましょう。この後は次回で。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールの楽しい散策も完了

聖トーマ教会堂をじっくりと見て、イル川沿いの道に出ました。緑色の水面は綺麗です。


Q1ga8jwC7vc733.jpg



橋が見えてきました。橋の袂にはサン・二コラ教会が見えます。


LRoCv6WBdgd009.jpg



イル川沿いの道は木立に囲まれた可愛い並木道です。


9OtpGYimH_7105.jpg



橋に近づくと、ちょうどトラムがやってきました。このトラムに乗るとホテルまで楽に戻れますが、まだ少し時間があるので、ぎりぎりまで美しいストラスブールの街を歩きましょう。


DCBWFnwSND7bc8.jpg



足は大聖堂に向かってしまいます。尖塔が建物越しに見えてきました。


duK_a5Iqsz4bc7.jpg



もう一度大聖堂を見にいきます。正面に巨大な大聖堂の建物が迫ってきます。何度見ても迫力ありますね。


jO8EDBr3FD7ddf.jpg



もう一度大聖堂に行くことにしたのは、後陣の美しいステンドグラスの写真がちゃんと撮れていなかったからです。ついでに正面の3つの扉の装飾も吟味します。同じような美しい彫刻装飾が施されていますが、3つのグループが競い合って制作したそうなので、その違いを見極めましょう。しかし、どれも同じ様式で統一的に作成されていて、見分けが付きません。せいぜい、登場人物の違いと中央扉が大きいことぐらいでしょうか。技の卓越した職人芸術家がたくさんいたようですね。


Mkz9Iuhx7b3f00.jpg



美しいステンドグラスです。後陣のステンドグラスは19~20世紀と新しいものだそうです。


t4Fyc_jmoOe7cb.jpg



確かにこういう抽象的なデザインは新しいものですね。


xau2P1_I1Ka60f.jpg



一方、バラ窓のステンドグラスはゴシック期を代表するものです。1284~1318年に大聖堂の建築を監督したエルヴィン・フォン・シュタインバッハが制作したものとされています。16花弁の美しいステンドグラスです。


_eDw1Y1KSL7bfc.jpg



側廊上部にあるステンドグラスはとても綺麗です。これはゴシック期のものでしょうか。


XnIpI_LPDY1eb8.jpg



実に見事なステンドグラスが並んでいます。


Kqeipl03fk9adc.jpg



束ね柱の向うには、美しいパイプオルガンが見えています。このオルガンは15世紀に作られたものですが、18世紀になって、聖トーマ教会堂のパイプオルガンも手がけたヨハン・アンドレアス・ジルベルマンが改造しました。


qGlsinvhFN1ee3.jpg



十分に大聖堂の復習も終えました。思いがけず美しい街に出会え、まだまだ心残りですが、この旅で1日限りのフランス滞在もこのあたりで切り上げましょう。ホテルに向かって、戻っていきます。
途中に新教会の堂々たる建物もありましたが、外から眺めるだけにします。


m5Od49yzLF088d.jpg



クレベール広場に出ました。クレベールはナポレオンの配下で活躍し、エジプトでヘリポリスを奪還したこともある総司令官。1800年にエジプトで戦死しました。1840年、アルザス出身の彼の栄光を称えて、この広場を『クレベール広場』と呼ぶようになりました。傍らにスフィンクスが横たわっているのも、彼の経歴をふまえているんですね。


mHNz0o5tsw129f.jpg



このクレベール広場からトラムに乗って一駅分移動し、イル川の運河を渡ります。


f1oPtpDnuEcfb2.jpg



これがイル川の運河です。本流のほうが綺麗なようです。


Vu6CGo6H1z77fc.jpg



ホテルで荷物を受取り、駅に向かいます。ほんの1日の滞在とは思えないほど、ストラスブールの街からは生涯忘れ得ぬ記憶が強く頭に刻み付けられました。



次回を読む:10~11日目:ストラスブール~ベルン~チューリッヒ

前回を読む:9日目:マインツ~バーデン・バーデン~ストラスブール





↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:フランス編~ストラスブールを出発し、ライン川を遡り、スイスへ

ストラスブールを発ちます。これから、電車を乗り継ぎ、ライン川をまた遡り、今度はスイスに向かいます。
ストラスブールからオッフェンブルクまでは、この間だけを往復運行している私鉄OSBに乗ります。チケットは既にDBのネットサイトで購入済です。料金は割引なしの通常料金です。


VPbtZsSqPE5037.jpg



ストラスブール中央駅の連絡通路で乗り場が分からず、ウロウロ。連絡通路を掃除していたおじさんに乗り場を尋ねると、ちょっと考えた挙句、持っていた掃除道具を放り出してホームまで案内してくれました。感謝! 駅の端っこのホームでした。これは分かりませんね。


5nGfqei9Vy65a9.jpg



このストラスブールとオッフェンブルク間を往復している私鉄OSBの電車は、1時間に1本しか運行がない貴重なものです。乗り遅れるわけにはいきません。もう電車はホームに入線しています。


nMLb_R_3OG7785.jpg



運行本数が少ないせいか、2両編成の電車は混んでいます。


Ay2eJ0uqZp3e30.jpg



やがて、満員になりました。


rbM9wEDzta9b9d.jpg



綺麗な青空のもと、ストラスブールの駅を出発です。さらば、美しき街!


10e5H3MHI5b501.jpg



電車は出発するとすぐにイル川を渡ります。ヴォーバンの堰の先の町はずれを流れるイル川です。これで本当にストラスブールとお別れです。


zF1C6ejJaE71fd.jpg



やがて、電車はライン川の運河、カナル・デュ・ローヌ・オー・ラアンに差し掛かります。運河の岸辺にはクルーズ船が停泊中です。


T4jDKGUwfh97dd.jpg



ライン運河を越えて、中洲に向かいます。まだ、中洲はフランス領土です。


TkJOWF0mQe8dab.jpg



すぐに中洲を過ぎて、ライン川に差し掛かります。これで短かった1日限りのフランス滞在も終了。


W63nsm7R0U4b0b.jpg



滔々たるラインの流れを渡っていきます。


jWKnTafPNvc7ea.jpg



ライン川を渡ると、ドイツです。ドイツの街kehlに到着。スイスに向かう束の間のドイツ通過です。


yRuFF0AFVBc353.jpg



いかにもドイツらしい緑の平原の中を電車は駆け抜けていきます。


IP2Xs2TsvN2aa1.jpg



やがて、この私鉄OSBの電車の終点のオッフェンブルクに到着。


IDMZLALdIsa1db.jpg



オッフェンブルクからはICEでバーゼルに向かいます。このチケットもDBのネットサイトで購入済です。料金はヨーロッパ・スペシャルという割引料金です。


fYvyLo2hvT9292.jpg



このオッフェンブルク駅で30分以上の乗り換え時間があるので、駅を歩き回ります。これはオッフェンブルクの駅舎です。


zEKh4yuZra3a49.jpg



あっという間に乗り換え時間が過ぎ、もうすぐICEが到着する時間。ホームで到着を待ちます。


T7c2TO3lyU45c0.jpg



定刻通りICEが到着。これに乗って、スイスのバーゼルまで行きます。


h6YVRg14LZc92e.jpg



ICEは指定が取れなかったので1等車にしたのですが、これは正解だったようです。2等車は混み合っていたようですが、saerai達は席をちゃんと確保できました。
オッフェンブルクを出ると緑の美しい大平原の中を走ります。ライン川は黒い森の向こうを並行して流れている筈ですが、見えません。


xn9mBjLYmZ95f8.jpg



やがて、フライブルクに到着。オッフェンブルクとバーゼルの中間あたりです。この街も歩いてみたい街でしたが、日程的に時間が取れませんでした。


EWHsWkAy6824d6.jpg



そして、バーゼル・バーディッシャー駅に到着。国境の街バーゼルには、スイス国鉄駅とフランス国鉄駅がありますが、このバーゼル・バーディッシャー駅はドイツ国鉄駅です。正確に言えば、この駅はスイス国内にありますがドイツ内の駅としての扱いを受けます。バーゼルのスイス国鉄駅に到着する前のドイツ最後の駅になります。


u9qRgveEcn0ad5.jpg



バーゼル・バーディッシャー駅を出ると、前方にライン川が見えてきます。また、ライン河畔に戻ってきました。


E7hVHFzl53af3b.jpg



ここからはラインの旅もいよいよスイス編にはいります。
この後は次回で。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

ラインの旅:スイス編~バーゼルを経由して、ベルンに到着

ICEはバーゼル・バーディッシャー駅(ドイツ国鉄駅)を出て、夕日に輝くライン川を渡りました。


O9khd76eZT43ee.jpg



ライン川を渡ると、すぐにバーゼルSBB(スイス国鉄)駅に到着です。オッフェンブルクから1時間半ほどの旅でした。これからはスイスの旅が始まります。駅に着くとどっと人が降りましたが、スキーを持っている人をチラホラ見かけます。スイスに着いたという感じがしますね。
ここで別のICEに乗り換えて、ベルンに向かいます。ベルンで、クレーの名画と再会するためです。このバーゼルには、ラインの旅の総仕上げのために後日、戻ってきます。

