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ラインの旅:スイス編~マイナウ島を堪能し、ボーデン湖クルーズでコンスタンツへ

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/5回目

マイナウ島の丘の上の大きな広場にやってきました。ここを散策しましょう。ここには立派なバラ園があるようです。残念ながら、まだ季節が早く、バラは葉も出ていません。


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バラ園の真ん中には噴水が勢いよく水を噴き上げています。


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これがバラ園です。あと2か月ほどで綺麗な花が見られるでしょうね。


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石段を上がると、綺麗なフラワーポットがあります。まだ咲いていないバラの代わりにこのフラワーポットを愛でましょう。


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石段の先にはまた庭が広がり、白いクロッカスが咲き乱れています。


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花壇の先には可愛い塔が立っています。庭師の塔(Gartnerturm)という建物で、現在はお土産物ショップになっているようです。


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庭師の塔には、大きな建物があります。ツーリストインフォメーションがあるようです。周りは綺麗な花園になっています。


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正面には、バロック様式のマイナウ城があります。花に囲まれたお城ですね。


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ツーリストインフォメーションの前の花壇にはチューリップが花盛りです。


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庭師の塔の前にメーヴェンピックのアイスクリームの看板が立っていたので、ふらふらとそのショップに入ります。とても天気がよく、冷たいものが欲しくなったんです。


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ところで今、写真を見ていて気が付きましたが、庭師の塔に大きな垂れ幕が下がっています。その垂れ幕の中に女性の写真がありますが、よく見知った顔です。誰だろうと思って垂れ幕の説明を読むと、有名な往年のソプラノ歌手アンネリーゼ・ローテンベルガーです。つい最近、ひょんなことで彼女のヴィデオを見て、その中で楽劇《薔薇の騎士》のゾフィーを歌う声を聴いて驚嘆したところでした。史上最高のゾフィーと言っても過言でないほどの美声でした。この庭師の塔の2階に彼女の記念館があるんだそうです。ローテンベルガーは引退後、ボーデン湖の畔で余生を過ごし2010年に亡くなったので、ここに記念館ができたのでしょうか。毎年、マイナウ城でアンネリーゼ・ローテンベルガー・コンクールという声楽コンクールもやっているそうです。ちなみに、彼女のゾフィーを聴きたい方は、カラヤン指揮の楽劇《薔薇の騎士》でシュヴァルツコップ、ユリナッチ、エーデルマンと共演したDVDが出ています。シュヴァルツコップの元帥夫人も凄いです。

ショップでメーヴェンピックのアイスバーを買い求めましたが、思わずスイスフランを出そうとして間違いに気が付きました。ここはドイツです。こういう国境近くは、本当に通貨がややこしいですね。スイスもユーロに統一してくれれば、観光は楽です。花園を楽しみながら、アイスバーを美味しくいただきました。


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こんな巨大な花でできた卵もあります。季節がら、イースターエッグでしょうね。


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島内は広々としていて、あちこちにベンチが置かれ、皆それぞれに寛いでいます。レストランも多くあり、好天にドッと繰り出した地元の人で賑わっています。


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1時間ほどの散策を楽しみ、また船でコンスタンツに戻ります。オープンテラスのレストランの間を抜けて、船着き場のほうに向かいます。


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湖を見やると、ちょうどクルーズ船がはいってきます。急いだほうがいいのかもしれません。


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ボーデン湖の岸辺に出ました。


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船着き場には、クルーズ船が接岸中です。まだ出航には時間がある筈です。


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接岸用ブリッジを通って、クルーズ船に向かいます。


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ところが、船着き場に行くと船が出ていきます。乗り損ねたかと焦りましたが、予定していた船よりも5分前に早く出る船でした。でもよく時刻表を見ると、この船はコンスタンツ直行の船だったようで、これに乗ればよかったと悔やみましたが、もう遅いですね。色んなルートの船があるようです。これで、30分の時間ロスをしてしまいました。まあ、負け惜しみを言えば、30分、余計に湖上クルーズが楽しめます。
すぐにやってきた次の船に乗り込みます。お城を見ながらマイナウ島に別れを告げます。


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クルーズ船が出航して、ぐんぐんマイナウ島を離れていきます。


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クルーズを楽しみながら、コンスタンツを目指します。


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魂の救済なき音楽、マーラー交響曲第6番:インバル&東京都交響楽団@横浜みなとみらいホール 2013.11.2

今年1月の素晴らしかった第5番の後、いよいよ、インバル指揮東京都交響楽団のマーラー・チクルスが再開。今日は第6番、そして、来週は第7番。

今日の交響曲第6番は深刻な心理的ダメージを与えるかの如く、叩きつけるような凄まじい演奏でした。よい演奏とか、悪い演奏とかを論ずるレベルではありません。今日の演奏では明るさはまったく感じられず、悲しみ、慟哭、そして、永遠に自己の救済が得られないというメッセージを突きつけられるような演奏に頭が真っ白になるほどでした。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団

  マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》

今日はマーラーの交響曲第6番、1曲だけです。
第1楽章、冒頭のマーチは響きの強い演奏です。決然とした演奏は以降も続き、盛り上がりの大きい演奏です。過去に聴いたCDでは、1991年のテンシュテット&ロンドン・フィルのライブ演奏を思い起こす、強烈なインパクトの演奏です。第2主題のいわゆるアルマのテーマも美しい響きではありますが、しっかりと芯のある演奏でアルマへの愛にあふれるという風には聴こえません。このあたりが今日の演奏のコンセプトの伏線になっています。つまり、愛をもってしても、自己は決して救済されないという残酷とも思えるメッセージが明確に示されます。神なき時代、愛も救いにはならないという究極の叫びが音楽を支配しています。もちろん、第1楽章では、まだ、そこまでのメッセージは示されず、ただ、魂の強烈な救いを求める叫びが聴こえてくるだけです。そして、アルマへの愛が究極のものには思えないという感じなんです。
こういうコンセプトの演奏では、どうしても第2楽章のスケルツォの重要性は薄れてしままいます。第1楽章の焼き直しにしか、聴こえません。
そして、後半にはいっていきます。第3楽章のアンダンテは通常の演奏では、アルマの愛に包まれた心の平安を感じるところですが、今日の演奏では、外面的な美しい楽想は感じても、心の平安は感じません。ここあたりから、今日の演奏の異様さを感じ始めます。都響の美しい木管の響きだけが気持ちを安らげてはくれます。しかし、第3楽章が後半に進むにつれて、心の平安どころか、心の悲しみが増していくばかり。そして、頂点では悲しみは慟哭にまで高まります。ある意味、感動に襲われますが、奥底は暗さが支配しています。
第4楽章は不安な気持ちが高まっていくばかりです。そして、救済は求めても得られないという究極のメッセージが強まっていきます。愛の動機は弱弱しく、負のエネルギーが高まるばかり。絶望的な感動に襲われます。人は決して救われないとう現実に、無理やり直面させられ、それに納得している自分に気づきます。ハンマーの打撃音は、死を意味します。死のみがすべてで、そこには救いはないというマーラーの絶望感。
インバルはどこまでを意図しての演奏なのかは判然としませんが、この第6番で、ここまでやるかという思いに駆られました。一体、第9番では、どういう演奏が可能なのでしょう。第9番に至る第7番、第8番はどういう解釈があり得るのでしょう。

マーラーの音楽を聴くことは、人の魂の奥底をのぞき込むという、音楽を超えた行為を覚悟することだと思い知りました。音楽的な感動を超えて、魂が震撼する思いに至りました。素晴らしい演奏ではありましたが、決して、素直にブラボーは叫べない演奏。それがインバルが提示したマーラーでした。複雑に絡み合う思いを引き摺りながら、ホールをあとにしました。
暗い感想になりました。人それぞれ、感じるところは異なります。別の感想もあるのでしょうね。


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吉田秀コントラバス・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2013.11.3

コントラバス・リサイタルというのは初体験です。あまり、ソロ演奏に向いた楽器ではないと思いますが、しっかり、その音色を聴かせてもらい、貴重な体験になりました。

この日のプログラムは以下の内容です。

 コントラバス:吉田秀(NHK交響楽団首席)
 ヴァイオリン:会田莉凡(あいだ りぼん)
 ピアノ:安宅薫(吉田秀の夫人)

 ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ第4番RV.45(コントラバス編曲版) 吉田
 ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ 会田
 グリエール:2つの小品 Op.9 吉田

  《休憩》

 ボッテジーニ:夢 吉田
 クーセヴィッキー:小さなワルツ Op.2 吉田
 ブルッフ:コル・ニドライ Op.47(コントラバス編曲版) 吉田
 ボッテジーニ:協奏的大二重奏曲 吉田、会田

  《アンコール》

    ボッテジーニ:エレジー 吉田
    ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ Op.1 会田
    ビートルズ:イエスタデイ、ゲットバック 吉田、会田

いやはや、コントラバスは本当に渋いです。最初のヴィヴァルディのチェロ・ソナタは本来、しっとりとした曲ですが、コントラバスで弾くと、しっとりを通り越して、茫洋たる響きの世界です。編曲にも難がありそうな気がします。もっと、ハイポジションでメロディーが明確になってほしいと正直、思いました。

二曲目は昨年の日本音楽コンクールで一位になった会田莉凡のヴァイオリンで、ラヴェル。彼女はかなり硬くなっていたようで、ヴァイオリンの響きが冴えません。ラヴェルは美音で聴きたい曲ですから、これではダメですね。曲が進むにつれて、だんだんと響きはよくなりましたが、合格点とは言えません。今後の精進を願うばかりです。

三曲目はまた、コントラバスでグリエールの曲。グリエールというのは、プロコフィエフやハチャトゥリアンの先生で、ロシア(ソ連)で活躍した人だそうです。これはコントラバスのために作曲された曲で、ハイポジションを多用して、明確な旋律線が美しく、楽しめました。

後半の最初の2曲、ボッテジーニとクーセヴィッキーの曲も同様にコントラバスのために書かれた美しい曲。さりげない演奏で楽しめました。ボッテジーニは歌劇《アイーダ》を初演したイタリア人指揮者だそうで、コントラバスの曲を数多く作曲したそうです。クーセヴィッキーはもちろん、ボストン交響楽団の指揮者だった人で、もともとはコントラバス奏者だったそうです。作曲していたとは知りませんでした。

ブルッフの曲はチェロ独奏とオーケストラのための有名な曲ですが、これをコントラバス用に編曲したものが演奏されました。この編曲はよくできていて、美しい抒情が感じられます。ただ、チェロの場合の気合というものがこのコントラバスでは不足して、綺麗なメロディーがすっと流れていく印象です。それはそれでいいんですけどね。

最後のボッテジーニはヴァイオリンとコントラバスの協奏的な曲。迫力のある、よい演奏でした。ヴァイオリンの会田莉凡も先ほどのラヴェルのときのような硬さも取れ、音コン一位の実力の片鱗を聴かせてもらいました。若さの勢いと音楽の粗さが裏腹に感じますが、よい方向に伸びていってほしい人材です。吉田秀のコントラバスは安定した響きでさすがです。

辛口のコメントも書きましたが、吉田秀の穏やかな人柄、そして、彼の美しい夫人、安宅薫のきっちりしたピアノのサポートで、リサイタルは気持ちのよいものでした。何といっても、コントラバスの独奏という珍しいものが聴けたのも収穫でした。


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ラインの旅:スイス編~コンスタンツ港へ到着・・・ボーデン湖からライン川へ

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/6回目

クルーズ船に乗って、花の島マイナウ島を離れてコンスタンツに向かいます。船の舳先の向こうには、ボーデン湖の湖面、そして白く輝くアルプスが見えます。


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やがて、対岸の街メールスブルグの姿が大きくなってきました。マイナウ島に向かうときもここを経由してきました。


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もう一度、アルプスの姿に目を凝らします。大変美しいですね。


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メールスブルグの船着き場に近づくと、丘の斜面のワイン畑、丘の上のワイン醸造所が見えます。この街もワインの街のようです。


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メールスブルグの船着き場に接岸しました。マイナウ島に向かうときは大勢の観光客が乗り込んできましたが、コンスタンツに向かう人は少ないようです。


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また、港にあるオブジェが見えます。結構、巨大なオブジェです。その向こうには、アルプスも見えています。


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メールスブルグを出て、ボーデン湖クルーズを満喫。しばらくすると、船はコンスタンツの街に近づいてきました。


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コンスタンツの船着き場に近くなると、ライン川の河口が見えてきました。河口にはライン橋が架かっています。ボーデン湖の豊富な水がこの河口からライン川に流れ込んでいます。saraiとしては、こここそライン川の始まりです。ロッテルダムの河口から遡って、遂にここまでやってきました。


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コンスタンツの港に入っていきます。港の入り口には、お馴染みになったインペリアの像が立っています。その横を船は通り過ぎていきます。


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インペリアの像は船の後ろになりました。その向こうには、ライン川の河口も見えています。


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船着き場に接岸します。


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船を下りて、コンスタンツに再び上陸。これがマイナウ島から乗ってきたBSB社のクルーズ船、Stuttgart号です。スマートな船ですね。


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ここからは、ボーデン湖からライン川を下流に進みます。鉄道を利用します。予定の電車の発車時間まで20分しかありませんが、ちょっとだけコンスタンツの街を見てきましょう。船着き場と市街地を隔てる広い道路を地下道で渡ると、大きな通りに出ます。歩行者専用の通りなので、広場のようにも見えます。


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通りにはレストラン・カフェが並び、オープンテラス席は客で賑わっています。今日は平日なんですけどね。


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通りは大勢の人が行き交っています。大観光地ですね。


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コンスタンツの街の賑わいも見たので、そろそろ駅に向かいましょう。大通りを渡ったところがコンスタンツ駅です。


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コンスタンツ駅から電車S-bahnに乗って、ボーデン湖を後にします。ライン川を下って、ラインの滝を目指します。



次回を読む:12日目-2:シュタイン・アム・ライン~ラインの滝

前回を読む:10~11日目:ストラスブール~ベルン~チューリッヒ





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ラインの旅:スイス編~ライン川に沿って、鉄道でシュタイン・アム・ラインに到着

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/7回目

コンスタンツからはシャフハウゼンSchaffhausenに向かう予定でしたが、急に心変わりして、少し手前のシュタイン・アム・ラインStein am Rheinの街で途中下車することにしました。とても天気がよいので、ライン川のほとりにあるシュタイン・アム・ラインの街が美しいだろうし、予定していたスケジュールも順調にこなせているので、寄り道をする気になったんです。

コンスタンツ(Konstanz)を出発し、クロイツリンゲン(Kreuzlingen)で電車を乗り換えて、シュタイン・アム・ライン(Stein am Rhein)へ向かいます。鉄道ルートを確認しておきましょう。


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予定の電車に乗って、クロイツリンゲンの駅に到着。これがコンスタンツから乗ってきた電車です。


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クロイツリンゲンのホームで電車を待ちます。


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5分ほどの待ち合わせでSバーン(S3)の電車がきます。シュタイン・アム・ラインもシャフハウゼンも停車する電車です。


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予定通り電車がやってきました。ここからはライン川を下る旅になります。


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30分ほどでシュタイン・アム・ラインに到着する筈です。
Sバーンの電車の車内はカラフルで綺麗です。


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クロイツリンゲンを出ると、すぐに右手の車窓からライン川が見えてきます。この辺りはボーデン湖の河口からすぐ近くです。


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青空の下、広々とした川幅のライン川がゆったりと流れています。


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線路はライン川に近づいていきます。ライン川はますます川幅を広げます。この辺りからは、ライン川はウンター湖(Untersee)と一体化していくようです。


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もう、ここはライン川というよりはウンター湖です。広々とした湖面です。


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やがて、電車はベルリンゲン(Berlingen)駅に停車。シュタイン・アム・ラインまで半分ほど来ました。


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ベルリンゲンを出ると、車窓にウンター湖が広がっています。この辺りがウンター湖の端っこです。左手の方はライン川に続きます。


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すぐに次の駅、シュテックボルン(Steckborn)に停車。オレンジ色の屋根の駅舎がかわいいですね。


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シュテックボルンを出ると、ライン川が見えます。川の両岸の緑が美しいです。


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次の駅、マンメルン(Mammern)に到着。犬を連れた人が電車を待っています。長閑です。次はシュタイン・アム・ラインです。


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マンメルンを出ると、ライン川沿いにワイン畑が続きます。


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その先は野菜畑に変わります。背後に見えるライン川は美しいです。


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その先はまたワイン畑。ボーデン湖から、この辺りはワインの一大産地です。


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シュタイン・アム・ラインに到着し、急いで降車。まずは駅前に出ます。


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駅はシュタイン・アム・ラインの旧市街とは離れているようで、どの道を歩けばいいのかよく分かりません。駅前に街の地図の看板があり、助かりました。この地図を見て大筋の見当を付け、ライン川の方に向かって歩きます。


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駅の近くは新しい住宅地です。一目散に街の中心に向かいましょう。


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大きな通りのロータリーにぶつかりました。ここを右に曲がればいい筈です。


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遠くの丘の上にお城が見えます。ホーエンクリンゲン城Burg Hohenklingenでしょうか。


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大通りを少し歩いて、左に折れて歩きます。道の先に教会の尖塔が見えてきました。あれがシュタイン・アム・ラインの旧市街でしょう。


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通りには、木組み風のホテルがあります。Hotel Schwanenという名前ですから、白鳥亭といったところでしょうか。


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もうすぐライン川にぶつかり、シュタイン・アム・ラインの旧市街に着きそうです。


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ラインの旅:スイス編~ラインの宝石、シュタイン・アム・ラインを堪能

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/8回目

白鳥亭Hotel Schwanenのホテルの先にライン川を渡る橋があります。橋を渡れば、シュタイン・アム・ラインの旧市街です。


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橋の袂までやってきました。青空が綺麗です。


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このあたりのライン川は意外に狭くなっているようです。そんなに長い橋ではありません。この橋はローマ時代に起源を持つ石橋だったそうです。1971年から1974年にかけて、現在の橋にかけかえられました。


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橋に上がったところで、ライン川越しに対岸の旧市街を眺めます。無理をして、この街に立ち寄った甲斐がありました。素晴らしい眺めです。



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ここまで駅から歩いて5分程でした。橋の真ん中でライン川の景色を眺めます。これは下流方向です。ロッテルダムから、ここまで長い道のりでした。ライン川はこのスイスから、ドイツを経て、オランダで大西洋に流れ出します。美しい眺めです。


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橋は重要な交通路らしく、多くの車が往来しています。橋の向こうには尖塔が見えます。市教会(Stadtkirche)でしょうか。


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振り返ると、橋の手前の岸辺にも美しい建物が並んでいます。ライン川にかかる橋の周りの街の美しいこと、素晴らしいです。


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橋をほとんど渡り切ったところから、ライン川下流の眺めを楽しみます。いや、美しい!


