なお、予習に向けての経緯はここ。
交響曲第1番についてはここ。
交響曲第2番についてはここ。
交響曲第3番《英雄》についてはここ。
交響曲第4番についてはここ。
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ。
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ。
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。
(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)
今回は交響曲第7番イ長調 Op.92の5回目、ウィーン・フィルの演奏のうち、1976年までのものを聴いていきます。フルトヴェングラーの2枚のCDは前回、ご紹介しました。
では、録音年順に感想を書いていきます。
ショルティ 1958年録音
ショルティ、初登場です。これはウィーン・フィルの初期のステレオ録音です。ショルティはこの時期、ウィーン・フィルとは他に第3番、第5番を録音しています。いっそのこと、全集にすれば、この時期のウィーン・フィルの素晴らしい響きでベートーヴェン全曲を聴けたのに残念です。ショルティはこの後、シカゴ交響楽団と2回にわたって、ベートーヴェンの交響曲全集を完成させています。
第1楽章、雄大な序奏。とてもステレオ初期の録音とは思えないほど、広がりのよいDECCAの名録音です。低域から高域まで音の伸びも素晴らしいです。主部はオーソドックスな演奏です。ウィーン・フィルの分厚い響きを引き出していて、見事な指揮です。
第2楽章、いやはや、ウィーン・フィルの弦の美しさには何も言う言葉はありません。
第3楽章、この楽章も響きが素晴らしいです。特に弦は低弦から高弦までパーフェクト。トリオのアンサンブルも見事。
第4楽章、速目のテンポで整然としたアンサンブルの見事な演奏。大変、聴き応えがあります。颯爽とした音楽に充足感が得られます。ショルティの自然な音楽の作りにも感銘を受けました。これからはショルティのCDにも注意を払っていこうと思います。
シュミット・イッセルシュテット 1969年録音
全集からの1枚です。
第1楽章、深い響きに満たされる序奏、実に雄渾です。奥行きのある音楽を感じます。主部、ショルティと同様にオーソドックスなスタイルですが、アンサンブルのバランスが微妙に異なり、ここはショルティの自然さに軍配を上げたいと感じます。イッセルシュテットの場合は少し硬さを感じてしまいます。
第2楽章、ウィーン・フィルの弦の響きが格別です。
第3楽章、躍動的で弾むような感じの活き活きした演奏です。
第4楽章、シャープなアンサンブルで速めのテンポ。凄みはないものの聴きやすい好演。
ベーム 1972年録音
全集盤からの1枚です。
第1楽章、よく響き、よく歌う、柔らかい演奏で始まる序奏。素晴らしい始まりです。主部、美しいフルートソロ。続くトゥッティの瑞々しい躍動感は素晴らしいです。ウィーン・フィルの美しい弦を活かした見事な演奏です。コーダの盛り上がりも素晴らしいです。
第2楽章、静謐な低弦の演奏で開始。美しい弦の響きを活かして、見事な変奏が続きます。あふれる詩情にうっとりと聴き入ってしまいます。素晴らしい演奏です。
第3楽章、かっちりした演奏。アンサンブルも完璧です。
第4楽章、隙のないアンサンブルでがっちりした演奏。バランスのとれた見事な演奏です。次第に演奏は白熱化。大変な迫力です。コーダは実に感動的です。
クーべリック 1974年録音
全集盤からの1枚です。ウィーン・フィルはこの第7番だけです。
第1楽章、深い響き、瑞々しい表現の序奏。主部、明るく沸き立つ喜びが心地よく感じます。力強く堂々とした表現で音楽は進行していきます。
第2楽章、沈み込んだように音楽は始まります。次第に音楽は高潮していきますが、決して、気品を失うことはありません。
第3楽章、きびきびした表現。トリオも粘らずにあっさりとした表現で頂点に上り詰めます。
第4楽章、自然な表現で心地よく聴けます。
クライバー 1976年録音
クライバーはウィーン・フィルとこの第7番と第5番だけ録音しています。第7番はこの録音の6年後にバイエルン国立管弦楽団と再録音しているほか、コンセルトヘボウ管弦楽団とヴィデオ録画を残しています。得意の曲だったんですね。
第1楽章、なんという見事な序奏でしょう。自然で流れがスムーズ、雄渾で繊細。要するにバランスがいいということでしょうか。主部、木管は清新。弦は艶やか。提示部は繰り返します。溌剌とした表現で音楽は進行していきます。ちょっとオーケストラを鳴らし過ぎるのが気にはなります。クライバーなら、もっとスマートにやってほしいところです。
第2楽章、とても美しい弦楽合奏。心が和まされる思いです。この思いはこの楽章全体で続いていきます。
第3楽章、切れ込みの鋭いシャープな表現。
第4楽章、速いテンポでノリの良い演奏を展開。音楽は後半にかけて、熱く高揚し、最後は猛スピードでコーダを駆け抜けていきます。
ウィーン・フィルの演奏はいずれも素晴らしいものばかりです。
次回はこの交響曲第7番のウィーン・フィルの演奏のうち、1978年以降の録音を聴きます。
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