バーゼルを出発したICEはLiestal駅に到着。


8nzUbThrTxd132.jpg



この駅を出ると、車窓はスイスらしい美しい風景が広がってきます。


cgCHLYjTqDbc5e.jpg



なだらかな緑の丘は美しいとしか言えない風景です。


D2TUkrdQOebdbd.jpg



川が見えてきましたが、ライン川ではありません。もう、ライン川は遠く離れました。


5LKIGl0OMpe226.jpg



オルテンOlten駅に到着。ここは今回訪れるベルン、チューリッヒ、バーゼルのちょうど真ん中あたりにある駅です。


UUa3snlmCr774a.jpg



オルテン駅を出ると、もう夕暮れの風景になってきました。


uysGrODTjecf85.jpg



平原の先には白く輝くアルプスの峰々を眺めることができます。


BoRIzpySlCed8c.jpg



美しいスイスの緑の草原とアルプス、いいですね。目は車窓に釘づけです。


ko2Dd70Vui93bd.jpg



やがて、日が落ちます。美しい落日です。


HACtn18RJFe92e.jpg



日が落ちるとともに、ベルンに到着です。この街も二度目。懐かしい感じがします。ところが、ベルン駅はとても変わった作りで、駅の全貌がよくつかめません。珍しくsaraiの方向感覚が狂います。歩き始めた先にホテルは見つかりません。バス停の前で地図を眺めて考え込んでいると、女性がお手伝いをしましょうかと声を掛けてくれます。どうもホテルとは反対の方に来てしまったようで、教えてもらった通りに駅まで戻ります。が、まだどうしても方向が分かりません。またまた悩んでいると、また別の若い女性が声を掛けてくれて、ホテルへの行き方を教えてくれました。ようやくわかったような気がしてそちらに進みますが、saraiの後ろを歩いていた配偶者が突然、肩を叩かれたそうです。さっき道を教えてくれた若い女性で、彼女がバスを待っていると、私達が曲がるべき角を曲がらずにどんどん進んでいるのが見えたので、追いかけてきてくれたとのこと。もうその親切に涙が出そうです。一緒に戻ってくれて、あの旗が出ている所がホテルよと教えてくれました。ベルンの市民の親切さには感謝あるのみです。

ようやく、ホテル(BEST WESTERN HOTEL BRISTOL)に到着です。駅前の立派なホテルです。早速、チェックインします。


SbkIl9AKQJ33ba.jpg



ロビーも美しいデザインです。


3N7ENo4akMde5d.jpg



お部屋も広々で立派。ベッドも大きくて、満足。


yVKHujtyNc3dfe.jpg



事前にメールで依頼していた通り、バスタブもあります。お風呂に入って疲れを取りましょう。


Uy1kEOhcHl6f1a.jpg



デスクも機能的で使いやすそうです。


pOK8i5v_bxffd8.jpg



壁にかかっている複製画はクレーのようですね。さすが、クレーの街ベルンのホテルです。一挙にクレーのモードに気持ちが盛り上がります。


AncbFeySgCc434.jpg



部屋に落ち着いたところで、saraiはモーゼルのコッヘムで購入したワインを飲みたくなりました。が、ホテルの部屋にコルク抜きがないことが判明。レセプションに電話をします。ワインのオープナーが欲しい旨を告げると、何やら、ホテル・べー・・・(?)にワインを持っていけば、抜いてくれると言っています。そのホテル・べー・・・というのが分かりません。ホテル・バーかと言うと、そうだというので、ワインのボトルを持ってレセプションに行きます。そこでホテル・バーの場所を訊くと、何と、もう一度1階上まで上がり、そこから廊下を突き当たりまで行き、また階段を下りていくと、そこにホテル・バーがあるというのです。どうも変なので、それは別の建物かと訊くと、そうだよとのとこ。ホテルの別館でしょうか。言われた通りに行くと、何やら騒々しい場所に出ました。10数人のロシア人団体客がレセプションでチェック・イン中です。どうやら、ここは我々の泊まっているホテルとは別の姉妹ホテルのようです。先ほど、電話で聞き取れなかったホテル・べー・・・というのは、ホテル・ベーレン(ベーレンはドイツ語で熊のこと、ベルン市のシンボルで、ベルンの名前も熊の意味です)のことだったみたいです。電話で知らない名前のホテルのことを言われても分かりませんよね。ところで、確かにレセプションの奥にホテル・バーがありましたが、暗くなっていて営業停止しているようです。レセプションのお兄さんに訊こうと思い、チェックイン騒ぎが終わるのを待っていると、客の1人が近づいてきて、saraiにホテルバーはクローズしたのかと訊きます。多分そうだと思うよって答えると、重ねてホテルの人間じゃないのかと訊くので、違うよって答えると、むっとした様子。レセプションのお兄さんに直接訊いて、クローズしたことを確認していました。こっちも不要なことを訊かれて、迷惑だったんだよと言ってやりたい思いでした。何とか、騒ぎの合間にレセプションのお兄さんにワインボトルを開けたいと言うと、ノープロブレム、ちょっと待ってねということで、すぐにワイン・オープナーを出してくれました。自分でできるかと訊かれましたが、もちろんできます。自分でちゃっちゃって開けると、後で戻ってきたお兄さんにパーフェクトと褒められました。コルクの開いたボトルを持って、部屋に戻ります。戻る途中でエレベータに乗ろうとすると、中にいた客が降りてきます。気になったので、ここは1階(日本で言う2階)だけどそれでいいのかって聞くと、部屋番号を見せます。部屋は2階です。それはここじゃないからエレベーターに乗るように言い、saraiの向かう4階のボタンを押します。すると、その客は3階のボタンを押します。何を考えているんでしょう。次に2階に停まったので、ここがあなたの部屋のあるフロアだよって言って、エレベーターから降ろしました。これでは、本当に自分がホテルの従業員になった気分です。まあ、首尾よくワインのボトルが開き、美味しいモーゼルワインを飲むことができたので、良しとしましょう。

今夜はベルンのホテルで一夜を過ごし、明日はクレーの絵画を鑑賞します。そして、午後にはチューリッヒに移動し、チューリッヒ歌劇場でオペラを鑑賞します。旅も半分ほど過ぎました。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

若冲と裏磐梯の旅:プライスコレクション展@福島県立美術館

東日本大震災復興支援ということで、世界1の若冲コレクションで有名なプライスコレクションが東北の地を巡っている。最後に一番近くの福島市で若冲展が開催中なので、若冲に惹かれているsaraiもこれはいてもたってもいられません。特にコレクターのジョー・プライスさんも高齢で、これがコレクションの最後の日本への里帰りということなので、これを見逃すと、一生の後悔になってしまいます。
鉄道で行くか、車で行くか、考えましたが、車で行けば、ついでに途中のドライブも楽しめそうです。地図を広げて検討すると、途中、那須を通りますが、これは何度も行っているのでパス。そういえば、会津とか猪苗代のあたりは行ったことがありません。その辺で温泉を探してみると、裏磐梯高原というキーワード。なんだか、よさそうです。福島市からも車でわずか1時間ちょっとでいけそうです。安い宿を探すと、裏磐梯ロイヤルホテルがシニアプランというのをやっていて、リーズナブルな料金で泊まれそうなので、これに決定。

当日の朝、横浜から湾岸、中環、東北道をひたはしり、予定の4時間は無理でしたが、5時間ほどで福島に到着。途中、宇都宮近くのサービスエリアで昼食代わりに宇都宮餃子を食べました。羽根つき餃子なんですね。美味しかった。


54ca65x6B20e9d.jpg



そのまま、福島県立美術館に向かいます。
美術館は小高い山の麓にありました。とても綺麗な建物です。それ以上にびっくりしたのは、平日だというのに人で賑わっていることです。


obW1DS9y5J20b2.jpg



やはり、テレビで紹介番組が流されたことで人気なんでしょうか。それとも、今や、世の中は若冲ブーム?
何とか駐車場に車を停めらることができて、美術館の入り口に向かいます。


olSeQxvSZ3fb4b.jpg



これが美術館の入り口。


PbzkfZpD4H9d3b.jpg



チケットの窓口は行列になっています。


foag4tqxDucd5b.jpg



そう待たずにチケットをゲット。


HtomDKhu1ef7ad.jpg



パンフレットもいただきました。この若冲展は「若冲が来てくれました」という名称だったようです。今更ながらですが・・・(笑い)。


du8XpyLo_q2887.jpg



美術館のロビーは吹き抜けになっていて、綺麗で広々としていますが、人・人・人です。


2p6FzjA_3Ha4b2.jpg



さあ、いよいよ、入場します。


Vv_IZ6WhB00309.jpg



ここから先は撮影禁止区域です。若冲展ですから、ずらーっと若冲の作品が並んでいるのかと思っていたら、江戸時代の若冲以外の作家の作品が並んでいます。鈴木其一、長澤芦雪、曽我蕭白、河鍋暁斎、酒井抱一、円山応挙という錚々たる画家の作品が綺羅星のごとく、並びますが、やはり、若冲が気になります。
最後に若冲の部屋がありました。ほとんどが墨絵です。若冲は墨絵もいいのですが、saraiはやはり、色絵が好きなんです。最後の最後にお目当ての大作、「鳥獣花木図屏風」がありました。ご覧ください。素晴らしいですね。六曲一双の巨大な屏風で一挙にはお見せできないので、左隻、右隻を順にご紹介します。
これが左隻。様々な鳥が描かれています。


4Xu4AYwgQ2fd77.jpg



これが右隻。こちらは獣、すなわち動物が描かれていますが白象の存在感が圧倒的です。


yZRP8hz2sm2182.jpg



白象の部分だけ取り出すと、こんな感じ。


zz7OOHRj6Xa261.jpg



この写真では分かり難いかもしれませんが、小さな四角いブロックを並べることで、絵が出来上がっています。升目描きという技法です。若冲の升目描きの技法で描かれた作品で現存する作品は3点しかありません。若冲の作品の特徴はそもそも、実に精細に描き込まれて超写実的であることです。鶏の絵に代表されるものです。今回も素晴らしい作品、「紫陽花双鶏図」が出品されています。凄い作品です。