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橋を渡りきると、シュタイン・アム・ラインの旧市街にはいります。


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通りは少し狭くなって、突き当りになっています。


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通りを突き当って、右を見ると、尖塔があります。市教会(Stadtkirche)です。青空に映えて美しいですね。


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左手は大きな通り、市庁舎広場(Rathausplatz)です。賑やかです。石畳も綺麗です。


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通りが突き当った建物は市庁舎でした。市庁舎広場から市庁舎を眺めます。建物の壁には、装飾画が描かれています。これは歴史画でしょうか。


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市庁舎広場に面した建物の壁の多くに装飾画が見事に描かれています。ヨーロッパの街では、建物の装飾画はよく見かけますが、この街の装飾画はその中でも秀逸です。


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広場にずらっと並ぶ装飾画の建物は壮観です。


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この建物もご覧ください。凄いですね。


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街中の建物の壁面には絵が描かれていて、とても美しく、中世の雰囲気が素晴らしいです。正面の噴水は市の泉(Stadtbrunnen)です。


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広場の先の通りを行くと街の目抜き通りウンターシュタットUnterstadtです。残念ながら、もう、持ち時間がなくなってきたので、ここで引き返します。もう十分に街の景色を楽しみました。


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至る所に、観光客が繰り出していて賑やかでした。街の名前の“シュタイン・アム・ライン:ラインの石(宝石)”というのも肯ける美しさです。美しいこの街を見ずして、ライン川は語れません。この街に立ち寄ったのは大当たりでした。
シャフハウゼン行の1本後の次の電車に乗るので、この街にはわずか30分の滞在です。何とも慌ただしい2人です。
帰りはまた、市教会の尖塔のそばに近寄ってみます。美しい塔です。


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最後にもう一度、建物の装飾画を拝見します。とても綺麗です。


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さあ、駅に急ぎましょう。

シュタイン・アム・ラインの急ぎ足の散策ルートを地図で確認しておきましょう。


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ラインの旅:スイス編~シュタイン・アム・ラインからライン川のほとりの街、シャフハウゼンへ

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/9回目

美しいシュタイン・アム・ラインの街を駆け足で見て、急いで、駅に戻ります。何といっても、たった30分だけの滞在です。慌ただしいこと、この上なしですが、それだけの価値はありました。
また、ライン川に架かる橋を渡ります。


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ライン川の対岸の岸辺には、旧市街と同じような綺麗な建物が並んでいます。


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帰りは橋の上流沿いを歩きます。上流もこんなに綺麗です。この先にボーデン湖があります。


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もう一度、振り向いて、旧市街のほうを眺めます。美しい街でした。


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ほぼ、橋を渡りきるところで、最後にライン川を一瞥します。ライン川の眺めの中でも、最も美しいもののひとつです。


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駅に戻る途中で見つけたお店で、フライドポテトとソーセージのテイクアウトをお願いします。今日は忙しくて、まだ、お昼ごはんを食べていませんでした。


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田舎ののんびりしたお店で、客の注文を聞いてから作るようで、時間はあるかと聞かれ、5分しかないと答えると、任せろ!という感じで、手際良く作ってくれました。気のいいおじさんです。


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なお、このシュタイン・アム・ラインの街はライン川のドイツ領側に張り出していますが、れっきとしたスイスの街で、有効な通貨はスイスフランです。とても通貨がややこしい!勘弁してよ~。
ダッシュで電車に飛び乗り、さっそく美味しく頂きます。熱々で美味しいです。


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シュタイン・アム・ラインからシャフハウゼンまでSバーンのルートを確認しておきましょう。(青色の矢印)


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シャフハウゼン行きのSバーンの電車は各駅停車ですから、次々と5分間隔で駅に停車していきます。これはディースゼンホーフェン(Diessenhofen)です。


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次はザンクト・カタリーネンタール(St.Katharinental)。


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鉄道はずっと、ライン川を離れて、走っていましたが、また、ライン川が見えてきました。ここからは川沿いを走るようです。


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次はラングヴィーゼン(Langwiesen)。


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電車は美しいラインの岸辺を走ります。


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ライン川の南斜面の丘には、ワイン畑。


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住宅地の中を走ります。綺麗な家々が立ち並んでいます。庭も広々として、緑が豊かです。ちょっぴり、羨ましい。


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次はフォイアーターレン(Feuerthalen)。


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フォイアーターレンを出ると、すぐにライン川を渡り、シャフハウゼン(Schaffhausen)に到着です。


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最初の予定では、ここでゆっくりするつもりでしたが、シュタイン・アム・ラインに立ち寄ったので、ここでもわずか30分しか滞在時間はありません。30分後に戻ってくる覚悟でホームから急いで出ます。


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この街も不案内なので、また、駅にある街の地図をよく見ておきます。


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駅前に出ると、立派な石の塔、オーバー門が見えますが、立ち寄っている暇はありません。


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ともかく、このシャフハウゼンでもライン川を見ておきましょう。ライン川がテーマの旅ですからね。


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いきなり感動の名演、ティーレマン+ウィーン・フィル:ベートーヴェン・チクルス①@サントリーホール 2013.11.8

待ちに待ったティーレマンとウィーン・フィルによるベートーヴェン交響曲チクルスが始まりました。大変な期待をしていましたが、それはそれ、聴いてみるまでは不安感もあります。十分に予習をして、ティーレマンのベートーヴェンがどういうものかは十分把握していたつもりですが、CDの記録と生演奏は別物ですからね。もちろん、CDはライブ録音なので、生演奏に近い筈ですが、ホールも異なります。

で、どうだったか・・・素晴らしい演奏でした。

まず、交響曲第1番を聴いて、これは最高だと思い、このチクルスの白眉だろうと思いました。

次に第2番、序奏の最初の和音を聴いた瞬間、これは素晴らしい演奏になることを確信。実際、最高の第2番でした。脳裏をよぎったのは、こんな素晴らしい音楽をフルトヴェングラーが何故、そんなに演奏を避けたのかということです。ほとんど、録音が残っていません。ともあれ、こんな素晴らしいベートーヴェンが聴けるなんて、このチクルスはこれで終わっても満足だと思ったほどの感銘を受けました。ところが、ティーレマンの真価はこんなものではありませんでした。

第3番《エロイカ》はありえないような奇跡が起こったとしか思えません。生涯最高のベートーヴェンです。実はこの《生涯最高のベートーヴェン》というのは一度使ったフレーズです。それはやはり、同じウィーン・フィルの《エロイカ》でした。巨匠プレートルの来日公演でした。一生、この《エロイカ》を超える《エロイカ》は聴けないだろうと思っていました。今夜、それが覆されたんです。まあ、冒頭のトゥッティの和音から、フィナーレまで、まったく、息の抜けない演奏。CDで聴いた演奏を大きく上回る演奏に度肝を抜かれました。最高に感動したのは、第2楽章の後半、対位法的に第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンと受け継がれる部分から、頂点に上り詰めていくところです。余りの感動に涙が滲みます。こんな素晴らしい第2楽章は聴いたことありません。第4楽章も高弦の美しさ、音楽に内在するチカラの凄まじさに茫然とするだけでした。第1楽章、雄渾という言葉そのものの力強く、それでいて、美しい演奏。第3楽章は軽く流すのかと思っていたら、剛球を投げ込んできたかのような凄まじい演奏。本当はもっと書くべきことは体にぎっしり詰まっていますが、とりあえずはこんなところで、お許しください。感動を吐き出さずに心の奥底にしまっておきたいんです。

今日のプログラムは以下です。

指揮:クリスティアン・ティーレマン
管弦楽:ウィーン・フィル

ベートーヴェン交響曲チクルス第1日

第1番ハ長調Op.21
第2番ニ長調Op.36

《休憩》

第3番変ホ長調Op.55《エロイカ》

これで第1日は感動のうちに終えましたが、まだ、あと、3日も残っているのは心豊かです。今日の《エロイカ》はsaraiにとって、歴史的な名演とも言えます。CDで聴けるフルトヴェングラーのウラニア盤と合わせて、生涯の宝です。

最後に今日の3曲の予習について、リンクを張っておきます。何かのご参考になればと思います。

交響曲第1番についてはここ
交響曲第2番についてはここ
交響曲第3番《英雄》についてはここ



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       ティーレマン,  

鮮鋭にして濃密、マーラー交響曲第7番:インバル&東京都交響楽団@東京芸術劇場 2013.11.9

先週のショッキングな第6番に続いて、今日は第7番です。

今日の交響曲第7番は第5番、第6番と同様に声楽なしの器楽だけの絶対音楽です。第2番から第4番までの声楽付きの交響曲と一線を画しています。しかし、第5番、第6番とも大いに趣を異にしています。それは第7番はマーラーの内面の独白、叫びが感じ取れないことです。悪く言えば、意味が分かりづらい音楽とも言え、そのせいか、人気も今一つで、演奏機会も少ないようです。こういうチクルスでもないと、なかなか耳にする機会もありません。しかし、良く言えば、妙な思い入れなしに冷静にマーラーの作りだした音楽芸術を鑑賞できるとも思えます。実際、今日の演奏はその通りでした。先週の第6番に比べると、心理的に余裕を持って、聴いていることができました。
聴いていて、強く感じたのは2点です。

一つ目は、鮮鋭さです。インバルの表現する第7番は実に鮮鋭な響きです。具現化するのは、ますますレベルアップしてきた都響の管弦楽。またまた、コンサートミストレスの四方恭子以下ずらっと並んだ女性陣の第1ヴァイオリンを始めとした充実した弦楽セクション、そして、管楽セクションも実に好調です。この鮮鋭さは後に続くバルトークを予感します。夜の濃密な空気感もバルトークの夜の作品を連想します。また、この第7番は5楽章構成で、第3楽章を中心に綺麗な対称型のアーチ構成になっており、バルトークの同様な構成の作品群を思い起こします。マーラーは第5番でも同様な5楽章構成を採用していますが、この第7番ほど、対称型にはなっていません。ちょっと話がずれてきましたが、要するに今日の演奏を聴いて、この作品は他の作品以上に後の時代の音楽に大きな影響を与えたのではないかという思いです。先端的な作品であったろうと感じました。

2つ目は、濃密なロマンチシズムを感じたことです。第2楽章、第4楽章は《Nachtmusik:夜の音楽》と名付けられていますが、これは夏の夜でしょう。夜の濃密な空気、それもねっとりした空気が感じられます。まさに後期ロマン派の最後を飾るような音楽です。調性音楽のぎりぎりなところに感じます。これは新ヴィーン楽派のアルバン・ベルクに引き継がれるものです。コンサート後、インバルはマーラーの音楽について、シェーベルクとベルクに言及して、彼らがマーラーの音楽を聖なるものと評していたと紹介していました。saraiの感想と直接の関連はありませんが、もしかして、インバルはこの第7番を新ヴィーン楽派を念頭に置いて、演奏したのかしらね。まあ、考え過ぎかもしれませんが、調性のあるなしは別にして、これこそ、ウィーンの濃密な音楽の系列をなす作品であることは間違いないでしょう。そう感じさせるような今日の演奏でした。

番外としては、いつもとりあげられる、この第7番の構成上の問題があります。第5楽章がそれまでの第4楽章までの夜の雰囲気と打って変わって、祝典的な音楽になるのは、マーラーの失敗ではないかという主張です。saraiとしては、第1楽章の終盤だって、十分、祝典的だとは思いますが、確かに、意識して聴くと、この第7番は第4楽章で静かに終わっても、感銘のある作品であるようにも思います。しみじみとした第4楽章に続いて、楽天的とも思える第5楽章は浮いて聴こえなくもないですからね。まあ、第5楽章は番外のエピソード編のようにして聴くものかしらと頭を捻ってはいます。そして、今日の演奏がどうなるか、興味津々として聴いていました。しかし、インバルはさすがに老練です。そんな素人の思いを嘲笑うか如く、何と、第3楽章後、舞台裏に引っこんで、長々と所用を済ませてきました。その後、第4楽章が終わり、余韻もなしに、続けざまに第5楽章を演奏するという挙に出ました。これでは、全体が2部構成で、しかも第4楽章は第5楽章の序章のような扱いです。素人が頭を捻る暇もありませんでした。後で聞くと、前日のみなとみらいホールの演奏では、同様に第3楽章後にいったん、インバルは舞台裏に消えたそうですが、すぐに出てきたようです。今日は、さらにこの構成を明確化したのでしょう。思い出すと、以前もインバルはこのチクルスで同じ手法をとって、長大なマーラーの交響曲を2部構成にしていましたが、それは声楽陣の入場の関係もあると思っていました。インバルはかなり、強い意味を込めて、途中休憩を入れるようです。第7番のこの2部構成の意味はsaraiにとって、謎です。どなたか、ご教授いただけると幸いです。saraiはこの第7番はほとんどCDでしか、この曲に接していないので、実演でどう演奏されるかはCDからは分かりません。

全体的には、とても音響的に楽しめた演奏でした。都響はそういう高いレベルの演奏をしてくれました。テノールホルン、ホルンを始めとする金管の見事な演奏にも感嘆しました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団

  マーラー:交響曲第7番ホ短調《夜の歌》

マーラー・チクルスも残すところ、あと2曲。第9番が楽しみですが、もうすぐ終わるという寂しさもあります。インバルも今期でプリンシパル・コンダクターの契約も切れるので、とても残念です。ブルックナーもショスタコーヴィチも中途半端です。ただ、来期はクック版のマーラーの交響曲第10番を指揮してくれるということなので、以前のベルティーニのマーラー・チクルスの第9番での悲しい思いは味わわなくてもいいかもしれません。

ところで、今日はコンサート後にインバルの指揮者デビュー50周年のパーティーに参加してみました。定期会員70人が抽選で参加できるものです。有料の2000円でしたけどね。憧れの女性第1ヴァイオリン奏者の方たちとお話させてもらいました。かなり、突っ込んだお話も聴けましたが、やはり、プライベートな会話は秘密ということですよね。みなさん、初対面のsaraiに率直な会話、ありがとうございました。


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50年目の邂逅、ティーレマン+ウィーン・フィル:ベートーヴェン・チクルス②@サントリーホール 2013.11.10

ベートーヴェン交響曲チクルス2日目になる今日のコンサートは素晴らしかった1日目を上回る驚異的な演奏でした。大変な感動の気持ちに包まれました。最初の第4番も素晴らしかったのですが、後半の第5番《運命》はオーケストラ演奏の極致とも思える演奏でした。

