なお、予習に向けての経緯はここ。
交響曲第1番についてはここ。
交響曲第2番についてはここ。
交響曲第3番《英雄》についてはここ。
交響曲第4番についてはここ。
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ。
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ。
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。
(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)
今回は交響曲第7番イ長調 Op.92の6回目、ウィーン・フィルの演奏のうち、1978年以降のものを聴いていきます。
では、録音年順に感想を書いていきます。
バーンスタイン 1978年録音
全集からの1枚です。ニューヨーク・フィルとの旧盤の全集から14年後の録音になります。また、12年後の1990年にボストン交響楽団とのファイナルコンサートでこの第7番をライブ録音しています。亡くなる2カ月前でした。
第1楽章、じっくりと腰をすえた感じの序奏。主部、溜めていたものを吐き出す感じで喜ばしげな音楽が始まります。提示部は繰り返します。一気呵成な感じの提示部。展開部後半のたたみかけるような演奏が素晴らしいです。コーダのまとめ上げかたも見事。
第2楽章、静謐な弦楽合奏を積み上げて、しみじみとした抒情に至る表現。そのしみじみとした情感がこの楽章をずっと支配します。
第3楽章、いきいきとしたリズムを刻みながら、音楽が進んでいきます。
第4楽章、落ち着いたテンポでしっかりした進み。次第に火の玉のようになって高揚していきます。そして、アッチェレランドして、圧倒的なコーダ。感動のフィナーレです。
アバド 1987年録音
全集からの1枚です。
第1楽章、実にまろやかな響きの序奏。弦の響きが伸びやかで素晴らしいです。主部、音の響きは重厚ですが、音楽の運びは軽やかです。提示部は繰り返します。この楽章は爽やかに演奏されます。
第2楽章、静かに厳かな雰囲気で演奏されます。弦楽合奏の美しさと言ったら、それはもう言葉で表現できないほどです。ロマンチックと言ってもいい表現で音楽は進行していきます。
第3楽章、張りのある響きで、いきいきと音楽は進行していきます。トリオでのロマンチックな音楽の表現も聴きものです。
第4楽章、前楽章と同様に張りのある響きが印象的。そして、きびきびした演奏で音楽が進行していきます。美しい響きを保ったまま、アッチェレランドして、高揚したコーダを終えます。
無類の美しい演奏です。ロマンチックな雰囲気も素晴らしいです。この演奏がベートーヴェン演奏の規範ではないかもしれませんが、この美しさ故に名演であることは疑いないでしょう。
ラトル 2002年録音
全集盤からの1枚です。
第1楽章、ふんわりとした開始、そして、緩急の差をつけて、実にユニークな序奏。主部、普通のテンポでオーソドックスと言ってもいい演奏です。何か変わったことをやってくると思ったので、肩透かしにあったような気分。提示部は繰り返します。文句のつけようもないきちんとした演奏ではあります。
第2楽章、かなり、抑えた表現で華美さを避けた演奏。古典的なスタイルを志向したのかもしれませんね。
第3楽章、歯切れの良い、きびきびした演奏ですが、この楽章も至ってオーソドックス。
第4楽章、普通よりもちょっとだけ早いテンポでの演奏ですが、これもオーソドックスな演奏。快速で小気味いい演奏が進行します。最後はさらにギヤを入れて、コーダに高速で突入。
ティーレマン 2009年録音
もちろん、これを聴くのが目的! これを最後に聴きます。
第1楽章、実に構えの大きな素晴らしい序奏。この時点で、この後に続く素晴らしい音楽を確信してしまう程です。主部、なんと晴れやかな表情の音楽でしょう。深い響きの堂々たる音楽です。ティーレマンらしく、ゆったりとしたテンポでひたひたと進んでいく迫力は大変なものです。コーダもテンポを落として、悠然たるフィナーレ。これで迫力を出せるのだから、凄いですね。
第2楽章、素晴らしい弦楽合奏。広がりのある雄大な表現です。悠々せまらぬものがあります。ほとんどインテンポで、スケールの大きさを感じさせられる演奏です。何もしていないようで、しっかりオーケストラをコントロールしているのが分かります。実に見事な演奏です。
第3楽章、力強く驀進していく音楽。重心の低い響きがとてもよいです。トリオの雄大さも素晴らしいです。
第4楽章、重戦車が疾駆していくかのような勢いのある演奏。重量感があり、凄みのある演奏です。この勢いをさらに増して突っ込んでいくコーダには、ただただ圧倒されます。
今回聴いたウィーン・フィルの演奏もいずれも素晴らしいものばかりです。どれか、選ぶのなら、ティーレマンとアバドでしょうか。ベーム、クーベリック、クライバー、バーンスタインも捨てがたいところです。すべての演奏の中では、やはり、フルトヴェングラーの1953年のベルリン・フィルとの演奏とジュリーニのシカゴ交響楽団との演奏が最高です。次いで、ティーレマンとアバドのウィーン・フィルとの演奏、トスカニーニ、クライバー(バイエルン国立管弦楽団)、ハイティンク、バーンスタイン(ニューヨーク・フィル)、クーベリック(バイエルン放送交響楽団)あたりが並びます。
最後に肝心のティーレマンのベートーヴェン・チクルスの聴きどころです。
1.スケールの大きい、重量感のある演奏を生で体感することが一番でしょう。
2.ウィーン・フィルをどのようにコントロールし、反面、どれくらい自由に演奏させるかが聴きたいポイントの一つです。その指揮ぶりは大変興味深いところです。
3.生の演奏に接して、どれほどの感動があるでしょうか。大変楽しみです。
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