57mAmncCROf19e.jpg



この超写実画に比べると、升目描きで描かれた「鳥獣花木図屏風」がいかに特異な存在であるか、分かります。実は升目描きの技法の3作品のうち、若冲の真作だと確認されているのは「白象群獣図」(個人蔵)だけです。
それがこれ(静岡県立美術館のサイトから借用)。


Sc7_idJTUY588e.jpg



また、鳥獣花木図屏風によく似た作品「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵)は若冲の下絵をもとに弟子たちが描いた作品だとされています。
それがこれ(静岡県立美術館のサイトから借用)。


Ti5IYNAxr7d218.jpg



ここからはsaraiの個人的感想です。この「鳥獣花木図屏風」と「樹花鳥獣図屏風」は若冲の真作であろうとなかろうと、ユニークで素晴らしい作品だと思っています。若冲の美点は精密な絵画を描く点はもちろんですが、絵画の構成の素晴らしさ、そして、色彩感覚の見事さが挙げられます。そして、この2作品は構成と色彩の2点で卓越した作品だと感じました。言い忘れましたが、「樹花鳥獣図屏風」と「白象群獣図」は2010年の若冲展@静岡県立美術館で見ました。
いずれも何故か白い象の描かれた升目描きの技法の3作品は若冲の到達した高みを実感させる素晴らしい作品であることを確信しています。
今回、この「鳥獣花木図屏風」を見て、ふっと思い出したのはクレーです。クレーの最高傑作「パルナッソス山へ」と描き方、発想が似ていると感じます。そういえば、クレーは若冲の作品に発想を得た作品も描いています。現在、当ブログで進行中のラインの旅でベルンに行きましたが、そこにあるクレーセンターで《ジャポニズムとクレー》展をやっていて、若冲が与えたクレーへの影響についての展示もありました。近日中にこれについても書く予定です。ともあれ、若冲に関心を寄せていたクレーにこの「鳥獣花木図屏風」、あるいは「樹花鳥獣図屏風」を見せたら、きっと、クレーは嬉しくなって、笑い出すに違いないというのが、このときにsaraiが想像してしまったことです。想像しているsaraiまでが思わず、嬉しくなって笑ってしまったんですからね。

やはり、この若冲展に来てよかった。満足して、会場を後にしました。夕暮れの道をドライブして、裏磐梯に向かいました。この日は温泉にゆっくりと浸かって、疲れを癒しました。明日は裏磐梯の自然を楽しみます。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : 旅行、旅、ドライブ
ジャンル : 旅行

 

若冲と裏磐梯の旅:五色沼をハイキング、まず、毘沙門沼

福島県立美術館で若冲展を見た翌日、今度は自然を楽しみます。

裏磐梯高原をハイキングします。ハイキングなんて久しぶりです。
五色沼自然探勝路ハイキングというコースを歩きます。片道1時間ちょっとで歩けるそうです。
出発するのは、昨夜泊まった裏磐梯ロイヤルホテル。このホテルが五色沼の入り口に建っています。駐車場に愛車を置いて、ハイキングし、帰りはバスを利用します。ホテルのスタッフの方からあらかじめ、バスの時刻表をいただきました。
では、出発。これはホテルの全景です。


umPPNizdGja32a.jpg



ホテルの前の橋を渡りますが、橋の名前は《ごしきばし》。ハイキングにふさわしいですね。


UidPSwf0Yqd5aa.jpg



幹線道路の459号線を渡ると、五色沼の標識が出ています。


qpOFJrI7U72748.jpg



林の中の道を五色沼の方へ歩きます。木々の中の新鮮な空気を吸って、元気いっぱい。


o01Qkh8qvn93e6.jpg



やがて、ハイキングコースの起点となる裏磐梯ビジターセンターが見えてきました。しかし、何やら黄色い声で騒がしい・・・どうも、子供たちの遠足とぶつかってしまったようです。


MrsN6cyypO82b2.jpg



ハイキングコースの案内板を見ていると、子供たちの大集団が通り過ぎていきます。これはまずいなあ。静かな自然を楽しめません。


ZLEhl4Y31Oc823.jpg



ビジターセンターの先に最初の沼が現れました。毘沙門沼です。何とsaraiの大好きな手漕ぎボートがあるではないですか。これは大いなる誘惑です。これはぐっとこらえました。そんなに悠長なことを言っていると、帰りのバスに乗り遅れます。


Dm8P_w2hXJf0dc.jpg



五色沼の案内板がここにもあります。五色沼という名前の沼があるわけではなく、点在する沼の全体の呼称が五色沼です。それも五色沼だから、五つの沼かと思ったら、もっと沼はあるようです。と思っていると、例の小学校の遠足はまず、ここで記念撮影を始めました。この隙に乗じて、急いで先に進みましょう。


oU2eQASJxJbefd.jpg



ハイキングコースは毘沙門沼に沿って、整備されています。横目に毘沙門沼を見ながら、進みます。


91uhuUOf2gfc13.jpg



木立越しに沼が見えます。青もみじもとても綺麗です。


GtCCQT63aea567.jpg



開けたところからはこんな美しい風景。雲さえなければ、磐梯山の姿も望めるはず。これは残念です。


LRKnuvaPBn65b4.jpg



ハイキングコースは実によく整備されていて、要所要所には木橋がわたしてあります。ぐんぐん歩いて、大分、黄色い声が遠くなってきました。


DuVd_MK9RIfc0c.jpg



毘沙門沼は結構大きな沼で、行けども行けども、どこまでも続いています。


YZKRp7rXu92393.jpg



毘沙門沼は途中、狭まったところがあり、そこには鯉が泳いでいます。ガイドブックによると、赤いハートマークの模様の鯉もいるとか。


JKDSvQm1K7a39e.jpg



また、沼は広がってきました。


_ZPWvWN1evc294.jpg



沼の周りの木々が水面に映り込んで、とても綺麗です。


NEry8b5C8Z7bfd.jpg



また、木の板を張った道。この道を上がっていきます。


UhLbCC627E2451.jpg



すると、別の道と合流するポイント。ここには熊注意の看板。冗談かと思ったら、実際、熊よけの鈴を鳴らしながら歩いている人もいました。自然を甘く見てはいけないかも。


w6ULIMeyMkb1b6.jpg



展望台のようなところに毘沙門沼の表示杭が立っています。


tlNYhcfDdK4fca.jpg



ここからの眺め、とても美しいです。遠くに見える山はやはり磐梯山ではなさそうですけどね。


Z51tw0J_up153f.jpg



清流を渡る小さな橋です。ここが毘沙門沼の端っこのようです。


HR1dczHqeC5f61.jpg



橋の上から見ると、清流が沼に注ぎ込んでいるようです。


jhjDgt4iS6c2df.jpg



この後、美しい自然の中、さらに五色沼のハイキングコースを進みます。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : 旅行、旅、ドライブ
ジャンル : 旅行

 

若冲と裏磐梯の旅:五色沼のハイキングも人の関わり合いとともに

裏磐梯高原の五色沼をハイキングしています。
これからは毘沙門沼を離れて、森の中の小路を進みます。とてもいい雰囲気だし、空気も清々しいです。


RAg5JHCwAE2241.jpg



2つめの沼が木々の間から、目に入ってきました。緑色の沼です。


CNgZiIYoJ97e42.jpg



赤沼です。緑色なのに、何故、赤沼? 


9mtLtf9px8183b.jpg



その答えはコレ・・・緑色の沼に、苔などの植物により、所々、赤茶色の部分があるからだそうです。ちょっと、無理がありますね。


7v_xnwtBZ4d206.jpg



次の沼が見えてきました。多分、これがみどろ沼。


L0vXSazX9hdf50.jpg



渓流の小さな滝もあります。名もない滝でしょう。


khs9OF2KVz8ee4.jpg



これはあまり、よく見えませんが多分、竜沼。一応、位置的にそうだと判断しました。昔はよく見えていたそうですが、木々の成長で見えにくくなったそうです。


sCYhg1ZN9qd797.jpg



渓流の美しいポイントに出ました。ベンチもあり、休んでいる人たちもいます。山のハイキングでは、出会う人たちと必ず挨拶しますが、ここで出会った人たちとももちろん、ご挨拶。ところが、その人たちとその後、意外な場所で再会しますが、このときはそんなことは想像もしていません。それもその筈、saraiたち自身、この後の行動はまだ明確に決めていないんですから。


__U4cjYbPV41b3.jpg



ここから、また、森の小路。


fy_PpUVJCue625.jpg



木立を透かせて、沼が見えてきました。


NGU68SDhXRa330.jpg



とても大きな沼です。それに美しい水面。


ZLSaUCPd7H77b9.jpg



沼には多くの水草が茂っています。


L9Rc_CpOim9b87.jpg



木立の間から美しい沼が見えます。


L1VaS6Vg2ze134.jpg



ハイキングコースは結構、多くの人がまばらな間隔で歩いています。仲間意識も感じます。言葉を交わすことはありませんけどね。


fHwYkQUt1W8858.jpg



美しい沼は弁天沼でした。五色沼では毘沙門沼に次ぐ大きさの沼です。


7vpTT48GGQe78a.jpg



弁天沼は水草が茂っているために水際でもなかなか見通すことができません。嬉しいことに道の脇に木造りの展望台がありました。


HCljjGeDXp6cf9.jpg



そこからの眺めです。青い沼と背景の山並み、とても素晴らしい!