第5番《運命》はsaraiの音楽生活の原点とも言えるものです。《邂逅》という言葉は必ずしも正確な言葉の使い方ではないことを承知の上で、あえて、自分の気持ちを表現するために使いました。saraiが中学生になって、初めて本格的なクラシック音楽に接したのが、この第5番《運命》でした。そして、今年でちょうど50年、この原点とも言える第5番《運命》の想像を絶する超名演を実演で聴くことができた思いを《邂逅》という言葉に託しました。
今日のコンサートを聴くために50年に渡る長い音楽の旅を続けてきたのだという、感慨に襲われています。50年前にこの第5番《運命》を聴いて以来、実に様々な音楽に接してきました。オペラにものめり込みましたし、素晴らしい音楽を求めて、ヨーロッパ遠征にも出かけるようになりました。幾度も感動の体験もしてきました。しかし、今日ほどの目くるめく感動があったでしょうか。ティーレマンとウィーン・フィルは爆発力のある第5番《運命》を聴かせてくれました。第3楽章からのアタッカを経て第4楽章の輝かしい主題が鳴り響くと、大きな感動の波が押し寄せてきました。ティーレマンの音楽にsaraiが同調した瞬間です。感動の振幅は自分の許容度を超えて、針が振り切れてしまい、後は頭が真っ白。冷静に音楽を鑑賞できなかったのは残念ですが、それほど、空前絶後の音楽だったと言えます。

まだ、チクルス2日目でやっと半分が終わったところですが、早くもこのチクルスにかけるsaraiの思いが果たされました。このチクルスへの期待はここに書きました。そこから、引用しますが、次のような思いだったんです。

saraiの音楽人生(そんな人生ってあるのっていう突っ込みはなし!)において、ひとつのエポックになると思います。何せ、ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲と言えば、当代を代表するものです。大げさに言えば、もう、フルトヴェングラーが60年近く前に亡くなって以来、最高のベートーヴェンが聴けるかもしれない。それも全交響曲を東京で聴けます。今後、saraiが生きているうちの最後のチャンスになるかもしれません。

以上の大げさとも言える期待が実現してしまいました。例え、残りのコンサートが凡演に終わろうととも(まあ、ありえないでしょうが)、今日の第5番《運命》が聴けただけで、音楽を愛する一聴衆として、音楽人生の頂点を極めた思いです。それにこれまでの全5曲は最高の演奏でもありました。第7番、そして、第9番はどういう演奏になるでしょう。やはり、さらなる期待も膨らんでいきます。

今日のプログラムは以下です。

指揮:クリスティアン・ティーレマン
管弦楽:ウィーン・フィル

ベートーヴェン交響曲チクルス第2日

第4番変ロ長調Op.60

《休憩》

第5番ハ短調Op.67《運命》

今日はもう、これ以上書く必要はありませんが、一応、今日の演奏について、軽く触れておきます。

まず、第4番です。
第1楽章、精妙な序奏に続き、エネルギーに満ちた主部。弦のうねるような響きが基盤になっています。自在なルバートはティーレマンのやりたい放題の印象ですが、それが決まっているんです。それにしても、ここまでウィーン・フィルを絶妙にコントロールするのも凄いし、また、ティーレマンの自由な棒さばきに合わせるウィーン・フィルの合奏力も凄いと感じます。これはオペラ指揮者としてのティーレマンとオペラのピットで修羅場をくぐり抜けてきたウィーン・フィルの職人技の合体したものだと一人合点します。演奏風景を見ていて、こんなに面白いことは、かってなかったことです。
第2楽章、ともかく、木管、特にクラリネット独奏の美しさには聴き惚れてしまいました。そして、それに合わせる室内楽的な弦の合奏はまるでクラリネット5重奏曲を聴く思いです。変な思いが頭をよぎります。ベートーヴェンがクラリネット5重奏曲を書いてくれれば、どんなに素晴らしかっただろうということです。それほど透明な美しさがありました。この音楽を聴かせてくれたティーレマンには頭が下がります。
第3楽章、地響きのするような底固い響きが強烈に鳴り響き、パワフルな演奏に圧倒される思いでした。
第4楽章、これは冒頭から、ウィーン・フィルの素晴らしい合奏力に括目する思い。テンポはそんなに揺らさずに自然な流れで、活き活きとした演奏が次第に白熱していきます。この第4番で一番の聴きものでした。素晴らしい演奏に爽快感を感じました。
この第4番はティーレマンのCDでは実に不満を覚えた演奏でしたが、実演では素晴らしい納得の演奏でした。

次は、感動の第5番《運命》です。
第1楽章、冒頭の運命の動機、ダダダダーンの素晴らしい響きが心に突き刺さります。緩急のルバート、そのルバートの過程でタメができ、トゥッティで熱いエネルギーが噴出されます。この繰り返しに心が躍ります。コーダが終わり、ふーっと息をもらしてしまうほどの力演です。
第2楽章、前半は普通の出来かなと思って聴いていましたが、後半での凄い盛り上がりに陶然とした思いでした。
第3楽章、爽快な演奏にだんだんと引き込まれて、凄い集中した状態でアタッカに。アタッカの静かではありますが、緊張を孕んだ雰囲気に呑み込まれていきます。
第4楽章、それまでの緊張感が勝利のファンファーレで一気に開放されて、もう、息もできないほどの感動の渦に巻き込まれます。後はもうティーレマンにインスパイアされるだけです。息も絶え絶えになりながら、頭は真っ白。いつの間にか圧倒的なコーダ。ティーレマンとウィーン・フィルの凄まじい気力の演奏に茫然自失状態になりました。

大阪の同一プログラムのコンサートでは、この後、エグモント序曲がアンコールとして演奏されたそうですが、もちろん、今日はそんなものはまったく不要でした。

最後に今日の2曲の予習について、リンクを張っておきます。何かのご参考になればと思います。

交響曲第4番についてはここ
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ



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ラインの旅:スイス編~シャフハウゼンの街とライン川

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/10回目

シャフハウゼンSchaffhausenはシュタイン・アム・ラインよりずっと大きな街で、ライン川までが遠いようです。時間はありませんが、ともかくライン川だけは見てきましょう。旅のテーマですからね。繁華街を抜けていくことにしました。通り沿いには立派な建物が並んでいます。これは公共的な建物のようですが、ヨーロッパによくある騙し絵が壁に描かれています。


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街の中心地、フロンヴァーグ広場Fronwagplatzに出ました。人で賑わっています。


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これはフロンヴァーグ塔(Fronwagturm)です。天文時計があります。


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これは広場の中央にある肉屋の噴水Landsknechtbrunnenです。この街にも多くの噴水があるようです。スイスの街に共通した特徴です。


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フロンヴァーグ広場から狭い通りを抜けると、また広いところ(ヘレンアッカーHerrenacker)に出ました。正面の中央の建物がツーリスト・インフォメーションですが、先を急ぐので中には入りません。


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ここヘレンアッカーは旧市街でも最も美しいスポットのひとつです。浮彫状のカルトゥーシュを持った初期ネオクラシック様式の出窓のある美しい建物があります。


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その横のほうにも、同様の美しい出窓の建物(Zum Friedenという名前のお店)が見えます。


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ともあれ、先を急ぎましょう。この先の通りを進み、大きな自動車道路に突き当ると、その先に待望のライン川が見えました。やったね!


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自動車道路を横切ってライン川の川岸まで行こうとしましたが、無情にも柵が邪魔して道路に出ることができません。車の往来も多く危ないので、ここは無理をせず、ここで撤退しましょう。


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必死に街の外れまで歩いてライン川とご対面、納得して駅に戻るバカな2人です。

シャフハウゼンの街の束の間の散策のルートを地図で確認しておきましょう。


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帰りは気持ちに余裕も出て、通りの綺麗な花屋さんを覗きながら、ぶらぶら歩きます。


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街の中心まで戻ってきました。通り沿いに、また綺麗な出窓の建物があります。これがシャフハウゼンの街の象徴ですね。


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フロンヴァーグ広場には、ムーア人の噴水(Mohrenbrunnen)もあります。噴水もこの街の象徴です。


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最後に、フロンヴァーグ広場の賑わいを振り返ります。


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ムーア人の噴水の前で道を左に折れて、シュヴェーアト通りSchwertstrasseを抜けて、駅に向かいます。


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通りに横断幕が下がっており、アンカー展を開催しているとのことです。そういえば、Albert Ankerはスイスの画家ですね。時間があれば、ちょっと見ていきたいところでした。もう、駅も見えてきました。


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無事、駅前に出ました。


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シャフハウゼンは、ボーデン湖方面とのクルーズ船が出入りしているらしく観光客で賑わっていましたが、シュタイン・アム・ラインのような趣のある街ではありません。本当に、シュタイン・アム・ラインに立ち寄ってよかったです。
駅のプラットホームに出て、ラインの滝に向かう電車を待ちます。


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予定通りの電車に乗りました。電車はライン川沿いに走っていきます。


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美しいラインの岸辺です。この先に滝があるとは信じられないような穏やかな風景です。


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電車は順調にラインの滝に向かって走ります。


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ラインの旅:スイス編~ラインの滝の駅を間違えて、すわっ・・・一大事! でも、災い転じて福となすかな?

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/11回目

シャフハウゼンから電車に乗って、いよいよラインの滝に向かいます。鉄道で2つ目がラインの滝の最寄駅です。電車はライン川に沿って走ります。ライン川の岸辺の斜面は例によって、ワイン畑です。美しく、穏やかなラインの流れです。


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岸辺には木立も並び、のんびりした風景です。


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シャフハウゼンの街もみるみる遠ざかっていきます。


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対岸に綺麗な家々が見えてきました。


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対岸の綺麗な家々が正面に来たところで、電車が停車しました。1つ目の駅です。


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ふと駅名の表示板を見ると、駅名に『Rheinfall』の名前が付いています。慌てて、ここだ!と叫び、配偶者を急き立てながら急いで飛び降ります。その途端、駅名をよく見直し、ここが最寄駅でないことに気付きました。今度は、間違えた!と叫び、配偶者とともに慌てて電車に戻ろうとしましたが、悲しいことに電車は固くドアを閉じて出発してしまいました。ラインの滝の最寄り駅は次の駅なのですが、初めての土地の不案内のため、つい間違えてしまったのです。とんでもないミスに愕然としながら、30分後の電車を待つしかないと覚悟しました。と、その我々の慌てた様子を見ていたらしい、ホーム(小さな田舎の駅でホームしかない)にいた現地の人と思われる中年のご夫婦が、何も問題はないよと話しかけてくれました。目的の次の駅まで歩いても大した距離ではないし、遊歩道があるのでそれを歩いたら良いとのこと。きっと、我々のように失敗する観光客が多いのでしょうね。そのアドバイスで、ようやく気持ちが落ち着きました。ダンケ・シェーン!! 
ちなみに間違えて降りた駅はノイハウゼンNeuhausenです。
このノイハウゼン駅から歩きはじめると、すぐにライン川沿いの道に出ました。


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この川沿いの道を100m程歩くと、すぐにラインの滝へ向かう遊歩道の標識がありました。ご夫婦のアドバイス通りです。


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この辺りはライン川の川幅も狭く、対岸に渡る小さな橋も架かっています。


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この橋の先は気持ちのよさそうな散策路になっています。晴天で気持ちのよい散策になりそうです。大正解!ここを歩かずしてラインの滝を語ることなかれって感じです。負け惜しみじゃありませんよ。ラインの滝に行かれるときは、天気さえよければ、このルートがお勧めです。


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穏やかな川と思えた印象はすぐに一変し、川に岩が目立つようになり、だんだん川の流れが逆立つようになってきました。滝が近づいている予感です。


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こうなると現金なもので、saraiの足取りは軽くなって、ぐんぐん歩を速めていきます。配偶者は後ろから、呆れ顔でついてきます。


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川は岩礁地帯で、危険を示す旗も立っています。


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流れは依然として速いものの、岩礁地帯は抜けたようです。川に入って、のんびり釣り糸を垂れている人達もいます。これでは、まだまだラインの滝は遠いようですね。


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それに、川縁に無粋な近代的なビルが見えてきました。これは景観を悪くしますね。saraiも余裕が出てくると、勝手な思いが浮かんでくるものです。


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それでもライン川に目をやると、岸辺に立つ木は花盛りで綺麗ですし、川も浅瀬の川底まで透き通って見える美しさ。


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散策路の美しいことこの上なく、とっても気持ちのよい散策です。


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配偶者も疲れ気味ながら、のんびりと散策を楽しんでいます。


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何て気持ちのいいライン河畔なんでしょう。


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色んな人が散策を楽しんでいます。ジョギングしている人もいます。春爛漫っていう感じです。


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岸辺の緑の野原では、水着で川遊びに興じている人達もいます。日光浴だけかもしれませんけどね。本当に素晴らしいお天気です。


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もうすぐ、ラインの滝に着きそうな感じになってきました。

駅から散策したルートを地図で確認しておきましょう。


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ラインの旅:スイス編~いよいよ、ラインの滝・・・展望台へ入場

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/12回目

ラインの滝の気配を感じながら、ライン川沿いの散策路を歩きます。まだ、このあたりは平穏ではありますけどね。


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ライン川に白波が立ってきました。ごーっという音も聞こえるようになってきました。


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まだ白波と音だけで、滝は見えてきません。


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橋と丘の上のお城が少し見えてきました。その先はラインの滝の筈です。


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川の流れも激しさを増してきました。


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橋とお城が近づいてきました。ごーっという滝の音も大きくなってきます。


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橋の手前には、ラインの滝の案内板が立っています。ラインの滝に到着です。ここまで、30分近く散策路を歩いてきたことになります。
案内板の地図を見ると、このままこちら側の岸辺を進んでも、橋を渡って対岸に出ても、どちらでもラインの滝は見られそうですが、最終的には、対岸に渡る必要がありそうです。


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対岸に渡る前に、ちょっとだけ橋の先に行って川面を眺めますが、ラインの滝は見えないので橋に戻ります。


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橋は鉄道橋ですが、線路の横に歩行者用の通路があります。橋に上ると、ラインの滝が見えました。ただ、向こう側に滝が落ちているので、滝の手前の川が見えるだけです。轟々と滝の音は響いてきます。


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橋の真ん中あたりからは川の流れが凄い勢いで滝に流れ込んでいるのが体感できます。


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滝の真ん中には大きな岩の中洲が聳えていて、観光客がこの岩に上っています。凄いですね。渡し船が運んでくれるようです。


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橋を渡りきるあたりまで進むと、ようやく滝の姿が少し見えてきました。ここから見ても大変な迫力で、怒涛のような水流が流れ落ちています。


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橋を渡り切りそうになったとき、突然、大きな音が背後から迫ってきます。電車です。saraiたちが乗ってきた電車の次の電車です。間違えて下車してしまった先ほどの駅でこの電車を待っていても、同じ時刻にラインの滝に到着できたわけです。しかし、気持ちのよい散策が楽しめたので、歩いてきたことは本当によかったと思います。電車はトンネルの中に吸い込まれていきます。その先にラインの滝の最寄駅Laufen am Rheinfallがある筈です。トンネルの上の丘の上にはラオフェン城Schross Laufenが見えています。


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ここからはラインの滝の中央に立つ岩の中洲もよく見えます。急峻な岩です。落ちたら危ないですね。


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橋を渡り終え、丘の上のラオフェン城に上ります。
ここまで歩いてきたルートを地図で確認しておきましょう。


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丘の上に上がると、ラインの滝の展望台への入場券売り場があります。こんな自然の創造物である滝を見るために入場券が必要なのはどうかなとも思いますが、仕方がないですね。チケットを窓口で購入します。


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これが購入したチケット。1人5スイスフランでした。そうです。ここはスイスなんです。このあたりは国境が入り組んでいるのでドイツかスイスか分かりません。


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ラオフェン城の城内を展望台入り口に向かいます。


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入り口を抜けて石段を下りながら、ラインの滝に近づきます。ずっと下の方に滝が見えてきました。


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いよいよ、間近にラインの滝に対面できそうです。


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ラインの旅:スイス編~凄まじきラインの滝

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/13回目

展望台への石段を下りながら、ラインの滝に近づいていきます。川縁の木立が切れて、ぱーっとライン川の風景が広がります。滝から流れ出す水流が凄くて、水面は白く泡立っています。対岸に見える建物は渡し船の乗り場でしょうか。


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ラインの滝のほうに目を転じると、少し、木立が邪魔していますが、展望台と滝の真っ白なしぶきが見えます。展望台はもうすぐです。


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もう少しで展望台に着くころには、遂にラインの滝の全貌が見えました。物凄い水量です。


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全景のパノラマです。これがラインの滝です。


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滝の真ん前に小さな渡し船が出てきました。滝の奔流に呑み込まれそうに見えます。ちょっと魅力的ですが、やっぱり、乗るのはやめとこうかな・・・。


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滝に近づくと、ますます、ごーっという轟音が凄いです。


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物凄い迫力にだんだんと興奮してきます。


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こういう川がそのまま、滝となって、流れ落ちるのは初めて見るような気がします。ライン川という大河がそのまま、滝になるなんて、やはり、実際に見るまでは、想像できないものです。


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川の中央の大岩も間に水が抜ける穴がぽっかりと開いていて、今にも崩れ落ちそうに見えます。この岩に上る人は怖くないのでしょうか。


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この凄まじいラインの滝の光景から、一瞬たりとも目が離れません。