cfZaVYnTKZ70fc.jpg



しかし、この展望台の先は上り道になっていて、少し高いところからは、沼を見ることができました。展望台がなければ、沼は見えないと思っていたんですけどね。


JZ_8RXR4W87da3.jpg



弁天池を過ぎると、次の沼がちらっと見えてきました。きっと、青沼でしょう。


vnPJc_V6GZ5946.jpg



ここで、何故か、気配を感じて、後ろを見ると、さっき通り過ぎた渓流を渡っている若い女性の姿が目にはいりました。ええっ、もしかして、あっちにも行けるのかな。急いで、そこに戻って、女性の後を追います。渓流を渡って、進みましょう。


jYbki3cD7q0fb5.jpg



危ないところで、瑠璃沼を見逃すところでした。これも小さいけれど美しい沼です。案内板でも立ててくれないと分かりませんよ。


IEnJp8RMPsb528.jpg



先にそこに着いていた若い女性は地元のかたで、親切に説明してくれました。ここからは本来ならば、沼越しに磐梯山が望めるそうです。残念ながら、今日は雲で磐梯山はすっぽり覆われています。


T1G8OQlyk_5750.jpg


毘沙門沼のほうから来たことを言うと、その女性はこの先、青沼は水際に下りる道があり、是非、そこから、青沼を見ること、そして、その先には、少し道から外れて歩くことになるけど、遠藤現夢という人の巨大な岩の墓があり、恐ろしいくらいのものだと話してくれました。では、そのアドバイスを参考に歩きましょう。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : 旅行、旅、ドライブ
ジャンル : 旅行

 

若冲と裏磐梯の旅:五色沼ハイキング完了、そして、次は喜多方ラーメン

瑠璃沼での若い女性との邂逅の後、再び、青沼に戻ってきました。


Svy7xd2tvy06d8.jpg



上からは青沼がちらっと見えるくらいです。


iLr4Xn2qMF53c0.jpg



説明通り、水際に下りる坂道がありました。そこを下りていくと、青沼がよく見えてきます。


pGfczV9RAHc9a7.jpg



そして、水際からは沼のほとんど全景が見渡せました。


FN32Ab7KhP5cef.jpg



もうちょっと水際に寄ると、こんなに美しい沼の風景です。


boTA0n4gT2337d.jpg



再び、森の中の道に戻ります。


U1Z5TxkyKVce5f.jpg



ありました。遠藤現夢の墓への道です。片道350mの寄り道になります。時間的にバスに乗り遅れそうですが、折角のアドバイス。ここは思い切って、行っちゃいましょう。


PdjXkgNWMGf0c8.jpg



山道の350mは結構、遠かった。行き着いた先は開けた小さな緑の広場。中央に石碑が立っていて、その背後に巨大な真っ黒な岩が覆い被さるように存在しています。確かに暗い時に一人では見たくないようなものです。


7iZSETaz5V4e4a.jpg



後ろの巨大な岩がお墓のようです。遠藤現夢の墓と彫り込んであります。遠藤現夢は磐梯山の大噴火後に焦土と化した裏磐梯高原を植林した裏磐梯緑化の功労者。今ある自然は、本当の自然ではなく、彼が先達となって、人々が作り上げた自然なんですね。こうして、自然の中をハイキングできるのも彼ら先人のお蔭だと思うと頭が下がります。ただ、この巨大な岩のお墓は威圧感あり過ぎって感じです。


uR2HFInWcu6b92.jpg



急いで道を戻り、また、先に進みます。また、木立の向こうに沼が見えます。


GuhW3CuGAQ1b6a.jpg



これは柳沼。最後の沼です。


zpYYYNH9qNc1c2.jpg



ほら、こんなに綺麗な沼です。


AlLMFIxcSL1a9e.jpg



裏磐梯物産館の裏からはこんなに綺麗に見通すことができました。


jDkYLOaF1Ma1c7.jpg



これで五色沼自然探勝路のハイキングは完了。久々に日本の美しい自然に触れました。それも先人たちが精魂込めて作り上げた自然です。
時間も見ると、まだ、バスの時間まで5分ほどあります。磐梯東都バスの裏磐梯高原駅から11時56分に出る裏磐梯ロイヤルホテル行です。バス停を探すと、配偶者はめざとく、バス停のまわりにたむろしている人たちを発見。自動販売機でチケットを買っても、まだ数分の余裕がありました。ちょっと遅れてバスが到着。一緒にハイキングしていた人たちはほとんでこのバスに乗り込みました。ほとんど空バスで来たので、みんな余裕で座れます。全員、五色沼入口で下りていきました。最後に残ったsaraiと配偶者だけが終点の裏磐梯ロイヤルホテルで下車。ホテルで飲み物を調達し、早速、愛車に乗車。今度の目的地は、先ほどの桧原湖畔の裏磐梯高原駅を経由して、一路、喜多方へ。ここでもうお分かりでしょうが、昼食に本場の喜多方ラーメンを食べに行くんです。桧原湖を抜け、山一つ越えて、盆地にある喜多方です。カーナビに入力したのは人気ラーメン店。ガイドブックの先頭に紹介されていた源来軒です。首尾よく、駐車場に車を入れて、お店にはいります。こういうところでは、まず、定番を食べるものです。一番普通のラーメンをお願いします。すると、別の4人のグループが来店。その中の女性が配偶者にあらっと言いながら、微笑みかけます。そうです。ハイキング中に渓流ポイントで一瞬、言葉を交わした人たちです。偶然と言えば、偶然ですが、いかにsaraiが一般的なコースを動いているかとも言えます。和気あいあいの楽しい食事になりました。もっとも、saraiは途中で注文を変更してもらって、ねぎラーメンに変えましたが、お店の方にはご迷惑をかけたようです。ゴメンナサイ。限定220食の自家製手打ち麺のラーメンは喜多方ラーメンらしい昔ながらの《支那そば》の味。現代風のインパクトのある味の対極にあるような味です。ちょっと物足りませんが、これが持ち味ですね。
これがsaraiが半分近く食べたねぎラーメン。


cYEwKYMuMpaf42.jpg



喜多方は蔵の街ですが、車窓から眺めるだけで、とんぼ返り。先ほど通過した桧原湖畔の道の駅《裏磐梯》へ。ここから、景色を楽しもうという計画です。ところがこの道の駅からは何も見えません。おかしいと思って、配偶者が店のかたに訊くと、道の駅のなかにある階段を上っていくと展望台があるそうです。なるほど、雲の間から、磐梯山がちょっと顔を覗かせています。


HhI2xLVn9Kb4b5.jpg



一方、桧原湖も湖面がちらっと見えます。


fi6Fu8dp6Od296.jpg



この日の天候では、かえってフラストレーションになりそうな風景です。もっと、ちゃんと見たい!という欲求がふつふつと沸いてきます。
よーし、桧原湖と磐梯山をよく見よう!



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : 旅行、旅、ドライブ
ジャンル : 旅行

 

若冲と裏磐梯の旅:桧原湖と磐梯山、そして、猪苗代湖

桧原湖と磐梯山をよく見ましょう。
そのために別のビューポイントに移動しましょう。まず、桧原湖。道沿いによく見える場所を配偶者が発見。ようやく、桧原湖をしっかり見ることができました。大きな湖で全景は見ることができません。


020JAbeEWV1ca9.jpg



湖面には遊覧船が浮かんでいました。遊覧船に乗れば、もっと、よく湖を見ることができるでしょうが、今日はもう横浜に戻らないといけません。このあたりでもう一泊というのもなくはないですが、日程的にも、財政的にも却下。遊覧船は乗りません。


Rx_wCnRNmE1f4e.jpg



次は磐梯山。これは磐梯高原ドライブで磐梯山近くに行ってみましょう。かって有料道路だった磐梯山ゴールドラインが無料化されて、県道になったそうです。無料大好きのsaraiと配偶者はそれにとびつきます。この山岳コースのドライブロードは桧原湖あたりから、磐梯山の横を抜けて、猪苗代湖まで達することができます。
取り壊し中の料金所をフリーで抜けて、まず、黄金平という展望スポットへ。山の裏に荒涼たる磐梯山がくっきりと見えました。磐梯山は明治21年の大噴火で磐梯山の連山をなしていた小磐梯が崩壊。その傷跡が裏磐梯からは明瞭に見て取ることができます。左側の稜線がそうです。


OfIR9OkaDJbf1f.jpg



この小磐梯の崩壊した跡は爆裂噴口という、恐ろしげな名前が付いています。


SymYsMUTnx6549.jpg



これが小磐梯の崩壊した爆裂噴口でしょう。


kOL6t2OjN87a30.jpg



もう一度、撮影スポットを探して、裏磐梯からの磐梯山の全景を撮ってみましょう。いかかがでしょう。左手前には、愛車プリウスも写り込みました。


6pyy6qBjdBd3b6.jpg



次にまた展望のよさそうなパーキングに車を停めます。眼下に猪苗代湖を望めます。生まれて初めて見た記念すべき猪苗代湖。霞んで、ぼーっとしか見えませんが、それも風情でしょう。


HKx6dg6UNO2353.jpg



一方、磐梯山は少し雲隠れ中です。特に山頂が見えません。


EooDgVXdPF70c3.jpg



これは少し粘って、雲が移動するのを待ち、ばっちり山頂を撮影。全景はすっきりとはいきませんでしたけどね。


ut5XXFNGp1ae92.jpg



次に山湖台という展望スポットに移動。ここからはもう少し、猪苗代湖が見えましたが、明瞭とは言えません。後で湖に下りていって、直接湖面を拝見しましょう。


hX8Ktth8iAbf79.jpg



一方、磐梯山はすっかりと雲に隠れてしまいました。山の天気って、こんなものですね。


KNXUkczwkC488e.jpg



磐梯山ゴールドラインを下りて、猪苗代湖の近くまでやってきました。今度はここから、表磐梯(こういう表現はないかもしれませんが、裏ではないという意味です)からの磐梯山を拝見しましょう。微妙に山頂に雲がかかっていますが、これはよく見えたほうでしょう。裏磐梯からの荒々しい表情と打って変わって、優しく堂々たる姿ですね。もちろん、裏磐梯からとは左右逆の形になっています。


jNuH4XCTOY08f1.jpg



猪苗代湖の遊覧船乗り場にやってきました。遊覧船に乗るためではなく、猪苗代湖を間近に見るためです。生々しい湖の姿を見ることができました。なーんにもありませんけど、それでいいんです。それが自然です。目には優しいブルーの風景です。


6MSVL_5jIWdf27.jpg



ちょうど、白鳥の形をした遊覧船が停泊中です。湖の観光船といえば、白鳥の姿が定番ですね。


QtyKzuMfr7909e.jpg



この遊覧船乗り場は翁島港というようです。若い男性3人組が湖を見ながら、感傷にふけっているようです。saraiが近づくと、その中の一人が高級なデジタル一眼レフを差し出して、3人の記念写真を撮ってほしいとのこと。何だか、微笑ましいですね。3人の友情・・・これから女性がからんでくるんでしょう。


e2DIUkqMTs060e.jpg



しばらくすると、白鳥号に寄り添うようにもう一隻の観光船が入港してきました。まあ、その姿と言ったら、配偶者と二人でバカ受けでした。まあ、見てやってください。感想はご自分でどうぞ。ところで写真では分かりませんが、このカメ君は塗装が傷んで、痛々しい状態。何とか、ヴォランティアでもいいので、ペンキを塗ってやりたいものです。貴重な船ですからね(笑い)。


odaox7q7nV37f9.jpg



これが最後に撮影した夕暮れの磐梯山です。結局、最後まで雲が邪魔してくれました。


UjngejMUgJd773.jpg



ここからは磐越道、東北道、中環、湾岸を通って、結構、早く、横浜に帰りつきました。途中、サービスエリアで食べたのは、B級グルメシリーズの締め、佐野ラーメンでした。

若冲と裏磐梯、案外、いい組み合わせだったかも。




↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!




テーマ : 旅行、旅、ドライブ
ジャンル : 旅行

 

渾身のショスタコーヴィチ交響曲第7番:東京都響@サントリーホール 2013.9.25

秋の音楽シーズンがいよいよ開幕。幕開けは東京都交響楽団の定期演奏会。
スタートにふさわしい超弩級のコンサートでした。
メイン演目のショスタコーヴィチの交響曲第7番は見かけの派手さの内に秘められた不可思議な魅力に満ちた音楽です。都響の心技一体とも言える渾身の演奏。そして、カエターノの見事な指揮にすっかり魅了されました。長大で大規模な交響曲を完璧に暗譜し、確信を持った見事なタクト捌きでした。

この日のプログラムは以下の内容です。

 指揮:オレグ・カエターノ
 チェロ:古川展生
 管弦楽:東京都交響楽団

 芥川也寸志:チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート

  《休憩》

 ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調Op.60「レニングラード」

最初は芥川也寸志の「チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート」。初聴きです。
初めはミニマル・ミュージックかと思いましたが、もっと複雑な構成です。前半、後半の2つの部分に分かれて(1楽章構成で続けて演奏されます)、前半はABABAの2部形式、後半は急緩急の3部形式。とても緊張感と不安感に苛まれたような音楽です。まるで戦争前夜の限界状況を描き出したかのような作品です。実際に作曲された1969年と言えば、1970年安保の前年ですが、1960年安保のような盛り上がりはありませんでしたしね。むしろ、戦後経済の高度成長期にはいったところです。もしかしたら、米ソの冷戦構造や核ミサイルなどの軍拡競争を憂いていたのでしょうか、何が作曲家の心に暗い重圧を与えていたんでしょう。曲の最後は熱く締めくくられますが、大変、重苦しいものを残す作品です。独奏チェロの古川展生の熱演も光りました。

休憩後、ショスタコーヴィチの交響曲第7番です。第1楽章から、ばりばりと派手な音楽が展開されます。第1主題が明瞭に、明瞭過ぎるくらいにくっきりと演奏されます。バーンスタイン+シカゴ響と似たような感じです。第2主題も明確なフォルムで演奏されます。中間部にはいると、小太鼓の連打のリズムに乗って、メリー・ウィドウの「マキシムに行こう」を巧妙に取り入れたメロディーが静かに弦楽器群で始まります。11回の単調とも言える変奏を繰り返しながら、頂点に上り詰めていきます。ラヴェルのボレロを下敷きにした手法です。そして、頂点に上り詰めたまま、圧倒的な音量で耳が痛くなるほどの爆発が続いていきます。それもやがて沈静化すると、ファゴットが執拗にアイロニーとも沈鬱とも思える複雑な響きを続けます。やがて、コーダにはいり、弦楽器が美しい響きで最初の主題を情感を込めて演奏。

第2楽章は哀惜を込めた演奏で始まり、中間でまた爆発的な盛り上がり、そして、また、哀惜を込めた演奏で静かに終わります。

圧巻だったのは第3楽章です。管楽器によるコラール、弦楽器によるロシア的郷愁のラルゴの繰り返しで始まり、途中、美しいフルートの独奏を経て、また、大爆発。その後が今日の演奏の白眉でした。ヴィオラによる第2主題の演奏の素晴らしさに胸を打たれました。もう、心がとろけるようです。哀切を極める演奏です。そして、追い打ちをかけるように、第3楽章冒頭のコラールが第1ヴァイオリンで透明に演奏されます。ここでsaraiの心はすっかり崩れ去り、感動の極み! さらに弦楽器がラルゴ主題を演奏し、もう涙、涙の感動です。

そのまま、第4楽章に入っていきます。感動の渦に巻き込まれたsaraiは高揚していく音楽に翻弄されるのみ。カエターノがたたみかけるように都響のアンサンブルを鼓舞していきます。そして、圧倒的なフィナーレ。
第3楽章から第4楽章にかけての魔術のような演奏には参りました。インバル以外で都響をこんなに鳴らし切った指揮者はいませんでした。それにしても都響の演奏の素晴らしいこと、恐るべし。個々の技量は別にして、トータルにはシカゴ交響楽団に迫る勢いでした。

音楽シーズンの皮切りに凄い演奏を聴かせてもらいました。4日後の日曜日からは、ハーゲン・カルテットのベートーヴェン・チクルスの後半が始まります。3日連続で残り8曲を聴きます。楽しみでなりません。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第6番《田園》①ウィーン・フィル以外

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第3日(11月15日(金):交響曲第6番、第7番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)


今回は交響曲第6番ヘ長調《田園》Op.68について聴いていきます。
交響曲第6番《田園》はベートーヴェンが1807年に、交響曲第5番と並行して着手しましたが、実質的には、交響曲第5番をほぼ完成した1808年春から半年をかけて作曲し、1808年初秋に完成させました。前作の交響曲第5番《運命》は革新的とも言える運命の動機を中心に据えた形の作品でした。この交響曲第6番《田園》はまた違う形で革新的な作品です。各楽章に表題が付けられ、全体の形式も自由なものになっており、ロマン派への先駆けとも言えます。矢継ぎ早に革新的な作品を作り上げるベートーヴェンは驚くべきレベルの創作能力に達したと思われます。
初演はウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で1808年に交響曲第5番、ピアノ協奏曲第4番と一緒に行われたというのは既に書いたとおりです。

saraiはこの一見、ベートーヴェンらしくない交響曲第6番《田園》を苦手としていました。なんだか、のんびりした曲に思えて、聴いていて、退屈するんです。でも、今回、まとめて、名演の数々を聴いて、その価値を理解できたように感じています。素晴らしい作品だし、巨匠たちも力のはいったアプローチをしていました。

その名演の数々を聴いていきます。今回から3回に分けて、ご紹介します。
・ウィーン・フィル以外(7枚)
・ウィーン・フィル(10枚)
  1970年以前(4枚)、1970年以降(6枚)
計17枚聴きます。

今回はウィーン・フィル以外の7枚を聴きます。
以下、録音年順に感想を書いていきます。


ワルター、フィラデルフィア管弦楽団 1946年録音 モノラル

 ワルターが得意にしていた曲目です。今回はワルター指揮のCDを3枚聴きますが、この演奏は最初の1938年録音のウィーン・フィルと最後の1958年録音のコロンビア交響楽団の中間に位置するものです。ニューヨーク・フィルとの全集盤に含まれる1枚ですが、何故か、この第6番だけはフィラデルフィア管弦楽団との組み合わせになっています。
 第1楽章、ウィーン・フィルとの演奏に似た感じですが、録音がより新しいせいか、明快な響きがします。しっかりしたスタイルの演奏です。
 第2楽章、しっかりとした響きの美しい演奏。テンポは遅くなく、中庸といったところ。ウィーン・フィルのようなたおやかさに欠けるのが残念なところです。
 第3楽章、元気で賑やかな音楽。相変わらず、しっかりした響きが印象的。
 第4楽章、テンポ速めで峻厳な表現はウィーン・フィルとの演奏と共通しています。
 第5楽章、張りがあって、カンタービレのきいた演奏はトスカニーニを連想します。後年のコロンビア交響楽団のやわらかい響きとはかなり趣が違っていて面白く感じます。後半の盛り上がり、迫力はスケールも大きく、素晴らしいものです。
 この演奏は今回初めて聴きましたが、どちらかと言えば、ウィーン・フィルとの演奏スタイルを踏襲しているように思われます。ワルターはこの時、70歳前後でまだまだ若かったんだと思います。ウィーン・フィルとの演奏をよりよい録音で聴きたいかたには推薦できます。コロンビア交響楽団との演奏は82歳前後で老境にはいった名人芸ともいうべきものです。