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展望台から、滝の上流を眺めます。先ほどの鉄道橋も見えています。ちなみに、ここでsaraiのデジカメのバッテリー切れです。もちろん、交換用のバッテリーも持ち歩いていますが、それも含めてバッテリー切れ。配偶者にそれを告げると、非難轟々! 申し訳ない。ここからは配偶者のみがカメラマン。saraiはじっくりとラインの滝を見ることだけに没入します。


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何度見ても、凄まじい光景です。


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この展望台から、さらに下のほうに下りていけるようです。岩に穿たれた穴を抜ける石段を下りていきます。


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その先は滝のすぐ近くまで出ます。気を付けないと、滝の飛沫がかかりそうです。


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ラインの滝の落差は10mほどですが、巨大な水の奔流が目の前を通り過ぎ、その自然の驚異に魂が震撼します。


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いったん落差を落ち込んだ水は白く泡立ちながら、落ち着きを取り戻していきます。


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それにしても、すぐ目の前を流れ落ちる滝の迫力には興奮が高まるばかりです。


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しばらくはこの場所から動けそうにもありません。この場所での感動は続きます。


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驚愕のフィナーレ、ティーレマン+ウィーン・フィル:ベートーヴェン・チクルス③@サントリーホール 2013.11.15

ベートーヴェン交響曲チクルス3日目です。

まったく、ティーレマンには驚かされます。今日のコンサートは第6番、第7番と素晴らしい演奏が続きましたが、どちらかと言えば、ウィーン・フィルの美しい響きを活かした自然とも思える演奏で、やりたい放題のティーレマン節は炸裂しません。こういう演奏でも、ティーレマンの作り出す音楽は素晴らしいので、ティーレマンもいくつもの引き出しを持った、多様性を持った音楽家であることが分かります。今日はこのまま、典雅な演奏で終わるのかと思っていたら、最後の第7番の終楽章から様相が変わってきて、明らかに、ティーレマンの気魄がだんだん高まっていくのが分かります。そして、最後のフィナーレで大爆発。もう、何がどうなったのかは判然としませんが、ティーレマンが体を大きく使って、物凄い身振りをすると共に、ウィーン・フィルの演奏のテンションが一気にあがり、爆演。慄然とするような驚愕のフィナーレです。こんな無茶苦茶とも思えるフィナーレで感動させるのは、今まで、フルトヴェングラーの専売特許だと思っていました。実際、そんな人は誰もいませんでした。

いやはや、これまでの2日間と合わせて、大変なチクルスになってきました。こうなると、最後の第9番はどうなるでしょう。

今日のプログラムは以下です。

指揮:クリスティアン・ティーレマン
管弦楽:ウィーン・フィル

ベートーヴェン交響曲チクルス第3日

第6番ヘ長調Op.68《田園》

《休憩》

第7番イ長調Op.92

今日ももう、これ以上書く必要はないかもしれませんが、一応、今日の演奏について、軽く触れておきます。

まず、第6番《田園》です。

第1楽章、実に柔らかな響き。この第6番は1936年のワルター指揮の演奏を思い起こさせるような、これぞ、《田園》という演奏。もちろん、演奏スタイルは全然異なりますが、ウィーン・フィルの柔らかな響きがあまり変わっていなくて、その響きが《田園》にぴったりなんです。やはり、この《田園》はウィーン・フィルの演奏が独壇場です。ティーレマンもあまり、余計な手を加えないで自然な演奏に徹しています。聴衆としては、ただ、うっとりと耳を傾けるだけです。この曲だけはティーレマンの指揮よりもウィーン・フィルの伝統的で典雅な響きがすべてです。もちろん、一瞬一瞬のタメの利いた演奏の素晴らしさはティーレマンの指揮ならばこそではありますけどね。

第2楽章、ますます、弦の響きが典雅さを増していきます。それに木管のソロの素晴らしいこと! 一部、木管の特定パートに問題はありましたが、そんな些細なことはまったく気にならない素晴らしい演奏です。フルーリーのフルートの美しい響き、クラリネットの抑えた深い響き、まるで、木管と弦楽のためのコンチェルトを聴いているような思いになります。

第3楽章、田舎の賑わい、楽しさも加わって、祝典性さえ感じます。ウィーン・フィルの名人技を聴き入るのみです。

第4楽章、激しい嵐が吹き荒れる大迫力の演奏ですが、響きの柔らかさは失われません。それにしてもティーレマンのパワフルなあおりで凄まじい音楽です。

第5楽章、ミレーの農民画を思わずイメージしてしまう静謐で祈りの音楽です。もっとも、この曲はウィーンの街はずれ、ウィーンの森近くのハイリゲンシュタットで作曲されたので、ああいうフランスの平原とは異なりますが、これがベートーヴェンの内面に投影された心象風景なんでしょう。ティーレマンはあくまでも自然なスタイルで、この曲のしみじみとしたところを表現し、時に気持ちの高揚感を表現していました。

この第6番《田園》はティーレマンがうまく、ウィーン・フィルの美しい響きを活かしつつ、必要最小限、ダイナミックさを付け加えた素晴らしい名演奏でした。

次は、第7番です。

第1楽章、素晴らしいアインザッツの和音がピタッと決まり、序奏が開始。何て、美しい序奏でしょう。テンポも見事。アンサンブルも一糸乱れずです。そして、輝かしい主題がトゥッティで高らかに奏でられ、主部が始まります。その導入部分のフルーリーのフルートソロも見事です。この楽章、ティーレマンはそんなにルバートはせずに、雄渾とも思える演奏。その演奏に釘付けになるような魅力的な音楽でした。

第2楽章、いやはや、素晴らしいアレグレット。何も言うことはありません。ティーレマンも無駄な動きなし。芯の通った美しさを堪能するのみです。

第3楽章、力強い演奏。ここでも音楽は自然に流れていきます。古典的なスタイルの演奏もいいものです。

第4楽章、怒涛の音楽。ティーレマンはここぞというところでアッチェレランド。それで熱くヒートしていきます。そして、前述した通り、圧巻のフィナーレ。

この第7番を聴いて、ティーレマンがいかに凄い指揮者であるかを再認識しました。硬軟織り交ぜての多様な音楽を聴かせてくれます。彼はどこまで底力があるのか、計り知れないポテンシャルを持っているようですね。

最後に今日の2曲の予習について、リンクを張っておきます。何かのご参考になればと思います。

交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ



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       ティーレマン,  

ラインの旅:スイス編~凄まじくも聖なる自然・・・ラインの滝

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/14回目

ラインの滝の真ん前に立って、凄まじい水流の勢いに翻弄されます。ただただ、自然の力の偉大さを感じるだけです。


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川縁には建物が見え、人間の作り上げてきた文化を見ることができますが、そんなものを嘲笑うか如く、ラインの滝は自然の力を見せつけます。所詮、人間の力は自然には及ばないということを実感します。


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もう一歩、足を踏み出せば、もう、そこには、人間の力が無力になる世界があります。あえて言えば、その中で真っ白になりたいという魅力さえ感じてしまいます。自殺願望ではなくて、母なる自然と一体化したいという太古から人間の奥底に潜む願望のようなものが目覚めてくるのが分かります。


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写真だけでは分かりませんが、このラインの滝は人間の5感すべてで感じることができます。大声を上げなければ、すぐ近くの配偶者とも言葉を交わせないほどの大音響。肌に感じる空気感と大震動。圧倒的な自然がここにあります。


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頑強な手すりが身を守ってくれていますが、精神的には及び腰にもなります。


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この自然の猛威の中、また、渡し船が滝の大岩に向かいます。ある意味、自然への冒涜のようにも感じるくらい、自然の力に圧倒的されているsaraiです。


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川の中に滝見台のようなものが張り出していて、そこからまともに自分にめがけてラインの豊富な水が迫ってくる様には、思わず自然の迫力にひれ伏しそうになりますが、それではいかんと虚勢を張り、この圧力に立ち向かおうと両手を挙げて、雄叫びを上げます。(写真はたまたま、配偶者が撮っただけで、決して、ポーズを取ったわけじゃありません。自然に出たパフォーマンスです。)
自然と人間、人類の創生以来、自然との闘いに挑んできた闘争心がsaraiの原初的な本能を目覚めさせ、新たな自分を発見しました。


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配偶者も大興奮。《ラインはここに始まれり》と騒いでいます。このラインの滝こそ、ラインの源流に相応しいと無茶なことを言いだしました。それもいいでしょう。この滝はライン川唯一の滝で、ちょっと下流のバーゼルまではロッテルダムからの船がやって来る港があるのですが、このラインの滝から先へは船は行けません。

対岸を電車が何事もないように走り、川の上は渡し船。自然と文明・・・自然に対峙する人間の雄々しさと愚かさを痛切に感じます。


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大変な感動を味わいました。自然から感動を受けるのはsaraiにとって稀有なことです。文化信奉者ですからね。抑えきれない感動を心に抱いて、そろそろ、ラインの滝から撤収します。まだ、後ろから自然の力が追いかけてくるような錯覚に捉われますが、もう、先ほどのような大音響はありません。


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川沿いの道に出ました。気持ちは落ち着いてきましたが、まだ、興奮の余韻に浸っています。


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この道のすぐ先に鉄道の駅がありました。もちろん、有料の展望台地区の出口の先です。駅から無料で展望台に行けるわけではありません。
この駅は夏場だけ電車が停まる最寄駅Laufen am Rheinfallです。


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電車(Sバーン)はほんの5分ほど前に通過したばかりです。ここで30分ほど待つことになります。ゆっくりと高揚感を静めましょう。ホームはひっそりとしています。


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待っていると、人が少しずつ集まってきます。みんな、表情が明るいですね。大自然の中で、日ごろの悩みや辛さはすべて矮小化され、ピュアーな心になれます。ラインの旅の最後を飾るのに、こんなに素晴らしいところはありませんでした。私達のライン川の旅は、このラインの滝で終焉を迎えます。ライン川の旅をしめくくるのに最高の場所でした。もう大満足です。


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電車がやってきました。これはシャフハウゼンに向かう電車です。逆方向なので、みんなが乗り込んでいくのを見送ります。


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あまりの晴天で無性に喉が渇いてきました。駅は無人駅。日本のように自動販売機なんてものはありません。石段を上って、丘の上のラウフェン城に飲み物を調達に行きます。


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これがその戦果です。そんなに冷たくもありませんが、世の中にこんなに美味しい飲み物があるのかという感じです。


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飲み物を飲んでいると、ほてっていた体も穏やかになり、川を通る空気で爽やかになってきます。


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やがて、予定通り、電車が到着し、無事、乗り込みました。ここからは、ヴィンタートゥール経由でチューリッヒに戻ります。この後もお楽しみがあります。


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感動の第9番、ティーレマン+ウィーン・フィル:ベートーヴェン・チクルス④@サントリーホール 2013.11.17

ベートーヴェン交響曲チクルス4日目です。期待を上回る空前絶後のチクルスが完了し、満足と感謝の気持ちで一杯です。

第9番、やはり、素晴らしかった。第3楽章のしみじみとした風情に心がピュアーになり、第4楽章は何度も感動の大波に襲われました。それでも、まだ、ティーレマンは余力を残していると感じました。大変なポテンシャルを持った天才指揮者です。彼はまだ、さらなる高みに上っていくことが予感されます。しかし、saraiはこれでベートーヴェンは完了してもいいと満足の境地です。万全の予習をして、その努力に対して、素晴らしい贈り物をいただいたという感覚です。音楽・演奏に完璧など、ありようもないのですが、今回のチクルスはあえて、完璧と評価してもいいと思っています。奇数番号の交響曲はすべて、感動がありました。偶数番号(第1番も含めて)の交響曲はすべて感銘を受けました。つまり、4日間とも、すべて、感動と感銘の毎日だったということです。これは完璧と言ってもいいのではないでしょうか。些細な技術的ミスはまったく気にしない性質なので、ティーレマンとウィーン・フィル(殊更、コンサートマスターのライナー・キュッヒル)が何を表現しようとして、どう達成したか、その芸術性、精神性のみを受けとめたいと思います。もう、これ以上のものは今後聴くことはないでしょうし、その必要もないほどの満足感です。
その上で、今回のチクルスの最高の演奏と感じたのは、自分でも驚くことに、チクルス2日目の交響曲第5番ハ短調《運命》です。50年目の邂逅と銘打ちましたが、初めて、クラシック音楽をちゃんと聴いたのが50年前に聴いた《運命》。その環が閉じたような思いに駆られています。この演奏だけは、決して、今後とも、ティーレマンが超えることはないでしょう。奇跡のような音楽でした。熟成して、どうにかなるような類の音楽ではありませんでした。

さて、今日のコンサートに話を戻しましょう。

今日のプログラムは以下です。

指揮:クリスティアン・ティーレマン
管弦楽:ウィーン・フィル

ベートーヴェン交響曲チクルス第4日

第8番ヘ長調Op.93

《休憩》

第9番ニ短調Op.125《合唱付》

今日の演奏について、軽くおさらいしておきます。

まず、第8番です。

この第8番は、ある意味、今回のチクルスで一番、感銘が小さかったというのが正直なところです。素晴らしい演奏でしたが、このチクルスでは、ほかの曲はもっと素晴らしかったという感じ。もっと、素晴らしい演奏ができたのではという感じが残りました。どこにも不満はないのですが、もっと、強烈なインパクトが欲しかったという贅沢な感想です。もちろん、第4楽章などはぞくぞくするほどのワクワク感はありました。ウィーン・フィルの美しい響きが聴けただけでよしとしないといけませんが、ティーレマンの強力な押しが欲しかった・・・

次は、第9番です。

第1楽章、堂々とした音楽。けれども、ここでは感動にまでは至れません。

第2楽章、重厚なスケルツォ。ここでも感動にまでは至れません。

第3楽章、何という深く、しみじみとした音楽でしょう。こういう響きはウィーン・フィルの独壇場です。心に響いてきて、様々な思いに駆られます。その思いに対して、この音楽が優しく、すべてを包み込んで、それでよかったんだよと語りかけてくれます。心の平安です。そして、希望、生きる力を与えてくれます。ベートーヴェンは天才ですが、それでいてヒューマンさを併せ持っています。この楽章は人間が創造した最高のものです。

第4楽章、ともかく、ウィーン楽友協会合唱団が素晴らしい。この第9番を初演した団体はその伝統を引き継いでいるのでしょう。大変な実力を持っています。ウィーン・フィルの後ろに立っているのに、オーケストラの音響を突き抜けて、素晴らしいコーラスが響いてきます。管弦楽のフガートの後、歓喜の主題が高らかに歌われると、感動の大波に襲われました。2度目の感動の大波はソプラノ合唱に導かれた2重フーガの合唱です。清らかにして、力強い、その合唱は何という高みに連れていってくれるのでしょう。最後の大波はもちろん、フィナーレ。最後の4重唱が終わった後の管弦楽と合唱の上り詰めていく力の凄まじさ。もう、たまりません。

これでチクルス完了。最後にえりちゃさんに謝辞。こんな素晴らしいチクルスのチケットをシベリア上空にいたsaraiに代わって、予約してくれたこと、感謝しても、しきれません。その価値はえりちゃさん、ご自身が一番、お分かりでしょう。何といっても、4日間、隣り合った席で感動を分かち合ったのですからね。

最後の最後ですが、今日の2曲の予習について、リンクを張っておきます。何かのご参考になればと思います。なお、第9番については、最後の予習で、フルトヴェングラーの戦後のCDを2枚追加して聴きました。その感想も付け加えました。最晩年(1954年)のバイロイト音楽祭は音は最低ですが、演奏は最高でした。

交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。



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この記事へのコメント

1, michelangeloさん 2013/11/18 00:37
sarai様

感動のレポート、心待ちにしていました。海外でもティーレマン氏の実演に沢山触れられるsarai様のベートーヴェン・ツィクルス、最後の最後まで目が離せず楽しみにしていました。

私はミューザ川崎にて1日早く聴いて参りましたが、第8番にしても第9番にしても非常に似通った印象を持っております。ホールも日時も、違うことを承知の上で。今回とても興味深かったのは、ティーレマン氏のアイデンティティーが色濃く滲み出る日と、ウィーン・フィルが強く姿を現す日があったこと。

熱気に包まれた開場ですれ違うことが出来ませんでしたが、同じ日・同じ時に交響曲第5番ハ短調《運命》の奇跡に遭遇できたこと、人生最大のギフトだと思っています。大変貴重なベートーヴェン・ツィクルス体験談を語って下さり、感謝致しております。ありがとう御座います。

2, saraiさん 2013/11/18 02:02
michelangeloさん、こんばんは。

まだ、音楽を聴き始めて、そんなに日が経たないのに、非常な慧眼には頭が下がります。おっしゃる通り、ティーレマンはウィーン・フィルの自律性に委ねるときと、ティーレマン節を奏でる場合が極端ではありましたね。それだけ、ティーレマンがそれぞれの音楽を鋭敏に描き分けようとしていたのでしょう。全般に奇数番号は彼の強い意志が働いていたように感じました。ある意味、フルトヴェングラー的でしょうか。
そうですか。第5番に共鳴したのですね。今、思っても、あの第5番は身震いします。ブログ読了、ありがとうございました。

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       ティーレマン,  

変容と賛美:ヒラリー・ハーン:シベリウス_ヴァイオリン協奏曲&ネルソンス@東京オペラシティ 2013.11.18

昨日まで、世界最高のオーケストラ、ウィーン・フィルでベートーヴェンの交響曲チクルスを聴いていて、今日は世界最高のヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーン(saraiはそう確信しています。)を聴くなんて、これは望外の喜び以外の何物でもありません。彼女のヴァイオリンって言ったら、もう、その音色・響きを聴いているだけでも、うっとり、満足です。ましてや、名曲、シベリウスのヴァイオリン協奏曲です。その素晴らしいヴァイオリンの響きでたっぷりと美しい音楽を紡いでいきます。かぶりつきで聴いていると、その繊細さから、ダイナミックな響きまで、細かく聴き取れることができ、その素晴らしさに圧倒され、息もできないほどです。何と魅惑的な響きなんでしょう。それにこのヴァイオリンのよく響くこと、クレモナのヴァイオリンでないとは驚きです。シベリウスのヴァイオリン協奏曲がこんなにヴァイオリンのソロが多いのは初めて気が付きました。それはもう、ヒラリーのヴァイオリンを十分に堪能することができます。ヴァイオリンが休みの部分でも、いつものように彼女はオーケストラが演奏しているのを見ながら、聴きながら、それに合わせて、体をゆすって、その音楽エネルギーを体内に蓄積し、そのエネルギーをまた、爆発的に発散します。したがって、ヴァイオリンを弾いていようが、いまいが、この曲の間は、ヒラリーがすべてを支配していました。実に甘美な世界でした。考えてみれば、今年は2回目の来日。前回5月のリサイタルで十分に聴かせてもらったばかりでしたが、この半年は待ち遠しかった思いです。そのリサイタルのときの様子はここここに書きました。素晴らしいシャコンヌでした。

ヒラリー・ハーンの弾くシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴くのは、これで2度目。ちょうど、5年前に聴きました。そのときとは、ずい分、演奏スタイルが変わりました。ヒラリー・ハーンはその5年前の頃にCDを出していますから、現在との違いが明確です。5年前の実演はCDの演奏と同じスタイルでさらに精度を上げた演奏でした。
今回彼女のヴァイオリンを聴いて、最近の彼女の変化が顕著なことに驚かされます。これまでは、天才少女時代から、アイスドールとも評されることの多い時代を通じて、クールでモダン、そして、パーフェクトな演奏を貫いてきました。それが彼女の独自性でもあり、これまでのどのヴァイオリニストとも異なる個性で、それをsaraiは愛してきました。その個性が顕著に頂点を迎えたのは、今、顧みると、5年前のシベリウスのヴァイオリン協奏曲を弾いたときでした。北欧の自然を感じさせられるこの名曲を彼女は実に怜悧に演奏しました。人によっては血の通っていない音楽と感じたかもしれませんが、心の奥底で燃える情熱が外面的にストレートに出ていなかっただけで、冷たい火が燃え上がるような素晴らしい演奏でした。そして、何と言っても、その演奏のパーフェクトさは驚異的でもありました。
今日のシベリウスは、第1楽章から、人間の温かみが感じられ、熱情があふれ出るような演奏です。新しい顔のヒラリーも、やはり、saraiの愛するヒラリーです。第2楽章も静謐さよりもふつふつとたぎる情熱が感じられます。そして、第3楽章にはいると、熱情を超えて、自由奔放な演奏が展開されます。その音楽だけでなく、体全体を使ったアクションの奔放さにも驚きます。ちょっと、やり過ぎの感もありますが、とても高揚させられる素晴らしい音楽に感動を禁じえませんでした。こういったクールさをかなぐりすてた演奏スタイルでは、今まで感じてきた演奏のパーフェクトさというのも、もう、その任を解かれたような感じに思えます。これまで通り、素晴らしいテクニックですが、パーフェクト志向の演奏ではなくなった、血の通った人間の演奏に聴こえます。ただし、これらは熟成してきたヒラリーが新たに獲得した多面性とも考えらます。これまでの演奏スタイルと新たな演奏スタイルを、曲やシテュエーションで使い分けていくという新たなステージにはいったとも考えられます。実際、アンコールのバッハの無伴奏では、バッハらしい静謐な演奏。もっとも、熱情も見え隠れしてはいましたので、単に従来の演奏スタイルの継承ということでもなさそうですが、これはヒラリーらしいパーフェクトな演奏。ところで、ヒラリーのコンサートやリサイタルでは、バッハの無伴奏のアンコールがプレゼントされるのが大きな楽しみです。今夜もシベリウスの大曲1曲を聴いたのと同じくらいの満足感がバッハのサラバンドから得られました。

指揮のネルソンスですが、彼は一昨年にウィーンの楽友協会で聴いて以来です。そのときはマーラーの交響曲第1番《巨人》を熱く演奏しました。その時の記事はここ。彼の肥満ぶりもそこそこおさまっているようです。まあ、あんなにオーバーアクションの指揮で大汗をかいていますから、そんなにぶくぶくとはならないでしょうね。彼のやりたい放題のとても熱過ぎる指揮も健在です。最初のワーグナーのローエングリンの前奏曲は繊細さと雄々しさがないまぜになった力演でした。この人のワーグナーはよさそうです。本質を突いた演奏でした。久々のワーグナーを聴き、魂が震える思いでした。また、長大なワーグナーの楽劇に耽溺したい思いにも駆られる見事な演奏でした。シベリウスの協奏曲もやはり熱い演奏。今日のヒラリーの情熱的で奔放な演奏に合っています。両者、共感しあっている演奏でなかなかのものでした。これがサロネンの指揮だったら、ヒラリーの演奏も違ったものになったかもしれません。協奏曲の面白さは、そういう演奏者の組み合わせの妙というのもありますね。
休憩後は名曲アワー。ドヴォルザークの超有名曲《新世界より》です。もちろん、これもネルソンスの熱い魂のやりたい放題。時として、低弦の響きにボヘミアを感じるところもありますが、印象に残ったのはド迫力の超熱い演奏、理屈なしに楽しませてもらいました。
初めて聴くバーミンガム市交響楽団はいかにもブリティッシュ・サウンドという感じで手堅い演奏。一人一人の力量以上にアンサンブル力の確かさに感銘を受けました。
アンコールの際はネルソンスが客席のほうに振り返って、長々と英語でスピーチ。来てくれて、ありがとうとか、クラシック音楽を愛する人たちと一緒の時間が過ごせて嬉しいとか、日本語が話せなくて、ごめんなさいとか、分かりやすい発音でのスピーチでしたが、肝心のアンコール曲がメランコリック・・・としか分からなかったので、きっと知らない作曲家だろうと思ったら、後でエミール・ダージンズという人の作品だと分かりました。美しい曲でした。エミール・ダージンズというのは、ネルソンスと同郷のラトヴィアの作曲家。チャイコフスキーとか、今日も演奏されたシベリウスの影響を受けた人だそうです。道理でどことなく、シベリウスの《悲しきワルツ》に似た雰囲気の曲でした。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
  指揮:アンドリス・ネルソンス
  管弦楽:バーミングガム市交響楽団

  ワーグナー:歌劇「ローエングリン」~第1幕への前奏曲
  シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47
   《アンコール》バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番から「サラバンド」

  《休憩》

  ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界より」
   《アンコール》エミール・ダージンズ:憂鬱なワルツ

今日はヒラリー・ハーンに夢中になる日でした。しかし、世界最高のヴァイオリニストと世界最高のオーケストラがニアミスしたのだから、できれば、夢の共演でヒラリー・ハーンのヴァイオリン、ティーレマン指揮ウィーン・フィルでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲がやれなかったのがとても残念。今年、5月には、ヒラリー・ハーンとウィーン・フィルがウィーンで共演(何故か、それもシベリウス)したのだから、是非、やってほしかったですね。そうすれば、ベートーヴェンの交響曲と協奏曲(ピアノ、ヴァイオリン)全曲になったのにね。ついでにチェロを見つければ、トリプル・コンチェルトというのもあったのに・・・。果てしなく、贅沢発言が続くsaraiでした。


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ディープなチェコ音楽:フルシャ&東京都交響楽団@東京文化会館 2013.11.19

いつも聴いている東京都交響楽団の定期公演はサントリーホールの定期公演ですが、フルシャがお国もののチェコ音楽、それもとびっきり、ディープな曲を指揮するとあっては、これは聴いておかねばという気持ちになり、文化会館での定期公園に特別遠征です。今日のチェコ音楽の中でもお目当てはマルティヌーのオーボエ協奏曲です。フルシャの指揮でマルティヌーが聴けるのならば、これはどうしても聴き逃せません。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  管弦楽:東京都交響楽団
  オーボエ:広田智之

  ドヴォルザーク:弦楽のための夜想曲 ロ長調 Op.40 B.47
  マルティヌー:オーボエと小オーケストラのための協奏曲 H.353

   《休憩》

  スーク:交響曲第2番ハ短調 Op.27《アスラエル》

まず、ドヴォルザークの夜想曲です。これは滅多に聴けない曲です。もちろん、初聴きです。これは弦楽5部のための曲です。弦楽セレナードを連想すると、美しそうな曲であることが予想されます。しかし、手元に予習用のCDさえ持っていません。原曲が弦楽四重奏曲第4番の第2楽章なので、それで代用して予習。しかし、実際にはそれなりにこの原曲を書き換えたようで、少し、内容が異なっていました。
今日の演奏はとても瞑想的で静謐に感じます。saraiは予習が中途半端なこともあって、消化不足気味ですが、それでも心に沁みる演奏です。フルシャは完璧にこの曲を把握しきっているようです。やわらかで大きな振りの見事な指揮。また、都響の弦楽セクションは素晴らしい響き。今日は四方恭子、矢部達哉のダブルコンマスでほぼベストの布陣。この布陣では、素晴らしくて、当たり前でしょう。10分足らずの短い曲ですが、ホール全体がチェコ色に染まるような美しい演奏にすっかり堪能しました。

次はマルティヌーのオーボエ協奏曲。この曲はモーツァルト、R・シュトラウスと合わせて、3大オーボエ協奏曲と言われている名曲だそうです。もっとも、誰が3大オーボエ協奏曲を決めたのは知りません(笑い)。ともあれ、3大オーボエ協奏曲自体がニッチだし、その上、マルティヌーとくれば、これはなかなか聴く機会がありません。これももちろん、初聴きです。これはちゃんとCDできちんと予習しました。マルティヌーらしいモダンな音響の明るい曲です。もっともモダンと言っても、作曲されたのが1955年ですから、この時期、調性もあり、構成も古典的な、この曲は、時代の先をいくモダンとは言えないかもしれません。ただ、現代的な視点で考え直せば、調性があろうがなかろうが、その作曲家の個性を反映し、かつ、訴求性のある音楽ならば、聴くに値する芸術と思います。そういう意味では、今後、もっと演奏機会が増えていく曲の一つになりうると思います。それはマルティヌーの音楽全体にも言える話です。ただ、大きな問題は若いうちにチェコを出たまま、歴史の大波(ナチス、冷戦体制)に呑み込まれ、死ぬまでチェコに帰国することはままならず、そのため、チェコという音楽基盤が希薄になったということがあります。このオーボエ協奏曲もボヘミア的な雰囲気は感じません。インターナショナルな音楽、悪く言えば、国籍不明にも感じてしまいます。saraiの聴き込みも不足していますから、もっとマルティヌーを聴き込んでいけば、印象も変わっていくかもしれません。何だかんだと言いながら、大変、興味を持っている作曲家の一人なんです。
今日のオーボエは都響の首席の広田智之。このところ、都響の木管は好調なので、彼の演奏も期待できます。実際、綺麗な響きのオーボエに満足でしたし、やはり、フルシャのサポートは素晴らしいものでした。楽章を追って、音楽のノリもよくなっていきました。第3楽章はノーカット版の演奏だったので、CDで聴くことのできなかった2番目のカデンツァも聴けて、満足。この曲もsaraiがまだまだ消化不足でしたが、珍しい曲が聴けて満足といったところ。

休憩後、スークの交響曲第2番《アスラエル》です。ヨゼフ・スークは同名の孫のヴァイオリニストのほうが身近な存在です。この祖父のほうのスークはこれまで、ヴァイオリンの小曲くらいしか聴いた覚えがありません。しかし、彼はドヴォルザークの直系の弟子で、彼の妻もドヴォルザークの愛娘なんだそうです。チェコの正統的な音楽の中心にいた人なんですね。ちなみにマルティヌーはプラハ音楽院でスークから教育を受けたそうです。
この交響曲第2番《アスラエル》は5楽章構成で全体は2部に分かれ、第1部は師ドヴォルザークの死を追悼するもの、第2部は愛妻の死を追悼するものです。愛妻オティーリエは前述した通り、ドヴォルザークの娘ですが、父ドヴォルザークの死の翌年、若干27歳の若さで父の後を追うように亡くなったそうです。師と愛妻を次々と失ったスークの胸中はいかばかりだったでしょう。
今日の演奏はフルシャの暗譜での気魄のこもったもの。第1部は師の追悼にふさわしく、実にダイナミックな迫力満点の演奏。ただ、日本人的感覚では、追悼という厳かな雰囲気が乏しいのが不思議です。国民性の違いでしょうか。ドヴォルザークで連想するボヘミア的な要素も多くはありません。第2部は愛妻の死を悼むということで、第1部よりは胸に迫るものがあります。第4楽章は静謐な音楽の中で、優しい愛情が感じられる美しさにあふれています。四方恭子のヴァイオリンソロも華を添えます。亡き妻の思い出という風情が感じられます。第5楽章に至り、激情が噴出します。妻の死とそれに対する嘆き、怒り、もろもろの感情でしょうか。フルシャも激しい指揮、受けて立つ都響も渾身の演奏。しかし、その激しさよりもラストの静けさがより印象的でした。繊細なフィナーレがこの曲の最大の聴きどころに思えました。

チェコ音楽への共感・理解が不足しているsaraiですが、フルシャの演奏するチェコ音楽には、とても惹かれます。チェコ音楽の真髄に迫っていくようなフルシャには、今後とも期待しましょう。来シーズンもマルティヌーの交響曲第4番とカンタータ《花束》が予定されています。楽しみです。既にマルティヌーの交響曲第6番は素晴らしい演奏で聴いているので、残りは4曲です。フルシャがマルティヌーの交響曲を全曲、演奏してくれることを願うばかりです。


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ラインの旅:スイス編~スイスと言えば、ラクレットとチーズフォンデュ!

2013年4月15日月曜日@スイス・チューリッヒ~ボーデン湖~ラインの滝/15回目

ラインの滝への感動冷めやらずの思いで、チューリッヒへの電車に向かいます。途中、ヴィンタートゥールで乗り換えのため、駅に降り立ちます。この駅で、気になっていることをチェックしておきましょう。駅前に出ると、ペプシの試供品を配布しています。もちろん、しっかりといただきます。飲み物はいくらでも必要ですからね。


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さて、この駅でチェックしたいことなんですが、実は明日もこのヴィンタートゥールに、オスカー・ラインハルト美術館の絵画鑑賞に来ます。今日は月曜で美術館は休館日なので、どうしても明日、出直さないといけないんです。明日は荷物を持ってのバーゼルへの移動の途中にこのヴィンタートゥールに寄ることになるので、ここの駅のコインロッカーに荷物を預ける必要があります。その時に重い荷物を持ってあたふたとしたくないので、今日のうちにコインロッカーの状況をチェックしておきたかったんです。コインロッカーの様子を調べたところ、それなりに設備が整っていて使えそうですが、コインが8スイスフラン分必要なことが分かりました。今日のうちにコインを入手しておきましょう。

コインロッカーのチェックも完了し安心したところで、チューリッヒ中央駅への電車に乗ります。宿泊中のホテルに戻るにはチューリッヒ空港駅が便利なんですが、今日はチューリッヒでもう一つお楽しみがあります。配偶者が楽しみにしていた「ラクレット」を食べるため、チューリッヒ中央駅近くのレストランに予約を入れてあります(忙しいスケジュールの合間を縫って、電車の中から電話予約しました)。所持している鉄道チケットはチューリッヒ空港駅までなので、ここでヴィンタートゥール、チューリッヒ間の24H乗り放題チケットを購入します。明日もこのヴィンタートゥールまで来る必要がありますからね。1人24.8スイスフランと高額ですが、仕方ありません。


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チューリッヒ中央駅Zürich HBに着くともう6時半頃ですが、まだまだ空は明るいです。


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駅から旧市街方面に向かいます。


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リマト川に架かるバーンホフ橋Bahnhofbrückeを渡るとツェントラルCentralです。そこからチューリッヒ一番の賑やかな通りのニーダースドルフ通りNiederdorfstrasseを歩きます。


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通りにはレストランが立ち並び、テラス席は満席状態。さすがに目抜き通りだけのことはあります。


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ちょっと迷いながら予約したレストランを探します。どうやらこのニーダースドルフ通りではなくて、1筋裏のゼーリンガー通りZähringerstrasseにあるようです。ここがゼーリンガー通りです。後ろを振り向くと、通りの上を鉄の骨組みが橋のように立体交差していますが、右上方に上っています。これはポリバーンPolybahnというケーブルカーの線路です。


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ゼーリンガー通りを先に進みます。


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通りに面して、左側に目指すそのお店Raclette Stubeがありました。


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中央駅からお店への経路です。


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チューリッヒ周辺にはなかなかラクレットを食べさせてくれるお店はないらしく、苦労してこのお店を探し当てました。こじんまりとしたお店で、6時半頃に来店した我々は1番客です。


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テーブルは選び放題でしたので、窓に近い明るいテーブルに案内してもらいました。


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メニューを見ると、ラクレットはスタータとして1品と食べ放題の1品しかありません。これは困りましたね。食べ放題はなかなかいいお値段だし、食べ放題はもう私達に勝ち目はありません。


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ラクレットメニューは他にはないのかと聞くと、やはり食べ放題を勧められます。胃が小さいから無理だというと、スタータの1品とチーズフォンデュを1品をシェアすればよいという案を出してくれました。それがいいですね。
とりあえずは、白ワインで乾杯。充実した1日でした。ラインの旅も無事、完了できましたしね。


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目の前で焦げたチーズをかけてもらえるラクレットは楽しめませんでしたが、焦げたチーズが香ばしい香りのラクレットは楽しむことができました。


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チーズフォンデュ用のフランスパンとポテトが運ばれてきました。


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いよいよチーズフォンデュの鍋です。


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本場のチーズフォンデュはさすがに美味しい。チーズの味が違います。
チーズフォンデュを食べ終わると、鍋に焦げ付いたチーズが残ります。するとお店の女性がテーブルに来て、なにやら鍋の中をごそごそとやり始めました。これぞ、秘儀『チーズ焦がし』の技です。


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この焦がしチーズはなかなか美味。我が家でもやってみよましょう!