トスカニーニ、NBC交響楽団 1952年録音 モノラル

 さすがに巨匠。トスカニーニは意外にも、こういう曲もうまく聴かせてくれます。
 第1楽章、懐かしいもの、自然というものへの憧憬の念を呼び起こさせてくれます。聴いていると胸がいっぱいになってきます。この曲を聴いて、初めての経験です。それに、NBC交響楽団のアンサンブルのきっちりと決まっていることにも感銘を受けます。
 第2楽章、なんとなく、この古めかしい演奏がこの曲にぴったりの雰囲気に思えてなりません。まるでヴィンテージものの音楽を聴いている感覚です。こういう音楽を聴いていると、贅沢な時間を過ごしている気持ちになります。
 第3楽章、活気のある音楽ですが、あくまでも田舎の賑わい。それがいいんです。心穏やかな気分に浸れます。
 第4楽章、音楽は爆発して高揚しますが、のんびりした気分には変わりありません。
 第5楽章、ここへきて、音楽はたっぷりと歌われます。トスカニーニのカンタービレです。この曲の最高に素晴らしい部分がトスカニーニの最上の演奏で味わえます。実に見事な表現に大きな感銘を受けます。名匠の作り出した贅沢な逸品。

フルトヴェングラー、ベルリン・フィル 1954年5月録音 モノラル

 フルトヴェングラーは第5番同様に、戦時中の演奏や戦後の復帰演奏会など多種の録音を残していますが、あえて、最後の録音を聴いてみます。素晴らしかった第5番と同じ演奏会での録音です。なお、ウィーン・フィルとの全集盤は次回、紹介します。
 第1楽章、ゆったりと静かな開始に虚を突かれます。まるで何かを慈しむような感じを受けます。ロマンチックで癒しに満ちた音楽です。
 第2楽章、これも抑えた美しい演奏。テンポは非常にゆっくりです。ここまで聴いて成程、同じ演奏会の第5番と双子のような演奏であると分かりました。いずれも感傷的とも言っていい、フルトヴェングラーらしくない演奏です。しかし、巨匠晩年の演奏は心に沁み入ってきます。ロマンチスト、フルトヴェングラーですね。
 第3楽章、のんびりした朴訥な音楽です。フルトヴェングラーの平静な心情が表われています。
 第4楽章、ここでは、大変迫力に満ちた演奏。爆発します。
 第5楽章、第4楽章の爆発が収まり、牧歌の世界に戻ります。これまでよりも幾分、テンポを上げて、美しい旋律を歌い上げます。何という美しい演奏でしょう。終盤の盛り上がりはフルトヴェングラーらしい素晴らしいものです。曲想が大きくふくらみます。

ワルター、コロンビア交響楽団 1958年録音

 子供の頃から親しんでいる名盤中の名盤。ワルターが残した最後の録音です。
 第1楽章、気品のある柔らかな表現。ゆったりと心を預けて、耳を傾けます。得も言われぬ心地よい演奏です。
 第2楽章、こういう気持ちはなんだろう。郷愁かも知れません。原初的な自然の中に抱かれたいという穏やかな感情です。そういう気持ちにぴったりの実に優しく温かい演奏です。
 第3楽章、音楽の表情の彩りが見事。響きの美しさ、そして、メリハリ、どれをとっても素晴らしい。
 第4楽章、ことさらに激しく煽り立てるわけでなく、節度のある表現が好ましい。
 第5楽章、これで心が癒されないものはいないでしょう。永遠の平安の音楽です。

コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1959~60年録音

 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の響きもコンヴィチュニーのドイツ風音楽表現もこの曲にはもうひとつしっくりしませんね。。
 第1楽章、豊かな響きの演奏。安らぎの音楽という感じには聴こえません。しっかりと立派な音楽ですが・・・どうもね。ドイツ的な生真面目な音楽という感じ。
 第2楽章、実直な演奏。朴訥な雰囲気になりそうなものですが、どうも野暮な感じがしてしまい、もう一つ合わない感じです。演奏は実に美しいんですけどね。
 第3楽章、このあたりは実に見事な演奏。メリハリのきいた堂々たる深い響きに圧倒されます。
 第4楽章、緊迫感のある演奏。曲想に合っています。
 第5楽章、どうも固い印象が拭いきれません。もう少し、柔らかみがほしいところです。残念ながら、また聴きたくなるような演奏ではありません。

クーベリック、パリ管弦楽団 1973年録音

 今回組んだのはパリ管弦楽団。フランス系オーケストラの明るい色彩が意外に成功したと思います。
 第1楽章、いかにもフランスのオーケストラらしい明るい響きです。ちょっと鳴らし過ぎの感じもありますが、よい雰囲気の演奏です。喜ばしげな音楽になっています。
 第2楽章、実に爽やかで素晴らしい音楽が展開されていきます。音楽の喜びが身に沁みてきます。
 第3楽章、これも爽やかな響きで見事な演奏です。
 第4楽章、ドラマチックですが、全然おどろおどろしいところはなくて、実にピュアーな演奏で素晴らしい。
 第5楽章、清々しい演奏でとても心地よいものです。抒情感が身に沁みてきます。こんなに後味のよい清涼な演奏も珍しいでしょう。これ以上、何も望むものがない名演です。

ハイティンク、ロンドン交響楽団 2005年録音

 《運命》の演奏が思い切ったものだっただけに、どういう演奏になるか、不安でしたが、実に自然で美しい響きの見事な演奏でした。
 第1楽章、さすがにハイティンクは破目を外すことはありませんでした。《運命》の演奏スタイルとは全く変えて、これこそ《田園》という演奏スタイル。美しい演奏を堪能させてもらいました。
 第2楽章、かそけきリリシズムとでも表現しましょうか。とてもしみじみとした奥深い演奏です。節度ある表現でありながら、彩りにも満ちています。実に見事な演奏です。管と弦のバランスも見事です。
 第3楽章、キレのよいアンサンブルで素晴らしい響き。ちょっと速めのテンポで引き締まった見事な演奏。
 第4楽章、実に迫力のある疾風怒濤のような演奏。明快な隈取のある演奏です。
 第5楽章、流麗でシンフォニック。理想的な演奏に思えます。ハイティンクが古典的な交響曲で体現する究極の姿を見る思いです。静かな感動に至りました。超名演です。

saraiが一番感銘を受けたのはハイティンク。続くはクーベリック。ワルターは別格として、コロンビア交響楽団の素晴らしさを思い出しました。トスカニーニ、フルトヴェングラーの両巨匠もさすがというところです。

次回はこの交響曲第6番《田園》のウィーン・フィルの演奏の前半、1970年までの録音です。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第6番《田園》②ウィーン・フィル1回目

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第3日(11月15日(金):交響曲第6番、第7番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)

今回は交響曲第6番ヘ長調《田園》Op.68の2回目、ウィーン・フィルのCDのうち、1970年以前のものを聴いていきます。

では、録音年順に感想を書いていきます。

ワルター 1936年録音 モノラル

 これはワルター指揮の3枚のCDのうち、最初の録音になります。SP盤からの復刻ですが、鑑賞に差支えのない綺麗な音質で聴くことができます。復刻技術が向上し、音楽ファンには嬉しい時代になりました。

 第1楽章、ふっくらした演奏です。さすがに演奏スタイルは古めかしく感じます。しかし、意外に元気のよい表現です。それにテンポのノリもいいです。若き日のワルターですね。と言っても、そう若くはないかな(60歳前後)。ウィーン・フィルはこの時代もやわらかく美しい響きでした。懐かしさを感じる演奏です。
 第2楽章、これは素晴らしい演奏。何と言いましょうか。たおやかな演奏とでも表現しましょう。美しく歌うような演奏でもあります。弦がきれいなリズムを刻みながら、流れるような美しい音楽が永遠に続いていきます。
 第3楽章、気品に満ちた典雅な音楽。楽しげな雰囲気も醸し出しています。
 第4楽章、厳しく強烈な音楽に変わります。テンポも速め。
 第5楽章、少しテンポ速めで平安の歌が流麗に歌い上げられます。ワルターの独壇場ですね。それにとても温かい歌です。

 これは70年ほど昔の古い録音ですが、ベートーヴェンの音楽を愛する者はすべからく聴いておかねばならない名演奏だと思います。

フルトヴェングラー 1952年録音 モノラル

 全集盤からの1枚です。
 第1楽章、遅めのテンポで豊かな響き。奥行のある音楽です。彫琢されたシンフォニックな演奏です。
 第2楽章、中庸のテンポで、のどかな演奏。とても美しい音楽です。ともかくスケールの大きな造形に舌を巻いてしまいます。
 第3楽章、ここでも量感のある音楽。素晴らしい響きです。
 第4楽章、迫力のある演奏ですが、明快な響きに彩られています。
 第5楽章、気品に満ちて、豊かな音楽。後半の雄大でリッチな音楽は実に心地よいものです。終結部の美しさも特筆ものです。