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デザートにシャーベットを食べようといろいろ検討していると、隣にいた若い男性客が、是非シュナップスを飲んだらと勧めてきます。折角のご推薦なのでトライしましたが、なかなか強いお酒で、美味しいのか美味しくないのかも分からず、完飲も出来ませんでした。それでも、彼とは親しく会話を始め、彼の2年前の日本旅行での大阪、京都、奈良、神戸の滞在時の話しに及びました。彼は奈良が一番気にいったとのこと。それに神戸のしゃぶしゃぶが美味しかったそうですよ。彼は今はダブリン(アイルランドの首都)に住んでいて、仕事でスイスに来ているようですが、本来はウィーンっ子ということです。ことウィーンになると、俄然話は盛り上がります。saraiが大のウィーン好きでもう10回もウィーンに行ったことを話すと、目を丸くしていました。オペラハウスやコンサートホールの話になると、彼はついてこれずお手上げでした。ウィーンっ子よりもウィーンの音楽事情に詳しいsaraiでした。これって、一体・・・何でしょう!
シャーベットは、もちろん美味しくいただきました。


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彼と仲良く別れ、トラム、Sバーンを乗り継ぎ、ホテルに帰着。saraiはお酒でいい気分。

本当に幸せな1日でした。

明日はヴィンタートゥールのオスカー・ラインハルト美術館を訪れ、午後にはバーゼルに移動し、再度バーゼルのライン川を見てライン川の見納めです。また、ライン川の渡しに乗ってみましょうか。バーゼルでは、sarai最愛の絵画、オスカー・ココシュカの最高傑作《風の花嫁》と対峙します。夜はバーゼル歌劇場でモーツァルトのオペラを見て、スイスの旅も完了です。その後はいつものオーストリア編です。友人達との再会も嬉しい旅になりそうです。


次回を読む:13日目:ヴィンタートゥール~バーゼル

前回を読む:12日目-1:ラインの起点、ボーデン湖




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ラインの旅:スイス編~ヴィンタートゥールで美術館鑑賞の前にゆったりと朝食

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/1回目

旅の13日目です。

昨日までスイスの好天に恵まれました。この好天はそんなには続かないだろうと思っていたら、今朝は青空と白い雲と黒い雲が混在する不安定な空です。昨日(月曜日)まではお祭りで休日だったのか、どこも子供連れの家族などでごった返していましたが、静かにお仕事モードに戻るにはふさわしいお天気かもしれませんね。それでも、気温は上がっていて暑いほどです。(この後、またまたよいお天気になりました。)

オランダからドイツ、フランス、スイスと遡ってきたラインの旅も前日のボーデン湖、ラインの滝で完了。今日もバーゼルでライン川を見る予定ですが、これはおまけのようなものです。
今日は、チューリッヒ近郊のヴィンタートゥールのオスカー・ラインハルト美術館での絵画鑑賞の後、バーゼルに移動し、夜はバーゼル歌劇場でオペラを見ます。

もうホテルには戻らないので、荷物を持ってのヴィンタートゥールWinterthurまでの移動です。最寄り駅まで歩いて、Sバーンの電車に乗車。車窓からはまた、アルプスの山々が見えます。


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ヴィンタートゥールに到着し、荷物を預けます。昨日ここを通過するときにコインロッカーの有無は確認済みです。しかもこのコインロッカーはコインしか使えないことをチェック済だったので、しっかり必要なコインも用意してあります。うん、我ながら旅慣れてきましたね~。


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ロッカーに荷物を預けますが、ちょっと誤算だったのは、2つのスーツケースが一緒にはロッカーに入らないこと。2つのロッカーを利用することになりましたが、コインが余分にあって助かりました。

身軽になって美術館に向かいます。駅前から駅舎を撮影しようと思いますが、駅前広場が狭くて撮影不能。通りを少し進んだところから駅の建物を撮影しますが、全景は見通せません。ガラス張りの綺麗な駅です。


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美術館へは駅前のシュタットハウス通りStadthausstrasseをまっすぐ進んでいきます。綺麗な街並みです。ただ、通りに駐輪している自転車の量は半端なものじゃありません。整然とした駐輪ではありますけどね。


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通りを進むと、すぐに大きな並木のある市立公園(Stadtgarten)が見えてきます。ここに美術館がある筈です。


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市立公園の中に建つ立派な建物がオスカー・ラインハルト美術館Museum Oskar Reinhartです。この街に生まれた大富豪オスカー・ラインハルトが自身のコレクションをスイスに寄贈したことでできた美術館です。


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市立公園の緑がとっても綺麗です。


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美術館の建物の正面の左手には、綺麗な噴水が付属しています。噴水文化のスイスらしいですね。


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市立公園の広場の中央にも彫像が建っています。いい雰囲気です。


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美術館の正面に来ました。残念ながら、オープンまでちょっと時間があるので、扉は固く閉じています。


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今朝のホテルは朝食付きでなかったので、カフェで朝食としましょう。お店を探します。シュタットハウス通りを進むと、リンド通りLindstrasseにぶつかります。通り沿いに立派な建物があります。市立公会堂(Stadthaus)です。


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ここから右の方に折れて進みます。立派な建物が並んでいます。


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オランダ、ドイツと巡ってきましたが、朝はパン屋さんしか開いていなくて、ゆっくり朝食を食べることができませんでした(パン屋のお店にちょっとした椅子が置いてあるところもあります)。ここはどうかしらと思いながら見渡すと、オープンテラスで朝食を食べている人がいます。この店にしましょう。


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かなり賑わっているお店です。ホテルのようなアメリカンスタイル(バイキング)の朝食メニューもあります。


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でも、結局は大きいパン屋さんという感じで、調理をして出してくれるレストランタイプではありません。カウンターで飲み物と軽食を注文します。


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素敵なカフェという感じで、オープンテラスで気持ち良く朝食を頂きます。


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テラス席の前は広い通りで、清々しい朝食になりました。


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通りの先には大きな建物が見えます。市庁舎でしょうか?


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目の前に巨大なトラックが停まりました。これは郵便局のトラックのようです。日本では郵便局は赤と決まっていますが、こちらは黄色。面白いですね。


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ゆったりと朝食を食べているうちに、美術館オープンの時間になりました。


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これから、美術館に向かいます。

ヴィンタートゥールの街を歩いたルートを地図で確認しておきましょう。


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ラインの旅:スイス編~ヴィンタートゥールのオスカー・ラインハルト美術館は少し、がっかり・・・

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/2回目

ゆったりと朝食をいただいているうちに、美術館のオープン時間(10時)になりました。さあ、美術館に行きましょう。この美術館は、この街の大富豪オスカー・ラインハルトが集めたコレクションを、彼の邸宅に飾ったプライベートな美術館です。


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建物に入ると、ロビーは実に豪壮な空間になっています。これが右手。大きな壁画があります。


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左手も同様です。ロビーは人気もなく、がらーんとしています。


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ロビー正面は広々とした階段になっています。この階段を上がると展示室に行けるようです。


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その前にチケットを購入しないといけませんね。


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この美術館の作品のほとんどがスイス絵画で、アンカー(配偶者の評価良し)、ホドラーあたりが見ものです。スイス絵画以外では、フリードリヒに期待です。
何枚か、ご紹介しましょう。

まず、アンカーです。シャフハウゼンでのアンカー展は見逃しましたが、ここにもアンカーの名品がありました。
これは《編み物をする少女》です。1892年、アンカー、61歳のときの作品です。少女の表情が可愛いですね。


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これは《画家の娘、ルイーズ》です。1874年、アンカー、43歳のときの作品です。この題名にある画家とはアンカー自身、モデルの綺麗な少女は彼の娘ルイーズです。


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これは《学用品を持つ少年》です。1881年、アンカー、50歳のときの作品です。得意の少女の絵だけではなく、少年を描かせても上手いですね。


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次はホドラーです。それほどホドラーらしい絵はありませんでした。
これは《シャンペリー近くのデンツ・ブランチズ》です。1916年、ホドラー、63歳のときの作品です。風景画を描かせても、さすがホドラーです。


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次はフリードリヒです。なかなか素晴らしい絵がありました。
これは《リューゲン島の白亜の断崖》です。1818年、フリードリヒ、44歳のときの傑作です。この美術館での一番の作品です。幻想と幽玄の素晴らしい作品に見入ってしまいました。お得意の登場人物の背後からの視点で描かれているので、見ているこちらも絵の中に入り込んで、一緒に断崖の下を覗き込んでいる気持ちになります。


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これは《月光の港》です。1811年、フリードリヒ、37歳のときの作品です。海辺、月光というのも、フリードリヒのお得意のもの。《リューゲン島の白亜の断崖》には及びませんが、これも素晴らしい作品です。ベルリン、ドレスデン以外で、このようなフリードリヒのコレクションがあるのは驚きです。


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フリードリヒのコレクションを除くと、全体として期待には程遠い内容で残念でした。レマーホルツの分館の方がよかったのではないかと後悔しています。そちらには、フランドル絵画、印象派の絵画があるようです。昨日の月曜日は美術館は休館だったので、わざわざ今日の日程に組み込んだのに、それほどの価値がなくて残念です。ま、行ってみないと分からないことなので、こういうこともありますよね。素晴らしいフリードリヒの《リューゲン島の白亜の断崖》を見たので、よしとしましょう。

美術館を出ると、市立公園の緑が目に沁みます。芽吹きかけた大木も見事です。


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公園の奥には、児童遊園も見えます。ここは市民の憩いの場のようです。


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美術館を後に、駅に戻ります。


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駅近くにキャッシュディスペンサーがあったので、使い過ぎて不足気味のスイスフランをクレジットカードでキャッシングします。まだ、ほぼ1日スイスに滞在しますので、心細い思いはしたくありません。


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ようやく、ヴィンタートゥール駅の全景を目にすることができました。立派な駅ですね。


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一旦チューリッヒに戻り、バーゼルに移動します。
チューリッヒに向かう電車の車窓には緑の畑が広がっていて、美しいです。


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チューリッヒの駅からバーゼルに向かいます。


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ラインの旅:スイス編~チューリッヒ経由でバーゼルへ

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/3回目

ヴィンタートゥールからチューリッヒに電車で移動。駅のショッピングモールに向かいます。実にショップが充実しています。


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このショッピングモールにはスーパーが入っていて便利です。温かいテイクアウトやお惣菜が買えます。多くの人で賑わっています。


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お寿司を発見。久しぶりのご対面です。旅のお供のお弁当にしましょう。


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ホームに向かいます。


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ホームは大勢の人が行き交っています。バーゼル行の電車はあと10分ほどで出発です。急いで、出発ホームを探します。


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チケットは既にネットで割引チケット(Supersaver Ticket)を購入済です。


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電車は既に9番ホームに入線しています。指定なしなので、急いで乗り込みましょう。


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あれっ、この電車には食堂車が付いています。もう、お寿司を買っちゃった・・・。


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ともあれ、ちゃんと2階席を確保できました、


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バーゼルまでは、インターシティ(IC)で1時間の旅です。
日本でもお馴染みのオランジーナもゲットしました。saraiの好物なんです。


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選んだお寿司は、SUSHI NIGIRI CLASSICとSUSHI SNACKです。


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中身はこんな感じ。美味しそうでしょう。


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お寿司を食べているうちに、電車はチューリッヒを離れていきました。車窓には長閑な田園風景が広がっています。


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バーゼルに近づくにつれて、電車は美しい緑の草原の中を走ります。スイスらしい綺麗な自然です。


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やがて、バーゼルBaselに到着。バーゼルは2度目の訪問です。バーゼルはライン川河畔の街です。ライン川全体図で確認しておきましょう。


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予約したホテルは、駅を出ると真ん前に見えます。歩いて10mです! 配偶者、嬉しそう・・・。
このホテルはHotel Victoria, Baselです。早速、チェックイン。


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ロビーの中央には、とても立派な円形ソファー。


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ロビーには、果物とジュースも置いてあります。サービスいいですね。


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部屋にはいると、大きなベッドがお出迎え。ゆったりと休めそうです。


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部屋は広く、清潔。デスクも使いやすそうです。


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事前にEメールで依頼しておいた通り、大きなバスタブがあります。


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夜はオペラ鑑賞なので、まずはここで休息したいところですが、わざわざバーゼルに寄った目的はバーゼル市立美術館でsaraiの最愛の絵画、ココシュカ《風の花嫁》に再会することです。スイスに来て、この最愛の絵画を見ずにはいられません。いざ、出かけましょう。


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フランス音楽の真髄:ミシェル・ダルベルト・ピアノ・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2013.11.24

いやはや、世界は広い。ミシェル・ダルベルトというピアニストは名前は知っていましたが、実際に聴くのは初めて。プログラム前半のシューマン、シューベルトはまあまあという感じでしたが、後半のドビュッシー、ラヴェルは物凄い演奏。特にラヴェルの《夜のガスパール》は驚異的とも思える演奏でした。ラヴェルのピアノ曲と言えば、同じ、この横浜上大岡ひまわりの郷ホールで聴いたアンリ・バルダに感銘を受けましたが、今日のミシェル・ダルベルトはそれ以上にも思える演奏でした。やはり、フランス系の音楽家が演奏するフランス音楽は本質を突いているようです。

この日のプログラムは以下の内容です。

 ピアノ:ミシェル・ダルベルト

 シューマン:3つの幻想的小品 Op.111
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番ハ短調 D.958

  《休憩》

 ドビュッシー:《映像》第1集
 ドビュッシー:子供の領分
 ラヴェル:夜のガスパール

  《アンコール》

    ショパン:前奏曲嬰ハ短調 Op.45

前半はドイツ・オーストリアのロマン派の音楽です。

まず、シューマンの《3つの幻想的小品》です。のっけから、ピアノの響きの明るさに驚きます。フランス人のピアニストの音ですね。これはこれで面白いですが、違和感も覚えます。シューマンらしいロマン派の味わいに欠けるのが残念です。特に第2曲のしみじみとした感じが表出されないのが残念。まあ、こういう響きのシューマンは聴いたことがないので、それなりに楽しんで聴けました。

次は、シューベルトのピアノ・ソナタ第19番ハ短調 D.958です。シューベルトの最晩年の最後の3曲のソナタ、D.958、D,959、D.960のうちの1曲。saraiの愛する音楽です。
この曲は明るい響きにも違和感を覚えません。美しい演奏です。特にインテンポで演奏する部分の歯切れの良さには感銘を覚えます。一方、細かい表情を付けて演奏する部分で、タメをきかせて、丁寧に演奏してくれるのはよいのですが、何か、しっくりきません。これはドイツ系のピアニストの重厚な演奏とはちょっと違うからかもしれません。聴き慣れれば、こういう演奏も楽しめるのかもしれません。いずれにせよ、先ほどのシューマンを上回る演奏でした。

休憩後、ドビュッシーの《映像》第1集です。第1曲の《水に映る影》の色彩感に満ちた煌めくようなピアノの響きには、もう、うっとりとします。こんな素晴らしいドビュッシーを聴いたのは初めてです。第3曲の《動き》の圧倒的なピアニズムにも感銘を覚えます。明瞭な響きが大音量で迫ってきます。かぶりつきで聴いているんです。今日は《映像》は第1集だけなのがとても残念。第2集も聴きたかったところです。

次は、ドビュッシーの《子供の領分》です。第3曲《人形のセレナード》、第4曲《雪が踊っている》は見事な演奏。明るく冴えた音色に魅了されます。

最後は、ラヴェルの《夜のガスパール》です。これは第3曲《スカルボ》の中盤から終盤にかけての気魄に満ちた凄絶な演奏に感動します。超難曲に対して、チャレンジャブルでミスを恐れぬ気合のはいった演奏。テクニックだけでなく、音楽の真髄を極めた演奏です。大袈裟に言えば、ピアノ演奏の極致とも思えます。よもや、ここでこんな凄い演奏に出会うとは予想だにしませんでした。ミシェル・ダルベルト渾身の演奏です。彼も精も根も尽き果てた感じです。それほど、集中力のある演奏でした。聴いているこちらとて、大変な集中力を要求されました。一音たりとも聴き逃さないという気持ちでこの演奏を受けとめました。

もちろん、演奏後、盛大な拍手。再三のカーテンコールで、アンコール。ショパンのプレリュードです。これも見事な演奏。明るい響きにもかかわらず、憂いをふくんだ演奏にうっとりしました。これで、彼はもう、これ以上、弾けないよという仕草。それはそうでしょう。あれだけ弾けば、限界でしょう。久々に素晴らしいフランス音楽が聴けて、満足のリサイタルでした。


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ラインの旅:スイス編~ココシュカの《風の花嫁》に感動の再会@バーゼル市立美術館

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/4回目

バーゼルのホテルは駅の真ん前。部屋の窓からは、すぐそこにバーゼル駅が見えています。


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部屋の真下には、駅前のトラム乗り場が見えています。


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部屋に荷物をおいて、バーゼル市立美術館に駆けつけましょう。チェックインの際に、市内交通の1日乗り放題のチケットを渡されたので(プレゼント!)、すぐにトラムに乗れます。


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ホテル前のトラム乗り場に向かいます。振り返って、ホテル(Hotel Victoria, Basel)の建物を見ます。残念ながら、地味な建物です。saraiの基準からすると、大枚をはたいて宿泊している高級ホテルなんですよ。


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目の前にはバーゼル中央駅。この駅はスイス国鉄(SBB)駅です。隣接して、フランス国鉄駅もあります。ライン川を越えたところには、ドイツ国鉄(DB)駅もあります。バーゼルは3国の国境近くの街なんです。


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ホテルでもらった市内地図では、2番のトラムで2つ目Kunstmuseumがバーゼル市立美術館の最寄の停留所。


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2番のトラムはすぐにやってきて、最寄りの停留所にすぐ到着しました。目の前に、美術館の建物があります。


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地図でトラム移動ルートを確認しておきましょう。


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美術館に入ると、そこは中庭になっています。


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いくつかの彫刻が置いてあります。これはロダンのカレーの市民、お馴染みの作品です。


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建物に入ります。入り口の大きなガラス窓のモザイク風のアート作品が出迎えてくれます。


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窓口で入館チケットを購入。1人21スイスフランです。


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館内案内パンフレットもゲット。


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とるものもとりあえず、ココシュカの《風の花嫁》に再会します。以前と展示場所が変わっていてちょっと迷いましたが、美術館のスタッフから場所を教えてもらい急行します。以前は2階の突き当りの部屋に飾ってありましたが、1階の入り口そばに移動したようで、2階から1階に戻ります。ありました・・・広い部屋の中央に飾ってあります。


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《風の花嫁》に対峙し、深く感動します。saraiにとって、この絵は世界最高の名画です。深い青を基調にした大きな絵です。アルプスの風景を背景に、ココシュカ自身を描いた男性像は自分の内面を見つめるか如く黙想しており、そして、彼にそっと寄り添う美しい女性:アルマは目を閉じています。この絵が描かれたときには、アルマ・マーラー(マーラー未亡人)は既にココシュカのもとを去っており、この絵に登場するアルマはココシュカの忘れがたい思いが想像した産物でしかありません。でも、それだけに、この絵画はココシュカの深い感情に覆われて、愛の挫折、悲しみ、捨てがたい慕情、すべてがないまぜになって、saraiの心を強く打ちます。時の経つのを忘れて、《風の花嫁》に見入ってしまいました。この1枚を見るだけでも、何度も再訪したい美術館です。ナチスに退廃芸術とみなされ、処分されかねないところを、バーゼル市民が救った絵画です。本当にバーゼル市民には感謝したいし、尊敬の念も禁じ得ません。この絵は、ココシュカの熱い思いを示すかのように、絵具が厚塗りされて盛り上がっています。しかもとても大きな絵画です。したがって、この絵を館外に持ち出すのは不可能で、いわば門外不出の絵画です。この絵を鑑賞するためには、バーゼルを訪れるしか、手段がありません。そして、その価値は十分あり、訪れる人は必ず報われます。

人もまばらな部屋で、saraiと配偶者はこの《風の花嫁》を独占するという贅沢を味わっていました。この絵を見ただけで、バーゼルを訪れた目的は達しました。しかし、一応、美術館をぐるっと回ってきましょう。これから、この美術館の素晴らしいコレクションをご紹介します。


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ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その1@バーゼル市立美術館

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/5回目

バーゼル市立美術館は、ヨーロッパ最古の公立美術館です。その歴史は1671年まで遡ります。バーゼルの富豪アマーバッハ家のコレクションをバーゼル市が購入したのがその始まりです。その後、第2次世界大戦中に市民の募金などでナチスから、ココシュカの《風の花嫁》を救い出すために購入しました。バーゼル市立美術館には、この《風の花嫁》以外にも、ナチスの退廃芸術から救い出した名画の数々があり、こんな見応えのある美術館はそうはありません。クレー、ミロなど、挙げたら、きりがありません。
今回から、そのバーゼル市立美術館の素晴らしいコレクションの数々をご紹介します。

まず、パウル・クレーです。ベルンでも素晴らしいクレーの名画を鑑賞しましたが、この美術館にも、クレーの名作があります。

《豊かな港(Rich Harbour)》です。1938年、クレー、59歳の作品です。ナチスの弾圧を受け、スイスに亡命後に描いたものです。ともかく、色彩、黒いライン、構図、すべてが圧倒的に素晴らしいです。


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《R荘(Villa R.)》です。1919年、クレー、40歳の作品です。クレーが第1次世界対戦に従軍し、除隊した後に描いたものです。この絵もナチスの退廃芸術から救い出された絵画のひとつです。円形の太陽と半円形の月、直線の建物と曲線の道という対立するものを描いています。しかし、それが緊張感を生むわけではなく、落ち着きのある雰囲気であることに驚かされます。大きく描かれたRの文字は特に意味はなく、構図の一部だそうです。


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次はホアン・ミロです。

《コンポジション》です。1925年、ミロ、32歳の作品です。ミロの作品の基本的な要素である点、線、平面が描かれています。構図も素晴らしいですが、色合いの美しさに感銘を受けます。


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次はフェルナン・レジェです。

《青色の中の女(Woman in Blue)》です。1912年、レジェ、31歳の作品です。レジェの作品のなかでも、抽象度の高い作品です。一目ではレジェの作品とは分かりません。


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《階段(The Staircase)》です。1914年、レジェ、33歳の作品です。これも結構、抽象度の高い作品です。


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《母と子(Mother and Child)》です。1922年、レジェ、41歳の作品です。これはレジェらしい、素晴らしい絵です。抽象と具象のほどよいバランス、そして、無表情の顔、すべてがレジェの特徴を示しており、構図と色彩が素晴らしいです。


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次はジョルジュ・ブラックです。

《風景(Landscape)》です。1908年、ブラック、26歳の作品です。この手の作品はピカソと切磋琢磨したものなのでしょう。saraiには、なかなか、ピカソの作品との判別が付きません。抑えた色彩と高度な抽象が心地よい作品です。


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《ヴァイオリンとピッチャー(Violin and Pitcher)》です。1909年~1910年、ブラック、27歳頃の作品です。これは傑作です。色調といい、ほどよい抽象感といい、素晴らしいです。ピカソに優るとも劣らないと言えます。


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次はシャイム・スーティンです。エコール・ド・パリの画家の一人です。

《ヴァイオリン、パンと魚のある静物(Still-life with Violin, Bread and Fish)》です。1922年、スーティン、29歳の作品です。さりげない静物画ですが、しっかりとスーティンの特徴が出ています。それにしても、ブラックと同じヴァイオリンを描いても、こんなに違いがあります。抽象、具象の違いよりも、対象の捉え方の違いが大きいと思います。


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次はエドヴァルド・ムンクです。

《Aasgaardstrandの田舎道(Country Road in Aasgaardstrand)》です。1901年、ムンク、38歳の作品です。これもムンクの特徴の出た絵です。手前に大きく、明瞭に描かれた少女と幾分、デフォルメされた背景の対照が見事です。画家の深層心理の中を覗き見ている感覚に陥ります。


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次はエゴン・シーレです。saraiお気に入りの画家ですが、ここにも1枚ありました。

《エーリッヒ・レーデラーの肖像(Portrait of Erich Lederer)》です。1912年~1913年、シーレ、22歳頃の作品です。エーリッヒ・レーデラーは、クリムトのパトロンであったレーデラー家の息子。レーデラー家は豪壮なウィーンの邸宅のほかにハンガリーのジェールにお酒の工場を持っていました。シーレは1912年のクリスマスから新年までをそのジェールで過ごしました。エーリッヒ・レーデラーは15歳の少年でしたが、その年齢にも関わらず、シーレの偉大な才能を見抜き、熱狂的なシーレのコレクターになったそうです。早熟の天才シーレとそのシーレの早熟なコレクターの組み合わせがこの絵画に結実したようです。少年の顔の表情が何とも素晴らしいではありませんか。


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次はマルク・シャガールです。

《牛売り(The Cattle-dealer)》です。1912年、シャガール、25歳の作品です。パリに出てきたシャガールは、前衛的な絵画を描き始めますが、絵の題材として、故郷をよく描きました。この絵はロシアの昔話を題材に、富裕な農民と貧しい農婦の姿を描いています。背景の黒、そして、赤い色調が印象的です。


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《黒と白のユダヤ人(Jew in Black. and White.)》です。1914年、シャガール、27歳の作品です。絵のタイトルの通り、黒と白の対比できりりと引き締まった画面構成です。


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次はアレクセイ・フォン・ヤウレンスキーです。青騎士の一人ですね。

《自画像(Self-portrait)》です。1911年、ヤウレンスキー、47歳の作品です。ベルンのクレーセンターでの《ヤウレンスキーとクレー》展で大量の作品を見たばかりです。そこでも、このような肖像画が一番、光彩を放っていました。この絵もヤウレンスキーらしい、いい絵です。


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次はエミール・ノルデです。ドイツ表現主義に近い作風ですが、どのグループにも属さず、独自の道を歩みました。

《フィギアとマスク(Figure and Mask)》です。1911年、ノルデ、44歳の作品です。これは人形と仮面を描いた静物画ですが、とてもそうは見えない、奇怪な絵画です。やはり、表現主義の作品と思えます。ちなみにノルデ自身は早期からのナチ党員でしたが、こういう作品を描いていたので、退廃芸術として、槍玉にあげられました。


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次はフランツ・マルクです。配偶者のお気に入りの画家。青騎士の代表選手でもあります。ミュンヘン時代のクレーの親友だった人です。

《冬のバイソン(Bison in Winter)》です。1913年、マルク、33歳の作品です。マルクらしく、自然と動物を描いています。白い雪を背景に赤いバイソンが印象的です。曲線と直線でデフォルメして描かれた山や樹木の抽象感が青騎士らしさを思い起こさせます。


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《動物の宿命(Fate of the Animals)》です。1913年、マルク、33歳の作品です。縦195センチ、横263センチの大作です。動物たちの死すべき運命を通して、戦争の残酷さを訴えているようです。そして、この絵を描いた3年後、この絵の通り、マルク自身が戦場で最期を迎えることになります。また、この絵も、マルクの死後、倉庫火災でダメージを受けます。特に絵の右側の部分は今でも損傷していることが分かります。しかし、焼け残った断片を集めて、クレーが親友の名画を見事に修復・再構成しました。写真などを参考にした大変な作業だったようです。クレーは戦争に倒れた親友マルクの死に大変、ショックを受けていたそうですから、この作品の再生にかける気持ちはとても強かったのでしょう。そして、この絵はさらに試練のときを迎えます。クレーの作品と同様に、ナチスから退廃芸術の烙印を押されます。この作品を救ったのがバーゼル市民です。そして、今、ここに安住の地を見出しています。《風の花嫁》と同様にバーゼル市民に救出された名画です。本当にバーゼル市民には、頭が下がります。
ピカソの《ゲルニカ》同様、戦争の悲惨さ・残酷さを体現した名画、しかもそれ自身が生き物のような名画です。マルクの精神に合掌!!


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バーゼル市立美術館の名画コレクションはまだまだ続きます。



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ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その2@バーゼル市立美術館

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/6回目

バーゼル市立美術館の素晴らしいコレクションの数々をご紹介しています。今回は2回目。

次はマックス・ベックマンです。ドイツ表現主義の画家です。彼もまた、ナチスに退廃芸術と烙印を押されました。

《フランクフルトのニース(The Nizza in Frankfurt am Main)》です。1921年、ベックマン、37歳の作品です。彼はフランクフルトの風景をこういう、くっきりしたタッチでよく描いています。フランクフルトのマイン河畔の北岸には、コートダジュールの地中海気候の植物が植えられています。そこはニース(ニッツァ)と呼ばれています。その風景を描いた絵画です。この絵画も退廃芸術として処分されるものをバーゼル市民が救い出しました。


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次はエルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナーです。ドイツ表現主義の画家です。彼もまた、ナチスに退廃芸術と烙印を押され、そのショックから立ち直れず、ピストル自殺を遂げるという悲惨な末路を辿りました。

《Amselfluh》です。1922年、キルヒナー、42歳の作品です。山の風景を描いたものですが、空は緑色に塗られ、山はピンク色。風景も極度にデフォルメされています。山が波のように描かれています。彼の心の眼が捉えた自然の姿です。


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次はワシリー・カンディンスキーです。言わずと知れた抽象絵画の創始者です。

《即興35(Improvisation 35)》です。1914年、カンディンスキー、48歳の作品です。カンディンスキーは《即興》と題した作品を1909年から1914年にかけて、数多く制作しました。《即興》というのは心に無意識に浮かんだものを素早く描いたものです。この激しいタッチの描き方は後のアクションペインティングを先取りしたものだと言われています。


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次はピエト・モンドリアンです。カンディンスキーと並び立つ抽象絵画の創始者です。この旅の始めにデン・ハーグ市立美術館でモンドリアンの世界最大のコレクションを見たばかりです。そのときの記事はここです。

《赤と黒のコンポジションNo.Ⅰ(COMPOSITION NO.I, with Red and Black)》です。1929年、モンドリアン、57歳の作品です。このスタイルの抽象画を15年以上も描き続け、こういうシンプルなスタイルに到達しました。究極の1枚でしょう。この後には、もうブギウギ・シリーズしかありません。


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次はサルヴァドール・ダリです。

《燃えるキリン(The Burning Giraffe)》です。1936年~1937年、ダリ、32歳頃の作品です。ダリらしく、悪夢のような世界が描かれています。


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次はマックス・エルンストです。彼もダリと同じく、シュールレアリスト。

《大きな森(The Big Forest)》です。1927年、エルンスト、36歳の作品です。荒涼たる世界です。


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次はピエール=オーギュスト・ルノワールです。ここから、19世紀の画家のコーナーです。

《庭にいる婦人(Woman in a Garden)》です。1868年、ルノワール、27歳の作品です。女性を描かせたら、並ぶものなしですね。


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次はアルノルト・ベックリンです。スイス出身の象徴主義の画家です。バーゼル生まれですから、ここはベックリンのコレクションが充実しているのもうなづけます。そのコレクションの中でも、有名な《死の島》に再会するのを楽しみにしていました。

《死の島(The Island of the Dead)》です。1880年、ベックリン、53歳の作品です。この有名な作品は同様の構図で5枚も描かれました。ここにある作品はその中の最初の作品です。昨年、ベルリンの旧ナショナル・ギャラリーで、《死の島》の第3バージョンを見ました。ヒットラーの総統室に掛けられていたというものです。ナチスに嫌われた退廃芸術もあれば、好まれた作品もありました。ベルリンの《死の島》の第3バージョンの記事はここです。両者を比較すると、この第1作はとても暗い絵です。


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《オデュッセウスとカリプソ(Odysseus and Calypso)》です。1882年、ベックリン、55歳の作品です。《死の島》の2年後に描かれたことになります。《死の島》と同様にフィレンツェ滞在時の作品です。幻想的な絵です。


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《遊びに興じるネレイスたち(Nereids at Play)》です。1886年、ベックリン、59歳の作品です。何ともコメントできない絵です。彼の想像力にもびっくりしますが、何を表現しようとしているか、見当もつきません。ちなみにネレイスというのは海の精(女神)のことです。


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《パン(牧神)が山羊飼いを驚かす(Pan Startles a Goatherd)》です。1859年、ベックリン、32歳の作品です。これも超現実的なシテュエーションを描いた作品です。


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《ペスト(Pan Startles a Goatherd)》です。1898年、ベックリン、71歳の作品です。死の3年前の作品です。これはペストの猛威を描いたものですね。この時代もペストの危機がありました。


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次はフェルディナント・ホドラーです。スイスの画家です。

《The Niesen》です。1910年、ホドラー、57歳の作品です。山を描いた風景画。ヴィンタートゥールでも同様の作品を見ました。


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《無限との交わり(Communion with Infinity)》です。1892年、ホドラー、39歳の作品です。ホドラーのこの手の絵は好きです。何か感じるものがあります。


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《勇敢な女(Communion with Infinity)》です。1886年、ホドラー、33歳の作品です。比較的、初期の作品です。3年後には代表作《夜》を描きますが、その片鱗は見えるものの、この後、数年の飛躍は大変なものです。


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次はカミーユ・コローです。

《泉の近くのイタリアの少女(Italian Girl by a Fountain)》です。1865年~1870年、コロー、70歳頃の作品です。美しく、印象的な絵です。


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次はエドガー・ドガです。

《怪我を負った騎手(Injured Jockey)》です。1896年~1898年、ドガ、64歳頃の作品です。得意の馬の絵です。


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ショスタコーヴィチ_交響曲第13番:東京都交響楽団@サントリーホール 2013.11.28

東京都交響楽団のサントリーホールの定期公演です。今日の公演は人気がないのか、客席に空席が目立ちます。ショスタコーヴィチの交響曲のなかでも演奏機会の少ない第13番だからかもしれません。この曲の真価は計りがたいというのが正直なところですが、音楽的には、後期のショスタコーヴィチの特徴の出た、いい音楽です。ただ、この曲のベースとなっているエフトゥシェンコの詩の内容が反体制とは言え、イデオロギー的なものであることが問題だと思えます。体制的であろうと反体制的であろうと、芸術にイデオロギーを持ち込むのは少なくともsaraiには抵抗があります。ベートーヴェンの第9番のように、人間の友愛を歌うものとは、本質的に違いがあります。その抵抗感を一時的に抑制してみると、バス独唱のディデンコの深々とした歌唱が素晴らしく、ロシア版の一人オペラ、あるいはオラトリオを聴いている感覚に陥ります。各楽章の盛り上がる部分では感動さえ覚えました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ヘヘス・ロペス=コボス
  管弦楽:東京都交響楽団
  バス:ニコライ・ディデンコ
  男性合唱:2期会合唱団

  トゥリーナ:闘牛士の祈り Op.34(弦楽合奏版)
  ラヴェル:スペイン狂詩曲

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲第13番変ロ長調 Op.113《バービイ・ヤール》

まず、トゥリーナの《闘牛士の祈り》です。この曲はオリジナルはリュート四重奏曲だそうですが、いろんな編曲があり、管弦楽版もあります。今日はあえて、弦楽合奏版が選択されたようです。まあ、難しい曲ではないし、ムード音楽を聴いている気分です。都響の弦楽セクションの素晴らしい響きを堪能しました。今日は弦楽セクションはほぼベストメンバーで、そのサウンドに聴き惚れるのみでした。

次はラヴェルの《スペイン狂詩曲》です。これは紛れもない名曲。よく知っている旋律のオンパレード。都響の美しく、ダイナミックな響きを楽しむばかりです。スペイン出身の指揮者はスペイン風の雰囲気を見事に表現します。

休憩後、今日のメインのショスタコーヴィチの交響曲第13番です。エフトゥシェンコの詩《バービイ・ヤール》に曲をつけたのが第1楽章。《バービイ・ヤール》は第2次世界大戦中にナチスがユダヤ人を大量虐殺したキエフ近郊の渓谷です。民族差別に踏み込んだ内容になっています。残りの第2楽章から第5楽章もエフトゥシェンコの詩に基づいています。いずれも当時のソ連の諸問題に踏み込んだ内容です。あれほど、体制側からの批判にピリピリし、恐怖感を抱いていたショスタコーヴィチが思い切って作曲した作品です。それというのも、スターリンが没し、フルシチョフのスターリン批判で一気に雪解けに向かった状況下だからだったようです。詩の内容の好みの問題は別として、ともかく、バス独唱のディデンコの歌唱が素晴らしいです。その巨躯からの深々とした声量はもちろん、多彩な表現も見事です。ロシア語の歌詞はロシア人の彼が歌いこなすのは当然として、男性的な歌唱から柔らかい歌唱まで、文句なしです。交響曲というよりも、管弦楽伴奏付きの声楽曲として、大いに楽しめました。男性合唱はオーケストラの後ろに立っていることもあり、迫力に欠けたのが残念。都響は見事な演奏でしたが、特に第5楽章のコーダでのヴァイオリンとヴィオラのソロ2重奏は素晴らしいの一語。コンサートマスターの矢部達哉とヴィオラ首席の店村眞積のさすがの演奏でした。《音楽》的には、素晴らしい演奏でした。この曲を実演で聴くのは初めてでしたが、とても感銘を覚えました。

このショスタコーヴィチは、実は3日後の日曜のコンサートに続く序奏なんです。1日でショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲15曲全曲を聴くプロジェクトです。このところ、毎日、精力的に予習に励んでいます。そのうち、ショスタコーヴィチの交響曲15曲全曲のチクルスとか、ありませんかね・・・。


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ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その3@バーゼル市立美術館

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/7回目

バーゼル市立美術館の素晴らしいコレクションの数々をご紹介しています。今回は3回目。

次はオディロン・ルドンです。象徴主義に分類されることが多い画家です。厳密には、独自の作風を貫いた画家です。saraiが気になる画家の一人です。

《聖セバスティアン(Saint Sebastian)》です。1910年、ルドン、70歳の作品です。亡くなる6年前に描かれました。構図自体はよくある聖セバスティアンの絵と同じようなものですが、色合いや背景のぼかし方など、ルドンでないと描けない、素晴らしい作品に仕上がっています。


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次はフィンセント・ファン・ゴッホです。説明は不要ですね。saraiのもっとも愛する画家です。

《ピアノを弾くマルグリット・ガシェ(Marguerite Gachet at Piano)》です。1890年、ゴッホ、37歳の作品です。亡くなる前年に描かれました。オーヴェル・シュル・オワーズのガシェ医師の娘を描いたものです。オーヴェルの地で描いた作品はすべて、傑作です。この作品も人物の本質に切り込んでいます。


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《日本の木版画と自画像(Self-Portrait with Japanese Woodcut)》です。1887年、ゴッホ、34歳の作品です。


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次はポール・ゴーギャンです。

《ナフェア・ファア・イポイポ:いつ結婚するの?(NAFEA Faa ipoipo:When are you getting married?)》です。1892年、ゴーギャン、44歳の作品です。ゴーギャン最初のタヒチ滞在時に描かれた作品です。画面構成はドラクロワの《アルジェの女》に基づいていると言われています。


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《タ・マテテ:市場(Ta matete:The Market)》です。1892年、ゴーギャン、44歳の作品です。これもゴーギャン最初のタヒチ滞在時に描かれた作品です。画面構成は大英博物館にあるエジプトの壁画に基づいていると言われています。エジプトとタヒチのコラボとは、よくよくゴーギャンは非西欧文化に憧れていたんですね。


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次はポール・セザンヌです。

《5人の水浴する女(Five Bathers)》です。1885年、セザンヌ、46歳の作品です。水浴はセザンヌの重要なテーマです。この絵も構図、色彩の統一感、そして、何よりも質感が素晴らしいです。この作品なしにピカソの《アビニョンの娘たち》は生まれなかったでしょう。


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《レ・ローヴから見たサント=ヴィクトワール山の眺め(View of Mount Sainte-Victoir from Lauves)》です。1904年~1906年、セザンヌ、67歳頃の最晩年の作品です。サント=ヴィクトワール山は南仏エクス・アン・プロヴァンス近くの山。セザンヌがとりつかれたように描き続けた山です。この作品ではまるで抽象画を思わせるように山と自然は要素に分解されています。しかも晩年のセザンヌのタッチの見事さは凄いとしか表現できません。saraiもこのセザンヌの描き続けたサント=ヴィクトワール山がどうしても見たくて、2年前にエクス・アン・プロヴァンスの街を訪れました。そのときの記事はここです。美しい山でした。


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《ワイングラスとリンゴ》です。1879年~1882年、セザンヌ、43歳頃の作品です。静物画はセザンヌの代名詞です。対象の質感の素晴らしい捉え方には、いつも感銘を受けます。


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次はアンリ・マティスです。

《牡蠣のある静物(Still-life with Oysters)》です。1940年、マティス、71歳の作品です。マティスでなければ、悪趣味とも思える色使いですが、これが何ともオシャレにおさまっているのがマティスの色彩魔術だと感じます。特に暖色系の色の使い方に驚かされます。


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《川の土手(The River-bank)》です。1907年、マティス、38歳の作品です。南仏の明るい陽光で描かれた風景画です。


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次はアンドレ・ドランです。フォーヴィズムを代表する画家です。

《春のワイン畑(Vineyard in Spring)》です。1904年~1905年、ドラン、25歳頃の作品です。この作品は彼の生まれたイヴリーヌ県シャトゥー(パリからも遠くないセーヌ河のほとり)で描かれました。この風景画は彼が尊敬するゴッホの影響を受けたものになっています。この絵もナチスの退廃芸術から救い出された絵画の1枚です。この美しい作品のどこが退廃芸術だというのでしょう・・・彼らの審美眼を疑うのみです。


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次はアンリ・ルソーです。素朴派を代表する画家です。

《詩人に霊感を与えるミューズ(The Muse Inspiring the Poet)》です。1909年、ルソー、65歳の作品です。ルソーはこの作品を描いた翌年、亡くなります。この作品の背景はルソーが得意とした密林の風景。モデルは詩人アポリネールとその恋人の画家マリー・ローランサンです。彼らとの長年の友情に感謝して、描いた作品です。素晴らしい傑作です。


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《沈みゆく太陽と森の風景(Forest Landscape with Setting Sun)》です。1910年、ルソー、66歳、最晩年の作品です。これは何の説明もいらない傑作です。実に見事!


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バーゼル市立美術館の名画コレクションはまだまだ続きます。



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ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その4@バーゼル市立美術館

2013年4月16日火曜日@スイス・チューリッヒ~ヴィンタートゥール~バーゼル/8回目

バーゼル市立美術館の素晴らしいコレクションの数々をご紹介しています。今回は4回目。

バーゼル市立美術館と言えば、ホルバインのコレクションが最も有名です。次は15世紀、16世紀の展示室に移動します。階段を2階に上がって、すぐのところです。

ここから、ハンス・ホルバインの作品を見ていきます。ホルバインはこのバーゼルを活動の拠点にしていました。

《墓の中の死せるキリスト(The Body of the Dead Christ in the Tomb)》です。1521年、ホルバイン、24歳頃の作品です。一度見たら忘れられない強い印象を受けます。縦30センチ、横2メートルのほぼ等身大の大きさです。正視するのがためらわれるくらい、迫真の迫力があります。


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《エラスムスの肖像(Portrait of Desiderius Erasmus)》です。1523年、ホルバイン、26歳頃の作品です。教会の堕落を批判したオランダ生まれのエラスムスはホルバインと同時期にバーゼルに滞在していました。肖像画家ホルバインはエラスムスの肖像を数点、描いています。


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《コリントの遊女ライス(Lais of Corinth)》です。1526年、ホルバイン、29歳頃の作品です。コリントはギリシャの都市ですが、古代ローマでは、コリントは著名な娼婦が多いことが知られており、中でもライスは憧れの存在でした。絵に描かれている金貨は、大枚を支払わないとライスを我が物にできないということを示しています。それにしても、美しい女性ですね。実はこのモデルは画家の愛人だと言われています。


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《キリストの埋葬(The Entombment)》です。1524年~1525年、ホルバイン、28歳頃の作品です。


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《ホルバインの妻と2人の子供(Portrait of the Artist's Wife and her Two Eldest Children)》です。1528年~1529年、ホルバイン、32歳頃の作品です。1526年、ホルバインはエラスムスの紹介で、トマス・モアを頼ってロンドンへ渡ります。1528年いったんバーゼルに戻りますが、1532年には再びロンドンへ渡ります。その後はヘンリー8世のもと、宮廷画家として、活躍することになります。この作品は1528年にバーゼルに戻った際に、1520年頃に結婚した妻エルスベトと長男、長女を描いたものです。1542年に生活費を得るために妻によって、この絵は売却されます。新しい持ち主はこの絵から、人物のみを切り抜いて、菩提樹の板に貼り付けました。現在の作品の姿はその状態です。子供たちの視線を追うと、画面の右側のほうを見ていることから、本来はそこにホルバイン自身も登場する家族の肖像画であったようです。右側のホルバインの肖像はその後、どうなったんでしょう。


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《ボニファチウス・アメルバッハの肖像(Portrait of Bomifacius Amerbach)》です。1519年、ホルバイン、22歳頃の作品です。エラスムスと親交の深かった人文学者のボニファチウス・アメルバッハの肖像画です。


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《アンナ・マイアーの肖像(Portrait of Anna Meyer)》です。1526年、ホルバイン、29歳頃の作品です。1526年に《バーゼル市長ヤーコプ・マイアーの聖母》が描かれますが、その絵画中に描く人物のモデルとして、バーゼル市長ヤーコプ・マイアー、彼の妻ドロテア・マイアー、その娘アンナ・マイアーの3人の肖像スケッチを描きました。この絵はその1枚です。saraiの趣味では、《バーゼル市長ヤーコプ・マイアーの聖母》に描かれたアンナよりも、この肖像画のアンナのほうが魅力的に感じます。


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次はコンラート・ヴィッツ(Konrad Witz)です。15世紀前半にバーゼルで活躍したドイツ人の画家です。

《黄金門でのヨアキムとアンナ(Joachim and Anna by the Golden Gate)》です。1440年、ヴィッツ、40歳の作品です。ヨアキムとアンナは聖母マリアの両親。20年間、彼らには子供ができませんでしたが、ヨアキムが子を授かることを念じて断食をしていたところ、天使から、妻アンナが身ごもったことを告げられます。急ぎ、エルサレムの寺院に向かい、受胎したアンナと黄金門の前で再会します。この絵はその場面を描いたものです。もちろん、このとき生まれたのが聖母マリアです。この絵は『聖母の祭壇画』の一部で、残りの部分はニュルンベルグとストラスブールにあるそうです。


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《ダビデの前のアビシャイ(Abi'shai before David)》です。1435年、ヴィッツ、35歳の作品です。この絵は『ハイルスピーゲルの祭壇画(人間救済の鑑の祭壇画)』の翼部の一部です。甲冑や布地の質感が素晴らしく描かれています。


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《シャベタイとベナヤ(Sib'becai and Benai'ab)》です。1435年、ヴィッツ、35歳の作品です。この絵は『ハイルスピーゲルの祭壇画(人間救済の鑑の祭壇画)』の翼部の一部です。この絵の題材も上記の絵と同じく、旧約聖書の「サムエル記」に登場するイスラエルの王ダビデに仕える勇士たちを描いたものです。


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次はマルティン・ショーンガウアー(Martin Schongauer)です。15世紀後半に活躍したドイツ人の画家です。

《室内の聖母子》です。1480年、ショーンガウアー、30歳頃の作品です。フランドル風の精緻な描き方が素晴らしいです。


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次はルーカス・クラナッハです。

《一切れのパンと聖母子》です。1529年、クラナッハ、57歳の作品です。とても美しいです。さすが女性を描かせたら、クラナッハは最高です。


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《パリスの審判(The Judgement of Paris)》です。1528年、クラナッハ、56歳の作品です。相変わらず、女性の裸体画は見事です。


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次はマティアス・グリューネヴァルトです。『イーゼンハイム祭壇画』の作者として、高名な16世紀に活動したドイツの画家です。

《キリストの磔刑(Crucifixion)》です。1505年、グリューネヴァルト、25歳頃の作品です。凄絶な絵です。とても痛々しく感じます。人類の罪を一身に背負ったというイメージです。


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バーゼル市立美術館の名画コレクション、常設展はこれくらいにしましょう。次はこのときに開催されていたピカソ展に触れます。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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