モントゥー 1958年録音

 ウィーン・フィル初のステレオ録音です。
 第1楽章、明るく、そして、温かい響きでこの音楽を楽しませてくれます。春の陽光を浴びる自然を感じさせてくれます。人に優しく語りかけてくれる音楽です。
 第2楽章、草原いそよ風が吹くような優しげな音楽。実に肌触りのよい音楽です。
 第3楽章、牧歌的な長閑な風景を感じます。まろやかな演奏です。
 第4楽章、さすがにここではドラマチックな音楽が展開されます。
 第5楽章、また、優しげな音楽が復活しますが、テンポが少し速く、快活な調子の音楽でもあります。終盤、明るい響きの盛り上がりの後、フィナーレ。

シュミット・イッセルシュテット 1967年録音

 第1楽章、少し、肩に力がはいったような演奏になっており、その分、固くぎこちない印象です。シンフォニックな演奏とも言えなくはないのですけどね。ウィーン・フィルの響きはいつも通りの美しさ。
 第2楽章、これは流麗な美しい音楽。弦の響き、木管の響きの美しさに魅了されます。
 第3楽章、張りも切れもある弦の美しい響き。金管・木管も美しいダイナミックな演奏です。
 第4楽章、豊かな響きのスケール感のある演奏。
 第5楽章、美しく抒情的なメロディーが壮大な雰囲気で響き渡ります。シュミット・イッセルシュテットならではの表現と言えます。こういう演奏もいいのではないかと納得させられます。

ウィーン・フィルの1970年以降の演奏は次回、ご紹介します。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第6番《田園》③ウィーン・フィル2回目

ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスの第3日(11月15日(金):交響曲第6番、第7番)のプログラムについて、聴いていきます。

なお、予習に向けての経緯はここ
交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ
交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。

(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)


今回は交響曲第6番ヘ長調《田園》Op.68の3回目、ウィーン・フィルのCDのうち、1970年以降のものを聴いていきます。

では、録音年順に感想を書いていきます。

ベーム 1971年録音

 全集盤からの1枚です。
 第1楽章、無理のない自然な表現で美しい表情の音楽を聴かせてくれます。
 第2楽章、美しいですが、渋めの表現です。これがベームの持ち味でしょう。
 第3楽章、アクセントのはっきりした、きっちりした表現。歯切れのよい音楽が展開されます。
 第4楽章、緊迫感があり、強烈な響き。凄まじい表現です。
 第5楽章、解き放たれたような美しい響きにあふれた音楽。ベームがこんなに歌わせるとは驚きです。見事な演奏に感銘を受けました。

ベーム 1977年録音

 全集盤から6年後、来日公演のライブ録音です。
 第1楽章、盛大な拍手の後、さりげなく、平静な音楽が始まります。全集盤に比べて、より自然な演奏です。そして、何よりも美しい!
 第2楽章、美しく、そして、しみじみとした味わいがあります。この味わいは6年前の全集盤にはなかったものです。
 第3楽章、無理のない明快な演奏です。
 第4楽章、激しく強烈な音楽。
 第5楽章、美しく広がりのある表現で気品さえ感じさせられます。最後まで神経の行き届いた演奏が続きます。

 この日の演奏は第5番といい、ベームの到達した晩年の境地を示す素晴らしいものです。ベームはこの来日公演の4年後に亡くなりました。(誤って、2年後の1979年に亡くなったと書いてしまい、識者のかたから、1980年に最後の来日後、1981年に亡くなった事実の指摘をいただきました。お礼を申し上げます。)

バーンスタイン 1978年録音

 第1楽章、ふわっとした温かみのある演奏。ウィーン・フィルとともにベートーヴェンの音楽を演奏するバーンスタインの喜びが感じられます。聴いているこちらまで幸福にしてくれるような感じです。実に美しい演奏ですが、この演奏には音楽を超えた何かがあります。
 第2楽章、ここでは第1楽章で感じた幸福感は心の平安・やすらぎといった優しいものに変容していきます。ゆったりと身を委ねておくだけで心が解放されていくのを感じます。
 第3楽章、楽しげな雰囲気。誰も一人ではなく、皆と集っている楽しさです。
 第4楽章、急に激情が襲ってきます。闘争心とも言えるもの。これまでの静的な気持ちの裏返しですね。
 第5楽章、美しい抒情に身が染まっていきます。肯定的な気分に満たされて、次第に気持ちが静かな高揚に至っていきます。人生はやはり美しいものです。しみじみとした気持ちの中、曲を閉じていきます。

 決して、超人的な演奏ではなく、あくまでも人間味あふれる演奏。曲の本質を突いた超名演。

アバド 1986年録音

 第1楽章、ロマンチックで美しい抒情に満ちた音楽。ロマン派のメンデルスゾーンを想起させられます。それにしても実に美しい響き、じっと聴き入ってしまいます。
 第2楽章、懐かしい感情を呼び起こすリリックな音楽。
 第3楽章、後半は溌剌としています。弦楽合奏の充実した響きが印象的です。
 第4楽章、トゥッティの分解のよい美しい響きが素晴らしいです。演奏も録音も両方とも完璧です。
 第5楽章、これは艶やかな美しい演奏。憧憬に満ちた音楽です。

 全体を通して、実に美しい演奏です。こんなに美しい演奏はほかにはないほどです。

ラトル 2002年録音

 第1楽章、ラトルにしてはゆったりのテンポ。そして、優美な演奏。この曲には自然体で臨んだと思われます。それも一つの識見でしょうね。ラトルも色んな引き出しを持っているということです。室内オーケストラを思わせるピュアーな響きが素晴らしいです。郷愁さえも感じさせられます。
 第2楽章、この楽章も第1楽章と連続性のある抒情的な演奏。優しい響きが聴こえてきます。
 第3楽章、明確な輪郭線の描かれた表現。雄渾でもあります。
 第4楽章、実に歯切れの良いダイナミックな表現。
 第5楽章、高弦の冴え冴えとした美しい響きが何とも素晴らしい。アバドと同じく、ロマン性を全面に打ち出した表現というのも興味深いところです。とても美しい演奏です。

ティーレマン 2010年録音

 もちろん、これを聴くのが目的! これを最後に聴きます。
 第1楽章、1フレーズ、1フレーズ、丹念に細かい表情を付けた、一瞬、一瞬のタメの多い演奏。この演奏に賛否はあるでしょうが、聴いていて面白いことには間違いないでしょう。これがティーレマン流でしょうか。懐の深さも感じます。聴いていると、いつの間にか引き込まれてしまう演奏です。
 第2楽章、ゆったりとしたテンポで、少しテンポのゆらしもありますが、それほど目立つものでもありません。朴訥な音楽が淡々と進んでいくという印象。割と正攻法の表現だと感じます。
 第3楽章、ほとんどインテンポで柔らかい表現です。
 第4楽章、それほどは爆発しない節度のある表現です。
 第5楽章、主題がクレッシェンドしながら、大きくふくらんでいく大柄な表現。馥郁とした音楽になっています。終盤で大きくテンポを落としていく、スケールの大きな表現は聴きものです。

これで17枚のCDを聴き終わりました。どの演奏にも満足です。ワルター、トスカニーニ、フルトヴェングラーという巨匠はさすがの名演。ハイティンク、クーベリックも素晴らしい名演。
また、ウィーン・フィルの演奏は素晴らしい演奏ばかりでした。ベーム、バーンスタインは超名演。アバド、ラトル、そして、ティーレマンも見事な演奏です。

最後に肝心のティーレマンのベートーヴェン・チクルスの聴きどころです。

 1.全体にテンポがゆったりなので、どう細かくテンポを揺らしていくかが興味の尽きないところです。
 2.ウィーン・フィルの弦の美しさをどう引き出していくのかも聴きものです。
 3.第4楽章でどれほど爆発してくるかもよく聴いておきたいところです。実演は一発勝負なので、ティーレマンの即興性の幅の大きい演奏は楽しみが尽きません。

次は交響曲第7番です。これはsaraiの大好きな曲なので、かなり力が入ります。5回シリーズくらいに拡大しそうです。ただし、明日からはハーゲン・カルテットのベートーヴェン・チクルスも始まるので、第7番の掲載はしばらく後になりそうです。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

感動の第12番!ベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルス④:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2013.9.29

今春の前期シリーズに続いて、ハーゲン・カルテットのベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスの後期シリーズが始まりました。今日からの3日間、残り8曲を聴きます。
前期シリーズについては1日目はここ、2日目はここ、3日目はここをご覧ください。

今日は初期の作品18の6曲の中からの2曲と後期の第12番です。ともかく、この第12番の素晴らしかったこと、大変、感動しました。今回のチクルス、前期シリーズでも後期(第16番、第15番)は素晴らしい演奏で、ハーゲン・カルテットの後期作品にかける思いが結実したのでしょう。後期の作品の演奏は大変な充実度です。前のほうの席に座ったので、彼らの楽譜が見えましたが、初期の作品の楽譜に比べて、第12番の楽譜はずい分使い込まれた様子で生半可ではない練習の跡が見て取れました。徹底的な厳しい練習なしには、こういう素晴らしい演奏はないのですね。
もちろん、事前に予習したブッシュ四重奏団、ブダペスト四重奏団も大変、感動的な演奏でした。が、それぞれ、趣きが異なっており、比較して、どちらが上というものでもありません。それに現実にそれらの生演奏が聴けるわけではありません。現役では、このハーゲン・カルテットとエマーソン・カルテットがsaraiにとっては双璧の存在です。予習にあたって、この後期はブッシュ四重奏団、ブダペスト四重奏団、そして、エマーソン・カルテットの順に聴くことにしました。その理由はブッシュ四重奏団の第1ヴァイオリンのアドルフ・ブッシュの物悲しくもある響きを聴いてしまうと、どの演奏を聴いても物足りなくなることと、ブダペスト四重奏団の後期作品の演奏のあまりの充実度のため、耳逆らいが起きてしまいそうだからです。当日の予習にエマーソン・カルテットの演奏を選びましたが、比較的、ハーゲン・カルテットと演奏スタイルが近いために、幸い、耳逆らいは起きませんでした。作戦成功です。

今日のプログラムは以下です。

弦楽四重奏曲第3番ニ長調Op.18-3
弦楽四重奏曲第5番イ長調Op.18-5

《休憩》

弦楽四重奏曲第12番変ホ長調Op.127

まず、第3番。この曲は番号は3番ですが、実際はベートーヴェンが作曲した最初の弦楽四重奏曲です。しかし、作品番号の18で分かるように周到な準備期間を経て、作曲されたものです。それでも、ハーゲン・カルテットの前期シリーズでは、初期の作品はあまりにさらっとした演奏で物足りなさもありましたので、かなり、心配しながら聴き始めました。結果的にそれは杞憂に終わりました。これがあの第3番かと驚くほどの充実した演奏。特に第1楽章の第1主題の美しい演奏、最初のレガートのかかった優美な表現、そして、スタッカートのかかった歯切れよい激しい表現。冒頭から、いきなり魅了されます。俗に言うモーツァルトの作品の後追いではなく、ベートーヴェンの精神世界の萌芽が十分に聴き取れる充実した演奏が続きます。第4楽章の迫力は大変なもので、興奮させられました。ハーゲン・カルテットのベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスの後期シリーズ、好調な滑り出しになりました。

次は第5番。これも第3番同様にとても美しい演奏です。ですが、何か、もうひとつ物足りない感じです。しかし、第3楽章のアンダンテだけは変奏曲がとても美しくて、納得の演奏でした。やはり、ベートーヴェンは初期でも変奏曲となると、聴き入ってしまうほどの素晴らしさです。

休憩後、期待の第12番。冒頭の和音から、気魄の演奏。力が入り過ぎて、響きの透明さが損なわれるほどですが、ここは魂のこもった演奏に納得です。第1主題は美しい演奏に落ち着きます。フレーズごとに実に細かい表情が付けられていて、繊細さに満ちた演奏。聴いているsaraiの聴感が研ぎ澄まされる思いです。一音も聴き逃せないほどの集中を要求されます。そして、圧巻だったのは第2楽章のアダージョです。これこそ、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の真骨頂。この素晴らしい変奏曲、ハーゲン・カルテットは圧倒的に素晴らしい響きで迫ってきます。終始、saraiは静かな感動で涙が滲むほどです。大きな高揚でこの楽章も終わり、おもわず、ため息をついてしまいます。第3楽章、第4楽章と激しい迫力の演奏に鳥肌がたちます。特にユニゾンの迫力は凄まじいものです。大きな感動の中、コーダ。こんな演奏が聴けて、幸福でした。

明日は最大の期待、傑作中の傑作、第14番です。このチクルスでのハーゲン・カルテットの後期作品の素晴らしい演奏を思えば、とてつもない演奏が聴けそうです。期待感が大きくて、明日の演奏会が待ち遠しくてたまりません。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ハーゲン・カルテット,  

生涯最高の室内楽!ベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルス⑤:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2013.9.30

昨日に引き続いて、今日もハーゲン・カルテットのベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスを聴きます。
今日はこれまでの生涯で聴いた最高の室内楽リサイタルになりました。今日の感動はこれからもずっと忘れることはないでしょう。今日は後半が第14番で大いに期待していましたが、実は前半の第2番と第4番にすっかり、魅了され、感動してしまったんです。第14番も素晴らしかったのですが、sarai自身、前半の第2番と第4番でアドレナリンを出し尽くしてしまい、精魂尽き果てた状態で後半の第14番を聴いてしまったんです。第14番と双璧をなす傑作の第15番は今春のシリーズで聴きましたが、あれはその日のプログラムの前半で演奏されたこともあって、大変な感動を味わいました。できうることならば、今日も第14番を前半に持ってきて欲しかったと贅沢なことを考えてしまいます。コンサートのプログラムですべての演奏が最上のレベルなんてことはほとんどありませんが、今日はそういう素晴らしい日でした。聴く側としても、体力を温存しながら聴かないといけなかったわけです。

これまでのチクルスについては、前期シリーズの1日目はここ、2日目はここ、3日目はここ、そして、後期シリーズの1日目はここをご覧ください。

今日も、事前の予習はブッシュ四重奏団(第14番のみ、初期は第1番しか録音が残っていません。)、ブダペスト四重奏団、そして、当日予習はエマーソン・カルテットです。今は予習にブッシュ四重奏団は聴かなければよかったと後悔しています。その理由はブッシュ四重奏団の第1ヴァイオリンのアドルフ・ブッシュの物悲しい響きがどうしても、頭に残り、どこかでハーゲン・カルテットの演奏と比較してしまう自分を感じます。それほど、ブッシュ四重奏団の第14番は素晴らしく、心に深く刻み付けられています。今日の第14番にのめり込めなかったのは、アドレナリン不足だけではなかったんです。皆さんも予習には気をつけましょう。ブッシュ四重奏団の録音は何と1936年のものですから、80年ほど昔のもので、そんなものに呪縛されてしまうと、一生、そこから抜けきることはできなくなります。

今日のプログラムは以下です。

弦楽四重奏曲第2番ト長調Op.18-2
弦楽四重奏曲第4番ハ短調Op.18-4

《休憩》

弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調Op.131

まず、第2番。この曲はベートーヴェンの初期の6曲の中でも、特に平明でハイドンの弦楽四重奏曲を想起してしまうような曲です。その筈でした。実際の演奏は何たる第2番でしょう。冒頭の一音から気合の乗った美しい演奏。《挨拶》という可愛らしい愛称が付けられていますが、何の何の、実に充実した響きで、ハイドンを連想するようなところはまったくありません。こんな第2番は聴いたことがありません。初期の弦楽四重奏曲セットはこのように演奏次第で大化けする可能性を秘めていることは今までも経験してきました。それにしても、よりによって、この第2番がこんなに素晴らしく響くとは驚愕です。まことにハーゲン・カルテットらしい演奏とも言えます。このチクルスでも、ハーゲン・カルテットには、このように弾いてもらうことを期待していた自分に気が付きました。この演奏のレベルで全曲録音に臨んでもらいたいものです。

次は第4番。この曲は初期の6曲のなかで、とりわけ有名で傑作。何せ、ベートーヴェンお得意のハ短調ですからね。第1楽章の第1主題の短調の悲愴な調べにいきなり感動し、素晴らしい第1楽章を涙を滲ませながら、じっと聴き入っていました。これ以上、何も望むところはない完璧な演奏です。残りの楽章も見事な演奏で大いなる感動を味わわせてもらいました。

休憩後、期待の第14番。冒頭の第1ヴァイオリンの美しいソロが始まります。今日のルーカス・ハーゲンはとても素晴らしく、これも繊細さに満ちた美しい響き。しかし、前述したようにsaraiは心に刻み付けられているアドルフ・ブッシュの物悲しい響きにとらわれ、また、アドレナリンも欠乏状態。うっとりとして聴くことはできても、決して感動に陥ることはありません。残念なことでした。実際、ハーゲン・カルテットの演奏は、第1楽章のソロの受け渡しの素晴らしい響き、第4楽章の情緒たっぷり変奏、第6楽章の何とも美しい抒情、そして、第7楽章の気魄に満ちた圧倒的な迫力と素晴らしい和音など、聴きどころ満載の充実の演奏だったんです。
これで感動できないのなら、もう、この第14番はブッシュ四重奏団で封印するしかありません。古いLPレコードを大事に聴き続けるしかありません。

今春から続いたベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスも明日の6回目の演奏会で完了します。最後に演奏されるのは第13番ですが、ただの第13番ではありません。第一稿で演奏されます。つまり、終楽章の第6楽章は従来のフィナーレではなく、長大な大フーガが演奏されます。堂々たる締めくくりになるでしょう。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ハーゲン・カルテット,
人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

お役に立てて、なによりです。我が家では今でもメインのCDプレーヤーとして活躍しています。ただ、最近はCDはいったんリッピングしてHDDに格納し、USBオーディオでオーディ

01/18 15:18 sarai

父からアンプとセットで譲り受けたもののトレイが動かず困っていましたが、
ブログを見て自分で購入・修理することができました。
利益目的でもなくまた素人でも分かる記事

01/18 13:50 hisa

のりしんさん

saraiです。コメントお寄せいただき、ありがとうございました。
同じ追っかけ仲間、今後ともよろしくお願いいたします。
彼女の声は素晴らしいですね。

12/01 12:07 sarai

私も中村さんの追っかけやっております。昨日の演奏も圧倒的でしたね。中村さんの歌を聴いていると、なぜか涙腺が緩んで来ます。

12/01 09:39 のりしん

Steppkeさん

saraiです。ティーレマン信奉者にとって、《あまり好きでない》=《嫌い》に思えてしまうのです。まあ、夜道でうんぬんはいかにティーレマン信奉者でもやりま

11/15 10:39 sarai

sarai さん。
そんな..Thielemann が「嫌い」などと、夜道で後ろから刺されるようなことは言わないで下さい。
別に「嫌い」ということはないですよ。
今年は既に4回も聴

11/15 09:39 Steppke

Steppkeさん

saraiです。最前列で聴いたので、ほとんど弦セクションの音が響きました。それが狙いなので、満足しました。本文にも書きましたが、ウィーン・フィルのブルッ

11/14 13:15 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR